説明

操作装置

【課題】操作面が傾斜している場合であっても、ユーザの操作を正確に検知すること。
【解決手段】検出値補正部17bが、たとえばタッチパネル部のチルト角をパネル11の傾斜角として特定するとともに、特定したパネル11の傾斜角に応じて圧力センサ12a〜12dの検出値を補正するようにナビゲーション装置1を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧力センサを用いた操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力手段であるタッチパネル装置の一つとして、圧力センサを用いて入力操作の位置座標、または操作圧力、あるいはその両方を検知する感圧式タッチパネル装置が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、透明なパネルの背面の四隅に圧力センサを配置し、各圧力センサの検出値の比率に基づいて押下位置を割り出す感圧式タッチパネル装置が開示されている。また、特許文献1に記載された感圧式タッチパネル装置は、各圧力センサの検出値の合計値を操作圧力として検知する。
【0004】
このように、感圧式タッチパネル装置によれば、パネルへの操作位置だけでなく操作圧力も検知することができるため、操作位置のみを検知する静電容量型のタッチパネル装置等と比較して、より多彩な入力操作を提供することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−126997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の感圧式タッチパネル装置には、操作面であるパネルが傾斜している場合に、ユーザの操作を正確に検知することが困難であるという問題があった。すなわち、パネルが傾斜している場合、各圧力センサの検出値に対して重力の影響が加わることとなるため、検知される操作位置・操作圧力と実際の操作位置・操作圧力との間にズレが生じるおそれがあった。
【0007】
開示の技術は、操作面が傾斜している場合であっても、ユーザの操作を正確に検知することができる操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、パネルの近傍に配置された複数の圧力センサの検出値に基づいて前記パネルでの操作内容を決定する操作装置であって、前記パネルの傾斜角に応じて前記圧力センサの検出値を補正する補正手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願によれば、操作面が傾斜している場合であっても、ユーザの操作を正確に検知することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例1に係る操作検知手法の概要を示す図である。
【図2】図2は、実施例1に係るナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図3】図3は、チルト機能の説明図である。
【図4】図4は、補正テーブルの一例を示す図である。
【図5】図5は、操作検知処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、ナビゲーション装置の取付面が傾いている状況を示す図である。
【図7】図7は、実施例2に係る傾斜角特定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、取付角決定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、キャリブレーション処理の動作例を示す図である。
【図10】図10は、ナビゲーション装置を搭載した車両が傾いている状況を示す図である。
【図11】図11は、実施例3に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、車両角決定処理の動作例を示す図である。
【図13】図13は、タッチパネル部が慣性力を受ける状況の一例を示す図である。
【図14】図14は、補正量変更処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る操作装置の実施例を詳細に説明する。ただし、これらの実施例における例示で本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
まず、実施例1に係る操作検知手法の概要について図1を用いて説明する。図1は、実施例1に係る操作検知手法の概要を示す図である。なお、図1の(A)には、感圧式タッチパネルの概要を、図1の(B)には、操作面であるパネルが重力の影響を受ける状況を、図1の(C)には、操作検知手法の概要を、それぞれ示している。また、本操作検知手法を適用する操作装置としてオーディオ・ビジュアル機能付きナビゲーション装置を一例にあげて説明する。
【0013】
図1の(A)に示すように、感圧式タッチパネル装置は、ユーザによる操作位置を圧力センサを用いて検知するタッチパネル装置である。具体的には、感圧式タッチパネル装置は、操作面となる透明なパネルと、かかるパネルの背面の四隅に配置された圧力センサとを備え、各圧力センサの検出値の比率に基づいてユーザがパネルを押下した位置(すなわち、操作位置)を検知する。たとえば、感圧式タッチパネル装置は、パネルが長方形、圧力センサの検出値がいずれも同じ値である場合には、パネルの中央をユーザが押下したと検知する。
【0014】
なお、ここでは図示を省略しているが、圧力センサのさらに後方側にはLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部が配置されており、ユーザは、表示部によって表示された画像に応じてパネル上の所望の位置を押下することとなる。
【0015】
また、感圧式タッチパネルは、ユーザによる操作圧力を検知することもできる。たとえば、感圧式タッチパネルは、各圧力センサの検出値の合計値を操作圧力として検知する。これにより、操作圧力に応じて遷移先の画面を切り替えたり、輝度や音量等の調整量を異ならせたりすることも可能である。
【0016】
ところで、感圧式タッチパネルには、操作面であるパネルが傾斜している場合に、ユーザの操作を正確に検知することが困難であるという問題があった。これは、図1の(B)に示すように、パネルが傾斜している場合には、各圧力センサの検出値に対して重力のパネルに対する法線方向の成分が加わることで、検知される操作位置・操作圧力と実際の操作位置・操作圧力との間にズレが生じるおそれがあるためである。
