説明

改良された発泡コアゴルフボール

【課題】スピンレートを適切な値に設定し、レクリエーションのためのプレーヤにとって好ましい特性のゴルフボールを提供する。
【解決手段】加減された慣性モーメントおよび加減されたスピンレートのゴルフボールが開示される。ボールはコアおよびカバーの間に配置された中間層を具備し、高中和ポリマーの含有と発泡化された材料により中間層の比重が小さい。好ましくは、比重の減少は約30%未満であり、反発係数の減少が約2%未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全般的には、高比重の内側コアおよび小さな比重の中間層を用いた低慣性モーメントのゴルフボール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のゴルフボールは2つの一般的なグループ、すなわちソリッドボールおよび糸巻ボールに分けることができる。これらの構造上の相違に起因するプレイ特性の相違は著しい。ただし、これらのボールは、基本的には、それらがうまく働くようにする2つの機能部品を有する。これら部品はセンタすなわちコアおよびカバーである。コアの主たる目的はボールの「バネ」すなわち弾力性の主たる源泉である。カバーはコアを防護し、またボールのスピン特性を改善する。
【0003】
ツーピースのソリッドボールは、通常、架橋されたポリブタジエンまたは他のゴムから製造された単一のソリッドコアで製造され、これがカバーでケーシングされる。これらのボールは典型的には製造業者にとって最も廉価である。なぜならば、部品点数が少なく、これら部品を比較的時間のかからない、自動化された成型技術で製造できるからである。これらのボールにおいて、ソリッドコアは「バネ」すなわち弾力性の源泉である。コアの弾力性は、コア材料の架橋密度を増加させることにより大きくできる。しかしながら、弾力性が増大すると、圧縮も大きくなり、ボールを硬くして、好ましくない。最近、商業的に成功したゴルフボール、例えば、Titleist Pro−VIは比較的大きなポリブタジエンをベースにしたコア、アイオノマーケーシングおよびポリウレタンカバーを具備し、ドライバクラブにより打った時に距離を長くし、またグリーン側のプレイを制御できる。
【0004】
さらに、ゴルフボールのスピンレートは、多くのパラメータにより最終的にもたらされる標的であり、その1つはボール内の密度又は比重の配分である。スピンレートは、熟練したゴルファーにとってもレクレーションのためのゴルファーにとってもゴルフボールの重要な特性である。スピンレートが大きいと、PGAプロやハンディキャップの少ないプレーヤーのような熟練したプレーヤーがゴルフボールのコントロールを最大限に活用することができる。高スピンレートゴルフボールは、グリーンへのアプローチショットに有利である。ボールをグリーンに止めるためにバックスピンをかけてコントールする性能やボールをドロー又はフェードするサイドスピンによってボールについてのプレーヤーのコントロールが実質的に改善される。つまり、熟練したプレーヤーは、大抵、スピンレートの大きいゴルフボールを好んで用いる。
【0005】
他方、ボールのスピンを意図的にコントロールすることができないレクレーションのためのプレーヤーは、大抵、高スピンレートのゴルフボールを好まない。これらのプレーヤーにとっては、スライスやフックが一番の障害である。クラブヘッドがボールを打ったとき、しばしば意図せずにゴールにサイドスピンが加わってしまい、意図したコースからボールがそれる。サイドスピンは、ボールに対するプレーヤーのコントロールを低下させるとともにボールの移行距離を縮める。あまりスピンしないゴルフボールは、ショットがクラブフェースからスクエアに打たれない場合でも誤ってラインからそれる傾向がない。スピンの少ないボールは、フック或いはスライスを直さないが、少ないスピンがサイドスピンの悪影響を減少させる。したがって、レクレーションのためのプレーヤーは、スピンレートの小さいゴルフボールを好む。
【0006】
ボールの種々の層またはマントルの密度または比重を再配分することは、ゴルフボールのスピンレートをコントロールする重要な手段である。ある場合には、ボールの外側部分からボールのセンタに重量を再配分して慣性モーメントを減少させ、よってスピンレートが増加する。例えば、特許文献1(米国特許第4625964号)には、比重が少なくとも1.50で直径が32mm未満のコアと、コアとカバーとの間に比重が小さい中間層をもつ、慣性モーメントの小さいゴルフボールが開示されている。特許文献2(米国特許第5104126号)には、低密度シンタクチックフォーム配合物により封入された、比重が少なくとも1.25の高密度の内側コアをもつボールが開示されている。特許文献3(米国特許第5048838号)には、比重が1.2〜4.0で直径が15〜25mmの範囲にある高密度の内側コアと比重が内側コアの比重より小さい0.1〜3.0の外側層をもつ、他のゴルフボールが開示されている。特許文献4(米国特許第5482285号)には、外側コアの比重を0.2〜1.0まで減らすことによって慣性モーメントを小さくした他のゴルフボールが開示されている。
【0007】
しかしながら、ゴルファーの個別の要求を満たす低スピンのゴルフボールに対する要望が以前存在する。
【特許文献1】米国特許第4625964号
【特許文献2】米国特許第5104126号
【特許文献3】米国特許第5048838号
【特許文献4】米国特許第5482285号
【発明の開示】
【0008】
この発明は制御された慣性モーメントおよび制御されたスピンレートのゴルフボールに向けられている。慣性モーメントは好ましくは中間層の比重または重量を、例えば発泡化により、減少させることによって制御する。中間層の厚さおよび比重、その他の要素に応じて、慣性モーメントは大きくなったり、小さくなったりする。好ましくは、減少は約30%の比重の減少であり、これは反発係数に影響を与えることなく実現される。
【発明の詳細な説明】
【0009】
ゴルフボールの総重量が合衆国ゴルフ協会(「USGA」)により設定された重量制限に適合しなければならないことは周知である。ボールの重量または質量をボールの中央またはボールの外側面側に再分配するとボールの打撃時や飛行時の特性が大幅に変化する。とくに、密度をセンタに移動すなわち再分配すると、慣性モーメントが小さくなり、ゴルフボールがゴルフクラブから離れるときの初期スピンレートが、ボールの慣性モーメントからの抵抗の減少に起因して、増大する。逆に、密度を外側カバーの内部に移動すなわち再分配すると、慣性モーメントが大きくなり、ゴルフボールがゴルフクラブから離れるときの初期スピンレートが、ボールの慣性モーメントからの抵抗の増大に起因して、減少する。重量または密度の再分配の結果として慣性モーメントが大きくなったり小さくなったりするので、ボールの中心または外側カバーからの径方向距離は、ゴルフボール設計において重要なファクタである。
【0010】
この発明の一側面によれば、径方向距離が与えられる。径方向距離は、以降、重心距離を指す。ボールの質量または重量が中心から重心半径までのボール体積に再移動すればするほど、慣性モーメントが減少して、この結果、高スピンレートとなる。ここでは、そのようなボールを低慣性モーメントボールという。ボールの質量または重量が重心半径から外側カバーまでのボール体積に再移動すればするほど、慣性モーメントが増大して、この結果、低スピンレートとなる。ここでは、そのようなボールを高慣性モーメントボールという。
【0011】
重心半径の珪酸方法は米国特許第6494795号に十分に開示されており、参照してここに組み入れる。その結果によれば、46グラム(1.62オンス)で径が1.68インチのゴルフボールの場合、重心距離はゴルフボールの中心から径方向に約0.65インチの位置にあり、またはゴルフボールの表面から径方向に0.19インチの位置にある。
【0012】
以上の計算結果によれば、1.62オンスで径が約1.68インチで重量が径方向に等分配のゴルフボールの慣性モーメントは、0.4572オンス・インチ(83.6g・cm)である。したがって、この値より大きな慣性モーメントのゴルフボールは高慣性モーメントゴルフボールと考えられ、この値より小さな慣性モーメントのゴルフボールは低慣性モーメントゴルフボールと考えられる。例えば、ゴルフボールの外側面から約0.040インチ(中心から約0.8インチ)の位置に薄い殻を具備するゴルフボールはつぎのような慣性モーメントを有する。
【0013】
薄い殻の重量 慣性モーメント 慣性モーメント
(oz) (oz・inch) (g・cm
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
0.20 0.4861 88.9
0.405 0.5157 94.3
0.81 0.5742 102
1.61 0.6898 126.2
【0014】
低慣性モーメントボールは好ましくは約84g・cm未満、より好ましくは約82g・cm未満の慣性モーメントを有する。高慣性モーメントボールは好ましくは約84g・cmより大きい、より好ましくは約86g・cmより大きい慣性モーメントを有する。
【0015】
この発明のゴルフボールの重量は任意でよい。例えば、この発明のゴルフボールの重量は約30から約50グラムである。好ましくはこの発明のゴルフボールの重量は約35から約48グラムであり、より好ましくは約38から約46グラムである。
【0016】
