説明

放電ランプ点灯制御方法、コンピュータプログラム、放電ランプ点灯制御装置、及び電源回路

【課題】 放電ランプの点灯制御において、高温による放電ランプの劣化を抑えて、放電ランプの寿命を延ばす。
【解決手段】 放電ランプ点灯制御方法は、以下のステップを備えている。
◎第1の電流を供給するように制御される第1定電流制御ステップ(期間T1、ステップS3,S4)
◎第1定電流制御ステップより後に、第1電流より大きい第2の電流を供給するように制御される第2定電流制御ステップ(期間T3、ステップS7,S8)
◎第2定電流制御ステップより後に、定電力制御を行う定電力制御ステップ(期間T4)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプ点灯制御方法に関し、特に、定電力制御の前に定電流制御を行う放電ランプ点灯制御方法に関する。さらに、本発明は、コンピュータプログラム、放電ランプ点灯制御装置、及び電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
放電ランプは、放電気体の圧力によって、低圧放電と高圧放電とに分類される。高圧放電ランプは、さらに、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、ハライドランプ等に分類される。メタルハライドランプは、高蒸気圧水銀放電中に種々の金属ハロゲン化物(メタルハライド)を添加した高圧放電ランプである。
【0003】
これらの放電ランプの点灯を制御する方法としては、一般には、安定状態の点灯時には、消費電力の増加を抑えるために、定電力制御が行われる。一方、メタルハライドランプ等の高圧放電ランプでは、絶縁破壊後の数分間においては点灯電圧が低いため、この期間においては定電流制御が行われている。すなわち、最初に定電流制御を行い、電圧が所定の値に達したら、定電力制御を行う。
【0004】
ところが、ランプが絶縁破壊されてから定電力制御状態に移行するまでの期間には、オーバーシュートやアンダーシュートが生じるという問題がある。オーバーシュートとは、絶縁破壊直後に生じる大電流であり、アンダーシュートとはオーバーシュートの反動で生じる小電流である。オーバーシュートの原因は、制御回路の遅れや平滑回路の容量にある。オーバーシュートが生じると、ランプに過大な電流が流れて電極が損傷する。アンダーシュートが生じると、アーク放電維持電圧以下になることがあり、その場合はランプが消灯してしまう。
【0005】
オーバーシュートやアンダーシュートを防止するための技術として、点灯開始期間のランプ電流に達するまでに、目標となる基準電流値を段階的に上昇させることで電流を制御するものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開平7−176391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の放電ランプ点灯制御方法では、点灯開始期間の基準電流値と、起動時間(点灯電圧が所定値まで上昇するのを待つ期間)の基準電流値が同一の値になっている。その結果、点灯開始期間の短い時間の間に電極の温度が急激に上昇してしまう。これにより、以下の二点の不具合が生じることがある。第1に、ランプを封止するガラスと電極に接続された電線との熱膨張係数の差が大きいために、熱によって封止部分が劣化して密封状態が維持できなくなり、ガラス内の高圧ガスが外部に漏れる。つまり、ランプ寿命を短くすることがある。第2に、電極の温度も急激に上昇するために電極が溶けて、更にランプ寿命が短くなることがある。
【0007】
本発明の課題は、放電ランプの点灯制御において、高温による放電ランプの劣化を抑えて、放電ランプの寿命を延ばすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の放電ランプ点灯制御方法は、放電ランプの点灯を制御する方法であって、以下のステップを備えている。
◎第1の定電流を供給するように制御される第1定電流制御ステップ
◎第1定電流制御ステップより後に、第1の定電流より大きい第2の定電流を供給するように制御される第2定電流制御ステップ
