説明

放射線画像撮影システム、コンソール

【課題】コンソールの可搬性を向上させることにより、放射線画像撮影にかかる時間を短縮して撮影効率を向上させることが可能な放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【解決手段】X線制御室R2には、X線画像撮影システム全体を制御し、X線画像撮影の制御や取得したX線画像の画像処理を行う可搬性を備えた携帯型のコンソール1が設けられている。コンソール1は、同じくX線制御室R2に設置された無線中継器2と無線通信をするようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システム、コンソールに係り、特に、無線通信手段を備えた放射線画像撮影システム、コンソールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療診断には、X線画像に代表される放射線画像が広く用いられている。放射線画像とは、被写体にX線等の放射線を照射し、この被写体を透過した放射線の強度分布を検出することによって得られる画像のことである。
【0003】
この放射線画像を得るために、CR(Computed Radiography)やフィルムを用いた撮影装置が知られている。しかし、CRを用いた放射線画像撮影システムは、放射線を照射してから撮影した画像を確認するまでに数十秒から数分という長時間を要するため、撮影した画像の不良を確認したときには、撮影室外にいる被写体を呼び戻し、再撮影を行う必要が生ずるおそれがある。
【0004】
このため、近年では、放射線画像を得るために、被写体を透過した放射線を検出して電気信号に変換し、放射線画像情報として蓄積するFPD(Flat Panel Detector)を用い
た放射線画像撮影システムが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。このFPDを用いた放射線画像撮影システムは、放射線を照射してから撮影した画像を数秒という短時間で画像を確認することができる。
【0005】
また、放射線画像撮影装置に対して複数の無線通信が可能なFPDが存在するときに、個々のFPDに識別番号を付与することによってコンソールが各FPDを認識し、制御できるような技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。無線通信が可能なFPDは可搬性の向上が可能であり、また、放射線画像撮影をするときに、複数のFPDを識別しながら用いることができるので、撮影効率を上げることができる利点がある。
【特許文献1】特開2002−200062
【特許文献2】特開2002−200063
【特許文献3】特開2002−191586
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3のように、FPDの可搬性が向上しても、コンソールがFPDから離れた場所、例えばコンソールと別の部屋にある放射線照射スイッチの近傍に置かれている場合には、操作者がコンソールで放射線撮影による画像の確認をしてからFPDの操作をするために部屋を移動する必要が生じ、画像撮影の作業に時間や手間がかかるという問題を有している。
【0007】
本発明は、前記した点に鑑みてなされたもので、コンソールの可搬性を向上させることにより、放射線画像撮影にかかる時間を短縮して撮影効率を向上させることが可能な放射線画像撮影システムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
生成した画像データをカセッテ通信部を介して通信するカセッテと、
前記カセッテ通信部と無線通信をするコンソール通信部と、前記コンソール通信部の駆動を制御するコンソール制御部とを備えたコンソールとが、通信ネットワークを介して通信可能である放射線画像撮影システムにおいて、
前記コンソールは、前記コンソール単体で持ち運べる可搬性を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記コンソールは、前記コンソールへの電力供給源であるコンソール電源を内部に備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記コンソールは、文字や画像を表示する表示部を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記カセッテは、前記カセッテへの電力供給源であるカセッテ電源と、前記カセッテ電源の駆動を制御するカセッテ制御部とを内部に備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、
生成した画像データをカセッテ通信部を介して送信するカセッテと無線通信するコンソール通信部と、前記通信を制御する制御部とを備えたコンソールにおいて、
前記コンソール単体で持ち運べる可搬性を備えていることを特徴とするコンソールであることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のコンソールにおいて、電力供給源であるコンソール電源を内部に備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載のコンソールにおいて、文字や画像を表示する表示部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、可搬性のコンソールを用いた放射線画像システムを提供することができるので、操作者が放射線照射後コンソールを容易に移動させながら作業をすることができるので、撮影効率を向上させることができる効果を奏する。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、コンソールの内部にコンソール電源を備えているので、より可搬性が向上し、撮影効率を向上させることができる効果を奏する。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、コンソールに表示部が備えてあるため、可搬性のコンソールにより文字や画像を確認することができる効果を奏する。