【0017】
特に、感圧式タッチパネル装置がパネルの傾斜角を調整するチルト機能を備える場合には、かかるチルト機能によってパネルの傾斜角が変化する可能性がある。また、感圧式タッチパネルを車載用の操作装置として用いた場合には、車両の走行に伴ってパネルの傾斜角が変化する可能性もある。このような場合には、圧力センサに対する重力の影響も変化することとなり、操作位置・操作圧力のずれ方にムラが生じ、誤検知が助長されるおそれもある。
【0018】
このため、当該操作検知手法では、パネルの傾斜角を特定するとともに、特定した傾斜角に応じて各圧力センサの検出値を補正したうえで、補正後の検出値に基づいて操作位置および操作圧力を検知することとした。
【0019】
たとえば、図1の(C)に示すように、パネルの傾斜角が20°である場合には、各圧力センサの検出値から補正量z1を差し引き、かかる補正量z1を差し引いた後の検出値に基づいて操作位置および操作圧力を検知する。
【0020】
ここで、補正量z1は、パネルが20°傾いている場合に各圧力センサが受ける荷重に相当する。このような荷重を各圧力センサの検出値から差し引くことで、各圧力センサの検出値から重力の影響を除去することができ、パネルが傾斜していない場合と同様の検知結果を得ることができる。
【0021】
このように、当該操作検知手法では、パネルの傾斜角を特定し、特定したパネルの傾斜角に応じて圧力センサの検出値を補正し、補正後の圧力センサの検出値に基づいてパネルへの操作位置および操作圧力を検知することとした。このため、本願によれば、操作面が傾斜している場合であっても、ユーザの操作を正確に検知することができる。
【0022】
なお、当該操作検知手法では、感圧式タッチパネル装置がチルト機能を有する場合には、かかるチルト機能によって変化するパネルの角度(以下、「チルト角」と記載する)をパネルの傾斜角として特定してもよい。かかる点については、実施例1において後述する。
【0023】
また、感圧式タッチパネル装置の取付面自体が傾斜している場合もある。そこで、当該操作検知手法では、かかる取付面の傾斜角(以下、「取付角」と記載する)とチルト角とを用いてパネルの傾斜角を特定してもよい。かかる取付角は、既知であればその値を用いることとしてもよいし、ジャイロセンサ等を用いて決定することとしてもよい。かかる点については、実施例2において後述する。
【0024】
さらに、感圧式タッチパネル装置を車両へ搭載した場合には、車両自体が傾くことによってパネルの傾斜角が変化することとなる。そこで、本願に係る操作検知手法では、車両の傾斜角(以下、「車両角」と記載する)をさらに考慮してパネルの傾斜角を特定することとしてもよい。かかる点については、実施例3において後述する。
【0025】
以下では、当該操作検知手法を適用した操作装置について詳細に説明する。なお、以下の実施例では、ナビゲーション装置へ適用した場合の例について説明するが、本願に係る操作装置は、ナビゲーション装置以外にも適用可能である。
【0026】
まず、本実施例に係るナビゲーション装置の構成について図2を用いて説明する。図2は、本実施例に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。なお、図2では、ナビゲーション装置の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0027】
図2に示すように、ナビゲーション装置1は、パネル11と、圧力センサ12a〜12dと、LCD13と、表示駆動部14と、通信インタフェース15と、記憶部16と、パネル制御部17とを備える。また、記憶部16は、補正テーブル16aを記憶する。また、パネル制御部17は、フィルタ部17aと、検出値補正部17bと、演算部17cとを備える。
【0028】
また、ナビゲーション装置1は、パネル駆動部21と、チルト角センサ22と、地図DB(DataBase)23と、メモリ24と、通信インタフェース25と、GPS(Global Positioning System)受信機26と、本体側制御部27とを備える。
【0029】
パネル11は、ガラス等の透明な素材で形成された板状の部材である。かかるパネル11の正面が、ユーザの押圧操作を受け付ける操作面となる。また、パネル11の背面の四隅には、それぞれ圧力センサ12a〜12dが配置される。
【0030】
圧力センサ12a〜12dは、ユーザの押圧操作によってパネル11が受けた荷重を検出する検出器であり、例えば圧電素子により実現される。圧力センサ12a〜12dの検出値は、それぞれフィルタ部17aへ入力される。
【0031】
なお、圧力センサ12a〜12dの検出値には、ユーザの押圧操作によってパネル11が受けた荷重以外の荷重が含まれる場合がある。たとえば、パネル11が傾斜している場合、圧力センサ12a〜12dの検出値には、パネル11自体の荷重がパネル11の傾斜角に応じた割合で含まれることとなる。このような場合には、検知される操作位置・操作圧力と実際の操作位置・操作圧力との間にズレが生じるおそれがある。
【0032】
LCD13は、複数の画素をマトリクス状に有し、表示駆動部14からの制御信号に基づき、所定の光源から入射する光を画素ごとに変調することによって画像を表示する表示部である。表示駆動部14は、たとえばLCDドライバであり、パネル制御部17から画像データを取得し、取得した画像データに基づく画像をLCD13に対して表示させる。
【0033】
なお、図2に示すように、たとえばパネル11、圧力センサ12a〜12d、LCD13および表示駆動部14を含んでタッチパネル部が構成される。
【0034】
通信インタフェース15は、パネル制御部17がと本体側制御部27との間で通信データの送受信を行うための通信デバイスである。
【0035】
パネル駆動部21は、本体側制御部27からの指示に従ってタッチパネル部を駆動させる機構部でモータや各種ギヤ等により構成される。このように、ナビゲーション装置1は、パネル駆動部21を用いてタッチパネル部の傾斜角(チルト角)を変更することができる。
【0036】
ここで、ナビゲーション装置1のチルト機能について図3を用いて説明する。図3は、チルト機能の説明図である。図3に示すように、ナビゲーション装置1は、車両のフロントパネル(被取付部材)に形成された所定の収納空間内に設置される。パネル駆動部21は、本体側制御部27からの指示に従ってタッチパネル部のチルト角θ1を多段階に変更する。
