文字情報処理方法、文字情報処理装置、プログラムおよび記憶媒体
【課題】 共通する処理シートに印刷される墨字と打刻される点字の所望の相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる文字情報処理方法、文字情報処理装置、プログラムおよび記憶媒体を提供する。
【解決手段】 共通する処理シートに印刷される墨字と打刻される点字との少なくとも前後関係を含む相対位置情報を有する候補選択肢を、点字の余白として設定可能な設定余白の選択肢の一種として記憶し、余白の選択肢のうちの候補選択肢が選択されたときに、相対位置情報に従って墨字と点字とを配置することを特徴とする。
【解決手段】 共通する処理シートに印刷される墨字と打刻される点字との少なくとも前後関係を含む相対位置情報を有する候補選択肢を、点字の余白として設定可能な設定余白の選択肢の一種として記憶し、余白の選択肢のうちの候補選択肢が選択されたときに、相対位置情報に従って墨字と点字とを配置することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通の処理シートに墨字の印刷と点字の打刻とを行う文字情報処理方法、文字情報処理装置、プログラムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、視覚障害者が認識可能な点字と、視覚障害を有しない晴眼者が視認可能な墨字(点字に対し、通常の印刷文字を指す)とを、同一の処理シート(テープ)に対して、字間を合わせて並べて配置して(または重ねて配置して)、視覚障害者と晴眼者の両者が認識可能な点字ラベルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−275206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の点字ラベルを作成する場合の墨字および点字の前後の余白は、双方に共通する余白として共通に設定され、あるいはそれぞれに個別の余白として個別に設定される。このため、墨字と点字との所望の相対位置関係を、余白設定によって行うことは、前者では不可能であった。また、後者においても煩雑で、その結果、墨字と点字の配置がバランスを欠いたり、墨字と点字の一部または全部が意に反して重なってしまい、墨字が読みにくくなったり、点字の存在によって墨字がかすれたりする不具合があった。
【0004】
本発明は、共通する処理シートに印刷される墨字と打刻される点字の所望の相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる文字情報処理方法、文字情報処理装置、プログラムおよび記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の文字情報処理方法は、共通する処理シートに印刷される墨字と打刻される点字との少なくとも前後関係を含む相対位置情報を有する候補選択肢を、前記点字の余白として設定可能な設定余白の選択肢の一種として記憶し、前記余白の選択肢のうちの前記候補選択肢が選択されたときに、前記相対位置情報に従って前記墨字と前記点字とを配置することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の文字情報処理装置は、共通する処理シートに墨字の印刷と点字の打刻とを行う文字情報処理装置であって、前記墨字と前記点字との前記処理シート上における少なくとも前後関係を含む相対位置情報を有する候補選択肢を、前記点字の余白として設定可能な設定余白の選択肢の一種として記憶する記憶手段と、前記余白の選択肢のうちの前記候補選択肢を前記設定余白として選択する選択手段と、前記候補選択肢が選択されたときに、前記相対位置情報に従って前記墨字と点字とを配置する配置手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この文字情報処理方法および文字情報処理装置では、設定余白の選択肢として墨字と点字の相対位置関係を示す候補選択肢が選択されたときに、その相対位置関係に従って墨字と点字とを配置するので、候補選択肢を選択するだけで、墨字と点字を容易に配置できる。このため、候補選択肢を各種用意しておくことにより、墨字と点字の所望の相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。なお、この場合の「前後関係を含む相対位置情報」は、墨字と点字とがいわゆる同一行に並ぶ前後関係のみの相対位置情報ばかりでなく、例えば複数行構成で異なる行に並んだり、一方が上下方向にずれて一部重なったりするように、上下関係や斜めの相対位置関係が存在しうるものの相対位置情報でも良く、少なくとも前後方向の成分を示す前後関係の情報を含むものであれば良い。
【0008】
また、上述の文字情報処理方法において、前記相対位置情報には、前記前後関係の情報に加えて、前記墨字と前記点字との前後方向における相互間距離の情報が含まれることが好ましい。
【0009】
この文字情報処理方法では、候補選択肢の相対位置情報に、前後関係ばかりでなく、前後方向における相互間距離の情報が含まれるので、候補選択肢を選択するだけで、所望の前後関係と相互間距離を有する墨字と点字とを容易に配置でき、この配置による相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。
【0010】
また、上述の文字情報処理方法において、前記候補選択肢として、複数種類が規定されており、前記相互間距離は、前記墨字と前記点字とが前記前後方向に連続する状態を基準値の0として規定され、前記複数の候補選択肢には、前記相互間距離として負の値を示す候補選択肢が含まれることが好ましい。
【0011】
この文字情報処理方法では、複数の候補選択肢のいずれかを選択することで、前後方向の相互間距離として負の値を選択・設定できるので、墨字と点字との前後関係においてその負の値の距離分だけ重なる相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。
【0012】
また、前記相対位置情報に前記相互間距離の情報が含まれる上述の各文字情報処理方法において、前記相互間距離の基準は、前記墨字の印刷について設定された余白を含む前記墨字の前端または後端であることが好ましい。
【0013】
この文字情報処理方法では、相対間距離の基準を、墨字の印刷について設定された余白を含む前端または後端とするので、墨字印刷のみの場合の墨字の見やすさ等を考慮した前余白や後余白の設定をそのまま生かすことができる。なお、この基準以外に、墨字としての前余白や後余白の部分を除く実印刷部の前端または後端を基準とすることもでき、この場合、既設定に拘わらず、表面に直接表れる墨字(実印刷部)と点字(実打刻部)との位置関係のみを考慮して改めて設定する場合に都合が良い(設定しやすい)。また、これらを選択できるようにしても良い。
【0014】
また、本発明のプログラムは、上述のいずれかの文字情報処理方法を実行可能なこと、または、上述の文字情報処理装置を機能させること、を特徴とする。また、本発明の記憶媒体は、上述のプログラムを、プログラム処理可能な装置によって読出可能に記憶することを特徴とする。
【0015】
このプログラムは、上述のいずれかの文字情報処理方法を実行可能なので、または、文字情報処理装置を機能させることができるので、プログラム処理可能な装置によって処理されることにより、または、プログラム処理可能な装置によって記憶媒体に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、墨字と点字の所望の相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るラベル作成装置(文字情報処理装置)について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1および図2に示すように、このラベル作成装置1は、手持ち部分13を有する装置ケース2により外郭が形成され、装置ケース2は、前部ケース2aと後部ケース2bとが一体形成されている。前部ケース2aは、墨字印刷部120を有し、テープカートリッジCから繰り出されるテープ(処理シート)Tに対して墨字印刷を行う。また、後部ケース2bは、点字打刻部150を有し、ユーザがテープTを手差し挿入した墨字印刷後のテープTに対して点字打刻を行う。
【0018】
前部ケース2aの前部上面には各種入力キーを備えたキーボード3が配置されると共に、後部上面には開閉蓋21が取り付けられ、開閉蓋21には長方形のディスプレイ4が配設されている。また、開閉蓋21の内側左部にテープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部6(墨字印刷部120)が窪入形成されており、テープカートリッジCは、蓋体開放ボタン14の押下により開閉蓋21が開放された状態でカートリッジ装着部6に着脱可能に装着される。また、開閉蓋21には、これを閉止した状態でテープカートリッジCの装着/非装着を視認するための覗き窓21aが形成されている。
【0019】
前部ケース2aの右側部には、電源供給のための電源供給口11と、パソコン等の図外の外部装置と接続するための接続口(インタフェース)12が形成されており、接続することにより、外部装置からの文字情報に基づいて墨字印刷や点字打刻を行い得るようになっている。また、前部ケース2aの左側部には、カートリッジ装着部6と外部とを連通する印刷テープ排出口22が形成され、この印刷テープ排出口22には、墨字印刷部120から送り出したテープTを切断するためのテープカッタ19が臨んでいる。そして、テープカッタ19によりテープTの後端部が切断されることにより、印刷テープ排出口22から墨字印刷後のテープTが排出される。
【0020】
また、ラベル作成装置1は、図3に示すように、制御系から見た基本的な構成として、キーボード3およびディスプレイ4を有し、文字情報の入力や各種情報の表示などマンマシンインタフェースを司る操作部110と、テープカートリッジC、印刷ヘッド7および印刷送りモータ121を有し、テープTおよびインクリボンRを搬送しながらテープT上に墨字印刷を行う墨字印刷部120と、テープカッタ19およびこれを駆動するカッタモータ141を有し、印刷済みテープTを切断する切断部140と、を備えている。
【0021】
また、ソレノイド47、打刻ピン41および打刻送りモータ151を有し、テープTを搬送しながらテープTに点字打刻を行う点字打刻部150と、テープT(テープカートリッジC)の種別を検出するテープ識別センサ171、点字打刻部150においてテープTの先端を検出する先端検出センサ91、同じく点字打刻部150においてテープTに印刷された前後識別情報Dを検出する前後識別センサ92、印刷送りモータ121の回転速度を検出する印刷部回転速度センサ172、および打刻送りモータ151の回転速度を検出する打刻部回転速度センサ173を有し、各種検出を行う検出部170と、をさらに備えている。
【0022】
また、ディスプレイドライバ181、ヘッドドライバ182、印刷送りモータドライバ183、カッタモータドライバ184、打刻ドライバ185および打刻送りモータドライバ186を有し、各部を駆動する駆動部180と、各部と接続され、ラベル作成装置1全体を制御する制御部200と、をさらに備えている。
【0023】
制御部200は、CPU210、ROM220、RAM230および入出力制御装置(以下、「IOC:Input Output Controller」という)250を備え、互いに内部バス260により接続されている。ROM220は、墨字印刷処理や点字打刻処理等の各種処理をCPU210で制御するための制御プログラムを記憶する制御プログラムブロック221と、墨字印刷を行うための文字フォントデータや点字打刻を行うための点字フォントデータの他、前後識別情報Dを墨字印刷するためのデータや点字データの打刻制御のための制御データ等を記憶する制御データブロック222とを有している。なお、文字フォントデータは、ROM220内ではなく、CG−ROMを別個に備えても良い。
【0024】
RAM230は、フラグ等として使用される各種ワークエリアブロック231の他、生成された墨字印刷データを記憶する墨字印刷データブロック232と、生成された点字打刻データを記憶する点字打刻データブロック233と、ディスプレイ4に表示するための表示データを記憶する表示データブロック234と、設定された墨字印刷領域(印刷配置部)Epと点字打刻領域(打刻配置部)Ebのレイアウトを記憶するレイアウトブロック235と、設定されたレイアウトに応じて点字データを180°回転させた状態で打刻する場合に使用する反転点字データB´(図9参照)を記憶する反転点字データブロック236と、を有し、制御処理のための作業領域として使用される。また、RAM230は電源が切断されても記憶したデータを保持しておくように常にバックアップされている。
【0025】
IOC250には、CPU210の機能を補うと共に各種周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。これにより、IOC250は、キーボード3からの入力データや制御データあるいは検出部170の各種センサ値を、そのまま或いは加工して内部バス260に取り込むと共に、CPU210と連動して、CPU210から内部バス260に出力されたデータや制御信号を、そのまま或いは加工して駆動部180に出力する。
【0026】
そして、CPU210は、上記の構成により、ROM220内の制御プログラムに従って、IOC250を介してラベル作成装置1内の各部から各種信号・データを入力するとともに、入力した各種信号・データに基づいてRAM230内の各種データを処理し、IOC250を介してラベル作成装置1内の各部に各種信号・データを出力することにより、墨字印刷処理や点字打刻処理の制御などを行う。
【0027】
例えば、CPU210は、キーボード3より文字情報が入力されると、これに基づいて墨字印刷データPおよび点字打刻データBを生成し、必要に応じて両データ間での長さ等の調整を行い、反転点字データB’を用意する(図9参照)。また、調整前または調整後の墨字印刷データ(余白データを含む)Pを墨字印刷データブロック232に記憶すると共に、同じく調整前または調整後の点字打刻データ(余白データを含む)Bを点字打刻データブロック233に記憶し、反転点字データB’を反転点字データブロック236に記憶する。
【0028】
