説明

新規(オキソジオキソレニル)メチル化剤およびその製造方法

【課題】
遺伝毒性が疑われる化合物を副生することなく(オキソジオキソレニル)メチル基を第1級、第2級アミンおよびカルボン酸に導入することができる製造方法の提供。
【解決手段】
下記式(1)で表される化合物と下記式(2)で表される化合物を反応する、下記式(3)で表される化合物の製造方法(式中、Rは、水素原子、C1−6アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基であり、Rは、ハロゲン原子、トリクロロメチルエーテル基、1−クロロエチルエーテル基等であり、R3aは、水素原子、ハロゲン原子、またはC1−6アルキル基であり、R3b、R3cおよびR3dは、各々独立して、水素原子、またはC1−6アルキル基であり、mは、0等であり、nは、0等であり、pおよびqは、0等である。)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品化合物として有用な置換基である(オキソジオキソレニル)メチル基を、遺伝毒性が疑われる副生成物を伴うことなく導入することが可能となる新規(オキソジオキソレニル)メチル化剤およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、抗菌剤や血圧降下剤など第1級、第2級アミンおよびカルボン酸に(オキソジオキソレニル)メチル基が導入された化合物が有用な医薬品として数多く知られている。
一般的に(オキソジオキソレニル)メチル基を導入する前駆体として(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソ-4-イル)メチル4-ニトロフェニルカーボネートが用いられる(非特許文献1)。しかし、本化合物は副生成物として等モル量のp-ニトロフェノールを生じる。p-ニトロフェノールは遺伝毒性が疑われる物質であり、特に医薬品においては安全性の観点から、その含有量に厳格な管理が求められるため、その除去方法が大きな課題に挙げられる。
【0003】
その除去方法としては、主に再結晶あるいはカラムクロマトグラフィーが挙げられる。医薬品の精製方法としては一般的に再結晶が用いられるが、遺伝毒性物質に対する厳格な管理値を達成するためには複数回の再結晶が必要となる場合がある。したがって、いずれの精製方法を用いても多大な時間と資材を必要とし、また収率の低下を招く可能性がある。加えて、その管理値を達成していることを証明するためには極微量成分を分析する方法を開発する必要もある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Journal of Medicinal Chemistry (1996), 39(2), 480-486頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは新規な(オキソジオキソレニル)メチル化剤を創製するために鋭意検討した結果、遺伝毒性が疑われる副生成物を生じることなく、且つその副生成物の除去が容易な新規な(オキソジオキソレニル)メチル化剤を見出した。すなわち、本発明が解決しようとする課題は、遺伝毒性が疑われる副生成物を生じることなく、且つその副生成物は除去が容易である新規な(オキソジオキソレニル)メチル化剤及びその製造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
項1:下記式(1)
【0007】
【化1】

で表わされる化合物(式中、Rは、水素原子、C1−6アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基である。)と、下記式(2)
【0008】
【化2】

で表わされる化合物(式中、Rは、ハロゲン原子、トリクロロメチルエーテル基、1−クロロエチルエーテル基、または下記式(a)〜(e)からなる群
【0009】
【化3】

から選択されるいずれか一つの基である(ここにおいて、R3aは、水素原子、ハロゲン原子、またはC1−6アルキル基であり、R3b、R3cおよびR3dは、各々独立して、水素原子、またはC1−6アルキル基であり、mは、0、1、2、3または4であり、nは、0、1、2または3であり、pおよびqは、0、1または2である。)。)を反応する、下記式(3)で表わされる化合物
【0010】
【化4】

(式中の記号は、前記と同じである。)の製造方法。
【0011】
項2:Rが、水素原子である、項1に記載の製造方法。
【0012】
項3:Rが、C1−6アルキル基である、項1に記載の製造方法。
【0013】
項4:Rが、メチル基である、項2に記載の製造方法。
【0014】
項5:Rが、下記式(a)
【0015】
【化5】

で表わされる化合物である、項1〜項4のいずれか一項に記載の製造方法。
【0016】
項6:Rが、下記式(a´)
【0017】
【化6】

で表わされる化合物である、項5に記載の製造方法。
【0018】
項7:R3aが、水素原子である、項5または項6に記載の製造方法。
【0019】
項8:Rが、下記式(b)
【0020】
【化7】

で表わされる化合物である、項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【0021】
項9:R3bが、水素原子である、項8に記載の製造方法。
【0022】
項10:Rが、下記式(b)
【0023】
【化8】

で表わされる化合物である、項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【0024】
項11:R3dが、水素原子である、項10に記載の製造方法。
【0025】
項12:Rが、下記式(b)
【0026】
【化9】

で表わされる化合物である、項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【0027】
項13:下記式(3a)
【0028】
【化10】

で表わされる化合物(式中、R1aは、水素原子、C1−6アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基であり、R3aは、水素原子、ハロゲン原子、またはC1−6アルキル基であり、mは、0、1、2、3または4である。)、またはその塩。
【0029】
項14:下記式(3b)
【0030】
【化11】

で表わされる化合物(式中、R1bは、水素原子、C1−6アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基であり、R3aは、水素原子、またはC1−6アルキル基であり、nは、0、1、2、または3である。)、またはその塩。
【0031】
項15:下記式(3e)
【0032】
【化12】

で表わされる化合物(式中、R1cは、水素原子、C1−6アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基であり、R3cは、水素原子、またはC1−6アルキル基であり、pは、0、1、または2である。)、またはその塩。
【0033】
項16:下記式(3d)
【0034】
【化13】

で表わされる化合物(式中、R1cは、水素原子、C1−6アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基であり、R3dは、水素原子、またはC1−6アルキル基であり、qは、0、1、または2である。)、またはその塩。
【0035】
項17:下記式(3e)
【0036】
【化14】

