説明

文字入力装置および文字入力装置のフリック入力選択候補の表示方法、およびプログラム

【課題】フリック入力時に、入力文字候補の選択を行いやすくすることができる文字入力装置を実現する。
【解決手段】文字入力装置および文字入力方法は、フリック入力時における入力候補を押下キーの位置より上方向へひらがな入力時にはあいうえお順に、アルファベット入力時にはアルファベット順に一列に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報機器やスマートフォンなどの携帯用電子機器における文字入力装置および文字入力方法に関し、特にタッチスクリーンキーボードを含む文字入力装置および文字入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から携帯電話、電子辞書、携帯PC(Personal Computer)、タブレット端末などの携帯機器は、常に筐体の小型化が要求されており、文字を入力するキーの数を増やしたりキーを配置する領域を広くすることは困難な状況にある。
【0003】
このため以前から番号入力用のテンキーの1つのキーに複数の文字を割り当て、キーを打鍵する回数によって入力文字を切り替える方式が採用されていた。例えば、番号の2に日本語の「か」行の文字を割り当て、キーを1回押下すると文字「か」が入力され、2回押下すると「き」が入力される。このようにキーを打鍵する回数によって入力文字を切り替える方式は、キーを押下する回数が増えるので指に負担が掛かることがある。このため最近では、非特許文献1に開示されているように、液晶などのタッチパネルにソフトウエアキーボードのテンキーを表示し、キーを指などで押しつつスライドして文字を入力するフリック入力方式が採用されている。非特許文献1に開示されたフリック入力例を図11(a)から図11(c)に説明する。図11(a)はタッチパネル部110を有するスマートフォンの外観図であり、文字を入力するためのソフトウェアキーボードが起動されている。この状態で指やタッチペンなどで「あ」をタッチすると操作画面を図11(b)に示すように「あ」の周辺に「い」「う」「え」「お」が、十字に表示される。ここでユーザが例えば、指を「あ」から左方向へ移動して「い」の位置で指を離すと「い」が入力される。また、指を「あ」から上方向へ移動して「う」の位置で指を離すと「う」が入力される。なお図11(c)は指で「あ」をタッチしたときの様子を示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】"法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」速報!「新しい時代のケータイを体験できるiPhone 3G」″、[online]、平成20年7月10日、[平成23年3月18日検索] 、インターネット〈URL:http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/mobile_catchup/40804.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記フリック入力は入力候補がタッチしたキーの周囲に表示されるため、指で隠れてしまう候補があった。例えば、図11(c)のように指で「あ」を押すことによって「え」と「お」が隠れてしまう。指で隠れて見えない文字を選択するには、予めどの位置にどの選択候補があるのかを記憶しておく必要があり使いづらいという課題がある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、フリック入力時に入力文字候補の選択を行いやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の文字入力装置は、表示部にタッチパネルを備えた文字入力装置であって、前記表示部にテンキーキーボードを表示する表示制御部と、前記テンキーキーボードのタッチされたキーを検出する操作検出部と、前記テンキーキーボードのフリック入力選択候補を記憶する記憶部と、を備え、前記表示制御部は、タッチされたキーに関連する複数のフリック入力選択候補を記憶部から読み出し、所定の優先順位に従ってタッチされたキーから順次離れるように選択候補を並べて表示することを特徴とする。また、前記本発明の文字入力装置の前記所定の優先順位は、五十音順またはアルファベット順であることを特徴とする。また、前記本発明の文字入力装置は、前記選択候補を前記表示部の中心方向へ向けて並べて表示することを特徴とする。また、前記本発明の文字入力装置の前記表示制御部は、フリック入力選択候補が入力された文字と重ならないようにフリック入力選択候補の表示を制御することを特徴とする。また、前記本発明の文字入力装置の前記表示制御部は、前記選択候補から選択している入力候補を、入力済みの文字と識別可能に表示することを特徴とする。
