施工管理システム
【課題】 効率的な出来形管理を行うことの可能な出来形管理装置を提供する。
【解決手段】 三次元CAD設計データ受取手段2は、三次元CADプログラムなどから、三次元CAD設計データを受け取る。構成点決定手段6は、中心線に交差する予め定められた複数の断面を設定し、当該断面とポリゴンとの交点に基づいて、施工管理データを生成する。出来形計測データ受取手段14は、完成した対象物を計測した出来形計測データを受け取る。三次元CAD出来形データ生成手段16は、出来形計測データの構成点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する。比較手段22は、三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データとを比較し、対象物が設計どおりに出来上がっているかどうかを判断する。
【解決手段】 三次元CAD設計データ受取手段2は、三次元CADプログラムなどから、三次元CAD設計データを受け取る。構成点決定手段6は、中心線に交差する予め定められた複数の断面を設定し、当該断面とポリゴンとの交点に基づいて、施工管理データを生成する。出来形計測データ受取手段14は、完成した対象物を計測した出来形計測データを受け取る。三次元CAD出来形データ生成手段16は、出来形計測データの構成点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する。比較手段22は、三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データとを比較し、対象物が設計どおりに出来上がっているかどうかを判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
盛土施工、法面形成などの土木施工において、当該施工が施工図面どおりに行われているかどうかを判断する出来形管理が行われている。この出来形管理を効率化するため、電子距離測定器を有するトータルステーションを用いたシステムが用いられている(非特許文献1)。なお、トータルステーションとしては、電子経緯儀を内蔵し、これにより三次元座標を取得するものや、電子経緯儀を内蔵せず基準点に基づいて三次元座標を取得するもの等が用いられている。
【0003】
このシステムによれば、管理対象の施工断面図に基づいて、設計データ(TS入力データという)を読み取って作成する。次に、上記トータルステーションにより上記管理対象である断面について出来形を計測する。このようにして計測した出来形計測データと、TS入力データとを比較することにより、出来形の管理を行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】遠藤和重「トータルステーションシステムを活用した出来形管理手法」建設マネジメント技術2009年5月号、24頁〜28頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来のシステムでは、第一に、TS入力データを施工断面図から読み取って作成しなければならず、これに時間を要していた。
【0006】
第二に、施工図面として用意された横断面のみを管理対象としているため、詳細な間隔で管理を行うことはできなかった。また、新たに管理対象を追加する場合には、施工断面図から用意しなければならなかった。このため、任意の断面にて管理を行う全数管理には向いていないという問題があった。
【0007】
第三に、TS入力データや出来形計測データは、一般に用いられている三次元CADデータとは異なるデータ構造を有している。したがって、将来的に、国土交通省が定める電子納品要領において、三次元CADデータが納品対象データに追加された場合、三次元CADデータとTS入力データの作成が必要であり、二重の手間がかかるという問題があった。
【0008】
この発明は、上記のような問題の少なくともいずれかを解決するためになされたものであり、効率的な出来形管理を行うことの可能な出来形管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)(2)この発明に係る出来形管理装置は、三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を得る中心線取得手段と、前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、前記施工管理データ中の構成点と、前記三次元CAD設計データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD設計データ中の構成点に識別符号を付す第1の識別符号付与手段と、出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、前記出来形計測データの少なくとも各構成点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、前記出来形計測データ中の構成点と、前記三次元CAD出来形データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD出来形データ中の構成点に識別符号を付す第2の識別符号付与手段と、前記三次元CAD設計データと前記三次元CAD出来形データとの比較に基づいて、両データを比較する比較手段とを備えている。
【0010】
したがって、計測対象断面以外の部位においても、三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データを比較することで、出来形管理を行うことができる。また、施工管理データ中の構成点と対応づけて、三次元CAD設計データおよび三次元CAD出来形データに名称を付しているので、両者の対応づけが容易である。
【0011】
(3)この発明に係る出来形管理装置は、比較手段が、前記三次元CAD設計データと前記三次元CAD出来形データを、前記中心線に交差する任意断面において比較することを特徴としている。
【0012】
したがって、計測対象断面ではない任意の断面においても出来形管理を行うことが可能となる。したがって、容易に全数管理を行うことができる。
【0013】
(4)この発明に係る出来形管理装置は、計測データ受取手段が、三次元出来形計測データも受け取るものであり、三次元CAD出来形データ生成手段は、前記三次元出来形計測データの各測定点と出来形計測データの各構成点とに基づいて、三次元CAD出来形データを生成することを特徴としている。
【0014】
したがって、出来形計測データに基づき三次元CAD出来形データを生成し、三次元CAD設計データと比較することができる。
【0015】
(5)この発明に係る出来形管理装置は、構成点決定手段が、前記複数の交点を結ぶ直線において、交点を挟んで隣接する2つの直線のなす角度が180度の前後所定範囲内にある場合には、当該交点を削除する処理を繰り返し、これによって残った交点を構成点として決定することを特徴としている。
【0016】
したがって、対象物の形状を示す重要な交点を構成点として抽出することができる。
【0017】
(6)(8)この発明に係る施工管理データ生成装置は、三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を得るする中心線取得手段と、前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段とを備えている。
【0018】
したがって、三次元CAD設計データに基づいて自動的に施工管理データを生成することができる。
【0019】
(7)(9)この発明に係る施工管理データ生成装置は、施工管理データ中の構成点と、前記三次元CAD設計データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD設計データ中の構成点に識別符号を付す第1の識別符号付与手段をさらに備えることを特徴としている。
【0020】
したがって、三次元CAD設計データの構成点と三次元CAD出来形データの構成点との対応づけが容易である。
【0021】
(10)(11)この発明に係る三次元CAD出来形データ生成装置は、出来形計測データおよび三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、前記出来形計測データの各構成点および前記三次元出来形計測データの各測定点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、前記出来形計測データ中の構成点と、前記三次元CAD出来形データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD出来形データ中の構成点に識別符号を付す第2の識別符号付与手段とを備えたことを特徴としている。
【0022】
したがって、出来形計測データに基づいて、三次元CAD設計データと比較可能な三次元CAD出来形データを生成することができる。
【0023】
(12)(13)この発明に係る出来形管理装置は、施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置であって、三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を決定する中心線決定手段と、前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、前記三次元出来形計測データの各測定点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、前記三次元CAD出来形データにおいて前記中心線に交差する1以上の対象断面を設定し、当該対象断面と前記三次元CAD出来形データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する出来形構成点決定手段と、前記施工管理データにおける構成点と、これに対応する前記三次元CAD出来形データの構成点とを比較する比較手段とを備えたことを特徴としている。
