説明

日除け装置

【課題】コストを抑制しつつ組立性が良好にできる突出角度調節機能を備えた日除け装置を提供すること。
【解決手段】ブラケット4にアーム支持部44が一体に形成されるとともに、このアーム支持部44に係合歯44Bが設けられているので、別部材を用いなくても係合歯44Bに係合させてアーム連結部材14を支持することができ、部品点数を削減することができる。そして、係合歯44Bと被係合歯14Cとの係合位置を変更することによって、アーム10の突出角度が複数段階に設定できるので、簡便な構造によって突出角度の調節機構が構成できる。従って、突出角度調節機構を有した日除け装置において、部品点数が削減できることから製造コストを低減することができるとともに、突出角度調節における部品同士のクリアランスの影響が小さくでき、日除け装置の組立に要する手間や時間を減少させて組立性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日除け装置に関し、詳しくは、外壁面から突出して設けられ、アームの伸縮によって張り出し可能かつ格納可能に構成された日除け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外壁面から張り出し可能かつ格納可能に設けられる可動式の日除け装置として、外壁に固定される固定パイプと、この固定パイプに取り付けられるハウジングと、このハウジングに基端部が支持される折り畳み式のアームと、アーム先端部に固定される前棒と、この前棒に端縁が連結されて外壁側に巻き取り可能に設けられるテント布(シート)とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この日除け装置において、ハウジングとアーム基端部とは、中間子を介して連結され、この中間子がハウジングに挿入されて位置決め固定されるとともに、中間子の内周面に形成された歯形とアーム基端部の外周面に形成された歯形とが係合することで、アームが上下回転不能に支持されるようになっている。さらに、中間子およびアーム基端部の歯形同士の係合位置を変更することで、外壁面からのアームの突出角度が調節できるように構成されている。
【0003】
【特許文献1】実開平2−107644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の日除け装置では、ハウジングとアーム基端部とが中間子を介して連結されるため、この中間子自体や、中間子をハウジングに固定するためのボルト、中間子の位置を調節するためのネジなど、部品点数が多くなってしまう。そして、部品点数が多くなればなるほど部品同士の間のクリアランスが突出角度の調節に大きな影響を及ぼすため、組立性が悪化するとともに部品コストが増加するという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、コストを抑制しつつ組立性が良好にできる突出角度調節機能を備えた日除け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の日除け装置は、外壁に支持されるブラケットと、このブラケットに基端部が支持されて伸縮可能なアームと、このアームの先端側に支持される前枠と、前記ブラケットと前枠とに渡って支持される日除けシートとを備えた日除け装置であって、前記ブラケットは、前記外壁に支持されるブラケット本体部と、前記日除けシートを支持するシート支持部と、前記アームの基端部を支持するアーム支持部とを有し、これらのブラケット本体部、シート支持部およびアーム支持部が一体に形成され、前記アームの基端部は、前記アーム支持部に連結されるアーム連結部材を介して前記ブラケットに支持され、前記アーム支持部には、外壁面に平行かつ水平な基準軸を中心とする円周上に配列された複数の係合歯が形成され、前記アーム連結部材には、前記係合歯に係合する複数の被係合歯が形成され、これらの係合歯と被係合歯との係合により前記アーム連結部材およびアームが前記ブラケットに支持されるとともに、当該係合歯および被係合歯の係合位置に応じて前記アームの突出角度が複数段階に変更可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
