説明

断熱風洞構造

【課題】車両用制御装置内に配置される発熱機器とその発熱により規定温度を超えてしまう機器を隣接させて設置させる場合、機器同士を隔離することや、遮熱板の設置により断熱効果を得ることがある。しかし制御装置の小型化が求められる現代では断熱対策を行うためのスペースが減少、あるいはまったくない状況にある。また、機器の性能上、あるいは客先要求等により当該機器を隣接させて設置しなければならない状況がある。
【解決手段】機器を収納するBOXの一部に筒状の穴を設けて 5 風洞にすることで断熱効果を得る。機器同士は隣接しているため上記課題を解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の走行制御を行う鉄道用車両制御装置に関し、発熱量の大きい機器と、その発熱により規定温度を超えてしまう機器が同一装置内に収められており、装置内での熱の遮断が必要な鉄道車両用制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年ではバリアフリー対応の車両の需要などから車両の低床化が進んでいる、それに伴い床下に艤装される制御装置の小型化が必要になってきている。
【0003】
装置の小型化により、装置内のスペースが狭くなることで機器同士が密集しているのが現状である。このことから発熱量の大きい機器と、その発熱により規定温度を超えてしまう機器を隣接させて設置しなければならないことがある。
【0004】
機器同士の間にある程度のスペースがあれば、適当な距離で機器同士を隔離し、発熱による影響を低減させている。
【0005】
しかし、十分なスペースが確保できない場合は機器間に遮熱板を設置し、発熱による影響を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−278254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
機器同士を十分に隔離させることができない場合、あるいは機器の発熱量が極端に大きい場合は隔離や遮熱板による断熱効果が十分に得られないことがある。また機器の性能上、あるいは客先要求等により機器同士を隔離させることができない場合は発熱によりその機器の規定温度を超えてしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
機器間に天部および地部に開口を有する風洞(空気の層)を設けることで熱が直接伝わることがないため、機器同士が隣接している構造であっても十分な断熱効果を得ることができる。また、風洞の側板の温度が上昇すると風洞内の空気が暖められ、対流が生じ温度の低い外気が風洞の地部から天部に流れることにより、風洞を形成する側板を効果的に冷却することができる。
【発明の効果】
【0009】
風洞構造にすることで、発熱体の発熱により規定温度を超えてしまう機器の温度上昇を抑制することができる。また、機器を収納するBOXを構成している既存の壁を風洞構造の一部にすることで新たに追加する部材を最小限にすることができる。さらに、自然対流を利用した温度の低い外気による冷却により、強制通風装置を必要としない効果的な冷却が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】車両用制御装置の本発明部分の構成
【図2】車両の機器配置構成例
【図3】車両用制御装置の構造例
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1、図2、図3を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、車両用制御装置の本発明部分の構成を示したものである。
図2は、車両の機器配置構成例を示したものである。
図3は、車両用制御装置の構造例を示したものである。
【実施例1】
【0012】
図2は、車両の機器配置構成例を示したものであるが、図2に示す通り、1 制御装置は2 車両の床下に設置する場合、車両限界や他の床下装置との位置関係により外形寸法の制約がある。
【0013】
図3は、図2の 1 制御装置を取出した、一般的な構造例を示したものである。
機器の性能上、あるいはスペースの制約上 3 発熱量の大きい機器 と 4 その発熱により規定温度を超えてしまう機器 を隣接させて配置しなければならない場合がある。
このような場合は 5 風洞 を挟んで 3 発熱量の大きい機器と 4 発熱により規定温度を超えてしまう機器を配置する。
【0014】
図1は、図3の本発明の部分についての構造説明図である。
5 風洞内は外気であり 3 発熱量の大きい機器による熱が 4 その発熱により規定温度を超えてしまう機器 に直接伝わらない構造となっている。
【0015】
機器を収納するBOXの一部を風洞の 6 壁 の一部とし、また天部と地部を外気に開放した筒状の構造にすることで、断熱効果を得ると同時に風洞の側板の温度が上昇したときに対流により上昇気流を生じさせ効果的に風洞の側板を冷却する事ができる。さらに本風洞の構造が箱の強度(曲げ、ねじれ、共振)に対しても有利になる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
発熱量の大きい機器とその発熱により規定温度を超えてしまう機器を隣接させて配置しなければならない装置に対して簡単な構造で効果的な装置を提供する。
【符号の説明】
【0017】
1 制御装置
2 車両
3 発熱量の大きい機器
4 発熱により規定温度を超えてしまう機器
5 風洞
6 壁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の床下に装着される筐体に収納された車両用制御装置であって、発熱の大きい機器と、前記発熱の大きな機器に隣接されて設置される前記発熱により規定温度を超えてしまう機器と、前記2つの機器間に設けられた壁面からなり、前記壁面に天部および地部を外気に開放した風洞を設けた事を特徴とする車両用制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−11899(P2012−11899A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150761(P2010−150761)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000003115)東洋電機製造株式会社 (380)