1実施例において、この発明のゴルフボールは1または複数の高比重コア層、1または複数の低比重中間層、および薄い最も外側のカバーを有し、カバーの比重は大きくても小さくてもよい。内側の高比重コアの径は好ましくは約0.40インチから約1.25インチである。カバーの厚さは約0.010インチから約0.080インチの範囲であり、好ましくは0.060インチ未満、より好ましくは0.045未満、さらに好ましくは約0.030インチである。
【0017】
ここで用いられるように、低比重は約1.05未満の比重、好ましくは約0.95未満の比重、さらに好ましくは約0.85未満の比重を含む。高比重は約1.15を越える比重、好ましくは約1.2を越える比重、さらに好ましくは約1.5を越える比重を含む。この構造において、少なくとも1つの中間層は発泡性であり、好ましく発泡性高中和ポリマーである。中間層は外側コア、マントル層、または内側カバー層であってよい。最も内側のコアおよび中間層に用いる適切な高中和ポリマーおよび他の適切なポリマー、ならびに、他のボール層に用いられるのに適したポリマーは以下に検討される。少なくとも最も内側のコアの比重は増大させられ、好ましくは高比重フィラーを一体に含む。
【0018】
1実施例において、内側コアは比重が大きく、少なくとも1つの低比重の中間層により包囲されている。この実施例の一例では、中間層が発泡性である。発泡性中間層の材料は上述の1または複数の発泡性材料であってよい。好ましくは、中間層は上述した1または複数の高中和ポリマーから製造され、中間層の比重が小さい。
【0019】
他の事例的な実施例において、ゴルフボールは、予め準備された非球状の内側コア、内側コアに埋め込まれた外側コア(または中間層)、およびカバー層を具備する。好ましくは、内側コアの非球状の形状はどのような形状でもよく、これに限定されないが、米国特許第6595874号に記載されている形状であり、参照してここに組み入れる。この例の非球状の内側コアはフィラーを含む組成物を有し比重が大きい。外側コアは発泡化してもよく、発泡性高中和ポリマーを含んでもよい。ただし、他の発泡性組成物、例えば、発泡性ポリウレタン、発泡性ポリ尿素、および/または他の慣用的な発泡性アイオノマーを用いても良く、この例は上述のとおりである。好ましくは、内側コアの比重は外側コアの比重より大きい。さらに好ましくは、内側コアが高比重であり、外側コアが低比重である。
【0020】
好ましくは、非球状の内側コアおよび外側コアの組み合わせにより球状のコアを形成する。好ましくは外側コアの比重は非球状の内側コアより小さい。外側コアの比重が非球状の内側コアより小さい範囲で、外側コアは発泡性でも非発泡性でもよい。一例において、外側コアは、発泡化に適し、下記の手法の1つで発泡化できる、高中和ポリマー、ポリウレタンまたは任意の上述の他の組成物を含んでよい。
【0021】
内側コアおよび外側コアを組み合わせた径は約1.50インチから約1.66インチである。好ましくは、コアすなわち内側コアと外側コアとの組立部品は1または複数のカバー層に包囲され、これはこの発明の他の実施例に関連して説明したカバー層と同様の特性を有する。
【0022】
この発明のコア、中間層、およびカバー層は任意の材料から製造でき、これに限定されないが、高中和ポリマー、およびそのブレンドを含む。他の適切な組成物は、これに限定されないが、熱可塑性または熱硬化性組成物である。
【0023】
上述したように、高中和ポリマーがいくつかの実施例には好適である。一般に、高中和ポリマーは、ポリマーの酸基、適切なカチオン源、および有機酸またはその塩の反応により製造され、中和の程度は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは100%である。適切なカチオン源は、マグネシウム、ナトリウム、亜鉛、リチウム、カリウム、およびカルシウムから選択され、有機酸または対応する塩は、オレイン酸、オレイン酸の塩、ステアリン酸、ステアリン酸の塩、ベヘン酸、ベヘン酸の塩、またはこれらの組み合わせから選択される。高中和ポリマーは、米国特許出願公開2005/0049367に十分に開示されており、参照してここに組み入れる。
【0024】
さらに、米国特許出願10/269341、すなわち、米国特許出願公開2003/0130434および米国特許第6653382号の組成物は、ソリッド球に形成されたときに大きなCORを呈する組成物であり、参照してここに組み入れる。
【0025】
この発明の熱可塑性組成物は、1.50から1.54インチの径の球に形成されたときに反発係数(COR)を有するポリマーを有し、反発係数は、球を125フィート/秒の初速度でその位置から3フィート離れた鋼鉄板に打ち出し、そこで初速度およびリバウンド速度が測定され鋼鉄板からのリバウンド速度を初速度で割って決定される。これとAtti圧縮は100以下である。
【0026】
この発明の熱可塑性組成物は、(a)36個未満の炭素原子を有する脂肪族、モノ官能性有機酸(1または複数)および(b)エチレン、α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸コポリマーおよびそのアイオノマーを含み、(a)および(b)のすべての酸のうちの90%超、好ましくは100%近く、より好ましくは100%が中和される。
【0027】
熱可塑性組成物は好ましくはメルト加工可能な、高中和(90%超、好ましくは00%近く、より好ましくは100%)の(1)柔軟化モノマーの添加または他の手段、例えば高酸レベルにより結晶性を破壊させた、エチレン、α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸コポリマー、(2)実質的に残存のエチレン結晶性を破壊するにたるように選択された非揮発性、非移行性の薬剤、例えば有機酸(または塩)のポリマーを含む。有機酸以外の薬剤を用いてもよい。
【0028】
高中和熱可塑性ポリマーは、エチレンと、α,β−不飽和カルボン酸とのコポリマー、エチレンと、α,β−不飽和カルボン酸と、n−アルキルアクリレートとのターポリマであってもよく、酸は、少なくとも80%、有機酸の塩、カチオン源、または有機酸の適切な塩基により中和される。ーから製造されて良い。高中和熱可塑性ポリマーは、有機酸の塩、カチオン源、または有機酸の適切な塩基により十分に中和されてもよい。
【0029】
酸コポリマーまたはアイオノマーを特別の有機酸(またはその塩)で改質することにより、加工性または特性、例えば延伸性や強靱性を失わせることなくその酸ポリマーを高度に中和できることがわかった。この発明で採用される有機酸は、脂肪族、モノ官能性、飽和または不飽和有機酸、とくに、炭素原子の数が36未満のもの、また非揮発性で非移行性がありイオン性配列軟化性およびエチレン結晶抑制特性を有するものである。
【0030】
十分な有機酸を添加することにより、アイオノマーを生成するための酸コポリマー中の90%を上回る、100%近くの、また好ましくは100%の酸部分が中和でき、この際、加工性や延伸性、強靱性のような特性を損なうことがない。
【0031】
メルトプロセス可能な、高中和の酸コポリマーアイオノマーはつぎのようにして製造できる。
(a)(1)エチレン、α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸コポリマーまたはそのメルトプロセス可能なアイオノマー(アイオノマーは処理不能すなわちメルトプロセス不能なレベルまで中和されていない)に、(1)36個未満の炭素原子を有する1または複数の脂肪族、モノ官能性、飽和または不飽和有機酸またはその塩をメルトブレンドし、さらに同時に、または順次に、
(b)すべての酸部分(酸コポリマー中および有機酸中のものを含む)の中和レベルを90%を越え、好ましくは100%近く、より好ましくは100%に増加させるに足る量のカチオン源を添加する。
【0032】
好ましくは、この発明の高中和熱可塑材はつぎのようにして製造される。
(a)(1)柔軟化モノマーまたは他の手段を添加して結晶性を破壊させた、エチレン、α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸コポリマーまたはそのメルトプロセス可能なアイオノマーに、(2)実質的に残存のエチレン結晶性を除去するにたる非揮発性、非移行性の有機酸を、メルトブレンドし、同時に、または順次に、
(b)すべての酸部分(酸コポリマー中の酸部分、および非揮発性、非移行性有機酸が有機酸であればその有機酸中の酸部分を含む)の中和レベルを90%を越え、好ましくは100%近く、より好ましくは100%のレベルにするのに十分な量のカチオン源を添加する。
【0033】
この発明でアイオノマーを製造するために用いられる酸コポリマーは好ましくは「直接」酸コポリマーである。酸コポリマーは好ましくはアルファオレフィン、具体的にはC3−8、α,β−エチレン系不飽和カルボン酸、具体的にはアクリル酸およびメタクリル酸、コポリマーである。それらはオプションとして第3の柔軟化モノマーを含んで良い。「柔軟化」は結晶性が破壊(ポリマーの結晶性が少なくなる)されることを意味する。適切な「柔軟化」コモノマーはアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートから選択された柔軟化モノマーであり、アルキル基は1−8の炭素原子を含む。
【0034】
