説明

時計

【課題】不安定な指針の挙動が視認されることを回避できるとともに消費電力を低減することができる時計を提供する。
【解決手段】電波時計1は、秒針を駆動するステップモータ7と、ステップモータ7に駆動パルスを供給すると共に駆動パルスの駆動エネルギーを変更可能な制御部4と、周囲の照度を検出する照度センサ60と、を備え、制御部4は、検出された照度が所定の閾値以下に変化した場合に、ステップモータ7に供給する駆動パルスを駆動エネルギーが小さくなるように変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、指針を駆動するためのモータへ供給される駆動パルスの駆動エネルギーを変更可能な時計が開示されている。例えば、駆動パルスの駆動エネルギーを、指針が駆動する範囲内で小さく変更することにより、モータの消費電力を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−195436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、駆動パルスの駆動エネルギーが小さくなるように変更すると、指針の駆動エネルギーが低下して、指針が停止する等、指針の挙動が不安定になる恐れがある。このような不安定な指針の挙動を、ユーザに視認されることはできる限り避けることが望ましい。
【0005】
そこで本発明は、不安定な指針の挙動が視認されることを回避できるとともに消費電力を低減することができる時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、指針を駆動するモータと、前記モータに駆動パルスを供給すると共に駆動パルスの駆動エネルギーを変更可能な制御部と、周囲の照度を検出する照度センサと、を備え、前記制御部は、検出された照度が所定の閾値以下に変化した場合に、前記モータに供給する駆動パルスを駆動エネルギーが小さくなるように変更する、時計によって達成できる。
【0007】
照度が所定の閾値以下の場合には時計周辺は暗くなっているため、駆動パルスの駆動エネルギーを小さく変更したことに起因して指針の挙動が不安定になった場合であっても、このような不安定な指針の挙動がユーザに視認されることを回避できる。また、挙動が不安定になった場合には、ただちに駆動パルスを変更前のものに戻すので、さらに不安定な指針の挙動がユーザに視認されることを回避できる。そして、駆動パルスの駆動エネルギーを小さく変更することにより、モータの消費電力を低減できる。
【発明の効果】
【0008】
不安定な指針の挙動が視認されることを回避できるとともに消費電力を低減することができる時計を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例に係る電波時計の主要構成を示したブロック図。
【図2】図2は、電波時計の輪列の主要部分を示した断面図。
【図3】図3Aは、駆動パルスのパルス幅を規定したテーブル、図3Bは、駆動パルスのタイミングチャートの例示図。
【図4】図4は、制御部が実行する制御の一例を示したフローチャート。
【図5】図5は、制御部が実行する制御の一例を示したフローチャート。
【図6】図6は、制御部が実行する制御の一例を示したフローチャート。
【図7】図7は、電波時計の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、電波を受信して時刻を修正するアナログ式の電波時計について説明する。図1は、実施例に係る電波時計の主要構成を示したブロック図である。電波時計1は、不図示の発信局から電波送信される標準時刻電波(時刻コード信号)を、特定時刻に受信アンテナ2及び受信回路3を介して制御部4のCPU5に受信する。この信号はCPU5から内部時計6に供給される。CPU5は、この時刻コード信号に基づいて内部時計6の時刻を修正すると共に、ステップモータ7、30を制御して輪列8を回転して指針9の指す時刻を修正する。このように指針9の指す時刻を修正するために、電波時計1は輪列8の位置を検出するための位置検出機構10を備えている。
【0011】