以上の本発明によれば、ブラケットのアーム支持部に形成した係合歯とアーム連結部材に形成した被係合歯とを係合させることで、アーム連結部材を介してアームが上下回動不能に支持できるとともに、係合歯および被係合歯の係合位置を適宜変更することでアームの突出角度を複数段階に調節することができる。そして、ブラケットにおいて、ブラケット本体部およびシート支持部と、係合歯が形成されたアーム支持部とが一体に形成されているので、このブラケットのアーム支持部にアーム連結部材を介してアームの基端部を連結するだけでよく、他の中間部材が不要にできる。従って、部品点数を削減してコストを低減することができるとともに、部品点数が少なくなることから、突出角度の調節に対して部品同士の間のクリアランスが及ぼす影響が小さくでき、当該日除け装置の組立に要する手間や時間を減少させることができ、組立性を向上させることができる。
【0008】
この際、本発明の日除け装置では、前記ブラケットは、前記複数の係合歯を含めて前記ブラケット本体部、シート支持部およびアーム支持部が押出成形によって一体に形成されたアルミ形材製であることが好ましい。
このような構成によれば、ブラケットが複数の係合歯を含めて成形されたアルミ形材製であることで、アルミダイカスト製や切削加工によって製造されたものと比較して、製造コストの低減を図ることができる。
【0009】
さらに、本発明の日除け装置では、前記係合歯は、前記基準軸を通る垂直線の位置よりも前記前枠側に位置する円周上の範囲内にのみ形成され、前記アーム連結部材における前記複数の被係合歯は、前記係合歯よりも所定個数だけ少なく形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、ブラケットの係合歯よりもアーム連結部材の被係合歯の個数を少なく形成したことで、アームの突出角度を変更する際にアーム連結部材を回転させて係合位置を選択する際に、被係合歯が余らないようにできる。従って、アーム連結部材に余分な被係合歯を形成しておく必要がなくなり、アーム連結部材の軽量化および小型化を図ることができ、製造コストのさらなる低減を図ることができる。
【0010】
また、本発明の日除け装置では、前記ブラケットには、前記基準軸の位置を貫通する第1貫通孔が設けられ、前記アーム連結部材は、前記アーム支持部に隣接する平板状の連結部材本体部と、この連結部材本体部を貫通する第2貫通孔とを有して構成され、前記連結部材本体部から側方に突出して形成された前記複数の被係合歯を前記係合歯に係合するとともに、前記第2貫通孔および前記第1貫通孔に挿通したボルトとナットとによって前記アーム支持部に固定されていることが好ましい。
このような構成によれば、ブラケットの係合歯とアーム連結部材の被係合歯との係合に加えて、第1貫通孔および第2貫通孔を通したボルトおよびナットによってアーム支持部にアーム連結部材を固定することで、固定強度を高めることができる。そして、第1および第2の貫通孔とボルトおよびナットとで固定することで、係合歯や被係合歯を形成する円周の角度が180°未満であっても、アーム連結部材を確実に固定することができ、係合歯や被係合歯を360°の全周に渡って形成する必要がなくなり、アーム支持部やアーム連結部材の小型化を促進させることができる。また、第1および第2の貫通孔が基準軸の位置を貫通して形成されていることで、アーム連結部材を回転させてアームの突出角度を変更しても、第1および第2の貫通孔同士がずれることがなく、ボルトを容易に挿通することができる。
【0011】
また、本発明の日除け装置では、前記ブラケットは、前記外壁に固定されて左右に延びるベースを介して当該外壁に支持され、前記ベースには、前記ブラケットを係止可能な係止部が当該ベースの長手方向に沿って形成され、前記ブラケットの上端部には、前記係止部に係止される被係止部が形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、先ず、ベースを水平に位置決めした状態で外壁に固定しておき、このベースの係止部にブラケットの被係止部を係止させてからブラケットをベースや外壁に固定することで、少なくとも一対のブラケット同士の取付位置を適正にすることができ、日除け装置全体の水平精度が確保できる。さらに、ブラケットをベースに係止させた状態で固定作業が実施できるので、取付作業の効率化が一層向上できる。
【0012】
また、本発明の日除け装置では、前記アームの先端と前記前枠とは、アーム先端部材および前枠連結部材を介して連結され、これらのアーム先端部材および前枠連結部材の一方には、他方に固着する固着具が設けられるとともに、他方には、前記固着具と固着可能な複数の被固着部が設けられ、前記複数の被固着部は、前記複数段階のアームの突出角度に応じた所定角度ごとに形成されていことが好ましい。
