説明

有機物の処理方法、熱分解炉、発電システム、及び可燃性ガスの製造方法

【課題】有機物を熱分解することにより無定形炭素と可燃性ガスとを得る。
【解決手段】有機物Oを、燃焼用空気の非供給下で熱分解することにより炭化して無定形炭素Cを生成する。そして、熱分解途上の有機物から発生する、第1可燃性ガスと気体状のタールとを含む未処理ガスを、大気圧下で800〜1000℃の温度に保たれた無定形炭素に流通させて、未処理ガス中のタールを熱分解反応により分解して第2可燃性ガスを発生させるとともに、未処理ガスからタールが除去された処理ガスを得る。そして、処理ガス及び第2可燃性ガスが混合された可燃性ガスを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有機物の処理方法、この処理方法を利用した熱分解炉、この熱分解炉を利用した発電システム、及び可燃性ガスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機物の熱分解により可燃性ガスと炭化物とを得る方法としては、さまざまなものが知られている。得られた可燃性ガスは、各種燃料として用いることができる。また、得られた炭化物は、吸着材や土壌改質剤として用いることができる。
【0003】
これらの方法に共通した課題が、可燃性ガスの収量を向上すること、及び、熱分解の過程で発生するタールを低減することである。
【0004】
これらの課題を同時に解決することを目的とした従来技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
この従来技術では、熱分解を行わせる縦型の加熱室を備えた加熱容器を用いていて、その側面に加熱体が設けられている。この加熱容器に、投入時間をずらして段階的に含水有機物を投入する。
【0006】
なお、従来技術で用いられる「含水有機物」なる用語は、この明細書中で用いられる「有機物」と同様の意味を示している。
【0007】
投入された含水有機物は、加熱容器中での加熱時間が異なることに由来して、(1)水分を含んだまま残存している含水有機物と、(2)熱分解途上の含水有機物から水分が抜けた乾燥物と、(3)この乾燥物が熱分解された炭化物とが、加熱容器中で、この順序で上側から下側へと積層する。
【0008】
この加熱体は、投入された含水有機物を水の蒸発温度にまで加熱し、かつ、乾燥物を600〜800℃の温度にまで加熱するように配置されているが、加熱体は炭化物を加熱するようには配置されていない。
【0009】
ところで、含水有機物からは、加熱により水蒸気が発生する。また、乾燥物からは、熱分解の過程で可燃性ガス及び気体状のタールが発生する。
【0010】
一方、熱分解は、加熱容器の含水有機物側の有機物供給口を閉鎖し、炭化物側の発生ガス排出口のみを開放した状態で行われる。したがって、発生した水蒸気は、乾燥物及び炭化物をこの順序で流通して、発生ガス排出口から排出される。
【0011】
発生した水蒸気は、乾燥物を流通する過程で、乾燥物から発生する気体状タールと接触し、タールを水蒸気改質する。これにより、タールのほとんどは分解されて可燃性ガスへと変質する。タールが可燃性ガスへと変質する結果、可燃性ガスの収量が増大するとともに、タールの発生量が減少する。
【0012】
さらに、水蒸気と反応しなかったタールは、炭化物に流通し、炭化物に捕捉される。これにより、タールの発生量がさらに減少する。
【特許文献1】特開2005−36108号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、この従来技術は、タールを分解して可燃性ガスを得るために、水蒸気を必要とする。そのため、タールの分解量が、乾燥物への水蒸気の供給量により制限されてしまう。つまり、乾燥物への水蒸気の供給が不足した場合には、タールを充分に分解することができなくなり、結果として、可燃性ガスの収量低下を招く。すなわち、この従来技術においては、乾燥物から発生するタールに対して当量以上の水蒸気を絶えず供給するように、含水性有機物の加熱容器への投入量を調整しなければならない。
【0014】
この発明は、このような問題点に鑑みなされたものである。したがって、この発明は、有機物を熱分解することにより無定形炭素と可燃性ガスとを得る有機物の処理方法を提供することを目的とする。詳細には、無定形炭素と可燃性ガスとを生成するにあたり、タールを水蒸気改質によらずに分解することで、可燃性ガスの収量を増大させることができる有機物の処理方法を提供することを目的とする。
【0015】