【0008】
本発明の文字入力装置のフリック入力選択候補の表示方法は、表示部にタッチパネルを備えた文字入力装置において、前記表示部にフリック入力選択候補を表示する表示方法であって、表示部にテンキーキーボードを表示する表示ステップと、前記テンキーキーボードのタッチされたキーを検出する操作検出ステップと、前記テンキーキーボードのフリック入力選択候補を記憶する記憶ステップと、を備え、前記記憶ステップで記憶した、タッチされたキーに関連する複数のフリック入力選択候補を読み出し、所定の優先順位に従ってタッチされたキーから順次離れるように選択候補を並べて表示するステップとからなることを特徴とする。
【0009】
本発明の文字入力装置のフリック入力選択候補の表示機能を有するプログラムは、表示部にタッチパネルを備えた文字入力装置において、前記表示部にフリック入力選択候補を表示する表示処理を文字入力装置に実行させる表示機能を有するプログラムであって、表示部にテンキーキーボードを表示する表示処理と、前記テンキーキーボードのタッチされたキーを検出する操作検出処理と、前記テンキーキーボードのフリック入力選択候補を記憶する記憶処理と、を備え、前記記憶処理で記憶した、タッチされたキーに関連する複数のフリック入力選択候補を読み出し、所定の優先順位に従ってタッチされたキーから順次離れるように選択候補を並べて表示する処理を文字入力装置に実行させる機能を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる文字入力装置および文字入力方法によれば、入力候補を一列に表示することにより、指でフリック入力候補が隠れることがなくなるので文字入力を行いやすくなる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1の携帯機器10の正面図
【図2】実施形態1の携帯機器10の要部構成を示すブロック図
【図3】キー割り当て文字情報テーブル26と説明図
【図4】実施形態1の携帯機器10の文字入力の処理フロー図
【図5】実施形態1の携帯機器10の処理の一例を示すフリック操作と携帯機器10の動作図
【図6】実施形態1における携帯機器10の他の正面図
【図7】実施形態1における携帯機器10の他の正面図
【図8】実施形態2における携帯機器10の正面図
【図9】実施形態2の携帯機器10の文字入力の処理フロー図
【図10】実施形態2における携帯機器10の他の正面図
【図11】従来のフリック動作の説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態では本願の文字入力装置が携帯機器に搭載される場合を例に説明する。ここで携帯機器とはスマートフォンや携帯電話、情報端末や電子書籍などの通信機能を有する機器に加えて、電子辞書や電子手帳のような通信機能を有さない機器も含むこととする。また、本願はこのような携帯機器の表示部に、文字を入力するためのキーと文字を入力するために必要な機能を実行するキーとを表示する。文字を入力するキーは、0から9の番号にひらがなや英語などを割り当て、文字種別の切り替えによって数字やひらがなや英語などを選択的に入力できるテンキーキーボード(以下テンキーと称する)と、テンキー以外のキーにも記号や、濁点や促音、句読点、などを割り当てたキーとを構成することがある。本願では特に断らない限り、文字を入力するためのキー、つまり上述したテンキーとテンキー以外であるが記号や句読点が割り当てられるキーを合わせてテンキーと呼び、QWERTY配列などのいわゆるフルキーボードと区別することとする。なお、タッチパネルは指だけでなくタッチペンなどでも操作することが可能であるが、本実施形態で指で操作すると表現していることは、指以外で操作することも含めていることとする。
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施可能である。
【0014】
[実施形態1]
