説明

改良型自己解除房掛金具

【課題】カーテンが強制的に引かれた際に確実に房掛けを自己解除し、また、度々の使用に際しても、引掛金具と球面部材の結合、及び弾性部材の両端の固定が確実になされる構成とする。
【解決手段】開口側に凹球面座10dを形成された取付金具10を備え、弾性手段13により常時前記凹球面10dに張引されつつ回転自由に摺動する凸面12aを有する中空半割り形状の球面部材12を備え、該球面部材12のほぼ中心を貫通し伸びるシャフト15を介し、該球面部材12と引掛部材11をナット17で確実に結合する構成とし、そして、前記弾性部材13は夫々両端を前記シャフト15の他端15aにナット18で固定されたバネ支持部材14及び前記取付金具10の背面に形成された肩部10dとネジ16で回転方向動きを固定されて付勢されていることを特徴とする自己解除房掛金具を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動カーテンの使用時及びカーテンを強制的に閉じた時に房掛けを自己解除できる房掛金具に関する改良である。
【背景技術】
【0002】

最近、電動カーテンが養護施設や病院で使用されてきている。これは、寝たきりでもリモコン操作(遠隔操作)でカーテンの開閉が自由にできるからである。しかしながら、そこにいる看護人とかお付の人は手でカーテンを開ける場合もあるし、カーテンを房で房掛金具に止めることもある。このようにカーテンが房掛けに止められた状態で電動カーテンのリモコンが操作され、このようなことが頻繁になると電動カーテンかカーテンが損傷する。
【0003】
このようにカーテンが房掛けに止められた状態で電動カーテンのリモコンが操作された際にカーテンの房紐が自己解除されて、カーテンの開閉に支障をきたさない房掛金具が考案されている。
しかしながら、これらの房掛金具は充分満足いくものでなく3つの欠点がある。
1つは房掛金具の引掛部材が取付面から見て時計および反時計回りに回転するだけなので房紐の掛かり方如何では解除されないことが生じる。例えば、取付面に垂直に引かれた場合は解除されない。
2つ目は房紐が運悪くL字の引掛け部材の底部に掛かっている場合には、カーテンが引かれても引掛け部材を回転させることができなく、完全にロックしてしまう。
【特許文献1】特許公開2004−216079 3つ目は引掛部材と球面部材の固定が通常のねじ締結では、引掛部材の度々の回転の動きにより、ねじが緩みやすく、また、弾性部材の両端を回転、湾曲荷重に対し確実に固定することが困難であり、弾性部材がはずれ、結果として、房掛金具が破損に至る場合が多く、こうした不本意な自己房掛解除が行えなくことにより、電動カーテンのモータ焼付といった最悪のトラブルを引き起こす結果となる。
【特許文献2】特願2006−078067
【0004】
従って、特に養護施設や病院のように多くの健常者、身障者、お年寄りが電動カーテンを手引きしたり、リモコン操作したり、房掛けしたりしても確実に自己解除され、且つ、破損しない安全性の高い房掛金具が要求されている。
また、一般家庭でもカーテンを閉じる際に、房掛けを外さずに、カーテンを少し強く引くことで、房紐を解き、束ねられたカーテンを安全確実に閉じることが可能となり、日々の利便性も増すようなことも最近望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この様な問題解決のため、カーテンが強制的に引かれた際に確実に房掛けを自己解除し、また、度々の使用に際しても、引掛金具と球面部材の結合、及び弾性部材の両端の固定が確実になされ緩みなどを生じない構成とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開口側に凹球面座10dを形成された取付金具10を備え、弾性手段13により常時前記凹球面10dに張引されつつ回転自由に摺動する凸面12aを有する中空半割り形状の球面部材12を備え、該球面部材12のほぼ中心を貫通し伸びるシャフト15を介し、該球面部材12と引掛部材11をナット17で確実に結合する構成とし、そして、前記弾性部材13は夫々両端を前記シャフト15の他端15aにナット18で固定されたバネ支持部材14及び前記取付金具10の背面に形成された肩部10eとネジ16で回転方向動きを確実に固定されて付勢されていることを特徴とする自己解除房掛金具を提供する。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、電動カーテン用のカーテンの房掛金具8に房紐の固定側6を取り付ける場合に、引掛部材11を手前に引きつつ、左、もしくは右に回転させながら房の固定側紐6を引掛部材11のL字底部に取付、その後、引掛部材11を一旦開放すると腕11bが固定側紐を閉塞し、どのように引張っても取り外せない状態にできる。
また、房4でカーテン3を束ね房紐5を引掛部材11の引掛頭11aに掛けると、房紐5は前記引掛部材11の底部まで落ちることはなく腕11bから上の比較的浅い箇所に引っかかることになる。また、引掛部材11はカーテンが引かれた時のどの方向からの引張荷重に対しても傾斜することで、前記房紐5を速やかに自己解除することができる。
更に、前記中空半割り形状の球面部材12を前記シャフト15の肩部15dと引掛部材11を共にナット17で締結することで前記球面部材の半球端12bが前記引掛部材11の窪み11cに食い込み確実に固定される。そして、前記弾性部材13は一端をネジ16で確実に固定され、他端をバネ支持部材14に溶接接合或いはナット締めで固定することで弾性部材13の如何なる動きに対しても両端が確実に固定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】