このような構成によれば、アームの先端に対してアーム先端部材および前枠連結部材を介して前枠を連結し、これらのアーム先端部材と前枠連結部材とが複数の被固着部によって角度調節可能に構成されているので、アームの突出角度を変更した場合でも前枠の取り付け角度を外壁に対して一定にすることができ、日除け装置の外観が良好にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る日除け装置1を示す斜視図である。図2は、日除け装置1を示す縦断面図である。図3は、日除け装置1の要部を示す縦断面図である。
図1〜図3において、日除け装置1は、外壁2の壁面(外壁面2A)から突出して設けられたもので、外壁2を構成する建物躯体に固定されている。この日除け装置1は、外壁面2Aに移動不能に固定される装置本体部1Aと、この装置本体部1Aから屋外側(外壁2から離れる方向側)に突没自在に設けられる日除け部1Bとを備えて構成されている。装置本体部1Aは、ベース3と、このベース3を介して建物躯体に固定される一対のブラケット4と、これら一対のブラケット4に渡って取り付けられる上面カバー5および下面カバー6と、各ブラケット4の側面に取り付けられる側面カバー7とを有して構成されている。そして、日除け部1Bは、一対のブラケット4の各々に支持されて屈伸動作によって伸縮可能な一対のアーム10と、これら一対のアーム10の先端に渡って設けられる前枠20と、一対のブラケット4に渡って支持されるとともに前枠20に連結された日除けシート30と、一対のアーム10を伸縮駆動させる図示しない操作部とを有して構成されている。
【0014】
アーム10は、ブラケット4側(基端側)に設けられる第1アーム部材11と、前枠20側(先端側)に設けられる第2アーム部材12と、これら第1および第2のアーム部材11,12同士を回動自在に連結する連結ピン13とを備えて構成されている。そして、第1アーム部材11の基端部には、ブラケット4に連結されるアーム連結部材14が取り付けられている。また、第2アーム部材12の先端部には、後述するアーム先端部材15(図7〜図11参照)が取り付けられており、前枠20に固定される前枠連結部材23とアーム先端部材15とが連結されることで、アーム10に前枠20が連結されるようになっている。
【0015】
前枠20は、アルミ形材製で長尺状の前枠本体21と、この前枠本体21の上部に取り付けられて日除けシート30のシート布32先端部を保持するシート保持部材22と、前枠本体21の外壁側側面に固定されてアーム先端部材15と連結される前枠連結部材23(図7〜図11参照)とを有して構成されている。また、前枠20の左右両端部近傍における前枠本体21の外壁側側面には、ブラケット4の位置決め部材48に摺接して格納時の前枠20を位置決めする摺接部材24が取り付けられている。さらに、前枠20におけるシート保持部材22には、シート布32の先端部材33を嵌合して保持する嵌合部22Aと、上部にて外壁2から離れる方向側に向かって下方に傾斜した傾斜面22Bとが形成されている。この傾斜面22Bは、日除けシート30を巻き取って前枠20を格納した際に、上面カバー5の先端部下端縁に摺接または近接して内側に入り込み、これにより前枠20と上面カバー5とが所定の状態に納まるように構成されている。
【0016】
日除けシート30は、ブラケット4に軸支される巻き取り軸31と、この巻き取り軸31に巻き付けられたシート布32とを備え、図示しない駆動機構によってシート布32が装置本体部1A側に緊張されている。そして、シート布32の先端部には、棒状の先端部材33が設けられており、この先端部材33が前枠20におけるシート保持部材22の嵌合部22Aに保持されている。このような日除けシート30では、張り出し時におけるアーム10を介した前枠20の伸張(外壁2から離れる方向への前進)に伴い、緊張力に抗してシート布32が外壁2から離れる方向に繰り出され、一方、格納時における前枠20の外壁側への後退に伴い、駆動機構に緊張されたシート布32が巻き取り軸31に巻き取られるようになっている。
【0017】
次に、日除け装置1における装置本体部1Aの構造について、図4〜図6も参照して詳しく説明する。
図4は、装置本体部1Aの構造を示す分解斜視図である。図5は、ブラケット4とアーム10の連結部分を示す正面図である。図6は、ブラケット4に対するアームの連結構造を分解して示す正面図である。