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、カセッテが内部電源であるカセッテ電源を備えているため可搬性を備える。これによって、操作者が自由にカセッテを移動させることができるので、撮影効率をさらに向上させることができる効果を奏する。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、可搬性のコンソールを用いて操作者が放射線照射後コンソールを容易に移動させながら作業をすることができるので、撮影効率を向上させることができる効果を奏する。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、コンソールの内部にコンソール電源を備えているので、より可搬性が向上し、撮影効率を向上させることができる効果を奏する。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、コンソールに表示部が備えてあるため、可搬性のコンソールにより文字や画像を確認することができる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0023】
図1〜4を参照しながら本発明に係るX線画像撮影システムの実施形態について説明する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係るX線画像撮影システム1000は、病院内で行われるX線画像撮影を想定したシステムであり、例えば、被写体にX線を照射するX線撮影室R1と、X線技師が被写体に照射するX線の制御や、X線を照射して取得したX線画像の画像処理等を行うX線制御室R2とに配置されるものである。
【0025】
X線制御室R2には、X線画像撮影システム全体を制御し、X線画像撮影の制御や取得したX線画像の画像処理を行う可搬性を備えたコンソール1が設けられている。
コンソール1は、同じくX線制御室R2に設置された無線中継器2と無線通信をするようになっている。また、コンソール1は、可搬性を備えているため、X線制御室R2内だけではなくX線撮影室R1内にも自由に移動させることができる。コンソール1がX線撮影室R1内に移動したときは、カセッテ5と直接無線通信をするようになっている。
【0026】
また、X線制御室R2には、操作者が撮影準備指示または撮影指示を入力する操作入力部3が、無線中継器2と通信ケーブルにより接続した状態で配置されている。操作入力部3としては、例えば、X線照射要求スイッチや、ジョイスティック等を用いることが可能である。
【0027】
コンソール1には、X線画像などを表示する表示部11が備えてられており、コンソール1を構成している表示制御部12により表示が制御される。表示部11としては、例えば、液晶モニタや電子フィルム等を用いることができ、この表示部11には、X線撮影条件や画像処理条件等の文字及びX線画像を表示するようになっている。
【0028】
表示制御部12は、コンソール制御部14の制御に基づいて、表示部11が画像データや文字データなどに基づいた画像や文字などを表示するように制御する。表示制御部12には、グラフィックボード等を用いることができる。
【0029】
また、コンソール1には、入力部13、コンソール制御部14、コンソール通信部15、画像保存部16、画像処理部17、コンソール電源18等が備えられている。表示制御部12、入力部13、コンソール制御部14、コンソール通信部15、画像処理部17、画像保存部16、コンソール電源18は、それぞれバスに接続しており、データ交換可能である。
【0030】
入力部13としては、例えば、タッチパネル、キーボード等を用いることが可能であり、操作者が入力部13を介して、X線管電圧やX線管電流、X線照射時間等のX線撮影条件、撮影部位、撮影方法等のX線撮影制御条件、画像処理条件、画像出力条件、カセッテ選択情報、オーダ選択情報、被写体ID等の指示内容を入力する。
【0031】
コンソール制御部14は、入力部13から入力された指示内容やHIS/RIS71のオーダ情報に基づいて撮影条件を決定し、コンソール通信部15を介してX線源4とカセッテ5とに撮影条件に関する撮影条件情報を送信し、X線画像撮影の際にX線源4とカセッテ5とを制御する。また、コンソール制御部14は、カセッテ5からコンソール通信部15が受信したX線画像データを画像保存部16に一時保存させる。また、コンソール制御部14は、画像処理部17が画像保存部16に一時保存したX線画像データからサムネイル画像データを作成するように制御する。表示制御部12は、作成されたサムネイル画像データに基づいて、表示部11がサムネイル画像を表示するように制御する。そして、コンソール制御部14は、画像処理部17がX線画像データに対して入力部13が受信した指示内容やHIS/RIS71のオーダ情報に基づいた画像処理を行い、この画像処理されたX線画像データを画像保存部16が保存するように制御する。そして、画像処理部17が画像処理したX線画像データに基づいて、表示部11が処理結果のサムネイル画像を表示するように、表示制御部12を制御する。更に、コンソール制御部14は、その後に入力部13を介してコンソール1に入力された指示内容に基づいて、X線画像データの再画像処理やその画像処理結果の表示をしたり、又、X線画像データをネットワーク上の外部装置に転送、保存、表示する。
【0032】
コンソール制御部14としては、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリが搭載されているマザーボードを適用することが可能である。
CPUは、ROMまたはハードディスクに記憶されているプログラムを読み出し、RAM上にプログラムを展開し、展開したプログラムに従ってコンソール1の各部、X線源4、カセッテ5、外部装置を制御する。また、CPUは、ROMまたはハードディスクに記憶されているシステムプログラムをはじめとする各種処理プログラムを読み出してRAM上に展開し、後述する各種処理を実行する。