酸コポリマーは、アルファオレフィンがエチレンの場合、E/X/Yコポリマーとして記述でき、ここで、Eはエチレン、Xはα,β−エチレン系不飽和カルボン酸、かつYは柔軟化コモノマーである。Xは好ましくはポリマーの3〜30重量%(より好ましくは4〜25重量%、最も好ましくは5〜20重量%)の量で存在し、Yは好ましくはポリマーの0〜30重量%(より好ましくは3〜25重量%、または10〜23重量%)の量で存在する。
【0035】
球は完全に中和されたアイオノマーAおよびBから準備された。
【表1】

A−76.9%エチレン、14.8%通常のブチルアクリレート、8.3%アクリル酸。
B−75%エチレン、14.9%通常のブチルアクリレート、10.1%アクリル酸。
(*)は、カチオンが、樹脂および有機酸中のすべての酸の105%が中和されるに足ることを示す。
【0036】
これら組成物は1.53インチの球に成型され、そのデータはつぎの表のとおりである。
【表2】

さらに、商業的に入手可能な高度に中和されたポリマーHNP1およびHNP2のテストはつぎの特性を示した。
【表3】

【表4】

これら材料はこの発明の好ましいセンターおよび/またはコア層の組成物での例である。これらはここではカバー層として用いても良い。この発明のゴルフボール部品、とくにコア(センタおよび/または外側コア層)はエチレンと、α,β−不飽和カルボン酸とのコポリマーから製造されて良い。他の実施例では、これらは、エチレンと、α,β−不飽和カルボン酸と、n−アルキルアクリレートとのターポリマーから製造されて良い。好ましい実施例では、n−アルキルアクリレートはn−ブチルアクリレートである。さらに、好ましい形態では、コポリマーまたはターポリマーはベース樹脂の5phrを越える脂肪酸塩のレベルを含む。好ましい脂肪酸塩はオレイン酸マグネシウムまたはステアリン酸マグネシウムである。
【0037】
中間層のカルボン酸は金属イオンで100%中和されることが強く望まれる。カルボン酸を中和するために用いる金属イオンは、当分野で知られている任意に金属イオンでよい。好ましくは金属イオンはマグネシウムイオンを含む。中間層に用いられる材料が100%中和されていない場合、得られる弾力特性、例えばCORおよび初速度は十分でなく、この発明による初速度や飛距離特性の改善はもたらされないかもしれない。
【0038】
ゴルフボール部品は、コポリマーまたはターポリマーの3つの成分を種々のレベルで有し、これは、約60から約90%のエチレン、約8から約20重量%の、α,β−不飽和カルボン酸、および0%から約25%のn−アルキルアクリレートである。コポリマーまたはターポリマーは所定量の脂肪酸塩を含んでも良い。脂肪酸塩は好ましくはオレイン酸マグネシウムである。これら材料はDuPont社からDuPontHPF(商標)の商標名の下で商業的に入手できる。
【0039】
1実施例では、センターおよび/またはコア層(または他の中間層)は、約81重量%のエチレンおよび約19重量%のアクリル酸のコポリマーを有する。ここで、100%のカルボン酸基はマグネシウムイオンで中和されている。コポリマーは少なくとも5phrのオレイン酸マグネシウムを含む。この層として使用して好適な材料はDuPont社からDuPont HPF SEP 1313−4(商標)の商標名で入手できる。
【0040】
第2の好ましい実施例では、コアおよび/またはコア層(または他の中間層)は、約85重量%のエチレンおよび約15重量%のアクリル酸のコポリマーを有する。ここで、100%の酸基はマグネシウムイオンで中和されている。コポリマーは少なくとも5phrのオレイン酸マグネシウムを含む。この層として使用して好適な材料はDuPont社からDuPont HPF SEP 1313−3(商標)の商標名で入手できる。
【0041】
第3の好ましい実施例では、コアおよび/またはコア層(または他の中間層)は、約88重量%のエチレンおよび約12重量%のアクリル酸のコポリマーを有する。ここで、100%の酸基はマグネシウムイオンで中和されている。コポリマーは少なくとも5phrのオレイン酸マグネシウムを含む。この層として使用して好適な材料はDuPont社からDuPont HPF AD1027(商標)の商標名で入手できる。
【0042】
さらに他の好ましい実施例では、コアおよび/またはコア層(または他の中間層)は、ボールをバランスさせるように目標の比重へと調整される。例えば、約1.61オンスの重量で約1.68インチの径のゴルフボールについて、目標の比重は約1.125である。目標の比重がゴルフボールのサイズおよび重量に左右されることは当業者によく理解されている。比重は、無機フィラーを用いて所望の目標に調整される。内側カバー層を所望の比重にするために用いられる好ましいフィラーは、これに限定されないが、タングステン、酸化亜鉛、硫化バリウム、および酸化チタンである。他の適切なフィラーは、具体的には、ナノまたは複合材料であり、米国特許第6793592号および米国特許第6919395号に開示されるものであり、参照してここに組み入れる。
【0043】
上述の組成物から生成された、いくつかの好ましいゴルフボール層を、DuPont HPF RX−85(商標)、DuPont HPF SEP 1313−3(商標)、またはDuPont HPF 1313−4(商標)を用いたゴルフボールセンター上に成型した。1)DuPont HPF RX−85(商標)は約88重量%のエチレンおよび約12重量%のアクリル酸のコポリマーであり、酸基の100%がマグネシウムイオンにおり中和されている。この材料はさらに固定量のオレイン酸マグネシウムを含む。この材料はタングステンを用いて約1.125の比重に調合される。この材料のショアD硬度(内側カバー層の局面で測定)は約58から約60である。2)DuPont HPF SEP 1313−3(商標)は約85重量%のエチレンおよび約15重量%のアクリル酸のコポリマーであり、酸基の100%がマグネシウムイオンにおり中和されている。この材料はさらに固定量のオレイン酸マグネシウムを含む。この材料はタングステンを用いて約1.125の比重に調合される。この材料のショアD硬度(内側カバー層の局面で測定)は約58−60である。3)DuPont HPF SEP 1313−4(商標)は約81重量%のエチレンおよび約19重量%のアクリル酸のコポリマーであり、酸基の100%がマグネシウムイオンにより中和されている。この材料はさらに固定量のオレイン酸マグネシウムを含む。この材料はタングステンを用いて約1.125の比重に調合される。この材料のショアD硬度(内側カバー層の局面で測定)は約58−60である。
【0044】
センター/コア/層は、ターポリマーの3つの成分を種々のレベルで有し、これは、約60から約80%のエチレン、約8から約20重量%のα,β−不飽和カルボン酸、および0%から約25%のn−アルキルアクリレートである。ターポリマーも所定量の脂肪酸塩、好ましくはオレイン酸マグネシウムを含んでよい。これら材料はDuPont社からDuPont HPF(商標)の商標名の下で商業的に入手できる。好ましい実施例では、この発明に使用して好適なターポリマーは、約75%から80重量%のエチレン、約8%から約12重量%のアクリル酸、および約8%から17重量%のn−ブチルアクリレートからなる。カルボン酸のすべてはマグネシウムイオンにより中和され、少なくとも5phrのオレイン酸マグネシウムを含む。
【0045】
他の実施例では、カバー層が、約70から75重量%のエチレン、約10.5重量%のアクリル酸、および15.5%から約16.5重量%のn−ブチルアクリレートからなるターポリマーを含む。ターポリマーも所定量のオレイン酸マグネシウムを含んでよい。この層に使用して好適な材料はDuPont HPF(商標) AD1027の商標の下で販売されている。
【0046】
他の実施例では、センター/コア/層が、約88重量%のエチレンおよび約12重量%のアクリル酸からなるコポリマーを含み、100%のアクリル酸がマグネシウムイオンにより中和されている。センター/コア/層も所定量のオレイン酸マグネシウムを含んでよい。この実施例に使用して好適な材料は、DuPont社により実験製品番号SEP 1264−3として製造された。好ましくは、センター/コア/層は不活性フィラーを用いて目標の1.125の比重に調合してカバー層の性能特性への影響を最小化して密度を調整する。所望の比重を得るためにセンター/コア/層に調合するために用いる好ましいフィラーは、これに限定されないが、タングステン、酸化亜鉛、硫化バリウム、および酸化チタンである。
【0047】
適切な高中和ポリマーは、さらに、米国特許出願公開2005/0049367および米国特許出願公開2005/01247141に開示されているものを含み、参照してここに組み入れる。
【0048】
一例においては、発明のボールは第一セットの中間層を形成することにより製造される。第一セットの中間層は、DuPont HPF(商標) AD1027を用いてコア上に成型された。これは、約73から74%のエチレン、約10.5%のアクリル酸、および15.5%から約16.5重量%のn−ブチルアクリレートからなるターポリマーであり、100%の酸基がマグネシウムイオンにより中和されている。さらにターポリマーは5phrを超える固定量のオレイン酸マグネシウムを含んでよい。この材料は硫化バリウムおよび酸化チタンを用いて約1.125の比重に調合される。この材料のショアD硬度(内側カバー層の曲面で測定)は約58−60である。
【0049】
