説明

新規含窒素ヘテロサイクリック化合物

【解決手段】
下記一般式(I)
【化1】


[式中、各記号は明細書に記載の通り。]
で表される含窒素ヘテロサイクリック誘導体又はその水和物若しくは溶媒和物、及びそれを有効成分とするムスカリンM受容体拮抗剤。
【効果】
この化合物は選択的なムスカリンM受容体拮抗作用を有している。さらに、この化合物は代謝速度が速く、血漿中から速やかに消失し、ムスカリンM拮抗活性の弱い代謝物へと変換される。従って、心臓に対する副作用や口渇の少ない、呼吸器疾患、泌尿器疾患、消化器疾患又は中枢性疾患に対する予防又は治療剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品として有用な新規含窒素ヘテロサイクリック化合物に関する。より詳しくは、選択的なムスカリン受容体拮抗薬である新規含窒素ヘテロサイクリック化合物又はその薬理学的に許容される塩、その製造方法並びにそれを含有する医薬組成物及びそれを有効成分とするムスカリンM3受容体拮抗剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ムスカリン受容体には少なくとも3種のサブタイプがあり、M1受容体は脳に、M受容体は心臓に、M3受容体は平滑筋及び腺組織に存在することが知られている。
【0003】
ムスカリン受容体拮抗作用を有する医薬品は鎮痙作用、抗分泌作用を示すので、呼吸器、泌尿器又は消化器等の機能障害の治療薬として使用されており、アトロピン、ブチルスコポラミン、イプラトロピウム、チオトロピウム、オキシブチニン、プロパンテリン等の化合物が臨床で用いられている。しかしながら、これらはムスカリン受容体のM1、M2及びM3受容体に対してほぼ同様の親和性を有するため非選択的にアセチルコリンと拮抗することによる副作用を回避できないことが知られている。そのため、選択性の高いムスカリン受容体拮抗作用を有する医薬品、特にM2受容体が関与する心臓に対する副作用を示さない医薬品が望まれていた。また、ムスカリンM受容体拮抗作用に基づく口渇が臨床上問題とされているため、口渇抑制作用が弱い薬剤が望まれていた。
【0004】
本発明者らは選択的なムスカリンM3受容体拮抗作用を有するアミノシクロアルカン化合物(特許文献1;国際公開WO99/05095号公報)及びイミダゾール化合物(特許文献2;国際公開WO00/56718号公報)について特許出願をしている。本発明化合物と構造的に近似する化合物としては、WO00/56718記載の化合物
【0005】
【化1】

【0006】
[式中、Yは水素原子、シアノ基又はカルバモイル基であり、好ましくはカルバモイル基である。ZはCH基又は窒素原子であり、好ましくはCH基である。−A−B−は−CH2−CH2−基又は−CH=CH−基であり、好ましくは−CH2−CH2−基である。mは1又は2であり、好ましくは1である。nは0又は1であり、好ましくは0である。]
が挙げられ、心臓のムスカリン受容体よりも平滑筋のムスカリン受容体に対する選択性が高く、強力な拮抗作用を有することが開示されているものの、吸入投与での作用については何ら具体的に開示も示唆もされていない。また、本発明化合物については何ら具体的に開示も示唆もされていない。
【特許文献1】国際公開WO99/05095号公報
【特許文献2】国際公開WO00/56718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、含窒素ヘテロサイクリック化合物に着目し、鋭意研究を重ねた結果、一般式(I)
【0008】
【化2】

【0009】
[式中、Rは環上に置換基を有してもよいアリール基、Rは環上に置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい低級アルキル基又は置換基を有してもよいシクロアルキル基を表し、Rはニトリル基又はCONHR(Rは水素原子又は低級アルキル基を表す)を表し、Rは置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアラルキル基を表し、Rは水素原子又は低級アルキル基を表し、R、Rは水素原子又は低級アルキル基を表し、−A−B−は−CH−CH−、−C=C−、−C=N−又は−N=C−を表し、mとmの和は1から6の整数であり、nは1から10の整数であり、Zは陰イオンを表す]で表される含窒素ヘテロサイクリック誘導体又はその水和物若しくは溶媒和物が、ムスカリンM受容体に選択的な拮抗作用を有することから心臓での副作用が少なく安全であり、また、血漿中での代謝速度が速いことにより口渇作用が弱いことから、本化合物はムスカリンM受容体が関与する各種の疾患、例えば慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性気道閉塞、肺線維症、肺気腫、びまん性汎細気管支炎、気管支拡張症、特発性間質性肺炎及び鼻炎等の呼吸器疾患等、好ましくは、気流閉塞を伴う呼吸器疾患等の処置に極めて有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、本明細書において用いられる用語の意味を記載し、本発明について更に詳細に説明する。
【0011】
本発明において、アリール基、低級アルキル基、シクロアルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アラルキル基が有していても良い「置換基」とはハロゲン原子、低級アルキル基、アリール基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級アルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
【0012】
「アリール基」とは炭素数6から11のアリール基を意味し、具体的にはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0013】
「低級アルキル基」とは直鎖又は分枝状の炭素数1から6のアルキル基を意味し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
【0014】
「シクロアルキル基」とは炭素数3から8の脂環式炭化水素を意味し、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基が挙げられる。
【0015】
「低級アルケニル基」とは炭素数2から6の直鎖又は分枝状のアルケニル基を意味し、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−エチル−1−エテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、3−メチル−2−ブテニル基、4−ペンテニル基等が挙げられる。
【0016】
「低級アルキニル基」とは2から6の炭素数のアルキニル基を意味し、具体的には、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。
【0017】
「アラルキル基」とは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基等で置換されていても良いフェニル基に直鎖又は分枝状の炭素数1から6のアルキレン基が結合したものを意味し、具体的には、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
【0018】
「ハロゲン原子」とはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
【0019】
「低級アルコキシ基」とは直鎖又は分枝状の炭素数1から6のアルコキシ基であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、t-ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0020】
「陰イオン」とはハロゲン原子、無機酸、有機スルホン酸、カルボン酸等から形成される陰イオンを意味し、具体的には塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、トシル酸イオン、メシル酸イオン等が挙げられる。
【0021】
本発明化合物は水和物や溶媒和物も包含される。これらは周知の方法で得ることができる。また、本発明化合物は、その置換基の態様によって、光学異性体、ジアステレオ異性体、幾何異性体等の立体異性体又は互変異性体が存在する場合があるが、本発明化合物はこれら全ての光学異性体、互変異性体及びそれら混合物も本発明に包含する。
【0022】
本発明化合物(I)は、例えば下記の製造法又は実施例に示す方法等により製造することができる。ただし、本発明化合物(I)の製造法はこれら反応例に限定されるものではない。
製造法1
一般式(II)
【0023】
【化3】

