説明

新規含フッ素アクリル酸エステル誘導体及びその製造方法

【課題】新規な含フッ素アクリル酸エステル誘導体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下式(2)で表されるα−トリフルオロメチルアクリル酸エステル誘導体を、光照射下、Rf−Xで表されるパーフルオロアルキルハライドと反応させることにより得られる下式(1)で表される新規な含フッ素アクリル酸エステル誘導体。




[式中、Rはtert−ブチル基等、Rfはトリフルオロメチル基等を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規含フッ素アクリル酸エステル誘導体及びその製造方法に関する。含フッ素アクリル酸エステル誘導体は、医農薬の製造中間体、光学材料及び電子材料の合成原料として有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、本発明の含フッ素アクリル酸エステル誘導体及びその製造方法は知られていない。
【0003】
一方、従来の技術として、アクリル酸エステル誘導体にパーフルオロアルキルアイオダイドを付加させ、β−パーフルオロアルキル化カルボン酸誘導体を得る方法や、α−アイオド−β−パーフルオロアルキル化カルボン酸誘導体を得る方法が知られている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】第31回フッ素化学討論会要旨集 P−17(2007)。
【非特許文献2】Org.Lett.2007,9,2513−2512。
【非特許文献3】Eur.J.Org.Chem.2008,1331−1335。
【非特許文献4】第32回フッ素化学討論会(名古屋)講演要旨,P−16。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の非特許文献1〜4はα,β−不飽和カルボン酸エステル誘導体へのパーフルオロアルキル基の付加反応に関するもので、本発明の新規パーフルオロアルキル化カルボン酸誘導体が得られることは記載されていない。
【0006】
そこで本発明はパーフルオロアルキル基の付加反応を用いた、新規な含フッ素アクリル酸エステル誘導体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決する方法について鋭意検討した結果、2−位にトリフルオロメチル基を有するアクリル酸エステル誘導体を原料とし、光をラジカル発生源に用い、パーフルオロアルキル基のラジカル付加反応をすることにより、トリフルオロメチル基の1個フッ素原子が脱離し、新規な含フッ素アクリル酸エステル誘導体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち本発明は、
[1] 下記一般式(1)
【0009】
【化1】

【0010】
(式中Rは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基又はtert−ブチル基を示し、Rfはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又は炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のパーフルオロアルキル基を示す)
で表される含フッ素アクリル酸エステル誘導体。
【0011】
[2] 下記一般式(2)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中Rは前記に同じ)
で表されるα−トリフルオロメチルアクリル酸エステル誘導体を光照射下、下記一般式(3)

Rf−X (3)