で表わされる化合物(式中、R1cは、水素原子、C1−6アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基である。)、またはその塩。
【0037】
項18:項13〜項17のいずれか一項に記載の化合物を含む(オキソジオキソレニル)メチル化剤。
【0038】
項19:下記式(3)
【0039】
【化15】

で表される化合物(式中、Rは、水素原子、C1−6アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基であり、Rは、ハロゲン原子、トリクロロメチルエーテル基、1−クロロエチルエーテル基、または下記式(a)〜(e)からなる群
【0040】
【化16】

から選択されるいずれか一つの基である(ここにおいて、R3aは、水素原子、ハロゲン原子、またはC1−6アルキル基であり、R3b、R3cおよびR3dは、各々独立して、水素原子、またはC1−6アルキル基であり、mは、0、1、2、3または4であり、nは、0、1、2または3であり、pおよびqは、0、1または2である。)。)と、下記式(4)
【0041】
【化17】

で表される化合物(式中、RNHは、第1級アミンまたは第2級アミンの医薬である。)を反応する、下記式(5)で表わされる化合物
【0042】
【化18】

(式中の記号は、前記と同じである。)の製造方法。
【0043】
項20:下記式(3)
【0044】
【化19】

で表される化合物で表される化合物が、項1〜項12のいずれか一項に記載の製造方法で製造される、項19に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0045】
本発明の化合物を用いることにより、遺伝毒性が疑われる化合物を副生することなく(オキソジオキソレニル)メチル基を第1級、第2級アミンおよびカルボン酸に導入することができる。したがって、従来技術と比較し、遺伝毒性物質の残存による精製工程の増加を回避でき、且つその極微量成分の分析法を新たに開発する必要がないという面で優れている。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。本明細書において「置換基」の定義における炭素の数を、例えば、「C1−6」などと表記する場合もある。具体的には、「C1−6アルキル」なる表記は、炭素数1から6のアルキル基と同義である。また、本明細書において、「置換されてもよい」なる用語を特に明示していない基については、「非置換」の基を意味する。例えば、「C1−6アルキル」とは、「非置換」であることを意味する。
【0047】
本明細書において「基」なる用語は、特に断らない限り、1価の基を意味する。例えば、「アルキル基」は、1価の飽和炭化水素基を意味する。また、本明細書における各基の説明において、「基」なる用語を省略する場合もある。尚、「置換されてもよい」もしくは「置換された」で定義される基における置換基の数は、置換可能であれば特に制限はなく、1または複数である。また、特に指示した場合を除き、各々の基の説明はその基が他の基の一部分である場合も包含する。
【0048】
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられる。
【0049】
「C1−6アルキル基」とは、炭素数1〜6の直鎖状又は分枝鎖状アルキル基を意味する。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
【0050】
「C6−10アリール基」とは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を意味する。具体的には、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0051】
「C3-10シクロアルキル基」は、炭素数3〜10個を有し、環状の飽和炭化水素基を意味する。例えば、好ましくは、「C3-6シクロアルキル基」等が挙げられる。「C3-10シクロアルキル基」の具体例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチルまたはノルボルニル等が挙げられる。
【0052】
「C3-6シクロアルキルC1-4アルキル基」とは、「C3-6シクロアルキル」が「C1-4アルキル」に結合した基を意味する。具体例としては、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル等が挙げられる。
【0053】
「C7-14アラルキル基」とは、「C6-10アリールC1-4アルキル基」を意味し、前記「アルキル基」に前記「アリール基」が置換した基を意味する。好ましくは、「C7-10アラルキル基」(C6アリールC1-4アルキル基)が挙げられる。「C7-14アラルキル基」の具体例としては、例えば、ベンジル、2−フェニルエチル、1−フェニルプロピルまたは1−ナフチルメチル等が挙げられる。
【0054】
「ヘテロアリール基」としては、例えば、5員〜10員の単環式もしくは多環式の基等が挙げられ、該基は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子から選ばれるヘテロ原子を同種または異なって1個以上(例えば1〜4個)を含む。好ましくは、例えば、5員もしくは6員の単環式の基等が挙げられ、該基は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1個含む。「ヘテロアリール基」の具体例としては、例えば、ピロリル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンズオキサゾリル、ベンズチアゾリル、フリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジル、ピリミジル、ピリダジル、キノリル、イソキノリル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、インドリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、ジベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、キノキサリル、シンノリル、キナゾリル、インダゾリル、ナフチリジル、キノリノリルまたはイソキノリノリル等が挙げられる。
【0055】
「ヘテロアリールC1-4アルキル基」とは、前記「アルキル基」に前記「ヘテロアリール基」が置換した基を意味する。該ヘテロアリール部分としては、前記のへテロアリール基として例示した具体例と同じものが挙げられる。例えば、「ヘテロアリールC1-4アルキル」が挙げられる。具体的には、例えば、2−ピリジルメチルなどが挙
【0056】
「C1-6アルコキシ基」の「C1-6アルキル」部分は、前記「C1-6アルキル」と同義である。好ましくは、「C1-4アルコキシ基」等が挙げられる。「C1-6アルコキシ基」の具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる
【0057】
「C1-6アルキルチオ基」の「C1-6アルキル」部分は、前記「C1-6アルキル」と同義である。好ましくは、「C1-4アルキルチオ基」等が挙げられる。「C1-6アルキルチオ基」の具体例としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオまたはヘキシルチオ等が挙げられる。
【0058】
「C1-6アルキルスルフィニル基」の「C1-6アルキル」部分は、前記「C1-6アルキル」と同義である。好ましくは、「C1-4アルキルスルフィニル基」が挙げられる。「C1-6アルキルスルフィニル基」の具体例としては、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニルまたはヘキシルスルフィニル等が挙げられる。
【0059】
「C1-6アルキルスルホニル基」の「C1-6アルキル」部分は、前記「C1-6アルキル」と同義である。好ましくは、「C1-4アルキルスルホニル基」等が挙げられる。「C1-6アルキルスルホニル基」の具体例としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニルまたはヘキシルスルホニル等が挙げられる。
【0060】
「C6-10アリールチオ基」の「C6-10アリール」部分は、前記「C6-10アリール」と同義である。「C6-10アリールチオ基」の具体的としては、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオまたは2−ナフチルチオ等が挙げられる。
【0061】