【0024】
[式中、R、R、R、R、R、R、−A−B−、m又はmは前述の意味を有する]で表される化合物又はその塩と、一般式(III)
【0025】
【化4】

【0026】
[式中、Xは脱離基を意味し、R又はnは前述の意味を有する]で表される化合物とを反応させることにより、一般式(I)
【0027】
【化5】

【0028】
[式中、R、R、R、R、R、R、R、−A−B−、m、m、n又はZは前述の意味を有する]で表される化合物を製造することができる。
【0029】
一般式(II)で表される化合物の「塩」とは、塩基性窒素原子における酸付加塩を意味し、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、りん酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩、メタンスルホン酸塩、トシル酸塩等のスルホン酸塩等が挙げられる。
【0030】
一般式(III)で表される脱離基Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、p−トルエンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等のスルホニルオキシ基等が挙げられ、特に塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基が好ましい。
【0031】
一般式(II)で表される化合物又はその塩と一般式(III)で表される化合物との反応は、通常、反応に影響を与えない不活性溶媒中で行われる。不活性溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン溶媒、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、又はそれら混合溶媒等が挙げられ、特にテトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリルが好ましい。
【0032】
一般式(III)で表される化合物は、通常、化合物(II)1モルに対して、1モルから過剰モル、好ましくは1から10モル使用する。
【0033】
反応温度は、通常、室温から溶媒の沸点までの温度が用いられ、また反応時間は10分から48時間反応させるが、必要に応じてこれ以上又はこれ以下の条件を用いることもできる。
【0034】
上記反応を円滑に進めるために、上記反応は塩基の存在下に行うこともできる。
【0035】
当該塩基としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基又はトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7エン(DBU)等の有機塩基等が挙げられる。
【0036】
当該塩基は、通常、化合物(II)1モルに対して、1モルから過剰モル、好ましくは1から10モル使用する。
【0037】
反応終了後、通常の処理を行い、一般式(I)で表される化合物を得ることができる。
製造法2
一般式(IV)
【0038】
【化6】

【0039】
[式中、Xは脱離基を意味し、R、R、R、m又はmは前述の意味を有する]で表される化合物と、一般式(V)
【0040】
【化7】

【0041】
[式中R、R、R、R、−A−B−又はnは前述の意味を有する]で表される化合物又はその塩とを反応させることにより、一般式(I)
【0042】
【化8】

【0043】
[式中、R、R、R、R、R、R、R、−A−B−、m、m、n又はZは前述の意味を有する]で表される化合物を製造することができる。
【0044】
一般式(V)で表される化合物の「塩」とは、塩基性窒素原子における酸付加塩を意味し、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、りん酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩、メタンスルホン酸塩、トシル酸塩等のスルホン酸塩等が挙げられる。
【0045】
一般式(IV)で表される脱離基Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、p−トルエンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等のスルホニルオキシ基等が挙げられ、特に塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基が好ましい。
【0046】
一般式(IV)で表される化合物と一般式(V)で表される化合物又はその塩との反応は、通常、反応に影響を与えない不活性溶媒中で行われる。不活性溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン溶媒、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、又はそれら混合溶媒等が挙げられ、特にテトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリルが好ましい。
【0047】
一般式(V)で表される化合物は、通常、化合物(IV)1モルに対して、1モルから過剰モル、好ましくは1モルから10モル使用する。
【0048】
反応温度は、通常、室温から溶媒の沸点までの温度が用いられ、また反応時間は10分から48時間反応させるが、必要に応じてこれ以上又はこれ以下の条件を用いることもできる。
【0049】
上記反応を円滑に進めるために、上記反応は塩基の存在下に行うこともできる。
【0050】
当該塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基又はトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7エン(DBU)等の有機塩基等が挙げられる。
【0051】
当該塩基は、通常、化合物(II)1モルに対して、1モルから過剰モル、好ましくは1から10モル使用する。
【0052】
反応終了後、通常の処理を行い、一般式(I)で表される化合物を得ることができる。
【0053】
上記の方法で得られた一般式(I)で表される化合物又はその塩の単離・精製は、例えば、シリカゲル、吸着樹脂等を用いるカラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、溶媒抽出又は再結晶・再沈殿等の常用の分離手段を単独又は適宜組み合わせて行うことにより達成される。
【0054】
一般式(I)で表される化合物のZで表される陰イオンは、常用の手段により、別種の陰イオンへの変換を行うことが可能である。
【0055】
上記の陰イオンの変換法としては、例えば、ある種の陰イオンを有する一般式(I)で表される化合物を適当な担体で充填したカラムに吸着させ、これを過剰の所望の陰イオンを供給しうる酸の塩で処理した後、生成した所望の陰イオンを有する化合物を溶出する方法等が挙げられる。
【0056】
一般式(II)、(III)、(IV)又は(V)で表される化合物は、例えば、市販品を用いるか、公知の方法、文献記載の方法(国際公開WO00/56718号公報)又はこれらの方法に準じる方法、あるいは以下の方法又は実施例・参考例に記載する方法等により製造することができる。
【0057】
一般式(II)
【0058】
【化9】

【0059】
[式中、R、R、R、R、R、R、−A−B−、m又はmは前述の意味を有する]で表される化合物は以下に述べる方法により製造することができる。
製造法A
一般式(IV)
【0060】
【化10】