(式中Rfはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又は炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のパーフルオロアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す)
で表されるパーフルオロアルキルハライドと、反応させることを特徴とする項1に記載の一般式(1)で表される含フッ素アクリル酸エステル誘導体の製造方法。
を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明により各種医農薬の合成中間体として有用なβ−パーフルオロアルキル化カルボン酸誘導体の工業的が可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
本発明において、炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のパールルオロアルキル基とは、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、n−ヘプタフルオロプロピル基、1−(トリフルオロメチル)テトラフルオロエチル基、n−ノナフルオロブチル基、1,1,−ビス(トリフルロメチル)トリフルオロエチル基、n−ウンデカフルオロペンチル基、n−トリデカフルオロヘキシル基又はウンデカフルオロシクロヘキシル基を表す。
【0017】
本発明の一般式(1)で表される含フッ素アクリル酸エステル誘導体としては、具体的には例えば、2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,3−ジフルオロアクリル酸、メチル[2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、エチル[2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−プロピル[2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−プロピル[2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−ブチル[2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−ブチル[2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、tert−ブチル[2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリル酸、メチル[2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、エチル[2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−プロピル[2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−プロピル[2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−ブチル[2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−ブチル[2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、tert−ブチル[2−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、2−(2,2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル)−3,3−ジフルオロアクリル酸、メチル[2−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、エチル[2−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−プロピル[2−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−プロピル[2−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、tert−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、2−(2−トリフルオロメチル−2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリル酸、メチル[2−(2−トリフルオロメチル−2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、エチル[2−(2−トリフルオロメチル−2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−プロピル[2−(2−トリフルオロメチル−2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−プロピル[2−(2−トリフルオロメチル−2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−ブチル[2−(2−トリフルオロメチル−2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−ブチル[2−(2−トリフルオロメチル−2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、tert−ブチル[2−(2−トリフルオロメチル−2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、2−(2,2,3,3,4,4,5,5,5ノナフルオロペンチル)−3,3−ジフルオロアクリル酸、メチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、エチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−プロピル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−プロピル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、tert−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、2−[2,2−ビス(トリフルオロメチル)−3,3,3−トリフルオロプロピル]−3,3−ジフルオロアクリル酸、メチル{2−[2,2−ビス(トリフルオロメチル)−3,3,3−トリフルオロプロピル]−3,3−ジフルオロアクリレート}、エチル{2−[2,2−ビス(トリフルオロメチル)−3,3,3−トリフルオロプロピル]−3,3−ジフルオロアクリレート}、n−プロピル{2−[2,2−ビス(トリフルオロメチル)−3,3,3−トリフルオロプロピル]−3,3−ジフルオロアクリレート}、iso−プロピル{2−[2,2−ビス(トリフルオロメチル)−3,3,3−トリフルオロプロピル]−3,3−ジフルオロアクリレート}、n−ブチル{2−[2,2−ビス(トリフルオロメチル)−3,3,3−トリフルオロプロピル]−3,3−ジフルオロアクリレート}、iso−ブチル{2−[2,2−ビス(トリフルオロメチル)−3,3,3−トリフルオロプロピル]−3,3−ジフルオロアクリレート}、tert−ブチル{2−[2,2−ビス(トリフルオロメチル)−3,3,3−トリフルオロプロピル]−3,3−ジフルオロアクリレート}、2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル)−3,3−ジフルオロアクリル酸、メチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、エチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−プロピル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−プロピル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、tert−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)−3,3−ジフルオロアクリル酸、メチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、エチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−プロピル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−プロピル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、tert−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)−3,3−ジフルオロアクリル酸、メチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、エチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−プロピル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−プロピル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、tert−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニル)−3,3−ジフルオロアクリル酸、メチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、エチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−プロピル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−プロピル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、tert−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル)−3,3−ジフルオロアクリル酸、メチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、エチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−プロピル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−プロピル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオ
ロデシル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、n−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル)−3,3−ジフルオロアクリレート]、iso−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル)−3,3−ジフルオロアクリレート]又はtert−ブチル[2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル)−3,3−ジフルオロアクリレート]等が挙げられる。
【0018】
本発明の一般式(2)で表されるα−トリフルオロメチルアクリル酸エステル誘導体としては、具体的には例えば、2−トリフルオロメチルアクリル酸、メチル(2−トリフルオロメチルアクリレート)、エチル(2−トリフルオロメチルアクリレート)、n−プロピル(2−トリフルオロメチルアクリレート)、iso−プロピル(2−トリフルオロメチルアクリレート)、n−ブチル(2−トリフルオロメチルアクリレート)、iso−ブチル(2−トリフルオロメチルアクリレート)又はtert−ブチル(2−トリフルオロメチルアクリレート)が挙げられる。
【0019】
本発明の一般式(3)で表されるパーフルオロアルキルハライドとしては、具体的に例えば、トリフルオロメチルクロライド、トリフルオロメチルブロマイド、トリフルオロメチルアイオダイド、ペンタフルオロエチルクロライド、ペンタフルオロエチルブロマイド、ペンタフルオロエチルアイオダイド、n−ヘプタフルオロプロピルクロライド、n−ヘプタフルオロプロピルブロマイド、n−ヘプタフルオロプロピルアイオダイド、1−(トリフルオロメチル)テトラフルオロエチルクロライド、1−(トリフルオロメチル)テトラフルオロエチルブロマイド、1−(トリフルオロメチル)テトラフルオロエチルアイオダイド、n−ノナフルオロブチルクロライド、n−ノナフルオロブチルブロマイド、n−ノナフルオロブチルアイオダイド、1,1,−ビス(トリフルロメチル)トリフルオロエチルクロライド、1,1,−ビス(トリフルロメチル)トリフルオロエチルブロマイド、1,1,−ビス(トリフルロメチル)トリフルオロエチルアイオダイド、n−ウンデカフルオロペンチルクロライド、n−ウンデカフルオロペンチルブロマイド、n−ウンデカフルオロペンチルアイオダイド、n−トリデカフルオロヘキシルクロライド、n−トリデカフルオロヘキシルブロマイド、n−トリデカフルオロヘキシルアイオダイド、ウンデカフルオロシクロヘキシルクロライド、ウンデカフルオロシクロヘキシルブロマイド、ウンデカフルオロシクロヘキシルアイオダイド、n−ペンタデカフルオロヘプチルクロライド、n−ペンタデカフルオロヘプチルブロマイド、n−ペンタデカフルオロヘプチルアイオダイド、n−ヘプタデカフルオロオクチルクロライド、n−ヘプタデカフルオロオクチルブロマイド、n−ヘプタデカフルオロオクチルアイオダイド、n−ノナデカフルオロノニルクロライド、ノナデカフルオロノニルブロマイド又はノナデカフルオロノニルアイオダイド等を挙げることができる。
【0020】
本発明の反応の実施に当っては、パイレックス製のガラス容器に前記一般式(2)で表されるα−トリフルオロメチルアクリル酸エステル誘導体、パーフルオロアルキルハライド、溶剤及び還元剤水溶液を仕込み光照射下、反応を行う。
【0021】
本発明の反応で使用可能な光発生装置は市販の高圧水銀灯が適用可能で、通常100W〜1000Wのランプを用い光照射を行う。
【0022】
本発明に適用可能な溶剤は、反応に不活性でかつ光の吸収がないものであれば特に規定はないが、具体的には例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、反応に具するα−トリフルオロメチルアクリル酸エステル誘導体に対して、10〜1000重量倍量の範囲である。
【0023】
本発明の反応で使用するパーフルオロアルキルハライドの使用量は、反応に具するα−トリフルオロメチルアクリル酸エステル誘導体に対して等モル量の使用で実施可能であるが、反応を完結させるために、通常1.05〜1.50モル量を使用する。
【0024】
本発明の反応に使用する還元剤水溶液は、特に規定はないが、亜硫酸ナトリウム水溶液、亜硫酸水素ナトリウム水溶液、チオ硫酸ナトリウム水溶液等が使用可能で、通常1mmolの水溶液とし、反応に具するα−トリフルオロメチルアクリル酸エステル誘導体に対して、3〜10モル量を使用する。
【0025】
本発明の反応温度及び時間は、基質の種類、高圧水銀灯の能力によりことなるが、通常0〜30℃の温度範囲で2〜20時間の範囲で反応は完結する。
【実施例】
【0026】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0027】
実施例1 tert−ブチル[2-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]の調製
【0028】
【化3】