位置検出機構10は、所定の周期或いは時刻で輪列位置を検出する。位置検出機構10からの検出信号がCPU5に供給され、制御部4はこの検出信号に基づいてステップモータ7、30を駆動制御する。電波時計1は、受信アンテナ2から受信した信号に基づいて時刻修正するときに位置検出機構10からの検出信号を用いる。ステップモータ7、30は、電源PWからの電力に基づいて駆動する。
【0012】
制御部4は、ステップモータ7に供給する駆動パルスの駆動エネルギーを変更できる。詳細には、制御部4は、所定の条件を満たす場合に駆動パルスの駆動エネルギーが小さくなるように変更する。詳しくは後述する。
【0013】
制御部4には、図7に示す照度センサ60が接続されている。照度センサ60は電波時計1周囲の照度を検出する。照度センサ60から信号に基づいて、制御部4は、ステップモータ7に供給する駆動パルスの駆動エネルギーを変更する。照度センサ60は、公知のものである。
【0014】
図2は、電波時計1の輪列の主要部分を同一平面に展開した断面図である。同図では複数の輪列を同一平面に展開して図示する都合上、反射型センサ14が2つの反射型センサ14a、14bとして表示されているが、実際には1つであり、同一のものである。下ケース20と中ケース21との間には、制御部4のCPU5から駆動パルスの供給を受けて動作するステップモータ30が設けられている。ステップモータ30のロータには当該ロータと一体に回転するロータカナ31、駆動車32、中間車33、分針車34、日の裏車35及び時針車36がそれぞれ回転自在に軸支されている。ロータカナ31、駆動車32、中間車33、分針車34、日の裏車35及び時針車36は、順に噛合している。
【0015】
中ケース21と上ケース22との間には、ステップモータ7が配設されている。ステップモータ7のロータには当該ロータと一体に回転するロータカナ80が設けられている。ロータカナ80、歯車47、秒針車48は順に噛合しており、ステップモータ7の動力は、秒針車48に伝達される。分針車34及び時針車36と秒針車48とは、中ケース21に一体的に設けてあるパイプ21bにそれぞれ回転可能に嵌合している。指針9は、端部48Tに取り付けられた秒針、端部34Tに取り付けられた分針、端部36Tに取り付けられた時針を含む。
【0016】
位置検出機構10の構成を図2に示す。歯車47には、位置検出用の透孔47aが形成されている。さらに、この歯車47には、透孔47aと180度離れた位置に輪列組込み用の位置決め孔47bが形成されている。秒針車48には、同一円周上で180度離れた位置に透孔48aと、反射板からなる反射部48bとが形成されている。
【0017】
中間車33には同一円周上に120度間隔で3つの透孔33aが、分針車34には秒針車48の透孔48aと同一半径の円周上に120度間隔で3つの透孔34aが形成してある。時針車36には透孔48aと同一半径の円周上に7つの透孔36aが形成されている。中ケース21には、透孔21aが形成されている。12時間のうち、8つの基準時刻において、透孔47a、48a、21a、33a、34a、36aが一直線上に並ぶ。
【0018】
下ケース20には、複数の透孔が並んだ一直線上に発光ダイオード19が固定されている。歯車47の上方に配置された基板13には、この一直線上に、反射型センサ14が固定されている。反射型センサ14は、受光素子及び発光素子を備えている。位置検出機構10は以上のような構成を備えている。
【0019】
上述した位置検出機構10の構成によって、時針、分針、秒針の位置を検出することが可能である。例えば、透孔47a、48a、21a、33a、34a、36aが一直線上に並ぶタイミングで制御部4が発光ダイオード19の発光素子を発光させるとともに、反射型センサ14の受光素子が受光したかを制御部4によって確認することで、制御部4は時針と分針の位置を特定することができる。
【0020】
また、位置検出機構10を用いて秒針の位置を検出することもできる。反射型センサ14と反射部48bとは、ステップモータ30が正常に駆動している場合には、30秒の位置で対向するように設定されている。制御部4は、このタイミングで反射型センサ14の発光素子を発光させる。これにより、反射型センサ14の発光素子の照射光は、反射部48bにより反射され、反射型センサ14の受光素子が受光する。制御部4は、反射型センサ14の受光素子が受光したことを確認することにより、秒針車48の位置を確認することができる。
