説明

支柱装置

【課題】 ビニールハウスのシート等から筒体内に結露水等の水が浸入するのを防止できるビニールハウスの骨組み等の使用に適する支柱装置を提供する。
【解決手段】 中空な支柱本体1と、支柱本体1内にスライド自在に挿入した継手2と、支柱本体1の外周と継手2の外周とを包囲しながら支柱本体1の端部開口端1aを封じるキャップ3とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構築物、特に、ビニールハウスの骨組みとして利用し、ビニールハウスの妻面側に起立してシートの定着に利用し、あるいは、ビニールハウスのドアー枠に使用するのに適する支柱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、植物の育成や栽培に使用されるビニールハウスの屋根面あるいは側面は、地上に起立する多数のアーチパイプ間に開口部巾狭の蟻溝フレームを水平に架設し、この蟻溝フレームに弾性な係止線条を介して透明シートを展張して構成している。
【0003】
同じく、このビニールハウスの妻面側には上記アーチパイプに支柱の上端を結合し、この支柱の下端部を地中に差込んで起立させ、この支柱を利用してドアー用フレームを結合したり又はシート定着用の蟻溝フレームを結合している。
【0004】
上記の妻面側支柱は、アーチパイプと地中間に直接起立しても良いが、例えば、特許文献1に示すように、支柱自体を正面側に蟻溝を備えた長尺な中空筒体と、中空筒体の上端部にスライド自在に挿入した継手と、継手の上端に結合した取付け具とで構成し、上記中空筒体の下端部を地中に差込み、上記取付け具をアーチパイプに結合するとしても良い。
【特許文献1】特開平11‐243790号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のビニールハウス用支柱装置は、機能上の欠陥がある訳ではないが、次のような不具合の改善が望まれている。
【0006】
即ち、支柱を構成する筒体が中空であり、この筒体下端部を地中内に差込むことにより、シートに結露した結露水がこのシートと、シートを定着する蟻溝フレームと、アーチパイプとを伝わって筒体の上端開口部に流れ込み、更に筒体の中空部を介して流下して地中に浸入し、あるいは、筒体の下端部内に残留する。
【0007】
この為、長期間の使用中にこの結露水が地中に多量にしみこんで筒体の基礎を弛ませ、支柱の起立状態を不安定にする。
【0008】
また、しみこんだ地中の結露水が冬季には凍りついて筒体の基礎を不安定にする。
【0009】
同様に、筒体の下部に結露水が残留している場合には、これが凍って膨張し、筒体の下端部を破損させる恐れもある。
【0010】
更に、結露水がしみこんだ周辺の土壌がじめじめし、カビや病原菌の発生を誘発して植物の根腐れ起こさせ、作業者に対しても不快感を与え、足場がじめじめして歩行や作業を悪くする。
【0011】
そこで、本発明の目的は、ビニールハウスのシート等から筒体内に結露水等の水が浸入するのを防止できるビニールハウスの骨組み等の使用に適する支柱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明の一つの手段は、中空な支柱本体と、支柱本体内にスライド自在に挿入した継手と、支柱本体の外周と継手の外周とを包囲しながら支柱本体の端部開口端を封じるキャップとからなるものである。
【0013】
同じく、他の手段は、ビニールハウスの骨組み用アーチパイプに上端部を結合すると共に下端部を地中に差込んで起立する支柱装置において、地中に起立する中空な支柱本体と、下部を支柱本体内にスライド自在に挿入し上部を上記アーチパイプに結合するた継手と、支柱本体の外周と継手の外周とを包囲しながら支柱本体の上端開口端を封じるキャップとからなるものである。
【0014】
これらの場合、支柱本体が長尺な筒体と、筒体の正面側に長手方向に沿って形成した開口部巾狭の蟻溝フレームとからなり、継手が断面コ字状の継手本体と、継手本体の端部に一体に連設した取付け片と、継手本体の外面に突設して支柱本体の端部に対向するストッパとで構成され、キャップが支柱本体の外周に当接する環状の支持板部と、支持板部の上端部に一体に結合して上記筒体の端部と上記蟻溝フレームの端部とに係止される蓋体と、蓋体に形成されて上記継手本体を差込む切り欠きスリットとで構成されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
