説明

散気装置取付け架台及び散気装置取付け面調節方法

【課題】 大きなサイズの接地面や複雑な形状の設置面に対しても容易に構築及び調整ができ、しかも安価な散気装置取付け架台を提供することを課題としている。
【解決手段】 処理槽内の下部に散気装置を固定するための散気装置取付け架台において、
前記架台は、該槽の底部に複数の長さが調節可能な支柱の基台部を固設して鉛直方向に立設し、同一高さの断面を有するレール状部材の複数個を相互に直交する方向又は平行する方向に配置して該レール状部材の下面を前記支柱の頂部に固定し、該レール状部材が複数個の長方形又は正方形の4角形の区画を形成するようにして枠体を構成し、該枠体の上面に任意の間隔で長尺の散気パネルを取付け可能にすると共に該枠体の上面が所定の高さレベルで同一水平面内に位置するように調節可能に構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
下水処理場等において活性汚泥法により処理を行う処理槽の底部に散気装置を取り付ける場合の散気装置の取付け架台の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
被処理水を好気性微生物によって処理する処理槽では、処理槽の底部に散気装置を配設して微細気泡発生させ、微生物の活性を高める必要がある。従来このような散気装置取付け架台は、特許文献1、2に示すように、処理槽の外部で架台に散気装置を取り付けて、散気装置を取り付けた架台を処理槽の底部に移動し、設置する方式がある。
【特許文献1】公開特許公報、特開2006−181433号
【特許文献2】公開特許公報、特開2007−14842号
【0003】
特許文献1に開示された散気装置架台101(従来装置1)を図14に示す。従来装置1は、散気部104を表面に配置した散気装置103を槽107の底部に配置する際の設備の簡略化を図り、傾きを生じることなく設置し、効率的な散気を促すようにした架台である。即ち、散気装置103を設置する水平部を備えた架台101を槽107内から槽107外にかけて延びる走行路105に水平部を沿わせるように走行させて槽107内に挿脱可能とし、水平部が水平に固定されるようにしている。
【0004】
特許文献2に開示された散気装置架台201(従来装置2)を図15に示す。従来装置2は、被処理水中から容易に引き上げることができるように昇降式となっている。即ち、散気装置架台201には被処理水中に気泡を発生する複数の散気部材215が配設されており、連結部材211によって昇降装置209に連結されている。連結部材211は架台201の4隅に接続された同じ長さのワイヤがリング211cを介して昇降装置209に接続されている。昇降装置209は連結部材を巻き取ることによって被処理水中から引き上げ、自重によって被処理水中に沈める。なお、複数の散気部材215に気体を供給する気体供給管217と処理槽203の底部側に配置された気体を貯留する貯留槽221に気体を供給する気体供給管223を備えている。
【0005】
以上に記述した従来装置は何れも槽外、例えば組み立て工場などで架台に散気装置を取り付けた後に、運搬し、処理槽内に挿入し、設置する方式である。これらの方式では工場等で組立ができるので組立が容易であり、また、処理槽からの挿脱が比較的容易であるからメンテナンスに便利であるという利点がある。しかし、架台に散気装置を取り付けてユニット化すると、外部から処理槽までの運搬が大がかりになる上、工場内で架台上に散気装置をレベル出しして組み付けても、コンクリート打設で作られる処理槽の底面では水平がでておらず、現場では架台全体を上下傾けてレベル調整することとなり、処理槽底部に固定される長アンカーボルトのネジ部でレベル調整して架台を調整するので架台脚下に根巻きが必要となり、設置作業が複雑になるという欠点がある。更に工場からの運搬には、道路運送車両法の保安基準や道路法の車両制限令によるサイズに制限があり、大規模の散気装置を構築できないという欠点がある。また、大規模の散気装置を分割して設置する場合でも各分割された装置相互の調整や干渉などにより設置が複雑になるという欠点が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は運搬作業の複雑化や処理槽内の設置作業の複雑化を解消し、処理槽内で直接組立ができるように構成部品を細かく分類してユニット化を行い、処理槽底面の散気サイズ大きさによらず、また、処理槽が複雑な平面形状をしている場合の設置面に対しても容易に構築及び調整ができ、しかも安価な散気装置取付け架台を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は以下の手段を採用している。即ち、