ベース3は、左右に延びて長尺なアルミ形材製の部材であって、外壁面2Aに沿って設けられる背面部3Aと、この背面部3Aの前枠20側側面にて左右に延びて形成された上下2本の固定溝部3Bと、背面部3Aの上端縁にて左右に延びて形成されブラケット4を係止する係止部3Cと、背面部3Aの下端縁にて左右に延びかつ前枠20側に突出した突出片部3Dとを有して構成されている。このようなベース3は、外壁面2Aに沿って配置されるとともに、当該ベース3の長手方向が水平となるように保持された状態で、背面部3Aを貫通するビス3Eを建物躯体に螺合することによって、外壁2に固定されるようになっている。そして、ベース3の2本の固定溝部3Bには、ブラケット4を固定する固定ボルト47Aの頭部が挿通され、その先端が前枠20側に突出した状態で固定ボルト47Aが保持されるようになっている。
【0018】
ブラケット4は、ピース状のアルミ形材製の部材であって、アルミの押出成形によって一体形成された長尺材を所定幅に切断して製作されている。このブラケット4は、ベース3を介して外壁2に支持される上下に延びたブラケット本体部41と、このブラケット本体部41の上端部に連続して設けられ日除けシート30の巻き取り軸31を支持するシート支持部42と、ブラケット本体部41の下端部に連続して前枠20側に延びるブラケット底辺部43と、シート支持部42とブラケット底辺部43とに連続するとともに前枠20側に突出してアーム連結部材14と連結されるアーム支持部44とを有して構成されている。さらに、ブラケット本体部41の上端部には、外壁側に屈曲して形成されてベース3の係止部3Cに係止される被係止部45が設けられ、ブラケット本体部41の下端部およびブラケット底辺部43には、下面カバー6を取り付けるための凹部46Aおよび凸部46Bが形成されている。
【0019】
そして、ブラケット本体部41には、上下2箇所にボルト挿通孔41Aが形成されており、これらのボルト挿通孔41Aにベース3から突出した固定ボルト47Aを挿通させるとともに、これらの固定ボルト47Aにブラケット本体部41の前枠20側からナット47Bを締め付けることで、ブラケット4がベース3に固定されるようになっている。また、シート支持部42には、略円筒状に形成されて日除けシート30の巻き取り軸31を挿通して固定する軸固定部42Aと、この軸固定部42Aの上下に連続して傾斜した上面カバー支持部42Bとが形成されている。そして、上面カバー5は、図2に示すように、上面カバー支持部42Bにビス止め固定したカバー支持材5Aを介してブラケット4に取り付けられている。また、ブラケット4の側面(装置本体部1Aの両端部外側の側面)には、前枠20の摺接部材24に摺接して格納時に前枠20を上方に押し上げつつ位置決めする位置決め部材48が取り付けられている。この位置決め部材48には、前枠20側に向かって下方に傾斜した摺接傾斜面48Aが形成されており、この摺接傾斜面48Aと摺接部材24の傾斜面24Aとが摺接可能になっている。そして、位置決め部材48は、2本のビス48Bによってブラケット4のアーム支持部44に固定されている。
【0020】
また、ブラケット4のアーム支持部44には、外壁面2Aに沿って水平な(つまり、ブラケット4の押し出し成形方向に沿った)基準軸の位置を貫通する第1貫通孔であるボルト挿通孔44Aと、このボルト挿通孔44Aの中心軸回りに配列された複数の係合歯44Bとが形成されている。ボルト挿通孔44Aには、アーム支持部44とアーム連結部材14とを固定するボルト44Cが挿通され、このボルト44Cには、位置決め部材48の外側からナット44Dが螺合されるようになっている。また、複数の係合歯44Bは、ボルト挿通孔44Aの中心軸(基準軸)を中心とする円周上であって、前枠20側に向かって略半円形状に突出した円周上の範囲に設けられており、係合歯44B同士は、中心軸まわりに等ピッチ、例えば15°ピッチで配列されている。
【0021】
一方、アーム連結部材14は、アーム支持部44の側面(位置決め部材48と反対側の側面)に隣接する円盤状の連結部材本体部14Aと、この連結部材本体部14Aを貫通する第2貫通孔であるボルト挿通孔14Bと、連結部材本体部14Aから側方に突出して形成された複数の被係合歯14Cと、被係合歯14Cの反対側に連結部材本体部14Aから突出して形成された一対のフランジ部14Dとを有して形成されている。このアーム連結部材14は、例えば、アルミダイカスト製やアルミ削り出しにより製作された一体成形品であってもよく、また連結部材本体部14Aと被係合歯14Cやフランジ部14Dとが別体で成形された後に溶接等で接合された組立品であってもよい。そして、アーム連結部材14は、そのボルト挿通孔14Bがブラケット4におけるアーム支持部44のボルト挿通孔44Aに連続し、被係合歯14Cがアーム支持部44の係合歯44Bに係合した状態で、ブラケット4の側面にセットされるようになっている。