また、キーボード3から墨字印刷および点字打刻の指示を取得すると、印刷送りモータ121の駆動を開始し、印刷部回転速度センサ172の検出結果に応じて印刷ヘッド7を駆動することにより、墨字印刷データPに基づく墨字印刷を行うと共に、予め制御データブロック222内に記憶されているデータに基づいて、挿入するテープTの前後識別情報Dの印刷も行う。その後、墨字印刷データに基づいて(必要に応じて調整済みの)所定長さのテープ送りを行い、テープカッタ19によりテープ後端部を切断して、印刷テープ排出口22からテープTを排出する。
【0029】
また、図1〜図3を参照して、引き続き(リセット操作や電源オフ操作が無い状態で)、ユーザによる手差し挿入により、短冊状に切断されたテープTが打刻テープ挿入口31に挿入されると、打刻ユニット80およびテープ送り機構60を駆動することにより、点字打刻データBまたは反転点字データB′に基づいて点字打刻を行う。そして、打刻終了後、打刻送りモータ151の駆動により、点字打刻データB等に基づく調整済みの所定長さのテープ送りを行って、打刻テープ排出口32からテープTを排出する。なお、打刻ユニット80による打刻開始は、先端検出センサ91によるテープ先端の検出をトリガとするのではなく、ユーザがキーボード3上の打刻開始キーを押下することにより手動開始させることも可能である。
【0030】
ここで、図4を参照し、テープT上に形成される点字B(6点点字B)について説明する。
【0031】
点字器や点字タイプライタ等で慣用されている1文字(1マス)や文字間(マス間)の仕様(以下「民間仕様」)によれば、同図に示すように、6点点字Bは、縦3個×横2個の6個の点(打刻ポイント:いわゆる「1の点」〜「6の点」と呼ばれる6個の点)で1マス201が構成され、6個の点のうちの打刻点および非打刻点のパターンにより、この1マス201で、1文字または濁点等の属性を表現するものである、例えば図4(a)は、1の点、2の点、5の点、6の点を打刻点とし、3の点、4の点を非打刻点とすることにより、文字情報「し」を表現する点字(点字データ)Bを示す図である。
【0032】
なお、点字Bには、このような仮名文字や数字等を表す6点点字Bの他、漢字を表す8点点字(1マスが縦4個×横2個の点で構成される点字)も使用されている。ここでは、6点点字Bを形成する場合を例に挙げて説明するが、8点点字を形成するラベル作成装置においても本発明は適用可能である。
【0033】
6点点字Bは、1マス201が縦3個×横2個の配置パターンで6個の打刻ポイント201a〜201fに分割されており、縦方向のピッチが略2.4mm、マス内の横方向のピッチが略2.1mm、マス間のピッチは略3.3mmとなっている。同図では、6個の打刻ポイント201a〜201fのうち「し」を表現すべく4個の打刻ポイント201a、201b、201e、201fが選択的に打刻されて、テープT上に例えば角の丸まった円筒形、半球形、円錐形、四角錐形等の断面形状(図4(b)参照)を有する4個の打刻凸部202a、202b、202e、202fが形成されている。なお、6点点字Bを打刻するためには、1マス201の大きさ(テープ幅方向長さ)から換算して、最低限テープ幅12mm(テープT3)が必要となっている。
【0034】
また、実施形態のラベル作成装置1は、打刻ユニット80として相互に交換可能な2種類のユニットが用意されており、一方は直径が略1.4mmの小形の小打刻凸部203を形成し、他方は直径が略1.8mmの大形の大打刻凸部204を形成する。大小2種類の打刻凸部203、204は、その用途によって使い分けられるものであり、例えば、小打刻凸部203が点字Bの読み取りに慣れた者(先天盲者)向けであって、大打刻凸部204が初心者(中途失明者)向けである。
【0035】
図1〜図3を参照して、さらに詳述する。キーボード3には、文字キー群3a、および各種動作モード等を指定するための機能キー群3bが配列されている。文字キー群3aは、墨字印刷や点字打刻を行うための文字情報を入力するためのものであり、JIS配列に基づいたフルキー構成となっている。また、機能キー群3bには、墨字印刷や点字打刻を実行させるための印刷・実行キー(印刷キー)、点字打刻部150におけるテープTの送り開始を指示する送り開始キー、手動により点字打刻を行わせる打刻開始キーの他、墨字印刷や点字打刻を行うための処理モードを選択するモードキー、墨字印刷領域(印刷配置部)Epと点字打刻領域(打刻配置部)Ebの配置を設定するレイアウトキー、その配置結果を印刷等の実行前にスクロール表示させるためのスクロールキーが含まれる。また、これら以外にも、機能キー群3bには一般のワープロ等と同様に、処理の取り消し等のための取消キー、カーソル移動用のカーソルキー、各種選択画面における選択肢の決定やテキスト入力時の改行のための確定(エンター)キーなどが含まれる。
【0036】
モードキーによって選択される処理モードとしては、入力された文字情報に基づいて墨字印刷および点字打刻を行う第1処理モード(図8(a)参照)、入力された文字情報に基づいて墨字印刷のみを行う第2処理モード(同図(b)参照)、入力された文字情報に基づいて点字打刻のみを行う第3処理モード(同図(c)参照)があり、いずれか1つの処理モードが選択される。
【0037】
ディスプレイ4は、横方向(X方向)約12cm×縦方向(Y方向)5cmの長方形の形状の内側に、192ドット×80ドットの表示画像を表示可能であり、ユーザがキーボード3から文字情報を入力して、墨字印刷データや点字打刻データを作成・編集したりする際に用いられる。また、各種エラーやメッセージ(指示内容)を表示し、ユーザに報知する。
【0038】
墨字印刷部120において、カートリッジ装着部6には、ヘッドカバー20a内にサーマルヘッドから成る印刷ヘッド7が内蔵されたヘッドユニット20と、印刷ヘッド7に対峙するプラテン駆動軸25と、インクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸23と、テープリール17の位置決め突起24と、を備えている。また、カートリッジ装着部6の下側には、プラテン駆動軸25および巻き取り駆動軸23を回転させる印刷送りモータ121が内蔵されている。
【0039】
テープカートリッジCは、カートリッジケース51内部にテープリール17とリボンリール19とを収容して構成されており、テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。また、ヘッドカバー20aに差し込むための貫通孔55が形成されており、テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応して、プラテン駆動軸25に嵌合されて回転駆動するプラテンローラ53が配置されている。また、リボンリール19から繰り出されたインクリボンRは、ヘッドカバー20aを周回して、リボンリール19に近接配置されたリボン巻き取りリール54に巻き取られるようになっている。
【0040】
テープカートリッジCがカートリッジ装着部6に装着されると、ヘッドカバー20aに貫通孔55が、位置決め突起24にテープリール17の中心孔が、プラテン駆動軸25にプラテンローラ53が、巻き取り駆動軸23にリボン巻き取りリール54の中心孔がそれぞれ差し込まれ、テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド7がプラテンローラ53に当接して墨字印刷が可能になる。そして、墨字印刷後のテープTは、印刷テープ排出口22に送られる。
【0041】
テープTは、特に図示しないが、裏面に粘着剤層が設けられた基材シート(情報形成層)と、この粘着剤層により基材シートに貼付された剥離紙(剥離紙層)とから構成されている。基材シートは、表側から、インクリボンから感熱転写されるインクの定着性を高めた受像層と、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムで構成され、基材シートの主体を為す基材層と、粘着剤で構成された粘着剤層とを積層して構成されている。
【0042】
また、テープTは、テープ種別(テープ幅、テープ色、墨字インク色、テープ材質など)が異なる複数種のものが用意されており、この種別を指標する複数の孔(図示省略)がカートリッジケース51の裏面に設けられている。また、複数の孔に対応してカートリッジ装着部6には、これらを検出するテープ識別センサ(マイクロスイッチ)171が複数設けられており、このテープ識別センサ171の状態を検出することで、テープ種別を判別できるようになっている。なお、本実施形態では、テープ幅24mm(テープT1)、テープ幅18mm(テープT2)、テープ幅12mm(テープT3)の3種を例に挙げて説明する(図6参照)。
【0043】
一方、後部ケース2bには、その内部に点字打刻を行うアッセンブリ(点字打刻部150)が組み込まれ、その上面は点字打刻部150(具体的には、テープ走行路70、打刻ユニット80およびテープ送り機構60)が露出するように十字状に開放されている。また、この切り欠き開口部30の右部にはユーザによりテープTが手差し挿入される打刻テープ挿入口31が形成され、左部には点字打刻後のテープTが排出される打刻テープ排出口32が形成されている。
【0044】
点字打刻部150は、3個の打刻ピン41(図5(b)参照)により点字打刻を行う打刻ユニット80と、打刻テープ挿入口31に挿入されたテープTを打刻テープ排出口32に向けて送るテープ送り機構60と、テープTが搬送されるテープ走行路70とを有し、テープ送り機構60の駆動によりテープ走行路70に沿って送られていくテープTに対し、打刻ユニット80により3個の打刻ピン41を選択的に駆動することで点字Bが形成される。
【0045】
次に、打刻ユニット80は、図5に示すように、テープTの裏面側に配設されると共に上記3個の打刻ピン41が組み込まれた打刻部材(打刻ヘッド)81と、テープTを挟んで打刻部材81と対向する位置で打刻ピン41を受ける打刻受け部材82とを備え、テープ走行路70の幅方向における図示下端部に固定配置されている。
【0046】
打刻部材81は、テープ幅方向(同図(a)における上下方向)に沿って、2.4mmの間隔で配列された3個の打刻ピン41を備えており、6個のうち縦3個の打刻ポイント201a〜201c(または201d〜201f)に対応していると共に、ソレノイド47を駆動源とした直線運動をガイドするガイド部材45によって、テープTに対し垂直に保持されている。打刻ピン41の頭部41aは、打刻した打刻凸部202の形状が角の丸まった円筒形、半球形、円錐形、四角錐形等の断面形状(図4(b)参照)となるような形状に形成されている。
【0047】
ここで、ソレノイド47によりプランジャー48が直線運動を行うと、アーム部材46が支持部材49を支点として回動し、打刻ピン41がテープTに対し垂直方向に直線運動を行う。そして、3個のアーム部材46にそれぞれ接続された3個のソレノイド47は、三角形状の角部に位置するようにそれぞれ配設されている。一方、打刻受け部材82は、3個の打刻ピン41と対向する面42aに、3個の打刻ピン41に対応する3個の打刻受け凹部43が形成されている。そして、この打刻ピン41と打刻受け部材82とにより、テープTに打刻凸部202を形成する。
【0048】
また、点字打刻部150は、図6に示すように、テープTの搬送をガイドするガイド部材71、72と、テープTの先端を検出する透過型の先端検出センサ91と、テープTの前後を識別するための前後識別情報Dを検出する反射型の前後識別センサ92(検出センサ)と、をさらに備えている。前後識別情報Dとしては、図示のとおり、テープTの先端部且つ図示下端部付近に点「・」が印刷されており、これによってテープの挿入方向(前側)が指標されている。
【0049】
打刻テープ挿入口31には、テープ幅の大きいものからテープT1、T2、T3(テープ幅24、18、12mm)が挿入可能であり、最大テープ幅のテープT1については上下ガイド71、72によってガイドされ、それ以外のテープT2、T3については、下ガイド部材71のみによってガイドされ、ユーザによりその先端がテープ送り機構60(送りローラ61)に到達するまで(挿入可能な位置まで)手差し挿入される。そして、キーボード3上のテープ送り開始キーの押下によりテープ送り機構60によるテープ送りが開始される。
【0050】
次に、図7〜図9を参照し、ラベル作成装置1の全体処理について説明する。図7に示すように、電源キーの押下(電源オン)により処理が開始すると、まず、前回の電源オフ時の状態に戻すために、退避していた各制御フラグを復旧するなどの初期設定を行い(S10)、テープ識別センサ171(図3参照)によりテープ種別を検出し(S11)、続いて、ユーザによるキーボード3からの(またはパソコン等の外部装置からの)データ入力により文字情報が入力され、編集画面等として各種の情報が表示される(S12)。
【0051】
ここで、キーボード3からのモード選択指示(モードキー入力)により(または外部装置からの指示入力により)、モード選択割込が発生すると(INTM)、処理モード選択の処理が起動され、第1処理モード(墨点併記)、第2処理モード(墨字のみ)および第3処理モード(点字のみ)のいずれかが選択される(S13)。
【0052】
また、レイアウト設定指示(レイアウトキー入力)により(または外部装置からの指示入力により)、レイアウト設定割込が発生すると(INTL)、レイアウト設定の処理が起動され(S30)、印刷/実行指示(印刷キー入力)により(または外部装置からの指示入力により)、印刷割込が発生すると(INTG)、実行前設定の処理が起動される(S14)。
【0053】
ここで、実行前設定(S14)では、実際の墨字印刷や点字打刻に際してその時点で必要とされる割付配置等の設定や各設定の最終確認等が行われる。なお、モード選択割込やレイアウト設定割込がないまま、印刷割込が発生したときには(INTG)、デフォルトとして前回の設定のモード(初期設定では、第1処理モード、点字下段、墨点並行)が選択される。そして、実行前設定(S14)が終了すると、実際の墨字印刷や点字打刻の処理を開始する。
【0054】
すなわち、図7および図8(a)に示すように、第1処理モードの場合(S13:(a))、墨字印刷部120による墨字Pの印刷(墨字印刷)の後(S15)、テープカットと印刷テープ排出口22からのテープTの排出を行い(S16)、ディスプレイ4上に打刻テープ挿入口31へのテープ挿入指示を表示する(S17)。なお、この指示表示は、インジケータやLEDによって行っても良い。
【0055】