【0024】
したがって、トータルステーション等の施工管理データに対応する出来形計測データを測定する機器を用いずとも、三次元出来形計測データに基づいて出来形管理を行うことができる。
【0025】
(14)(15)この発明に係る出来形管理装置は、施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置であって、三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、前記三次元CAD設計データと前記三次元出来形計測データとを重ね合わせ、所定の断面において、前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭と前記所定の断面との交点を算出して、当該複数の交点に基づいて構成点を決定し、前記三次元出来形計測データを構成するポリゴンの輪郭と前記所定の断面との交点を算出して、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、前記所定の平面における、前記三次元CAD設計データにおける構成点と、前記三次元出来形計測データにおける構成点とを比較する比較手段とを備えている。
【0026】
したがって、三次元CAD設計データと三次元出来形計測データに基づいて、出来形管理を行うことができる。
【0027】
「三次元CAD設計データ受取手段」は、実施形態においては、ステップS1がこれに対応する。
【0028】
「中心線決定手段」は、実施形態においては、ステップS2がこれに対応する。
【0029】
「構成点決定手段」は、実施形態においては、ステップS5がこれに対応する。
【0030】
「施工管理データ生成手段」は、実施形態においては、ステップS6がこれに対応する。
【0031】
「第1の識別符号付与手段」は、実施形態においては、ステップS7がこれに対応する。
【0032】
「計測データ受取手段」は、実施形態においては、ステップS11がこれに対応する。
【0033】
「三次元CAD出来形データ生成手段」は、実施形態においては、ステップS12がこれに対応する。
【0034】
「第2の識別符号付与手段」は、実施形態においては、ステップS13がこれに対応する。
【0035】
「比較手段」は、実施形態においては、ステップS15がこれに対応する。
【0036】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の一実施形態による出来形管理装置を含むシステム全体の概要を示す図である。
【図2】この発明の一実施形態による出来形管理装置の機能ブロック図である。
【図3】出来形管理装置のハードウエア構成を示す図である。
【図4】出来形管理プログラムのフローチャートを示す図である。
【図5】出来形管理プログラムのフローチャートを示す図である。
【図6】三次元CAD設計データを示す図である。
【図7a】三次元CAD設計データのポリゴンの輪郭と、計測対象断面との交点を示す図である。
【図7b】三次元CAD設計データに追加された構成点を示す図である。
【図8】抽出した交点のスムース化処理を示す図である。
【図9】抽出した交点のスムース化処理を示す図である。
【図10】スムース化処理によって得られた構成点と中心線とによって構成したTS入力データを示す図である。
【図11】三次元CAD設計データに追加した構成点を示す図である。
【図12】出来形の各構成点をポリゴンの頂点として生成した三次元CAD出来形データを示す図である。
【図13】三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データとの比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
1.システムの概要
図1に、この発明の一実施形態による出来形管理の概念図を示す。施工図面に基づいて、三次元CAD設計データが生成される。この三次元CAD設計データに基づいて、施工管理データ(TS入力データ)が生成される。施工管理データは、対象物の中心線と構成点を含んでいる。
【0039】
土木施工(盛土施工や法面形成など)が完了すると、トータルステーション(TS)を用いて出来形を計測する。計測された各構成点の出来形計測データは、施工管理データの構成点にひもづけて記録される。次に、出来形計測データに基づいて、三次元CAD出来形データが生成される。
【0040】
以上のようにして生成された三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データとを比較することで、施工が設計どおりに行われたか否かを判断する。具体的には、出来形管理帳票が生成される。
【0041】
図1に、この発明の一実施形態による施工管理システムの機能ブロック図を示す。三次元CAD設計データ受取手段2は、三次元CADプログラムなどから、三次元CAD設計データを受け取る。中心線取得手段4は、三次元CAD設計データ中に記述されている対象物(たとえば道路)の中心線を抽出する。構成点決定手段6は、中心線に交差する(たとえば直交する)予め定められた複数の断面(出来形計測を行うための断面)を設定する。設定した各断面において、三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭と当該断面との交点を抽出する。構成点決定手段6は、断面上に抽出された各交点に基づいて構成点を決定する。
【0042】
施工管理データ生成手段8は、上記のようにして得られた中心線と構成点に基づいて施工管理データを生成する。さらに、第1の識別符号付与手段10は、上記のようにして三次元CAD設計データ中に生成した構成点と、これに対応する施工管理データの構成点との対応を明確にするため、両者に対応する符号を付す。
【0043】
次に、出来形計測データ受取手段14は、完成した対象物を計測した出来形計測データを受け取る。三次元CAD出来形データ生成手段16は、出来形計測データの構成点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する。第2の識別符号付与手段20は、三次元CAD出来形データ中の構成点と、これに対応する出来形計測データの構成点との対応を明確にするため、両者に対応する符号を付す。
【0044】
比較手段22は、三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データとを比較し、対象物が設計どおりに出来上がっているかどうかを判断する。
【0045】
2.ハードウエア構成
図3に、出来形管理装置のハードウエア構成を示す。CPU30には、メモリ32、ディスプレイ34、ハードディスク36、CD−ROM38、マウス/キーボード48が接続されている。ハードディスク36には、WINDOWS(商標)などのオペレーティングシステム(OS)40、出来形管理プログラム42が記録されている。出来形管理プログラム42は、OS40と協働してその機能を発揮するものである。
【0046】
OS40および出来形管理プログラム42は、CD−ROM44に記録されていたものを、CD−ROMドライブ38を介してインストールしたものである。
【0047】
3.出来形管理プログラム
図4に、この発明の一実施形態による出来形管理プログラムのフローチャートを示す。CPU30は、三次元CADプログラムを使って生成した三次元CAD設計データを、CO−ROMドライブ38を介して取り込む(ステップS1)。図6に、施工対象が盛土である場合の三次元CAD設計データの一例を示す。図に示すように、三次元CAD設計データは、ポリゴンによって構成されている。また、この実施形態では、盛土の中心線CLが三次元CAD設計データに含まれている。
【0048】
次に、CPU30は、取り込んだ三次元CAD設計データから中心線CLを抽出する(ステップS2)。なお、三次元CAD設計データに中心線CLが描かれていない場合には、マウス/キーボード48によって、操作者が入力するようにしてもよい。あるいは、盛土の上部平坦面の中央に中心線CLが来るように自動的に算出するようにしてもよい。
【0049】
次に、操作者は、トータルステーションによって計測を行う断面(計測対象断面)をマウス/キーボード48を用いて、三次元CAD設計データ上に入力する(ステップS3)。なお、この実施形態では、計測対象断面は、鉛直(重力)方向に対して水平(水平方向に対して垂直)な面として定義される。図7aに、入力された計測対象断面SC1〜SC4の上端線を破線にて示す。
【0050】
CPU30は、このようにして入力された計測対象断面SC1〜SC4ごとに、当該計測断面と三次元CAD設計データの各ポリゴンの輪郭との交点Pを抽出する(ステップS4)。図8Aに、計測対象断面SC2に関して抽出された交点Pを示す。
【0051】
次に、CPU30は、このようにして抽出された交点を結ぶ線をスムース化する(ステップS5)。この実施形態では、図9Aに示すように、交点Ptを挟んで隣接する線LN1、LN2のなす角度θが、180度に対して所定の角度範囲内(たとえば170度から190度)にあれば、図9Bに示すように、当該交点Ptを削除して線を引き直す。
【0052】
この処理を繰り返すことにより、図8Bに示すように、施工対象の形状を表すために重要な交点P1〜P4が抽出される。CPU30は、抽出した交点を、構成点P1〜P4として三次元CAD設計データに追加する(図7b参照)。なお、他の計測対象断面においても、同様にして構成点を追加する。
【0053】