【0061】
[式中、R、R、R、m、m又はXは前述の意味を有する]で表される化合物と、一般式(VI)
【0062】
【化11】

【0063】
[式中、R、R、R又は−A−B−は前述の意味を有する]で表される化合物又はその塩とを反応させることにより一般式(II)で表される化合物を製造することができる。
【0064】
一般式(VI)で表される化合物の「塩」とは、塩基性窒素原子における酸付加塩を意味し、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、りん酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩、メタンスルホン酸塩、トシル酸塩等のスルホン酸塩等が挙げられる。
【0065】
一般式(IV)で表される化合物と一般式(VI)で表される化合物又はその塩との反応は、通常、反応に影響を与えない不活性溶媒中で行われる。不活性溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン溶媒、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、又はそれら混合溶媒等が挙げられ、特にテトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0066】
一般式(VI)で表される化合物は、通常、化合物(IV)1モルに対して、1モルから過剰モル、好ましくは1モルから10モル使用する。
【0067】
反応温度は、通常、室温から溶媒の沸点までの温度が用いられ、また反応時間は10分から48時間反応させるが、必要に応じてこれ以上又はこれ以下の条件を用いることもできる。
【0068】
上記反応を円滑に進めるために、上記反応は塩基の存在下に行うこともできる。
【0069】
当該塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基又はトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7エン(DBU)、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基等が挙げられる。
【0070】
当該塩基は、通常、化合物(VI)1モルに対して、1モルから過剰モル、好ましくは1から10モル使用する。
【0071】
反応終了後、通常の処理を行い、一般式(II)で表される化合物を得ることができる。
製造法B
一般式(VII)
【0072】
【化12】

【0073】
[式中、R、R又はRは前述の意味を有する]で表される化合物と、一般式(VIII)
【0074】
【化13】

【0075】
[式中、Xは脱離基を表し、R、R、R、−A−B−、m又はm前述に同じ]で表される化合物又はその塩とを塩基の存在下反応させることにより一般式(II)で表される化合物を製造することができる。
【0076】
一般式(VIII)で表される脱離基Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、p−トルエンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等のスルホニルオキシ基等が挙げられ、特に塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基が好ましい。
【0077】
一般式(VIII)で表される化合物の「塩」とは、塩基性窒素原子における酸付加塩を意味し、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、りん酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩、メタンスルホン酸塩、トシル酸塩等のスルホン酸塩等が挙げられる。
【0078】
当該塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基又はトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7エン(DBU)、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等の有機塩基等が挙げられる。
【0079】
当該塩基は、通常、化合物(VII)1モルに対して、0.001モルから過剰モル、好ましくは0.1モルから10モル使用する。
【0080】
一般式(VII)で表される化合物と一般式(VIII)で表される化合物又はその塩との反応は、通常、反応に影響を与えない不活性溶媒中で行われる。不活性溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン溶媒、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、又はそれら混合溶媒等が挙げられ、特にテトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0081】
一般式(VII)で表される化合物は、通常、化合物(VIII)1モルに対して、1モルから過剰モル、好ましくは1モル使用する。
【0082】
反応温度は、通常、室温から溶媒の沸点までの温度が用いられ、また反応時間は10分から48時間反応させるが、必要に応じてこれ以上又はこれ以下の条件を用いることもできる。
【0083】
反応終了後、通常の処理を行い、一般式(II)で表される化合物を得ることができる。
製造法C
一般式(II)
【0084】
【化14】

【0085】
[式中、R、R、R、R、R、R、−A−B−、m又はmは前述の意味を有する]で表される化合物において、−A−B−が−CH−CH−である場合、一般式(IX)
【0086】
【化15】