実施形態1を説明する。本実施形態1における携帯機器10の正面図を図1に示す。なお、図1(a)と図1(b)の違いは指を表示しているかいないかのみである。図1に示すように本実施形態の携帯機器10は表示部11とタッチパネル部12と筐体13によって構成される。表示部11は、文字入力時の編集画面を表示したり(図1)、通信レベルを表示したり、テレビやゲームなど各種アプリケーションを表示する。表示部11は、主に液晶で構成されるが、液晶に限定されず有機ELデバイスなどでも実現できる。タッチパネル12は、表示部11へ備えられ、使用者の指やタッチペンなどによるタッチパネルへの接触を検出するセンサー機能を有している。筐体13は、本実施形態の携帯機器10が基地局やサーバなどと通信したり、各アプリケーションを実行するための各種アンテナや各種デバイスおよび基板等を格納する。
【0015】
図1は、使用者が文字入力キー「あ」を押下することで、入力キー「い」「う」「え」「お」を押下箇所に対して上部方向へ50音順に表示する様子を示している。図1(b)を見ればわかるように、押下箇所に対して上部方向へ表示することで、図11のように選択候補が指で隠れることがなくなるので選択しやすくなる。
【0016】
本実施形態の携帯機器10の要部構成を示すブロック図を図2に示す。本実施形態の携帯機器10は制御部20、表示部21、タッチパネル部22、記憶部23によって構成され、制御部20は更に表示制御部24と操作検出部25を有している。
【0017】
図2の各構成の本発明に係る機能を説明する。制御部20は、図2の各ブロックの動作を制御する。特に実施形態1に係る制御として、タッチパネル部22への使用者の操作を操作検出部25によって検出し、表示制御部24によって表示部21を制御することがある。表示部21は、図1の表示部11に相当する。タッチパネル部22は図1のタッチパネル12に相当し、キー押下の位置や押下した指の移動など使用者の操作を操作検出部25へ出力する。記憶部23は、文書作成用のソフトウエアや、作成される文書ファイル、文書作成時にテンキーの各キーに割り当てられる文字や記号などのキー割り当て文字情報テーブル26などを記憶する。
【0018】
実施形態1のキー割り当て文字情報テーブル26を図3に示す。図3(a)は携帯機器10がひらがな入力モードの場合のキー割り当て文字情報テーブル26の一例であり、図3(b)(c)は参考図である。図3(a)記載の押下キーとは番号入力用のテンキーの各キーのことである。番号入力用のテンキーを表示部21へ表示した図を図3(b)に示す。本実施形態1のテンキー30は図3(b)で破線で囲んだ部分である。本実施形態1のテンキー30は、0から9の番号だけでなく「*」、「#」にも入力文字が割り当てられる12キーの場合を示しているが、一般的な呼称であるテンキーと呼ぶこととする。キー割り当て文字情報テーブル26には、テンキー30の各押下キーに対して、入力可能な文字候補が割り当てられる。例えば、押下キー「1」に対して「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」が割り当てられ、押下キー「#」には「、」「。」「?」「!」が割り当てられている。また、割り当てられている各文字が、押下キーに近いところに表示されるか遠いところに表示されるかも定義されている。これによって図3(c)に示すように、タッチされた入力キー「さ」(押下キー3)に割り当てられ使用者のフリック操作によって所望の文字を選択して文書へ文字を入力することが可能な文字候補(フリック入力選択候補)「し」「す」「せ」「そ」が、五十音順に押下キーから離れるように表示される。また、割り当てられている各文字が、押下キーから離れるに従いどの方向へ表示されるかも定義されている。図3(a)で押下キー3は左方向と定義されているので、図3(c)に示すようにフリック入力選択候補「し」「す」「せ」「そ」は、順に左上方向へ傾いて表示される。また図3(a)で押下キー1は右方向と定義されているので、図1(a)に示すようにフリック入力選択候補「い」「う」「え」「お」は、順に右上方向へ傾いて表示される。図3(a)では押下キー「2、5、8、0」の傾く方向を右上と定義しているが真上としてもよい。フリック入力選択候補の表示を表示部の中心方向へ向けることで見やすいフリック入力選択候補の表示を実現するものである。なお、実施形態1の携帯機器10では文書にひらがなを入力するひらがな入力モードの場合、図3(c)のように番号の代わりに主に五十音のあ段「あ、か、さ、た、、、(略)」を表示する。携帯機器10の記憶部23には、文書にアルファベットを入力する場合に使用するアルファベット入力モードのキー割り当て文字情報テーブルや、文書に数字を入力する場合に使用する数字入力モードのキー割り当て文字情報テーブルなどが記憶されている。
【0019】