「C6-10アリールスルフィニル基」の「C6-10アリール」部分は、前記「C6-10アリール」と同意義である。「C6-10アリールスルフィニル基」の具体例としては、例えば、フェニルスルフィニル、1−ナフチルスルフィニルまたは2−ナフチルスルフィニル等が挙げられる。
【0062】
「C6-10アリールスルホニル基」の「C6-10アリール」部分は、前記「C6-10アリール」と同義である。「C6-10アリールスルホニル基」の具体的としては、フェニルスルホニル、トシル、1−ナフチルスルホニルまたは2−ナフチルスルホニルが挙げられる。
【0063】
「C3-10シクロアルコキシ基」の「C3-10シクロアルキル」部分は、前記「C3-10シクロアルキル」と同義である。好ましくは、「C3-6シクロアルコキシ基」等が挙げられる。「C3-10シクロアルコキシ基」の具体例としては、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、アダマンチルオキシまたはノルボルニルオキシ等が挙げられる
【0064】
「C6-10アリールオキシ基」の「C6-10アリール」部分は、前記「C6-10アリール」と同義である。「Cアリールオキシ」(フェニルオキシ)が好ましい。「C6-10アリールオキシ基」の具体的としては、フェノキシ、1−ナフチルオキシまたは2−ナフチルオキシ等が挙げられる。
【0065】
「C7-14アラルキルオキシ基」(C6-10アリールC1-4アルキルオキシ基)の「C7-14アラルキル」部分は、前記「C7-14アラルキル」と同義である。好ましくは、「C7-10アラルキルオキシ基」(「フェニルC1-4アルキル基」)などが挙げられる。「C7-14アラルキルオキシ基」の具体例としては、例えば、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、ナフチルメチルオキシ等が挙げられる。
【0066】
「C1-4アルコキシカルボニル基」は、前記「C1-4アルコキシ基」がカルボニル基に結合した基を意味する。具体的には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、2−プロポキシカルボニルまたはtert−ブトキシカルボニル等が挙げられる。
【0067】
「C3-6シクロアルコキシカルボニル基」は、前記「C3-6シクロアルコキシ基」がカルボニル基に結合した基を意味する。具体的には、C3-6シクロアルコキシ部分としては、前記のシクロアルコキシ基として例示したものが挙げられる。
【0068】
「C1-4アルキルカルボニル基」は、前記「C1-4アルキル基」がカルボニル基に結合した基を意味する。具体的には、例えばアセチル、プロピオニルまたはブチリル等が挙げられる。
【0069】
「C3-10シクロアルキルカルボニル基」は、前記「C3-10シクロアルキル基」がカルボニル基に結合した基を意味する。好ましくは、「C3-6シクロアルキルカルボニル基」等が挙げられ、「C3-10シクロアルキルカルボニル基」の具体例としては、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、アダマンチルカルボニルまたはノルボルニルカルボニル等が挙げられる。
【0070】
「C6-10アリールカルボニル基」とは、前記「C6-10アリール基」がカルボニル基に結合した基を意味する。「C6-10アリール」部分は、前記「C6-10アリール基」と同義である。好ましくは、「C6アリールカルボニル基」(フェニルカルボニル基)が挙げられる。「C6-10アリールカルボニル基」の具体例としては、例えば、ベンゾイル、1−ナフトイルまたは2−ナフトイル等が挙げられる。
【0071】
「ヘテロアリールカルボニル基」は、前記「ヘテロアリール」がカルボニル基に結合した基を意味する。「へテロアリール」部分が前記のへテロアリール基として例示したものが挙げられる。具体例としては、例えば、2−ピリジルカルボニル等が挙げられる。
【0072】
「C1-4アルキルカルボニルオキシ基」の「C1-4アルキル」部分は、前記「C1-4アルキル基」と同義である。具体例としては、例えば、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシなどが挙げられる。
【0073】
「C3-6シクロアルキルカルボニルオキシ基」の「C3-6シクロアルキル」部分は、前記「C3-6シクロアルキル基」と同義である。具体例としては、例えば、シクロプロピルカルボニルオキシ、シクロブチルカルボニルオキシ、シクロペンチルカルボニルオキシなどが挙げられる。
【0074】
「モノ−もしくはジ−(C1-4アルキル)で置換されたアミノ基」(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなど)
【0075】
「C1-4アルキルカルボニルアミノ基」とは、前記「C1-4アルキルカルボニル基」がアミノ基に1個置換した基を意味する。具体例としては、例えば、メチルカルボニルアミノなどが挙げられる。
【0076】
「C1-4アルコキシカルボニルアミノ基」とは、前記「C1-4アルコキシカルボニル基」がアミノ基に1個置換した基を意味する。具体例としては、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。
【0077】
「C1-4アルキルスルホニルアミノ基」とは、前記「C1-4アルキルスルホニル基」がアミノ基に1個置換した基を意味する。具体例としては、例えば、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノなどが挙げられる。
【0078】
「飽和ヘテロ環基」としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される同種または異種の原子を1〜3個有する5員もしくは6員の飽和ヘテロ環基等が挙げられる。前記窒素原子、酸素原子および硫黄原子はいずれも環を構成する原子である。具体的には、ピラニル、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキソチオモルホリニル、ヘキサメチレンイミニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、オキソイミダゾリジニル、ジオキソイミダゾリジニル、オキソオキサゾリジニル、ジオキソオキサゾリジニル、ジオキソチアゾリジニル、テトラヒドロフラニルまたはテトラヒドロピリジニル等が挙げられる。該基は、環を構成する窒素原子が、「基」の結合手となることはない。すなわち、該基には、例えば、ピロリジノ基などの概念は包含されない。
【0079】
「置換されていてもよいC6−10アリール基」の置換基としては、 シアノ、ニトロ、アミノ、C1−6アルキル、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、C3−6シクロアルキルC1−4アルキル、C7−14アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールC1−4アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル、C6−10アリールチオ、C6−10アリールスルフィニル、C6−10アリールスルホニル、C3−10シクロアルコキシ、C6−10アリールオキシ、C7−14アラルキルオキシ、C1−4アルコキシカルボニル、C3−6シクロアルコキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニル、C3−10シクロアルキルカルボニル、C6−10アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、C1−4アルキルカルボニルオキシ、C3−6シクロアルキルカルボニルオキシ、モノもしくはジ−C1−4アルキルアミノ、C1−4アルキルカルボニルアミノ、C1−4アルコキシカルボニルアミノ、C1−4アルキルスルホニルアミノ、及び飽和ヘテロ環からなる群から選択される同種または異種の1〜5個の置換基が挙げられる。
【0080】
「その塩」としては、塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、リン酸塩または硝酸塩等の無機酸塩、または酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩またはアスコルビン酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。
【0081】
以下、本発明における製造方法について、更に説明する。
反応式1:式(3)で表わされる化合物の製造方法
【0082】
【化20】