RAMは、揮発性のメモリであり、コンソール制御部14のCPUにより実行制御される各種処理において、ROMから読み出されてCPUで実行可能な各種プログラム、入力もしくは出力データ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
ROMは、例えば、不揮発性のメモリであり、CPUで実行されるシステムプログラム、システムプログラムに対応する各種プログラムなどを記憶する。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
また、ROMの代わりにハードディスクを用いてもよい。この場合、ハードディスクは、CPUで実行されるシステムプログラムと各種アプリケーションプログラムを記憶する。また、ハードディスクは、その一部もしくは全部をサーバ等の他の機器からネットワーク回線の伝送媒体を介してコンソール通信部15から、本発明のプログラムなどの各種アプリケーションプログラムを受信して記憶するようにしてもよい。更に、CPUは、ネットワーク上に設けられたサーバのハードディスクなどの記憶装置から本発明のプログラム等の各種アプリケーションプログラムを受信し、RAM上に展開して、本発明の処理などの各種処理をするようにしてもよい。
なお、本実施形態では、表示制御部12とコンソール制御部14とが別個に設けられた例であるが、表示制御部とコンソール制御部とが一体となって設けられていても良い。例えば、コンソール制御部としてCPU及びメモリが搭載されているマザーボードを用い、表示制御部としてこのマザーボードに内蔵されたグラフィックサブシステムを用いることが挙げられる。また、コンソール制御部14が表示制御部を兼ねても良い。また、本実施形態では、画像処理部17は、コンソール制御部14と別個に設けられているが、画像処理部を兼ねるコンソール制御部14を用いても良い。
【0033】
コンソール通信部15は、無線中継器2を介してX線源4及びカセッテ5と通信可能であり、指示内容に基づいた制御信号をX線源4及びカセッテ5に送信可能である一方、カセッテ5からのX線画像データを受信可能である。なお、コンソール1がX線撮影室R1内に移動したときは、コンソール通信部15は、無線中継器6を介さずに、カセッテ通信部52と無線通信するようになっている。
また、コンソール通信部15は、コンソール1と外部装置との間で各種情報の通信を行うものである。外部装置としては、例えば、HIS/RIS(Hospital Information System/Radiology Information System:病院内情報システム/放射線科情報システム)端末71、イメージャ72、画像処理端末73、ビューワ74、ファイルサーバ75等を接続することが可能である。コンソール通信部15は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)等所定のプロトコルに従ってX線画像データを外部装置に出力する。
HIS/RIS端末71は、HIS/RISから、被写体の情報や撮影部位及び撮影方法などを取得し、コンソール1に提供する。イメージャ72は、コンソール1から出力されたX線画像データに基づいてX線画像をフィルムなどの画像記録媒体に記録する。画像処理端末73は、コンソール1から出力されたX線画像データの画像処理やCAD(Computer Aided Diagnosis:コンピュータ診断支援)のための処理をして、ファイルサーバ75に保存する。ビューワ74は、コンソール1から出力されたX線画像データに基づいてX線画像を表示する。ファイルサーバ75は、処理画像処理されたX線画像データを保存するファイルサーバである。コンソール通信部15は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)等所定のプロトコルに従ってX線画像データを外部装置に出力する。
【0034】
画像保存部16は、コンソール通信部15がカセッテ5から受信したX線画像データの一時保存や、画像処理されたX線画像データの保存を行う。画像保存部16としては、大容量かつ高速の記憶装置であるハードディスク、シリコンディスク等を用いることが可能である。
【0035】
画像処理部17は、コンソール通信部15がカセッテ5から受信したX線画像データを画像処理する。画像処理部17では、指示内容に基づいて画像データの補正処理、拡大圧縮処理、空間フィルタリング処理、リカーシブ処理、階調処理、散乱線補正処理、グリッド補正処理、周波数強調処理、ダイナミックレンジ(DR)圧縮処理等の画像処理が行われる。
【0036】
コンソール電源18には、バッテリー、電池等の内部電源(図示せず)が用いられており、コンソール1を構成する各部に電力を供給している。コンソール電源18としてバッテリーが用いられるときは、充電をする必要がある。
【0037】
X線撮影室R1には、被写体にX線を照射するX線源4と、被写体に照射されたX線を検出してX線画像データを取得するカセッテ5とが配置される。本実施形態においるカセッテ5は、携帯可能なものである。
さらに、X線撮影室R1には、X線制御室R2に配置された無線中継器2と通信ケーブル8により接続されている無線中継器6が設置されている。無線中継器6は、カセッテ5と無線通信をするようになっており、カセッテ5が取得した画像データが無線中継器6を介してコンソール1に送信され、又、コンソール1から送信された制御信号が無線中継器6を介してカセッテ5に受信される。また、無線中継器6は、X線源4と通信ケーブルを介して通信するようになっており、操作入力部3から入力された撮影準備指示または撮影指示や、コンソール1からの制御信号がX線源4に送信されるようになっている。
また、無線中継器6は、カセッテ5の充電器の機能と、カセッテ5の未使用時におけるホルダの機能とを具備している。無線中継器6にはコネクタが備えられており、このコネクタとカセッテ5とが接続されるとカセッテ5のカセッテ電源51が充電される。このとき、無線中継器6は、カセッテ5の着脱が容易なように形成されていることが好ましい。また、本発明において、無線中継器6は、カセッテ5の充電器としての機能の他に、カセッテ5が未使用時におけるホルダとしての機能を有する。
【0038】