実施形態1の携帯機器10の文字入力の処理フローを図4に示し、図4の処理の一例を示すフリック操作と携帯機器10の動作を図5に示す。なお、図4の先頭にSが付いているのものはステップを示す。例えば、S41はステップ41である。また、ここではひらがな入力モードで文字入力を行う場合を例に説明する。メールの作成やテキストファイルの編集などを開始すると(開始)、携帯機器10は記憶部23からキー割り当て文字情報テーブル26を読み込み(S40)、表示部21へテンキー30を含む文字入力画面を表示する(S41)。使用者がひらがな「あ」が表示されている押下キー「1」をタッチすると(S42)、操作検出部25はタッチパネル12からのタッチを受信し、タッチされた押下キーを検出する(S43)。制御部20はS40のステップで読み込んだキー割り当て文字情報テーブル26から、S43でタッチされた押下キーに対応する割り当て文字(フリック入力選択候補)を読み込み(S44)、フリック入力選択候補を表示する方向を読み込み(S45)、表示制御部24が表示部21を制御して、図5(a)のように押下キーの位置より携帯機器10の筐体の上方向へあいうえお順に表示する(S46)。なおここでは、読み込んだフリック入力選択候補は、「あ、い、う、え、お」であり、フリック入力選択候補を表示する方向は「右上」である。
【0020】
ここで指を動かさずに(S47でNo)、指を離すと(S49でYes)、図5(b)のようにひらがな「あ」が仮入力され選択を終了する(選択終了)。ここで仮入力とは、入力が確定ではなく漢字やカタカナに変換される場合があることを意味している。また、使用者がひらがな「あ」が表示されている押下キー「1」をタッチしたあと(S42)、図5(c)のように指を「う」まで動かして(S47でYes)、「う」が表示されている範囲内で(S48でNo)、指を離すと(S49でYes)、図5(d)のように「う」が仮入力され選択を終了する(選択終了)。また、使用者がひらがな「あ」が表示されている押下キー「1」をタッチしたあと(S42)、図5(e)のように指を「え」まで動かし(S47でYes)、「え」が表示されている範囲から外れると(S48でYes)、図5(f)のように「え」が仮入力され選択を終了する(選択終了)。ただし、ステップS43の処理で領域を外れたら、領域を外れる直前に選択していた入力候補を維持し、ステップS44で指を離したら維持した入力候補を仮入力するようにしてもよい。
【0021】
また、図5では、図5(b)図5(d)図5(e)のように指をタッチパネルから離す、もしくは指がフリック入力候補を表示する領域から外れると文字の仮入力が行われるが、指がタッチパネルをタッチし文字を選択している状態で、表示部に選択している文字を表示する。この場合、仮入力された文字と区別するために、図5(a)図5(c)図5(e)のように選択中の文字の色を薄く表示する。または選択中の文字の色を仮入力された文字と異なる色にして表示したり、点線で表示する。このようにしても使いやすい文字入力を実現できる。
【0022】
本実施形態1における携帯機器10の他の正面図を図6に示す。図6(a)では使用者が文字入力キー「た」を押下することで、フリック入力候補「ち」「つ」「て」「と」を押下箇所に対して上部方向へ50音順に表示する。図6(b)では使用者が文字入力キー「ら」を押下することで、フリック入力候補「り」「る」「れ」「ろ」を押下箇所に対して上部方向へ50音順に表示する。図6(c)では使用者が文字入力キー「わ」を押下することで、フリック入力候補「を」「ん」を押下箇所に対して上部方向へ50音順に表示する。
【0023】
本実施形態1における携帯機器10の他の正面図を図7に示す。図7はアルファベット入力時の例を示す。図7(a)では使用者がアルファベット「A」が表示されている押下キー「2」を押下することで、フリック入力候補「B」「C」「2」を押下箇所に対して上部方向へアルファベット順に表示する。図7(b)では使用者がアルファベット「J」が表示されている押下キー「5」を押下することで、フリック入力候補「K」「L」「5」を押下箇所に対して上部方向へアルファベット順に表示する。図7(c)では使用者がアルファベット「P」が表示されている押下キー「7」を押下することで、フリック入力候補「Q」「R」「S」「7」を押下箇所に対して上部方向へアルファベット順に表示する。なお図7ではアルファベットと数字をフリック入力候補として表示したが、アルファベットのみ表示するようにしてもよい。
【0024】