◎第2定電流制御ステップより後に、定電力制御を行う定電力制御ステップ
この方法では、第2定電流制御ステップの前に第1定電流制御ステップを実行しているため、起動時に電極の温度が急激に上昇するのを防止することができる。この結果、放電ランプの寿命を長くできる。
【0009】
請求項2に記載の放電ランプ点灯制御方法では、請求項1において、第1の定電流の大きさは第2の定電流の大きさの50〜70%の範囲にある。
この方法では、第1の定電流の大きさが小さな値に設定されているため、オーバーシュートが発生しても問題にならない。
【0010】
請求項3に記載の放電ランプ点灯制御方法では、請求項1又は2において、第1の定電流の大きさは、アークが発生する最低電流値と同等である。
この方法では、第1定電流制御ステップにおいて、確実にアークが発生する。
【0011】
請求項4に記載の放電ランプ点灯制御方法では、請求項1〜3のいずれかにおいて、第1定電流制御ステップは、1〜2秒間行う。
この方法では、第1定電流制御ステップにおいて、確実にアークが発生してさらに安定する。
【0012】
請求項5に記載の放電ランプ点灯制御方法は、請求項1〜4のいずれかにおいて、第1定電流制御ステップと第2定電流制御ステップとの間に、電流が大きくなっていく電流変化制御ステップをさらに備えている。
この方法では、電極が徐々に温められるため、電極の温度が瞬時に上昇することがない。
【0013】
請求項6に記載の放電ランプ点灯制御方法では、請求項5において、電流変化制御ステップでは、電流は線形に又はステップ状に大きくなっていく。
この方法では、電極が徐々に温められるため、電極の温度が瞬時に上昇することがない。
【0014】
請求項7に記載の放電ランプ点灯制御方法では、請求項5又は6において、電流変化制御ステップは、8〜12秒間行う。
この方法では、適切な時間をかけて、第1の電流の値から第2の電流の値にまで上昇させる。
【0015】
請求項8に記載の放電ランプ点灯制御方法では、請求項1〜7において、第2定電流制御ステップは、5〜10秒間行う。
この方法では、電圧が安定するまでの時間を十分に確保できる。
【0016】
請求項9に記載のコンピュータ・プログラムは、請求項1〜8に記載の放電ランプ点灯制御方法をコンピュータに実施させるための命令を含んでいる。
このプログラムでは、前述の方法と同じ作用効果が得られる。
【0017】
請求項10に記載の放電ランプ点灯制御装置は、請求項9に記載のコンピュータ・プログラムを備えている。
この装置では、コンピュータ・プログラムを実行することで、前述の方法と同じ作用効果が得られる。
【0018】
請求項11に記載の放電ランプ点灯制御装置は、請求項10において、放電ランプ点灯制御方法の電力特性を複数のランプ定格ごとに記憶する記憶手段をさらに備えている。
この装置では、定格が異なる放電ランプごとに適切な電力特性を記憶手段から読み出して放電ランプ点灯制御方法を実行できる。具体的には、定格の小さなランプに大電流を流してランプを破損したりすることもないし、逆に定格の大きなランプに小電流を流してアーク発生不良が生じたりすることもない。
【0019】
請求項12に記載の電源装置は、インバータと、インバータを制御可能な請求項10又は11に記載の放電ランプ点灯制御装置とを備えている。
この電源回路では、定格が異なる放電ランプごとに適切な電力特性を記憶手段から読み出して放電点灯ランプ制御方法を実行できる。具体的には、定格の小さなランプに大電流を流してランプを破損したりすることもないし、逆に定格の大きなランプに小電流を流してアーク発生不良が生じたりすることもない。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、第2定電流制御ステップの前に第1定電流制御ステップを実行しているため、起動時に電極の温度が急激に上昇するのを防止することができる。この結果、放電ランプの寿命を長くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1に、本発明の一実施形態としての電源装置1を示す。電源装置1は、メタルハイライドランプのような高圧放電ランプを点灯制御するための装置である。電源装置1は、商用の交流電源から交流電圧が入力される入力端子2と、放電ランプ(図示せず)に直流電圧を出力する出力端子14とを有している。入力端子2と出力端子14の間には、入力側整流器4と、力率改善回路6と、高周波インバータ8と、変圧器10と、出力側整流器12とが、この順番で配置されている。