【0087】
[式中、R、R、R、R、R、R、m又はmは前述の意味を有する]で表される化合物をハロゲン化剤で処理することにより、一般式(II)[式中、−A−B−は−CH−CH−を表し、R、R、R、R、R、R、m又はmは前述の意味を有する]で表される化合物を製造することができる。
【0088】
当該ハロゲン化剤としては例えば、オキシ塩化リン、三塩化リン、スルホニルクロライド、オギザリルクロライド、四塩化炭素/トリフェニルホスフィン等のクロル化剤又はオキシ臭化リン、テトラブロモリン等のブロモ化剤が挙げられる。
【0089】
一般式(IX)で表される化合物とハロゲン化剤との反応は、無溶媒又は反応に影響を与えない不活性溶媒中で行われる。不活性溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン溶媒、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、又はそれら混合溶媒等が挙げられる。
【0090】
ハロゲン化剤は、通常、化合物(IX)1モルに対して、1モルから過剰モル、好ましくは1モルから10モル使用する。
【0091】
反応温度は、通常、室温から溶媒の沸点までの温度が用いられ、また反応時間は10分から48時間反応させるが、必要に応じてこれ以上又はこれ以下の条件を用いることもできる。
【0092】
反応終了後、通常の処理を行い、一般式(II)で表される化合物を得ることができる。
【0093】
上記の方法で得られた一般式(II)で表される化合物又はその塩の単離・精製は、例えば、シリカゲル、吸着樹脂等を用いるカラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、溶媒抽出又は再結晶・再沈殿等の常用の分離手段を単独又は適宜組み合わせて行うことにより達成される。
【0094】
本発明化合物を医薬として用いる場合、本発明化合物を製薬上許容しうる担体(賦形剤、結合剤、崩壊剤等)と混合して得られる医薬組成物あるいは製剤(例えば、錠剤、液剤等)の形態で経口的又は非経口的に投与することができる。医薬組成物は通常の方法に従って製剤化することができる。
【0095】
投与量は、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組合せ、患者のその時に治療を行っている病状の程度に応じ、それらあるいはその他の要因を考慮して決められる。本発明化合物は、低毒性で安全に使用することができ、その1日の投与量は、患者の状態や体重、化合物の種類、投与経路等によって異なるが、例えば、経口的には0.01〜1000mg/kg体重/日であり、一日1〜数回に分けて投与され、また非経口的には約0.01〜100mg/kg体重/日を一日1〜数回に分けて投与するのが好ましい。
【発明の効果】
【0096】
本化合物は呼吸器疾患、泌尿器疾患、消化器疾患又は中枢性疾患に対する予防又は治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0097】
実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0098】
参考例1
((3−オキソ)シクロペンチル)ジフェニルアセトニトリル
アルゴン気流下、ジフェニルアセトニトリル(98.6g)、2−シクロペンテン−1−オン(41.9ml)のTHF(1l)溶液に−10℃でt−ブトキシカリウム(0.56g)を加え、30分間撹拌した。反応混合物に6規定塩酸(0.83ml)を加え、減圧下溶媒を留去し、得られた残留物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた残留物にイソプロピルエーテル(250ml)を加え、析出物をろ取、乾燥して、表題化合物を白色結晶性粉末として122g(収率88%)得た。
【0099】
H−NMR(CDCl,δPPM):2.00(2H,m),2.49−2.16(4H,m),3.36(1H,m),7.51−7.29(10H,m)。
【0100】
参考例2
(シス−(3−ヒドロキシ)シクロペンチル)ジフェニルアセトニトリル
参考例1より得られた((3−オキソ)シクロペンチル)ジフェニルアセトニトリル(22.0g)のメタノール(150ml)懸濁液に氷冷下、水素化ホウ素ナトリウム(3.09g)を加え、1.5時間攪拌後氷浴を取り去り、室温下一晩放置した。氷、続いて6規定塩酸(5ml)を加えた後、減圧下に溶媒を濃縮し、残留物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄、無水炭酸カリウムにて乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、無色結晶性粉末として表題化合物を22.3g(収率定量的)得た。
【0101】
H−NMR(CDCl,δPPM):1.54−1.89(5H,m),2.07−2.17(1H,m),3.07−3.13(1H,m),4.27−4.33(1H,m),7.23−7.37(6H,m),7.43−7.46(4H,m)。
【0102】
参考例3
パラ−トルエンスルホン酸(トランス−3−(シアノ(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)エステル
アルゴン雰囲気下、参考例2より得られた(シス−(3−ヒドロキシ)シクロペンチル)ジフェニルアセトニトリル(15.4g:55.6mmol)、トリフェニルホスフィン(21.0g:80.1mmol)、パラ−トルエンスルホン酸メチルエステル(12.1ml:80.1mmol)のテトラヒドロフラン(240ml)溶液中にアゾジカルボン酸ジエチルエステル(14.5ml:92.4mmol)を−10℃で滴下し、0℃以下で2時間攪拌後、室温下14時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)にて精製し、油状物を得た。この油状物にイソプロピルエーテルを加えて結晶化させ、表題化合物を白色結晶性粉末として16.7g(収率70%)得た。
【0103】
H−NMR(CDCl,δPPM):1.56−2.14(6H,m),2.43(3H,s),3.28−3.52(1H,m),4.88−5.06(1H,m),7.10−7.54(12H,m),7.76(2H,brd,J=8.25Hz)。
【0104】
参考例4
(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトニトリル
参考例3より得られたパラ−トルエンスルホン酸(トランス−3−(シアノ(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)エステル(66.0g:0.15mol)、2−メチルイミダゾール(25.5g:0.31mol)、炭酸カリウム(23.2g:0.17mol)のアセトニトリル(300ml)懸濁液を加熱還流下、16時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、水を加え、酢酸エチルで抽出し、次いで有機層を2回水洗した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=20/1−10/1)にて精製し、表題化合物を淡褐色油状物として36.3g(収率69%)得た。
【0105】
H−NMR(CDCl,δPPM):1.62−2.07(4H,m),2.11−2.47(5H,m),3.32−3.55(1H,m),4.57−4.73(1H,m),6.88(1H,brs),6.92(1H,brs),7.14−7.58(10H,m)
MS(ESI)m/z:342(MH)
【0106】
参考例5
(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトアミド
参考例4より得られた(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトニトリル(36.3g:0.11mol)に70%硫酸水溶液(57ml)を加え、140℃で4時間攪拌した。冷却後反応液に水酸化ナトリウム水溶液を加え塩基性とした後、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた濃縮物にアセトン(75ml)を加え、加熱還流中攪拌した。室温まで放冷し、生じた析出物をろ過し、表題化合物を白色結晶性化合物として18.5g(48%)得た。
【0107】
H−NMR(CDCl,δPPM):1.52−2.14(6H,m),2.21(3H,s),3.55−3.77(1H,m),3.83−4.10(1H,m),5.44(2H,brs),6.90(1H,brs),6.96(1H,brs),7.15−7.49(10H,m)
MS(ESI)m/z:360(MH)
【0108】
参考例6
3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−カルボキシメチル−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド
参考例5より得られた(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトアミド(0.36g:1.00mmol)、ブロモ酢酸p−ニトロフェニル(2.60g:0.01mol)を用い、実施例10と同様の方法にて表題化合物を白色結晶性化合物として0.07g(収率13%)得た。
【0109】
H−NMR(DMSO−d6,δPPM):1.30−1.49(3H,m),1.99−2.06(2H,m),2.41−2.46(1H,m),2.54(3H,s),3.59−3.66(1H,m),4.80−4.84(1H,m),5.04(2H,s),6.75(1H,brs),6.95(1H,d,J=1.9Hz),7.19(1H,brs),7.28−7.51(10H,m),7.54(1H,d,J=1.9Hz),13.70(1H,brs)
MS(ESI)m/z:418[M]
【0110】
実施例1
1−ベンジルオキシカルボニルメチル−3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド
参考例5より得られた(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトアミド(0.30g:0.83mmol)、ブロモ酢酸ベンジル(0.20ml)のアセトン(3ml)溶液を加熱還流下、16時間攪拌した。室温まで冷却した後、析出物をろ取し、表題化合物を白色結晶性化合物として0.48g(収率98%)得た。
【0111】
H−NMR(DMSO−d6,δPPM):1.21−1.55(3H,m),1.91−2.12(2H,m),2.36−2.46(1H,m),2.56(3H,s),3.60−3.73(1H,m),4.77−4.89(1H,m),5.20(2H,brs),5.25(2H,brs),6.75(1H,brs),6.98(1H,brs),7.20(1H,brs),7.25−7.45(15H,m),7.56(1H,brs)
MS(ESI)m/z:508[M]
【0112】
実施例2
3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−エトキシカルボニルメチル−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド
参考例5より得られた(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトアミド(0.30g:0.83mmol)、ブロモ酢酸エチル(0.20ml)を用い、実施例1と同様の方法にて表題化合物を白色結晶性化合物として0.28g(収率64%)得た。
【0113】
H−NMR(DMSO−d6,δPPM):1.22(3H,t,J=7.0Hz),1.25−1.55(3H,m),1.93−2.13(2H,m),2.35−2.47(1H,m),2.56(3H,s),3.59−3.70(1H,m),4.14−4.24(2H,m),4.76−4.89(1H,m),5.16(2H,brs),6.75(1H,brs),6.98(1H,brs),7.19(1H,brs),7.23−7.39(10H,m),7.55(1H,d,J=1.6Hz)
MS(ESI)m/z:446[M]
【0114】
実施例3