以上のように本実施形態1によれば、携帯機器10の文字入力で指でタッチパネルをタッチしたときに表示されるフリック入力候補を押下キーの位置より携帯機器10の筐体の上方向へ所定の優先順位に従って表示する。ここで所定の優先順位とは、各言語ごとに言語学的に定められている各文字の順序であり、日本語ではあいうえお順(50音順)であり、英語ではアルファベット順である。なお、上記優先順位は日本語、英語に関わらず、他の言語においても同様に適応できる。従来技術のようにフリック入力候補を十字に表示すると予めどの位置にフリック入力候補を表示しているのかの規則性を覚える必要があるが、あいうえお順(50音順)の配列やアルファベットの配列のように各言語ごとに定められている各文字の順序は頭に入っているので、実施形態1のように一列に表示する方が位置特定を行いやすいという効果がある。またフリック入力候補を一列に表示することにより、指でフリック入力候補が隠れることがなくなるので文字入力を行いやすくなる効果がある。
【0025】
[実施形態2]
実施形態2を説明する。実施形態2の携帯機器10は、フリック入力候補の表示と作成中の文書の入力済みの文字とが重なりそうになったら、フリック入力候補の表示と入力済みの文字とが重ならないように表示部の表示を制御するものである。なお、実施形態1と同様にフリック入力候補は押下キーの位置より携帯機器10の筐体の上方向へ表示する。また、実施形態2における携帯機器10の要部構成は実施形態2と同じであるので説明を省略する。
【0026】
本実施形態2における携帯機器10の正面図を図8に示す。文書へ入力済みの文字とフリック入力候補の表示とが重ならない場合は、実施形態1と同様に図8(a)のようにフリック入力候補を押下キーの位置より携帯機器10の筐体の上方向へ表示する。文書の作成が進み入力済みの文字が増えると、図8(b)のようにフリック入力候補が、文書へ入力済みの文字と重なってしまうことがある。実施形態2の携帯機器10の制御部20は、フリック入力候補を表示する領域(範囲)と入力済みの文字を表示している領域(範囲)とを計算し、フリック入力候補の表示が文書へ入力済みの文字と重なると判断したら、図8(c)のようにフリック入力候補の表示と入力済みの文字とが重ならないように表示制御部24が表示部21を制御する。更に入力済みの文字が増えたら図8(d)のようにフリック入力候補の表示する領域を制御する。
【0027】
上述したように実施形態2の携帯機器10は、表示制御部24が、フリック入力候補の表示が文書へ入力済みの文字と重なる場合、フリック入力候補を表示する高さを低くして、入力済みの文字と重ならないように制御する。そしてフリック入力候補の表示の高さを調整できない状態になったら、図8(e)のように入力済みの文字をスクロールして、入力中の文字により近い文を表示するようにする。
【0028】
実施形態2の携帯機器10の文字入力の処理フローを図9に示す。ただし、フローの大半が実施形態1と同じであるので、図9には実施形態1と異なる部分のみ示す。図9のようにフリック入力候補を読み込み(S44)、フリック入力選択候補を表示する方向を読み込むと(S45)、制御部20が入力済みの文字とフリック入力候補の表示とが重なるかどうか判定する。重なると判定した場合(S451でYes)、フリック入力候補の表示の調整が可能か判断し、可能な場合(S452でYes)、フリック入力候補の表示を調整し(S453)、フリック入力候補を表示部へ表示する(S46)。ここで調整とは、フリック入力候補を表示する高さを低くして、入力済みの文字と重ならないように制御することである。この場合の図が図8(c)図8(d)である。
【0029】
フリック入力候補の表示の調整が不可能な場合(S452でNo)、入力済み文字をスクロールして(S454)、フリック入力候補を表示部へ表示する(S46)。この場合の図が図8(e)である。
【0030】
フリック入力候補の表示と入力済みの文字とが重ならない場合(S451でNo)、フリック入力候補を表示部へ表示する(S46)。この場合の図が図8(a)である。
【0031】
本実施形態2における携帯機器10の他の正面図を図10に示す。図10(a)はひらがな「い」が表示されている押下キー「2」をタッチした場合の図であり、図10(b)は「あ」がタッチされたときに、入力済みの文字を表示する領域を最も大きくするためにフリック入力候補の表示を調製して表示する図である。
【0032】
以上のように本実施形態2によれば、携帯機器10の文字入力で指でタッチパネルをタッチしたときに表示されるフリック入力候補を押下キーの位置より携帯機器10の筐体の上方向へひらがな入力時にはあいうえお順に、アルファベット入力時にはアルファベット順に表示する場合に、フリック入力候補の表示と入力済みの文字とが重なりそうになったら、フリック入力候補の表示が、入力済みの文字と重ならないように表示部の表示を制御するものである。これによって実施形態1と同様の効果の他に、入力済みの文字を見やすく表示しながら文字入力できるようになるので、文意を間違えずに文書作成を行えるという効果がある。