第二セットの層は、DuPont 実験用HPF(商標) SEP1264−3を用いて実験用コアの各々の上に成型された。これは、約88%のエチレン、および約12%のアクリル酸からなるターポリマーであり、100%の酸基がマグネシウムイオンにより中和されている。さらにコポリマーは5phrを超える固定量のオレイン酸マグネシウムを含んでよい。この材料は酸化亜鉛を用いて約1.125の比重に調合される。この材料のショアD硬度(内側カバー層の曲面で測定)は約61−64である。
【0050】
第一セットのカバーは、DuPont HPF(商標)1000を用いてコア/層部品の各々の上に成型された。これは、約75から76%のエチレン、約8.5%のアクリル酸、および15.5%から約16.5重量%のn−ブチルアクリレートからなるターポリマーであり、100%の酸基がマグネシウムイオンにより中和されている。さらにターポリマーは少なくとも5phrの固定量のステアリン酸マグネシウムを含む。この材料は硫化バリウムおよび酸化チタンを用いて約1.125の比重に調合される。この材料のショアD硬度(内側カバー層の曲面で測定)は約60−62である。
【0051】
「材料硬度」と「ゴルフボールの表面で直接に測定した硬度」とは、とくに当業者とっては、基本的に異なることを理解されたい。材料硬度は、ASTM−D2240に記載された手順によって定義されており、一般に、硬度を測定すべき材料から形成させた平坦な「スラブ」または「ボタン」の硬度を測定するものである。ゴルフボール(または、他の球体表面)上で直接測定するときの硬度は、完全に異なる測定であり、従って、異なる硬度値を生ずる。この相違は、限定するものではないが、ボール構造(即ち、コアのタイプ、コアおよび/またはカバー層の数等)、ボール(または球体)直径、および隣接各層の素材組成のような多くの要因に由来する。また、2つの測定方法は直線的には相関せず、従って、一方の硬度値が他方の硬度値と容易に相関し得ないことも理解すべきである。
【0052】
慣性モーメントは、典型的には、コネチカット州、コリンスビルのInertia Dynamic社製造の型番MOI−005−104慣性モーメント装置により測定される。この装置はPCとCOMMポートで接続されてMOI装置ソフトウェアバージョン#1.2により駆動される。
【0053】
高中和ポリマーは任意の基地の手法により発泡できる。典型的な物理的発泡剤(foaming/blowing agent)は、揮発性液体、例えばフロン(freon、CFC)、他のハロゲン化炭化水素、水、脂肪族炭化水素、気体、および固体発泡剤、すなわち、ガスの離脱に伴うガスを放出する化合物を含む。好ましくは、発泡剤は吸収剤を含む。典型的な吸収剤は、例えば、活性化炭素、炭酸カルシウム、珪藻土、および二酸化炭素で飽和された珪酸塩である。
【0054】
化学発泡剤は、より好ましく、とりわけ、コアが熱可塑性材料、例えばアイオノマー、高中和ポリマー、およびポリオレフィンを含む場合には、好ましい。化学発泡剤は、炭酸アンモニア、およびアルカリ金属の炭酸塩のような無機のものでもよく、アゾやアゾ化合物、例えば窒素ベースのアゾ化合物のような有機のものでもよい。適切なアゾ化合物は、これに限定されないが、2,2’−アゾビス(2−シアノブタン)、2,2’−アゾビス(メチルブチロニトリル)、アゾジカルボンアミド、p,p’−オクシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルヒドラジドを含む。他の発泡剤は、Crompton Chemical社から販売されている任意のCelogen(商標)、ニトロソ化合物、スルホニルヒドラジド、有機酸のアジドおよび類似物、トリアジン、トリゾール/テトラゾール誘導体、スルホニルセミカルバジド、尿素誘導体、グアニジン誘導体、およびエステル例えばアルコキシボロキシンを含む。他の可能な発泡剤は、成分、例えば、酸と金属の混合物、有機酸と無機炭酸塩との混合物、二トリルとアンモニウム塩との混合物の化学作用によって、または尿素の加水分解によって気体を放出する薬剤を含む。
【0055】
代替的には、低比重化は、低密度のフィラーまたは薬剤、例えば、空洞フィラーまたは微細球をポリマーマトリックス中の一体化することにより実現でき、硬化した組成物は好ましい比重を有する。代替的には、ポリマーマトリックスを発泡化させてその比重を小さくでき、マイクロバルーンや他の低密度フィラーを用いても良く、これは米国特許第6692380号および同’795特許に開示されており、この特許の内容は参照してここに組み入れる。
【0056】
さらに、Cellasto(商標)、およびElastocell(商標)の商標名で販売されているBASFポリウレタン材料、マイクロセルラーポリウレタン、クローズドセルのポリウレタンの堅固な発泡体であるElastopor(商標)H、Elastoflex(商標)W発泡系、Elastoflex(商標)E半柔軟性発泡系、Elastofoam(商標)柔軟一体スキニング系、Elastolit(商標)D/K/R一体堅固発泡体、Elastopan(商標)S、Elastollan(商標)熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、その他がすべてこの発明に適用できる。Bayer(ラックスネス)も、Texin(商標)TPU、Baytec(商標)およびBulkollan(商標)エラストマー、Baymer(商標)堅固発泡体、Baydur(商標)一体スキニング発泡体、Bayfit(商標)注型可能、RIMグレード、噴霧可能柔軟性発泡体、その他として販売される種々の材料を製造している。
【0057】
ここで適用可能な他の材料は、ポリイソシアネート発泡体、および種々の「熱可塑性」発泡体を含み、これは、フリーラジカル(例えばペルオキシド)または照射架橋(例えばUV、IR、ガンマ、EB)を用いて種々の程度に架橋できる。さらに、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリオレフィン(メタローセンおよび他のシングルサイト触媒ポリマーを含む)、エチレンビニルアセテート(EVA)、アクリレートコポリマー、例えば、EMA、EBA、nucrel(商標)型酸コポリマーまたはターポリマー、エチレンプロピレンゴム(例えばEPR、EPDM、および任意のエチレンコポリマー)、スチレンブタジエン、SEBS(任意のKraton型)、PVC、PVDC、CPE(塩素化ポリエチレン)、エポキシ発泡体、尿素−ホルムアルデヒド発泡体、ラテックス発泡体およびスポンジ、シリコーン発泡体、フルオロポリマー発泡体、およびシンタクチック発泡体(空洞球充填)が適切である。
【0058】
化学または物理発泡体に代替手段は、比重減少化フィラー、ファイバー、フレーク、球、または空洞微小球、または微小バルーン、例えばSMガラス(ガラスバブル)、セラミック(ゼオスフェアー)、フェノール、その他のポリマーをベースにした組成物、例えばアクリロニトリル、PVDC、その他を使用することである。
【0059】
適切な発泡剤は拡張可能な微小球を含む。微小球の例は、揮発性ガス、例えばイソペンタンガスを包むアクリロニトリル殻を有する。このガスが球中に発泡剤として含まれる。非拡張状態では、これらの空洞球の径は10から17μmの範囲であり、実際の密度は1000から1300Kg/mである
【0060】
加熱すると、殻内部のガスの圧力が増大し、また熱可塑性殻が柔らかくなり、この結果、微細球の体積が急激に増大する。十分に拡張すると、微細球の体積は40倍より大きくなり(典型的には径の増加分は10から40μmである)、実際の密度が30Kg/m(0.25lb/ガロン)を下回る。典型的な拡張時温度は80−190°C(176−374°F)の範囲である。そのような拡張可能な微細球はEXPANCEL(商標)としてスェーデンのExpancelまたはAkzo Nobelから商業的に袖手可能である。
【0061】
この適用において、これら微細球は、当該部品の注型プロセスの間に、注型温度を上昇させてガスを活性化させて反応させる。金型に充填する成分材料の体積を初めに減少させ、プロセスは微小球の拡大を前提にし、これにより、注型サイクルにおいて、キャビティ内の残りの空間が満たされる。微小球が金型内で急激に拡張することにより、材料が金型の体積を充填する際に、材料の密度を減少させ、微小球の能力を最大限発揮させて、低密度部品を製造するために必要な材料の量を最小化させる。
【0062】
米国特許出願第11/191097の内容は参照してここに組み入れるが、そこで検討されるように、1インチの球が高中和ポリマーおよびEXPANCEL(商標)092MB120拡張可能微小球から製造される。採用されている具体的な微小球は、エチレンビニルアセテートのコポリマーから製造された外側殻を具備する。1インチの球のテストは以下のとおりである。
【表5】

【表6】

【0063】
上のデータに示されるように、微小球を含ませることにより、1インチの球の重量が小さくなり、これをゴルフボール中のコア層、中間層または他の層に使用できる。中間層の重量をそのように減少させると、多くの重量を外側層、例えば薄い高密度層に配置でき、ボールの慣性モーメントが大きくなる。薄い高密度の層は米国特許出願第10/974144に十分に開示されており、参照してここに組み入れる。代替的には、より多くの重量を最も内側のコアに配置でき、ボールの慣性モーメントを小さくする。10%の微小球が約50%の重量または比重の変化をもたらす。微小球を含ませると撓みが増大し、圧縮が減少する。データによれば、重量または比重の変化がそれぞれ約25%未満および15%未満である限り、CORの減少は約6%未満であることがわかる。1つの層のCORの減少は、高圧縮のコア、中間層または内側カバーにより補償できる。