【0037】
具体的には、パネル駆動部21は、一端面に歯が形成されたラック部101や、かかるラック部101と当接するとともに図示しないモータの回転に伴って回転するピニオンギア102等を備える。なお、タッチパネル部は、先端部においてナビゲーション装置1に形成されたガイド溝103に摺動可能に支持され、基端部においてラック部101によって支持されている。
【0038】
パネル駆動部21は、本体側制御部27からの指示に従って図示しないモータ(たとえばステッピングモータ)を所定角度だけ回転させる。これにより、モータの回転に伴ってピニオンギア102が回転し、さらに、かかるピニオンギア102の回転に伴ってラック部101が直線状に移動することで、タッチパネル部のチルト角θ1が変化する。
【0039】
たとえば、チルト角θ1が0°,20°,40°,60°の4段階で変更可能であるとする。また、チルト角θ1=0°のときをチルトレベル0、チルト角θ1=20°のときをチルトレベル1、チルト角θ1=40°のときをチルトレベル2、チルト角θ1=60°のときをチルトレベル3とする。
【0040】
ユーザは、チルト角θ1を変更する場合には、タッチパネル部あるいは図示しないハードスイッチを押下することで、チルトレベルを1段階ずつ変化させる。たとえば、ユーザは、チルト角θ1を0°から40°へ変更させたい場合には、タッチパネル部あるいは図示しないハードスイッチを2回押下する。
【0041】
また、本体側制御部27は、ユーザからチルトレベルの変更操作(押下操作)を受け付けるごとに、パネル駆動部21に対してタッチパネル部の駆動指示を出力する。
【0042】
そして、パネル駆動部21は、本体側制御部27から駆動指示を受け取るごとに、タッチパネル部を所定角度(ここでは、20°)だけ駆動させる。なお、かかる駆動指示には、タッチパネル部の駆動方向(チルト角θ1を増加させる方向あるいは減少させる方向)についての指示も含まれており、パネル駆動部21は、駆動指示に応じた方向へタッチパネル部を駆動させる。
【0043】
なお、チルト角θ1=60°のときにチルト角θ1を増大させる方向へ駆動させる駆動指示を受け付けた場合、あるいは、チルト角θ1=0°のときにチルト角θ1を減少させる方向へ駆動させる駆動指示を受け付けた場合、パネル駆動部21は、タッチパネル部の駆動を行わないものとする。
【0044】
また、パネル駆動部21は、タッチパネル部を駆動させた場合には、タッチパネル部の駆動方向を含む駆動実行通知をチルト角センサ22へ出力する。
【0045】
なお、図3に示したように、実施例1では、ナビゲーション装置1の取付面が重力方向と平行であるものとする。すなわち、チルト角θ1=0°の場合、圧力センサ12a〜12dは、重力の影響を受けないものとする。
【0046】
図2へ戻り、チルト角センサ22について説明する。チルト角センサ22は、パネル駆動部21から出力される駆動実行通知の出力履歴に従って現在のチルト角を検知する処理部である。
【0047】
たとえば、チルト角センサ22は、チルト角θ1=0°の状態から、チルト角θ1を増加させる方向へ駆動させたことを示す駆動実行通知を3回受け取ったとすると、現在のチルト角が60°であると特定する。
【0048】
また、チルト角θ1=60°の状態から、チルト角θ1を減少させる方向へ駆動させたことを示す駆動実行通知を2回受け取ったとすると、チルト角センサ22は、現在のチルト角が20°であると特定する。
【0049】
チルト角センサ22は、現在のチルト角を特定すると、特定したチルト角を本体側制御部27へ出力する。また、本体側制御部27は、かかるチルト角を通信インタフェース25経由でパネル制御部17の検出値補正部17bへ出力する。
【0050】
なお、チルト角センサ22は、これに限ったものではなく、たとえばピニオンギア102(あるいは図示しないモータの回転軸)の回転角を検知するポテンショメータ(図示せず)で構成されてもよいし、ロータリスイッチや光センサ等で構成されてもよい。
【0051】
また、ここでは、ユーザがチルトレベルを1段階ずつ変更していく場合の例について示したが、これに限ったものではなく、所望のチルトレベルを1回の操作で選択できるようにしてもよい。かかる場合、本体側制御部27は、チルト角センサ22からの通知を受けずとも、現在のチルトレベル(すなわち、チルト角θ1)を特定することができるため、チルト角センサ22が不要となる。
【0052】
記憶部16は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部であり、補正テーブル16aを記憶する。ここで、補正テーブル16aの内容について図4を用いて説明する。図4は、補正テーブル16aの一例を示す図である。
【0053】
図4に示すように、補正テーブル16aは、パネル11の傾斜角(実施例1では、チルト角θ1)ごとに、各圧力センサ12a〜12dの検出値の補正量を関連付けた補正情報である。たとえば図4に示した場合、チルト角θ1=20°には、各圧力センサ12a〜12dの検出値の補正量としてそれぞれz1〜z4が関連付けられている。また、チルト角θ1=40°には、圧力センサ12a〜12dの検出値の補正量としてそれぞれz5〜z8が関連付けられている。
【0054】
ここで、補正テーブル16aに格納される補正量は、パネル11が各傾斜角で傾いている状態で、各圧力センサ12a〜12dがユーザの操作なしに受ける荷重、すなわち、重力に起因する荷重である。
【0055】
かかる補正テーブル16aは、たとえば製品出荷前に作成することとしてもよい。具体的には、ナビゲーション装置1を重力方向と水平に設置し、かつ、ユーザの操作がない状態で、各チルト角θ1(=0°,20°,40°,60°)における各圧力センサ12a〜12dの検出値を実際に計測する。そして、計測によって得られた各検出値を補正量として、対応するチルト角θ1と関連付けることによって補正テーブル16aを作成する。
【0056】
なお、補正テーブル16aは、これに限らず、車両へ搭載されたナビゲーション装置1を最初に起動させたときに所定のキャリブレーション処理を実行して作成することとしてもよい。かかるキャリブレーション処理については、実施例2において後述する。
【0057】