(式中の記号は、前記項1と同じである。)
【0083】
式(1)で表わされる化合物(以下、化合物(1)と称することもある。)および式(2)で表わされる化合物(以下、化合物(2)と称することもある。)は、市販もしくは公知の方法を適宜組み合わせることにより製造することができる。
【0084】
化合物(1)と化合物(2)を必要に応じ塩基の存在下、適当な不活性溶媒中で反応させることにより、式(3)で表わされる化合物(以下、化合物(3)と称することもある。)を得ることができる。反応温度は約−78℃から用いた溶媒の沸点までの範囲であり、反応時間は10分間〜5日間である。
【0085】
塩基の具体例としては、例えばトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン等の有機塩基、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド等があげられる。不活性溶媒の具体例としては、例えばアセトニトリルや、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0086】
本発明における製造方法により得られる化合物(3)は、更に、第一級アミンまたは第2級アミンである式(4)で表わされる化合物、またはその塩(以下、化合物(4)と称することもある。)と反応することにより、所望の化合物(4)の式(5)で表わされる化合物、またはその塩(以下、化合物(5)と称することもある。)を製造することができる。以下、本発明における製造方法について、更に説明する。
【0087】
反応式2:化合物(5)の製造方法
【0088】
【化21】

(式中、RおよびRは、前記項1と同じで有り、RNHは、後記で説明する第1級アミンまたは第2級アミンの医薬である。)
【0089】
「第1級アミンまたは第2級アミンの医薬」としては、例えば、アセブタロール、アルブテロール、アルプレノロール、アテノロール、ブノロール、ブプロピオン、ブトパミン、ブトキサミン、カルブテロール、カルテロロール、コルテロール、デテロノール、デキシプロパノロール、ジアセトロール、ドブタミン、エキサプロロール、エキシプレノロール、フェノテロール、フェニリポール、ラボトロール、レボブノロール、メトロール、メタプロテレノール、メトプロロール、ナドロール、パマトロール、ペンブタロール、ピンドロール、ピルブテロール、プラクトロール、プレナルテロール、プリミドロール、 プリジジロール、プロカテロール、プロパノロール、キンテレノール、リミテロール、リトドリン、ソロトール、ソテレノール、スルフィニオロール、スルフィンテロール、スリクチジル、タザオロール、テルブタリン、チモロール、チプレノロール、チプリジル、トラモロール、チアベンダゾール、アルベンダゾール、アルブトイン、アレンドロネート、アリニジン、アリザプリド、アミロリド、アミノレックス、アプリノシド、カンベンダゾール、シメチジン、シサプリド、クロンジン、シクロベンザドール、デラビルジン、エフェガトリン、エチンチジン、フェンベンダゾール、フェンメタゾール、フルベンダゾール、フルドレックス、ガバペンチン、イカドロネート、ロベンダゾール、メベンダゾール、メタゾリン、メトクロプラミド、メチルフェニデート、メキシレチン、ネリドロネート、ノコダゾール、オキシフェンダゾール、オキシベンダゾール、オキシメチジン、パミドロネート、パルベンダゾール、プラミペキソール、プラゾジン、プレガバリン、プロカインアミド、ラニチジン、テトラヒドラゾリン、チアメニジン、チオチジン、トカイニド、トラゾリン、トラマゾリン、キシロメタゾリン、ジイトキシフェネチルアミン、n−[3(R)−[2−ピペリジン−4−イル)エチル]−2−ピペリドン−1−イル]アセチル−3(R)−メチル−β−アラニン、アドレノロン、アレタミン、アミデフィリン、アムフェダミン、アスパルタム、バメタン、ベタヒスチン、カルビドーパ、クロレプレナリン、クロルタミン、ドーパミン、L−ドーパ、エフェリネフィリン、エトリプタミン、フェンフルラミン、メチルドーパミン、ノルピネフィリン、エンビロキシム、ネフェジピン、ニモジピン、トリアムテレン、ピペデン酸及び類似する化合物、1−エチル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−7−(1−ピペラジニル)−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸及び1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−7−(ピペラジニル)−3−キノリンカルボン酸、テプルビシン、デオキシスペルグアリン、セグリチド、ネブラセタム、ペナノミシンB、エレモマイシン、トラザリン、トスフレキサシン、バオゴンゲテングA、アンギオペプチン、ボホルマイシン、ラビドマイシン、タゲフラル、オリエンチシン、アンホテリシンB、チアムジピン、ドキソルビシン、リソバクチン、モフェギリン、オクトレオチド、オキソリド、アミカシン、ホスホリン、ヌバニル、シスペンタシン、クロロテタイン、ネマセミド、ラモプラニン、ジャンチノマイシン、メルサシジン、ドロキシドーパ、ヘルベカルジンA、ヘルベカルジンB、リルマザフォン、ブガバトリン、アムロジピン、(R)−(+)−アムロジピン、ミデプラニン、ミルナシプラン、プラネジピン、オルラジピン、デオキシメチルスペルグアリン、フドステイン、トロバフロキサシン、セラナプリル、レストリクチシン、イダルビシン、アルベカシン、ギラコダゾール、ホストスタチン、パズフロキサシン、D−シクロセリン、オボチオールA、セフチゾキシム、イカチバント、p−ヨードルビダゾン、アラダプシン、ダラルギン、セプロキセチン、プラジミシンE、プラジミシン、FA−2、タフェノキンサムパトリラット、ルボキシル、デクチミシン、アラトリフロキサシン、ガラルビシン、メタラミノール、エキサデカン、スクアラミン、パロモマイシン、ロイストロダクシンA、ロイストロダクシンB、ロイストロダクシンC、ラニセミン、アゾキシバシリン、テトラフィブリシン、ピキサントロン、ジコノチド、ガロメフリン、スピノルフィン、ドリペネム、アレストラムスチン、セラスペニド、サフィンゴール、アミノレプリン酸、ペラギオマイシンC、スチログアニジン、L-4-オキサリシン、エグルメガド、ロードペプチン、マイセステリシンE、ミダキシフィリン、アニスペリマス、 