【0022】
すなわち、アーム連結部材14のボルト挿通孔14Bは、アーム支持部44のボルト挿通孔44Aと同軸に形成されるとともに、複数の被係合歯14Cは、ボルト挿通孔14Bの中心軸を中心とする円周上であって、アーム支持部44の係合歯44Bの外周に沿った略半円形状の範囲に等ピッチ、例えば15°ピッチで配列されている。また、アーム連結部材14の被係合歯14Cの個数は、係合歯44Bよりも1つだけ少なく形成されており、後述するようにアーム10の突出角度を変更する際に、アーム連結部材14を回転させて係合歯44Bと被係合歯14Cとの係合位置が変更された場合でも、係合歯44Bおよび被係合歯14Cの余る個数が最小となるように設定されている。このようなアーム連結部材14は、被係合歯14Cをアーム支持部44の係合歯44Bに係合させるとともに、ボルト挿通孔14B,44Aを貫通したボルト44Cにナット44Dを螺合して締め付けることで、ブラケット4に固定される。また、アーム連結部材14の一対のフランジ部14D間には、第1アーム部材11の端部部材11Aが連結ピン11Bを介して連結され、これによりアーム10の基端部がアーム連結部材14を介してブラケット4に支持されるようになっている。
【0023】
次に、前枠20とアーム10の先端部との連結構造について、図7および図8も参照して詳しく説明する。ここで、図7は、前枠20とアーム10の連結部分を示す縦断面図である。図8は、前枠20とアーム10の連結構造を分解して示す斜視図である。
アーム10の第2アーム部材12先端には、端部部材12Aおよび連結ピン12Bを介してアーム先端部材15が回動自在に取り付けられている。このアーム先端部材15は、端部部材12Aおよび連結ピン12Bに連結される第1連結部15Aと、前枠連結部材23に連結される第2連結部15Bとを有して形成され、第2連結部15Bが外壁側からのビス15Cによってアーム先端部材15が前枠連結部材23に固定される。
【0024】
一方、前枠20の前枠本体21には、当該前枠本体21の長手方向に沿って連続し外壁側に向かって開いた凹み部21Aと、この凹み部21Aの底に設けられた断面略C字形の係合溝21Bとが形成されている。そして、前枠本体21の凹み部21Aには、アーム先端部材15と連結される前枠連結部材23が設けられ、この前枠連結部材23を外壁側から貫通するボルト23Aを、係合溝21B内部に設けられたナット23Bに螺合させることで、前枠連結部材23が前枠本体21に固定されるようになっている。また、前記摺接部材24も前枠連結部材23と略同様に、凹み部21Aに沿ってセットされた状態で、当該摺接部材24を貫通するボルト24Bを係合溝21B内部のナットに螺合させて前枠本体21に固定されている。
【0025】
また、アーム先端部材15における第2連結部15Bの前枠20側(外壁2側と反対側)には、円弧状に形成した当接面15Dが形成され、前枠連結部材23の外壁2側には、円弧状に形成した当接面23Cが形成されている。そして、当接面15Dと当接面23Cとを当接させるとともに、アーム先端部材15を貫通する固着具としてのビス15Cを前枠連結部材23に螺合させることで、アーム先端部材15と前枠連結部材23とが互いに連結されるようになっている。この前枠連結部材23において、ビス15Cと螺合する被固着部としてのビス孔23Dは、上下に三段で設けられており、これら三段のビス孔23Dのうち、いずれか段のビス孔23Dを選択してビス15Cを螺合させることで、アーム先端部材15と前枠連結部材23との連結角度が変更できるように構成されている。
【0026】
次に、日除け装置1における日除け部1B(アーム10、前枠20および日除けシート30)の突出角度θを設定する設定方法について、図9〜図11も参照して詳しく説明する。ここで、図9〜図11は、それぞれ異なる突出角度θ1〜θ3に設定した状態の日除け装置1の要部を示す縦断面図である。すなわち、本実施形態において、日除け装置1は、装置本体部1Aに対する日除け部1Bの突出角度が俯角で三段階に設定できるようになっており、具体的には、図9において突出角度θ1は15°に設定され、図10において突出角度θ2は30°に設定され、図11において突出角度θ3は45°に設定されている。このような各突出角度θ1〜θ3に設定するには、アーム10の基端部において、アーム連結部材14とアーム支持部44との係合位置を変更するとともに、アーム10の先端部において、アーム先端部材15と前枠連結部材23との連結位置を変更する。