なお、本実施例では、補正情報を補正テーブルを用いて補正値の形で記憶し補正処理に用いたが、補正情報を補正演算式として記憶し、当該演算式により補正処理を行うようにしてもよい。また、補正演算式で補正を行う場合、チルト角をパラメータとする演算式による補正方法が適応可能で、後述の実施例のように他に補正のためにパラメータがある場合は、チルト角に応じた演算式を記憶し、実際のチルト角に応じた演算式に対して他パラメータを適用した演算処理を行い補正する方法等が適用可能である。
【0058】
図2へ戻り、パネル制御部17について説明する。パネル制御部17は、フィルタ部17aと、検出値補正部17bと、演算部17cとを備える。
【0059】
フィルタ部17aは、圧力センサ12a〜12dから入力された検出値に含まれるノイズ成分を除去する処理部である。なお、ここで言うノイズ成分とは、たとえば、車両の振動等に起因する検出値の細かな乱れのことを指す。
【0060】
フィルタ部17aは、ノイズ除去後の検出値を検出値補正部17bへ出力する。なお、フィルタ部17aは、たとえば高周波成分を除去するLPF(Low Pass Filter)等で構成することができる。
【0061】
人の操作による圧力センサの出力信号の周波数帯が、自動車の振動成分による圧力センサの出力信号の周波数帯より低周波側に存在するため、人の操作による主要周波数帯域より高域の高周波成分を除去することにより自動車の振動によるノイズを効果的に除去できる。
【0062】
検出値補正部17bは、パネル11の傾斜角と記憶部16に記憶された補正テーブル16aとに基づき、タッチパネル部から受け取った各圧力センサ12a〜12dの検出値を補正する処理部である。実施例1において検出値補正部17bは、本体側制御部27経由でチルト角センサ22から通知されるチルト角θ1をパネル11の傾斜角として用いる。
【0063】
検出値補正部17bは、パネル11の傾斜角(チルト角θ1)に対応する補正量を補正テーブル16aに基づいて決定する。たとえば、検出値補正部17bは、パネル11の傾斜角が20°である場合、補正テーブル16aを参照し、各圧力センサ12a〜12dの検出値の補正量をそれぞれz1〜z4と決定する。
【0064】
つづいて、検出値補正部17bは、決定した補正量z1〜z4を、対応する圧力センサ12a〜12dの検出値からそれぞれ減算する。具体的には、検出値補正部17bは、圧力センサ12aの出力値から補正量z1を減算し、圧力センサ12bの出力値から補正量z2を減算し、圧力センサ12cの出力値から補正量z3を減算し、圧力センサ12dの出力値から補正量z4を減算する。
【0065】
そして、検出値補正部17bは、補正量を減算した後の検出値を補正後の検出値として演算部17cへ出力する。これにより、演算部17cは、検出値補正部17bによって補正された各圧力センサ12a〜12dの検出値に基づいて操作位置の座標および操作圧力を演算することとなる。
【0066】
なお、補正テーブル16aは、全てのチルト角θ1についての補正量を関連付けている必要はない。たとえば、補正テーブル16aは、チルト角θ1=20°および60°についての補正量のみを関連付けるものであってもよい。かかる場合、検出値補正部17bは、たとえばチルト角θ1=40°についての補正量を、チルト角θ1=20°および60°についての補正量を用いた補間処理(例えば、線形補間)により算出すればよい。
【0067】
演算部17cは、各圧力センサ12a〜12dの補正後の検出値に基づいてパネル11への操作位置および操作圧力を決定する処理部である。具体的には、演算部17cは、検出値補正部17bから出力される各圧力センサ12a〜12dの補正後の検出値に基づいて操作位置の座標および操作圧力を演算する処理部である。
【0068】
たとえば、演算部17cは、圧力センサ12a〜12dの補正後の検出値の比率に基づいて操作位置の座標を割り出す。また、演算部17cは、圧力センサ12a〜12dの補正後の検出値の合計値を操作圧力として割り出す。なお、操作位置の座標および操作圧力の演算方法については、いずれの公知技術を用いても構わない。
【0069】
なお、パネル制御部17は、演算部17cによって演算された座標および圧力をそれぞれ操作位置および操作圧力として本体側制御部27へ通知する。これにより、本体側制御部27では、パネル制御部17から取得した操作位置や操作圧力に基づいて、ユーザの操作に対応した動作を実行することとなる。
【0070】
地図DB23は、道路データや施設データなどからなるナビゲーション用の地図情報である。なお、かかる地図DB23は、各地点における高度情報を含んでいるが、かかる点については、実施例3において後述する。
【0071】
メモリ24は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。通信インタフェース25は、本体側制御部27がパネル制御部17との間で通信データの送受信を行うための通信デバイスである。GPS受信機26は、人工衛星等から自車両の位置情報を取得し、取得した位置情報を本体側制御部27へ出力する。
【0072】
本体側制御部27は、パネル制御部17から通信インタフェース25経由で取得した操作位置や操作圧力に基づき、ユーザの操作に対応した動作を実行する。たとえば、本体側制御部27は、パネル制御部17から取得した操作位置や操作圧力に基づき、パネル駆動部21を駆動させることによってタッチパネル部のチルト角θ1を変更する。
【0073】
次に、ナビゲーション装置1が実行する操作検知処理の処理手順について図5を用いて説明する。図5は、操作検知処理の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、パネル11に対する押圧操作が行われた時に実行される。
【0074】
なお、この処理は、パネル制御部17を構成するマイクロコンピュータが記憶装置(図示せず)に記憶されたプログラムに基づき実行することにより行われるが、パネル制御部17の各機能との関係を分かりやすくするため、必要に応じて各機能部が実行する旨の表現(注記)を用いて、説明する。他のフローチャートの説明においても同様である。
【0075】
図5に示すように、ナビゲーション装置1では、パネル制御部17(検出値補正部17b)が、パネル11の傾斜角を取得する(ステップS101)。実施例1では、本体側制御部27経由でチルト角センサ22から通知されるチルト角θ1をパネル11の傾斜角として取得する。
【0076】