X線源4には、高圧電圧を発生する高圧発生源41及び高圧発生源41により高圧電圧が印加されるとX線を発生するX線管42が配設されている。X線管42のX線照射口には、X線照射範囲を調整するX線絞り装置(図示せず)が設けられている。X線絞り装置は、コンソール1からの制御信号に従ってX線照射方向を制御するので、X線照射範囲が撮影領域に応じて調整される。さらに、X線源4には、X線源制御部43が配設されており、高圧発生源41及びX線管42は、X線源制御部43とそれぞれ接続されている。X線源制御部43は、コンソール通信部15から送信された制御信号に基づいて、X線源4の各部を駆動制御する。すなわち、高圧発生源41、X線管42を制御する。
【0039】
カセッテ5には、X線源4から被写体を透過したX線が入射する。カセッテ5は、X線撮影前に、被写体の所望の位置にX線が透過するように操作者により位置を調整される。
カセッテ5には、カセッテ電源51、カセッテ通信部52、カセッテ制御部53、パネル54が配設されている。カセッテ電源51、カセッテ通信部52、カセッテ制御部53、パネル54は、それぞれカセッテ5内のバスに接続されている。
【0040】
カセッテ電源51は、カセッテ5内に配設された各部に電力を供給する。カセッテ電源51には、充電可能でかつ撮影時に消費する電力に対応可能なコンデンサが設けられている。コンデンサとしては、電解二重層コンデンサを適用することが可能である。また、カセッテ電源51としては、電池交換が必要なマンガン電池、ニッケル・カドミウム電池、水銀電池、鉛電池などの一次電池や、充電可能な二次電池を適用することが可能である。
カセッテ電源51の容量は、撮影効率の観点から、最大サイズのX線画像を連続して撮影可能な枚数で換算して、4枚以上(特に7枚以上)であることが好ましい。
また、カセッテ電源51の容量は、小型化・軽量化・低コスト化の観点から、最大サイズのX線画像を連続して撮影可能な枚数で換算して、100枚以下(特に50倍以下)であることが好ましい。
【0041】
カセッテ通信部52は、無線中継器6を介してコンソール通信部15と無線通信が可能なように構成されており、カセッテ通信部52とコンソール通信部15との間で制御信号を送受信したり、カセッテ通信部52からコンソール通信部15にX線画像データを送信したりすることが可能である。
【0042】
カセッテ制御部53は、カセッテ通信部52が受信したコンソール1の制御信号に基づいて、カセッテ5に配設された各部を制御する。
【0043】
パネル54は、被写体を透過したX線に基づいてX線画像データを出力する。また、本実施形態のパネル54は、間接型フラットパネルディテクタ(FPD:Flat Panel Detector)である。
【0044】
図2にカセッテ5の概略構成を示す斜視図を、図3にパネル54を中心としたカセッテ5の断面図を示す。
なお、本実施形態では、図2及び図3に示した例を説明するが、これに限定されず、シンチレータの厚さや種類が異なるものや、撮像領域の面積であるパネルの面積が異なるものを用いることも適用可能である。シンチレータの厚さが厚いほど感度が高くなり、シンチレータの厚さが薄いほど空間分解能が高くなる。また、シンチレータの種類によって分光感度が異なる。
【0045】
パネル54の最上層には、被写体を透過したX線を検出し、検出したX線を可視領域の蛍光(以下「可視光」と称す)に変換するシンチレータ541が層状に延在している。
シンチレータ541は、蛍光体を主たる成分としている。シンチレータ541は、照射されたX線により蛍光体の母体物質が励起(吸収)し、その再結合エネルギーにより可視光を発光する層である。この蛍光体としては、例えば、CaWO、CdWO等の母体物質により蛍光を発光するものや、CsI:Tl、ZnS:Ag等の母体物質内に付加された発光中心物質により蛍光を発光するものなどが挙げられる。
【0046】
シンチレータ541の下層には、アモルファスシリコンにより形成された光検出器542が積層して延在しており、この光検出器542によりシンチレータ541から発光する可視光が電気エネルギーに変換されて出力される。
そして、パネル54は、X線画像による診断の診断性の観点から、1000×1000画素以上(特に2000×2000画素以上)の画素で構成されていることが好ましい。また、パネル54は、人の視認限界とX線画像の画像処理速度の観点から、1万×1万画素以下(特に6000×6000画素以下)の画素で構成されていることが好ましい。
パネル54の撮影領域のサイズは、X線画像による診断の診断性の観点から、10cm×10cm以上(特に、20cm×20cm以上)の面積であることが好ましい。また、パネル54の撮影領域のサイズは、カセッテとしての取り扱いやすさの観点から、70cm×70cm以下(特に50cm×50cm以下)の面積が好ましい。
パネル54の一画素のサイズは、X線被爆量低減の観点から40μm×40μm以上(特に70μm×70μm以上)のサイズが好ましい。また、パネル54の一画素のサイズは、X線画像による診断の診断性の観点から200μm×200μm以下(特に160μm×160μm以下)が好ましい。
本実施形態では、パネル54が4096×3072の画素から構成されており、撮影領域の面積が430mm×320mmであり、1画素のサイズが105μm×105μmとなっているものを例に説明する。
【0047】
ここで、図4に示すように、光検出器542を中心とした回路構成について説明する。
【0048】
図4に示すように、光検出器542には、照射されたX線の強度に応じて蓄積された電気エネルギーを読み出すための収集電極5421が二次元配設されている。この収集電極5421には、コンデンサ5424の一方の電極とされて、電気エネルギーがコンデンサ5424に蓄えられるようになっている。ここで、1つの収集電極5421は、X線画像データの1画素に対応するものである。
【0049】
互いに隣接する収集電極5421の間には、走査線5422と信号線5423とが配設されている。走査線5422と信号線5423とは、直交している。
【0050】