3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−2−メチル−1−プロポキシカルボニルメチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド
参考例5より得られた(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトアミド(0.30g:0.83mmol)、ブロモ酢酸プロピル(0.20ml)を用い、実施例1と同様の方法にて表題化合物を白色結晶性化合物として0.31g(収率68%)得た。
【0115】
H−NMR(DMSO−d6,δPPM):0.83−0.93(3H,m),1.23−1.54(3H,m),1.55−1.66(2H,m),1.92−2.15(2H,m),2.36−2.46(1H,m),2.56(3H,s),3.58−3.73(1H,m),4.09(2H,t,J=6.4Hz),4.75−4.89(1H,m),5.19(2H,brs),6.75(1H,brs),6.98(1H,d,J=2.0Hz),7.20(1H,brs),7.23−7.39(10H,m),7.56(1H,brs)
MS(ESI)m/z:460[M]
【0116】
実施例4
1−t−ブトキシカルボニルメチル−3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド
参考例5より得られた(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトアミド(0.30g:0.83mmol)、ブロモ酢酸t−ブチル(0.20ml)を用い、実施例1と同様の方法にて表題化合物を白色結晶性化合物として0.18g(収率40%)得た。
【0117】
H−NMR(DMSO−d6,δPPM):1.23−1.55(3H,m),1.43(9H,s),1.93−2.13(2H,m),2.36−2.47(1H,m),2.54(3H,s),3.58−3.70(1H,m),4.77−4.87(1H,m),5.07(2H,brs),6.75(1H,brs),6.97(1H,brs),7.20(1H,brs),7.23−7.38(10H,m),7.56(1H,brs)
MS(ESI)m/z:474[M]
【0118】
実施例5
3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−(5−エトキシカルボニルペンチル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド
参考例5より得られた(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトアミド(0.30g:0.83mmol)、6−ブロモヘキサン酸エチル(0.20ml)を用い、実施例1と同様の方法にて表題化合物を白色結晶性化合物として0.30g(収率52%)得た。
【0119】
H−NMR(DMSO−d6,δPPM):1.10−1.19(3H,m),1.20−1.59(7H,m),1.61−1.73(2H,m),1.90−2.10(2H,m),2.22−2.32(2H,t,J=7.3Hz),2.34−2.46(1H,m),2.57(3H,s),3.58−3.73(1H,m),3.95−4.10(4H,m),4.71−4.83(1H,m),6.75(1H,brs),6.92(1H,brs),7.18(1H,brs),7.23−7.38(10H,m),7.58(1H,d,J=2.0Hz)
MS(ESI)m/z:502[M]
【0120】
実施例6
3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−(4−エトキシカルボニルブチル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド
参考例5より得られた(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトアミド(0.30g:0.83mmol)、5−ブロモ吉草酸エチル(0.20ml)を用い、実施例1と同様の方法にて表題化合物を白色結晶性化合物として0.14g(収率29%)得た。
【0121】
H−NMR(DMSO−d6,δPPM):1.13−1.20(3H,m),1.24−1.56(5H,m),1.64−1.75(2H,m),1.91−2.10(2H,m),2.32(2H,t,J=7.3Hz),2.36−2.46(1H,m),2.57(3H,s),3.60−3.72(1H,m),3.99−4.11(4H,m),4.70−4.83(1H,m),6.75(1H,brs),6.92(1H,d,J=1.8Hz),7.18(1H,brs),7.23−7.39(10H,m),7.58(1H,brs)
MS(ESI)m/z:488[M]
【0122】
実施例7
3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−イソプロポキシカルボニルメチル−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド
参考例5より得られた(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトアミド(0.30g:0.83mmol)、ブロモ酢酸イソプロピル(0.20ml)を用い、実施例1と同様の方法にて表題化合物を白色結晶性化合物として0.26g(収率58%)得た。
【0123】
H−NMR(DMSO−d6,δPPM):1.22(6H,d,J=6.2Hz),1.25−1.56(3H,m),1.92−2.14(2H,m),2.36−2.46(1H,m),2.55(3H,s),3.60−3.73(1H,m),4.76−4.88(1H,m),4.92−5.04(1H,m),5.14(2H,brs),6.75(1H,brs),6.98(1H,d,J=2.1Hz),7.20(1H,brs),7.24−7.38(10H,m),7.55(1H,d,J=2.1Hz)
MS(ESI)m/z:460[M]
【0124】
実施例8
3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−(3−エトキシカルボニルプロピル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド
参考例5より得られた(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトアミド(0.30g:0.83mmol)、4−ブロモ酪酸エチル(0.20ml)を用い、実施例1と同様の方法にて表題化合物を白色結晶性化合物として0.04g(収率8.5%)得た。
【0125】
H−NMR(DMSO−d6,δPPM):1.12−1.20(3H,m),1.24−1.50(3H,m),1.87−2.10(4H,m),2.30−2.46(3H,m),2.57(3H,s),3.58−3.70(1H,m),3.95−4.10(4H,m),4.69−4.80(1H,m),6.75(1H,brs),6.91(1H,brs),7.19(1H,brs),7.22−7.42(10H,m),7.57(1H,d,J=1.8Hz)
MS(ESI)m/z:474[M]
【0126】
実施例9
3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−(10−メトキシカルボニルデシル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド
参考例5より得られた(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトアミド(0.30g:0.83mmol)、10−ブロモデカン酸メチル(0.20ml)を用い、実施例1と同様の方法にて表題化合物を白色結晶性化合物として0.15g(収率28%)得た。
【0127】
H−NMR(DMSO−d6,δPPM):1.14−1.55(17H,m),1.56−1.72(2H,m),1.90−2.11(2H,m),2.28(2H,t,J=7.3Hz),2.34−2.46(1H,m),2.57(3H,s),3.57(3H,s),3.60−3.72(1H,m),4.02(2H,t,J=7.3Hz),4.70−4.83(1H,m),6.75(1H,brs),6.92(1H,brs),7.18(1H,brs),7.22−7.40(10H,m),7.58(1H,brs)
MS(ESI)m/z:558[M]
【0128】
実施例10
3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−メトキシカルボニルメチル−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド
参考例5より得られた(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトアミド(0.36g:1mmol)、ブロモ酢酸メチル(1.5g:10mmol)のテトラヒドロフラン(4ml)溶液を加熱還流下、16時間攪拌した。室温まで冷却した後、析出物をろ取し、表題化合物を白色結晶性化合物として0.17g(収率34%)得た。
【0129】
H−NMR(DMSO−d6,δPPM):1.32−1.51(3H,m),1.95−2.00(1H,m),2.05−2.09(1H,m),2.39−2.46(1H,m),2.56(3H,s),3.66−3.73(1H,m),3.74(3H,s),4.81−4.85(1H,m),5.16(2H,s),6.75(1H,brs),6.98(1H,d,J=2.1Hz),7.20(1H,brs),7.27−7.35(10H,m),7.54(1H,d,J=2.1Hz)
MS(ESI)m/z:432[M]
【0130】
実施例11
3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−(4−メトキシカルボニルブチル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド
参考例5より得られた(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトアミド(0.36g:1mmol)、5−ブロモ吉草酸メチル(1.9g:10mmol)を用い、実施例10と同様の方法にて表題化合物を白色結晶性化合物として0.10g(収率18%)得た。
【0131】
H−NMR(DMSO−d6,δPPM):1.29−1.53(5H,m),1.65−1.70(2H,m),1.94−2.06(2H,m),2.32−2.44(3H,m),2.57(3H,s),3.58(3H,s),3.63−3.68(1H,m),4.02−4.06(2H,m),4.74−4.78(1H,m),6.75(1H,brs),6.92(1H,d,J=2.1Hz),7.18(1H,brs),7.26−7.35(10H,m),7.58(1H,d,J=2.1Hz)
MS(ESI)m/z:474[M]
【0132】
実施例12
3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−2−メチル−1−フェノキシカルボニルメチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド
参考例5より得られた(シス−3−(2−メチルイミダゾール−1−イル)シクロペンチル)ジフェニルアセトアミド(0.36g:1mmol)、ブロモ酢酸フェニル(2.2g:10mmol)を用い、実施例10と同様の方法にて表題化合物を白色結晶性化合物として0.07g(収率12%)得た。
【0133】
H−NMR(DMSO−d6,δPPM):1.30−1.49(3H,m),1.96−2.09(2H,m),2.42−2.45(1H,m),2.65(3H,s),3.64−3.68(1H,m),4.82−4.87(1H,m),5.45(2H,s),6.75(1H,brs),7.02(1H,d,J=2.2Hz),7.20−7.35(14H,m),7.44−7.48(2H,m),7.64(1H,d,J=2.2Hz)
MS(ESI)m/z:494[M]
以下に、参考例及び実施例で得た化合物を示す。
【0134】
【化16】