【0027】
すなわち、図9に示すように、突出角度θを15°(θ1=15°)に設定する場合には、アーム支持部44の複数の係合歯44Bのうち、最上段の係合歯44Bよりも上側かつ外壁側となるように、アーム連結部材14の最上段の被係合歯14Cを係合させるとともに、複数の係合歯44Bのうち、最下段の係合歯44Bを余らせて最下段から二番目と三番目の係合歯44B間にアーム連結部材14の最下段の被係合歯14Cを係合させ、これらの間に位置する他の係合歯44Bと被係合歯14Cとを互いに係合させる。そして、アーム先端部において、前枠連結部材23の三段のビス孔23Dのうち、最上段のビス孔23Dにアーム先端部材15からのビス15Cを螺合させることで、前枠連結部材23が略垂直に連結され、これにより前枠20が図2および図7に示す状態に支持されることとなる。
【0028】
次に、図10に示すように、突出角度θを30°(θ2=30°)に設定する場合には、アーム支持部44の最上段と最上段から二番目の係合歯44B間にアーム連結部材14の最上段の被係合歯14Cを係合させるとともに、最下段と最下段から二番目の係合歯44B間に最下段の被係合歯14Cを係合させ、これらの間に位置する他の係合歯44Bと被係合歯14Cとを互いに係合させる。そして、アーム先端部において、前枠連結部材23の三段のビス孔23Dのうち、中段のビス孔23Dにビス15Cを螺合させてアーム先端部材15と前枠連結部材23とを連結することで、前枠連結部材23が図9の場合と同様に略垂直に連結され、前枠20が図2および図7に示す状態に支持されることとなる。
【0029】
次に、図11に示すように、突出角度θを45°(θ3=45°)に設定する場合には、アーム支持部44の最上段の係合歯44Bを余らせて最上段から二番目と三番目の係合歯44B間にアーム連結部材14の最上段の被係合歯14Cを係合させるとともに、最下段の係合歯44Bよりも下側かつ外壁側となるように最下段の被係合歯14Cを係合させ、これらの間に位置する他の係合歯44Bと被係合歯14Cとを互いに係合させる。そして、アーム先端部において、前枠連結部材23の三段のビス孔23Dのうち、最下段のビス孔23Dにビス15Cを螺合させてアーム先端部材15と前枠連結部材23とを連結することで、前枠連結部材23が図9、10の場合と同様に略垂直に連結され、前枠20が図2および図7に示す状態に支持されることとなる。
【0030】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、ブラケット4にアーム支持部44が一体に形成されるとともに、このアーム支持部44に係合歯44Bが設けられているので、別部材を用いなくても係合歯44Bに係合させてアーム連結部材14を支持することができ、部品点数を削減することができる。そして、係合歯44Bと被係合歯14Cとの係合位置を変更することによって、アーム10つまり日除け部1Bの突出角度が複数段階に設定できるので、簡便な構造によって日除け部1Bの突出角度の調節機構が構成できる。従って、日除け部1B突出角度の調節機構を有した日除け装置1において、部品点数が削減できることから製造コストを低減することができるとともに、日除け部1Bの突出角度の調節における部品同士のクリアランスの影響が小さくでき、当該日除け装置1の組立に要する手間や時間を減少させて組立性を向上させることができる。
【0031】
(2)さらに、ブラケット本体部41、シート支持部42、ブラケット底辺部43、および複数の係合歯44Bを含むアーム支持部44が押出成形によって一体に形成されたアルミ形材製のブラケット4を採用したことで、アルミダイカスト製や切削加工によって製造されたものと比較して、製造コストを大幅に低減させることができる。さらに、ブラケット4のアーム支持部44が前枠20側に向かって略半円形状に突出して形成され、このアーム支持部44の外周に沿って複数の係合歯44Bが配列されている(係合歯44Bは、基準軸を通る垂直線の位置よりも前枠20側に位置する円周上の範囲内にのみ形成されている)ことで、アーム連結部材14との連結強度(係合歯44Bの個数)を確保しつつ、ブラケット4の大型化を防止することができる。