請求項1に記載の発明は、処理槽内の下部に散気装置を固定するための散気装置取付け架台において、前記架台は、該槽の底部に複数の長さが調節可能な支柱の基台部を固設して該支柱を鉛直方向に立設し、断面の高さが同一のレール状部材の複数個を相互に直交する方向又は平行する方向に配置して該レール状部材が複数個の長方形又は正方形の4角形の区画を形成するようにして枠体を構成し、前記4角形のコーナの角点を前記支柱の頂部に配置して固定し、該枠体の上面に任意の間隔で長尺の散気パネルを取付け可能にすると共に該枠体の上面が所定の高さレベルで同一水平面内に位置するように調節可能に構成したことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記4角形の区画を形成する前記レール状部材は、前記支柱の頂部に設けた固定盤の上面に前記直交又は平行するレール状部材の一方を固定し、他方の端部を前記一方のレール状部材の腹部に突き合わせるように近接して固定したことを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記支柱は、前記槽の底部に固設される前記支柱の基台部の上側に設けられた円筒体の内側面と前記支柱の頂部の固定盤の下側に設けられた円筒体の内側面に正ネジと逆ネジを切り、該正ネジ及び逆ネジと螺合するネジ部を支柱本体の両端に設けて、前記支柱の長さを調節可能にしたことを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3に記載の発明において、前記枠体は、前記レール状部材間に補強部材を設けて前記長方形又は正方形の4角形の区画が変形しないようにしたことを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項4に記載の発明において、前記支柱本体に着脱可能な補強支持部材を設けて、該支柱の基台部や該支柱の頂部固定盤が前記支柱本体と為す角に変形を生じないようにしたことを特徴としている。
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記レール状部材には下辺の水平部分の内部に蟻溝を形成し、かつ該蟻溝の下側に外部と通じるスリットを設けてあり、前記補強支持部材は、前記支柱本体にはクランプ形状部材により挟持して補強支持部材本体を回動可能に軸支固定し、前記レール部材には、前記蟻溝内に回動不能に挿入された固定片にボルトを介して締結して補強支持部材本体を回動可能に軸支固定することを特徴としている。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1〜請求項6に記載の発明において、前記レール状部材は、断面がH字形状又はI字形状をなす棒部材で形成し、下辺の水平部分の内部に蟻溝を形成し、かつ該蟻溝の下側に外部と通じるスリットを設けて、前記蟻溝内に回動不能に挿入された固定片にボルトを介して前記支柱の頂部固定盤に締結することで、前記支柱を立設後に該支柱に取付け及び取り外し可能に構成したことを特徴としている。
請求項8記載の発明は、請求項1〜請求項6に記載の発明において、前記レール状部材は、断面がH字形状又はI字形状をなす棒部材で形成し、下辺の水平部分の内部に蟻溝を形成し、かつ該蟻溝の下側に外部と通じるスリットを設けて、前記蟻溝内に回動不能に頭部を挿入されたボルトにナットを介して前記支柱の頂部固定盤に締結することで、前記支柱を立設後に該支柱に取付け及び取り外し可能に構成したことを特徴としている。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項1〜請求項7に記載の発明において、前記レール状部材は、断面がH字形状又はI字形状をなす棒部材で形成し、上辺の水平部分の内部に蟻溝を形成し、かつ該蟻溝の上側に外部と通じるスリットを設けて、前記蟻溝内に回動不能に挿入された固定片にボルトを介して散気パネル固定部に締結することで、前記枠体を組み立てた後に散気パネルの着脱を可能に構成したことを特徴としている。