次に、CPU30は、中心線CLと各計測対象断面の構成点により、図10に示すようなTS入力データ(施工管理データ)を生成する(ステップS6)。このTS入力データにおいては、各計測対象断面は、中心線CLの始点SPからの距離によって特定される。また、各計測対象断面内の構成点は、始点SPから見て中心線の左側にあるものはL1、L2・・・、右側にあるものはR1、R2・・・という名称が付されて特定される。
【0054】
続いて、CPU30は、三次元CAD設計データに追加した各構成点に識別のための名称を付す(ステップS7)。各構成点の名称は、中心線CLの始点SPからの距離に、前記のL1、L2・・・、R1、R2・・・を組み合わせることによって生成する。たとえば、中心線CLの始点SPからの距離が30mであり、TS入力データにおいてR1が付された構成点は、30−R1という名称が付されることになる(図11参照)。他の点についても、同様にして名称が付される。
【0055】
上記のような規則にて名称を付すことにより、TS入力データの構成点と、三次元CAD設計データの構成点との対応づけが容易となる。また、このように、「始点からの距離」と「当該断面における右側あるいは左側の何番目の点であるか」を組み合わせて符号を付けることにより、後述のような任意の断面における構成点も容易に符号化することができる。
【0056】
CPU30は、生成したTS入力データを、CD−ROM46に記録して出力する(ステップS8)。
【0057】
CD−ROM46に記録されたTS入力データは、出来形計測のためのトータルステーションに入力される。トータルステーションによって計測された対象物の出来形は、TS入力データに対応づけられて記録される。つまり、TS入力データの各構成点に対応づけて、出来形計測データ(各構成点の計測データ)が記録される。
【0058】
CPU30は、CD−ROM等を介して出来形計測データを取得する(ステップS11)。出来形計測データのデータ形式は、図10のTS入力データと同様である。
【0059】
次に、CPU30は、出来形計測データの各構成点をポリゴンの頂点として、三次元CAD出来形データを生成する(ステップS12)。図12に、このようにして生成された三次元CAD出来形データを示す。次に、CPU30は、三次元CAD設計データにおける構成点と同じように、各構成点に名称を付す(ステップS13)。
【0060】
さらに、CPU30は、三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データとを重ね合わせる(ステップS14)。この際、同じ名称の付された構成点同士のX座標(中心線CLの方向)が一致するように重ね合わせる。
【0061】
CPU30は、重ね合わせた三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データについて、各計測対象断面SC1〜SC4における構成点を比較する(ステップS15)。これにより、出来形と設計値との差異を算出することができる。
【0062】
さらに、この実施形態では、計測対象断面として設定していない断面(たとえば、計測対象断面SC1と計測対象断面SC2との間の中心線に交差する任意断面SC12)においても、三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データを比較することができる。
【0063】
この処理は、以下のようにして行う。まず、重ね合わせた三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データにおいて、任意断面SC12を設定する(図7a、図12参照)。CPU30は、三次元CAD設計データのポリゴンの輪郭と、任意断面SC12との交点を抽出する。さらに、交点を結ぶ線をスムース化し、構成点を決定する。同様にして、三次元CAD出来形データについても、任意断面SC12上に構成点を決定する。このようにして得られた三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データの構成点を比較する。
【0064】
図13に、比較例を示す。図中、黒丸が三次元CAD設計データであり、白丸が三次元CAD出来形データである。CPU30は、各構成点の位置、構成点間結ぶ法面の長さ(法長)、道路面や小段を構成する構成点間の水平距離(幅)などを比較する。たとえば、三次元CAD設計データの構成点100と、対応する三次元CAD出来形データの構成点200とを比較する場合、次のようにして行う。なお、構成点100と構成点200には、同じ名称(30−R4)が付されているので、両者が対応していることを容易に認識することができる。
【0065】
まず、CPU30は、構成点100、200のそれぞれについて、中心線CLからの距離(CL離れ)CLDd、CLDrを算出する。次に、CPU30は、構成点100、200のそれぞれについて、高さHd、Hrを算出する。出来形におけるCL離れCLDr、高さHrが、設計値であるCL離れCLDd、高さHrとどの程度ずれているかを算出する。上記の比較を、全ての構成点について行う。
【0066】
次に、隣接する構成点間の距離(法長)について、設計値Ldと出来形値Lrを比較する。つまり、設計値Ldが出来形値Lrからどの程度ずれているかを算出する。CPU30は、全ての法長について比較を行う。
【0067】
このように、この実施形態では、計測対象断面以外の断面についても出来形管理を行うことが可能である。これにより、たとえば、全数管理を行うことが容易となる。
【0068】
CPU30は、上記の比較結果を出来形管理帳票としてプリンタ(図示せず)から出力する(ステップS16)。
【0069】
4.その他の実施形態
(1)上記実施形態では、交点を結ぶ線をスムース化し、交点の数を減らして構成点としている。しかし、交点を全て構成点として比較するようにしてもよい。
【0070】
(2)上記実施形態では、出来形計測データの構成点のみで三次元CAD出来形データを生成した。しかし、レーザなどによる三次元出来形計測データとTS等による出来形計測データを重ね合わせ、双方のデータをポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データとしてもよい。
【0071】
(3)上記実施形態では、出来形計測データ(TSによって計測したスケルトンデータ)の構成点によって三次元CAD出来形データを生成した。しかし、出来形計測データを用いずに、レーザなどによる三次元出来形計測データの点を用いて、三次元CAD出来形データを生成するようにしてもよい。この場合、三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データとの重ね合わせは、X、Y、Z座標(たとえば、三次元CAD設計データの原点と三次元CAD出来形データの原点を一致させる)に基づいて行うことができる。
【0072】
(4)上記実施形態では、三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データとを比較している。しかし、TS入力データ(施工管理データ)の構成点と三次元CAD出来形データの構成点を比較するようにしてもよい。
【0073】
(5)上記実施形態では、三次元CAD設計データに基づいてTS入力データを生成し、出来形計測データに基づいて三次元CAD出来形データを生成し、両者を比較するようにしている。しかし、レーザ計測等によって三次元出来形計測データを取得し、この三次元出来形計測データと三次元CAD設計データとを比較するようにしてもよい。この場合には、中心線に交差する所定の断面にて、三次元CAD設計データのポリゴンの輪郭と当該断面との交点を取得し、これをスムース化して構成点を取得する。同様にして、三次元出来形計測データについても構成点を取得する。そして、三次元CAD設計データの構成点と三次元出来形計測データの構成点を比較する。
【0074】
(6)上記実施形態では、中心線決定手段は、三次元CAD設計データ中から中心線を抽出して決定するようにしている。しかし、三次元CAD設計データの対象物の幅(道路幅の中央など)に基づいて自動的に中心線を決定するようにしてもよい。また、ユーザがマウスなどによって入力を行い、これに基づいて中心線決定手段が決定するようにしてもよい。
【技術分野】
【0001】
この発明は、施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
盛土施工、法面形成などの土木施工において、当該施工が施工図面どおりに行われているかどうかを判断する出来形管理が行われている。この出来形管理を効率化するため、電子距離測定器を有するトータルステーションを用いたシステムが用いられている(非特許文献1)。なお、トータルステーションとしては、電子経緯儀を内蔵し、これにより三次元座標を取得するものや、電子経緯儀を内蔵せず基準点に基づいて三次元座標を取得するもの等が用いられている。
【0003】
このシステムによれば、管理対象の施工断面図に基づいて、設計データ(TS入力データという)を読み取って作成する。次に、上記トータルステーションにより上記管理対象である断面について出来形を計測する。このようにして計測した出来形計測データと、TS入力データとを比較することにより、出来形の管理を行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】遠藤和重「トータルステーションシステムを活用した出来形管理手法」建設マネジメント技術2009年5月号、24頁〜28頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来のシステムでは、第一に、TS入力データを施工断面図から読み取って作成しなければならず、これに時間を要していた。
【0006】
第二に、施工図面として用意された横断面のみを管理対象としているため、詳細な間隔で管理を行うことはできなかった。また、新たに管理対象を追加する場合には、施工断面図から用意しなければならなかった。このため、任意の断面にて管理を行う全数管理には向いていないという問題があった。