【0022】
入力側整流器4は、交流電圧を整流及び平滑することで直流電圧に変換するための回路である。
【0023】
高周波インバータ8は、直流電圧を高周波電圧に変換するための直流−高周波変換器である。高周波インバータ8は、複数の半導体スイッチング素子(例えば、IGBT、電力用FET又はバイポーラトランジスタ)を有している。後述の制御回路24からの制御信号によって、半導体スイッチング素子が高速にオンオフを繰り返して、直流信号を高周波信号に変換する。変圧器10は、入力された高周波電圧を降圧して所定の高周波電圧に変換する。出力側整流器12は、高周波電圧を直流電圧に変換する高周波−直流変換器である。以上に述べた、高周波インバータ8、変圧器10、及び出力側整流器12は、直流−直流変換部3として機能している。
【0024】
次に、高周波インバータ8の動作を制御するための定電流制御部5について説明する。定電流制御部5は、電流検出器16と、第1加算器20と、第1誤差増幅器22と、制御回路24と、CPU28と、記憶手段32とから構成されている。
【0025】
電流検出器16は、出力側整流器12と出力端子14との間に接続されている。電流検出器16は、出力側整流器12から放電ランプに供給される直流電流(負荷電流)を表す負荷電流検出信号(例えば、負荷電流検出電圧)を生成する。電流検出器16からの負荷電流検出電圧は、第1加算器20に供給される。第1加算器20には、CPU28からの基準電圧も供給される。この基準電圧は、CPU28が、記憶手段32に記憶された各ランプ期間T1〜T3ごとの電流値を読み出して、第1加算器20に供給する。第1加算器20は、負荷電流検出電圧と基準電圧との差分を算出して、第1誤差増幅器22に供給する。差分は、第1誤差増幅器22の負入力端子に供給され、第1誤差増幅器22の正入力端子は、基準電位点、例えば接地電位点に設置されている。したがって、第1誤差増幅器22の出力信号(例えば、出力電圧)は、第1加算器20の出力電圧の符号を反転させたものとなる。
【0026】
第1誤差増幅器22は、出力電圧を制御回路24に供給する。制御回路24は、第1誤差増幅器22の入力電圧がゼロになるように、すなわち、電流検出器16の負荷電流検出電圧がCPU28からの基準電圧と等しくなるように、高周波インバータ8の半導体スイッチング素子の導通期間を制御する。
【0027】
さらに、高周波インバータ8の動作を制御するための定電力制御部7について説明する。定電力制御部7は、電流検出器16(前述)と、電圧検出器18と、乗算器34と、第2加算器36と、第2誤差増幅器38と、制御回路24(前述)と、CPU28(前述)と、出力指令発生部30とから構成されている。
【0028】
電圧検出器18は、出力側整流器12と出力端子14との間に接続されている。電圧検出器18は、出力側整流器12から放電ランプに供給される直流電圧(負荷電圧)を表す負荷電圧検出信号(例えば、負荷電圧検出電圧)を生成する。電圧検出器18からの負荷電圧検出電圧は、乗算器34に供給される。また、電流検出器16からの負荷電流検出電圧も乗算器34に供給され、乗算器34が両電圧値を乗算して負荷電力を表す負荷電力表示信号(例えば、負荷電力表示電圧)を算出し、第2加算器36に供給する。第2加算器36には、CPU28からランプ定電力基準信号としての定電力基準電圧も供給される。CPU28は、出力指令発生部30からの指令に従って、前述の基準電圧を第2加算器36に供給する。第2加算器36は、負荷電力表示電圧と基準電圧との差分を算出して、第2誤差増幅器38に供給する。差分は、第2誤差増幅器38の負入力端子に供給され、第2誤差増幅器38の正入力端子は、基準電位点、例えば接地電位点に設置されている。したがって、第2誤差増幅器38の出力信号(例えば、出力電圧)は、第2加算器36の出力電圧の符号を反転させたものとなる。
【0029】