請求項10記載の発明は、請求項1〜請求項7に記載の発明において、前記レール状部材は、断面がH字形状又はI字形状をなす棒部材で形成し、上辺の水平部分の内部に蟻溝を形成し、かつ該蟻溝の上側に外部と通じるスリットを設けて、前記蟻溝内に回動不能に頭部を挿入されたボルトにナットを介して散気パネル固定部に締結することで、前記枠体を組み立てた後に散気パネルの着脱を可能に構成したことを特徴としている。
【0014】
請求項11記載の発明は、請求項1〜請求項10に記載の発明において、前記散気架台は一部又は全部を樹脂製材料で構成したことを特徴としている。
【0015】
請求項12記載の発明は、請求項1〜請求項11に記載の発明において、前記散気装置取付け架台は、各構成部品をユニット化できるまで細かく分解して、ユニット化された各部品を、ボルト・ナット、及び各部品に施された雄ネジ雌ねじにより組立可能にしたことを特徴としている。
【0016】
請求項13に記載の発明は、処理槽の底部から鉛直に立設された複数の支柱と、複数の前記支柱によって水平に支持されるレール状部材と、該レール状部材の複数個を相互に直交及び平行する方向に配置して、所定高さレベルで同一水平面内に長方形又は正方形の区画を形成する枠体を構成し、該枠体の上側面に任意の間隔で長尺の散気パネルを取付け可能にし、前記支柱の基台部の上側に設けた円筒体の内側面と前記支柱の頂部の固定盤の下側に設けた円筒体の内側面に正ネジと逆ネジを切り、該正ネジ及び逆ネジと螺合するネジ部を支柱本体の両端に設けて支柱の長さを調節可能に構成し、該枠体の上面に任意の間隔で長尺の散気パネルを取付け可能にした散気装置取付け架台における散気装置取付け面調節方法であって、前記散気パネルを取り付けるレール状部材の上面のレベル高さを調節する方法は、前記散気パネルを取付け可能状態で有る前記長方形又は正方形の区画が所定高さレベルに略近接したレベルになるまで仮組立するステップと、支柱の基台部の上側にある円筒体上部に位置し支柱本体ネジ部に螺合する第1ロックナット、及び支柱の頂部の下側にある円筒体下部に位置し支柱本体ネジ部に螺合する第2ロックナットを緩めて、各円筒体と支柱本体ネジ部は略半分螺合させた状態にするステップと、前記処理槽内に仮基準点を設けるステップと、前記レール状部材の任意の上辺点をレベル基準器により該基準点に合わせるように前記支柱全体の長さを調節するステップと、前記第1ロックナット及び前記第2ロックナットとを締めて固定するステップとを具備することを特徴としている。

【発明の効果】
【0017】
本願の発明によれば、処理槽内で直接組立ができるように構成部品を細かく分類してユニット化をしたので、大きなサイズの接地面を有する処理槽や複雑な接地面を有する処理槽に対しても容易に構築及び調整が可能になるという効果が得られる。又、ユニット化した部品を樹脂製にすれば安価な散気装置取付け架台が製作できるだけでなく、運搬作業や現地の組立て作業も容易になるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本願発明の最良と思われる実施形態を説明する。図1は本願発明の実施形態の散気パネルを取り付けた組み立て図である。図1(A)は平面図で、図1(B)は横側面図で、図1(C)は縦側面図である。図1において、散気パネル11は架台12の上面に取り付けられる。図2は散気パネル11を取り外した架台12の平面図である。また、図3(A)は図2のA−A矢視図で、図3(B)はB−B矢視図を示す。図4(A)は図2のC−C矢視図で、図4(B)はD−D矢視図を示す。図2〜図4において、支柱14が横方向及び縦方向に各々等間隔で配置され、処理槽10の底面20から垂直方向に立設し、固定されている。図5は支柱14の全体図を示し、図6は支柱14の要部拡大図を示す。また、図2に示す補強部材40は直交して配設されたレール状部材13、13間の狭角が変化しないようにする補強するための部材で、レール状部材13を取り付けた後でレール状部材13の下面に取り付けられる。
【0019】