テープ挿入指示に従って、ユーザによりテープTが打刻テープ挿入口31に挿入(手差し挿入)されると、点字打刻部150により点字Bの打刻(点字打刻)を行った後(S18)、打刻テープ排出口32から打刻済みテープTを排出し(S19)、処理を終了する(S27)。この場合、点字打刻部150では、前後識別情報Dの検出を行い、検出結果と設定されたレイアウトに応じた点字打刻方向に基づいて、テープ挿入方向が間違っている場合には、点字打刻を行わないようにしている。
【0056】
また、第2処理モードの場合(S13:(b))、墨字印刷部120による墨字印刷の後(S20)、テープカット・排出を行い(S21)、処理を終了する(S27)。すなわち、第2処理モードでは、図8(b)に示すように、装着されたテープカートリッジCから繰り出されたテープTが墨字印刷部120へ送られることによって墨字Pを印刷する。なお、第2処理モードが選択された場合は、前後識別情報Dの印刷を省略することも可能である。
【0057】
また、第3処理モードの場合(S13:(c))、ディスプレイ4上に打刻テープ挿入口31へのテープ挿入指示を表示し(S24)、ユーザによるテープ挿入により点字打刻を行った後(S25)、打刻テープ排出口32から打刻済みテープTを排出し(S26)、処理を終了する(S27)。すなわち、第3処理モードでは、図8(c)に示すように、短冊状のテープ(任意の長さにカットされたテープ)Tが手差し挿入により点字打刻部150に送られて、点字Bを打刻する。また、この場合も、第1処理モードの場合と同様に、点字打刻部150において、前後識別情報Dの検出結果と設定されたレイアウトの点字打刻方向に対して挿入方向が間違っている場合、点字打刻を行わないようにしている。
【0058】
なお、第3処理モードの場合も、前後識別情報Dの検出を省略することが可能であり、前後識別情報Dの検出を行うか否かを選択できるようにしても良い。また、手差し挿入のための短冊状のテープTを入手するために、テープ挿入指示(S24)の前に、図7および図8(c)に点線で図示のように、第1処理モードの墨字印刷の代わりの空印刷(何も印刷しないでテープ送りのみ)を行った後(S22)、テープカット・排出を行い(S23)、排出されたテープカット後のテープTを、手差し挿入用の短冊状のテープTとして利用しても良い。また、点字打刻部150の上流側にテープカートリッジCを装着し、テープカートリッジCから繰り出された長尺状のテープに点字打刻を行わせることも可能である。また、墨字印刷と点字打刻は、同じ文字情報に基づいて印刷/打刻するのではなく、異なる文字情報に基づいて実行することも可能である。
【0059】
次に、レイアウト設定(S30)では、テープ幅検出結果(S11)および処理モード選択結果(S13)に基づいて、主な設定として、テープT上における墨字印刷領域(印刷配置部)Epや点字打刻領域(打刻配置部)Ebの相対位置や(図9等参照)、各配置部の長さ(印刷配置部長さPL、打刻配置部長さBL、共通配置部長さCL等)が設定され(図13等参照)、その他、墨字印刷の文字サイズなど、一般的なテープ印刷装置やワープロ等と同様の設定が行われる(図10のS343等参照)。
【0060】
そして、特に第1処理モード(墨点併記)の場合、図9に示すように、テープ幅の検出結果が24mm(テープT1)の場合は(同図(a)参照)、印刷配置部Epが上段,打刻配置部Ebが下段(a―1:以下「点字下段」)、または印刷配置部Epが下段,打刻配置部Ebが上段(a―2:以下「点字上段」)のいずれかのレイアウトが選択される。なお、テープTの上下は、前後識別情報Dをテープ挿入方向(左向き)とし、且つ情報形成面を表側としたときの上下を指すものである。
【0061】
また、テープ幅18mm(テープT2)の場合も(図9(b)参照)、点字下段(b―1)、点字上段(b―2)のいずれかが選択されることとなるが、この場合、テープ幅に合わせて印刷配置部Epのテープ幅方向長さが短くなる。なお、これらのテープT1やテープT2の場合、墨字と点字とを並行に配置するレイアウト(以下「墨点並行」)以外に、墨字と点字とを重ねるレイアウト(以下「墨点重ね」)を選択して設定できるようになっている。
【0062】
なお、テープ幅12mm(テープT3)の場合は(図9(c)参照)、テープ幅が点字1マス201の大きさ(テープ幅方向長さ)を打刻可能な最低の長さであるため(図4(a)参照)、点字上段・下段の選択、墨点並行/重ねの選択・設定に拘わらず、印刷配置部Epと打刻配置部Ebが重なり合ったレイアウトのみとなる。
【0063】
次に、ラベル作成時に、ユーザによるキーボード3からの入力に基づいてディスプレイ4上で行われる典型的な操作、特に上述のレイアウト設定(S30)の操作の例について、具体的に詳述する。
【0064】
まず、例えば図10に示すように、カーソルKまでの1行目の文字(キャラクタ)列「ABC」が入力されたテキスト編集画面表示の状態で(画面D10:以下、ディスプレイ4の表示画面の状態を画面Dxxとし、Dxxのみで説明および図示する。)、ユーザによりレイアウトキーが押されると(図7のレイアウト設定割込(INTL))、レイアウト設定処理のため(S30)、レイアウト設定画面に遷移する(D11〜D14)。
【0065】
ここでは、まず、点字打刻位置選択のため(S31)、最初の設定画面として、点字打刻位置の設定画面に遷移する(D11)。ここでは、選択肢として、点字を上段(墨字に対して上側)に配置する「1.上段」(点字上段:図9(a)の(a−2)参照)と、点字を下段(墨字に対して下側)に配置する「2.下段」(点字下段:同図(a−1)参照)と、のいずれかを、カーソル操作によって選択・指定できる(画面遷移直後は前回指定の選択肢をデフォルトとしてカーソル指定して表示:初期設定は「2.下段」(点字下段))。なお、以下の各種の選択画面においても、基本的に画面遷移直後は前回指定の選択肢をデフォルトとしてカーソル指定して表示するものとして説明は省略し、適宜初期設定のみ付記する。
【0066】
ここでは、上記の状態で(D11)、「1.下段」がカーソル指定されてエンターキーの押下により選択(以下単に「選択確定」という)されたとすると、点字配置として「点字下段」を設定して、次に、墨字と点字を並行配置するか重ねて配置するかを選択(墨点並行/重ね選択)するために(S32)、墨字・点字の配置方法の設定画面(墨点配置選択画面)に遷移する(D12)。この選択画面では、選択肢として、墨字と点字とを並行に配置する「1.墨点並行」と、墨字と点字とを重ねる「2.墨点重ね」と、のいずれかをカーソル操作で選択・指定できる(初期設定は「1.墨点並行」)。
【0067】
ここでは、「1.墨点並行」が選択確定されたとすると、墨字・点字の配置方法として「墨点並行」を設定して、次に、墨字印刷の配置に関する各種の指定を行うために(S33)、墨字配置指定画面に遷移する(D13)。この指定画面では、選択肢として、墨字印刷の配置に関連する各種の指定を行う「1.指定有り」と、指定を行わない(設定変更をしない)「2.指定無し」と、を表示するので(初期設定は「2.指定無し」)、ここで仮に「1.指定有り」が選択確定されると(S331:Yes)、墨字配置の「指定有り」(設定変更有り)を設定して、次に、各種の墨字配置関連指定(詳細は省略)の指定が可能になり(S332)、終了すると、元の墨字配置指定画面に戻る(D13)。
【0068】
一方、墨字配置指定画面で(D13)、「2.指定無し」が選択確定されたとすると(S331:No)、墨字配置の「指定無し」を設定して、次に、点字打刻の配置に関する各種の指定を行うために(S34)、点字配置指定画面に遷移する(D14)。
【0069】
この点字配置指定画面においても(D14)、上述の墨字配置指定画面(D13)と同様に、選択肢として、点字打刻の配置に関連する各種の指定を行う「1.指定有り」と、指定を行わない(設定変更をしない)「2.指定無し」と、を表示するので(初期設定は「2.指定無し」)、ここでは、「2.指定無し」が選択確定されたとすると(S341:No)、点字配置の「指定無し」を設定して、テキスト編集画面(文字情報入力状態)に戻る(D15:D10と同じ:図7ではS12の状態)。
【0070】
ところで、ラベル作成装置1では、点字配置の指定のうちの前後余白の設定について工夫をしているので、その効果を理解しやすい(図示しやすく説明しやすい)テープ幅12mmを例示して、以下に詳述する。なお、前述のように、テープ幅12mm(テープT3)の場合(図9(c)参照)、点字上段・下段の選択、墨点並行/重ねの選択・設定に拘わらず、印刷配置部Epと打刻配置部Ebが重なり合ったレイアウトのみとなるので、テープ幅12mmが検出された場合には、図10で上述の点字打刻位置選択(S31、D11)や、墨点並行/重ね選択(S32、D12)を省略しても良い(このため、点線で図示している)。
【0071】
図10(b)、図11および図12に示すように、まず、上述の点字配置指定で(S34、D14:図10(a)と図11で共通)、「1.指定有り」が選択確定されると(D20、S341:Yes)、点字配置の「指定有り」(設定変更有り)を設定して、次に、点字余白指定のために(S342)、点字余白指定画面に遷移する(D21)。なお、ここでは、説明の簡単化のために、最初に点字余白指定(S342)を行うが、点字配置指定(S34)の処理内であれば、例えば民間仕様と異なるマス内やマス間のサイズ設定などのその他の配置関連指定(S343)の一部または全部と指定順を交換しても良い。
【0072】
この点字余白指定画面では(D21〜D25)、選択肢として、点字余白の指定を行わない(設定変更しない)「1.指定無し」の他、「2.長さ指定」「3.相対指定」「4.墨字の後ろ」「5.墨字の前」を表示するので(初期設定は「1.指定無し」)、ここで「1.指定無し」が選択確定されると、次に、その他の配置関連指定(S343)に移行し、終了後には、元の画面に戻る(D14)。
【0073】
ここで、実際に作成されるラベルの例を示しておく。まず、上述のレイアウト設定(図7のS30)において、特に何も指定しない(設定変更しない)で戻った状態、すなわち文字列「ABC」が入力された状態で(図10(a)のD15:図7のS12の状態)、印刷キーが押され、印刷割込が発生すると(INTG)、第2処理モード(墨字のみ)が選択されていたときには、例えば図13(a)の墨字画像(墨字印刷データ)Gp0に従って墨字印刷の後(S20)、印刷テープ排出口22からテープTを排出し(S21)、処理を終了する(S27)。この場合、墨字のみなので、そのまま墨字印刷結果のラベルLp0となる。
【0074】
また、第3処理モード(点字のみ)が選択されていたときには、前述のように、必要に応じて空印刷〜テープT排出(S22〜S23)の後、テープ挿入指示を表示し(S24)、テープTが手差し挿入されると、図13(b)の点字画像(点字打刻データ)Gb0に従って点字打刻を行って(S25〜S26)、処理を終了する(S27)。この場合、点字のみなので、そのまま点字打刻結果のラベルLb0となる。
【0075】
なお、以下では、図13(a)で上述の墨字画像Gp0の前余白長さ(以下単に「前余白」)FpL(例えばFpL=4mm=0.4cm)および後余白長さ(以下単に「後余白」)RpL(例えばRpL=0.4cm)を、墨字のみのときの前回設定(または初期設定)によるデフォルト値とし、同図(b)で上述の点字画像Gb0の前余白FbL(例えばFbL=0.5cm)および後余白RbL(例えばRbL=0.5cm)を、点字のみのときの前回設定(または初期設定)によるデフォルト値として、指定無し(変更無し)の場合の値とする。また、点字の実打刻部長さDLの前後に前余白FbLおよび後余白RbLを加えたものを打刻配置部長さBLとする。また、墨字と点字との相対位置について説明するので、第1処理モード(墨点併記)が選択されているとする。
【0076】
そこで、指定無し(変更無し)の場合、第1処理モード(墨点併記)なので、図13(a)の墨字画像Gp0を、長さ調整結果の共通配置部長さCL(この場合、CL=BL:長い方)まで拡張して、その墨字画像Gp01により墨字印刷を行った後(図7のS15〜S16)、テープ挿入指示を表示し(S17)、テープTが手差し挿入されると、同図(b)の点字画像Gb0の点字打刻を行って(S18〜S19)、処理を終了する(S27)。これにより、同図(c)の外観(画像)G00のような墨点併記のラベルL00を作成できる。
【0077】
次に、図11で上述の点字余白指定画面において(D21〜D25)、上述した選択肢の「1.指定無し」以外が選択確定されると(D22〜D25)、それぞれの下位画面(D20等を第1階層、D22〜D25等を第2階層としたときの、その下位の第3階層)に移行し、各下位画面における指定・設定が終了すると、その他の配置関連指定(S343)に移行し、終了後には、元の画面に戻る(D14)。
【0078】
例えば「2.長さ指定」が選択確定されると(D22)、「長さ指定」を設定して、その下位画面(第3階層)では、0.5cm〜5.0cmの0.5cm刻みの選択肢(図12参照)を表示するので、いずれかを選択でき、仮に「1.5cm」が選択確定されると、「2.長さ指定」の「1.5cm」(設定長さSL=1.5cm)を設定し、「長さ指定」の設定を終了して、その他の配置関連指定(S343)に移行し、終了後には、元の画面に戻る(D14)。
【0079】
この場合、そのまま(他の設定変更をしないで)、文字入力状態に戻り(図10のD15:図7のS12の状態)、印刷キーが押されると(印刷割込が発生すると(INTG))、図13(d)に示す<例1>のように、前余白FbL(=SL=1.5cm)を拡張した共通配置部長さCL(=点字打刻部長さBL)の点字画像Gb11を作成し、それに合わせて共通配置部長さCLまで拡張した墨字画像Gp11を作成し、その墨字画像Gp11による墨字印刷および点字画像Gb11による点字打刻を行うことにより(図7のS15〜S19、S27)、図13(d)の外観画像G11のような墨点併記のラベルL11を作成する。
【0080】
また、例えば「3.相対指定」が選択確定されると(図11のD23)、「相対指定」を設定し、下位画面(第3階層)では「極小」「少なめ」「ふつう」」「自動」「多め」などの選択肢(図12参照)を表示するので、仮に「ふつう」が選択確定され、全体の長さに対して「ふつう」(相対的な長さ)が「1.5cm」に相当するものとすると、設定長さSL=1.5cmを設定し、「相対指定」の設定を終了して、その他の配置関連指定(S343)に移行し、終了後には、元の画面に戻る(D14)。
【0081】