【0007】
第三に、TS入力データや出来形計測データは、一般に用いられている三次元CADデータとは異なるデータ構造を有している。したがって、将来的に、国土交通省が定める電子納品要領において、三次元CADデータが納品対象データに追加された場合、三次元CADデータとTS入力データの作成が必要であり、二重の手間がかかるという問題があった。
【0008】
この発明は、上記のような問題の少なくともいずれかを解決するためになされたものであり、効率的な出来形管理を行うことの可能な出来形管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)(2)この発明に係る出来形管理装置は、三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を得る中心線取得手段と、前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、前記施工管理データ中の構成点と、前記三次元CAD設計データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD設計データ中の構成点に識別符号を付す第1の識別符号付与手段と、出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、前記出来形計測データの少なくとも各構成点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、前記出来形計測データ中の構成点と、前記三次元CAD出来形データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD出来形データ中の構成点に識別符号を付す第2の識別符号付与手段と、前記三次元CAD設計データと前記三次元CAD出来形データとの比較に基づいて、両データを比較する比較手段とを備えている。
【0010】
したがって、計測対象断面以外の部位においても、三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データを比較することで、出来形管理を行うことができる。また、施工管理データ中の構成点と対応づけて、三次元CAD設計データおよび三次元CAD出来形データに名称を付しているので、両者の対応づけが容易である。
【0011】
(3)この発明に係る出来形管理装置は、比較手段が、前記三次元CAD設計データと前記三次元CAD出来形データを、前記中心線に交差する任意断面において比較することを特徴としている。
【0012】
したがって、計測対象断面ではない任意の断面においても出来形管理を行うことが可能となる。したがって、容易に全数管理を行うことができる。
【0013】
(4)この発明に係る出来形管理装置は、計測データ受取手段が、三次元出来形計測データも受け取るものであり、三次元CAD出来形データ生成手段は、前記三次元出来形計測データの各測定点と出来形計測データの各構成点とに基づいて、三次元CAD出来形データを生成することを特徴としている。
【0014】
したがって、出来形計測データに基づき三次元CAD出来形データを生成し、三次元CAD設計データと比較することができる。
【0015】
(5)この発明に係る出来形管理装置は、構成点決定手段が、前記複数の交点を結ぶ直線において、交点を挟んで隣接する2つの直線のなす角度が180度の前後所定範囲内にある場合には、当該交点を削除する処理を繰り返し、これによって残った交点を構成点として決定することを特徴としている。
【0016】
したがって、対象物の形状を示す重要な交点を構成点として抽出することができる。
【0017】
(6)(8)この発明に係る施工管理データ生成装置は、三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を得るする中心線取得手段と、前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段とを備えている。
【0018】
したがって、三次元CAD設計データに基づいて自動的に施工管理データを生成することができる。
【0019】
(7)(9)この発明に係る施工管理データ生成装置は、施工管理データ中の構成点と、前記三次元CAD設計データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD設計データ中の構成点に識別符号を付す第1の識別符号付与手段をさらに備えることを特徴としている。
【0020】
したがって、三次元CAD設計データの構成点と三次元CAD出来形データの構成点との対応づけが容易である。
【0021】
(10)(11)この発明に係る三次元CAD出来形データ生成装置は、出来形計測データおよび三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、前記出来形計測データの各構成点および前記三次元出来形計測データの各測定点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、前記出来形計測データ中の構成点と、前記三次元CAD出来形データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD出来形データ中の構成点に識別符号を付す第2の識別符号付与手段とを備えたことを特徴としている。
【0022】
したがって、出来形計測データに基づいて、三次元CAD設計データと比較可能な三次元CAD出来形データを生成することができる。
【0023】
(12)(13)この発明に係る出来形管理装置は、施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置であって、三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を決定する中心線決定手段と、前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、前記三次元出来形計測データの各測定点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、前記三次元CAD出来形データにおいて前記中心線に交差する1以上の対象断面を設定し、当該対象断面と前記三次元CAD出来形データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する出来形構成点決定手段と、前記施工管理データにおける構成点と、これに対応する前記三次元CAD出来形データの構成点とを比較する比較手段とを備えたことを特徴としている。
【0024】
したがって、トータルステーション等の施工管理データに対応する出来形計測データを測定する機器を用いずとも、三次元出来形計測データに基づいて出来形管理を行うことができる。
【0025】
(14)(15)この発明に係る出来形管理装置は、施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置であって、三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、前記三次元CAD設計データと前記三次元出来形計測データとを重ね合わせ、所定の断面において、前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭と前記所定の断面との交点を算出して、当該複数の交点に基づいて構成点を決定し、前記三次元出来形計測データを構成するポリゴンの輪郭と前記所定の断面との交点を算出して、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、前記所定の平面における、前記三次元CAD設計データにおける構成点と、前記三次元出来形計測データにおける構成点とを比較する比較手段とを備えている。
【0026】
したがって、三次元CAD設計データと三次元出来形計測データに基づいて、出来形管理を行うことができる。
【0027】
「三次元CAD設計データ受取手段」は、実施形態においては、ステップS1がこれに対応する。
【0028】
「中心線決定手段」は、実施形態においては、ステップS2がこれに対応する。
【0029】
「構成点決定手段」は、実施形態においては、ステップS5がこれに対応する。
【0030】
「施工管理データ生成手段」は、実施形態においては、ステップS6がこれに対応する。
【0031】
「第1の識別符号付与手段」は、実施形態においては、ステップS7がこれに対応する。
【0032】
「計測データ受取手段」は、実施形態においては、ステップS11がこれに対応する。
【0033】
「三次元CAD出来形データ生成手段」は、実施形態においては、ステップS12がこれに対応する。
【0034】
「第2の識別符号付与手段」は、実施形態においては、ステップS13がこれに対応する。
【0035】
「比較手段」は、実施形態においては、ステップS15がこれに対応する。
【0036】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の一実施形態による出来形管理装置を含むシステム全体の概要を示す図である。
【図2】この発明の一実施形態による出来形管理装置の機能ブロック図である。
【図3】出来形管理装置のハードウエア構成を示す図である。
【図4】出来形管理プログラムのフローチャートを示す図である。
【図5】出来形管理プログラムのフローチャートを示す図である。
【図6】三次元CAD設計データを示す図である。
【図7a】三次元CAD設計データのポリゴンの輪郭と、計測対象断面との交点を示す図である。
【図7b】三次元CAD設計データに追加された構成点を示す図である。