【0064】
さらに、発明者は、1インチの球の実験において、CORおよび比重の間に関係があることを発見した。これを以下のグラフI(図1)に示す。
【0065】
CORおよび比重の間の関係はつぎの式により表される。
COR=0.2947×ln(SG)+0.8148、または
SG=0.0644×e(3.3624・COR)
判別係数RはR=0.9908により計算される。この関係は、用いた発泡材料を代表するものであり、種々のテスト条件により変化する。
【0066】
この関係は、同一のEXPANCEL(商標)092MB120を含む高中和ポリマーを中間層、外側コア層、または内側カバーに用いる間は維持されるべきである。
【0067】
1つの事例的な実施例において、部品組立体は、表5および6で使用されたHNPから製造された非発泡性の内側コア、すなわちコントロールサンプル(比較例)と、EXPANCEL(商標092MB120の拡張可能微小球を含む同一のHNPから製造された中間層とを有する。この例において、部品組立体の全体の径は約1.45インチであり中間層の厚さは約0.085インチである。グラフI(図1)の線形式から計算した部品組立体の比重およびCORは以下のとおりである。
【表7】

(注1)部品組立体の比重はそれぞれの体積に基づくコアのSGおよび中間層のSGの加重平均である。部品組立体の体積は12.77インチ、中間層の体積は2.12インチ、内側コアの体積は10.65インチ
(注2)部品組立体のCORは部品組立体の比重をグラフIから導出された線形式に代入して計算される。表7および表5の間のコントロールのCORの相違は、グラフIを準備する上での必要な推定および丸め処理エラーに起因すると考えられる。
【0068】
データの示唆するところによれば、厚さが約0.1インチの範囲のゴルフボールまたはその部品組立体では中間層の比重を顕著に、例えば、少なくとも30%、さらには少なくとも50%減少させることができ、その際に、CORの著しい劣化を伴わず、それは約3%またはそれ以下である。代替的には、全体の部品組立体の比重を、CORの著しい劣化を伴いことなく、約8%まで減少させることができる。
【0069】
この発明の他の側面によれば、米国特許出願第10/974144、すなわち米国特許出願公開2005/0059510に説明されるように、クラブがボールを打撃したときに、コアの一部が衝撃により変形する。これについては参照してここに組み入れる。変形ゾーンは、実質的にすべてではないが、ボールのリバウンドのほとんどを左右する。したがって、中間層、例えば外側コアが内側コアを包み込み、かつ中間層の厚さが十分に大きければ、部品組立体のCORは、中間層のCORに左右され、あるいは、実質的に同一となる。この発明の発明者は、部品組立体の径が約1.45インチから約1.66インチであり、内側コアの径が約0.75インチより小さければ、中間層のCORが部品組立体のCORを実質的に左右することを発見した。好ましくは、中間層のCORは、比重が減少した中間層において予想されるCORの減少を補償するにたるだけ大きい。この部品組立体のCORおよび比重は表5および6中に列挙されたものと類似である。’510公開の内容は参照してここに組み入れる。COR、比重、圧縮、および高度はつぎに示される範囲であると考えられる。
【表8】

他の材料は、微小球を一体化したクローズドセル発泡体を含み、これは米国特許出願公開2005/0027025に説明されており、参照してここに組み入れる。この発明のゴルフボール中に利用できる他の事例的な材料は米国特許第5824746号および同第6025442号、ならびに国際特許出願刊行物WO99/52604に説明されており、参照してここに組み入れる。
【0070】
高比重の層を実現するには、フィラーを内側コアまたはカバーに添加してもよい。いくつかの事例的なフィラーは、これに限定されないが、金属粉末、金属フレーク、金属合金粉末、酸化金属、ステアリン酸金属塩粒子、および/または炭素質材料を含む。他の事例的なフィラーは’380特許に説明されている。
【0071】
好ましくは、金属粉末は、ビスマス粉末、ホウ素、黄銅粉末、青銅粉末、コバルト粉末、銅粉末、ニッケル−クロム−鉄の金属粉末、鉄金属粉末、モリブデン粉末、ニッケル粉末、ステンレス粉末、チタン金属粉末、酸化ジルコニウム粉末、タングステン金属粉末、ベリリウム金属粉末、亜鉛金属粉末、および/またはスズ金属粉末が含まれる。好ましい金属酸化物は、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムおよび/または三酸化タングステンである。さらに事例の金属フレークはアルミニウムフレークである。最も好ましい高密度のフィラーはタングステン、酸化タングステン、またはタングステン金属粉末である。その比重が約19と大きいからである。
【0072】
他の適切なポリマーは、これに限定されないがつぎのものを含む。
(1)ポリウレタン、例えば、ポリオールおよびジイソシアネートまたはポリイソシアネートから準備されたもの、および米国特許第5334673号、および同第6506851号、および米国特許出願第10/194059に開示されたもの;
(2)ポリ尿素、例えば、米国特許第5484870号および米国特許出願第10/228311に開示されたもの;
(3)ポリウレタン−尿素ハイブリッド、ブレンド、または、ウレタンまたは尿素セグメントを有するコポリマー。
【0073】
適切なポリウレタン組成物は、少なくとも1つのイソシアネート、および少なくとも1つの硬化剤の反応生成物を有する。硬化剤は例えば1または複数のジアミン、1または複数のポリオール、またはこれらの組み合わせを含んでよい。ポリイソシアネートは、1または複数のポリオールと組み合わせてプレポリマーを生成し、これが少なくとも1つの硬化剤と組み合わされる。そのため、ここで説明されるポリオールは、ポリウレタン材料の1つの成分または両成分、すなわち、プレポリマーの一部として、および硬化剤注で使用して好適である。適切なポリウレタンは米国特許出願第11/061338に記述されており、参照してここに組み入れる。
【0074】
当業者が利用可能ないずれのポリイソシアネートも本発明に従って使用するのに適している。ポリイソシアネートの例示は以下を含むがこれに限定されない:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(”MDI”);ポリマーMDI;カルボジイミド−変性液状MDI;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(”H12MDI”);p−フェニレンジイソシアネート(”PPDI”);m−フェニレンジイソシアネート(”MPDI”);トルエンジイソシアネート(”TDI”);3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(”TODI”);イソホロンジイソシアネート(”IPDI”);ヘキサメチレンジイソシアネート(”HDI”);ナフタレンジイソシアネート(”NDI”);キシレンジイソシアネート(”XDI”);p−テトラメチルキシレンジイソシアネート(”p−TMXDI”);m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(”m−TMXDI”);エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;シクロヘキシルジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネート(”HDI”);ドデカン−1,12−ジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート;2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート(”TMDI”);テトラセンジイソシアネート;ナフタレンジイソシアネート;アントラセンジイソシアネート;トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート;ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン;及びこれらの混合物。ポリイソシアネートは、1以上のイソシアネート基、例えばジイソシアネート、トリイソシアネートおよびテトライソシアネートを有するものとして、当業者には知られている。好ましくは、ポリイソシアネートは、MDI、PPDI、TDI、又はこれらの混合物を含み、より好ましくはポリイソシアネートはMDIを含む。本明細書で使用する用語「MDI」は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマーMDI、カルボジイミド変性液状MDI、及びこれらの混合物を意味し、かつさらに使用したジイソシアネートが「低遊離(low free)モノマー」であることができるとは「遊離」モノマーの量が低いイソシアネート基であること、典型的には遊離モノマー基の量が約0.1%より低いことを当業者が理解すると理解すべきである。「低遊離モノマー」ジイソシアネートの例は、これに限定されないが、低遊離モノマーMDI、低遊離モノマーTDI、及び低遊離モノマーPPDIである。
【0075】