【0135】
【化17】

試験例1.摘出モルモット気管に対するムスカリンM3拮抗作用
ハートレイ系雄性モルモット(350〜600g)を脱血致死させた後に気管を摘出し、気管軟骨2個間隔で切断して標本とした。この標本を37℃で保温し、95%O2−5%CO2を通じたインドメタシン(1μM)を含むクレブス炭酸緩衝液で満たした5mLマグヌス槽に静止張力1gで懸垂し、60分間の安定期間をおいた。カルバコールによる収縮反応には累積法を用い、1濃度7分間隔で10-8Mより公比3で等尺性に測定した。測定後は速やかに標本を洗浄し、次の収縮反応まで60分間の安定期間をおき、カルバコールによる収縮反応のEC50が安定した時点をコントロールとした。また被験化合物は、カルバコ−ル添加の15分前に適用した。なお、被験化合物の親和性(pA2)は、シルド法(Arunlakshana、 O. and SchIld、 H. O.: BrIt.J. phrmacol.、 1959、 14、 48−58)により求めた。結果を表1に示す。なお、表中のイプラトロピウム及びアトロピンはSIGMA社製の試薬であり、購入した試薬を用いて試験を行った。
【0136】
試験例2.摘出モルモット左心房に対するムスカリンM2拮抗作用
ハートレイ系モルモット(350〜600g)を脱血致死させた後に左心房を摘出し、標本とした。この標本を37℃で保温し、95%O2−5%CO2を通じたクレブス炭酸緩衝液で満たした10mLマグヌス槽に静止張力0.5gで懸垂した。その後、フィールド電気刺激(4Hz、2msec、1.5×閾値電圧)による収縮を測定した。60分間の安定期間をおいた後、カルバコ−ルによる収縮抑制反応は累積法を用いて1濃度90秒間隔で10-8Mより公比3で等尺性に測定した。測定後は速やかに標本を洗浄し、次の抑制反応まで45分間の安定期間をおいた。なお、カルバコールによる収縮抑制反応のEC50が安定した時点をコントロールとし、被験化合物はカルバコ−ル添加の30分前に適用した。被験化合物の親和性(pA2)は、気管の場合と同様にして求めた。
【0137】
結果を表1に示す。なお、表中のイプラトロピウム及びアトロピンはSIGMA社製の試薬であり、購入した試薬を用いて試験を行った。
【0138】
【表1】