【0021】
このように位置検出機構10は、時針、分針、秒針の位置を特定する際に用いられるものだが、本発明においては、ステップモータ7が正常に動作しているか否かの判定も位置検出機構10を用いて行うようにした。
【0022】
秒針車48は、1分間で1回転する。従って、秒針車48の位置を確認した後、通常運針時に30秒周期(所定周期)で反射型センサ14の発光素子を動作させるようにした場合、ステップモータ7が正常に動作していれば、秒針車48の30秒にあたる位置では反射型センサ14と反射部48bとが対向するので受光が確認できるが、00秒にあたる位置では反射型センサ14と反射部48bとが対向することはないので、反射型センサ14の発光素子を発光させても受光を示す信号が得られることはない。これに反して受光を示す信号が00秒の位置で得られたり、30秒の位置でも受光を示す信号が得られない場合にはステップモータ7が正常に動作していないことが考えられる。このように制御部4はステップモータ7が正常に駆動しているか否かを判断することができる。
【0023】
次に、ステップモータ7に連動する秒針車48の位置を検出することにより、ステップモータ7が正常に駆動しているか否かを判断する理由について説明する。
【0024】
従来から、モータの駆動コイルに発生する逆誘起電圧を検出することにより、モータのロータが正常に回転したか否かを判定する方法が知られている。しかしながら、微弱な逆誘起電圧を検出するために逆誘起電圧を増幅する回路が必要となり、コストが上昇する恐れがある。また、逆誘起電圧は回転する指針の慣性力の影響により変動し、この変動を抑えるために指針の仕様が制限されるおそれがある。
【0025】
また、ロータ近傍に配置された磁気センサからの出力に基づいて、ロータが正常に回転したか否かを判定することもできる。しかしながら、磁気センサやその周辺回路が必要になりコストが上昇する恐れがある。
【0026】
従って、ステップモータ7に連動する秒針車48の位置を検出することにより、ステップモータ7が正常に駆動しているか否かを判断することにより、製造コストが抑制されている。
【0027】
また、本実施例の電波時計1においては秒針を駆動するモータはステップモータ7であるが、スイープモータを採用した場合、ステップモータと異なり、ロータは略一定のスピードで回転し続け、停止している期間がない。このため、逆誘起電圧を検出することにより、ロータの回転、停止を検出することは困難である。
【0028】
本実施例の電波時計1では、秒針車48が所定の位置にあるか否かに基づいて指針が正常に駆動しているか否かを判定する。このため、秒針を駆動するモータがスイープモータの場合であっても、スィープモータが正常に回転しているか否かを判定でき、指針が正常に駆動しているか否かを判定できる。
【0029】
次に、ステップモータ7に供給する駆動パルスについて説明する。図3Aは、駆動パルスのパルス幅を規定したテーブルである。図3Bは、駆動パルスのタイミングチャートの例示図である。図3Aに示したパルス幅を規定したテーブルは、制御部4のメモリ部4Mに格納されている。駆動パルスのパルス幅は、パルスランク毎に規定されており、ランク1〜5に対して、それぞれパルス幅が、14ms、16ms、18ms、20ms、22msと対応付けられている。また、補正パルスのパルス幅は28msと設定されている。パルス幅が大きいほど、駆動パルスの駆動エネルギーが大きく消費電力も大きい。制御部4は、所定の条件に基づいて、駆動パルスの駆動エネルギーが小さくなるように変更する。
【0030】
尚、制御部4は、駆動パルスのパルス幅を変更することにより駆動パルスの駆動エネルギーを変更するが、このような構成に限定されず、例えば、デューティー比、電圧値のいずれかを変更することにより、より駆動パルスの駆動エネルギーを変更してもよい。
【0031】
次に、制御部4の制御について説明する。図4〜6は、制御部4が実行する制御の一例を示したフローチャートである。尚、図4〜6は、ステップモータ7、30を駆動している最中に実行される制御である。まず、ステップモータ7が正常に駆動している場合の制御部4の制御について説明する。
【0032】