【図8】抽出した交点のスムース化処理を示す図である。
【図9】抽出した交点のスムース化処理を示す図である。
【図10】スムース化処理によって得られた構成点と中心線とによって構成したTS入力データを示す図である。
【図11】三次元CAD設計データに追加した構成点を示す図である。
【図12】出来形の各構成点をポリゴンの頂点として生成した三次元CAD出来形データを示す図である。
【図13】三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データとの比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
1.システムの概要
図1に、この発明の一実施形態による出来形管理の概念図を示す。施工図面に基づいて、三次元CAD設計データが生成される。この三次元CAD設計データに基づいて、施工管理データ(TS入力データ)が生成される。施工管理データは、対象物の中心線と構成点を含んでいる。
【0039】
土木施工(盛土施工や法面形成など)が完了すると、トータルステーション(TS)を用いて出来形を計測する。計測された各構成点の出来形計測データは、施工管理データの構成点にひもづけて記録される。次に、出来形計測データに基づいて、三次元CAD出来形データが生成される。
【0040】
以上のようにして生成された三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データとを比較することで、施工が設計どおりに行われたか否かを判断する。具体的には、出来形管理帳票が生成される。
【0041】
図1に、この発明の一実施形態による施工管理システムの機能ブロック図を示す。三次元CAD設計データ受取手段2は、三次元CADプログラムなどから、三次元CAD設計データを受け取る。中心線取得手段4は、三次元CAD設計データ中に記述されている対象物(たとえば道路)の中心線を抽出する。構成点決定手段6は、中心線に交差する(たとえば直交する)予め定められた複数の断面(出来形計測を行うための断面)を設定する。設定した各断面において、三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭と当該断面との交点を抽出する。構成点決定手段6は、断面上に抽出された各交点に基づいて構成点を決定する。
【0042】
施工管理データ生成手段8は、上記のようにして得られた中心線と構成点に基づいて施工管理データを生成する。さらに、第1の識別符号付与手段10は、上記のようにして三次元CAD設計データ中に生成した構成点と、これに対応する施工管理データの構成点との対応を明確にするため、両者に対応する符号を付す。
【0043】
次に、出来形計測データ受取手段14は、完成した対象物を計測した出来形計測データを受け取る。三次元CAD出来形データ生成手段16は、出来形計測データの構成点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する。第2の識別符号付与手段20は、三次元CAD出来形データ中の構成点と、これに対応する出来形計測データの構成点との対応を明確にするため、両者に対応する符号を付す。
【0044】
比較手段22は、三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データとを比較し、対象物が設計どおりに出来上がっているかどうかを判断する。
【0045】
2.ハードウエア構成
図3に、出来形管理装置のハードウエア構成を示す。CPU30には、メモリ32、ディスプレイ34、ハードディスク36、CD−ROM38、マウス/キーボード48が接続されている。ハードディスク36には、WINDOWS(商標)などのオペレーティングシステム(OS)40、出来形管理プログラム42が記録されている。出来形管理プログラム42は、OS40と協働してその機能を発揮するものである。
【0046】
OS40および出来形管理プログラム42は、CD−ROM44に記録されていたものを、CD−ROMドライブ38を介してインストールしたものである。
【0047】
3.出来形管理プログラム
図4に、この発明の一実施形態による出来形管理プログラムのフローチャートを示す。CPU30は、三次元CADプログラムを使って生成した三次元CAD設計データを、CO−ROMドライブ38を介して取り込む(ステップS1)。図6に、施工対象が盛土である場合の三次元CAD設計データの一例を示す。図に示すように、三次元CAD設計データは、ポリゴンによって構成されている。また、この実施形態では、盛土の中心線CLが三次元CAD設計データに含まれている。
【0048】
次に、CPU30は、取り込んだ三次元CAD設計データから中心線CLを抽出する(ステップS2)。なお、三次元CAD設計データに中心線CLが描かれていない場合には、マウス/キーボード48によって、操作者が入力するようにしてもよい。あるいは、盛土の上部平坦面の中央に中心線CLが来るように自動的に算出するようにしてもよい。
【0049】
次に、操作者は、トータルステーションによって計測を行う断面(計測対象断面)をマウス/キーボード48を用いて、三次元CAD設計データ上に入力する(ステップS3)。なお、この実施形態では、計測対象断面は、鉛直(重力)方向に対して水平(水平方向に対して垂直)な面として定義される。図7aに、入力された計測対象断面SC1〜SC4の上端線を破線にて示す。
【0050】
CPU30は、このようにして入力された計測対象断面SC1〜SC4ごとに、当該計測断面と三次元CAD設計データの各ポリゴンの輪郭との交点Pを抽出する(ステップS4)。図8Aに、計測対象断面SC2に関して抽出された交点Pを示す。
【0051】
次に、CPU30は、このようにして抽出された交点を結ぶ線をスムース化する(ステップS5)。この実施形態では、図9Aに示すように、交点Ptを挟んで隣接する線LN1、LN2のなす角度θが、180度に対して所定の角度範囲内(たとえば170度から190度)にあれば、図9Bに示すように、当該交点Ptを削除して線を引き直す。
【0052】
この処理を繰り返すことにより、図8Bに示すように、施工対象の形状を表すために重要な交点P1〜P4が抽出される。CPU30は、抽出した交点を、構成点P1〜P4として三次元CAD設計データに追加する(図7b参照)。なお、他の計測対象断面においても、同様にして構成点を追加する。
【0053】
次に、CPU30は、中心線CLと各計測対象断面の構成点により、図10に示すようなTS入力データ(施工管理データ)を生成する(ステップS6)。このTS入力データにおいては、各計測対象断面は、中心線CLの始点SPからの距離によって特定される。また、各計測対象断面内の構成点は、始点SPから見て中心線の左側にあるものはL1、L2・・・、右側にあるものはR1、R2・・・という名称が付されて特定される。
【0054】
続いて、CPU30は、三次元CAD設計データに追加した各構成点に識別のための名称を付す(ステップS7)。各構成点の名称は、中心線CLの始点SPからの距離に、前記のL1、L2・・・、R1、R2・・・を組み合わせることによって生成する。たとえば、中心線CLの始点SPからの距離が30mであり、TS入力データにおいてR1が付された構成点は、30−R1という名称が付されることになる(図11参照)。他の点についても、同様にして名称が付される。
【0055】
上記のような規則にて名称を付すことにより、TS入力データの構成点と、三次元CAD設計データの構成点との対応づけが容易となる。また、このように、「始点からの距離」と「当該断面における右側あるいは左側の何番目の点であるか」を組み合わせて符号を付けることにより、後述のような任意の断面における構成点も容易に符号化することができる。
【0056】
CPU30は、生成したTS入力データを、CD−ROM46に記録して出力する(ステップS8)。
【0057】
CD−ROM46に記録されたTS入力データは、出来形計測のためのトータルステーションに入力される。トータルステーションによって計測された対象物の出来形は、TS入力データに対応づけられて記録される。つまり、TS入力データの各構成点に対応づけて、出来形計測データ(各構成点の計測データ)が記録される。
【0058】
CPU30は、CD−ROM等を介して出来形計測データを取得する(ステップS11)。出来形計測データのデータ形式は、図10のTS入力データと同様である。
【0059】
次に、CPU30は、出来形計測データの各構成点をポリゴンの頂点として、三次元CAD出来形データを生成する(ステップS12)。図12に、このようにして生成された三次元CAD出来形データを示す。次に、CPU30は、三次元CAD設計データにおける構成点と同じように、各構成点に名称を付す(ステップS13)。
【0060】
さらに、CPU30は、三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データとを重ね合わせる(ステップS14)。この際、同じ名称の付された構成点同士のX座標(中心線CLの方向)が一致するように重ね合わせる。
【0061】
CPU30は、重ね合わせた三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データについて、各計測対象断面SC1〜SC4における構成点を比較する(ステップS15)。これにより、出来形と設計値との差異を算出することができる。
【0062】
さらに、この実施形態では、計測対象断面として設定していない断面(たとえば、計測対象断面SC1と計測対象断面SC2との間の中心線に交差する任意断面SC12)においても、三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データを比較することができる。
【0063】