【0139】
試験例3.モルモット肝ミクロソームを用いた代謝安定性試験
100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中にモルモット肝ミクロソーム(日本農産工業)、NADPH産生試薬(オリエンタル酵母)および被験化合物(2μM)を添加した後に37℃で10分間インキュベーションを行った。この試料中の未変化体残存量をLC/MS/MSで測定し,残存率(%)を算出した.
結果を表2に示す。
【0140】
【表2】

【0141】
試験例4.モルモットでの薬物動態学的解析
ハートレイ系雄性モルモット(350〜600g)の陰茎静脈より被験化合物(100μg/kg)を静脈内投与し、ヘパリン処理をした注射器を用いて心臓穿刺法により経時的に血液を採取した。採取した血液は15,000回転、10分間、4℃にて遠心分離し、血漿画分を採取した。この試料より蛋白成分を除去した後に、被験化合物濃度をLC/MS/MSで測定し、T1/2(生物学的半減期)を算出した。
結果を表3に示す。
【0142】
【表3】

【0143】
試験例5.吸入投与によるモルモット気道収縮に対する試験
コンゼットらの方法(Arch.Exp.Path Pharmak.、 1940、195、 71−74)に準拠した。ハートレイ系雄性モルモット(350〜600g)をウレタン(1.8g/kg、 i.p.)で麻酔した後に左側頸静脈に薬物投与用カニューレを挿入した。デカメトニウム(2mg/kg、i.v.)により不動化した後に気管カニューレを挿入し、人工呼吸器(Harvard社)により調節呼吸を行った。気道収縮は差圧トランスデューサー(日本光電社) を介して気道内圧の変化として測定した。被験化合物は切開した気管よりモルモット用液体気管内投与用器具(Penn Century社)を用いて投与した。その後,アセチルコリン(4μg/kg、i.v.)を投与して気道収縮を誘発し、気道収縮の抑制率(%)を3時間後まで経時的に観察し、3時間後においても完全に気道収縮を抑制する被験化合物の用量を求めた。結果を表4に示す。
【0144】
試験例6.吸入投与によるモルモット唾液分泌に対する試験
ハートレイ系雄性モルモット(350〜600g)をウレタン(1.8g/kg、 i.p.)で麻酔した後に左側頸静脈に薬物投与用カニューレを挿入した。被験化合物は切開した気管よりモルモット用液体気管内投与用器具を用いて投与した。その後メサコリン(4μg/kg、i.v.)を投与し、唾液分泌を誘発した。メサコリン投与直後より5分間、綿球を用いて唾液分泌量を測定した。対照群の分泌唾液量に対する抑制率を求め、対照群の分泌唾液量を50%抑制する被験化合物の用量をID50値とした。結果を表4に示す。
【0145】
【表4】

【0146】
表2、3で示したように実施例2、3が素早く代謝される事、また、表4に示したように、気管内投与で評価した気道収縮で強い活性を保持しながら、唾液分泌への影響が少ない事から、実施例2、3が血中で加水分解され生じると推察された参考例6について、試験例1に方法に準じて「摘出モルモット気管に対するムスカリンM3拮抗作用」のIC50値を算出した結果、実施例2、3、参考例6が、それぞれ16nM、16nMおよび794nMであった。
【0147】
この事から実施例に示す化合物が代謝を受けて加水分解するとムスカリンM拮抗活性が50分の1程度に減弱することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0148】
表1に示した実施例2、3に代表される化合物(I)は、参考例5と同等のムスカリンM拮抗活性を有し、かつ、ムスカリンM2受容体とM3受容体に対するpA2値の差が1以上という受容体選択性を保持している。また、表2に示したIn vitro試験の結果から化合物(I)は参考例に示す化合物群に比して代謝速度が速いことが示された。その活性が動物個体の血漿中の代謝速度に反映するか確認したところ、表3に示したようにIn vivoでの薬物動態学的パラメーター解析において、血漿中からの消失が早いことが確認された。さらに、動物モデルを用いた試験例6から化合物(I)の口渇作用が弱いことが明らかとなった。すなわち、化合物(I)は全身血流において代謝を受け、ムスカリンM拮抗活性が減弱しているものと考えられる。これは、化合物(I)は、(例えば実施例2が、血漿中などで加水分解され参考例6の構造になって、M拮抗活性を50分の1程度と大きく失ったように)血中で素早く加水分解を受けて未変化体が消失し、M拮抗活性の弱い構造に変換される事でM拮抗作用に基づく全身の副作用を減弱させる事ができる事を示している。
【0149】
従って、化合物(I)は心臓においてより副作用を発現しにくく安全で、かつ、口渇の少ないムスカリンM3受容体拮抗薬を提供できるものと考えられる。
【0150】
以上のように、本発明化合物はムスカリンM3受容体が関与する疾患、特に、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性気道閉塞、肺線維症、肺気腫、びまん性汎細気管支炎、気管支拡張症、特発性間質性肺炎及び鼻炎等の呼吸器疾患、好ましくは、気流閉塞を伴う呼吸器疾患に対する予防又は治療剤として有用である。さらには、本発明化合物が有する薬理活性から類推し、神経性頻尿、神経因性膀胱、夜尿症、不安定膀胱、膀胱痙縮、慢性膀胱炎、間質性膀胱炎における尿失禁及び/又は頻尿等の泌尿器疾患;過敏性腸症候群、痙性大腸炎、憩室炎、機能性下痢、食道無弛緩症、噴門痙攣、胆道の痙攣等の消化器疾患;薬剤投与に起因する悪心及び嘔吐、動揺病、メニュエール病等の中枢性疾患に対する予防又は治療剤として有用である可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)