各請求項の発明によれば、支柱本体の外周と継手の外周とを包囲しながら支柱本体の端部開口端を封じるキャップを備えているから、このキャップが筒体内に外部の水、あるいは、ビニールハウスのシートから発生して流れ込む結露水の浸入を防止できる。
【0016】
その結果、例えば、筒体の下端部を地中に差込んでおいても、この地中や筒体の下部内に水や結露水浸入し又は残留するのが防止される。
【0017】
その結果、例えば、筒体を差込んだ基礎がじめじめせず、筒体を安定して長期間起立でき、結露水が凍りつくのを防止でき、じめじめした地中に起因するカビや病原菌の発生を防止できる。
【0018】
更に、支柱本体の端部にキャップを設けているから、支柱本体の端部エッジに他の周辺の部材が引っかかるのを防止できる。例えば、支柱装置をビニールハウスの骨組に使用した場合、屋根面や妻面に展張したシートが引っかかって破断するのを防止できる。
【0019】
請求項3の発明によれば、キャップが継手本体を差込む切り欠きスリットを備えているので、キャップを筒体の上端部に取り付けた状態で後から継手をこのスリットを介して筒体に挿入することが出来、又は筒体に予め継手を差込んだ状態で、後から継手にスリットを差込んで筒体の端部までキャップをスライドさせて取り付けることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明するが、本発明の支柱装置は、地中に起立するビニールハウスの骨組み用支柱、垣根支柱、塀の支柱、その他同様の構築物に使用されるのに適するものである。
【0021】
即ち、本発明の支柱装置Aの基本構造は、中空な支柱本体1と、支柱本体1内にスライド自在に挿入した継手2と、支柱本体1の外周と継手2の外周とを包囲しながら支柱本体1の端部開口端1aを封じるキャップ3とからなるものである。
【0022】
図1乃至図4は、ビニールハウスBの妻面側に起立する支柱装置の実施の形態を示すものである。
【0023】
これは、ビニールハウスAの骨組み用アーチパイプPに上端部を結合すると共に下端部を地中に差込んで起立する支柱装置であって、地中Gに起立する中空な支柱本体1と、下部を支柱本体1内にスライド自在に挿入し上部を上記アーチパイプPに結合するた継手2と、支柱本体1の外周と継手2の外周とを包囲しながら支柱本体1の上端開口端1aを封じるキャップ3とからなるものである。
【0024】
この支柱装置Aは、継手2を直接アーチパイプPに結合しても良いが、継手2の上端にパイプジョインントJを介して結合しても良い。
【0025】
支柱本体1は、長尺なやや四角柱状の中空な筒体4と、筒体4の正面側に長手方向に沿って形成した開口部巾狭の蟻フレーム5とからなっている。
【0026】
継手2は、断面コ字状の継手本体6と、継手本体6の端部に一体に連設されて上記パイプジョイントJに孔8とボルト11を介して取り付けられる取付け片7と、継手本体6の外面に突設して支柱本体1の端部の対向するストッパ10とで構成されている。
【0027】
キャップ3は、支柱本体1の外周に当接する環状の支持板部3Aと、支持板部3Aの上端部に一体に結合して上記筒体4の端部と上記蟻溝フレーム5の端部とに係止される蓋体3Bと、蓋体3Bに形成されて上記継手本体6を差込む切り欠きスリット3Cとで構成されている。
【0028】
支柱本体1は、プレス加工、ロールフォーミング加工、引き抜き加工等で成形される。
【0029】
プレス加工又はロールフォーミング加工で成形される場合は、先ず金属板母材を折り曲げて蟻溝フレーム5を成形し、次いで筒体4を折り曲げ加工し、最後に板の両端部を重ねて締付け加工する。
【0030】
この締付け加工で成形された部分は、板を重ねた分盛り上がって補強部4Cを構成する。
【0031】
蟻溝フレーム5は、水平な底壁5dと、底壁5dの両側に内側に向けて起立する一対の爪状フック5a、5bと、底壁5dとフック5a、5bとの間に形成されている蟻溝5cとで構成されている。
【0032】
この蟻溝フレーム5は、支柱本体1をビニールハウスの妻面に起立した時、妻面側に展張されるシートの定着用に利用される。
【0033】
継手2は、ストッパ10を備えており、この継手2を打ち込んで支柱本体1内に強制的に差込んだ時、継手2が全部差込まれてしまうのを防止している。
【0034】
即ち、継手2を打ち込んだ時このストッパ10が支柱本体1の開口端部1aに当接して侵入しすぎるのを防止する。
【0035】
この実施の形態では、継手2は、支柱本体1をアーチパイプPに接続するのに利用しているが、支柱本体1を横方向に連結する継手としても利用できる。