図5、図6に示すように、支柱14の下端に設けられた基台部15の両端がアンカーボルト16によって処理槽10の底面20に固定されている。また、支柱14の頂部にはレール固定用の盤状体17が設けられている。基台部15の上側に設けられた円筒体15aの内側面には逆ネジが切られ、レール固定用の盤状体17の下側に設けられた円筒体17aの内側面には正ネジが切られている。正ネジと螺合する雄ネジを切ったネジ部が調節部材19の先端に設けられ、逆ネジと螺合する雄ネジを切ったネジ部が調節部材18の先端に設けられる。調節部材18,19には支柱本体21と接続する接続部18a、19aがネジ部と反対側端部に設けられる。接続部18a、19aの内側には柱状の空洞が設けられていて、この柱状空洞に支柱本体21の両端部を挿入し、接着剤等により固定する。従って、調節部材18、19が基台部15の逆ネジ或いは盤状体17の正ネジと螺合した状態で接続される。前記正ネジ、逆ネジ及び螺合する雄ネジには調節用のピッチの細かいネジが切られており、支柱本体の長さを微調節できるように構成されている。また、雄ネジには第1ロックナット22、第2ロックナット23が装着されており、調節した後で第1ロックナット22、第2ロックナット23によって固定される。なお、正ネジ及び逆ネジは同一ピッチとすることが望ましい。また、図5に示すように、レール状部材13の上部には、後述する蟻溝とその中に挿入される固定片、及び固定片に螺合するボルトにより、散気パネル11が、アングル形状をした鋼材のフランジ片側の先端をもう片側フランジと平行に折り曲げた形の固定部で、散気パネル11の固定枠51を押さえる形で固定されている。
【0020】
図7(A)はレール状部材13の断面形状を示した図である。図7(B)は板部材35に固定する方法を示す。レール状部材13は図7(A)に示すように、断面がH字形状又はI字形状の棒部材で形成され、フランジ部を成す上辺の水平部13b、フランジ部を成す下辺の水平部13cと上辺13bと下辺13cを接続するウエブ部を成す中央部13dから構成されている。上辺の水平部13b及び下辺の水平部13cの各々には蟻溝32a、32bが形成されており、かつ蟻溝32aの上側及び蟻溝32bの下側には外部と通じるスリット33a及び33bが設けられている。レール状部材13を板材35に固定するには、図7(B)に示すように、先ず、雌ネジ穴を設けた固定片34を空洞32bに挿入する。次に、所定の位置でボルト36を固定片34のネジ穴と螺合させて締め付ける。固定片34は、蟻溝内寸法より僅かに小さい間隔の平行辺を持つ四角又は6角形状のナット状のもので、ステンレス製ピースとするのが望ましい。
【0021】
図8は盤状体17にレール状部材13を固定する方法を示した図である。図8(A)は上から見た平面図を示し、図8(B)はA−Aから見た断面図である。盤状体17の上面には平板部25(図8(B)ではハンチング部分で示す。)が設けられている。平板部25は略正方形の板の4隅を切った形状に形成され、L字形状の4本の突部26がレール状部材13及び13aをガイドするように配置されている。即ち、4本のL字形状の突部26によって形成される十字型の溝がレール状部材13、13aの各下辺13cと嵌合し、レール状部材13、13aの配置位置及び配置角度が正確になるように構成されている。なお、レール状部材13aはレール状部材13と十字形状、T字形状、又はL字形状の接続の場合にはレール状部材13の腹部からレール状部材13aの端部を微小距離離した状態に配置され、ボルトで固定される。
【0022】
図9は該支柱の基台部や該支柱の頂部固定盤が前記支柱本体と為す角に変形が生じるたりレール状部材の撓み変形が生じたりするのを防止するための着脱可能な補強支持部材27(27a、27b)を装着した状態を示す。図10は支柱本体21に固定する補強支持部材27のクランプ状固定部28を示す。図10(A)は側面図、図10(B)は上から見た平面図を示す。クランプ状固定部28は2個の半割円筒状部材28a、28bからなり、装着後にボルトで固定されるように構成されている。補強支持部材27aは支柱14と底面20との間に設けた補強部材であり、補強支持部材27bは支柱14とレール状部材13(又は13a)との間に設けた補強部材である。