なお、ステップモータ7を駆動している現在のパルスランクは制御部4のメモリ部4Mに格納されているものとし、現在はパルスランク5でステップモータ7が駆動されており、正常に動作しているものとする。
【0033】
制御部4は、照度センサ60からの出力に基づいて照度が所定の閾値よりも上の状態から所定の閾値以下の状態に変化したか否かを判定する(ステップS1)。照度が所定の閾値よりも上の状態とは、例えば、電波時計1の周囲が、電波時計1の指針9を十分に視認できる程度に明るい状態である。また、照度が所定の閾値以下の場合とは、例えば、電波時計1の周囲が、電波時計1の指針9を視認できない程度の暗い状態である。なお、本実施形態においては3LUXを照度の閾値としている。
【0034】
判定結果が否定判定の場合には、制御部4は継続してステップS1の処理を実行する。照度が所定の閾値以下に変化したと判定した場合、制御部4は、駆動パルスのパルスランクを、現在設定されているパルスランクよりも一つ下のパルスランクに設定して(ステップS2)運針する(ステップS3)。すなわち現在のパルスランクをランク5からランク4に変更し、このパルスランクを現在のパルスランクとしてメモリ部4Mに格納する。次に、制御部4は、内部時計6が00秒を示しているか否かを判定する(ステップS4)。否定判定の場合には、制御部4は、再度ステップS3以降の処理を実行する。
【0035】
このように、パルスランクを下げることにより、制御部4は、ステップモータ7に供給される駆動パルスの駆動エネルギーが小さくなるように変更する。これにより、消費電力を抑制できる。また、照度が所定の閾値以下において駆動パルスの駆動エネルギーを小さく変更することにより、運針停止等の不安定な挙動を起こす場合があるが、このような不安定な指針の挙動がユーザに視認されることを防止できる。
【0036】
内部時計6が00秒になった場合(ステップS4でYes)、制御部4は、反射型センサ14の発光素子を発光させ、反射型センサ14の受光素子が受光したことを示す検出信号が有るか否か判定する(ステップS5)。尚、ステップモータ7が正常に駆動している場合には、内部時計6が00秒の時には反射型センサ14と反射部48bとは対向しないので、制御部4が、反射型センサ14の受光素子の検出信号を得ることはない。
【0037】
ステップS5で否定判定の場合、制御部4は、現在のパルスランクで運針し(ステップS6)、内部時計6が30秒を示しているか否かを検出する(ステップS7)。30秒を示していない場合には、制御部4は、再度ステップS6以降の処理を実行する。
【0038】
ステップS7で肯定判定の場合、制御部4は、反射型センサ14の発光素子を発光させ、反射型センサ14の受光素子が受光したことを示す検出信号が有るか否かを判定する(ステップS8)。ステップモータ7は正常に駆動している場合には、30秒の位置で、反射型センサ14の受光素子から検出信号が制御部4へと出力される。従ってステップS8で肯定判定の場合には、制御部4は、図5に示すように、現在のパルスランクで運針し(ステップS13)、内部時計6が00秒を示した場合に(ステップS14でYes)、秒針を停止させる(ステップS15)。詳細には、制御部4は、ステップモータ7への駆動パルスの供給を停止してステップモータ7を停止させる。このように、照度が所定の閾値よりも上の状態から所定の閾値以下に変化した場合に秒針の運針を停止することにより、消費電力を大きく抑制でき、且つ停止した秒針がユーザに視認されることも防止できる。
【0039】
なお、現在のパルスランクがランク1である場合には、ステップS13以降の処理を行なう。すなわち照度が所定の閾値よりも上の状態から所定の閾値以下に変化した場合に秒針を運針するパルスランクを、それ以上下げることはせずにランク1のまま運針し、内部時計6が00秒を示した場合に秒針を停止させる。
【0040】
秒針の停止期間中は、制御部4は、照度センサ60からの出力に基づいて照度が所定の閾値を超えたか否かを判定し、(ステップS16)、超えた場合には、図6に示すように、内部時計6が00秒を示したか否かを判定する(ステップS17)。肯定判定の場合には、制御部4は、補正パルスでステップモータ7を始動させる(ステップS18)。なお、所定の閾値を超えたか否かを判定する閾値は、前述の閾値以下に変化したか否かを判定する閾値と同じ値である必要はなく、閾値以下に変化したか否かを判定する閾値よりも高い値としても良い。