【0036】
例えば、支柱本体1は、ビニールハウスBの骨組みとして使用したり、骨組みを兼ねたシート定着部材として使用したりする場合があり、この場合は、ビニールハウスBの長さ,高さに応じて支柱本体1を複数長手方向に接続する。
【0037】
即ち、継手2の中間部外周側面には一対の係止突起9,9を外側に張出して形成しておき、そして、相対向する一対の支柱本体1、1を継手2の両側から挿入し、それぞれ係止突起9,9の位置まで差込んで二つに支柱本体1,1同士を接続させる。
【0038】
係止突起9,9は、各支柱本体1の開口端部1aに当接して位置決めされる。
【0039】
キャップ3は、環状の支持板部3Aを備えているが、この支持板部3Aの正面側には上記蟻溝フレーム5のフック5a,5bに対応して傾斜部3Dを形成している。
【0040】
蓋体3Bは、蟻溝フレーム5の端部を塞ぐ部分と筒体4の端部を塞ぐ部分とを有しているが,筒体4を塞ぐ部分のみを形成しても良い。
【0041】
キャップ3を挿入して蓋体3Bを筒体4の開口端部1aに当接するとシートの背面結露した結露水がアーチパイプPを伝わって流下し、支柱本体1の上部に流れても、この結露水はキャップ3の蓋体3Bで遮断されて筒体4の内部に浸入せず、従って支柱本体1の下端側地中Gに水が溜まることが無くなる。
【0042】
更に、支柱本体1の端部にキャップ3を設けているから、支柱本体1の端部エッジに他の周辺の部材が引っかかるのを防止できる。
【0043】
例えば、支柱装置AをビニールハウスBの骨組に使用した場合、屋根面や妻面に展張したシートSが引っかかって破断するのを防止できる。
【0044】
尚、ビニールハウスBは、アーチパイプP上に蟻溝フレーム20と弾性な係止線条21とからなるシートの定着装置を介してシートSが展張されている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施の形態に係る支柱装置の取付け状態を示す一部切欠き斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】図1の縦断側面図である。
【図4】継手とキャップの拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 中空な支柱本体
1a 開口端
2 継手
3 キャップ
3A 支持板部
3B 蓋体
3C 切り欠きスリット
4 筒体
5 蟻溝フレーム
6 継手本体
7 取付け片
10 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空な支柱本体1と、支柱本体1内にスライド自在に挿入した継手2と、支柱本体1の外周と継手2の外周とを包囲しながら支柱本体1の端部開口端1aを封じるキャップ3とからなる支柱装置。
【請求項2】
ビニールハウスの骨組み用アーチパイプPに上端部を結合すると共に下端部を地中に差込んで起立する支柱装置において、地中に起立する中空な支柱本体1と、下部を支柱本体1内にスライド自在に挿入し上部を上記アーチパイプに結合するた継手2と、支柱本体1の外周と継手2の外周とを包囲しながら支柱本体1の上端開口端1aを封じるキャップ3とからなる支柱装置。
【請求項3】
支柱本体1が長尺な筒体4と、筒体4の正面側に長手方向に沿って形成した開口部巾狭の蟻溝フレーム5とからなり、継手2が断面コ字状の継手本体6と、継手本体6の端部に一体に連設した取付け片7と、継手本体6の外面に突設して支柱本体1の端部の対向するストッパ10とで構成され、キャップ3が支柱本体1の外周に当接する環状の支持板部3Aと、支持板部3Aの上端部に一体に結合して上記筒体4の端部と上記蟻溝フレーム5の端部とに係止される蓋体3Bと、蓋体3Bに形成されて上記継手本体6を差込む切り欠きスリット3Cとで構成されている請求項1又は2に記載の支柱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−301728(P2008−301728A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149920(P2007−149920)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000221568)東都興業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】