この処理は、以下のようにして行う。まず、重ね合わせた三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データにおいて、任意断面SC12を設定する(図7a、図12参照)。CPU30は、三次元CAD設計データのポリゴンの輪郭と、任意断面SC12との交点を抽出する。さらに、交点を結ぶ線をスムース化し、構成点を決定する。同様にして、三次元CAD出来形データについても、任意断面SC12上に構成点を決定する。このようにして得られた三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データの構成点を比較する。
【0064】
図13に、比較例を示す。図中、黒丸が三次元CAD設計データであり、白丸が三次元CAD出来形データである。CPU30は、各構成点の位置、構成点間結ぶ法面の長さ(法長)、道路面や小段を構成する構成点間の水平距離(幅)などを比較する。たとえば、三次元CAD設計データの構成点100と、対応する三次元CAD出来形データの構成点200とを比較する場合、次のようにして行う。なお、構成点100と構成点200には、同じ名称(30−R4)が付されているので、両者が対応していることを容易に認識することができる。
【0065】
まず、CPU30は、構成点100、200のそれぞれについて、中心線CLからの距離(CL離れ)CLDd、CLDrを算出する。次に、CPU30は、構成点100、200のそれぞれについて、高さHd、Hrを算出する。出来形におけるCL離れCLDr、高さHrが、設計値であるCL離れCLDd、高さHrとどの程度ずれているかを算出する。上記の比較を、全ての構成点について行う。
【0066】
次に、隣接する構成点間の距離(法長)について、設計値Ldと出来形値Lrを比較する。つまり、設計値Ldが出来形値Lrからどの程度ずれているかを算出する。CPU30は、全ての法長について比較を行う。
【0067】
このように、この実施形態では、計測対象断面以外の断面についても出来形管理を行うことが可能である。これにより、たとえば、全数管理を行うことが容易となる。
【0068】
CPU30は、上記の比較結果を出来形管理帳票としてプリンタ(図示せず)から出力する(ステップS16)。
【0069】
4.その他の実施形態
(1)上記実施形態では、交点を結ぶ線をスムース化し、交点の数を減らして構成点としている。しかし、交点を全て構成点として比較するようにしてもよい。
【0070】
(2)上記実施形態では、出来形計測データの構成点のみで三次元CAD出来形データを生成した。しかし、レーザなどによる三次元出来形計測データとTS等による出来形計測データを重ね合わせ、双方のデータをポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データとしてもよい。
【0071】
(3)上記実施形態では、出来形計測データ(TSによって計測したスケルトンデータ)の構成点によって三次元CAD出来形データを生成した。しかし、出来形計測データを用いずに、レーザなどによる三次元出来形計測データの点を用いて、三次元CAD出来形データを生成するようにしてもよい。この場合、三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データとの重ね合わせは、X、Y、Z座標(たとえば、三次元CAD設計データの原点と三次元CAD出来形データの原点を一致させる)に基づいて行うことができる。
【0072】
(4)上記実施形態では、三次元CAD設計データと三次元CAD出来形データとを比較している。しかし、TS入力データ(施工管理データ)の構成点と三次元CAD出来形データの構成点を比較するようにしてもよい。
【0073】
(5)上記実施形態では、三次元CAD設計データに基づいてTS入力データを生成し、出来形計測データに基づいて三次元CAD出来形データを生成し、両者を比較するようにしている。しかし、レーザ計測等によって三次元出来形計測データを取得し、この三次元出来形計測データと三次元CAD設計データとを比較するようにしてもよい。この場合には、中心線に交差する所定の断面にて、三次元CAD設計データのポリゴンの輪郭と当該断面との交点を取得し、これをスムース化して構成点を取得する。同様にして、三次元出来形計測データについても構成点を取得する。そして、三次元CAD設計データの構成点と三次元出来形計測データの構成点を比較する。
【0074】
(6)上記実施形態では、中心線決定手段は、三次元CAD設計データ中から中心線を抽出して決定するようにしている。しかし、三次元CAD設計データの対象物の幅(道路幅の中央など)に基づいて自動的に中心線を決定するようにしてもよい。また、ユーザがマウスなどによって入力を行い、これに基づいて中心線決定手段が決定するようにしてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置であって、
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を得る中心線取得手段と、
前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、
前記施工管理データ中の構成点と、前記三次元CAD設計データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD設計データ中の構成点に識別符号を付す第1の識別符号付与手段と、
出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記出来形計測データの少なくとも各構成点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、
前記出来形計測データ中の構成点と、前記三次元CAD出来形データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD出来形データ中の構成点に識別符号を付す第2の識別符号付与手段と、
前記三次元CAD設計データと前記三次元CAD出来形データとの比較に基づいて、両データを比較する比較手段と、
を備えた出来形管理装置。
【請求項2】
施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置をコンピュータによって実現するための出来形管理プログラムであって、コンピュータを、
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を決定する中心線決定手段と、
前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、
前記施工管理データ中の構成点と、前記三次元CAD設計データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD設計データ中の構成点に識別符号を付す第1の識別符号付与手段と、
出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記出来形計測データの少なくとも各構成点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、
前記出来形計測データ中の構成点と、前記三次元CAD出来形データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD出来形データ中の構成点に識別符号を付す第2の識別符号付与手段と、
前記三次元CAD設計データと前記三次元CAD出来形データとの比較に基づいて、両データを比較する比較手段と、
して機能させるための出来形管理プログラム。
【請求項3】
請求項1の出来形管理装置または請求項2の出来形管理プログラムにおいて、
前記比較手段は、前記三次元CAD設計データと前記三次元CAD出来形データを、前記中心線に交差する任意断面において比較することを特徴とする出来形管理装置または出来形管理プログラム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの出来形管理装置または出来形管理プログラムにおいて、
前記計測データ受取手段は、三次元出来形計測データも受け取るものであり、
前記三次元CAD出来形データ生成手段は、前記三次元出来形計測データの各測定点と出来形計測データの各構成点とに基づいて、三次元CAD出来形データを生成することを特徴とする出来形管理装置または出来形管理プログラム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの出来形管理装置または出来形管理プログラムにおいて、
前記構成点決定手段は、前記複数の交点を結ぶ直線において、交点を挟んで隣接する2つの直線のなす角度が180度の前後所定範囲内にある場合には、当該交点を削除する処理を繰り返し、これによって残った交点を構成点として決定することを特徴とする出来形管理装置または出来形管理プログラム。
【請求項6】
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を得るする中心線取得手段と、
前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、
を備えた施工管理データ生成装置。
【請求項7】
請求項6の施工管理データ生成装置において、
前記施工管理データ中の構成点と、前記三次元CAD設計データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD設計データ中の構成点に識別符号を付す識別符号付与手段をさらに備えることを特徴とする施工管理データ生成装置。
【請求項8】
コンピュータによって施工管理データ生成装置を実現するための施工管理データ生成プログラムであって、コンピュータを、
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を決定する中心線決定手段と、