コンデンサ5424には、電気エネルギーの蓄電及び読み取りを制御するスイッチング薄膜トランジスタ5425(TFT:Thin Film Transistor、以下トランジスタと称す)が接続される。トランジスタ5425は、ドレイン電極あるいはソース電極が収集電極5421に接続されるとともに、ゲート電極は走査線5422に接続される。ドレイン電極が走査線5422に接続されるときには、ソース電極が信号線5423に接続され、ソース電極が収集電極5421に接続されるときには、ドレイン電極が信号線5423に接続される。また、パネル54では、信号線5423に、例えばドレイン電極が接続された初期化用のトランジスタ5427が設けられている。このトランジスタ5427のソース電極は接地されている。また、ゲート電極はリセット線5426と接続される。
なお、トランジスタ5425と初期化用トランジスタ5427は、シリコン積層構造あるいは有機半導体で構成されていることが好ましい。
【0051】
また、走査駆動回路543には、走査駆動回路543からリセット信号RTが送信されるリセット線5426が、信号線5423と直交して接続されている。
リセット線5426には、リセット信号RTによりオン状態となる初期化用トランジスタ5427のゲート電極が接続されている。初期化用トランジスタ5427は、ゲート電極がリセット線5426に接続されるとともに、ドレイン電極が信号線5423と接続され、ソース電極が接地されている。ソース電極が信号線5423に接続されるときには、ドレイン電極が接地されている。
走査駆動回路543からリセット信号RTを供給して初期化用トランジスタ5427をオン状態とするとともに、走査駆動回路543から読み出し信号RSを供給してトランジスタ5425をオン状態とすると、コンデンサ5424に蓄積された電気エネルギーがトランジスタ5425を介して光検出器542外に放出される。以下、リセット信号RTが供給されてコンデンサ5424に蓄積された電気エネルギーが光検出器542外に放出されることを、光検出器542のリセット(初期化)と称する。
また、走査線5422には、走査線5422に読み出し信号RSを供給する走査駆動回路543が接続されている。読み出し信号RSが供給された走査線5422に接続されているトランジスタ5425は、オン状態となり、トランジスタ5425と接続するコンデンサ5424に蓄積された電気エネルギーを読み出して信号線5423に供給する。すなわち、トランジスタ5425を駆動することで、X線画像データの画素毎の信号を生成することができる。
【0052】
信号線5423には、信号読取回路544が接続される。この信号読取回路544には、コンデンサ5424に蓄電されてから信号線5423に読み出された電気エネルギーが供給される。信号読取回路544には、信号読取回路544に供給された電気エネルギー量に比例する電圧信号SVをA/D変換器5442に供給する信号変換器5441と、信号変換器5441からの電圧信号SVをデジタル信号に変換してデータ変換部545に供給するA/D変換器5442とが設けられている。
【0053】
信号読取回路544には、データ変換部545が接続されている。このデータ変換部545は、信号読取回路544から供給されたデジタル信号に基づいてX線画像データを生成する。
【0054】
高分解能の画像データが必要でないときや画像データを速く取得したいときには、操作者が選択した撮影方法に応じて、コンソール制御部14は、受信した間引き、画素平均、領域抽出などの制御信号がカセッテ制御部53に送信する。カセッテ制御部53は、受信した間引き、画素平均、領域抽出などの制御信号に応じて、以下の間引き、画素平均、領域抽出などを実行するように制御する。
間引きは、奇数列又は偶数列のみ読み出すことにより、読み出す画素数を全画素数の1/4に間引いたり、同様にして1/9、1/16などに間引いたりすることにより行われる。なお、間引きの方法は、この方法に限られるものではない。
また、画素平均は、同時に複数の走査線5422を駆動し、同じ列方向の2画素のアナログ加算を行うことにより算出することが可能である。画素平均は、2画素の加算により算出することに限らず、列信号配線方向の複数画素のアナログ加算を行うことにより容易に得ることができる。更に、行方向の加算については、A/D変換出力後に隣り合う画素をデジタル加算することにより、上述のアナログ加算と合わせて、2×2等の正方形画素の加算値を得ることができる。これらによって、照射されたX線を無駄にすることなく、高速にデータを読み出すことが可能である。
また、領域抽出は、画像データの取込領域を制限する手段がある。これは、撮影方法の指示内容などから必要な画像データの取得領域を特定し、この特定された取得領域に基づいてカセッテ制御部53が走査駆動回路543のデータ取込範囲を変更し、この変更した取込範囲をパネル54が駆動するものである。
【0055】
データ変換部545には、メモリ546が接続されている。このメモリ546は、データ変換部545により生成されたX線画像データを保存する。また、メモリ546には、予めゲイン補正用データが保存される。
メモリ546は、RAM(Random Access Memory)及び不揮発性メモリにより構成される。このメモリ546は、RAMに逐次書き込みをした後に不揮発性メモリに一括書き込みすることができる。不揮発性メモリは、EEPROM、フラッシュメモリ等のメモリ部品2つ以上により構成されており、このメモリ部品の一方を消去している間に他方に書き込みをすることができる。
メモリ546の容量は、撮影の効率性の観点から、最大データサイズの画像の保存できる画像数で換算して、4以上(特に10以上)が好ましい。また、メモリ546の容量は、低コスト化の観点から、最大データサイズの画像の保存できる画像数で換算して、1000以下(特に100以下)が好ましい。
【0056】
光検出器542の下層には、ガラス基板により形成された平板上の支持体547が設けられ、支持体547によりシンチレータ541及び光検出器542の積層構造が支持されている。
【0057】