[式中、Rは環上に置換基を有してもよいアリール基、Rは環上に置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい低級アルキル基又は置換基を有してもよいシクロアルキル基を表し、Rはニトリル基又はCONHR(Rは水素原子又は低級アルキル基を表す)を表し、Rは置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアラルキル基を表し、Rは水素原子又は低級アルキル基を表し、R、Rは水素原子又は低級アルキル基を表し、−A−B−は−CH−CH−、−C=C−、−C=N−又は−N=C−を表し、mとmの和は1から6の整数であり、nは1から10の整数であり、Zは陰イオンを表す]で表される含窒素ヘテロサイクリック誘導体又はその水和物若しくは溶媒和物。
【請求項2】
、Rがフェニル基であり、Rがニトリル基又はCONH基であり、Rが水素原子又は低級アルキル基であり、R、Rが水素原子又は低級アルキル基であり、mが1又は2、mが2又は3の整数である請求項1記載の含窒素ヘテロサイクリック誘導体又はその水和物若しくは溶媒和物。
【請求項3】
、Rがフェニル基であり、Rがニトリル基又はCONH基であり、Rが水素原子又は低級アルキル基であり、R、Rが水素原子又は低級アルキル基であり、mが1、mが2の整数である請求項1記載の含窒素ヘテロサイクリック誘導体又はその水和物若しくは溶媒和物。
【請求項4】
が置換基を有していても良い低級アルキル基、置換基を有していても良い低級アルコキシ基、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良いアラルキル基である請求項2又は3記載の含窒素ヘテロサイクリック誘導体又はその水和物若しくは溶媒和物。
【請求項5】
一般式が、1−ベンジルオキシカルボニルメチル−3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド、3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−エトキシカルボニルメチル−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド、3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−2−メチル−1−プロポキシカルボニルメチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド、1−t−ブトキシカルボニルメチル−3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド、3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−(5−エトキシカルボニルペンチル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド、3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−(4−エトキシカルボニルブチル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド、3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−イソプロポキシカルボニルメチル−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド、3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−(3−エトキシカルボニルプロピル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド、3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−(10−メトキシカルボニルデシル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド、3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−メトキシカルボニルメチル−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド、3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−(4−メトキシカルボニルブチル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド、3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−2−メチル−1−フェノキシカルボニルメチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイド又は3−(シス−3−(カルバモイル(ジフェニル)メチル)シクロペンチル)−1−(3−メトキシカルボニルプロピル)−2−メチル−3H−イミダゾール−1−イウム ブロマイドである請求項1乃至4記載の含窒素ヘテロサイクリック誘導体又はその水和物若しくは溶媒和物。
【請求項6】
一般式(I)



[式中、Rは環上に置換基を有してもよいアリール基、Rは環上に置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい低級アルキル基又は置換基を有してもよいシクロアルキル基を表し、Rはニトリル基又はCONHR(Rは水素原子又は低級アルキル基を表す)を表し、Rは置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアラルキル基を表し、Rは水素原子又は低級アルキル基を表し、R、Rは水素原子又は低級アルキル基を表し、−A−B−は−CH−CH−、−C=C−、−C=N−又は−N=C−を表し、mとmの和は1から6の整数であり、nは1から10の整数であり、Zは陰イオンを表す]で表される含窒素ヘテロサイクリック誘導体又はその水和物若しくは溶媒和物及び薬剤上許容される担体を含有する医薬組成物。
【請求項7】
、Rがフェニル基であり、Rがニトリル基又はCONH基であり、Rが水素原子又は低級アルキル基であり、R、Rが水素原子又は低級アルキル基であり、mが1又は2、mが2又は3の整数である請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
、Rがフェニル基であり、Rがニトリル基又はCONH基であり、Rが水素原子又は低級アルキル基であり、R、Rが水素原子又は低級アルキル基であり、mが1、mが2の整数である請求項6記載の医薬組成物。
【請求項9】
が置換基を有していても良い低級アルキル基、置換基を有していても良い低級アルコキシ基、置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良いアラルキル基である請求項6乃至8記載の医薬組成物。
【請求項10】
ムスカリンM受容体が関与する疾患に対する予防又は治療剤である請求項6乃至9記載の医薬組成物。
【請求項11】
呼吸器疾患、泌尿器疾患、消化器疾患又は中枢性疾患に対する予防又は治療剤である請求項6乃至9記載の医薬組成物。
【請求項12】
呼吸器疾患が慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性気道閉塞、肺線維症、肺気腫、びまん性汎細気管支炎、気管支拡張症、特発性間質性肺炎又は鼻炎である請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
泌尿器疾患が神経性頻尿、神経因性膀胱、夜尿症、不安定膀胱、膀胱痙縮、慢性膀胱炎、間質性膀胱炎における尿失禁及び/又は頻尿である請求項11記載の医薬組成物。
【請求項14】
消化器疾患が過敏性腸症候群、痙性大腸炎、憩室炎、機能性下痢、食道無弛緩症、噴門痙攣又は胆道の痙攣である請求項11記載の医薬組成物。
【請求項15】
中枢性疾患が薬剤投与に起因する悪心若しくは嘔吐、動揺病又はメニュエール病である請求項11記載の医薬組成物。
【請求項16】
一般式(I)



[式中、Rは環上に置換基を有してもよいアリール基、Rは環上に置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい低級アルキル基又は置換基を有してもよいシクロアルキル基を表し、Rはニトリル基又はCONHR(Rは水素原子又は低級アルキル基を表す)を表し、Rは置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアラルキル基を表し、Rは水素原子又は低級アルキル基を表し、R、Rは水素原子又は低級アルキル基を表し、−A−B−は−CH−CH−、−C=C−、−C=N−又は−N=C−を表し、mとmの和は1から6の整数であり、nは1から10の整数であり、Zは陰イオンを表す]で表される含窒素ヘテロサイクリック誘導体又はその水和物若しくは溶媒和物を有効成分とするムスカリンM受容体拮抗薬。

【公開番号】特開2007−31325(P2007−31325A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215147(P2005−215147)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000006725)三菱ウェルファーマ株式会社 (92)
【Fターム(参考)】