少なくとも一つのポリイソシアネートは約14%より少ない未反応のNCO基を有することが必要である。好ましくは該少なくとも一つのポリイソシアネートは約7.5%より多くない、より好ましくは約7.0%より少ないNCOを有する。
【0076】
当業者が利用可能ないずれのポリオールも、この発明に従って使用するのに適している。ポリオールの例は、これに限定されないが、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン(部分的に/完全に水素添加した誘導体を含む)、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、及びポリカーボネートポリオールである。好ましい実施例では、ポリオールはポリエーテルポリオールを含む。その例は、これに限定されないが、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(”PTMEG”)、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、及びこれらの混合物である。炭化水素鎖は飽和又は不飽和結合及び置換又は未置換の芳香族及び環状基を有することができる。好ましくは、この発明のポリオールはPTMEGを含む。
【0077】
他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリエステルポリオールが含まれる。適切なポリエステルポリオールは、これに限定されないが、ポリエチレンアジペートグリコール;ポリブチレンアジペートグリコール;ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール;o−フタレート−1,6−ヘキサンジオール;ポリ(ヘキサメチレンアジーペート)グリコール;及びこれらの混合物である。炭化水素鎖は飽和又は不飽和結合、又は置換又は未置換の芳香族及び環状基を有することができる。
【0078】
他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリカプロラクトンポリオールが含まれる。適切なポリカプロラクトンポリオールは、これに限定されないが、1,6−ヘキサンジオール−開始ポリカプロラクトン、ジエチレングリコール開始ポリカプロラクトン、トリメチロールプロパン開始ポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコール開始ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール開始ポリカプロラクトン、PTMEG開始ポリカプロラクトン、及びこれらの混合物である。炭化水素鎖は飽和又は不飽和の、又は置換又は未置換の芳香族及び環状基を有することができる。
【0079】
さらに他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリカーボネートポリオールが含まれる。適切なポリカーボネートは、これに限定されないが、ポリフタレートカーボネート及びポリ(ヘキサメチレンカーボネート)グリコールである。炭化水素鎖は飽和又は不飽和結合、又は置換又は未置換芳香族及び環状基を有することができる。1実施例では、ポリオールの分子量は約200〜約4000である。
【0080】
ポリアミン硬化剤もこの発明のポリウレタン組成物中に使用して好適であり、製品ボールの耐切断性、耐剪断性、および耐衝撃性が改善することがわかっている。好ましいポリアミン硬化剤は、これに限定されないが、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及びこのアイソマー;3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン及びこのアイソマー、例えば3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン、4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン);4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(”MCDEA”);ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート;N,N’−ジアルキルジアミノジフェニルメタン;p,p’−メチレンジアニリン(”MDA”);m−フェニレンジアミン(”MPDA”);4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)(”MOCA”);4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)(”MDEA”);4,4’−メチレン−ビス−(2,3−ジクロロアニリン)(”MDCA”);4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン;2,2’−3,3’−テトラクロロジアミノジフェニルメタン;トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエート;及びこれらの混合物である。好ましくはこの発明の硬化剤は、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及びそのアイソマー、例えばバトンルージュのアルバマール社(Albermarle Corporation of Baton Rouge,LA)から入手可能なEthacure(登録商標)300である。適切なポリアミン硬化剤は第1及び第2アミンの両者を含み、好ましくは、その分子量は約64〜約2000の範囲である。
【0081】
少なくとも一つのジオール、トリオール、テトラオール、又はヒドロキシ末端硬化剤を上述のポリウレタン組成物に添加することができる。適切なジオール、トリオール、及びテトラオール基は以下を含む:エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;低分子量ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;レゾルシノール−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;ヒドロキノン−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;及びこれらの混合物である。好ましいヒドロキシ−末端硬化剤は1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール、及びこれらの混合物である。好ましくは、ヒドロキシ−末端硬化剤の分子量は約48〜約2000の範囲である。ここで、分子量は、絶対重量平均文四郎であり、当業者が理解するとおりのものである。
【0082】
ヒドロキシ末端及びアミン硬化剤の両者は、一又は複数の飽和、不飽和、芳香族、及び環状基を含むことができる。さらに、ヒドロキシ末端及びアミン硬化剤は一又は複数のハロゲン基を含むことができる。ポリウレタン組成物を硬化剤のブレンド又は混合物によって製造することができる。しかしながら所望の場合には、ポリウレタン組成物を単一の硬化剤で製造することができる。
【0083】
この発明の好ましい実施例において、カバー層、特に外側カバー層を形成するのに使用する飽和ポリウレタンを注型可能な熱硬化性及び熱可塑性ポリウレタンの両者から選択することができる。
【0084】
この実施例において、この発明の飽和ポリウレタンは芳香族基又は部分を実質的に含まない。この発明に使用して好適な飽和ポリウレタンは、少なくとも1つのポリウレタンプレポリマーおよび少なくとも1つの飽和硬化剤の反応生成物である。ポリウレタンプレポリマーは少なくとも1つのポリオールおよび少なくとも1つの飽和ジイソシアネートの反応生成物である。当技術分野で周知のとおり、触媒を採用して硬化剤およびイソシアネートおよびポリオールの反応を促進させても良い。
【0085】
使用可能な飽和のジイソシアネートは、これに限定されないが、エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(”HDI”);2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン−1,12−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート(”IPDI”);メチルシクロヘキシレンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート(”TMDI”)。最も好ましい飽和ジイソシアネートは4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(”HMDI”)及びイソホロンジイソシアネート(”IPDI”)である。
【0086】
この発明で使用するのに適した飽和ポリオールは、これに限定されないが、ポリエーテルポリオール、例えばポリテトラメチレンエーテルグリコール及びポリ(オキシプロピレン)グリコールである。適切な飽和ポリステルポリオールは、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリカーボネートポリオール及びエチレンオキシドでキャップしたポリオキシプロピレンジオールである。この発明で有用な飽和ポリカプロラクトンポリオールは、ジエチレングリコール開始ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール開始ポリカプロラクトン、1,6−ヘキサンジオール開始ポリカプロラクトン;トリメチロールプロパン開始ポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコール開始ポリカプロラクトン、およびポリテトレメチルエーテルグリコール開始ポリカプロラクトンである。最も好ましい飽和ポリオールはPTMEG及びPTMEG開始ポリカプロラクトンである。