電動カーテンをリモコンで操作する場合は、セットで本房掛金具を使用し、カーテンを不本意に房紐で束ねる場合のリモコン操作に対しても安全を確保する。更に、束ねられたカーテンを少し強く引いて房掛を解除したいという通常の使い方をしたい場合にも本自己解除房掛金具を使用すると便利である。
【実施例1】
【0009】
図1は電動カーテンと本発明の房掛金具を取り付けた状況を全体構成で示すものである。電動カーテン1は複数のランナ2を有しており、該ランナ2にカーテン3の上端がクリップ等で固定され、リモコン操作でカーテン3が開閉される。図1はカーテン3が開けられた位置で、カーテンの房4の紐5、6で柱7に取り付けられた房掛金具8により束ねられた状態を示す。房紐6は該房掛金具8の底部に常に掛けられ、房紐5はカーテンを束ねる際には該房掛金具8の上部に引掛けられる。

【0010】
図2は本発明による房掛金具の実施例を断面図で示したものである。房掛金具8は取付金具10、引掛部材11、該引掛部材11にシャフト15を介しナット17止めされる中空半割りの球面部材12、該球面部材12を常時張引側に付勢する弾性部材13、及び、該弾性部材13の一端を支承するバネ支持材14で構成されている。前記取付金具10は開口側に形成された凹球面座10dを有し、前記球面部材12に形成された凸面12aが常時前記凹球面10dに弾性部材13により押圧されつつ全方向回転自由に摺動する構成となっている。また、前記中空半割り形状の球面部材12を前記シャフト15の肩部15dと引掛部材11を共にナット17で締結することで前記球面部材の半球端12bが前記引掛部材11の窪み11cに食い込み確実に固定される構成となっている。
そして、前記弾性部材13は一端をネジ16で房掛金具10の肩部10dに確実に固定され、他端をバネ支持部材14の端部14aに溶接で接合することで弾性部材13の如何なる動きに対しても両端が確実に固定される構成となっている。また、該バネ支持材14に形成されたメス側キー14bは前記シャフト15に形成されたオス側キー溝15cで回転方向動きを規制されて嵌合され、且つ、ナット18と前記シャフト15の一端に形成されたネジ部15aで前記バネ支持部材14は前記シャフト15に固定される構成となっている。従って、前記引掛部材11と一体の前記球面部材12が左右前後に回転しても、弾性部材13の働きにより元の中立位置に復元する構成となっており、度々の動きに対しても各部位の固定は外れることがない。
更に、前記引掛部材11はカーテンの房紐5、6を引掛けるための引掛頭11aと分岐した腕11bを有し、房掛けの背部10bと該腕11bの間に底部空間9aおよび上部開口部9bを形成する。
該空間9aには、房紐6の一端が常時掛けられ、前記上部開口部9bにはカーテンを束ねた後の房紐5が掛けられる構成となっている。
【0011】
図3は本発明による房掛金具の他の実施例を断面図で示したものである。特に、房掛金具10’の開口部に受座部材19を分離して配設し、バネ支持部材をシャフトで兼用したことを特徴とする。該受座部材19は中空半割り形状の球面部材12’に回転自由に当接する凹或いは凸球面19aを有し、且つ、取付金具の孔10’hに嵌合するシリンダ部19bを具備している。該シリンダ部19bと房掛金具10’の内径側に弾性部材13’の一端が嵌合し、ネジ16’で確実に固定される構成となっている。また、前記受座部材19は、熱処理により硬化され、磨耗に対しても強くなるというメリットを有する。
また、シャフト15’の他端に形成されたネジ部15'aは溝部15'bを有する。該溝15'bにはコイルスプリング13'の一端である曲がり部13'aがA-A断面で示すように付設され、ナット18'で確実に前記曲がり部13'aが固定される。従って、コイルスプリング13'は両端を規制されているため軸方向及び回転方向の動きに対して復元する作用を生じる構成となっている。
【図面の簡単な説明】
【0012】

【図1】図1は電動カーテンと本発明の房掛金具を取り付けた状況を全体構成を示すものである。
【図2】本発明による房掛金具の実施例を断面図で示したものである。
【図3】本発明による房掛金具の他の実施例を断面図で示したものである。
【符号の説明】
【0013】
1 電動カーテン
2 ランナ
3 カーテン
4 房
5 固定側房紐

6 引掛側房紐
7 柱
8 房掛金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】

電動カーテンの使用時及びカーテンを強制的に閉じた時に房掛けを自己解除できる房掛金具において、柱等に直接取り付けられ、房掛けの背部を形成し、且つ、開口側に凹球面座を形成された取付金具を備え、弾性手段により常時前記凹球面に張引されつつ回転自由に摺動する凸面を有する中空半割りの球面部材を備え、該球面部材のほぼ中心を貫通し伸びるシャフトを介し、該球面部材に固定され、且つ、カーテンの房を引掛けるための腕を有する引掛部材を備え、また、前記弾性部材は夫々両端を前記シャフトの他端に固定されたバネ支持部材及び前記取付金具の背面に形成された肩部でネジ止で回転方向動きを固定されて付勢されていることを特徴とする自己解除房掛金具。
【請求項2】
請求項1の中空半割り形状の球面部材に回転自由に当接する凹或いは凸球面を有し、且つ、弾性部材の一端を固定すべく取付金具に嵌合する受座部材を備えたことを特徴とする自己解除房掛金具。
【請求項3】
請求項1のシャフトの他端には割溝付きネジが形成され、該割溝に弾性部材の一端を縦断する方向に付設し、且つ、ナットにより該弾性部材の一端を確実に固定するシャフトを備えたことを特徴とする自己解除房掛金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−275207(P2007−275207A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103708(P2006−103708)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(301010892)百瀬機械設計株式会社 (16)
【出願人】(592174154)和光技研工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】