ラガチド、イブタモレン、オリタバシン、エセノフロキサシン、メチロシン、メチルドーパ、バクロフェン、トラニルシプロミン、ミクロノマイシン、ゾルビシン、エピルビシン、ギラチド、エピタロン、シスタミン、プルラフラビンA、プルラフラビンB、パシレオチド、カプラザマイシン、バルシバン、スピスロイン、21-アミノエポチロンB、カプサバニル、オルセガパント、スルホスチン、ロボホリンA、パプアミドA、パプアミド B、 シストシン、デオキシネガマイシン、ガルノン、ピロリシジンB、ブラシリカルジンA、ネラメキサン、カイトセファリン、イコフンギペン、アリスキレン、カプロモレリン、ヒスタプロジフェン、ドニトリプタン、カンブレスシジン、チピファルニブ、タビモレリン、ベラクトシン、A、ベラクトシン C、シルシンアミド、タルギニン、スルファゾシン、ネピカスタット、オセルタミビル、ヒドロスタチンA、 ブタビンジド、ネタミフチド、メマンチン、フルボキサミン、鉄キレート剤、トラネキサム酸、ホーチマイシンA、セファクロル、リジノプリル、ウベスタチン、セフミノックス、アスポキシリン、セフカネル、カフカネル、ダロキセート、オラムフロキセシン、R−(+)−アミノインダン、ゲミフロキサシン、カハラリドF、パラウアミン、エキサモルクリン、ロイストロダクシンH、サバルビシン、アミホスチン、L−ホモチオシトルリン、L−チオシトルリン、インペンタミン、ネボグラミン、アムスクラミン、セテフロキサシン、シクロチアリジン、フルビルシンB2、ロラカルベフ、セフプロジル、スペラビリン、ミラカイミド、アビザオン、α−メチルトリプトファン、シタラミシン、ラノマイシン、デカプラミン、エフロルニチン、L−ヒスチジノール、ツフツシン、カナマイシン、アムタミン、シタフロキサシン、ロイルビシン、アマンタジン、イソドキソルビシン、グルドーパ、バクトボリン、エサフロキサシン、タビラウチド、ラザベミド、エナルキレン、アムルビシン、ダウモルビシン、ムレイドマイシン、ピリダゾマイシン、シマテロール、(+)−イサモルタン、N−デスメチルミラメリン、ノベラスチン、フォソパミン、アダプロロール、プラジミシンB、アモスラロール、キサモテロール、ボホルマイシン、リソチリド、インデロキサジン、デノパミン、パロジロール、ウチバプリル、ナルデテロール、ビエムニジン、スパルフロキサシン、シバノミシン、チアネプチン、オベラジロール、メトクトラミン、セゾラミド、アナバシン、ジルパテロール、ザビシアリラット、エンカスチン、ウリフロキサシン、(+)−ソタロール、ドオキシノジリマイシン、アルトロマイシンA、アルトロマイシンC、ドルゾラミド、フェプラジノール、デラプリル、シプロフロキサシン、バロフロキサシン、メピンドロール、バルラフェノン、ラミプリル、ドペキサミン、ジレバロール、ヒノ−ネビボロール、ダウラミシン、エナラプリル、メルアドリン、ゼランドパムボグリボース、セルトラリン、カルベジロール、パフェノロール、パロキセチン、フルオキセチン、フェンジオキサン、サルメチロール、ソルアカイノール、レプノタン、バムプテロール、サフィナミド、チリゾロール、7−オキソスタウロスポリン、カルダレット、セルトラリン、シラザプリル、ベナゼプリル、プリソチノール、ガチフロキサシン、オボチオールB、アダプロロール、チエノキソロール、フルパロキサン、アルプレノキシム、エフェガトラン、プラジミシン、サルボスタチン、エルセンチリド、(S)−ノレモパルミル、エスペラミシンA1、バトプラジン、エルセンチリド、オスチジン、キナプリル、ジヒドレキシジン、アルギオピン、プラジミシンD、フロバトリプタン、ヒスピドスペルミジン、シロドシン、ミケラミンB、シベナテット、テトリンドール、タリベグロン、トピキサントロン、ノルトピキサントロン、テカルセット、ブテラノール、α−メチルエピネフリン、ノルニコチン、チオフェドリン、レナペネム、イミダプリル、エピバチジン、プレマフロキサシン、ソコロマイシン、タンドラプリル、タムスロシン、ジリトロマイシン、イノガトラン、ビセニスタチン、イメピル、イメピプ、バラノール、オルビフロキサシン、マロピタント、デベロチン、レリセトン、エルタペネム、ノロミロール、モキシフロキサシン、ボフォピタント、ハロフギノン、メラガトラン、キシメラガトン、ファスジル、イソファゴミン、シュドエフェドリン、プロパフェノン、セリプロロール、カルテオロール、ペンブトロール、ラベタロール、アセブトロール、レプロテロール、リモテロール、アモキサピン、マプロチリン、ビロキサジン、プロトリプチリン、ノルトリプチリン、デシプラミン、オキシプレノロール、プロプラノロール、ケタミン、ブトフィロロール、フレカイニド、ツロブテロール、ベフノロール、イムシリン−H、ベスチピタント、シナカルセット、パラチニブ、デスロラタジン、ラドスチギル、ビルダグリプチン、ツラトロマイシンB、バカムパネル、サルブタモール、デルセミン、ソラベグロン、アルニジタン、チゲシクリン、ルバゾドン、メロパネム、テモカプリル、ナプサマイシン、(−)−シクロプロロール、エクテイナスシジン、アルプラフェノン、ランジオロール、チロフィバン、ノベラスチン、ラサギリン、セタジンドール、ピクメテロール、アルブタミン、メカミルアミン、デルファプラジン、イミダプリル、ミダフォテル、マンザミン、ビノスピロン、ダロキセチン、リトキセチンなどが挙げられる。
【0090】
また、「第1級アミンまたは第2級アミンの医薬」としては、下記化合物番号1〜269の化合物も含まれる。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】