第2誤差増幅器38は、出力電圧を制御回路24に供給する。制御回路24は、第2誤差増幅器38の入力電圧がゼロになるように、すなわち、乗算器34からの負荷電力検出電圧がCPU28からの定電力基準電圧と等しくなるように、高周波インバータ8の半導体スイッチング素子の導通期間を制御する。
【0030】
電源装置1は、前述したようにメタルハイライドランプのような高圧放電ランプを点灯制御するための装置であり、具体的には定電流制御−定電力制御の順番で点灯制御を行う。以下、その理由について説明する。キセノンランプは、例えば、ガラス管内に陽極と陰極とを数ミリの間隔をおいて配置し、ガラス管内に数気圧のキセノンガスを封入したものである。このキセノンランプの陽極と陰極との間に定電流を流すと、陽極の先端と陰極の先端との間でアーク放電が発生し、以後安定状態の点灯が行われる。一方、キセノンランプを長期間使用してランプ寿命がほとんど無くなると、陽極や陰極が消耗したり、ガラス管内の気圧が低下してキセノンランプのインピーダンスが増加したりする。その結果、動作安定状態でキセノンランプに印加される電圧が上昇する。これによって、キセノンランプの消費電力が増加して、つまりキセノンランプでの発熱が大きくなり、そのため陽極や陰極の溶解が生じるおそれがある。そこで、キセノンランプに印可される電圧が予め定められた電圧値に到達すると、キセノンランプに流れる電流を減少させて、ランプの消費電力を抑制する技術が知られている。特に、キセノンランプに流れる電流を減少させる技術として、出力電圧が基準電圧以上になると定電力制御を行うことが知られている。
【0031】
次に、図2を用いて、電流制御及び定電力制御を説明する。
図2は本発明の一実施形態としての起動時の電流制御動作を説明するためのフローチャートであり、図3はランプ電流Ioの時間変化を説明するためのグラフである。電源装置1は、下記の放電ランプ制御方法をコンピュータに実施させるための命令を含むコンピュータ・プログラムを備えている。表1は、記憶手段32に記憶されたあるランプ(定電力値が1kW)の各期間T1〜T4(後述における)電流基準値Irefと電力基準値Prefとを示している。なお、記憶手段32はランプ種類ごとに同様の情報を記憶している。
【表1】

【0032】
最初に、図2のフローチャートを用いて、電流制御の概略について説明する。
図2のステップS1において、入力電圧が印加される(図3のt1)。続いて、ステップS2では、時刻t1に到達するのを待つ。時刻t1に到達すると、ステップS3において制御信号入力1が行われ、電流(Imin)が流れる。ステップS4では、期間T1が経過するのを待つ。期間T1が経過すると(図3のt2)、ステップS5では制御信号入力2が行われ、電流値がIminからIaまで線形に変化する。ステップS6では期間T2が経過するのを待つ。期間T2が経過すると(図3のt3)、ステップS7では制御信号入力3が行われ、定電流制御が行われる。ステップS8ではT3が経過するのを待ち、期間T3が経過すると、定電流制御が終了する。
【0033】
次に、図3のグラフを用いて、電流制御−定電力制御の詳細について説明する。
期間T1は、絶縁破壊時t1からアークが安定した時t2までの期間である。期間T1では、CPU28は記憶手段32から読み出した期間T1中の基準電流(例えば、25A)を表す基準電圧を第1加算器20に供給する。第1加算器20は、負荷電流検出電圧と基準電圧との差分を算出して、第1誤差増幅器22に供給する。第1誤差増幅器22は、出力電圧を制御回路24に供給する。制御回路24は、電流検出器16の負荷電流検出電圧がCPU28からの基準電圧と等しくなるように、高周波インバータ8の半導体スイッチング素子の導通期間を制御する。
【0034】
期間T2は、t2からスロープ状に電流の値が上昇する期間である。期間T2では、CPU28は記憶手段32から読み出した期間T2中の基準電流の増加率(例えば、5A/sec)に基づいて基準電圧を第1加算器20に供給する。第1加算器20は、負荷電流検出電圧と基準電圧との差分を算出して、第1誤差増幅器22に供給する。第1誤差増幅器22は、出力電圧を制御回路24に供給する。制御回路24は、電流検出器16の負荷電流検出電圧がCPU28からの基準電圧と等しくなるように、高周波インバータ8の半導体スイッチング素子の導通期間を制御する。なお、期間T1と期間T2を合わせて起動期間と定義する。