【0032】
(3)また、ブラケット4のアーム支持部44の係合歯44Bとアーム連結部材14の被係合歯14Cとの係合に加えて、ボルト挿通孔44A,14Bを通したボルト44Cおよびナット44Dによってアーム支持部44にアーム連結部材14が固定されるので、これらの連結強度を高めることができる。そして、ボルト挿通孔44A,14Bとボルト44Cおよびナット44Dとによってアーム支持部44とアーム連結部材14とが固定されることで、係合歯44Bと被係合歯14Cとの係合箇所数が少なくでき、アーム支持部44やアーム連結部材14の小型化を促進させることができる。
【0033】
(4)また、アーム10の先端部において、アーム先端部材15および前枠連結部材23を介して前枠20が連結されるとともに、前枠連結部材23に設けた三段のビス孔23Dのうち適宜な段のビス孔23Dにアーム先端部材15からのビス15Cを螺合することによって、アーム10と前枠20との取り付け角度を調節することができる。従って、アーム支持部44とアーム連結部材14とによってアーム10の突出角度を変更した場合に、この突出角度に応じて前枠20の取り付け角度を調節することができ、外壁面2Aや装置本体部1A(上面カバー5や下面カバー6等)に対する前枠20の納まりを一定にして日除け装置1の外観が良好にできる。
【0034】
(5)また、ブラケット4は、ベース3の係止部3Cに被係止部45が係止された状態で、ベース3から突出した固定ボルト47Aをブラケット本体部41のボルト挿通孔41Aに挿通させるとともに、これらの固定ボルト47Aに前枠20側からナット47Bを締め付けて固定されるので、ブラケット4の固定作業を効率的に実施することができる。さらに、予め外壁2に対してベース3を水平に位置決めした状態で固定しておき、このベース3にブラケット4を固定することで、左右のブラケット4同士が同一高さ位置に取り付けられ、日除け装置1全体の水平精度が確保できるとともに、外壁2から離れる方向に突出させた際の日除け部1Bの歪みを防止することができる。
【0035】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、ブラケット4およびアーム10が左右一対で設けられていたが、これに限らずブラケット4およびアーム10がそれぞれ3箇所以上に設けられていてもよい。
また、前記実施形態において、アーム10は、回動自在に連結された第1および第2のアーム部材11,12の屈伸動作によって伸縮可能に構成されていたが、アームの伸縮機構としては、屈伸動作によるものに限らず、複数のアーム部材同士が同軸上に進退可能に構成されたものなど、任意の形態が適用可能である。
また、前記実施形態において、係合歯44Bは、基準軸(中心軸)を通る垂直線の位置よりも前枠20側に位置する円周上の範囲全域には形成されておらず、その範囲の一部にのみ形成されていたが、この範囲全域に係合歯を形成してもよい。
【0036】
また、前記実施形態では、アーム10の先端部において、アーム先端部材15および前枠連結部材23を介して前枠20をアーム10に連結し、これらのアーム先端部材15および前枠連結部材23によって前枠20の取り付け角度が調節可能に構成されていたが、このような取り付け角度調節機構は必須ではなく、適宜省略してアーム10の先端に前枠20を直接固定してもよい。
また、前記実施形態では、日除けシート30として、巻き取り軸31にシート布32を巻き付けたタイプのものを採用したが、これに限らず、日除けシートとしては、前枠20の進退移動に伴って繰り出し、格納可能なものであればよく、例えば、蛇腹状の折り畳み収納可能なタイプのシートや、シート布自体が伸縮可能なタイプのシートなど、任意の形態のものが利用可能である。
【0037】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係る日除け装置を示す斜視図である。
【図2】前記日除け装置を示す縦断面図である。
【図3】前記日除け装置の要部を示す縦断面図である。
【図4】前記日除け装置の装置本体部の構造を示す分解斜視図である。
【図5】前記日除け装置のブラケットとアームの連結部分を示す正面図である。
【図6】前記ブラケットに対するアームの連結構造を分解して示す正面図である。
【図7】前記日除け装置の前枠とアームの連結部分を示す縦断面図である。
【図8】前記前枠とアームの連結構造を分解して示す斜視図である。
【図9】前記日除け装置における突出角度の設定方法を示す縦断面図である。