前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、
して機能させるための施工管理データ生成プログラム。
【請求項9】
請求項8の施工管理データ生成プログラムにおいて、
コンピュータを、さらに、前記施工管理データ中の構成点と、前記三次元CAD設計データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD設計データ中の構成点に識別符号を付す第1の識別符号付与手段として機能させることを特徴とする施工管理データ生成プログラム。
【請求項10】
出来形計測データおよび三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記出来形計測データの各構成点および前記三次元出来形計測データの各測定点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、
前記出来形計測データ中の構成点と、前記三次元CAD出来形データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD出来形データ中の構成点に識別符号を付す第2の識別符号付与手段と、
を備えた三次元CAD出来形データ生成装置。
【請求項11】
三次元CAD出来形データ生成装置をコンピュータによって実現するための三次元CAD出来形データ生成プログラムであって、コンピュータを、
出来形計測データおよび三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記出来形計測データの各構成点および前記三次元出来形計測データの各測定点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、
前記出来形計測データ中の構成点と、前記三次元CAD出来形データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD出来形データ中の構成点に識別符号を付す第2の識別符号付与手段と、
して機能させるための三次元CAD出来形生成プログラム。
【請求項12】
施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置であって、
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を決定する中心線決定手段と、
前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、
三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記三次元出来形計測データの各測定点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、
前記三次元CAD出来形データにおいて前記中心線に交差する1以上の対象断面を設定し、当該対象断面と前記三次元CAD出来形データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する出来形構成点決定手段と、
前記施工管理データにおける構成点と、これに対応する前記三次元CAD出来形データの構成点とを比較する比較手段と、
を備えた出来形管理装置。
【請求項13】
施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置を、コンピュータによって実現するための出来形管理プログラムであって、コンピュータを、
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を決定する中心線決定手段と、
前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、
三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記三次元出来形計測データの各測定点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、
前記三次元CAD出来形データにおいて前記中心線に交差する1以上の対象断面を設定し、当該対象断面と前記三次元CAD出来形データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する出来形構成点決定手段と、
前記施工管理データにおける構成点と、これに対応する前記三次元CAD出来形データの構成点とを比較する比較手段と、
して機能させるための出来形管理プログラム。
【請求項14】
施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置であって、
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データと前記三次元出来形計測データとを重ね合わせ、所定の断面において、前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭と前記所定の断面との交点を算出して、当該複数の交点に基づいて構成点を決定し、前記三次元出来形計測データを構成するポリゴンの輪郭と前記所定の断面との交点を算出して、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記所定の平面における、前記三次元CAD設計データにおける構成点と、前記三次元出来形計測データにおける構成点とを比較する比較手段と、
を備えた出来形管理装置。
【請求項15】
施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置をコンピュータによって実現するための出来形管理プログラムであって、コンピュータを、
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データと前記三次元出来形計測データとを重ね合わせ、所定の断面において、前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭と前記所定の断面との交点を算出して、当該複数の交点に基づいて構成点を決定し、前記三次元出来形計測データを構成するポリゴンの輪郭と前記所定の断面との交点を算出して、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記所定の平面における、前記三次元CAD設計データにおける構成点と、前記三次元出来形計測データにおける構成点とを比較する比較手段と、
して機能させるための出来形管理プログラム。
【請求項1】
施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置であって、
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を得る中心線取得手段と、
前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、
前記施工管理データ中の構成点と、前記三次元CAD設計データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD設計データ中の構成点に識別符号を付す第1の識別符号付与手段と、
出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記出来形計測データの少なくとも各構成点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、
前記出来形計測データ中の構成点と、前記三次元CAD出来形データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD出来形データ中の構成点に識別符号を付す第2の識別符号付与手段と、
前記三次元CAD設計データと前記三次元CAD出来形データとの比較に基づいて、両データを比較する比較手段と、
を備えた出来形管理装置。
【請求項2】
施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置をコンピュータによって実現するための出来形管理プログラムであって、コンピュータを、
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を決定する中心線決定手段と、
前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、
前記施工管理データ中の構成点と、前記三次元CAD設計データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD設計データ中の構成点に識別符号を付す第1の識別符号付与手段と、
出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記出来形計測データの少なくとも各構成点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、
前記出来形計測データ中の構成点と、前記三次元CAD出来形データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD出来形データ中の構成点に識別符号を付す第2の識別符号付与手段と、
前記三次元CAD設計データと前記三次元CAD出来形データとの比較に基づいて、両データを比較する比較手段と、
して機能させるための出来形管理プログラム。
【請求項3】
請求項1の出来形管理装置または請求項2の出来形管理プログラムにおいて、