つづいて、パネル制御部17(検出値補正部17b)は、フィルタ部17aを介して出力された各圧力センサ12a〜12dの検出値を取得すると(ステップS102)、パネル11の傾斜角に対応する補正量を補正テーブル16aから取得し(ステップS103)、取得した補正量を対応する圧力センサ12a〜12dの検出値から減算する(ステップS104)。
【0077】
つづいて、ナビゲーション装置1では、パネル制御部17(演算部17c)が、補正後の各検出値に基づいて操作位置の座標および操作圧力を演算する(ステップS105)。そして、ナビゲーション装置1では、パネル制御部17が、演算結果を通信インタフェース15経由で本体側制御部27へ出力し(ステップS106)、処理を終了する。
【0078】
上述してきたように、実施例1では、検出値補正部17bが、パネル11の傾斜角(チルト角θ1)に応じて圧力センサ12a〜12dの検出値を補正することとした。このため、操作面が傾斜している場合であっても、ユーザの操作を正確に検知することができる。
【0079】
また、実施例1では、パネル駆動部21によって変更されたタッチパネル部のチルト角θ1をパネル11の傾斜角として特定することとした。このため、チルト角θ1の変更によってパネル11の傾斜角が変化した場合であっても、重力の影響による操作位置および操作圧力の誤検知を防止することができる。
【0080】
また、実施例1では、記憶部16が、パネル11の傾斜角ごとに、圧力センサ12a〜12dの検出値の補正量を関連付けた補正テーブル16aを記憶し、検出値補正部17bが、パネル11の傾斜角(チルト角θ1)に対応する補正量を補正テーブル16aに基づいて決定し、決定した補正量および各圧力センサ12a〜12dの検出値を用いて圧力センサ12a〜12dの検出値を補正することとした。
【0081】
このため、パネル11の傾斜に応じて各圧力センサ12a〜12dが受ける重力の影響を各圧力センサ12a〜12dの検出値から除去することができ、パネル11が傾斜していない場合と同様の検知結果を得ることができる。
【実施例2】
【0082】
ところで、上述してきた実施例1では、タッチパネル部のチルト角θ1をパネル11の傾斜角として用いることとした。しかし、フロントパネル自体が傾斜している場合、ナビゲーション装置は傾いた状態で設置されることとなる。かかる場合、チルト角θ1だけでは、パネル11の傾斜角を正確に特定することが困難である。図6は、ナビゲーション装置の取付面が傾いている状況を示す図である。なお、図6において車両は水平状態であるものとする。
【0083】
図6に示すように、たとえばフロントパネルにおけるナビゲーション装置1aの取付面が重力方向に対して角度θ2だけ傾いているとする。かかる場合、ナビゲーション装置1aは、角度θ2だけ傾いた状態で車両に設置されることとなる。この結果、チルト角θ1に対して取付面の傾斜角θ2を加えた角度が、実際のパネル11の傾斜角となる。
【0084】
そこで、実施例2では、チルト角θ1および取付面の傾斜角θ2の合計値をパネル11の傾斜角として用いることとした。なお、以下では、車両が水平状態である場合における取付面の傾斜角θ2(重力方向に対する角度)を取付角θ2と呼ぶこととする。また、実施例2では、車両は水平状態であるものとする。
【0085】
まず、実施例2に係る傾斜角特定処理の処理手順について図7を用いて説明する。図7は、実施例2に係る傾斜角特定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0086】
図7に示すように、パネル制御部17(検出値補正部17b)は、チルト角センサ22からチルト角θ1を取得するとともに(ステップS201)、所定の記憶部(たとえば、記憶部16)に記憶された取付角θ2を取得する(ステップS202)。
【0087】
そして、パネル制御部17(検出値補正部17b)は、チルト角θ1および取付角θ2の合計値をパネル11の傾斜角として特定して(ステップS203)、処理を終了する。
【0088】
ここで、取付角θ2は、製品取付後に計測して記憶部16等に記憶させてもよい。たとえば、ナビゲーション装置1aは、自装置に内蔵されたジャイロセンサを用いて取付角θ2を特定することができる。
【0089】
以下、かかる場合における取付角決定処理の処理手順について図8を用いて説明する。図8は、取付角決定処理の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、装置動作中に繰り返し行われる。
【0090】
図8に示すように、ナビゲーション装置1aでは、パネル制御部17が、車両が駐車状態であるか否かを判定し(ステップS301)、駐車状態でなければ(ステップS301,No)、処理を終える。そして、車両が駐車状態であると判定すると(ステップS301,Yes)、パネル制御部17は、ジャイロセンサの検出値を取得する(ステップS302)。このように、パネル制御部17は、駐車状態におけるナビゲーション装置1aの傾斜角度を取得する。
【0091】
なお、ステップS301の判定処理は、たとえば、シフトレバーやサイドブレーキの位置、シートベルト装着の有無、あるいは、ナビゲーション装置に組み込まれた車速センサ等の検出結果に基づいて行うことができる。
【0092】
つづいて、パネル制御部17は、駐車状態におけるナビゲーション装置の傾斜角度を所定回数(たとえば、10回)取得したか否かを判定し(ステップS303)、所定回数取得していなければ(ステップS303,No)、ステップS301〜S303の処理を繰り返す。
【0093】
そして、パネル制御部17は、駐車状態におけるナビゲーション装置の傾斜角度を所定回数取得したと判定した場合(ステップS303,Yes)、取得した検出値に基づいて取付角θ2を決定する(ステップS304)。たとえば、パネル制御部17は、取得した検出値の平均値を取付角θ2として決定する。
【0094】
このように、車両が水平な状態である場合が多い駐車状態においてジャイロセンサの検出値を取得し、複数回分の検出値を平均することによって、重力方向に対するナビゲーション装置の傾斜角、すなわち、取付角θ2を決定することができる。パネル制御部17は、決定した取付角θ2を所定の記憶部(たとえば、記憶部16)に記憶して(ステップS305)、処理を終了する。
【0095】
なお、ナビゲーション装置1は、製品出荷前から記憶部16等にあらかじめ記憶させておくこととしてもよい。たとえば、ナビゲーション装置1は、車種ごとに異なる取付角θ2の設計値を複数記憶しておき、ユーザに対して自車両の車種を選択させることによって、取付角θ2を特定することができる。
【0096】