この場合、上述の「2.長さ指定」と同じになるので、そのまま文字入力状態に戻って(図7のS12)印刷キーが押されると(INTG)、同様に図13(d)の墨字画像Gp11および点字画像Gb11に基づく墨字印刷および点字打刻により(図7のS15〜S19、S27)、図13(d)の外観画像G11のような墨点併記のラベルL11を作成する(<例2>)。
【0082】
なお、前述のように、上述の例(例1、例2)では、前余白FbLのみ変更させ、後余白RbLをデフォルト値(例えばRbL=0.5cm)としたが、常に前余白FbL=後余白RbLとする仕様の下では、例えば同図(e)に示す共通配置部長さCLの墨字画像Gp11Sおよび点字画像Gb11Sによる外観画像G11SのラベルL11Sを作成する。また、割付として「中央寄せ」(センタリング)が予め設定されているときには、同様にラベルL11Sを作成する。また、いわゆる定長指定により共通配置部長さCLが予め指定され且つ「前寄せ」の割付が設定されていれば、それに従って上記設定による残りの長さが後余白RbLに設定される。
【0083】
ただし、上述した例1(長さ指定)や例2(相対指定)による余白設定を使用して、例えば図14(a)や同図(c)のように、墨字と点字との相対位置関係を考慮した配置(レイアウト)を実現するためには、設定する長さを綿密に検討(算出等)したり、あるいは何度か試し印刷や試し打刻等をする必要があり、煩雑となる。
【0084】
このため、ラベル作成装置1では、墨字と点字との相対位置関係を容易に設定可能な選択肢を用意してあり、以下に説明する。すなわち、相対位置関係を設定可能な選択肢として「4.墨字の後ろ」や「5.墨字の前」が用意されている。
【0085】
まず、例えば「4.墨字の後ろ」が選択確定されると(図11のD24)、その「墨字の後ろ」の下位画面(第3階層)では、−5.0cm〜+5.0cmの0.5cm刻みの選択肢(図12参照)を表示するので、仮にデフォルト値と同様の「+0.5cm」が選択確定されると、「4.墨字の後ろ」の「+0.5cm」(設定長さ(以下では相互間距離)SL=+0.5cm)を設定して終了し、その他の配置関連指定(S343)に移行し、終了後には、元の画面に戻る(D14)。
【0086】
この場合、そのまま文字入力状態に戻って印刷キーが押されると(図10のD15:図7のS12の状態→印刷割込(INTG))、図14(a)に示す<例3>のように、すなわち「墨字の後ろ」の表現の如く、墨字「ABC」の後に点字を配置できるように、点字の前余白FbLとして設定長さSLを設定する(FbL=SLとする)とともに、その前に印刷配置部長さPL分だけの余白を用意して(PL分の前余白をさらに加えて)、共通配置部長さCL(=PL+BL=PL+SL+DL+RbL)を設定する。
【0087】
また、続いて、全体が共通配置部長さCLになるように前側の余白部分を拡張した点字画像Gb12を作成し、それに合わせて共通配置部長さCLまで後側の余白部分を拡張した墨字画像Gp12を作成し、その墨字画像Gp12による墨字印刷および点字画像Gb12による点字打刻を行うことにより(図7のS15〜S19、S27)、図14(a)の外観画像G12のような墨点併記のラベルL12を作成する。
【0088】
ところで、上述の選択肢「4.墨字の後ろ」の第3階層では、特徴的な点として、−5.0cm〜−0.5cmの0.5cm刻みの負の値の選択肢(図12参照)を有している。
【0089】
ここで、仮に負の値の「−1.0cm」が選択確定されると、「4.墨字の後ろ」の「−1.0cm」(設定長さSL=−1.0cm)を設定して終了し、その他の配置関連指定(S343)等を終了後に元の画面に戻る(D14)が、指定無しでそのまま文字入力状態に戻って印刷キーが押されると、図14(b)に示す<例4>のように、全体として「墨字の後ろ」ではあるが相互間距離が負、すなわち実打刻部長さDLが印刷配置部長さPLと一部重複し、その結果、墨字と点字が一部重なるように、レイアウト設定される(図7のS30)。
【0090】
この場合、実打刻部DLの前に、印刷配置部長さPLと設定長さSLとの差分だけ余白を用意して(PL−SL分の前余白を加えて)、共通配置部長さCL(=PL−SL−FbL+BL=PL−SL+DL+RbL)を設定する。続いて、それぞれ全長が共通配置部長さCLになるように、前側の余白部分を拡張した点字画像Gb13と、後側の余白部分を拡張した墨字画像Gp13と、を作成し、これらによる墨字印刷と点字打刻により(図7のS15〜S19、S27)、図14(b)の外観画像G13のような墨点併記のラベルL13を作成する。
【0091】
また、例えば「5.墨字の前」が選択確定されると(図11のD25)、その「墨字の前」の下位画面(第3階層)では、上述の「墨字の後ろ」と同様の−5.0cm〜+5.0cmの0.5cm刻みの選択肢(図12参照)を表示するので、同様に「+0.5cm」が選択確定されると、「5.墨字の前」の設定長さSL=+0.5cmを設定して終了し、その他の配置関連指定(S343)に移行し、終了後には、元の画面に戻る(D14)。
【0092】
この場合、同様にして印刷キーが押されると(D15、S12の状態→INTG)、図14(c)に示す<例5>のように、すなわち「墨字の前」の表現の如く、墨字「ABC」の前に点字を配置できるように、点字の後余白RbL=SLを設定するとともに、その後側に印刷配置部長さPL分だけの後余白をさらに加えて、共通配置部長さCL(=BL+PL=FbL+DL+SL+PL)を設定する。
【0093】
また、続いて、それぞれ全長が共通配置部長さCLになるように、後側の余白部分を拡張した点字画像Gb14と、前側の余白部分を拡張した墨字画像Gp14と、を作成し、これらによる墨字印刷と点字打刻により(図7のS15〜S19、S27)、図14(c)の外観画像G14のような墨点併記のラベルL14を作成する。
【0094】
そして、この「5.墨字の前」の場合も、前述の「4.墨字の後ろ」と同様に、第3階層の特徴的な点として、−5.0cm〜−0.5cmの0.5cm刻みの負の値の選択肢(図12参照)を有している。
【0095】
このため、同様に「−1.0cm」が選択確定されると、「5.墨字の前」の設定長さSL=−1.0cmを設定して終了し、その他の配置関連指定(S343)等を終了後に元の画面に戻る(D14)。続いて同様にして印刷キーが押されると、図14(d)に示す<例6>のように、全体として「墨字の前」ではあるが相互間距離(設定長さ)SLが負のため、実打刻部長さDLが印刷配置部長さPLと一部重複し、墨字点字が一部重なるように、レイアウト設定される(図7のS30)。
【0096】
この場合、実打刻部DLの後にPL−SL分の後余白を加えて、共通配置部長さCL(=BL−RbL−SL+PL=FbL+DL−SL+PL)を設定し、それぞれ全長が共通配置部長さCLになるように、後側の余白部分を拡張した点字画像Gb15と、前側の余白部分を拡張した墨字画像Gp15と、を作成し、これらの墨字印刷と点字打刻により(図7のS15〜S19、S27)、図14(d)に示す外観画像G15のような墨点併記のラベルL15を作成する。
【0097】
以上、詳述したように、本実施形態のラベル作成装置1では、共通のテープ(処理シート)Tに印刷される墨字と打刻される点字の相対位置関係を示す(相対位置情報を有する)「墨の後ろ」や「墨字の前」などの選択肢(候補選択肢)が、点字の余白指定の選択肢として用意されているので、これらを選択して指定するだけで、墨字と点字を容易に配置できる。すなわち、墨字と点字の所望の相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。
【0098】
また、上述の相対位置関係を示す候補選択肢を選択すると、前後関係ばかりでなく、その下位階層において、前後方向における相互間距離の選択肢を選択・設定できるので、所望の前後関係と相互間距離を有する墨字と点字とを容易に配置でき、この配置による相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。また、相互間距離として負の値を選択・設定できるので、前後関係においてその負の値の距離分だけ重なる相対位置関係を、容易に設定できる。
【0099】
なお、上述の実施形態では、相対間距離の基準を印刷配置部長さPLの前端または後端としたが、墨字としての前余白FpLや後余白RpLの部分を除く実印刷部の前端または後端を基準とすることもできる。前者では、墨字印刷のみの場合の墨字の見やすさ等を考慮した前余白や後余白の設定をそのまま生かすことができる一方、後者では、既設定に拘わらず、表面に直接表れる墨字(実印刷部)と点字(実打刻部)との位置関係のみを考慮して改めて設定する場合に都合が良い(設定しやすい)ので、これらを選択できるようにしても良い。
【0100】
また、上述の実施形態では、前余白と後余白とを同じ余白設定の中で行ったが、個別に設定することもでき、このような場合、前余白の設定では、図12で上述の「長さ指定」「相対指定」「墨字の後ろ」を設定可能とし、後余白の設定では、「長さ指定」「相対指定」「墨字の前」を設定可能とすれば、それぞれ前余白のみ、あるいは後余白のみの設定で対応できる。
【0101】
また、上述の実施形態では、点字の余白設定の例として、テープ幅12mm(テープT3)を例示したが、他のテープ幅18mm(テープT1)、24mm(テープT2)でも良く、これらの場合、点字上段/下段や、墨点並行/重ねなどを選択できるが、それぞれに場合についても、同様に適用できる。すなわち、墨字と点字とがいわゆる同一行に並ぶ前後関係のみの相対位置情報ばかりでなく、例えば複数行構成で異なる行に並んだり、一方が上下方向にずれて一部重なったりするように、上下関係や斜めの相対位置関係が存在しうるものにも適用できる。これらの場合の、前余白や後余白の選択肢としては、少なくとも前後方向の成分という意味での前後関係を示すものであれば良い。
【0102】
また、これらの場合、上述の実施形態の構成とは異なるが、点字の上下の余白をも設定できるようにしても良い。この場合、その上下余白の設定の候補として、同様に上下方向における相対位置関係(および相互間距離)を示す候補選択肢を用意すれば、上余白あるいは下余白あるいはこれらを統合した上下余白の各設定において、用意された候補選択肢を選択して設定するだけで、墨字と点字の所望の相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。また、この場合、上下および前後ばかりでなく、斜め方向における相対位置関係やその相互間距離等を選択可能とすることもできる。
【0103】
また、上述した実施形態において採用された文字情報処理装置としての機能あるいは各種処理方法(文字情報処理方法など)は、上述のラベル作成装置1ばかりでなく、プログラム処理可能な各種の装置によって処理されるプログラムとして適用でき、その種のプログラムを記憶するための例えばCD、MD、DVD等の記憶媒体にも適用でき、この種のプログラムを記憶しておいて、あるいは記憶媒体等から読み出して、実行することにより、墨字と点字の所望の相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。もちろん、その他、要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】実施形態に係るラベル作成装置の外観斜視図。
【図2】図1のラベル作成装置の開蓋状態の外観斜視図。
【図3】図1のラベル作成装置の制御系の概略ブロック図。
【図4】6点点字の説明図および打刻凸部の断面図。
【図5】打刻ユニットの平面図および断面図。
【図6】点字打刻部におけるテープの搬送を説明する説明図。
【図7】ラベル作成装置の全体処理のフローチャート。
【図8】図7の処理モードに関する補足説明図。
【図9】図7のテープ幅の相違に関する補足説明図。
【図10】レイアウト設定時の操作および処理の説明図。
【図11】点字配置指定の点字余白指定の操作の説明図。
【図12】点字余白指定の各階層における選択肢の一例を示す説明図。
【図13】各種の余白指定による墨字画像、点字画像およびラベルの例を示す説明図。
【図14】墨字と点字との相対位置関係を指定する例を示す、図13と同様の説明図。
【符号の説明】
【0105】
1…ラベル作成装置(文字情報処理装置) 2…装置ケース 3…キーボード 4…ディスプレイ 7…印刷ヘッド 110…操作部 120…墨字印刷部 140…切断部 150…点字打刻部 170…検出部 180…駆動部 200…制御部 B…点字 BL…打刻配置部長さ C…テープカートリッジ CL…共通配置部長さ Eb…点字打刻領域(打刻配置部) Ec…共通処理領域(共通配置部) Ep…墨字印刷領域(印刷配置部) Gxx…画像 Lxx…ラベル P…墨字 PL…印刷配置部長さ SL…設定長さ(相互間距離) T、T1、T2、T3……テープ(処理シート)
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通の処理シートに墨字の印刷と点字の打刻とを行う文字情報処理方法、文字情報処理装置、プログラムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、視覚障害者が認識可能な点字と、視覚障害を有しない晴眼者が視認可能な墨字(点字に対し、通常の印刷文字を指す)とを、同一の処理シート(テープ)に対して、字間を合わせて並べて配置して(または重ねて配置して)、視覚障害者と晴眼者の両者が認識可能な点字ラベルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−275206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の点字ラベルを作成する場合の墨字および点字の前後の余白は、双方に共通する余白として共通に設定され、あるいはそれぞれに個別の余白として個別に設定される。このため、墨字と点字との所望の相対位置関係を、余白設定によって行うことは、前者では不可能であった。また、後者においても煩雑で、その結果、墨字と点字の配置がバランスを欠いたり、墨字と点字の一部または全部が意に反して重なってしまい、墨字が読みにくくなったり、点字の存在によって墨字がかすれたりする不具合があった。
【0004】