【0035】
期間T3は、アーク安定時t3からランプの点灯電圧が所定の値に達する時t4までの点灯開始期間である。期間T3では、CPU28は記憶手段32から読み出した期間T3中の基準電流(例えば、50A)を表す基準電圧を第1加算器20に供給する。第1加算器20は、負荷電流検出電圧と基準電圧との差分を算出して、第1誤差増幅器22に供給する。第1誤差増幅器22は、出力電圧を制御回路24に供給する。制御回路24は、電流検出器16の負荷電流検出電圧がCPU28からの基準電圧と等しくなるように、高周波インバータ8の半導体スイッチング素子の導通期間を制御する。
【0036】
期間T4は、定電力制御の状態になっており放電ランプを各種利用可能な定常点灯期間である。期間T4では、CPU28は、出力指令発生部30からの指令に従って、前述の基準電圧(例えば、定電力値1kWを表す信号)を第2加算器36に供給する。第2加算器36は、負荷電力表示電圧と基準電圧との差分を算出して、第2誤差増幅器38に供給する。第2誤差増幅器38は、出力電圧を制御回路24に供給する。制御回路24は、第2誤差増幅器38の入力電圧がゼロになるように、すなわち、乗算器34からの負荷電力表示電圧がCPU28からの定電力基準電圧と等しくなるように、高周波インバータ8の半導体スイッチング素子の導通期間を制御する。
【0037】
なお、図2において、Iminは、アークが発生する最低電流値である。Iaは、電圧の安定を待つ期間T3に流される基準電流値である。
【0038】
一例として、期間T2の基準電流値Iaが100Aとすると、起動時の基準電流値Iminが60A程度と小さな値に設定してされている。このため、オーバーシュートが発生しても問題にならない。また、500Wのランプでは33Aの定格電流が流れ、7KWのランプでは180Aの定格電流が流れるが、いずれの場合もImin=0.6×Iaを成立させると好適な結果が得られる。さらに、期間T2(t2〜t3)は10秒程度であり、期間T3(t3〜t4)は5〜10秒の範囲にある。期間T1(t1〜t2)は1〜2秒の範囲にある。
(発明の効果)
【0039】
本発明に係る放電ランプ点灯制御方法は、以下のステップを備えている。
◎第1の電流を供給するように制御される第1定電流制御ステップ(期間T1、ステップS3,S4)
◎第1定電流制御ステップより後に、第1電流より大きい第2の電流を供給するように制御される第2定電流制御ステップ(期間T3、ステップS7,S8)
◎第2定電流制御ステップより後に、定電力制御を行う定電力制御ステップ(期間T4)
この方法では、第2定電流制御ステップの前に第1定電流制御ステップを実行しているため、起動時に電極の温度が急激に上昇するのを防止することができる。この結果、放電ランプの寿命を長くできる。
【0040】
第1の電流の大きさIminは第2の電流の大きさIaの50〜70%の範囲にある事が好ましい。この場合は、第1の定電流の大きさが小さな値に設定されているため、オーバーシュートが発生しても問題にならない。
【0041】
第1の定電流の大きさIaは、アークが発生する最低電流値と同等である。この場合は、第1定電流制御ステップにおいて、確実にアークが発生する。
【0042】
第1定電流制御ステップは、1〜2秒間行うことが好ましい。この場合は、第1定電流制御ステップにおいて、確実にアークが発生してさらに安定する。
【0043】
第1定電流制御ステップと第2定電流制御ステップとの間に、電流が大きくなっていく電流変化制御ステップ(期間T2,ステップS5,S6)をさらに備えている。この場合は、電極が徐々に温められるため、電極の温度が瞬時に上昇することがない。
【0044】
電流変化制御ステップでは、電流は線形に又はステップ状に大きくなっていくことが好ましい。この場合は、電極が徐々に温められるため、電極の温度が瞬時に上昇することがない。
【0045】
電流変化制御ステップは、8〜12秒間行うことが好ましい。この場合は、適切な時間をかけて、第1の電流の値から第2の電流の値にまで上昇させる。
【0046】
第2定電流制御ステップは、5〜10秒間行うことが好ましい。この場合は、電圧が安定するまでの時間を十分に確保できる。