また、この発明は、上述の有機物の処理方法を利用した熱分解炉、及び、この熱分解炉を利用した発電システムを提供することを目的とする。
【0016】
また、この発明は、有機物を熱分解することにより可燃性ガスを得る可燃性ガスの製造方法、特に、水蒸気改質によらないタールの分解により、可燃性ガスの収量を増大することができる可燃性ガスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の課題を解決するために、この発明の有機物の処理方法は、下記の処理により、有機物を熱分解して、無定形炭素と可燃性ガスとを生成する。
【0018】
すなわち、有機物を熱分解することにより炭化して無定形炭素を生成する。
【0019】
そして、熱分解途上の有機物から発生する、第1可燃性ガスと気体状のタールとを含む未処理ガスを、無定形炭素の集合体に流通させて、未処理ガス中のタールを無定形炭素に吸着させることで、タールが除去された処理ガスとする。
【0020】
そして、タールを吸着した無定形炭素を、大気圧下で800〜1000℃の温度に保つことで、タールを熱分解反応により分解して第2可燃性ガスを発生させる。
【0021】
そして、処理ガス及び第2可燃性ガスが混合された可燃性ガスを生成する。
【0022】
ここで、熱分解反応とは、高温度下に置かれたタール及び有機物等が熱エネルギーのみにより分子量の小さいガスと無定形炭素へと分解する反応のことを示す。
【0023】
また、無定形炭素とは、炭素原子の6角平面格子を基本とした単体炭素のことを示す。
【0024】
この発明によれば、有機物は未処理ガスを発生させながら熱分解により炭化され、最終的には無定形炭素が得られる。
【0025】
この未処理ガスは、炭化終了後の無定形炭素の集合体へと流通される。これにより、タールが無定形炭素へと吸着されて、未処理ガスは処理ガスとなる。
【0026】
タールを吸着した無定形炭素は、大気圧下で800〜1000℃の温度に保持される。これにより、無定形炭素に吸着されているタールが熱分解反応により分解し、タールよりも分子量が小さい第2可燃性ガスが発生する。このように、タールは、熱分解反応により分解されるので、水蒸気は必要とされない。
【0027】
無定形炭素に吸着されたタールから発生する第2可燃性ガスは、無定形炭素の集合体を流通する未処理ガスの流れに乗って輸送される。ところで、未処理ガスは、無定形炭素の集合体を流通するにしたがって徐々にタールが除去され、最終的には処理ガスとなる。よって、無定形炭素の集合体を流通し終わった段階では、未処理ガス中からタールが除去された処理ガスと、第2可燃性ガスとが混合された可燃性ガスが得られる。
【0028】
また、この発明の有機物の処理方法においては、無定形炭素の集合体中を、未処理ガスが流通可能な状態で、800〜1000℃の温度で、10分以上保持することが好ましい。
【0029】
このようにすることにより、無定形炭素に吸着されたタールは、第2可燃性ガスへとほぼ完全に分解される。
【0030】
また、この発明の有機物の処理方法で、(1)無定形炭素の集合体に流通させない、及び(2)800℃未満の温度とする、という双方の条件を満たした状態で、未処理ガスを冷却して、タールを液化した場合の液化タールの質量を分解前質量とする。また、可燃性ガスを冷却して、タールを液化した場合の液化タールの質量を分解後質量とする。このとき、分解後質量は、分解前質量の1/100以下の質量であることが好ましい。
【0031】
このようにすることにより、未処理ガス中に含まれていたタールは、質量換算で99%以上が除去される。
【0032】
この発明の第1の熱分解炉は、上述の有機物の処理方法を利用したものである。すなわち、この熱分解炉は、分解筒と、供給手段と、加熱手段と、回転手段と、タール分解手段と、取出口手段とを備えている。
【0033】
分解筒は、中空筒状の回転型の分解筒であり、一端開口から他端開口にかけて高さが低くなるように傾斜して配置され、一端開口から他端開口に向けて、有機物が熱分解されながら移動する。
【0034】
供給手段は、分解筒の気密性を保った状態で一端開口に設けられ、分解筒に連続的に有機物を供給することができる。
【0035】
加熱手段は、分解筒の側面を外側から囲むように設けられ、有機物を加熱する。
【0036】
回転手段は、有機物の熱分解中に、分解筒を、その中心軸の周りで周方向に回転させる。
【0037】
タール分解手段は、熱分解途上の有機物から発生する、第1可燃性ガスと気体状のタールとを含む未処理ガスを、熱分解途上の当該有機物よりも他端開口側に存在する無定形炭素の集合体中に流通させるとともに、加熱手段による加熱により、無定形炭素に吸着されたタールを分解させて第2可燃性ガスを発生させる。