【図10】前記突出角度を変更した状態を示す縦断面図である。
【図11】前記突出角度を変更した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1…日除け装置、2…外壁、2A…外壁面、3…ベース、3C…係止部、4…ブラケット、10…アーム、14…アーム連結部材、14A…連結部材本体部、14B…ボルト挿通孔(第2貫通孔)、14C…被係合歯、15…アーム先端部材、15C…ビス(固着具)、20…前枠、23…前枠連結部材、23D…ビス孔(被固着部)、30…日除けシート、41…ブラケット本体部、42…シート支持部、44…アーム支持部、44A…ボルト挿通孔(第1貫通孔)、44B…係合歯、44C…ボルト、44D…ナット、45…被係止部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁に支持されるブラケットと、このブラケットに基端部が支持されて伸縮可能なアームと、このアームの先端側に支持される前枠と、前記ブラケットと前枠とに渡って支持される日除けシートとを備えた日除け装置であって、
前記ブラケットは、前記外壁に支持されるブラケット本体部と、前記日除けシートを支持するシート支持部と、前記アームの基端部を支持するアーム支持部とを有し、これらのブラケット本体部、シート支持部およびアーム支持部が一体に形成され、
前記アームの基端部は、前記アーム支持部に連結されるアーム連結部材を介して前記ブラケットに支持され、
前記アーム支持部には、外壁面に平行かつ水平な基準軸を中心とする円周上に配列された複数の係合歯が形成され、前記アーム連結部材には、前記係合歯に係合する複数の被係合歯が形成され、これらの係合歯と被係合歯との係合により前記アーム連結部材およびアームが前記ブラケットに支持されるとともに、当該係合歯および被係合歯の係合位置に応じて前記アームの突出角度が複数段階に変更可能に構成されている日除け装置。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記複数の係合歯を含めて前記ブラケット本体部、シート支持部およびアーム支持部が押出成形によって一体に形成されたアルミ形材製である請求項1に記載の日除け装置。
【請求項3】
前記係合歯は、前記基準軸を通る垂直線の位置よりも前記前枠側に位置する円周上の範囲内にのみ形成され、
前記アーム連結部材における前記複数の被係合歯は、前記係合歯よりも所定個数だけ少なく形成されている請求項1または請求項2に記載の日除け装置。
【請求項4】
前記ブラケットには、前記基準軸の位置を貫通する第1貫通孔が設けられ、
前記アーム連結部材は、前記アーム支持部に隣接する平板状の連結部材本体部と、この連結部材本体部を貫通する第2貫通孔とを有して構成され、前記連結部材本体部から側方に突出して形成された前記複数の被係合歯を前記係合歯に係合するとともに、前記第2貫通孔および前記第1貫通孔に挿通したボルトとナットとによって前記アーム支持部に固定されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の日除け装置。
【請求項5】
前記ブラケットは、前記外壁に固定されて左右に延びるベースを介して当該外壁に支持され、
前記ベースには、前記ブラケットを係止可能な係止部が当該ベースの長手方向に沿って形成され、前記ブラケットの上端部には、前記係止部に係止される被係止部が形成されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の日除け装置。
【請求項6】
前記アームの先端と前記前枠とは、アーム先端部材および前枠連結部材を介して連結され、これらのアーム先端部材および前枠連結部材の一方には、他方に固着する固着具が設けられるとともに、他方には、前記固着具と固着可能な複数の被固着部が設けられ、
前記複数の被固着部は、前記複数段階のアームの突出角度に応じた所定角度ごとに形成されている請求項1から請求項5のいずれかに記載の日除け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−235667(P2009−235667A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78945(P2008−78945)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】