上述してきたように、実施例2では、被取付部材への取付角θ2を記憶部16等の取付角度記憶手段に記憶し、検出値補正部17bが、取付角度記憶手段に記憶された取付角θ2に基づき圧力センサ12a〜12dの検出値を補正することとした。したがって、ナビゲーション装置1aが傾斜して取り付けられた場合であっても、パネル11の傾斜角を正確に特定することができる。
【0097】
なお、検出値補正部17bは、実施例1と同様、パネル11の傾斜角と、記憶部16に記憶された補正テーブル16aとを用いて各圧力センサ12a〜12dの検出値を補正する。
【0098】
このとき、パネル11の傾斜角は、チルト角θ1と取付角θ2との合計値であるため、対応する角度が補正テーブル16aに存在しない場合が多いが、このような場合には、パネル11の傾斜角(チルト角θ1と取付角θ2との合計値)に対応する補正量を補間により算出すればよい。
【0099】
また、取付角θ2に応じた補正テーブルを記憶しておき、特定された取付角θ2に対応した補正テーブルを実際の補正に用いる補正テーブル16aとして設定する方法でも、同様の機能を実現することができる。
【0100】
ところで、これまでは、補正テーブル16aがあらかじめ記憶されているものとして説明してきたが、ナビゲーション装置1は、車両へ搭載された状態で所定のキャリブレーション処理を実行することによって補正テーブルを作成することとしてもよい。
【0101】
以下では、かかるキャリブレーション処理について図9を用いて説明する。図9は、キャリブレーション処理の動作例を示す図である。
【0102】
図9に示すように、ナビゲーション装置1は、たとえば車両搭載後の初回起動時において所定のキャリブレーション処理を実行する。具体的には、パネル制御部17は、チルトレベルを0から1つずつ上げていき、各チルトレベルにおいて圧力センサ12a〜12dから取得した検出値(非押圧操作状態での検出値)を補正量として記憶する。
【0103】
たとえば、チルトレベルがレベル0(すなわち、チルト角θ1=0°)の状態において、パネル制御部17は、各圧力センサ12a〜12dの検出値z10〜z13を取得し、取得した検出値z10〜z13を、補正テーブル16a’の「θ2」に対応するカラムへそれぞれ格納する(図9の(1)参照)。
【0104】
ここで、パネル11は、チルトレベルがレベル0(すなわち、チルト角θ1=0°)である場合には、取付角θ2だけ傾斜していることとなる。このため、かかる状態において各圧力センサ12a〜12dから取得される検出値は、パネル11の傾斜角がθ2である場合に各圧力センサ12a〜12dが重力の影響によって受ける荷重に相当する。
【0105】
つづいて、パネル制御部17は、パネル駆動部21へチルトレベルを1つ上げるように指示する。そして、パネル駆動部21によってチルトレベルがレベル1(すなわち、チルト角θ1=20°)へ変更されると、パネル制御部17は、各圧力センサ12a〜12dから取得した検出値z14〜z17を、補正テーブル16a’のθ2+20°に対応するカラムへそれぞれ格納する(図9の(2)参照)。
【0106】
ここで、パネル11は、チルトレベルがレベル1(すなわち、チルト角θ1=20°)である場合には、θ2+20°だけ傾斜することとなる。このため、補正テーブル16a’のレベル1に対応するカラムへ格納される補正量は、パネル11の傾斜角がθ2+20°である場合に各圧力センサ12a〜12dが重力の影響によって受ける荷重に相当する。
【0107】
そして、パネル制御部17は、レベル2およびレベル3についても同様の処理を繰り返すことによって補正テーブル16a’を完成させる。
【0108】
このように、パネル制御部17は、ナビゲーション装置1aを車両へ搭載した状態でキャリブレーション処理を実行してもよい。具体的には、各圧力センサ12a〜12dの検出値をパネル11の傾斜角(ここでは、チルト角θ1+取付角θ2)ごとに取得し、取得した検出値を補正量としてパネル11の傾斜角と関連付けることによって補正テーブル16a’を生成してもよい。このようにすれば、チルト角θ1だけでなく取付角θ2も考慮された補正情報をあらかじめ記憶しておくことが可能となる。
【0109】
なお、かかるキャリブレーション処理は、図8を用いて説明した取付角決定手段と同様に、車両が駐車状態であると判定された場合に実行することとすればよい。また、ここでは、全てのチルトレベルについて、圧力センサ12a〜12dの検出値を取得することとしたが、これに限ったものではなく、たとえば、チルトレベル0および3の場合についてのみ圧力センサ12a〜12dの検出値を取得し、残りのチルトレベルについての補正量は補間(例えば線形補間)により適宜求めることとしてもよい。
【実施例3】
【0110】
ところで、ナビゲーション装置は、車両に搭載されるため、車両の走行によってもパネル11の傾斜角が変化することとなる。図10は、ナビゲーション装置を搭載した車両が傾いている状況を示す図である。
【0111】
図10に示すように、たとえば車両が水平面に対して角度θ3だけ傾斜した路面を走行しているものとする。かかる場合、チルト角θ1および取付角θ2の合計値に対してさらに角度θ3を加えた角度が、パネル11の実際の傾斜角となる。
【0112】
そこで、実施例3では、かかる車両の傾斜角θ3をさらに考慮してパネル11の傾斜角を特定する場合の例について説明する。以下では、水平面に対する車両の傾斜角θ3を車両角θ3と呼ぶこととする。なお、水平面とは、重力方向に対して垂直な面のことを指す。
【0113】
まず、実施例3に係るナビゲーション装置の構成について図11を用いて説明する。図11は、実施例3に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【0114】
図11に示すように、ナビゲーション装置1bは、ジャイロセンサ28と、車速センサ29をさらに備える。また、本体側制御部27’は、車両角決定部27aと、加速度検出部27bとを備える。
【0115】
ジャイロセンサ28は、ナビゲーション装置1bの水平面に対する傾斜角を検出するセンサである。かかるジャイロセンサ28の検出値は、車両角決定部27aへ出力される。なお、ジャイロセンサ28に代えて重力センサ(自由支持された錘の傾きを検出するセンサ等)により、ナビゲーション装置1bの水平面に対する傾斜角を検出するようにしてもよい。
【0116】
車速センサ29は、車両の速度(以下、「車速」と記載する)を検出するセンサである。かかる車速センサ29の検出値は、加速度検出部27bへ出力される。