【0094】
【表3】

【0095】
【表4】

【0096】
【表5】

【0097】
【表6】

【0098】
化合物(3)と化合物(4)を必要に応じ塩基の存在下、適当な不活性溶媒中で反応さ
せることにより、式(5)で表わされる化合物(以下、化合物(5)と称することもある。)を得ることができる。反応温度は約−78℃から用いた溶媒の沸点までの範囲であり、反応時間は10分間〜5日間である。
【0099】
塩基の具体例としては、例えばトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン等の有機塩基、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド等があげられる。不活性溶媒の具体例としては、例えばアセトニトリルや、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0100】
反応式3:化合物(7)の製造方法
【0101】
【化22】

(式中、RおよびRは、前記項1と同じで有り、R6COHは、後記で説明するカルボン酸の医薬である。)
【0102】
「カルボン酸の医薬」としては、例えば、アモキシリン、セファドロキシル、セトラキサート、ソファルコン、チェノデオキシチョリック アシド、セフォキシチン、ナリディキシック アシド、フルクロキサシリン、スルファサラジン、アスポキシシリン、モエキシプリル、デラプリル、セフミノックス、ガバペンチン、エパルレスタット、セフィキシム、アラセプリル、エナラプリラット、ラミプリル、セフォデジム、ベナゼプリル、セフピミゾール、キナプリル、リシノプリル、アズトレオナム、セフォチアム、セフメノキシム、セフジニル、ペリンドプリル、フルノキサプロフェン、シラザプリル、フォスノプリラット、セファクロール、セフプロジル、セファェキシン、プラノプロフェン、パニペネム、トランドラプリル、セプトプリル、インドブフェン、フェルビナック、スピラプリル、セフチブテン、テモカプリル、エナラプリル、イブプロフェン、フルルビプロフェン、メロペネム、セフポドキシム、ラルチトレキシド、ピドチモド、デキシブプロフェン、ゾフェノプリラート、エプロサルタン、セフォセリス、バルサルタン、フェブキソスタット、セフプロジル、オルメサルタン、プレガバリン、テルミサルタン、フェキソフェナジン、デックケトプロフェン、エルタペネム、レボセチリジン、セフロキシム、セファマンドール、アミネプチン、クロランブシル、ペラミビル、ルミラコキシブ、フェノキシメチルペニシリン、セフタジディム、フェンブフェン、フォリック アシド、レトステイン、N−アセチルカルノシン、ルビプロストン、セフロキサジン、イブプロフェン、ヂクロロフェナック、レボメフォラート、カンデサルタンが挙げられる。
【0103】
化合物(3)と化合物(6)を必要に応じ塩基の存在下、適当な不活性溶媒中で反応させることにより、式(7)で表わされる化合物(以下、化合物(7)と称することもある。)を得ることができる。反応温度は約−78℃から用いた溶媒の沸点までの範囲であり、反応時間は10分間〜5日間である。
【0104】
塩基の具体例としては、例えばトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン等の有機塩基、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド等があげられる。不活性溶媒の具体例としては、例えばアセトニトリルや、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒が挙げられる。
【実施例】
【0105】
以下に本発明を、参考例、実施例及び試験例によりさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。尚、以下の参考例及び実施例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。
化合物の同定には水素核磁気共鳴吸収スペクトル(1H−NMRスペクトル)等を用いた。いくつかの化合物については1H−NMRスペクトルスペクトルデータを示した。また液体クロマトグラフィー分析により純度等の確認も行った。カラムにはSUMIPAX ODS C−212(5μm,6mmφ×25cm)を用い、測定波長を254 nm、移動層流速を1.0 ml/minに設定し、分析した。移動層としては0.05%トリフルオロ酢酸−水(A液)と0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル(B液)との混合溶媒を用いた。条件1ではA液とB液の混合比(A液:B液)を、測定開始時(0分)は70:30とし、測定開始15分後で10:90となるようにB液の比率を1分間に4.0%ずつ上昇させ、測定時間20分とした。A液とB液の混合比が本条件である場合に化合物が検出された保持時間(条件1)もいくつかの化合物について示した。
【0106】
実施例1:(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルピリジル-2-イル カーボネート
【0107】
【化23】