【0029】
パイレックスの容器にtert−ブチル(2−トリフルオロメチルアクリレート)(39.0mg,0.2mmol,1当量)、塩化メチレン(5ml)、トリデカフルオロヘキシルアイオダイド(90μL,0.4mmol,2当量)、チオ硫酸ナトリウム水溶液(チオ硫酸ナトリウム:158mg,水:1mL)を順に加えて蓋をし、よく攪拌した後、高圧水銀灯(460W)による光照射下反応を5時間行った。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出を行い、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過、濃縮を行い粗製物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行うことにより、目的物のtert−ブチル[2-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]を収率73%で得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ3.50(1H,m,C13CH),3.18(1H,m,C13CH),1.52(9H,s,tBu)。
【0030】
実施例2 tetr−ブチル[2-(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]の調製
【0031】
【化4】

【0032】
実施例1と同じ反応装置を用い、トリデカフルオロヘキシルアイオダイドに替えて、n−ヘプタフルオロプロピルアイオダイドを用いた以外、実施例1と同じ反応操作を行い、目的物のtetr−ブチル[2-(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]を収率56%で得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ3.46(1H,m,CCH),3.18(1H,m,CCH),1.52(9H,s,tBu)。
13C−NMR(150MHz,CDCl)δ163.8,124.5,122.7,85.5,40.5(t,JC-F=19.1Hz,C3F7),27.1。
【0033】
実施例3 tetr−ブチル[2-(2−トリフルオロメチル−2,3,3,3−テトラフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]の調製
【0034】
【化5】

【0035】
実施例1と同じ反応装置を用い、トリデカフルオロヘキシルアイオダイドに替えて、iso−ヘプタフルオロアイオダイドを用いた以外、実施例と同じ反応操作を行い、目的物のtetr−ブチル[2-(2−トリフルオロメチル−2,3,3,3−テトラフルオロプロピル)−3,3−ジフルオロアクリレート]を収率29%で得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ3.24(1H,m,CCH),2.994 (1H,m,CCH),1.52(9H,s,tBu)。
【0036】
実施例4 tetr−ブチル[2-(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]の調製
【0037】
【化6】

【0038】
実施例1と同じ反応装置を用い、トリデカフルオロヘキシルアイオダイドに替えて、トリフルオロメチルアイオダイドを用いた以外、実施例と同じ反応操作を行い、目的物のtetr−ブチル[2-(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,3−ジフルオロアクリレート]を収率57%で得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ3.43(1H,m,CFCH),3.27(1H,m,CFCH),1.511.52(9H,s,tBu)。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明により、医農薬の製造中間体、光学材料及び電子材料の合成原料として期待される新規な含フッ素アクリル酸エステル誘導体及びその工業的な製法を提案できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中Rは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基を示し、Rfはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又は炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のパーフルオロアルキル基を示す)
で表される含フッ素アクリル酸エステル誘導体。
【請求項2】
下記一般式(2)
【化2】

(式中Rは前記に同じ)
で表される、α−トリフルオロメチルアクリル酸エステル誘導体を光照射下、下記一般式(3)

Rf−X (3)

(式中Rfはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又は炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のパーフルオロアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す)
で表されるパーフルオロアルキルハライドと、反応させることを特徴とする請求項1に記載の一般式(1)で表される含フッ素アクリル酸エステル誘導体の製造方法。

【公開番号】特開2011−162509(P2011−162509A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29042(P2010−29042)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
【出願人】(305013910)国立大学法人お茶の水女子大学 (32)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】