補強支持部材27aは、処理槽底部にアンカーボルトなどで固定される固定ピースと、固定ピースにボルト・ナットで回動自在に軸支される補強支持部材本体とからなり、前記補強支持部材本体の他端は、前記クランプ状固定部28の締結ボルトにより回動自在に軸支される。補強支持部材27bは、レール状部材13,13aの下辺13cの蟻溝32bに送り込まれた固定片34とボルトにより固定されるレール固定ピースと、レール固定ピースにボルト・ナットで回動自在に軸支される補強支持部材本体とからなり、前記補強支持部材本体の他端は、前記クランプ状固定部28の締結ボルトにより回動自在に軸支される。 ここで、レール状部材13,13aの下辺13cの蟻溝32bに頭部を送り込まれるボルトと、ナットにより固定されるレール固定ピースであっても勿論良い。補強支持部材27は1個の支柱14に必ずしも両方を設ける必要はないが、両方を設ける場合は補強支持部材27aと補強支持部材27bの方向をお互いに直交する方向に設けるのが好ましい。補強支持部材27は、補強支持部材本体の両端をボルトで回動自在に軸支し締結固定するので、補強支持部材本体の長さや、クランプ状固定部28の支柱本体21への取付位置により自由に固定点を移動できる。
【0023】
図11はレール状部材13の上表面を水平にし、かつ水深を設計値に調節する手順を示す。図12は手順の説明図である。図11において、ステップS1では、散気パネル11を取付け可能状態で有る前記長方形又は正方形の区画が所定高さレベルに略近接したレベルになるまで、複数の支柱14及び複数のレール状部材13を仮組立して、仮取り付け状態にする。ステップS2では第1ロックナット22、及び第2ロックナット23を緩め、補強支持部材27を外した状態にして支柱14の高さを上下方向に調節可能な状態にする。ステップS3では、処理槽とは別の平らな場所で、目標となる測量ロッド43を立てて、測量用トランシット42(レベル計測器)で実測することにより、所定の処理槽底面からの設計レベル高さを、測量ロッド42に基準点をマーキングし、測量用トランシット42にセットしておく。そして測量ロッド43を処理槽内に持ち込み、測量ロッド43にマーキングしたレベルに基づき、処理槽内部の壁の適当な点に仮基準点41を設定する。ステップS4では測量ロッド43のマーキングレベルに基づき、レール状部材の上面の、平面で適当に分布する複数の点を選び(支柱14の上方の点を選ぶのが好ましい)、選択した点の側方に測量ロッド43を置いて、測量用トランシット42で測量ロッド43及び仮基準点41を見通してレベルを計測する。ステップS5では支柱本体21を左右に回転させて、前記選択したレール状部材上の各点のレベル出しすることにより、散気パネル11の水深が設計値になるようにする。ステップS6では全ての選択した点の水深が設計値に合わされたら、ロックナットを締めて固定する。更に、補強支持部材27を取り付けて固定する。
【0024】
図13は散気パネル11の実施例を示す。図13(A)は平面図を示し、図13(B)はA−A断面図を示し、図13(C)はB−B断面図を示す。図13において、固定枠51に散気膜52とベースプレート54が狭持されて固定されている。給気口53に接続用口金55が設けられている。給気口53から空気供給により内圧が所定値以上になると散気膜52の気孔部が開き微細な気泡が発生する。また、空気供給を停止すると散気膜52がベースプレート54に密着し、気孔部は閉じた状態になる。散気パネル11の取付けは取付け用金具(図示省略)を使用して固定枠51をボルト等によってレール状部材13の上面に固定して行う。散気パネル11は、レール状部材13によりボルト・ナットの締結位置を変えることにより、パネル間隔を容易に変えることができる。
【0025】
本実施形態で使用する部品、例えば、支柱、レール状部材、補強部材の大半は樹脂製にし、止めたり、締めたりする金具の一部はステンレス製にする。
【0026】
以上に説明したように、本実施形態の発明に依れば、部品の大部分を樹脂製とし、ユニット化して部品のサイズを細かくしたので運搬作業や組み立て作業が容易になるという効果が得られる。更に部品をユニット化して規格が統一されているので、処理槽の設置面が広い場合や複雑な形状をしている場合でも容易に構築できるという効果がある。
【0027】