ジピリジン-2-イル カーボネート(50.4mg)のTHF(1.1mL)溶液に、4-(ヒドロキシメチル)-5-メチル-1,3-ジオキソール-2-オン(39.5mg)のTHF(1mL)溶液、トリエチルアミン(98μl)を0℃で加え、室温で16時間撹拌した。水でクエンチした後に酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層は無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した後に減圧濃縮することにより、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルピリジル-2-イル カーボネートおよびビス((5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル)カーボネート(52.9mg)を得た。
(400 MHz, CDCl3) δ8.40 (ddd, J = 5.0, 2.0, 0.5 Hz, 1H), 7.84 (ddd, J = 8.0, 7.0, 2.0 Hz, 1H), 7.29 (ddd, J = 7.0, 5.0, 0.5 Hz, 1H), 7.13 (dt, J = 8.0, 0.5 Hz, 1H), 5.01 (s, 2H), 2.20 (s, 3H).
MS (ESI+) 252(M+1, 100%).
【0108】
実施例2:(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル 1H-イミダゾール-カルボキシレート
【0109】
【化24】

【0110】
ジ(1H-イミダゾール-1-イル)メタノン(990mg)のTHF(7 mL)溶液に、4-(ヒドロキシメチル)-5-メチル-1,3-ジオキソール-2-オン(530mg)のTHF(7mL)溶液を-20℃で加え、1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチした後に酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層は無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した後に減圧濃縮して濃縮残渣を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することで(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル 1H-イミダゾール-カルボキシレート(362mg)を得た。
(400 MHz, CDCl3) δ8.14 (s, 1H), 7.41 (s, 1H), 7.08 (s, 1H), 5.16 (s, 2H), 2.25 (s, 3H).
【0111】
実施例3:ビス((5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル)カーボネート
【0112】
【化25】

【0113】
ジピリジン-2-イル カーボネート(147mg)のアセトニトリル(4.4 mL)溶液に、4-(ヒドロキシメチル)-5-メチル-1,3-ジオキソール-2-オン(228mg)のアセトニトリル(4.4 mL)溶液を-20℃で加え、1時間30分撹拌した。続いて室温で24時間撹拌した後に飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層は無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した後に減圧濃縮して濃縮残渣を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することで(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル 1H-イミダゾール-カルボキシレート(362mg)を得た。
(400 MHz, CDCl3) δ4.91 (s, 4H), 2.19 (s, 3H). MS (ESI+) 287(M+1, 100%).
【0114】
実施例4:(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルピリジル-2-イル カーボネートを用いた(R)-(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル 3-(N-イソプロピル-2,2-ジメチル-3-オキソ-4-(2-プロピオンアミドエチル)-7-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-カルボキサミド)ピペラジン-1-カルボキシレートの合成
【0115】
【化26】

【0116】
(R)-N-イソプロピル-2,2-ジメチル-3-オキソ-N-(ピペラジン-3-イル)-4-(2-プロピオンアミドエチル)-7-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-カルボキサミド)塩酸塩をTHF(1.2mL)に溶解させた後にトリエチルアミン(40μl) 、N,N-ジメチルアミノピリジン(5.8mg)を加えた。実施例1で得た(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルピリジル-2-イル カーボネートおよびビス((5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル)カーボネート(126mg)のTHF(1.2mL)溶液を加えて終夜撹拌した。水でクエンチし、酢酸エチルで抽出後、有機層を飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層は無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した後に減圧濃縮して濃縮残渣を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することで((R)-(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル 3-(N-イソプロピル-2,2-ジメチル-3-オキソ-4-(2-プロピオンアミドエチル)-7-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-カルボキサミド)ピペラジン-1-カルボキシレート(44mg)を得た。HPLC分析し、目的物であることを確認した。
保持時間(条件1):11.75分、MS (ESI+) 669(M+1, 100%).
【0117】
実施例5:(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル 1H-イミダゾール-カルボキシレートを用いた(R)-(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル 3-(N-イソプロピル-2,2-ジメチル-3-オキソ-4-(2-プロピオンアミドエチル)-7-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-カルボキサミド)ピペラジン-1-カルボキシレートの合成
【0118】
【化27】