支持体547の下面に、X線量センサ548が設けられている。X線量センサ548は、光検出器542を透過したX線量を検出し、X線量が所定量に達すると、所定X線量信号をカセッテ制御部53に送信する。また、本実施形態では、X線量センサ548として、アモルファスシリコン受光素子を用いている。だが、X線量センサは、これに限られず、結晶シリコンによる受光素子等を用いて直接X線を検出するX線センサや、シンチレータにより蛍光を検出するセンサを用いてもよい。
【0058】
次に、本実施形態によるX線画像撮影システムによる動作について説明する。
【0059】
操作者から撮影準備指示または撮影指示が入力されるまで、走査駆動回路543をオフ状態に保つ。オフ状態に保つために、走査線5422、信号線5423、リセット線5426の電位を同電位にし、収集電極5421にバイアスを印加しない。また、信号読取回路544の電源をオフ状態に保ち、走査線5422、信号線5423、リセット線5426の電位をGND電位にしてもよい。即ち、走査駆動回路543及び信号読取回路544が電位をかけていない撮影待機モード又はスリープモードに移行してもよい。
【0060】
走査駆動回路543及び信号読取回路544にバイアスが印加されていない状態には、撮影待機モードとスリープモードとがある。
なお、撮影待機モードでは、フォトダイオードへバイアス電位を印加しないだけでなく、走査駆動回路543及び信号読取回路544は立ち上がりが早いので、走査駆動回路543及び信号読取回路544にも電力供給をしないことが、電力消費を更に抑えることができ好ましい。更に、撮影待機モードでは、信号が発生しないので、データ変換部545にも電力供給しないことが、電力消費を更に抑えることができ好ましい。
また、撮影待機モードよりも更に消費電力の少ないスリープモードを設けることが好ましい。そして、撮影済み画像をコンソール1に完全に送信後、スリープモードに移行することが好ましい。そして、スリープモードでは、コンソール1から指示により撮影待機モードへ立ち上がるのに必要な機能のみ残して、カセッテ通信部52の高速送信機能又は送信機能全体やメモリへの電力供給を停止することが好ましい。すなわち、スリープモードでは、フォトダイオードへのバイアス電位を印加せず、走査駆動回路543、信号読取回路544、データ変換部545、メモリ546、及びカセッテ通信部52の高速送信機能又は送信機能全体に電力供給しないことが好ましい。
【0061】
コンソール制御部14が撮影準備指示を受信すると、コンソール制御部14は、操作者の指示内容やHIS/RIS71などからのオーダ情報に基づいて撮影条件を決定し、この撮影条件に基づいた撮影指示の制御信号を、X線源制御部43及びカセッテ制御部53にコンソール通信部15を介して送信し、撮影準備状態に移行させる。
ここで、撮影準備指示は、例えばX線照射スイッチの1stスイッチのように操作者が操作入力部3を介して入力する指示である。また、被写体情報や撮影情報等、所定の項目が入力されたことを、撮影準備指示としてもよい。
【0062】
X線源制御部43は、受信した制御信号に基づいて高圧発生源41を駆動制御して、X線管42に高圧を印加する状態に移行させる。
【0063】
カセッテ制御部53は、撮影準備状態において撮影指示が入力されるまで全ての画素のリセットを所定間隔で繰り返し、暗電流によりコンデンサ5424に電気エネルギーが蓄積されることを防止する。撮影準備状態が継続する時間は不明なため、この所定間隔は、撮影時よりも長く、また、トランジスタ5425のオン時間が撮影時よりも短く設定される。これにより撮影準備状態では、トランジスタ5425に負荷のかかる読み出し動作が減少する。
【0064】
撮影指示がコンソール制御部14に入力されると、コンソール制御部14は、操作者の指示内容やHIS/RIS71などからのオーダ情報に基づいて撮影条件を決定し、この撮影条件に基づいた撮影指示の制御信号を、X線源制御部43及びカセッテ制御部53にコンソール通信部15を介して送信する。
【0065】
コンソール制御部14に撮影指示が入力されると、コンソール制御部14は、X線源4とカセッテ5とを制御し、同期を取りながら撮影をする。ここで撮影指示は、例えばX線照射スイッチの2ndスイッチのように操作者が操作入力部3を介して入力するものである。
コンソール制御部14は、撮影指示に基づくX線照射要求信号をカセッテ5のカセッテ制御部53に送信する。カセッテ制御部53は、X線照射要求信号を受信すると、パネル54を初期化し、パネル54が電気エネルギーを蓄積することができる状態に移行する。具体的には、リフレッシュを行い、そして、撮像シーケンスの為の専用の全画素のリセットを所定回数および電気エネルギー蓄積状態専用の全画素のリセットを行って電気エネルギー蓄積状態に遷移する。曝射要求から撮影準備完了までの期間は所定時間が短いことが実使用上要求されるので、そのために撮像シーケンス専用の全画素のリセットを行う。さらに、撮影準備状態の駆動のいかなる状態からも曝射要求が発生した場合は、即時撮像シーケンス駆動に入ることにより曝射要求から撮影準備完了までの期間を短くすることにより、操作性の向上を図る。
パネル54が電気エネルギーを蓄積できる状態に移行すると、カセッテ制御部53は、コンソール通信部15にカセッテ5の準備終了信号を送信する。コンソール通信部15は、この準備終了信号を受信すると、コンソール制御部14にカセッテの準備終了信号を伝達する。
コンソール制御部14は、このカセッテの準備終了信号を受信した状態で、X線照射指示を受けると、X線照射信号をX線源4に送信する。X線源制御部43は、X線照射信号を受信すると、高圧発生源41を駆動制御してX線管42に高圧を印加し、X線源4からX線を発生させる。X線源4から発生したX線は、X線照射口に設けられたX線絞り装置によりX線照射範囲を調整され、被写体を照射する。
【0066】
被写体を透過したX線は、カセッテ5に入射する。このカセッテ5に入射したX線は、シンチレータ541によって可視光に変換される。
【0067】