本発明は、共通する処理シートに印刷される墨字と打刻される点字の所望の相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる文字情報処理方法、文字情報処理装置、プログラムおよび記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の文字情報処理方法は、共通する処理シートに印刷される墨字と打刻される点字との少なくとも前後関係を含む相対位置情報を有する候補選択肢を、前記点字の余白として設定可能な設定余白の選択肢の一種として記憶し、前記余白の選択肢のうちの前記候補選択肢が選択されたときに、前記相対位置情報に従って前記墨字と前記点字とを配置することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の文字情報処理装置は、共通する処理シートに墨字の印刷と点字の打刻とを行う文字情報処理装置であって、前記墨字と前記点字との前記処理シート上における少なくとも前後関係を含む相対位置情報を有する候補選択肢を、前記点字の余白として設定可能な設定余白の選択肢の一種として記憶する記憶手段と、前記余白の選択肢のうちの前記候補選択肢を前記設定余白として選択する選択手段と、前記候補選択肢が選択されたときに、前記相対位置情報に従って前記墨字と点字とを配置する配置手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この文字情報処理方法および文字情報処理装置では、設定余白の選択肢として墨字と点字の相対位置関係を示す候補選択肢が選択されたときに、その相対位置関係に従って墨字と点字とを配置するので、候補選択肢を選択するだけで、墨字と点字を容易に配置できる。このため、候補選択肢を各種用意しておくことにより、墨字と点字の所望の相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。なお、この場合の「前後関係を含む相対位置情報」は、墨字と点字とがいわゆる同一行に並ぶ前後関係のみの相対位置情報ばかりでなく、例えば複数行構成で異なる行に並んだり、一方が上下方向にずれて一部重なったりするように、上下関係や斜めの相対位置関係が存在しうるものの相対位置情報でも良く、少なくとも前後方向の成分を示す前後関係の情報を含むものであれば良い。
【0008】
また、上述の文字情報処理方法において、前記相対位置情報には、前記前後関係の情報に加えて、前記墨字と前記点字との前後方向における相互間距離の情報が含まれることが好ましい。
【0009】
この文字情報処理方法では、候補選択肢の相対位置情報に、前後関係ばかりでなく、前後方向における相互間距離の情報が含まれるので、候補選択肢を選択するだけで、所望の前後関係と相互間距離を有する墨字と点字とを容易に配置でき、この配置による相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。
【0010】
また、上述の文字情報処理方法において、前記候補選択肢として、複数種類が規定されており、前記相互間距離は、前記墨字と前記点字とが前記前後方向に連続する状態を基準値の0として規定され、前記複数の候補選択肢には、前記相互間距離として負の値を示す候補選択肢が含まれることが好ましい。
【0011】
この文字情報処理方法では、複数の候補選択肢のいずれかを選択することで、前後方向の相互間距離として負の値を選択・設定できるので、墨字と点字との前後関係においてその負の値の距離分だけ重なる相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。
【0012】
また、前記相対位置情報に前記相互間距離の情報が含まれる上述の各文字情報処理方法において、前記相互間距離の基準は、前記墨字の印刷について設定された余白を含む前記墨字の前端または後端であることが好ましい。
【0013】
この文字情報処理方法では、相対間距離の基準を、墨字の印刷について設定された余白を含む前端または後端とするので、墨字印刷のみの場合の墨字の見やすさ等を考慮した前余白や後余白の設定をそのまま生かすことができる。なお、この基準以外に、墨字としての前余白や後余白の部分を除く実印刷部の前端または後端を基準とすることもでき、この場合、既設定に拘わらず、表面に直接表れる墨字(実印刷部)と点字(実打刻部)との位置関係のみを考慮して改めて設定する場合に都合が良い(設定しやすい)。また、これらを選択できるようにしても良い。
【0014】
また、本発明のプログラムは、上述のいずれかの文字情報処理方法を実行可能なこと、または、上述の文字情報処理装置を機能させること、を特徴とする。また、本発明の記憶媒体は、上述のプログラムを、プログラム処理可能な装置によって読出可能に記憶することを特徴とする。
【0015】
このプログラムは、上述のいずれかの文字情報処理方法を実行可能なので、または、文字情報処理装置を機能させることができるので、プログラム処理可能な装置によって処理されることにより、または、プログラム処理可能な装置によって記憶媒体に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、墨字と点字の所望の相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るラベル作成装置(文字情報処理装置)について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1および図2に示すように、このラベル作成装置1は、手持ち部分13を有する装置ケース2により外郭が形成され、装置ケース2は、前部ケース2aと後部ケース2bとが一体形成されている。前部ケース2aは、墨字印刷部120を有し、テープカートリッジCから繰り出されるテープ(処理シート)Tに対して墨字印刷を行う。また、後部ケース2bは、点字打刻部150を有し、ユーザがテープTを手差し挿入した墨字印刷後のテープTに対して点字打刻を行う。
【0018】
前部ケース2aの前部上面には各種入力キーを備えたキーボード3が配置されると共に、後部上面には開閉蓋21が取り付けられ、開閉蓋21には長方形のディスプレイ4が配設されている。また、開閉蓋21の内側左部にテープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部6(墨字印刷部120)が窪入形成されており、テープカートリッジCは、蓋体開放ボタン14の押下により開閉蓋21が開放された状態でカートリッジ装着部6に着脱可能に装着される。また、開閉蓋21には、これを閉止した状態でテープカートリッジCの装着/非装着を視認するための覗き窓21aが形成されている。
【0019】
前部ケース2aの右側部には、電源供給のための電源供給口11と、パソコン等の図外の外部装置と接続するための接続口(インタフェース)12が形成されており、接続することにより、外部装置からの文字情報に基づいて墨字印刷や点字打刻を行い得るようになっている。また、前部ケース2aの左側部には、カートリッジ装着部6と外部とを連通する印刷テープ排出口22が形成され、この印刷テープ排出口22には、墨字印刷部120から送り出したテープTを切断するためのテープカッタ19が臨んでいる。そして、テープカッタ19によりテープTの後端部が切断されることにより、印刷テープ排出口22から墨字印刷後のテープTが排出される。
【0020】
また、ラベル作成装置1は、図3に示すように、制御系から見た基本的な構成として、キーボード3およびディスプレイ4を有し、文字情報の入力や各種情報の表示などマンマシンインタフェースを司る操作部110と、テープカートリッジC、印刷ヘッド7および印刷送りモータ121を有し、テープTおよびインクリボンRを搬送しながらテープT上に墨字印刷を行う墨字印刷部120と、テープカッタ19およびこれを駆動するカッタモータ141を有し、印刷済みテープTを切断する切断部140と、を備えている。
【0021】
また、ソレノイド47、打刻ピン41および打刻送りモータ151を有し、テープTを搬送しながらテープTに点字打刻を行う点字打刻部150と、テープT(テープカートリッジC)の種別を検出するテープ識別センサ171、点字打刻部150においてテープTの先端を検出する先端検出センサ91、同じく点字打刻部150においてテープTに印刷された前後識別情報Dを検出する前後識別センサ92、印刷送りモータ121の回転速度を検出する印刷部回転速度センサ172、および打刻送りモータ151の回転速度を検出する打刻部回転速度センサ173を有し、各種検出を行う検出部170と、をさらに備えている。
【0022】
また、ディスプレイドライバ181、ヘッドドライバ182、印刷送りモータドライバ183、カッタモータドライバ184、打刻ドライバ185および打刻送りモータドライバ186を有し、各部を駆動する駆動部180と、各部と接続され、ラベル作成装置1全体を制御する制御部200と、をさらに備えている。
【0023】
制御部200は、CPU210、ROM220、RAM230および入出力制御装置(以下、「IOC:Input Output Controller」という)250を備え、互いに内部バス260により接続されている。ROM220は、墨字印刷処理や点字打刻処理等の各種処理をCPU210で制御するための制御プログラムを記憶する制御プログラムブロック221と、墨字印刷を行うための文字フォントデータや点字打刻を行うための点字フォントデータの他、前後識別情報Dを墨字印刷するためのデータや点字データの打刻制御のための制御データ等を記憶する制御データブロック222とを有している。なお、文字フォントデータは、ROM220内ではなく、CG−ROMを別個に備えても良い。
【0024】
RAM230は、フラグ等として使用される各種ワークエリアブロック231の他、生成された墨字印刷データを記憶する墨字印刷データブロック232と、生成された点字打刻データを記憶する点字打刻データブロック233と、ディスプレイ4に表示するための表示データを記憶する表示データブロック234と、設定された墨字印刷領域(印刷配置部)Epと点字打刻領域(打刻配置部)Ebのレイアウトを記憶するレイアウトブロック235と、設定されたレイアウトに応じて点字データを180°回転させた状態で打刻する場合に使用する反転点字データB´(図9参照)を記憶する反転点字データブロック236と、を有し、制御処理のための作業領域として使用される。また、RAM230は電源が切断されても記憶したデータを保持しておくように常にバックアップされている。
【0025】
IOC250には、CPU210の機能を補うと共に各種周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。これにより、IOC250は、キーボード3からの入力データや制御データあるいは検出部170の各種センサ値を、そのまま或いは加工して内部バス260に取り込むと共に、CPU210と連動して、CPU210から内部バス260に出力されたデータや制御信号を、そのまま或いは加工して駆動部180に出力する。
【0026】
そして、CPU210は、上記の構成により、ROM220内の制御プログラムに従って、IOC250を介してラベル作成装置1内の各部から各種信号・データを入力するとともに、入力した各種信号・データに基づいてRAM230内の各種データを処理し、IOC250を介してラベル作成装置1内の各部に各種信号・データを出力することにより、墨字印刷処理や点字打刻処理の制御などを行う。
【0027】
例えば、CPU210は、キーボード3より文字情報が入力されると、これに基づいて墨字印刷データPおよび点字打刻データBを生成し、必要に応じて両データ間での長さ等の調整を行い、反転点字データB’を用意する(図9参照)。また、調整前または調整後の墨字印刷データ(余白データを含む)Pを墨字印刷データブロック232に記憶すると共に、同じく調整前または調整後の点字打刻データ(余白データを含む)Bを点字打刻データブロック233に記憶し、反転点字データB’を反転点字データブロック236に記憶する。
【0028】
また、キーボード3から墨字印刷および点字打刻の指示を取得すると、印刷送りモータ121の駆動を開始し、印刷部回転速度センサ172の検出結果に応じて印刷ヘッド7を駆動することにより、墨字印刷データPに基づく墨字印刷を行うと共に、予め制御データブロック222内に記憶されているデータに基づいて、挿入するテープTの前後識別情報Dの印刷も行う。その後、墨字印刷データに基づいて(必要に応じて調整済みの)所定長さのテープ送りを行い、テープカッタ19によりテープ後端部を切断して、印刷テープ排出口22からテープTを排出する。
【0029】
また、図1〜図3を参照して、引き続き(リセット操作や電源オフ操作が無い状態で)、ユーザによる手差し挿入により、短冊状に切断されたテープTが打刻テープ挿入口31に挿入されると、打刻ユニット80およびテープ送り機構60を駆動することにより、点字打刻データBまたは反転点字データB′に基づいて点字打刻を行う。そして、打刻終了後、打刻送りモータ151の駆動により、点字打刻データB等に基づく調整済みの所定長さのテープ送りを行って、打刻テープ排出口32からテープTを排出する。なお、打刻ユニット80による打刻開始は、先端検出センサ91によるテープ先端の検出をトリガとするのではなく、ユーザがキーボード3上の打刻開始キーを押下することにより手動開始させることも可能である。
【0030】
ここで、図4を参照し、テープT上に形成される点字B(6点点字B)について説明する。
【0031】
点字器や点字タイプライタ等で慣用されている1文字(1マス)や文字間(マス間)の仕様(以下「民間仕様」)によれば、同図に示すように、6点点字Bは、縦3個×横2個の6個の点(打刻ポイント:いわゆる「1の点」〜「6の点」と呼ばれる6個の点)で1マス201が構成され、6個の点のうちの打刻点および非打刻点のパターンにより、この1マス201で、1文字または濁点等の属性を表現するものである、例えば図4(a)は、1の点、2の点、5の点、6の点を打刻点とし、3の点、4の点を非打刻点とすることにより、文字情報「し」を表現する点字(点字データ)Bを示す図である。
【0032】
なお、点字Bには、このような仮名文字や数字等を表す6点点字Bの他、漢字を表す8点点字(1マスが縦4個×横2個の点で構成される点字)も使用されている。ここでは、6点点字Bを形成する場合を例に挙げて説明するが、8点点字を形成するラベル作成装置においても本発明は適用可能である。
【0033】
6点点字Bは、1マス201が縦3個×横2個の配置パターンで6個の打刻ポイント201a〜201fに分割されており、縦方向のピッチが略2.4mm、マス内の横方向のピッチが略2.1mm、マス間のピッチは略3.3mmとなっている。同図では、6個の打刻ポイント201a〜201fのうち「し」を表現すべく4個の打刻ポイント201a、201b、201e、201fが選択的に打刻されて、テープT上に例えば角の丸まった円筒形、半球形、円錐形、四角錐形等の断面形状(図4(b)参照)を有する4個の打刻凸部202a、202b、202e、202fが形成されている。なお、6点点字Bを打刻するためには、1マス201の大きさ(テープ幅方向長さ)から換算して、最低限テープ幅12mm(テープT3)が必要となっている。