【0119】
(R)-N-イソプロピル-2,2-ジメチル-3-オキソ-N-(ピペラジン-3-イル)-4-(2-プロピオンアミドエチル)-7-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-カルボキサミド)塩酸塩(199mg)をTHF(1.8mL)に溶解させ、氷浴にて冷却した。実施例2で得た(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル 1H-イミダゾール-カルボキシレート(89mg)、トリエチルアミン(61μl) 、N,N-ジメチルアミノピリジン(8.9mg)を加えた後に氷浴にて3時間撹拌した。反応液をHPLC分析し、目的物が15%生成していることを確認した。
保持時間(条件1):11.75分. MS (ESI+) 669(M+1, 100%).
【0120】
実施例6:ビス((5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル)カーボネートを用いた(R)-(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル 3-(N-イソプロピル-2,2-ジメチル-3-オキソ-4-(2-プロピオンアミドエチル)-7-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-カルボキサミド)ピペラジン-1-カルボキシレートの合成
【0121】
【化28】

【0122】
(R)-N-イソプロピル-2,2-ジメチル-3-オキソ-N-(ピペラジン-3-イル)-4-(2-プロピオンアミドエチル)-7-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-カルボキサミド)塩酸塩(215mg)をTHF(1mL)に溶解させた。実施例3で得たビス((5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル)カーボネート(124mg)のTHF(1mL)溶液を室温で加えた後にトリエチルアミン(65μl)、N,N-ジメチルアミノピリジン(9.6mg)を加え3時間撹拌した。
反応液をHPLC分析し、目的物が12%生成していることを確認した。
保持時間(条件1):11.75分. MS (ESI+) 669(M+1, 100%).
【0123】
参考例1:(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソ-4-イル)メチル4-ニトロフェニルカーボネートを用いた(R)-(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル 3-(N-イソプロピル-2,2-ジメチル-3-オキソ-4-(2-プロピオンアミドエチル)-7-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-カルボキサミド)ピペラジン-1-カルボキシレートの合成
【0124】
【化29】

トリエチルアミン(3.0mL)、N,N-ジメチルアミノピリジン(444mg)のTHF(80 ml)溶液に、(R)-N-イソプロピル-2,2-ジメチル-3-オキソ-N-(ピペラジン-3-イル)-4-(2-プロピオンアミドエチル)-7-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-カルボキサミド)塩酸塩(10.0g)、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソ-4-イル)メチル4-ニトロフェニルカーボネート(5.90g)を加え、25 ℃で2時間撹拌した。反応溶液に水を加えて酢酸エチル(400ml)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮し、残渣を得た。得られた残渣中にはp-ニトロフェノールが167,000ppm(管理値:15ppm)含まれているため、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで(R)-(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル 3-(N-イソプロピル-2,2-ジメチル-3-オキソ-4-(2-プロピオンアミドエチル)-7-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-カルボキサミド)ピペラジン-1-カルボキシレート (11.2g)を得た。
HPLC分析し、目的物であることを確認した。
保持時間(条件1):11.75分. MS (ESI+) 669(M+1, 100%).
【0125】
本化合物の精製法として、多大な時間と資材を必要とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーではなく、晶析(メチルイソブチルケトン-0.1N塩酸水)を適応した場合、得られた結晶中にはp-ニトロフェノールが44,000ppm認められた。従って、残存したp-ニトロフェノールを管理値まで削減するためには更に複数回の再結晶が必要である。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の化合物を用いることにより、遺伝毒性が疑われる化合物を副生することなく(オキソジオキソレニル)メチル基を第1級、第2級アミンおよびカルボン酸に導入することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)

で表わされる化合物(式中、Rは、水素原子、C1−6アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基である。)と、下記式(2)

で表わされる化合物(式中、Rは、ハロゲン原子、トリクロロメチルエーテル基、1−クロロエチルエーテル基、または下記式(a)〜(e)からなる群

から選択されるいずれか一つの基である(ここにおいて、R3aは、水素原子、ハロゲン原子、またはC1−6アルキル基であり、R3b、R3cおよびR3dは、各々独立して、水素原子、またはC1−6アルキル基であり、mは、0、1、2、3または4であり、nは、0、1、2または3であり、pおよびqは、0、1または2である。)。)を反応する、下記式(3)で表わされる化合物

(式中の記号は、前記と同じである。)の製造方法。
【請求項2】
が、水素原子である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
が、C1−6アルキル基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
が、メチル基である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
が、下記式(a)

で表わされる化合物である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
が、下記式(a´)

で表わされる化合物である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
3aが、水素原子である、請求項5または請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
が、下記式(b)

で表わされる化合物である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
3bが、水素原子である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
が、下記式(b)

で表わされる化合物である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
3dが、水素原子である、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
が、下記式(b)

で表わされる化合物である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
下記式(3a)

で表わされる化合物(式中、R1aは、水素原子、C1−6アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基であり、R3aは、水素原子、ハロゲン原子、またはC1−6アルキル基であり、mは、0、1、2、3または4である。)、またはその塩。
【請求項14】
下記式(3b)

で表わされる化合物(式中、R1bは、水素原子、C1−6アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基であり、R3aは、水素原子、またはC1−6アルキル基であり、nは、0、1、2、または3である。)、またはその塩。
【請求項15】
下記式(3e)

で表わされる化合物(式中、R1cは、水素原子、C1−6アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基であり、R3cは、水素原子、またはC1−6アルキル基であり、pは、0、1、または2である。)、またはその塩。
【請求項16】
下記式(3d)

で表わされる化合物(式中、R1cは、水素原子、C1−6アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基であり、R3dは、水素原子、またはC1−6アルキル基であり、qは、0、1、または2である。)、またはその塩。
【請求項17】
下記式(3e)

で表わされる化合物(式中、R1cは、水素原子、C1−6アルキル基、または置換されていてもよいC6−10アリール基である。)、またはその塩。

【公開番号】特開2012−51809(P2012−51809A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193202(P2010−193202)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】