【0117】
車両角決定部27aは、車両角θ3を決定する処理部である。ここで、車両角決定処理の動作例について図12を用いて説明する。図12は、車両角決定処理の動作例を示す図である。
【0118】
図12に示すように、車両角決定部27aは、たとえば、GPS受信機26から取得した位置情報および地図DB23に基づいて路面の傾斜角を算出し、算出した傾斜角を車両角θ3として決定することができる。
【0119】
具体的には、車両角決定部27aは、GPS受信機26から取得した位置情報を用いて車両の現在位置および進行方向を特定する。なお、本体側制御部27’は、車両位置の変化方向から車両の進行方向を特定することができる。
【0120】
また、車両角決定部27aは、車両の現在位置よりも前方のある地点における高度h1[m]と、車両の現在位置よりも後方のある地点における高度h2[m]と、これら2地点間の距離x[m]とを地図DB23から特定する。そして、車両角決定部27aは、これらの数値h1,h2,xを用いた三角関数によって路面の傾斜角を算出し、算出した傾斜角を車両角θ3として決定する。
【0121】
車両角決定部27aによって決定された車両角θ3は、通信インタフェース25を介してパネル制御部17へ出力される。この結果、パネル制御部17では、検出値補正部17bが、チルト角θ1、取付角θ2および車両角θ3の合計値をパネル11の傾斜角として特定し、特定した傾斜角に基づいて各圧力センサ12a〜12dの検出値を補正することとなる。なお、検出値補正部17bは、チルト角θ1および車両角θ3の合計値をパネル11の傾斜角として特定してもよい。
【0122】
このように、GPS受信機26から取得した位置情報および地図DB23に含まれる高度情報に基づいて算出した路面の傾斜角を車両角θ3として決定することとすれば、ジャイロセンサ28のような計測機器を用いずとも車両角θ3を決定することができる。
【0123】
なお、車両角決定部27aは、ジャイロセンサ28の検出値を用いて車両角を決定することもできる。かかる場合、車両角決定部27aは、ジャイロセンサ28の検出値(すなわち、現在のナビゲーション装置1bの傾斜角)から取付角θ2(すなわち、ナビゲーション装置1bの元々の傾斜角)を差し引くことによって車両角θ3を決定すればよい。
【0124】
加速度検出部27bは、車速センサ29の検出値である車速に基づいて車両の加速度を検出し、検出した加速度をパネル制御部17へ出力する処理部である。なお、ナビゲーション装置1bが加速度センサを備える場合には、加速度センサの検出値をパネル制御部17へ出力することとしてもよい。かかる場合、ナビゲーション装置1bは、車速センサ29および加速度検出部27bを備えなくともよい。
【0125】
ここで、パネル制御部17は、本体側制御部27’から出力された加速度の情報を用いて、各圧力センサ12a〜12dの検出値から減算する補正量を変更することができる。以下では、かかる場合について図13を用いて説明する。図13は、タッチパネル部が慣性力を受ける状況の一例を示す図である。
【0126】
図13に示すように、車両の走行中においては、車両の加速あるいは減速に起因する慣性力がタッチパネル部に対して働く場合がある。たとえば、時速30kmで走行中の車両が急停車した場合、タッチパネル部には、パネル11を押下する方向に慣性力が働くこととなる。
【0127】
かかる場合には、各圧力センサ12a〜12dが、かかる慣性力のうちパネル11に対する法線方向の成分に応じた荷重を検知してしまい、操作位置および操作圧力の誤検知が生じるおそれがある。
【0128】
そこで、検出値補正部17bは、各圧力センサ12a〜12dの検出値を補正する場合に、これら圧力センサ12a〜12dの検出値の補正量を、車両の加速度に応じて変更することとしてもよい。かかる補正量変更処理の処理手順について図14を用いて説明する。図14は、補正量変更処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0129】
図14に示すように、検出値補正部17bは、本体側制御部27’から車両の加速度を取得する(ステップS401)。また、検出値補正部17bは、取得した加速度およびパネル11の傾斜角に基づいて補正量の変動量を算出する(ステップS402)。
【0130】
たとえば、パネル11の傾斜角および加速度の組合せと補正量の変動量とを関連付けたテーブルを圧力センサ12a〜12dごとにあらかじめ記憶しておく。そして、検出値補正部17bは、かかるテーブルを用いて、本体側制御部27’から取得した加速度と、パネル11の傾斜角との組合せに対応する補正量の変動量を圧力センサ12a〜12dごとに取得する。
【0131】
そして、検出値補正部17bは、算出した変動量を用いて補正量を変更する(ステップS403)。
【0132】
このように、検出値補正部17bは、車速センサ29および加速度検出部27bによって検出された車両の加速度に基づいて、各圧力センサ12a〜12dの検出値の補正量を変更するようにしてもよい。これにより、車両の加速・減速によって生じる慣性力の影響を排除することができ、操作位置および操作圧力の誤検知をより確実に防止することができる。
【0133】
上述してきたように、実施例3では、検出値補正部17bが、車両角θ3をさらに用いてパネル11の傾斜角を特定することとしたため、車両の走行等により車両自体が傾いた場合であっても、パネル11の傾斜角を正確に特定することができる。
【0134】
以上、本願に係る操作装置の実施例のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0135】
たとえば、上述してきた各実施例では、タッチパネル部のチルト角を調整可能なナビゲーション装置の例に挙げて説明したが、これに限ったものではなく、チルト角が固定のナビゲーション装置に対しても適用することができる。
【0136】
かかる場合、検出値補正部は、取付角θ2または車両角θ3あるいはこれらの合計値θ2+θ3をパネル11の傾斜角として特定し、特定した傾斜角に応じて各圧力センサ12a〜12dの検出値を補正することとなる。
【0137】
なお、かかる場合、補正テーブルは、1つの傾斜角に対して各圧力センサ12a〜12dの補正量を対応付けたものとなる。また、検出値補正部は、チルト角センサからチルト角θ1を取得する必要がなく、補正テーブルのみを用いて各圧力センサ12a〜12dの検出値を補正する。また、図9を用いて説明したキャリブレーションについても1つの傾斜角についてのみ行われることとなる。