【0034】
また、実施形態のラベル作成装置1は、打刻ユニット80として相互に交換可能な2種類のユニットが用意されており、一方は直径が略1.4mmの小形の小打刻凸部203を形成し、他方は直径が略1.8mmの大形の大打刻凸部204を形成する。大小2種類の打刻凸部203、204は、その用途によって使い分けられるものであり、例えば、小打刻凸部203が点字Bの読み取りに慣れた者(先天盲者)向けであって、大打刻凸部204が初心者(中途失明者)向けである。
【0035】
図1〜図3を参照して、さらに詳述する。キーボード3には、文字キー群3a、および各種動作モード等を指定するための機能キー群3bが配列されている。文字キー群3aは、墨字印刷や点字打刻を行うための文字情報を入力するためのものであり、JIS配列に基づいたフルキー構成となっている。また、機能キー群3bには、墨字印刷や点字打刻を実行させるための印刷・実行キー(印刷キー)、点字打刻部150におけるテープTの送り開始を指示する送り開始キー、手動により点字打刻を行わせる打刻開始キーの他、墨字印刷や点字打刻を行うための処理モードを選択するモードキー、墨字印刷領域(印刷配置部)Epと点字打刻領域(打刻配置部)Ebの配置を設定するレイアウトキー、その配置結果を印刷等の実行前にスクロール表示させるためのスクロールキーが含まれる。また、これら以外にも、機能キー群3bには一般のワープロ等と同様に、処理の取り消し等のための取消キー、カーソル移動用のカーソルキー、各種選択画面における選択肢の決定やテキスト入力時の改行のための確定(エンター)キーなどが含まれる。
【0036】
モードキーによって選択される処理モードとしては、入力された文字情報に基づいて墨字印刷および点字打刻を行う第1処理モード(図8(a)参照)、入力された文字情報に基づいて墨字印刷のみを行う第2処理モード(同図(b)参照)、入力された文字情報に基づいて点字打刻のみを行う第3処理モード(同図(c)参照)があり、いずれか1つの処理モードが選択される。
【0037】
ディスプレイ4は、横方向(X方向)約12cm×縦方向(Y方向)5cmの長方形の形状の内側に、192ドット×80ドットの表示画像を表示可能であり、ユーザがキーボード3から文字情報を入力して、墨字印刷データや点字打刻データを作成・編集したりする際に用いられる。また、各種エラーやメッセージ(指示内容)を表示し、ユーザに報知する。
【0038】
墨字印刷部120において、カートリッジ装着部6には、ヘッドカバー20a内にサーマルヘッドから成る印刷ヘッド7が内蔵されたヘッドユニット20と、印刷ヘッド7に対峙するプラテン駆動軸25と、インクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸23と、テープリール17の位置決め突起24と、を備えている。また、カートリッジ装着部6の下側には、プラテン駆動軸25および巻き取り駆動軸23を回転させる印刷送りモータ121が内蔵されている。
【0039】
テープカートリッジCは、カートリッジケース51内部にテープリール17とリボンリール19とを収容して構成されており、テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。また、ヘッドカバー20aに差し込むための貫通孔55が形成されており、テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応して、プラテン駆動軸25に嵌合されて回転駆動するプラテンローラ53が配置されている。また、リボンリール19から繰り出されたインクリボンRは、ヘッドカバー20aを周回して、リボンリール19に近接配置されたリボン巻き取りリール54に巻き取られるようになっている。
【0040】
テープカートリッジCがカートリッジ装着部6に装着されると、ヘッドカバー20aに貫通孔55が、位置決め突起24にテープリール17の中心孔が、プラテン駆動軸25にプラテンローラ53が、巻き取り駆動軸23にリボン巻き取りリール54の中心孔がそれぞれ差し込まれ、テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド7がプラテンローラ53に当接して墨字印刷が可能になる。そして、墨字印刷後のテープTは、印刷テープ排出口22に送られる。
【0041】
テープTは、特に図示しないが、裏面に粘着剤層が設けられた基材シート(情報形成層)と、この粘着剤層により基材シートに貼付された剥離紙(剥離紙層)とから構成されている。基材シートは、表側から、インクリボンから感熱転写されるインクの定着性を高めた受像層と、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムで構成され、基材シートの主体を為す基材層と、粘着剤で構成された粘着剤層とを積層して構成されている。
【0042】
また、テープTは、テープ種別(テープ幅、テープ色、墨字インク色、テープ材質など)が異なる複数種のものが用意されており、この種別を指標する複数の孔(図示省略)がカートリッジケース51の裏面に設けられている。また、複数の孔に対応してカートリッジ装着部6には、これらを検出するテープ識別センサ(マイクロスイッチ)171が複数設けられており、このテープ識別センサ171の状態を検出することで、テープ種別を判別できるようになっている。なお、本実施形態では、テープ幅24mm(テープT1)、テープ幅18mm(テープT2)、テープ幅12mm(テープT3)の3種を例に挙げて説明する(図6参照)。
【0043】
一方、後部ケース2bには、その内部に点字打刻を行うアッセンブリ(点字打刻部150)が組み込まれ、その上面は点字打刻部150(具体的には、テープ走行路70、打刻ユニット80およびテープ送り機構60)が露出するように十字状に開放されている。また、この切り欠き開口部30の右部にはユーザによりテープTが手差し挿入される打刻テープ挿入口31が形成され、左部には点字打刻後のテープTが排出される打刻テープ排出口32が形成されている。
【0044】
点字打刻部150は、3個の打刻ピン41(図5(b)参照)により点字打刻を行う打刻ユニット80と、打刻テープ挿入口31に挿入されたテープTを打刻テープ排出口32に向けて送るテープ送り機構60と、テープTが搬送されるテープ走行路70とを有し、テープ送り機構60の駆動によりテープ走行路70に沿って送られていくテープTに対し、打刻ユニット80により3個の打刻ピン41を選択的に駆動することで点字Bが形成される。
【0045】
次に、打刻ユニット80は、図5に示すように、テープTの裏面側に配設されると共に上記3個の打刻ピン41が組み込まれた打刻部材(打刻ヘッド)81と、テープTを挟んで打刻部材81と対向する位置で打刻ピン41を受ける打刻受け部材82とを備え、テープ走行路70の幅方向における図示下端部に固定配置されている。
【0046】
打刻部材81は、テープ幅方向(同図(a)における上下方向)に沿って、2.4mmの間隔で配列された3個の打刻ピン41を備えており、6個のうち縦3個の打刻ポイント201a〜201c(または201d〜201f)に対応していると共に、ソレノイド47を駆動源とした直線運動をガイドするガイド部材45によって、テープTに対し垂直に保持されている。打刻ピン41の頭部41aは、打刻した打刻凸部202の形状が角の丸まった円筒形、半球形、円錐形、四角錐形等の断面形状(図4(b)参照)となるような形状に形成されている。
【0047】
ここで、ソレノイド47によりプランジャー48が直線運動を行うと、アーム部材46が支持部材49を支点として回動し、打刻ピン41がテープTに対し垂直方向に直線運動を行う。そして、3個のアーム部材46にそれぞれ接続された3個のソレノイド47は、三角形状の角部に位置するようにそれぞれ配設されている。一方、打刻受け部材82は、3個の打刻ピン41と対向する面42aに、3個の打刻ピン41に対応する3個の打刻受け凹部43が形成されている。そして、この打刻ピン41と打刻受け部材82とにより、テープTに打刻凸部202を形成する。
【0048】
また、点字打刻部150は、図6に示すように、テープTの搬送をガイドするガイド部材71、72と、テープTの先端を検出する透過型の先端検出センサ91と、テープTの前後を識別するための前後識別情報Dを検出する反射型の前後識別センサ92(検出センサ)と、をさらに備えている。前後識別情報Dとしては、図示のとおり、テープTの先端部且つ図示下端部付近に点「・」が印刷されており、これによってテープの挿入方向(前側)が指標されている。
【0049】
打刻テープ挿入口31には、テープ幅の大きいものからテープT1、T2、T3(テープ幅24、18、12mm)が挿入可能であり、最大テープ幅のテープT1については上下ガイド71、72によってガイドされ、それ以外のテープT2、T3については、下ガイド部材71のみによってガイドされ、ユーザによりその先端がテープ送り機構60(送りローラ61)に到達するまで(挿入可能な位置まで)手差し挿入される。そして、キーボード3上のテープ送り開始キーの押下によりテープ送り機構60によるテープ送りが開始される。
【0050】
次に、図7〜図9を参照し、ラベル作成装置1の全体処理について説明する。図7に示すように、電源キーの押下(電源オン)により処理が開始すると、まず、前回の電源オフ時の状態に戻すために、退避していた各制御フラグを復旧するなどの初期設定を行い(S10)、テープ識別センサ171(図3参照)によりテープ種別を検出し(S11)、続いて、ユーザによるキーボード3からの(またはパソコン等の外部装置からの)データ入力により文字情報が入力され、編集画面等として各種の情報が表示される(S12)。
【0051】
ここで、キーボード3からのモード選択指示(モードキー入力)により(または外部装置からの指示入力により)、モード選択割込が発生すると(INTM)、処理モード選択の処理が起動され、第1処理モード(墨点併記)、第2処理モード(墨字のみ)および第3処理モード(点字のみ)のいずれかが選択される(S13)。
【0052】
また、レイアウト設定指示(レイアウトキー入力)により(または外部装置からの指示入力により)、レイアウト設定割込が発生すると(INTL)、レイアウト設定の処理が起動され(S30)、印刷/実行指示(印刷キー入力)により(または外部装置からの指示入力により)、印刷割込が発生すると(INTG)、実行前設定の処理が起動される(S14)。
【0053】
ここで、実行前設定(S14)では、実際の墨字印刷や点字打刻に際してその時点で必要とされる割付配置等の設定や各設定の最終確認等が行われる。なお、モード選択割込やレイアウト設定割込がないまま、印刷割込が発生したときには(INTG)、デフォルトとして前回の設定のモード(初期設定では、第1処理モード、点字下段、墨点並行)が選択される。そして、実行前設定(S14)が終了すると、実際の墨字印刷や点字打刻の処理を開始する。
【0054】
すなわち、図7および図8(a)に示すように、第1処理モードの場合(S13:(a))、墨字印刷部120による墨字Pの印刷(墨字印刷)の後(S15)、テープカットと印刷テープ排出口22からのテープTの排出を行い(S16)、ディスプレイ4上に打刻テープ挿入口31へのテープ挿入指示を表示する(S17)。なお、この指示表示は、インジケータやLEDによって行っても良い。
【0055】
テープ挿入指示に従って、ユーザによりテープTが打刻テープ挿入口31に挿入(手差し挿入)されると、点字打刻部150により点字Bの打刻(点字打刻)を行った後(S18)、打刻テープ排出口32から打刻済みテープTを排出し(S19)、処理を終了する(S27)。この場合、点字打刻部150では、前後識別情報Dの検出を行い、検出結果と設定されたレイアウトに応じた点字打刻方向に基づいて、テープ挿入方向が間違っている場合には、点字打刻を行わないようにしている。
【0056】
また、第2処理モードの場合(S13:(b))、墨字印刷部120による墨字印刷の後(S20)、テープカット・排出を行い(S21)、処理を終了する(S27)。すなわち、第2処理モードでは、図8(b)に示すように、装着されたテープカートリッジCから繰り出されたテープTが墨字印刷部120へ送られることによって墨字Pを印刷する。なお、第2処理モードが選択された場合は、前後識別情報Dの印刷を省略することも可能である。
【0057】
また、第3処理モードの場合(S13:(c))、ディスプレイ4上に打刻テープ挿入口31へのテープ挿入指示を表示し(S24)、ユーザによるテープ挿入により点字打刻を行った後(S25)、打刻テープ排出口32から打刻済みテープTを排出し(S26)、処理を終了する(S27)。すなわち、第3処理モードでは、図8(c)に示すように、短冊状のテープ(任意の長さにカットされたテープ)Tが手差し挿入により点字打刻部150に送られて、点字Bを打刻する。また、この場合も、第1処理モードの場合と同様に、点字打刻部150において、前後識別情報Dの検出結果と設定されたレイアウトの点字打刻方向に対して挿入方向が間違っている場合、点字打刻を行わないようにしている。
【0058】
なお、第3処理モードの場合も、前後識別情報Dの検出を省略することが可能であり、前後識別情報Dの検出を行うか否かを選択できるようにしても良い。また、手差し挿入のための短冊状のテープTを入手するために、テープ挿入指示(S24)の前に、図7および図8(c)に点線で図示のように、第1処理モードの墨字印刷の代わりの空印刷(何も印刷しないでテープ送りのみ)を行った後(S22)、テープカット・排出を行い(S23)、排出されたテープカット後のテープTを、手差し挿入用の短冊状のテープTとして利用しても良い。また、点字打刻部150の上流側にテープカートリッジCを装着し、テープカートリッジCから繰り出された長尺状のテープに点字打刻を行わせることも可能である。また、墨字印刷と点字打刻は、同じ文字情報に基づいて印刷/打刻するのではなく、異なる文字情報に基づいて実行することも可能である。
【0059】
次に、レイアウト設定(S30)では、テープ幅検出結果(S11)および処理モード選択結果(S13)に基づいて、主な設定として、テープT上における墨字印刷領域(印刷配置部)Epや点字打刻領域(打刻配置部)Ebの相対位置や(図9等参照)、各配置部の長さ(印刷配置部長さPL、打刻配置部長さBL、共通配置部長さCL等)が設定され(図13等参照)、その他、墨字印刷の文字サイズなど、一般的なテープ印刷装置やワープロ等と同様の設定が行われる(図10のS343等参照)。