【0087】
適切な飽和硬化剤は、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、プロピレングリコール;トリメタノールプロパン;テトラ−(2−ヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン;シクロヘキシルジメチロールのアイソマーのアイソマー及び混合物、シクロヘキサンビス(メチルアミン)のアイソマーのアイソマー及び混合物;トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;ジエチレングリコールジ−(アミノプロピル)エーテル;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン;1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)シクロヘキサン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)シクロヘキサン;イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、1−メチル−2,4−シクロヘキシルジアミン、1−メチル−2,6−シクロヘキシルジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イミド−ビス−プロピルアミン、ジアミノシクロヘキサンのアイソマーのアイソマー及び混合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、及びジイソプロパノールアミン。最も好ましい飽和硬化剤は1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキシルジメチロール及び4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンである。
【0088】
代替的には、他の適切なポリマーは部分的、または十分に中和されたアイオノマー、メタローセン、または他のシングルサイト触媒ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、非イオン性熱可塑性エラストマー、コポリエーテル−エステル、コポリエーテル−アミド、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレンブロックコポリマー(例えばスチレン−ブタジエン−スチレン)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、その他、およびこれらのブレンドを含む。とくに、熱硬化性ポリウレタンまたはポリ尿素が、この発明のゴルフボールの外側カバー層用に好適である。
【0089】
さらに、ポリウレタンはポリ尿素と置換またはブレンドしてもよい。ポリ尿素は米国特許出願第11/061338に開示されており、参照してここに組み入れる。
【0090】
コアは架橋ゴムから製造できる。ベースゴムは典型的には天然ゴムまたは合成ゴムである。好ましいベースゴムは、少なくとも40%のシス構造の1,4−ポリブタジエンである。より好ましくは、ベースゴムは高ムーニ粘度のゴムを含む。所望の場合には、ポリブタジエンに、当業界で知られている他のエラストマー、例えば、天然ゴム、ポリスチレンゴムおよび/またはスチレンブタジエンゴムを混合してコアの特性を修正してもよい。ゴルフボールの外側層も架橋ゴムから製造できる。
【0091】
架橋剤は、不飽和脂肪酸の金属塩、例えば、3〜8の炭素原子の不飽和脂肪酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸の亜鉛塩またはマグネシウム塩である。適切な架橋剤は金属塩ジアクリレート、ジメタクリレートおよびモノメタクリレートであり、金属はマグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ナトリウム、リチウムまたはニッケルである。架橋剤は、100部のゴムあたり、約15から約30部、好ましくは、約19から約25部、最も好ましくは約20から約24部存在する。この発明のコア組成物は、所望の場合には、少なくとも1つの有機または無機シス−トランス触媒を含んでポリブタジエンのシス−アイソマーをトランス−アイソマーに変換してもよい。
【0092】
開始剤は硬化サイクルで分解する重合開始剤として知られている。適切な開始剤は、ペルオキシド化合物、例えば、1,1−ジ−(t−ブチルペロキシ)、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、a−aビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンまたはジ−t−ブチルペルオキシドおよびこれらの混合物である。
【0093】
フィラーは、コアの密度、その他の特性を修正する化合物または組成物であり、典型的には、タングステン、酸化亜鉛、硫化バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、金属、金属酸化物および塩、リグリンド(典型的には約30メッシュに粉砕したリサイクルコア材料)、高ムーニー粘度ゴムリグリンド等のような材料である。硬化処理に先立って、または硬化または架橋処理の間に、ポリブタジエンおよび/またはゴムまたはエラストマーを含む任意の他のジエンを発泡化でき、または空洞の微小球または硬化処理中の硬化温度で拡張する拡張可能球を充填して任意の低比重レベルにすることができる。架橋ゴムは、コアのみでなく、ゴルフボールの任意の部分を製造するのに使用できる。
【0094】
中間層またはカバー層は比較的堅固なポリマー、例えば、エチレンと不飽和モノカルボン酸のイオン性コポリマーから製造でき、これはウィルミントンのデュポン(E.I.DuPont de Nemours & Co.,Wilmington,DE)の登録商標SURLYNとして又はエクソン(Exxon)のIOTEK又はESCORとして入手可能である。これらは亜鉛、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、マンガン、ニッケル等により部分的に中和したメタクリル酸又はアクリル酸とエチレンとのコポリマー又はターポリマーであり、これらの塩は2〜8の炭素原子を有するオレフィンと3〜8の炭素原子を有する不飽和カルボン酸との反応生成物である。コポリマーのカルボン酸基は全て又は部分的に中和されていてもよく、かつメタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸又はイタコン酸を含むことができる。
【0095】
他の適切な材料は1または複数のホモポリマーまたはコポリマーを含んでよく、例えば次のものである。
(1) ビニル樹脂、例えば塩化ビニルの重合によって製造したもの、又は塩化ビニルと酢酸ビニル、アクリルエステル又は塩化ビニリデンとの共重合によって製造したもの;
(2) ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びコポリマー、例えばエチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンビニルアセテート、エチレンメタクリル酸又はエチレンアクリル酸又はプロピレンアクリル酸及び単一サイト触媒又はメタローセン触媒を使用して製造したコポリマー及びホモポリマー;
(3) ポリウレタン、上述のとおり;
(4) ポリ尿素、上述のとおり;
(5) ポリアミド、例えばポリ(ヘキサメチレンアジパミド)及びその他のジアミンと二塩基酸から製造したもの、及びアミノ酸、例えばポリ(カプロラクタム)から製造したもの、及びポリアミドとSURLYN、ポリエチレン、エチレンコポリマー、エチル−プロピレン−非共役ジエンターポリマー、及び類似物とのブレンド;
(6) アクリル樹脂及びこれらの樹脂とポリ塩化ビニル、エラストマー、及び類似物とのブレンド;
(7) 熱可塑性物、例えばウレタン;オレフィン系熱可塑性ゴム、例えばポリオレフィンとエチレン−プロピレン−非共役ジエンターポリマーとのブレンド;スチレンとブタジエン、イソプレン又はエチレン−ブチレンゴムのブロックコポリマー;又はコポリ(エーテル−アミド)、例えばフィラデルフィアのエルフ アトケム(ELF Atochem of Philadelphia,PA)が市販するPEBAX;
(8) ポリフェニレンオキシド樹脂又はポリフェニレンオキシドと高耐衝撃性ポリスチレンとのブレンドであってゼネラルエレクトリック社(General Electric Company of Pittsfield,MA)によりNORYLの商標名で市販されているもの;