【0033】
なお、携帯機器10の各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の機能を実現するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含む。
【0034】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。また、上記プログラムはインターネットを通じて提供されるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る文字入力装置は、たとえば携帯電話における電子メールなどの文書の作成時に入力する単語や文などの候補を提示する文字入力装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 携帯機器
11、21 表示部
12、22、110 タッチパネル部
13 筐体
20 制御部
23 記憶部
24 表示制御部
25 操作検出部
26 キー割り当て文字情報テーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部にタッチパネルを備えた文字入力装置であって、
前記表示部にテンキーキーボードを表示する表示制御部と、
前記テンキーキーボードのタッチされたキーを検出する操作検出部と、
前記テンキーキーボードのフリック入力選択候補を記憶する記憶部と、
を備え、
前記表示制御部は、タッチされたキーに関連する複数のフリック入力選択候補を記憶部から読み出し、所定の優先順位に従ってタッチされたキーから順次離れるように選択候補を並べて表示することを特徴とする文字入力装置。
【請求項2】
前記所定の優先順位は、五十音順またはアルファベット順であることを特徴とする請求項1記載の文字入力装置。
【請求項3】
前記選択候補を前記表示部の中心方向へ向けて並べて表示することを特徴とする請求項2または3記載の文字入力装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、フリック入力選択候補が入力された文字と重ならないようにフリック入力選択候補の表示を制御することを特徴とする請求項1記載の文字入力装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記選択候補から選択している入力候補を、入力済みの文字と識別可能に表示することを特徴とする請求項1記載の文字入力装置。
【請求項6】
表示部にタッチパネルを備えた文字入力装置において、前記表示部にフリック入力選択候補を表示する表示方法であって、
表示部にテンキーキーボードを表示する表示ステップと、
前記テンキーキーボードのタッチされたキーを検出する操作検出ステップと、
前記テンキーキーボードのフリック入力選択候補を記憶する記憶ステップと、を備え、
前記記憶ステップで記憶した、タッチされたキーに関連する複数のフリック入力選択候補を読み出し、所定の優先順位に従ってタッチされたキーから順次離れるように選択候補を並べて表示するステップとからなることを特徴とする文字入力装置のフリック入力選択候補の表示方法。
【請求項7】
表示部にタッチパネルを備えた文字入力装置において、前記表示部にフリック入力選択候補を表示する表示処理を文字入力装置に実行させる表示機能を有するプログラムであって、
表示部にテンキーキーボードを表示する表示処理と、
前記テンキーキーボードのタッチされたキーを検出する操作検出処理と、
前記テンキーキーボードのフリック入力選択候補を記憶する記憶処理と、を備え、
前記記憶処理で記憶した、タッチされたキーに関連する複数のフリック入力選択候補を読み出し、所定の優先順位に従ってタッチされたキーから順次離れるように選択候補を並べて表示する処理を文字入力装置に実行させる機能を備えた文字入力装置のフリック入力選択候補の表示機能を有するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−33395(P2013−33395A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169312(P2011−169312)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】