【0060】
そして、特に第1処理モード(墨点併記)の場合、図9に示すように、テープ幅の検出結果が24mm(テープT1)の場合は(同図(a)参照)、印刷配置部Epが上段,打刻配置部Ebが下段(a―1:以下「点字下段」)、または印刷配置部Epが下段,打刻配置部Ebが上段(a―2:以下「点字上段」)のいずれかのレイアウトが選択される。なお、テープTの上下は、前後識別情報Dをテープ挿入方向(左向き)とし、且つ情報形成面を表側としたときの上下を指すものである。
【0061】
また、テープ幅18mm(テープT2)の場合も(図9(b)参照)、点字下段(b―1)、点字上段(b―2)のいずれかが選択されることとなるが、この場合、テープ幅に合わせて印刷配置部Epのテープ幅方向長さが短くなる。なお、これらのテープT1やテープT2の場合、墨字と点字とを並行に配置するレイアウト(以下「墨点並行」)以外に、墨字と点字とを重ねるレイアウト(以下「墨点重ね」)を選択して設定できるようになっている。
【0062】
なお、テープ幅12mm(テープT3)の場合は(図9(c)参照)、テープ幅が点字1マス201の大きさ(テープ幅方向長さ)を打刻可能な最低の長さであるため(図4(a)参照)、点字上段・下段の選択、墨点並行/重ねの選択・設定に拘わらず、印刷配置部Epと打刻配置部Ebが重なり合ったレイアウトのみとなる。
【0063】
次に、ラベル作成時に、ユーザによるキーボード3からの入力に基づいてディスプレイ4上で行われる典型的な操作、特に上述のレイアウト設定(S30)の操作の例について、具体的に詳述する。
【0064】
まず、例えば図10に示すように、カーソルKまでの1行目の文字(キャラクタ)列「ABC」が入力されたテキスト編集画面表示の状態で(画面D10:以下、ディスプレイ4の表示画面の状態を画面Dxxとし、Dxxのみで説明および図示する。)、ユーザによりレイアウトキーが押されると(図7のレイアウト設定割込(INTL))、レイアウト設定処理のため(S30)、レイアウト設定画面に遷移する(D11〜D14)。
【0065】
ここでは、まず、点字打刻位置選択のため(S31)、最初の設定画面として、点字打刻位置の設定画面に遷移する(D11)。ここでは、選択肢として、点字を上段(墨字に対して上側)に配置する「1.上段」(点字上段:図9(a)の(a−2)参照)と、点字を下段(墨字に対して下側)に配置する「2.下段」(点字下段:同図(a−1)参照)と、のいずれかを、カーソル操作によって選択・指定できる(画面遷移直後は前回指定の選択肢をデフォルトとしてカーソル指定して表示:初期設定は「2.下段」(点字下段))。なお、以下の各種の選択画面においても、基本的に画面遷移直後は前回指定の選択肢をデフォルトとしてカーソル指定して表示するものとして説明は省略し、適宜初期設定のみ付記する。
【0066】
ここでは、上記の状態で(D11)、「1.下段」がカーソル指定されてエンターキーの押下により選択(以下単に「選択確定」という)されたとすると、点字配置として「点字下段」を設定して、次に、墨字と点字を並行配置するか重ねて配置するかを選択(墨点並行/重ね選択)するために(S32)、墨字・点字の配置方法の設定画面(墨点配置選択画面)に遷移する(D12)。この選択画面では、選択肢として、墨字と点字とを並行に配置する「1.墨点並行」と、墨字と点字とを重ねる「2.墨点重ね」と、のいずれかをカーソル操作で選択・指定できる(初期設定は「1.墨点並行」)。
【0067】
ここでは、「1.墨点並行」が選択確定されたとすると、墨字・点字の配置方法として「墨点並行」を設定して、次に、墨字印刷の配置に関する各種の指定を行うために(S33)、墨字配置指定画面に遷移する(D13)。この指定画面では、選択肢として、墨字印刷の配置に関連する各種の指定を行う「1.指定有り」と、指定を行わない(設定変更をしない)「2.指定無し」と、を表示するので(初期設定は「2.指定無し」)、ここで仮に「1.指定有り」が選択確定されると(S331:Yes)、墨字配置の「指定有り」(設定変更有り)を設定して、次に、各種の墨字配置関連指定(詳細は省略)の指定が可能になり(S332)、終了すると、元の墨字配置指定画面に戻る(D13)。
【0068】
一方、墨字配置指定画面で(D13)、「2.指定無し」が選択確定されたとすると(S331:No)、墨字配置の「指定無し」を設定して、次に、点字打刻の配置に関する各種の指定を行うために(S34)、点字配置指定画面に遷移する(D14)。
【0069】
この点字配置指定画面においても(D14)、上述の墨字配置指定画面(D13)と同様に、選択肢として、点字打刻の配置に関連する各種の指定を行う「1.指定有り」と、指定を行わない(設定変更をしない)「2.指定無し」と、を表示するので(初期設定は「2.指定無し」)、ここでは、「2.指定無し」が選択確定されたとすると(S341:No)、点字配置の「指定無し」を設定して、テキスト編集画面(文字情報入力状態)に戻る(D15:D10と同じ:図7ではS12の状態)。
【0070】
ところで、ラベル作成装置1では、点字配置の指定のうちの前後余白の設定について工夫をしているので、その効果を理解しやすい(図示しやすく説明しやすい)テープ幅12mmを例示して、以下に詳述する。なお、前述のように、テープ幅12mm(テープT3)の場合(図9(c)参照)、点字上段・下段の選択、墨点並行/重ねの選択・設定に拘わらず、印刷配置部Epと打刻配置部Ebが重なり合ったレイアウトのみとなるので、テープ幅12mmが検出された場合には、図10で上述の点字打刻位置選択(S31、D11)や、墨点並行/重ね選択(S32、D12)を省略しても良い(このため、点線で図示している)。
【0071】
図10(b)、図11および図12に示すように、まず、上述の点字配置指定で(S34、D14:図10(a)と図11で共通)、「1.指定有り」が選択確定されると(D20、S341:Yes)、点字配置の「指定有り」(設定変更有り)を設定して、次に、点字余白指定のために(S342)、点字余白指定画面に遷移する(D21)。なお、ここでは、説明の簡単化のために、最初に点字余白指定(S342)を行うが、点字配置指定(S34)の処理内であれば、例えば民間仕様と異なるマス内やマス間のサイズ設定などのその他の配置関連指定(S343)の一部または全部と指定順を交換しても良い。
【0072】
この点字余白指定画面では(D21〜D25)、選択肢として、点字余白の指定を行わない(設定変更しない)「1.指定無し」の他、「2.長さ指定」「3.相対指定」「4.墨字の後ろ」「5.墨字の前」を表示するので(初期設定は「1.指定無し」)、ここで「1.指定無し」が選択確定されると、次に、その他の配置関連指定(S343)に移行し、終了後には、元の画面に戻る(D14)。
【0073】
ここで、実際に作成されるラベルの例を示しておく。まず、上述のレイアウト設定(図7のS30)において、特に何も指定しない(設定変更しない)で戻った状態、すなわち文字列「ABC」が入力された状態で(図10(a)のD15:図7のS12の状態)、印刷キーが押され、印刷割込が発生すると(INTG)、第2処理モード(墨字のみ)が選択されていたときには、例えば図13(a)の墨字画像(墨字印刷データ)Gp0に従って墨字印刷の後(S20)、印刷テープ排出口22からテープTを排出し(S21)、処理を終了する(S27)。この場合、墨字のみなので、そのまま墨字印刷結果のラベルLp0となる。
【0074】
また、第3処理モード(点字のみ)が選択されていたときには、前述のように、必要に応じて空印刷〜テープT排出(S22〜S23)の後、テープ挿入指示を表示し(S24)、テープTが手差し挿入されると、図13(b)の点字画像(点字打刻データ)Gb0に従って点字打刻を行って(S25〜S26)、処理を終了する(S27)。この場合、点字のみなので、そのまま点字打刻結果のラベルLb0となる。
【0075】
なお、以下では、図13(a)で上述の墨字画像Gp0の前余白長さ(以下単に「前余白」)FpL(例えばFpL=4mm=0.4cm)および後余白長さ(以下単に「後余白」)RpL(例えばRpL=0.4cm)を、墨字のみのときの前回設定(または初期設定)によるデフォルト値とし、同図(b)で上述の点字画像Gb0の前余白FbL(例えばFbL=0.5cm)および後余白RbL(例えばRbL=0.5cm)を、点字のみのときの前回設定(または初期設定)によるデフォルト値として、指定無し(変更無し)の場合の値とする。また、点字の実打刻部長さDLの前後に前余白FbLおよび後余白RbLを加えたものを打刻配置部長さBLとする。また、墨字と点字との相対位置について説明するので、第1処理モード(墨点併記)が選択されているとする。
【0076】
そこで、指定無し(変更無し)の場合、第1処理モード(墨点併記)なので、図13(a)の墨字画像Gp0を、長さ調整結果の共通配置部長さCL(この場合、CL=BL:長い方)まで拡張して、その墨字画像Gp01により墨字印刷を行った後(図7のS15〜S16)、テープ挿入指示を表示し(S17)、テープTが手差し挿入されると、同図(b)の点字画像Gb0の点字打刻を行って(S18〜S19)、処理を終了する(S27)。これにより、同図(c)の外観(画像)G00のような墨点併記のラベルL00を作成できる。
【0077】
次に、図11で上述の点字余白指定画面において(D21〜D25)、上述した選択肢の「1.指定無し」以外が選択確定されると(D22〜D25)、それぞれの下位画面(D20等を第1階層、D22〜D25等を第2階層としたときの、その下位の第3階層)に移行し、各下位画面における指定・設定が終了すると、その他の配置関連指定(S343)に移行し、終了後には、元の画面に戻る(D14)。
【0078】
例えば「2.長さ指定」が選択確定されると(D22)、「長さ指定」を設定して、その下位画面(第3階層)では、0.5cm〜5.0cmの0.5cm刻みの選択肢(図12参照)を表示するので、いずれかを選択でき、仮に「1.5cm」が選択確定されると、「2.長さ指定」の「1.5cm」(設定長さSL=1.5cm)を設定し、「長さ指定」の設定を終了して、その他の配置関連指定(S343)に移行し、終了後には、元の画面に戻る(D14)。
【0079】
この場合、そのまま(他の設定変更をしないで)、文字入力状態に戻り(図10のD15:図7のS12の状態)、印刷キーが押されると(印刷割込が発生すると(INTG))、図13(d)に示す<例1>のように、前余白FbL(=SL=1.5cm)を拡張した共通配置部長さCL(=点字打刻部長さBL)の点字画像Gb11を作成し、それに合わせて共通配置部長さCLまで拡張した墨字画像Gp11を作成し、その墨字画像Gp11による墨字印刷および点字画像Gb11による点字打刻を行うことにより(図7のS15〜S19、S27)、図13(d)の外観画像G11のような墨点併記のラベルL11を作成する。
【0080】
また、例えば「3.相対指定」が選択確定されると(図11のD23)、「相対指定」を設定し、下位画面(第3階層)では「極小」「少なめ」「ふつう」」「自動」「多め」などの選択肢(図12参照)を表示するので、仮に「ふつう」が選択確定され、全体の長さに対して「ふつう」(相対的な長さ)が「1.5cm」に相当するものとすると、設定長さSL=1.5cmを設定し、「相対指定」の設定を終了して、その他の配置関連指定(S343)に移行し、終了後には、元の画面に戻る(D14)。
【0081】
この場合、上述の「2.長さ指定」と同じになるので、そのまま文字入力状態に戻って(図7のS12)印刷キーが押されると(INTG)、同様に図13(d)の墨字画像Gp11および点字画像Gb11に基づく墨字印刷および点字打刻により(図7のS15〜S19、S27)、図13(d)の外観画像G11のような墨点併記のラベルL11を作成する(<例2>)。
【0082】
なお、前述のように、上述の例(例1、例2)では、前余白FbLのみ変更させ、後余白RbLをデフォルト値(例えばRbL=0.5cm)としたが、常に前余白FbL=後余白RbLとする仕様の下では、例えば同図(e)に示す共通配置部長さCLの墨字画像Gp11Sおよび点字画像Gb11Sによる外観画像G11SのラベルL11Sを作成する。また、割付として「中央寄せ」(センタリング)が予め設定されているときには、同様にラベルL11Sを作成する。また、いわゆる定長指定により共通配置部長さCLが予め指定され且つ「前寄せ」の割付が設定されていれば、それに従って上記設定による残りの長さが後余白RbLに設定される。
【0083】
ただし、上述した例1(長さ指定)や例2(相対指定)による余白設定を使用して、例えば図14(a)や同図(c)のように、墨字と点字との相対位置関係を考慮した配置(レイアウト)を実現するためには、設定する長さを綿密に検討(算出等)したり、あるいは何度か試し印刷や試し打刻等をする必要があり、煩雑となる。
【0084】
このため、ラベル作成装置1では、墨字と点字との相対位置関係を容易に設定可能な選択肢を用意してあり、以下に説明する。すなわち、相対位置関係を設定可能な選択肢として「4.墨字の後ろ」や「5.墨字の前」が用意されている。
【0085】
まず、例えば「4.墨字の後ろ」が選択確定されると(図11のD24)、その「墨字の後ろ」の下位画面(第3階層)では、−5.0cm〜+5.0cmの0.5cm刻みの選択肢(図12参照)を表示するので、仮にデフォルト値と同様の「+0.5cm」が選択確定されると、「4.墨字の後ろ」の「+0.5cm」(設定長さ(以下では相互間距離)SL=+0.5cm)を設定して終了し、その他の配置関連指定(S343)に移行し、終了後には、元の画面に戻る(D14)。
【0086】
この場合、そのまま文字入力状態に戻って印刷キーが押されると(図10のD15:図7のS12の状態→印刷割込(INTG))、図14(a)に示す<例3>のように、すなわち「墨字の後ろ」の表現の如く、墨字「ABC」の後に点字を配置できるように、点字の前余白FbLとして設定長さSLを設定する(FbL=SLとする)とともに、その前に印刷配置部長さPL分だけの余白を用意して(PL分の前余白をさらに加えて)、共通配置部長さCL(=PL+BL=PL+SL+DL+RbL)を設定する。
【0087】
また、続いて、全体が共通配置部長さCLになるように前側の余白部分を拡張した点字画像Gb12を作成し、それに合わせて共通配置部長さCLまで後側の余白部分を拡張した墨字画像Gp12を作成し、その墨字画像Gp12による墨字印刷および点字画像Gb12による点字打刻を行うことにより(図7のS15〜S19、S27)、図14(a)の外観画像G12のような墨点併記のラベルL12を作成する。