以上、この発明の実施形態、実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を実施した実施形態の全体図を示す。
【図2】散気パイプを取り外した散気装置取付け架台の平面図を示す。
【図3】図2の(A)A−Aから見た断面図、(B)B−Bから見た断面図を示す。
【図4】図2の(A)C−Cから見た断面図、(B)D−Dから見た断面図を示す。
【図5】支柱の全体図を示す。
【図6】支柱の拡大図を示す。
【図7】(A)はレール状部材の断面図、(B)平板に取り付ける説明図を示す。
【図8】盤状体にレール状部材を固定する方法を示す。(A)平面図、(B)断面図。
【図9】補強支持部材を取り付けた状態を示す。
【図10】支柱本体に固定する固定部を示す。(A)側面図、(B)平面図。
【図11】散気パネル取付け面の調整手順を示すフローチャート。
【図12】調整手順の説明図を示す。
【図13】散気パネル例。(A)平面図、(B)A−A断面図、(C)B−B断面図。
【図14】従来装置1の説明図。
【図15】従来装置2の説明図。
【符号の説明】
【0029】
11 散気パネル
12 散気パネル取付け架台
13 レール状部材
14 支柱
15 支柱の基台部
17 盤状体
18、19 調節部材
20 処理槽内の底
21 支柱本体
22、23 ロックナット
25 平板部
26 L字形状突部
27 補強支持部材
28 補強支持部材の固定部
40 補強部材
41 仮基準点
42 レベル計測器
43 基準点(外側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽内の下部に散気装置を固定するための散気装置取付け架台において、
前記架台は、該槽の底部に複数の長さが調節可能な支柱の基台部を固設して該支柱を鉛直方向に立設し、断面の高さが同一のレール状部材の複数個を相互に直交する方向又は平行する方向に配置して該レール状部材が複数個の長方形又は正方形の4角形の区画を形成するようにして枠体を構成し、前記4角形のコーナの角点を前記支柱の頂部に配置して固定し、該枠体の上面に任意の間隔で長尺の散気パネルを取付け可能にすると共に該枠体の上面が所定の高さレベルで同一水平面内に位置するように調節可能に構成したことを特徴とする散気装置取付け架台。
【請求項2】
前記4角形の区画を形成する前記レール状部材は、前記支柱の頂部に設けられた固定盤の上面に前記直交又は平行するレール状部材の一方を固定し、他方の端部を前記一方のレール状部材の腹部に突き合わせるように近接して固定したことを特徴とする請求項1に記載の散気装置取付け架台。
【請求項3】
前記支柱は、前記槽の底部に固設される前記支柱の基台部の上側に設けられた円筒体の内側面と前記支柱の頂部の固定盤の下側に設けられた円筒体の内側面に正ネジと逆ネジを切り、該正ネジ及び逆ネジと螺合するネジ部を支柱本体の両端に設けて、前記支柱の長さを調節可能にしたことを特徴とする請求項1又は請求項2の何れか1に記載の散気装置取付け架台。
【請求項4】
前記枠体は、前記レール状部材間に補強部材を設けて前記長方形又は正方形の4角形の区画が変形しないようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1に記載の散気装置取付け架台。
【請求項5】
前記支柱本体に着脱可能な補強支持部材を設けて、該支柱の基台部や該支柱の頂部固定盤が前記支柱本体と為す角に変形を生じないようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1に記載の散気装置取付け架台。
【請求項6】
前記レール状部材には下辺の水平部分の内部に蟻溝を形成し、かつ該蟻溝の下側に外部と通じるスリットを設けてあり、前記補強支持部材は、前記支柱本体にはクランプ形状部材により挟持して補強支持部材本体を回動可能に軸支固定し、前記レール部材には、前記蟻溝内に回動不能に挿入された固定片にボルトを介して締結して補強支持部材本体を回動可能に軸支固定することを特徴とする請求項5に記載の散気装置取付け架台。
【請求項7】
前記レール状部材は、断面がH字形状又はI字形状をなす棒部材で形成し、下辺の水平部分の内部に蟻溝を形成し、かつ該蟻溝の下側に外部と通じるスリットを設けて、前記蟻溝内に回動不能に挿入された固定片にボルトを介して前記支柱の頂部固定盤に締結することで、前記支柱を立設後に該支柱に取付け及び取り外し可能に構成したことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1に記載の散気装置取付け架台。