【0041】
このようにパルス幅が最も大きい補正パルスでステップモータ7を再始動させることにより、安定してステップモータ7を再始動させることができる。例えば、ステップモータ7の代わりに、スイープモータを用いた場合、ステップモータよりも始動時に必要とされる駆動エネルギーは大きい。しかしながら、最も駆動エネルギーの大きい補正パルスを用いることにより、スイープモータであっても正常に始動させることができる。
【0042】
また、秒針を停止させる時刻と秒針を再始動させる時刻とを、内部時計6の時刻に基づいて一致させることにより、秒針の位置を内部時計6の時刻と一致させて秒針を再始動させることができる。
【0043】
その後、内部時計6が00秒を示した時(ステップS19でYes)、即ち、補正パルスで60秒間ステップモータ7を駆動した後、制御部4は、メモリ部4Mに格納してある現在のパルスランクで運針する(ステップS20)。これにより、補正パルスが継続して供給されることに伴う消費電力の増大が抑制される。
【0044】
次に、ステップモータ7が正常に駆動していない場合の制御部4の制御について説明する。この場合においても、制御部4はステップS1で照度が所定の閾値以下の場合に、駆動パルスの駆動エネルギーを変更する処理を行う。
【0045】
ステップS5で否定判定され、ステップS8でも否定判定された場合、制御部4は、1パルス分を補正パルスにしてステップモータ7を駆動する(ステップS9)。補正パルスを用いることによりステップモータ7を確実に駆動できる。その後、制御部4は、反射型センサ14の発光素子を発光させ、反射型センサ14の受光素子が受光したことを示す検出信号が有るか否かを判定する(ステップS10)。否定判定の場合には、制御部4は、再度ステップS9の処理を実行する。即ち、ステップS10で否定判定の場合には、制御部4は、反射型センサ14の受光素子から検出信号が出力されるまで、補正パルスでステップモータ7を駆動しつつ反射型センサ14の発光素子を発光させる。
【0046】
検出信号があった場合、制御部4は、補正パルスにより秒針の位置を現在時刻に補正する(ステップS11)。具体的には、内部時計6が示す秒数に対する秒針の遅れ分を算出し、秒針の遅れ分に対応した数の補正パルスをステップモータ7に供給する。内部時計6が示す秒数に対する秒針の遅れ分は、ステップS8で否定判定されてから、補正パルスで運針されてステップS10で肯定判定されるまでの間にステップモータ7に供給された補正パルスの数で算出できる。
【0047】
その後、制御部4は、パルスランクを1ランク上げた駆動パルスに設定し(ステップS12)、これを現在のパルスランクとしてメモリ部4Mに格納する。なお、1ランク上げた駆動パルスは、1ランク下げる前にはステップモータ7を正常に駆動することができていたものであるから1ランク駆動パルスを上げるように設定することでステップモータ7は正常に駆動される。そして、ステップS13以降の処理を実行する。
【0048】
このように、ステップモータ7が正常に駆動していない場合には、制御部4は、照度が所定の閾値以下の場合に秒針の位置を現在時刻に補正する(ステップS11)。従って、秒針の位置の補正に伴う秒針の不安定な挙動が、ユーザに視認されることを防止できる。また、補正パルスで秒針の位置を補正した後にパルスランクを1ランク上げるので、その後に再度ステップモータ7が正常に回転しなくなることが防止される。
【0049】
次に、ステップモータ7が正常に駆動しておらず、反射部48bと反射型センサ14とが対向した状態で秒針車48が停止している場合の制御部4の制御について説明する。このような場合には、本来反射型センサ14の受光素子からの検出信号が無いはずの状態においても、反射型センサ14の受光素子から検出信号が制御部4へ出力される。従って、ステップS5において肯定判定がなされる。その後、制御部4は、補正パルスをステップモータ7に供給して(ステップS9)、指針の位置を補正する(ステップS11)。これにより、反射部48bと反射型センサ14とが対向した状態で秒針車48が停止している場合についても、ステップモータ7が正常に駆動していないと判断でき、秒針の位置を補正できる。