【0038】
取出口手段は、分解筒の他端開口に設けられ、無定形炭素、並びに、未処理ガス中のタールが除去された処理ガス及び第2可燃性ガスが混合された可燃性ガスを、分解筒から連続的に取り出すように構成されている。
【0039】
この発明の第1の熱分解炉によれば、供給手段により分解筒の一端開口側には、連続的に有機物が供給される。分解筒が、(1)一端開口から他端開口に向けて、高さが低くなるように傾斜して配置されていること、(2)分解筒が加熱手段により加熱されていること、及び(3)熱分解中に回転手段により分解筒が中心軸の周りで周方向に回転されることにより、供給された有機物は、徐々に熱分解されながら一端開口から他端開口に向けて分解筒内を移動していく。
【0040】
タール分解手段は、熱分解途上の状態にある、供給手段側に存在する有機物から発生する未処理ガスを、熱分解が終了し炭化された、取出口手段側に存在する無定形炭素の集合体中へと流通させる。これにより、未処理ガス中のタールは、この無定形炭素へと吸着される。
【0041】
ところで、分解筒内の無定形炭素は、加熱手段により800〜1000℃の温度に加熱されている。よって、無定形炭素に吸着されたタールは、熱分解反応により分解され、第2可燃性ガスを発生する。
【0042】
発生した第2可燃性ガスは、処理ガスとの混合ガス(可燃性ガス)として、無定形炭素とともに取出口手段より取り出される。
【0043】
第1の熱分解炉において、タール分解手段は、分解筒内に、中心軸の方向に沿って直列に配置された複数の停留室と、個々の停留室を画成するとともに、隣接する停留室間を連通させているm枚(ただし、mは3以上の整数)の邪魔板と、取出口手段の重力方向の上側領域を開口させるとともに、取出口手段の重力方向の下側領域をふさぐように設けられていて、分解筒内に無定形炭素を停留させるための蓋とを備えていることが好ましい。
【0044】
ここで、邪魔板の各々は、それぞれ分解筒の内壁面に直角に接続されていて、かつ、互いに隣接する停留室間を連通する連通孔を、邪魔板と内壁面との間にそれぞれ形成している。
【0045】
そして、中心軸方向に対するm枚の邪魔板の正射影において、下記(1)〜(6)のようにパラメータを設定する。このとき、複数の連通孔のそれぞれを、H≧h、かつ、Θ>αを満たすような、合同の平面形状とする。さらに、回転方向に沿って互いに隣接する2個の連通孔を、Θ≧βを満たすように配置する。
【0046】
そして、m枚の邪魔板の内、n枚(ただし、nは、n≧3、かつ、n≦mの整数)の邪魔板を、以下の条件を満足するように設ける。
【0047】
(条件)n・λ≧360°を満たす最小のn枚の邪魔板の中心軸方向に対する正射影において、n・λ=360°の場合には、互いに隣接する連通孔の位相がλずつ、ずれて、n個の連通孔が配置されている。また、n・λ>360°の場合には、互いに隣接する連通孔の内、n−1対においては、位相がλずつ、ずれており、かつ、残りの1対においては、位相が、360°−(n−1)λだけずれて、n個の連通孔が配置されている。
【0048】
(1)分解筒の内壁面及び無定形炭素の集合体の接触領域の分解筒の回転方向に沿った両端と、分解筒の中心軸とをそれぞれ結ぶ2線分で挟まれた角度をΘとする。
【0049】
(2)内壁面の重力方向の最下端位置から、重力方向に沿って測った無定形炭素の厚みをHとする。
【0050】
(3)任意の連通孔において、回転方向の前方に位置する連通孔の端部を前端部とし、連通孔の回転方向の後方の端部を後端部とし、前端部及び後端部と、中心軸とをそれぞれ結ぶ2線分で挟まれた角度をαとする。
【0051】
(4)任意の連通孔が重力方向の最下端位置に存在する場合に、内壁面の重力方向の最下端位置の高さを基準として、重力方向に沿って測った連通孔の最高点までの高さをhとする。
【0052】
(5)回転方向に沿って互いに隣接する2個の連通孔において、回転方向の前方に位置するものを前方連通孔とし、及び回転方向の後方に位置するものを後方連通孔とし、前方連通孔の前端部及び後方連通孔の後端部と、中心軸とをそれぞれ結ぶ2線分で挟まれた角度をβとする。
【0053】
(6)前方連通孔における前端部と後端部とを結んだ線分の中点から中心軸まで延びる線分、及び、後方連通孔における前端部と後端部とを結んだ線分の中点から中心軸まで延びる線分により挟まれた角度をλとする。
【0054】
このようにすることにより、取出口手段に設けられた蓋が、取出口手段の重力方向の下側をふさぐので、分解筒内に、常に所定量の無定形炭素を停留させることができる。