【請求項8】
前記レール状部材は、断面がH字形状又はI字形状をなす棒部材で形成し、下辺の水平部分の内部に蟻溝を形成し、かつ該蟻溝の下側に外部と通じるスリットを設けて、前記蟻溝内に回動不能に頭部を挿入されたボルトにナットを介して前記支柱の頂部固定盤に締結することで、前記支柱を立設後に該支柱に取付け及び取り外し可能に構成したことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1に記載の散気装置取付け架台。
【請求項9】
前記レール状部材は、断面がH字形状又はI字形状をなす棒部材で形成し、上辺の水平部分の内部に蟻溝を形成し、かつ該蟻溝の上側に外部と通じるスリットを設けて、前記蟻溝内に回動不能に挿入された固定片にボルトを介して散気パネル固定部に締結することで、前記枠体を組み立てた後に散気パネルの着脱を可能に構成したことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1に記載の散気装置取付け架台。
【請求項10】
前記レール状部材は、断面がH字形状又はI字形状をなす棒部材で形成し、上辺の水平部分の内部に蟻溝を形成し、かつ該蟻溝の上側に外部と通じるスリットを設けて、前記蟻溝内に回動不能に頭部を挿入されたボルトにナットを介して散気パネル固定部に締結することで、前記枠体を組み立てた後に散気パネルの着脱を可能に構成したことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1に記載の散気装置取付け架台。
【請求項11】
前記散気架台は一部又は全部を樹脂製材料で構成したことを特徴とする請求項1〜請求項10の何れか1に記載の散気装置取付け架台。
【請求項12】
前記散気装置取付け架台は、各構成部品をユニット化できるまで細かく分解して、ユニット化された各部品を、ボルト・ナット、及び各部品に施された雄ネジ雌ねじにより組立可能にしたことを特徴とする請求項1〜請求項11の何れか1に記載の散気装置取付け架台。
【請求項13】
処理槽の底部から鉛直に立設された複数の支柱と、複数の前記支柱によって水平に支持されるレール状部材と、該レール状部材の複数個を相互に直交及び平行する方向に配置して、所定高さレベルで同一水平面内に長方形又は正方形の区画を形成する枠体を構成し、該枠体の上側面に任意の間隔で長尺の散気パネルを取付け可能にし、前記支柱の基台部の上側に設けた円筒体の内側面と前記支柱の頂部の固定盤の下側に設けた円筒体の内側面に正ネジと逆ネジを切り、該正ネジ及び逆ネジと螺合するネジ部を支柱本体の両端に設けて支柱の長さを調節可能に構成し、該枠体の上面に任意の間隔で長尺の散気パネルを取付け可能にした散気装置取付け架台における散気装置取付け面調節方法であって、前記散気パネルを取り付けるレール状部材の上面のレベル高さを調節する方法は、前記散気パネルを取付け可能状態で有る前記長方形又は正方形の区画が所定高さレベルに略近接したレベルになるまで仮組立するステップと、支柱の基台部の上側にある円筒体上部に位置し支柱本体ネジ部に螺合する第1ロックナット、及び支柱の頂部の下側にある円筒体下部に位置し支柱本体ネジ部に螺合する第2ロックナットを緩めて、各円筒体と支柱本体ネジ部は略半分螺合させた状態にするステップと、前記処理槽内に仮基準点を設けるステップと、前記レール状部材の任意の上辺点をレベル基準器により該基準点に合わせるように前記支柱全体の長さを調節するステップと、前記第1ロックナット及び前記第2ロックナットを締めて固定するステップを具備することを特徴とする散気装置取付け面調節方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−200769(P2011−200769A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68922(P2010−68922)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】