カセッテ5を照射したX線量は、X線量センサ548により検出される。そのX線照射量が所定量に達すると、X線量センサ548が所定X線量信号をカセッテ制御部53に送信する。カセッテ制御部53は所定X線量信号を受信すると、無線中継器6を介してコンソール通信部15にX線終了信号を送信する。コンソール通信部15は、このX線終了信号を受信すると、コンソール制御部14にX線終了信号を伝達するとともに、X線源制御部43にX線照射停止信号を送信する。X線源制御部43は、このX線照射停止信号を受信すると、高圧発生源41を駆動制御し、高圧発生源41がX線管42への高圧の印加を停止する。これによりX線の発生が停止する。
【0068】
カセッテ制御部53は、X線照射終了信号を送信すると、X線照射終了信号に基づいて走査駆動回路543と信号読取回路544とを駆動制御する。走査駆動回路543は、光検出器542が取得した電気エネルギーを読み出し、取得した電気エネルギーを信号読取回路544に入力する。信号読取回路544は、入力された電気エネルギーをデジタル信号に変換する。そして、データ変換部545は、デジタル信号を画像データに構成する。メモリ546は、データ変換部545により構成された画像データを一時保存する。
【0069】
続いてカセッテ制御部53は、画像データを取得した後に、補正用画像データを取得する。補正用画像データは、X線照射をしない暗画像データであり、高品質のX線画像を取得するためにX線画像の補正に使用するものである。補正用画像データの取得方法は、X線を照射しない点以外は、画像データの取得方法と同じである。電気エネルギー蓄積時間は、画像データを取得するときと補正用画像データを取得するときとで等しくなるように設定する。ここで、電気エネルギー蓄積時間とは、リセット動作が完了したとき、即ちリセット時のトランジスタ5425をオフにしてから、次に電気エネルギー読み出しを行うためにトランジスタ5425をオンにするまでの時間である。よって、各走査線5422により電気エネルギー蓄積が始まるタイミングや電気エネルギー蓄積時間が異なる。
【0070】
データ変換部545は、構成した画像データを、取得した補正用画像データに基づいてオフセット補正し、続いて、予め取得してメモリ546に保存されているゲイン補正用データに基づいてゲイン補正する。そして、不感画素や複数の小パネルで構成されたパネルの場合、小パネルのつなぎ目部などに違和感を生じないように画像を連続的に補間して、パネルに由来する補正処理を完了する。本実施形態では、データ変換部545は、カセッテ制御部53と別体であるが、カセッテ制御部53がデータ変換部545を兼ねても良い。
【0071】
コンソール制御部14は、メモリ546に一時保存された画像データを、カセッテ通信部52、無線中継器6、コンソール通信部15を介して画像保存部16に送信し、画像保存部16にて一時保存する。無線中継器6と無線中継器2とは通信ケーブル8で接続されているので、画像データは無線中継器6からコンソール通信部15に高速で転送される。画像処理部17は、画像データを操作者の指示内容やHIS/RIS71などからのオーダ情報に基づいて画像処理する。この画像処理された画像データは、表示部11に画像表示されると同時に画像保存部16に送信され、画像データとして保存される。さらに、操作者の指示に基づいて、画像処理部17は画像データを再画像処理し、画像データの画像処理結果は表示部11が表示する。また、ネットワーク通信部19は、画像データをネットワーク上の外部装置であるイメージャ72、画像処理端末73、ビューワ74、ファイルサーバ75等に転送する。コンソール1から画像データが転送されると転送された外部装置は対応して機能する。すなわち、イメージャ72は、このX線画像データをフィルムなどの画像記録媒体に記録する。画像処理端末73は、このX線画像データの画像処理やCAD(Computer Aided Diagnosis:コンピュータ診断支援)のための処理をし、ファイルサーバ75に保存する。ビューワ74は、このX線画像データに基づいてX線画像を表示する。ファイルサーバ75は、このX線画像データを保存する。
【0072】
なお、X線の発生が停止した後にコンソール1をX線制御室R2からX線撮影室R1に移動させても、コンソール1がX線制御室R2内に位置するときと同様の動作が行われる。このとき、コンソール通信部15は、カセッテ通信部52と無線通信をして制御信号や画像データの送受信を行う。
【0073】
以上のように、X線画像撮影システム1000は、コンソール1に可搬性が備わっているため、このコンソール1をX線制御室R2内だけではなくX線撮影室R1内にも自由に移動させることができる。これにより操作者は、X線撮影後コンソール1を持ってX線撮影室R1内に移動し、次の撮影準備と平行して撮影した画像の処理と確認とをすることができるので、撮影効率を向上させることができる効果を奏する。
【0074】
なお、本実施例では、カセッテ5がX線撮影室R1にあり、コンソール1がX線制御室R2にあるときにX線画像撮影を行う例を示したが、これに限定されず、カセッテとコンソールとが同じ室内にあるときにX線を照射して画像を取得するようにしても良い。これにより、X線撮影直後に、撮影した画像の処理と確認とを撮影場所で行うことができるので、操作者の移動時間を削減し、撮影効率を向上させることができる効果を奏する。
【0075】
なお、本実施例では、コンソール1を介して照射条件が入力される例を示したが、これに限定されず、例えば、照射スイッチと照射条件を入力する入力部とを備えた操作入力部を用いるようにしても良い。
【0076】
なお、本実施形態では、パネル54が4096×3072画素を持つ1枚のパネルで構成された例を示したが、これに限定されず、例えば、パネル54が2048×1536画素を持つ4枚の小パネルで構成されたものを用いることもできる。このように複数枚の小パネルからパネルを構成した場合、4つの小パネルを組みあわせて1枚のパネルとする手間が発生するが、各パネルの歩留まりが向上するので、全体としても歩留まりが向上し低コスト化するという利点がある。
【0077】