【0047】
さらに、記憶手段32は、放電ランプ点灯制御方法の電力特性を複数のランプ定格ごとに記憶している。そのため、定格が異なる放電ランプごとに適切な電力特性を記憶手段から読み出して放電点灯ランプ制御方法を実行できる。具体的には、定格の小さなランプに大電流を流してランプを破損したりすることもないし、逆に定格の大きなランプに小電流を流してアーク発生不良が生じたりすることもない。
(他の実施形態)
前記実施形態は本発明の一実施例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態としての光源用電源の回路ブロック図。
【図2】本発明の一実施形態としての放電ランプ点灯制御動作を説明するためのフローチャート。
【図3】本発明の一実施形態としての放電ランプ点灯制御動作を説明するためのグラフであり、時間をパラメータにしたランプ電流の変化を示すグラフ。
【符号の説明】
【0049】
1 電源装置
2 入力端子
3 直流−直流変換部
4 入力側整流器
5 電流制御部
6 力率改善回路
7 定電力制御部
8 高周波インバータ
10 変圧器
12 出力側整流器
14 出力端子
16 電流検出器
18 電圧検出器
20 第1加算器
22 第1誤差増幅器
24 制御回路
28 CPU
30 出力指令発生部
32 記憶手段
34 乗算器
36 第2加算器
38 第2誤差増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ランプの点灯を制御する方法であって、
第1の定電流を供給するように制御される第1定電流制御ステップと、
前記第1定電流制御ステップより後に、前記第1の定電流より大きい第2の定電流を供給するように制御される第2定電流制御ステップと、
前記第2定電流制御ステップより後に、定電力制御を行う定電力制御ステップと、
を備えた放電ランプ点灯制御方法。
【請求項2】
前記第1の定電流の大きさは前記第2の定電流の大きさの50〜70%の範囲にある、請求項1に記載の放電ランプ点灯制御方法。
【請求項3】
前記第1の定電流の大きさは、アークが発生する最低電流値と同等である、請求項1又は2に記載の放電ランプ点灯制御方法。
【請求項4】
前記第1定電流制御ステップは、1〜2秒間行う、請求項1〜3のいずれかに記載の放電ランプ点灯制御方法。
【請求項5】
前記第1定電流制御ステップと前記第2定電流制御ステップとの間に、電流が大きくなっていく電流変化制御ステップをさらに備えている、請求項1〜4のいずれかに記載の放電ランプ点灯制御方法。
【請求項6】
前記電流変化制御ステップでは、前記電流は線形に又はステップ状に大きくなっていく、請求項5に記載の放電ランプ点灯制御方法。
【請求項7】
前記電流変化制御ステップは、8〜12秒間行う、請求項5又は6に記載の放電ランプ点灯制御方法。
【請求項8】
前記第2定電流制御ステップは、5〜10秒間行う、請求項1〜7のいずれかに放電ランプ点灯制御方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の放電ランプ点灯制御方法をコンピュータに実施させるための命令を含んだコンピュータ・プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のコンピュータ・プログラムを備えた放電ランプ点灯制御装置。
【請求項11】
前記放電ランプ点灯制御方法の電力特性を複数のランプ定格ごとに記憶する記憶手段をさらに備えている、請求項10に記載の放電ランプ点灯制御装置。
【請求項12】
インバータと、
前記インバータを制御可能な請求項10又は11に記載の放電ランプ点灯制御装置と、
を備えた電源回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−235240(P2008−235240A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166901(P2007−166901)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000144393)株式会社三社電機製作所 (95)
【Fターム(参考)】