前記比較手段は、前記三次元CAD設計データと前記三次元CAD出来形データを、前記中心線に交差する任意断面において比較することを特徴とする出来形管理装置または出来形管理プログラム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの出来形管理装置または出来形管理プログラムにおいて、
前記計測データ受取手段は、三次元出来形計測データも受け取るものであり、
前記三次元CAD出来形データ生成手段は、前記三次元出来形計測データの各測定点と出来形計測データの各構成点とに基づいて、三次元CAD出来形データを生成することを特徴とする出来形管理装置または出来形管理プログラム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの出来形管理装置または出来形管理プログラムにおいて、
前記構成点決定手段は、前記複数の交点を結ぶ直線において、交点を挟んで隣接する2つの直線のなす角度が180度の前後所定範囲内にある場合には、当該交点を削除する処理を繰り返し、これによって残った交点を構成点として決定することを特徴とする出来形管理装置または出来形管理プログラム。
【請求項6】
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を得るする中心線取得手段と、
前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、
を備えた施工管理データ生成装置。
【請求項7】
請求項6の施工管理データ生成装置において、
前記施工管理データ中の構成点と、前記三次元CAD設計データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD設計データ中の構成点に識別符号を付す識別符号付与手段をさらに備えることを特徴とする施工管理データ生成装置。
【請求項8】
コンピュータによって施工管理データ生成装置を実現するための施工管理データ生成プログラムであって、コンピュータを、
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を決定する中心線決定手段と、
前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、
して機能させるための施工管理データ生成プログラム。
【請求項9】
請求項8の施工管理データ生成プログラムにおいて、
コンピュータを、さらに、前記施工管理データ中の構成点と、前記三次元CAD設計データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD設計データ中の構成点に識別符号を付す第1の識別符号付与手段として機能させることを特徴とする施工管理データ生成プログラム。
【請求項10】
出来形計測データおよび三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記出来形計測データの各構成点および前記三次元出来形計測データの各測定点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、
前記出来形計測データ中の構成点と、前記三次元CAD出来形データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD出来形データ中の構成点に識別符号を付す第2の識別符号付与手段と、
を備えた三次元CAD出来形データ生成装置。
【請求項11】
三次元CAD出来形データ生成装置をコンピュータによって実現するための三次元CAD出来形データ生成プログラムであって、コンピュータを、
出来形計測データおよび三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記出来形計測データの各構成点および前記三次元出来形計測データの各測定点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、
前記出来形計測データ中の構成点と、前記三次元CAD出来形データ中の構成点とを対応づけることが可能なように、前記三次元CAD出来形データ中の構成点に識別符号を付す第2の識別符号付与手段と、
して機能させるための三次元CAD出来形生成プログラム。
【請求項12】
施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置であって、
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を決定する中心線決定手段と、
前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、
三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記三次元出来形計測データの各測定点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、
前記三次元CAD出来形データにおいて前記中心線に交差する1以上の対象断面を設定し、当該対象断面と前記三次元CAD出来形データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する出来形構成点決定手段と、
前記施工管理データにおける構成点と、これに対応する前記三次元CAD出来形データの構成点とを比較する比較手段と、
を備えた出来形管理装置。
【請求項13】
施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置を、コンピュータによって実現するための出来形管理プログラムであって、コンピュータを、
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データに基づいて、施工対象の中心線を決定する中心線決定手段と、
前記三次元CAD設計データにおいて前記中心線に交差する1以上の計測対象断面を設定し、当該計測対象断面と前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記中心線と1以上の計測対象断面における構成点とに基づいて、施工管理データを生成する施工管理データ生成手段と、
三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記三次元出来形計測データの各測定点をポリゴンの頂点として三次元CAD出来形データを生成する三次元CAD出来形データ生成手段と、
前記三次元CAD出来形データにおいて前記中心線に交差する1以上の対象断面を設定し、当該対象断面と前記三次元CAD出来形データを構成するポリゴンの輪郭との交点を算出し、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する出来形構成点決定手段と、
前記施工管理データにおける構成点と、これに対応する前記三次元CAD出来形データの構成点とを比較する比較手段と、
して機能させるための出来形管理プログラム。
【請求項14】
施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置であって、
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データと前記三次元出来形計測データとを重ね合わせ、所定の断面において、前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭と前記所定の断面との交点を算出して、当該複数の交点に基づいて構成点を決定し、前記三次元出来形計測データを構成するポリゴンの輪郭と前記所定の断面との交点を算出して、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記所定の平面における、前記三次元CAD設計データにおける構成点と、前記三次元出来形計測データにおける構成点とを比較する比較手段と、
を備えた出来形管理装置。
【請求項15】
施工結果が設計で定められた寸法を満たしているかどうかを管理するための出来形管理装置をコンピュータによって実現するための出来形管理プログラムであって、コンピュータを、
三次元CAD設計データを受け取る三次元CAD設計データ受取手段と、
三次元出来形計測データを受け取る計測データ受取手段と、
前記三次元CAD設計データと前記三次元出来形計測データとを重ね合わせ、所定の断面において、前記三次元CAD設計データを構成するポリゴンの輪郭と前記所定の断面との交点を算出して、当該複数の交点に基づいて構成点を決定し、前記三次元出来形計測データを構成するポリゴンの輪郭と前記所定の断面との交点を算出して、当該複数の交点に基づいて構成点を決定する構成点決定手段と、
前記所定の平面における、前記三次元CAD設計データにおける構成点と、前記三次元出来形計測データにおける構成点とを比較する比較手段と、
して機能させるための出来形管理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−243036(P2012−243036A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111701(P2011−111701)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(500063228)
【出願人】(511121768)
【出願人】(502235692)
【出願人】(501069555)株式会社関西総合情報研究所 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(500063228)
【出願人】(511121768)
【出願人】(502235692)
【出願人】(501069555)株式会社関西総合情報研究所 (6)
【Fターム(参考)】
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