さらに、本実施形態では、シンチレータ541と光検出器542とを用いて照射されたX線の電気エネルギーを読み出す例を示したが、これに限定されず、X線を電気エネルギーに直接変換できる光検出器を適用することが可能である。例えば、アモルファスSeやPbI2等を用いたX線電気エネルギー変換部とアモルファスシリコンTFT等とにより構成されたX線検出器を用いるようにしてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、信号読取回路544に1つのA/D変換器5442が設けられた例を示したが、これに限定されず、複数のA/D変換器を適用することが可能である。 そして、A/D変換器の数は、画像読取時間を短くして所望のS/N比を得るために、4以上、特に8以上であることが好ましい。
また、A/D変換器の数は、低コスト化・小型化のために、64以下、特に32以下であることが好ましい。これにより、アナログ信号帯域及びA/D変換レートを不必要に大きくすることがない。
【0079】
また、本実施形態では、ガラスにより形成された支持体547の例を示したが、これに限定されず、樹脂や金属等によって形成された支持体を適用することが可能である。
【0080】
また、本実施形態では、カセッテ5とコンソール1とが1対1で対応させている例を示したが、これに限定されず、カセッテとコンソールとが1対M、N対1、N対M(N,Mは2以上の自然数)で対応させて用いることが可能である。このときには、カセッテとコンソール間のネットワークを設け、カセッテとコンソールとの対応関係を対応関係情報保持部に保存し、対応関係情報保持部をネットワーク上またはコンソール内に設け、コンソールがカセッテを制御することが好ましい。
【0081】
また、本実施形態では、コンソール1及びカセッテ5のいずれにおいても、前述した実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムを記録した記憶媒体をシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。また、プログラム等を記憶させる記憶媒体としては、不揮発性メモリ、電源バックアップされた揮発性メモリ、ROMメモリ、光ディスク、ハードディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク等の記憶媒体に記憶させるようにしてもよい。
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(基本システム或いはオペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
更に、このようなプログラムは、ネットワークや回線などを介して外部から提供されたものであってもよい。そして、外部から供給されるプログラムを使用する場合も、不揮発性メモリ、電源バックアップされた揮発性メモリ、光ディスク、ハードディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク等の記憶媒体に記憶されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明によるX線画像撮影システムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明によるカセッテの一実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図3】本発明によるパネルを中心としたカセッテの一実施形態の断面図である。
【図4】本発明による光検出器を中心とした回路の一実施形態の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0083】
1000 X線画像撮影システム
1 コンソール
11 表示部
12 表示制御部
13 入力部
14 コンソール制御部
15 コンソール通信部
16 画像保存部
17 画像処理部
18 コンソール電源
19 ネットワーク通信部
2 無線中継器
3 操作入力部
5 カセッテ
51 カセッテ電源
52 カセッテ通信部
53 カセッテ制御部
54 パネル
6 無線中継器
8 通信ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成した画像データをカセッテ通信部を介して通信するカセッテと、
前記カセッテ通信部と無線通信をするコンソール通信部と、前記コンソール通信部の駆動を制御するコンソール制御部とを備えたコンソールとが、通信ネットワークを介して通信可能である放射線画像撮影システムにおいて、
前記コンソールは、前記コンソール単体で持ち運べる可搬性を備えていることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記コンソールは、前記コンソールへの電力供給源であるコンソール電源を内部に備えていることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記コンソールは、文字や画像を表示する表示部を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記カセッテは、前記カセッテへの電力供給源であるカセッテ電源と、前記カセッテ電源の駆動を制御するカセッテ制御部とを内部に備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
生成した画像データをカセッテ通信部を介して送信するカセッテと無線通信するコンソール通信部と、前記通信を制御する制御部とを備えたコンソールにおいて、
前記コンソール単体で持ち運べる可搬性を備えていることを特徴とするコンソール。
【請求項6】
電力供給源であるコンソール電源を内部に備えていることを特徴とする請求項5に記載のコンソール。
【請求項7】
文字や画像を表示する表示部を備えていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のコンソール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−61385(P2007−61385A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251769(P2005−251769)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】