【0050】
このように、制御部4は、反射型センサ14の受光素子からの検出信号が本来出力されるべきタイミング及び本来出力されるべきではないタイミングの双方のタイミングにおける検出信号の出力の有無に基づいて、ステップモータ7が正常に回転しているか否かを判定する。検出信号が本来出力されるべきではないタイミングにおいても検出信号の出力の有無を確認することにより、例えば、検出信号が出力される位置でステップモータ7が停止し続けた場合であっても、ステップモータ7の駆動の異常を判定できる。
【0051】
また、上述したように、制御部4は、原則的に、内部時計6が示す時刻が所定の場合に、反射型センサ14の発光素子を発光させる。即ち、制御部4は、所定の周期で秒針車48の位置の検出を行う。これにより、制御部4の処理の負荷を軽減でき、消費電力を低減できる。
【0052】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0053】
秒針を駆動するモータとしてステップモータ7を用いたが、スイープモータを用いてもよい。
【0054】
また、電波時計を例に実施形態を説明したが、電波時計でなくともよい。
【符号の説明】
【0055】
1 電波時計
4 制御部
4M メモリ部
5 CPU
6 内部時計
7、30 ステップモータ
8 輪列
9 指針
10 位置検出機構
14 反射型センサ
48 秒針車
48b 反射部
PW 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針を駆動するモータと、
前記モータに駆動パルスを供給すると共に駆動パルスの駆動エネルギーを変更可能な制御部と、
周囲の照度を検出する照度センサと、を備え、
前記制御部は、検出された照度が所定の閾値以下に変化した場合に、前記モータに供給する駆動パルスを駆動エネルギーが小さくなるように変更する、時計。
【請求項2】
前記制御部は、前記モータにより駆動する歯車が所定の位置にあることを検出する位置検出部の検出結果により前記モータが正常に回転しているか否かを判定し、この判定結果に基づいて駆動パルスの駆動エネルギー変更の可否を決定する、請求項1の時計。
【請求項3】
前記制御部は、前記位置検出部からの検出信号が本来出力されるべきタイミング及び本来出力されるべきではないタイミングの双方のタイミングにおける検出信号の出力の有無に基づいて、前記モータが正常に回転しているか否かを判定する、請求項2の時計。
【請求項4】
前記制御部は、前記位置検出部からの検出信号の有無を所定の周期で確認する、請求項3の時計。
【請求項5】
前記制御部は、検出された照度が所定の閾値以下であることに基づいて駆動パルスの駆動エネルギーが小さくなるように変更した後に前記モータを停止させ、検出された照度が所定の閾値を超えた場合には前記モータを始動させる、請求項1乃至4の何れかの時計。
【請求項6】
前記制御部は、前記モータを始動時から所定期間、駆動パルスの駆動エネルギーを通常指針を駆動する際に用いられる駆動パルスよりも大きくなるように変更する、請求項5の時計。
【請求項7】
前記位置検出部は、前記歯車に向けて光を照射する発光部、前記歯車の位置に応じて前記発光部の光の受光状態が変化する受光部、を含む、請求項1乃至6の何れかの時計。
【請求項8】
前記制御部は、パルス幅、デューティー比、及び電圧値のうち少なくとも一つを変更することにより、駆動パルスの駆動エネルギーを変更する、請求項1乃至7の何れかの時計。
【請求項9】
受信した標準時刻電波に基づいて時刻が修正される内部時計を備えている、請求項の1乃至8の何れかの時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−122891(P2011−122891A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279695(P2009−279695)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(396004970)セイコークロック株式会社 (44)
【Fターム(参考)】