【0138】
また、上述した実施例では、車両へ搭載されたナビゲーション装置を最初に起動させたときにキャリブレーション処理を実行して補正テーブルを作成することとした。しかし、キャリブレーション処理の実行タイミングは、これに限ったものではなく、たとえば、ユーザの操作誤りの頻度が所定の閾値を超えた場合に、キャリブレーション処理を実行することとしてもよい。
【0139】
なお、ナビゲーション装置は、たとえば、ユーザによる全入力操作に対する所定の操作(たとえば、入力取り消し操作など)の割合をユーザの操作誤りの頻度として検出することができる。
【0140】
また、各圧力センサの出力を常時監視(後述の処理が適切に行える比較的短時間の所定時間間隔で監視)し、操作直前の各圧力センサの検出値で押圧操作時の検出値を補正する方法、例えば押圧操作時の各圧力センサの検出値からその操作直前の各圧力センサの検出値を減算して、押圧操作時の各圧力センサの補正後検出値とする方法等を適用することも可能である。
【0141】
つまり、操作時の検出値における操作直前の検出値との差が本来の検出値であると言う考えから、操作直前の検出値を補正情報として用いるもので、操作直前の検出値を用いた演算処理(両検出値の差に限らず、実験等により適切な演算式を導出すれば良い。また、テーブルを用いた方法により選択処理により導出する方法も可能である。)により適切な補正値を導出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
以上のように、本願に係る操作装置は、操作面が傾斜している場合であっても、ユーザの操作を正確に検知したい場合に有効であり、特に、ナビゲーション装置への適用が考えられる。
【符号の説明】
【0143】
1,1b,1c ナビゲーション装置
11 パネル
12a〜12d 圧力センサ
13 LCD
14 表示駆動部
15 通信インタフェース
16 記憶部
16a 補正テーブル
17 パネル制御部
17a フィルタ部
17b 検出値補正部
17c 演算部
21 パネル駆動部
22 チルト角センサ
23 地図DB
24 メモリ
25 通信インタフェース
26 GPS受信機
27,27’ 本体側制御部
27a 車両角決定部
27b 加速度検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルの近傍に配置された複数の圧力センサの検出値に基づいて前記パネルでの操作内容を決定する操作装置であって、
前記パネルの傾斜角に応じて前記圧力センサの検出値を補正する補正手段を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記補正手段により補正された前記複数の圧力センサの検出値に基づき前記パネルへの操作位置を決定する操作位置決定手段を備えることを特徴とする請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
前記補正手段により補正された前記複数の圧力センサの検出値に基づき前記パネルへの操作圧力を決定する操作圧力決定手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の操作装置。
【請求項4】
前記パネルのチルト角を変更するチルト角変更手段と、
前記パネルのチルト角を検出するチルト角検出手段と、
をさらに備え、
前記補正手段は、前記チルト角検出手段により検出されたチルト角に基づき前記圧力センサの検出値を補正することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の操作装置。
【請求項5】
被取付部材への取付角度を記憶する取付角度記憶手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記取付角度記憶手段に記憶された取付角度に基づき前記圧力センサの検出値を補正することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の操作装置。
【請求項6】
搭載される車両における、重力方向に対して垂直な水平面に対する傾斜角度である車両角を検出する車両角検出手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記車両角検出手段により検出された車両角に基づき前記圧力センサの検出値を補正することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一つに記載の操作装置。
【請求項7】
非操作状態における前記パネルの所定傾斜角における前記圧力センサの検出値を補正情報として記憶する補正情報記憶手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記補正情報記憶手段に記憶された補正情報に基づき前記圧力センサの検出値を補正することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載の操作装置。
【請求項8】
前記パネルの傾斜角を変更する傾斜角変更手段を備え、
前記補正情報記憶手段は、前記傾斜角変更手段により変更される前記パネルの複数の所定傾斜角における前記圧力センサの検出値を、傾斜角度に対応付けて補正情報として記憶し、
前記補正手段は、パネルの傾斜角度に応じた前記補正情報記憶手段に記憶された補正情報に基づき前記圧力センサの検出値を補正することを特徴とする請求項7記載の操作装置。
【請求項9】
加速度を検出する加速度検出手段と、
前記加速度検出手段によって検出された加速度に基づいて前記圧力センサの検出値を補正する加速度補正手段と
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一つに記載の操作装置。
【請求項10】
前記補正手段は、操作直前の圧力センサの検出値に基づいて操作時の圧力センサの検出値を補正することを特徴とする請求項1記載の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−221310(P2012−221310A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87650(P2011−87650)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】