【0088】
ところで、上述の選択肢「4.墨字の後ろ」の第3階層では、特徴的な点として、−5.0cm〜−0.5cmの0.5cm刻みの負の値の選択肢(図12参照)を有している。
【0089】
ここで、仮に負の値の「−1.0cm」が選択確定されると、「4.墨字の後ろ」の「−1.0cm」(設定長さSL=−1.0cm)を設定して終了し、その他の配置関連指定(S343)等を終了後に元の画面に戻る(D14)が、指定無しでそのまま文字入力状態に戻って印刷キーが押されると、図14(b)に示す<例4>のように、全体として「墨字の後ろ」ではあるが相互間距離が負、すなわち実打刻部長さDLが印刷配置部長さPLと一部重複し、その結果、墨字と点字が一部重なるように、レイアウト設定される(図7のS30)。
【0090】
この場合、実打刻部DLの前に、印刷配置部長さPLと設定長さSLとの差分だけ余白を用意して(PL−SL分の前余白を加えて)、共通配置部長さCL(=PL−SL−FbL+BL=PL−SL+DL+RbL)を設定する。続いて、それぞれ全長が共通配置部長さCLになるように、前側の余白部分を拡張した点字画像Gb13と、後側の余白部分を拡張した墨字画像Gp13と、を作成し、これらによる墨字印刷と点字打刻により(図7のS15〜S19、S27)、図14(b)の外観画像G13のような墨点併記のラベルL13を作成する。
【0091】
また、例えば「5.墨字の前」が選択確定されると(図11のD25)、その「墨字の前」の下位画面(第3階層)では、上述の「墨字の後ろ」と同様の−5.0cm〜+5.0cmの0.5cm刻みの選択肢(図12参照)を表示するので、同様に「+0.5cm」が選択確定されると、「5.墨字の前」の設定長さSL=+0.5cmを設定して終了し、その他の配置関連指定(S343)に移行し、終了後には、元の画面に戻る(D14)。
【0092】
この場合、同様にして印刷キーが押されると(D15、S12の状態→INTG)、図14(c)に示す<例5>のように、すなわち「墨字の前」の表現の如く、墨字「ABC」の前に点字を配置できるように、点字の後余白RbL=SLを設定するとともに、その後側に印刷配置部長さPL分だけの後余白をさらに加えて、共通配置部長さCL(=BL+PL=FbL+DL+SL+PL)を設定する。
【0093】
また、続いて、それぞれ全長が共通配置部長さCLになるように、後側の余白部分を拡張した点字画像Gb14と、前側の余白部分を拡張した墨字画像Gp14と、を作成し、これらによる墨字印刷と点字打刻により(図7のS15〜S19、S27)、図14(c)の外観画像G14のような墨点併記のラベルL14を作成する。
【0094】
そして、この「5.墨字の前」の場合も、前述の「4.墨字の後ろ」と同様に、第3階層の特徴的な点として、−5.0cm〜−0.5cmの0.5cm刻みの負の値の選択肢(図12参照)を有している。
【0095】
このため、同様に「−1.0cm」が選択確定されると、「5.墨字の前」の設定長さSL=−1.0cmを設定して終了し、その他の配置関連指定(S343)等を終了後に元の画面に戻る(D14)。続いて同様にして印刷キーが押されると、図14(d)に示す<例6>のように、全体として「墨字の前」ではあるが相互間距離(設定長さ)SLが負のため、実打刻部長さDLが印刷配置部長さPLと一部重複し、墨字点字が一部重なるように、レイアウト設定される(図7のS30)。
【0096】
この場合、実打刻部DLの後にPL−SL分の後余白を加えて、共通配置部長さCL(=BL−RbL−SL+PL=FbL+DL−SL+PL)を設定し、それぞれ全長が共通配置部長さCLになるように、後側の余白部分を拡張した点字画像Gb15と、前側の余白部分を拡張した墨字画像Gp15と、を作成し、これらの墨字印刷と点字打刻により(図7のS15〜S19、S27)、図14(d)に示す外観画像G15のような墨点併記のラベルL15を作成する。
【0097】
以上、詳述したように、本実施形態のラベル作成装置1では、共通のテープ(処理シート)Tに印刷される墨字と打刻される点字の相対位置関係を示す(相対位置情報を有する)「墨の後ろ」や「墨字の前」などの選択肢(候補選択肢)が、点字の余白指定の選択肢として用意されているので、これらを選択して指定するだけで、墨字と点字を容易に配置できる。すなわち、墨字と点字の所望の相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。
【0098】
また、上述の相対位置関係を示す候補選択肢を選択すると、前後関係ばかりでなく、その下位階層において、前後方向における相互間距離の選択肢を選択・設定できるので、所望の前後関係と相互間距離を有する墨字と点字とを容易に配置でき、この配置による相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。また、相互間距離として負の値を選択・設定できるので、前後関係においてその負の値の距離分だけ重なる相対位置関係を、容易に設定できる。
【0099】
なお、上述の実施形態では、相対間距離の基準を印刷配置部長さPLの前端または後端としたが、墨字としての前余白FpLや後余白RpLの部分を除く実印刷部の前端または後端を基準とすることもできる。前者では、墨字印刷のみの場合の墨字の見やすさ等を考慮した前余白や後余白の設定をそのまま生かすことができる一方、後者では、既設定に拘わらず、表面に直接表れる墨字(実印刷部)と点字(実打刻部)との位置関係のみを考慮して改めて設定する場合に都合が良い(設定しやすい)ので、これらを選択できるようにしても良い。
【0100】
また、上述の実施形態では、前余白と後余白とを同じ余白設定の中で行ったが、個別に設定することもでき、このような場合、前余白の設定では、図12で上述の「長さ指定」「相対指定」「墨字の後ろ」を設定可能とし、後余白の設定では、「長さ指定」「相対指定」「墨字の前」を設定可能とすれば、それぞれ前余白のみ、あるいは後余白のみの設定で対応できる。
【0101】
また、上述の実施形態では、点字の余白設定の例として、テープ幅12mm(テープT3)を例示したが、他のテープ幅18mm(テープT1)、24mm(テープT2)でも良く、これらの場合、点字上段/下段や、墨点並行/重ねなどを選択できるが、それぞれに場合についても、同様に適用できる。すなわち、墨字と点字とがいわゆる同一行に並ぶ前後関係のみの相対位置情報ばかりでなく、例えば複数行構成で異なる行に並んだり、一方が上下方向にずれて一部重なったりするように、上下関係や斜めの相対位置関係が存在しうるものにも適用できる。これらの場合の、前余白や後余白の選択肢としては、少なくとも前後方向の成分という意味での前後関係を示すものであれば良い。
【0102】
また、これらの場合、上述の実施形態の構成とは異なるが、点字の上下の余白をも設定できるようにしても良い。この場合、その上下余白の設定の候補として、同様に上下方向における相対位置関係(および相互間距離)を示す候補選択肢を用意すれば、上余白あるいは下余白あるいはこれらを統合した上下余白の各設定において、用意された候補選択肢を選択して設定するだけで、墨字と点字の所望の相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。また、この場合、上下および前後ばかりでなく、斜め方向における相対位置関係やその相互間距離等を選択可能とすることもできる。
【0103】
また、上述した実施形態において採用された文字情報処理装置としての機能あるいは各種処理方法(文字情報処理方法など)は、上述のラベル作成装置1ばかりでなく、プログラム処理可能な各種の装置によって処理されるプログラムとして適用でき、その種のプログラムを記憶するための例えばCD、MD、DVD等の記憶媒体にも適用でき、この種のプログラムを記憶しておいて、あるいは記憶媒体等から読み出して、実行することにより、墨字と点字の所望の相対位置関係を、余白設定によって容易に設定できる。もちろん、その他、要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】実施形態に係るラベル作成装置の外観斜視図。
【図2】図1のラベル作成装置の開蓋状態の外観斜視図。
【図3】図1のラベル作成装置の制御系の概略ブロック図。
【図4】6点点字の説明図および打刻凸部の断面図。
【図5】打刻ユニットの平面図および断面図。
【図6】点字打刻部におけるテープの搬送を説明する説明図。
【図7】ラベル作成装置の全体処理のフローチャート。
【図8】図7の処理モードに関する補足説明図。
【図9】図7のテープ幅の相違に関する補足説明図。
【図10】レイアウト設定時の操作および処理の説明図。
【図11】点字配置指定の点字余白指定の操作の説明図。
【図12】点字余白指定の各階層における選択肢の一例を示す説明図。
【図13】各種の余白指定による墨字画像、点字画像およびラベルの例を示す説明図。
【図14】墨字と点字との相対位置関係を指定する例を示す、図13と同様の説明図。
【符号の説明】
【0105】
1…ラベル作成装置(文字情報処理装置) 2…装置ケース 3…キーボード 4…ディスプレイ 7…印刷ヘッド 110…操作部 120…墨字印刷部 140…切断部 150…点字打刻部 170…検出部 180…駆動部 200…制御部 B…点字 BL…打刻配置部長さ C…テープカートリッジ CL…共通配置部長さ Eb…点字打刻領域(打刻配置部) Ec…共通処理領域(共通配置部) Ep…墨字印刷領域(印刷配置部) Gxx…画像 Lxx…ラベル P…墨字 PL…印刷配置部長さ SL…設定長さ(相互間距離) T、T1、T2、T3……テープ(処理シート)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通する処理シートに印刷される墨字と打刻される点字との少なくとも前後関係を含む相対位置情報を有する候補選択肢を、前記点字の余白として設定可能な設定余白の選択肢の一種として記憶し、前記余白の選択肢のうちの前記候補選択肢が選択されたときに、前記相対位置情報に従って前記墨字と前記点字とを配置することを特徴とする文字情報処理方法。
【請求項2】
前記相対位置情報には、前記前後関係の情報に加えて、前記墨字と前記点字との前後方向における相互間距離の情報が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の文字情報処理方法。
【請求項3】
前記候補選択肢として、複数種類が規定されており、
前記相互間距離は、前記墨字と前記点字とが前記前後方向に連続する状態を基準値の0として規定され、
前記複数の候補選択肢には、前記相互間距離として負の値を示す候補選択肢が含まれることを特徴とする、請求項2に記載の文字情報処理方法。
【請求項4】
前記相互間距離の基準は、前記墨字の印刷について設定された余白を含む前記墨字の前端または後端であることを特徴とする、請求項2または3に記載の文字情報処理方法。
【請求項5】
共通する処理シートに墨字の印刷と点字の打刻とを行う文字情報処理装置であって、
前記墨字と前記点字との前記処理シート上における少なくとも前後関係を含む相対位置情報を有する候補選択肢を、前記点字の余白として設定可能な設定余白の選択肢の一種として記憶する記憶手段と、
前記余白の選択肢のうちの前記候補選択肢を前記設定余白として選択する選択手段と、
前記候補選択肢が選択されたときに、前記相対位置情報に従って前記墨字と点字とを配置する配置手段と、
を備えたことを特徴とする文字情報処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の文字情報処理方法を実行可能なことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを、プログラム処理可能な装置によって読出可能に記憶することを特徴とする記憶媒体。
【請求項1】
共通する処理シートに印刷される墨字と打刻される点字との少なくとも前後関係を含む相対位置情報を有する候補選択肢を、前記点字の余白として設定可能な設定余白の選択肢の一種として記憶し、前記余白の選択肢のうちの前記候補選択肢が選択されたときに、前記相対位置情報に従って前記墨字と前記点字とを配置することを特徴とする文字情報処理方法。
【請求項2】
前記相対位置情報には、前記前後関係の情報に加えて、前記墨字と前記点字との前後方向における相互間距離の情報が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の文字情報処理方法。
【請求項3】
前記候補選択肢として、複数種類が規定されており、
前記相互間距離は、前記墨字と前記点字とが前記前後方向に連続する状態を基準値の0として規定され、
前記複数の候補選択肢には、前記相互間距離として負の値を示す候補選択肢が含まれることを特徴とする、請求項2に記載の文字情報処理方法。
【請求項4】
前記相互間距離の基準は、前記墨字の印刷について設定された余白を含む前記墨字の前端または後端であることを特徴とする、請求項2または3に記載の文字情報処理方法。
【請求項5】
共通する処理シートに墨字の印刷と点字の打刻とを行う文字情報処理装置であって、
前記墨字と前記点字との前記処理シート上における少なくとも前後関係を含む相対位置情報を有する候補選択肢を、前記点字の余白として設定可能な設定余白の選択肢の一種として記憶する記憶手段と、
前記余白の選択肢のうちの前記候補選択肢を前記設定余白として選択する選択手段と、
前記候補選択肢が選択されたときに、前記相対位置情報に従って前記墨字と点字とを配置する配置手段と、
を備えたことを特徴とする文字情報処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の文字情報処理方法を実行可能なことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを、プログラム処理可能な装置によって読出可能に記憶することを特徴とする記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−27177(P2006−27177A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211787(P2004−211787)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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