(9) 熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/グリコール変性及びエラストマーであってデュポン社(E.I. DuPont de Neumours & Co. of Wilmington,DE)により商標名HYTRELの名称で、またゼネラルエレクトリック社(General Electric Company of Pittsfield,MA)によりLOMODの名称で市販されているもの;
(10) アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、スチレン無水マレイン酸、ポリエチレン、エラストマー、及び類似物を有するポリカーボネート、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン又はエチレン酢酸ビニル又は他のエラストマーを有するポリ塩化ビニルを含むブレンド及び混合物;及び
(11) 熱可塑性ゴムとポリエチレン、プロピレン、ポリアセタール、ナイロン、ポリエステル、セルロースエステル、及び類似物とのブレンド。
【0096】
好ましくは、中間またはカバー層はつぎのようなポリマーを含む。すなわち、エチレン、プロピレン、ブテン−1又はヘキサン−1を塩基とするホモポリマー又はコポリマーであって官能性モノマー、例えばアクリル酸及びメタクリル酸を含むもの及び完全に又は部分的に中和したアイオノマー樹脂及びこれらのブレンド、メチルアクリレート、メチルメタクリレートホモポリマー及びコポリマー、イミド化した、アミノ基を含むポリマー、ポリカーボネート、強化ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、高耐衝撃性ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリ(フェニレンスルフィド)、アクリロニトリル−ブタジエン、アクリル−スチレン−アクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(テトラフルオロエチレン)及びこれらのコポリマーであって官能性コモノマーを含むもの、及びこれらのブレンド。適切なカバー組成物はさらにポリエーテル又はポリエステル熱可塑性ウレタン、熱硬化性ポリウレタン、低モジュラスアイオノマー、例えば酸を含むエチレンコポリマーアイオノマーを含み、Eがエチレンであり、Xが約0〜50重量%存在するアクリレート又はメタクリレートを塩基とする柔軟化コモノマーであり、かつYが約5〜35重量%存在するアクリル酸又はメタクリル酸であるE/X/Yターポリマーを含む。好ましくは、飛距離を最大化するように設計された低スピンレートの実施例では、アクリル酸またはメタクリル酸を約16〜35重量%含み、アイオノマーを高弾性率のアイオノマーにする。高スピンの実施例では、内側カバー層は、酸が約10〜15重量%存在するアイオノマーを含み、また軟化用のコモノマーを含む。さらに、高密度ポリウレタン(「HDPE」)、低密度ポリウレタン(「LDPE」)、LLDPE、およびポリオレフィンのホモポリマーおよびコポリマーが種々のゴルフボール層に適切である。
【0097】
作業例における他の事柄、または、とくに明言しなくとも、すべての数値範囲、量、値、百分率、例えば材料の量についてのこれら、および明細書中の他のものは、たとえその値、量または範囲に関連して用語「約」が表示されていなくとも、「約」がその前に配置されているように読むことができる。したがって、そうでないと示されていない限り、明細書および特許請求の範囲に表される数のパラメータは近似的であり、これは、この発明により得られることが企図される所望の特性に応じて変化する。最低限でも、もちろん均等論の適用を制約するものではないが、各数のパラメータは記録されている有効数字の数や通常の丸め処理に照らして解釈されるべきである。
【0098】
この発明の広範な範囲を示す数的範囲およびパラメータは近似的であるけれども、具体例において示された数値は可能な限り正確に記録した。任意の数値は、それでも、それぞれのテスト計測に見いだされる標準偏差に必然的に起因する誤差を含む。さらに、種々のスコープの数値範囲が示される場合には、例示された値を含めた値の任意の組み合わせが利用できると理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】CORおよび比重の間の関係を説明するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア、中間層およびカバーを有するゴルフボールにおいて、上記中間層は高中和ポリマーを含んでなり、上記中間層の比重は1.05未満に減少され、上記中間層の比重の3%から15%の減少がボールの反発係数の減少を最小化することを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】
上記コアはポリブタジエンを含んでなる請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】
上記比重の減少は発泡化による請求項1記載のゴルフボール。
【請求項4】
上記比重の減少は拡張可能微小球による請求項1記載のゴルフボール。
【請求項5】
上記高中和ポリマーは、エチレンと、α,β−不飽和カルボン酸とのコポリマー、エチレンと、α,β−不飽和カルボン酸と、n−アルキルアクリレートとのターポリマであり、酸は、少なくとも80%、有機酸の塩、カチオン源、または有機酸の適切な塩基により中和される1記載のゴルフボール。
【請求項6】
上記高中和ポリマーは有機酸の塩、カチオン源、または有機酸の適切な塩基により十分に中和されている請求項5記載のゴルフボール。
【請求項7】
上記高中和ポリマーはメルトプロセス可能な熱可塑性組成物を有し、この組成物は、(a)36個未満の炭素原子を有する1または複数の脂肪族、モノ官能性、飽和または不飽和有機酸、および、(b)エチレン、C3−8のα,β−エチレン系不飽和カルボン酸コポリマーおよびそのアイオノマーを有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項8】
上記高中和ポリマーは(a)高分子量の有機酸の塩、および、(b)酸含有コポリマーアイオノマーを有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項9】
上記高中和ポリマーは、さらに、(c)コ−ポリエステルエステル、コポリエーテルアミド、ブロックスチレンポリジエン熱可塑性エラストマー、エラストマー性ポリオレフィン、および熱可塑性ポリウレタンから選択された熱可塑性ポリマーを有する請求項8記載のゴルフボール。
【請求項10】
上記コアおよび中間層の径は1.45インチから1.66インチである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項11】
上記ボールの慣性モーメントは85g・cmより大きく、上記コアの比重が少なくとも3%減少されている請求項1記載のゴルフボール。
【請求項12】
上記ボールの慣性モーメントは85g・cmより大きく、さらに、上記中間層の周りに比重が2より大きな薄い高密度層を有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項13】
少なくとも1つのコアおよび中間層を具備する部品組立体を有するゴルフボールにおいて、上記部品組立体の径が少なくとも1.45インチであり、上記コアの径が0.75インチ以下であり、上記中間層の比重が3%から15%減少させられ、上記部品組立体の反発係数の減少が6%未満であることを特徴とするゴルフボール。
【請求項14】
少なくとも1つのコアおよび中間層を具備する部品組立体を有するゴルフボールにおいて、上記部品組立体の径が少なくとも1.45インチであり、上記コアの径が0.75インチ以下であり、上記中間層の比重が15%から32%減少させられ、上記部品組立体の反発係数の減少が13%未満であることを特徴とするゴルフボール。
【請求項15】
少なくとも上記中間層が高中和ポリマーから製造される請求項14記載のゴルフボール。
【請求項16】
少なくとも1つのコアおよび中間層を具備する部品組立体を有するゴルフボールにおいて、上記部品組立体がカバーにケーシングされ、上記中間層の比重が0.95に減少させられ、上記部品組立体の比重が2%から5%減少させられ、上記部品組立体の反発係数の減少が2%未満より小さくされていることを特徴とするゴルフボール。
【請求項17】
少なくとも1つのコアおよび中間層を具備する部品組立体を有するゴルフボールにおいて、上記部品組立体がカバーにケーシングされ、上記中間層の比重が0.95に減少させられ、上記部品組立体の比重が5%から8%減少させられ、上記部品組立体の反発係数の減少が3%未満より小さくされていることを特徴とするゴルフボール。
【請求項18】
少なくとも上記中間層が高中和ポリマーから製造される請求項17記載のゴルフボール。
【請求項19】
上記コアは上記高中和ポリマーから製造される請求項18記載のゴルフボール。

【図1】
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【公開番号】特開2007−136206(P2007−136206A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−313690(P2006−313690)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY