散気管
【課題】散気停止時に管内に汚泥が侵入することを防止し、散気孔および管内が閉塞することを防止し、かつ散気運転時の圧力損失を低減することができる散気管を提供する。
【解決手段】チューブ形状の弾性体からなり、内側が空気供給源に連通する膜体52と、膜体52を表裏に貫通する非直線状のスリットをなす複数の散気孔スリット54を備え、散気孔スリット54は少なくとも所定部位が傾斜面部55をなし、傾斜面部55においてスリットの切断面が膜体52の半径方向に対して傾斜するとともに、散気孔スリット54と散気孔スリット54の両端部を結ぶ線分とに囲まれた閉領域56の側におけるスリットの切断面56aがその対向する残りの膜体52の側におけるスリットの切断面52aの外側に重なる。
【解決手段】チューブ形状の弾性体からなり、内側が空気供給源に連通する膜体52と、膜体52を表裏に貫通する非直線状のスリットをなす複数の散気孔スリット54を備え、散気孔スリット54は少なくとも所定部位が傾斜面部55をなし、傾斜面部55においてスリットの切断面が膜体52の半径方向に対して傾斜するとともに、散気孔スリット54と散気孔スリット54の両端部を結ぶ線分とに囲まれた閉領域56の側におけるスリットの切断面56aがその対向する残りの膜体52の側におけるスリットの切断面52aの外側に重なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下水処理施設などの処理槽内において散気する散気管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の汚泥中の散気装置は、例えば図8に示すように、塩化ビニール管1に直径数mmの散気孔2を複数箇所に形成したものであり、散気停止時に管内に侵入した汚泥で散気孔2および管内が閉塞する問題があった。
【0003】
この汚泥の侵入を防ぐために、ゴムメンブレン式の散気装置が実用化されているが、散気運転時の圧力損失が高いためにブロワの動力が高くなり、電力使用量が増大する要因となっている。
【0004】
また、散気装置としては、例えば特許文献1に記載するものがある。これは、図9に示すように、フラットなベース3の上に伸縮性のあるシート4を配置し、このシート4に多数のスリット5を形成し、スリット5を介して加圧気体を液体中に通すことによって液体中に多数の気泡を形成するようにした曝気装置であり、シート4に形成するスリット5の形状を非直線状にすることで、シート4がスリット部分で裂ける欠点を無くすものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3353225号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した特許文献1の構成では、散気運転時にシート4の可動領域6が膨らんでスリット5が開き、スリット5から空気が噴出する。
しかしながら、散気運転時にシート4が膨らみ始める初期状態において、スリット5の相対向する可動領域6のスリットの切断面6aと本体領域7のスリットの切断面7aはベース表面からその垂線方向8へ付勢される。この際に、スリット5の相対向するスリットの切断面6a、7aがシート表面およびベース表面の垂線方向と平行であると、シート5の可動領域6にあるスリットの切断面6aが本体領域7のスリットの切断面7aに対して切断面方向に移動することになり、スリットの切断面6a、7aにおける摩擦が抵抗となってスリット5の開放を阻害し、結果として圧力損失が高くなる問題があった。
【0007】
本発明は上記した課題を解決するものであり、散気停止時に管内に汚泥が侵入することを防止し、散気孔および管内が閉塞することを防止し、かつ散気運転時の圧力損失を低減することができる散気管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の散気管は、チューブ形状の弾性体からなり、内側が空気供給源に連通する膜体と、膜体を表裏に貫通する非直線状のスリットをなす複数の散気孔スリットを備え、散気孔スリットは少なくとも所定部位が傾斜面部をなし、傾斜面部においてスリットの切断面が膜体の半径方向に対して傾斜するとともに、散気孔スリットと散気孔スリットの両端部を結ぶ線分とに囲まれた閉領域側におけるスリットの切断面がその対向する残りの膜体側におけるスリットの切断面の外側に重なることを特徴とする。
【0009】
本発明の散気管において、散気孔スリットは、円弧状、山形状およびコの字状の何れかの形状をなすことを特徴とする。
本発明の散気管において、膜体の内側面を支持する管状体をなして管壁を表裏に貫通する貫通穴を形成した保持体を備え、貫通穴が散気孔スリットに重ならないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、膜体の半径方向において閉領域側におけるスリットの切断面が残りの膜体側におけるスリットの切断面の外側に重なることにより、スリットが散気孔として開口する際に膜体の閉領域側と残りの膜体側との間に作用する摩擦等の抵抗力を低減できるので、散気管へ送気を開始した運転初期時において、散気孔スリットが容易に開口し、散気運転時の圧力損失を低減することができる。
【0011】
また、膜体の半径方向において閉領域側におけるスリットの切断面が残りの膜体側におけるスリットの切断面の外側に重なることにより、散気管への送気を停止した運転停止時において、周囲の水圧を受ける膜体の閉領域側がそのスリットの切断面で残りの膜体側のスリットの切断面に水密に圧接するので、散気停止時に管内に汚泥が侵入することを防止し、管内が閉塞することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における散気管を示す斜視図
【図2】同実施の形態における散気管の分解斜視図
【図3】同実施の形態における散気孔スリットを示す模式図
【図4】図3におけるA−A矢視図
【図5】図3におけるB−B矢視図
【図6】同実施の形態における散気孔のスリットを示し、(a)は開放状態、(b)は閉塞状態を示す断面図
【図7】同実施の形態における散気管の上方から見たスリットのパターンを示し、(a)は中心から外側へ向く円弧、(b)は中心から外側へ向かう山形、(c)は中心から外側へ向くコの字、(d)は外側から中心へ向く円弧
【図8】従来の散気管を示す平面図
【図9】従来の散気装置の断面視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1から図4において、散気管51は主要部材が膜体52と保持体53からなり、チューブ形状の弾性体、例えばEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、ポリウレタン樹脂、シリコンゴム等からなる膜体52の内部に樹脂製または金属製の管状体からなる保持体53を挿入している。
【0014】
膜体52の上部域および下部域には複数の散気孔スリット54が設けてあり、散気孔スリット54は膜体52を表裏に貫通し、非直線状、ここでは円弧状のスリットをなしており、図3に示すように、散気孔スリット54と散気孔スリット54の両端部を結ぶ線分Lとに囲まれた閉領域56を形成している。
【0015】
この閉領域56は、円弧状の散気孔スリット54により膜体52から切り離されることで、散気運転時に膜体52の膨張に追従して変形するのではなく、独自の変形が可能となる。
【0016】
散気孔スリット54は少なくとも所定部位、ここでは図3に示すように円弧の中心を含む所定範囲にわたる部位が傾斜面部55をなすが、傾斜面部55は散気孔スリット54の全体に設けても良い。
【0017】
図4および図5に示すように、傾斜面部55において散気孔スリット54の切断面が膜体52の半径方向57に対して傾斜しており、閉領域56の側におけるスリットの切断面56aがその対向する残りの膜体52の側におけるスリットの切断面52aの外側に重なっている。
【0018】
このことで閉領域56が擬似的に蓋体のように作用し、散気孔スリット54が散気孔として開口する際には散気孔に被せた蓋体を取り去るように残りの膜体52の側から離間することで、閉領域56の側と残りの膜体52の側との間に作用する摩擦等の抵抗力を低減できるので、散気運転時の圧力損失を低減することができる。
【0019】
図7(a)に示すように、本実施の形態では、散気孔スリット54を中心側から外側へ向かう円弧状としたが、図7(b)に示すように、散気孔スリット54は中心側から外側へ向かう山形状とすることも可能であり、図7(c)に示すように、散気孔スリット54は中心側から外側へ向かうコ字状とすることも可能であり、図7(d)に示すように、散気孔スリット54は外側から中心側へ向かう円弧状とすることも可能である。
【0020】
保持体53は一端を閉塞した有底筒体状をなし、膜体52の内側面に当接して膜体52を支持するもので、その管壁58を表裏に貫通する貫通穴59が複数箇所に形成してあり、貫通穴59は散気孔スリット52と重ならない位置、すなわち側部域に設けている。
【0021】
これは、貫通穴59が散気孔スリット52と重なる場合には、その散気孔スリット52に散気ガスの吐出圧が局部的に作用して散気孔スリット52が他の位置よりも大きく開口するので、その散気孔スリット52からの散気量が多くなり、散気管全体を見たときに、均一な散気が実現されない。これに対して、貫通穴59が散気孔スリット52と重ならない場合には、散気ガスの吐出圧が膜体52に均一に作用し、散気管全体から均一に散気することが実現可能となる。
【0022】
保持体53と膜体52の両端部に装着した締め付け具60が膜体52と保持体53を気密に圧接しており、保持体53の他端の給気口61が空気供給源のブロア62に接続している。
【0023】
以下、上記した構成における作用を説明する。図6は散気孔スリット52の作用を示すものであり、便宜的に保持体53を省略して膜体52のみを表している。図6(b)に示すように、ブロア62から給気口61を通して散気管51に送気しない運転停止状態では、傾斜面部55において閉領域56の側のスリットの切断面56aが残りの膜体52の側のスリットの切断面52aに膜体52の半径方向57において外側に重なることにより、周囲の水圧を受ける閉領域56がそのスリットの切断面56aで残りの膜体52の側のスリットの切断面52aに水密に圧接するので、散気停止時に管内に汚泥が侵入することを防止し、管内が閉塞することを防止できる。
【0024】
図6(a)に示すように、散気運転時にはブロア62から給気口61を通して散気管51に送気する。この際に、膜体52の半径方向において閉領域56の側におけるスリットの切断面56aが残りの膜体52の側におけるスリットの切断面52aの外側に重なることにより、閉領域56の側と残りの膜体52の側との間に作用する摩擦等の抵抗力を低減できるので、散気管へ送気を開始した運転初期時において、散気孔スリット54が容易に開口し、散気運転時の圧力損失を低減することができる。
【0025】
なお、この散気管51は、下水処理施設における曝気槽での使用のほかに、各種産業排水処理や浄水処理における曝気槽での使用や、浸漬型膜分離装置の下方に配置して膜面の洗浄に使用することなどが可能であり、その適用範囲は限定されない。
【符号の説明】
【0026】
51 散気管
52 膜体
53 保持体
54 散気孔スリット
55 傾斜面部
56 閉領域
52a、56a スリットの切断面
57 半径方向
58 管壁
59 貫通穴
60 締め付け具
61 給気口
62 ブロア
【技術分野】
【0001】
本発明は下水処理施設などの処理槽内において散気する散気管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の汚泥中の散気装置は、例えば図8に示すように、塩化ビニール管1に直径数mmの散気孔2を複数箇所に形成したものであり、散気停止時に管内に侵入した汚泥で散気孔2および管内が閉塞する問題があった。
【0003】
この汚泥の侵入を防ぐために、ゴムメンブレン式の散気装置が実用化されているが、散気運転時の圧力損失が高いためにブロワの動力が高くなり、電力使用量が増大する要因となっている。
【0004】
また、散気装置としては、例えば特許文献1に記載するものがある。これは、図9に示すように、フラットなベース3の上に伸縮性のあるシート4を配置し、このシート4に多数のスリット5を形成し、スリット5を介して加圧気体を液体中に通すことによって液体中に多数の気泡を形成するようにした曝気装置であり、シート4に形成するスリット5の形状を非直線状にすることで、シート4がスリット部分で裂ける欠点を無くすものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3353225号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した特許文献1の構成では、散気運転時にシート4の可動領域6が膨らんでスリット5が開き、スリット5から空気が噴出する。
しかしながら、散気運転時にシート4が膨らみ始める初期状態において、スリット5の相対向する可動領域6のスリットの切断面6aと本体領域7のスリットの切断面7aはベース表面からその垂線方向8へ付勢される。この際に、スリット5の相対向するスリットの切断面6a、7aがシート表面およびベース表面の垂線方向と平行であると、シート5の可動領域6にあるスリットの切断面6aが本体領域7のスリットの切断面7aに対して切断面方向に移動することになり、スリットの切断面6a、7aにおける摩擦が抵抗となってスリット5の開放を阻害し、結果として圧力損失が高くなる問題があった。
【0007】
本発明は上記した課題を解決するものであり、散気停止時に管内に汚泥が侵入することを防止し、散気孔および管内が閉塞することを防止し、かつ散気運転時の圧力損失を低減することができる散気管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の散気管は、チューブ形状の弾性体からなり、内側が空気供給源に連通する膜体と、膜体を表裏に貫通する非直線状のスリットをなす複数の散気孔スリットを備え、散気孔スリットは少なくとも所定部位が傾斜面部をなし、傾斜面部においてスリットの切断面が膜体の半径方向に対して傾斜するとともに、散気孔スリットと散気孔スリットの両端部を結ぶ線分とに囲まれた閉領域側におけるスリットの切断面がその対向する残りの膜体側におけるスリットの切断面の外側に重なることを特徴とする。
【0009】
本発明の散気管において、散気孔スリットは、円弧状、山形状およびコの字状の何れかの形状をなすことを特徴とする。
本発明の散気管において、膜体の内側面を支持する管状体をなして管壁を表裏に貫通する貫通穴を形成した保持体を備え、貫通穴が散気孔スリットに重ならないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、膜体の半径方向において閉領域側におけるスリットの切断面が残りの膜体側におけるスリットの切断面の外側に重なることにより、スリットが散気孔として開口する際に膜体の閉領域側と残りの膜体側との間に作用する摩擦等の抵抗力を低減できるので、散気管へ送気を開始した運転初期時において、散気孔スリットが容易に開口し、散気運転時の圧力損失を低減することができる。
【0011】
また、膜体の半径方向において閉領域側におけるスリットの切断面が残りの膜体側におけるスリットの切断面の外側に重なることにより、散気管への送気を停止した運転停止時において、周囲の水圧を受ける膜体の閉領域側がそのスリットの切断面で残りの膜体側のスリットの切断面に水密に圧接するので、散気停止時に管内に汚泥が侵入することを防止し、管内が閉塞することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における散気管を示す斜視図
【図2】同実施の形態における散気管の分解斜視図
【図3】同実施の形態における散気孔スリットを示す模式図
【図4】図3におけるA−A矢視図
【図5】図3におけるB−B矢視図
【図6】同実施の形態における散気孔のスリットを示し、(a)は開放状態、(b)は閉塞状態を示す断面図
【図7】同実施の形態における散気管の上方から見たスリットのパターンを示し、(a)は中心から外側へ向く円弧、(b)は中心から外側へ向かう山形、(c)は中心から外側へ向くコの字、(d)は外側から中心へ向く円弧
【図8】従来の散気管を示す平面図
【図9】従来の散気装置の断面視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1から図4において、散気管51は主要部材が膜体52と保持体53からなり、チューブ形状の弾性体、例えばEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、ポリウレタン樹脂、シリコンゴム等からなる膜体52の内部に樹脂製または金属製の管状体からなる保持体53を挿入している。
【0014】
膜体52の上部域および下部域には複数の散気孔スリット54が設けてあり、散気孔スリット54は膜体52を表裏に貫通し、非直線状、ここでは円弧状のスリットをなしており、図3に示すように、散気孔スリット54と散気孔スリット54の両端部を結ぶ線分Lとに囲まれた閉領域56を形成している。
【0015】
この閉領域56は、円弧状の散気孔スリット54により膜体52から切り離されることで、散気運転時に膜体52の膨張に追従して変形するのではなく、独自の変形が可能となる。
【0016】
散気孔スリット54は少なくとも所定部位、ここでは図3に示すように円弧の中心を含む所定範囲にわたる部位が傾斜面部55をなすが、傾斜面部55は散気孔スリット54の全体に設けても良い。
【0017】
図4および図5に示すように、傾斜面部55において散気孔スリット54の切断面が膜体52の半径方向57に対して傾斜しており、閉領域56の側におけるスリットの切断面56aがその対向する残りの膜体52の側におけるスリットの切断面52aの外側に重なっている。
【0018】
このことで閉領域56が擬似的に蓋体のように作用し、散気孔スリット54が散気孔として開口する際には散気孔に被せた蓋体を取り去るように残りの膜体52の側から離間することで、閉領域56の側と残りの膜体52の側との間に作用する摩擦等の抵抗力を低減できるので、散気運転時の圧力損失を低減することができる。
【0019】
図7(a)に示すように、本実施の形態では、散気孔スリット54を中心側から外側へ向かう円弧状としたが、図7(b)に示すように、散気孔スリット54は中心側から外側へ向かう山形状とすることも可能であり、図7(c)に示すように、散気孔スリット54は中心側から外側へ向かうコ字状とすることも可能であり、図7(d)に示すように、散気孔スリット54は外側から中心側へ向かう円弧状とすることも可能である。
【0020】
保持体53は一端を閉塞した有底筒体状をなし、膜体52の内側面に当接して膜体52を支持するもので、その管壁58を表裏に貫通する貫通穴59が複数箇所に形成してあり、貫通穴59は散気孔スリット52と重ならない位置、すなわち側部域に設けている。
【0021】
これは、貫通穴59が散気孔スリット52と重なる場合には、その散気孔スリット52に散気ガスの吐出圧が局部的に作用して散気孔スリット52が他の位置よりも大きく開口するので、その散気孔スリット52からの散気量が多くなり、散気管全体を見たときに、均一な散気が実現されない。これに対して、貫通穴59が散気孔スリット52と重ならない場合には、散気ガスの吐出圧が膜体52に均一に作用し、散気管全体から均一に散気することが実現可能となる。
【0022】
保持体53と膜体52の両端部に装着した締め付け具60が膜体52と保持体53を気密に圧接しており、保持体53の他端の給気口61が空気供給源のブロア62に接続している。
【0023】
以下、上記した構成における作用を説明する。図6は散気孔スリット52の作用を示すものであり、便宜的に保持体53を省略して膜体52のみを表している。図6(b)に示すように、ブロア62から給気口61を通して散気管51に送気しない運転停止状態では、傾斜面部55において閉領域56の側のスリットの切断面56aが残りの膜体52の側のスリットの切断面52aに膜体52の半径方向57において外側に重なることにより、周囲の水圧を受ける閉領域56がそのスリットの切断面56aで残りの膜体52の側のスリットの切断面52aに水密に圧接するので、散気停止時に管内に汚泥が侵入することを防止し、管内が閉塞することを防止できる。
【0024】
図6(a)に示すように、散気運転時にはブロア62から給気口61を通して散気管51に送気する。この際に、膜体52の半径方向において閉領域56の側におけるスリットの切断面56aが残りの膜体52の側におけるスリットの切断面52aの外側に重なることにより、閉領域56の側と残りの膜体52の側との間に作用する摩擦等の抵抗力を低減できるので、散気管へ送気を開始した運転初期時において、散気孔スリット54が容易に開口し、散気運転時の圧力損失を低減することができる。
【0025】
なお、この散気管51は、下水処理施設における曝気槽での使用のほかに、各種産業排水処理や浄水処理における曝気槽での使用や、浸漬型膜分離装置の下方に配置して膜面の洗浄に使用することなどが可能であり、その適用範囲は限定されない。
【符号の説明】
【0026】
51 散気管
52 膜体
53 保持体
54 散気孔スリット
55 傾斜面部
56 閉領域
52a、56a スリットの切断面
57 半径方向
58 管壁
59 貫通穴
60 締め付け具
61 給気口
62 ブロア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ形状の弾性体からなり、内側が空気供給源に連通する膜体と、膜体を表裏に貫通する非直線状のスリットをなす複数の散気孔スリットを備え、散気孔スリットは少なくとも所定部位が傾斜面部をなし、傾斜面部においてスリットの切断面が膜体の半径方向に対して傾斜するとともに、散気孔スリットと散気孔スリットの両端部を結ぶ線分とに囲まれた閉領域側におけるスリットの切断面がその対向する残りの膜体側におけるスリットの切断面の外側に重なることを特徴とする散気管。
【請求項2】
散気孔スリットは、円弧状、山形状およびコの字状の何れかの形状をなすことを特徴とする請求項1に記載の散気管。
【請求項3】
膜体の内側面を支持する管状体をなして管壁を表裏に貫通する貫通穴を形成した保持体を備え、貫通穴が散気孔スリットに重ならないことを特徴とする請求項1または2に記載の散気管。
【請求項1】
チューブ形状の弾性体からなり、内側が空気供給源に連通する膜体と、膜体を表裏に貫通する非直線状のスリットをなす複数の散気孔スリットを備え、散気孔スリットは少なくとも所定部位が傾斜面部をなし、傾斜面部においてスリットの切断面が膜体の半径方向に対して傾斜するとともに、散気孔スリットと散気孔スリットの両端部を結ぶ線分とに囲まれた閉領域側におけるスリットの切断面がその対向する残りの膜体側におけるスリットの切断面の外側に重なることを特徴とする散気管。
【請求項2】
散気孔スリットは、円弧状、山形状およびコの字状の何れかの形状をなすことを特徴とする請求項1に記載の散気管。
【請求項3】
膜体の内側面を支持する管状体をなして管壁を表裏に貫通する貫通穴を形成した保持体を備え、貫通穴が散気孔スリットに重ならないことを特徴とする請求項1または2に記載の散気管。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−125781(P2011−125781A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285824(P2009−285824)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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