【0055】
また、詳しくは後述するが、連通孔をこのような形状及び位置関係とすることにより、複数の連通孔のうち1個以上を、必ず、分解筒内の無定形炭素の集合体中に埋没させることができる。
【0056】
これは、換言すれば、m枚の邪魔板の中心軸方向への各正射影を重ね合わせた合成正射影が、分解筒の断面形状と合同となるような平面形状及び位置関係で、各連通孔を形成したともいうことができる。つまり、中心軸方向から、これらの邪魔板を見た場合に、連通孔を介して向こう側が見渡せないように(連通孔同士がオーバーラップしないように)、連通孔を、位相をずらして配置した。
【0057】
このようにすれば、分解筒内を取出口手段に向けて流通する未処理ガスは、いずれかの連通孔を通過する際に、必ず、無定形炭素の集合体中を流通することができる。
【0058】
第1の熱分解炉において、熱分解炉が、取出口手段に接続された2次分解炉をさらに備えることが好ましい。
【0059】
ここで2次分解炉は、貯蔵容器と、ガス排出口と、排出手段と、2次加熱手段とを備えている。
【0060】
貯蔵容器は、取出口手段から取り出された無定形炭素を一時的に貯蔵する。
【0061】
ガス排出口は、貯蔵容器において、取出口手段よりも下側位置に設けられ、取出口手段より取り出された可燃性ガスを、貯蔵容器に貯蔵された無定形炭素の集合体中を流通させた後に排出する。
【0062】
排出手段は、貯蔵容器の下端に設けられ、貯蔵容器中の無定形炭素を排出する。
【0063】
2次加熱手段は、貯蔵容器中に貯蔵された無定形炭素を900〜1000℃の温度に加熱する。
【0064】
このようにすることにより、取出口手段から取り出された微量のタールを含む可燃性ガスは、貯蔵容器に貯蔵されている900〜1000℃に加熱された無定形炭素の集合体中を流通した後に、取出口手段よりも下側位置の貯蔵容器に設けられたガス排出口から排出される。
【0065】
よって、可燃性ガス中の微量のタールは、貯蔵容器中に一時的に貯蔵された無定形炭素に吸着され、900〜1000℃の温度環境下で、熱分解反応により分解される。
【0066】
また、貯蔵容器の下端には、無定形炭素の排出手段が設けられているので、適宜貯蔵容器から無定形炭素を取り出すことができる。
【0067】
この発明の第2の熱分解炉は、上述の有機物の処理方法を利用したものである。すなわち、この熱分解炉は、分解筒と、加熱手段と、タール分解手段と、取出口手段とを備えている。
【0068】
分解筒は、有機物が供給され、熱分解中は気密とされる。
【0069】
加熱手段は、分解筒を、有機物が熱分解して無定形炭素が生成される温度まで加熱する。
【0070】
タール分解手段は、熱分解途上の有機物から発生する、第1可燃性ガスと気体状のタールとを含む未処理ガスを、当該有機物の熱分解よりも前に行われた熱分解により得られた無定形炭素の集合体中に流通させ、タールが除去された処理ガスとし、タールを吸着した無定形炭素を800〜1000℃の温度に保ち、吸着されたタールを分解することによって第2可燃性ガスを発生させる。
【0071】
取出口手段は、処理ガス及び第2可燃性ガスが混合された可燃性ガスを取り出す。
【0072】
上述の第1の熱分解炉は、有機物を連続的に供給する、いわゆる連続式熱分解炉であるのに対し、第2の熱分解炉は、有機物を断続的に熱分解する、いわゆるバッチ式熱分解炉に関するものである。
【0073】
第2の熱分解炉において、分解筒は、所定量の有機物が供給された後に閉鎖されることで気密とされる。加熱手段は、気密とされた分解筒を加熱することで有機物を熱分解する。熱分解途上で、有機物からは未処理ガスが発生する。また、熱分解が完了すると、有機物は炭化され無定形炭素となる。
【0074】
熱分解途上で発生した未処理ガスは、タール分解手段により、この有機物の熱分解よりも前に行われた熱分解で生成された無定形炭素の集合体中に流通される。これにより未処理ガス中のタールが無定形炭素に吸着され、未処理ガスは処理ガスへと変化する。
【0075】
また、タール分解手段は、タールを吸着した無定形炭素を、800〜1000℃の温度に保つことで、吸着されたタールを熱分解反応により分解し、第2可燃性ガスを発生させる。
【0076】
そして、この第2可燃性ガスと処理ガスとが混合された可燃性ガスを取出口手段から取り出す。
【0077】
この発明の発電システムは、上述の第1又は第2の熱分解炉と、発電機とを備えている。そして、発電機を稼働させるための燃料として可燃性ガスを用いる。
【0078】
この発電システムによれば、第1又は第2の熱分解炉から得られた可燃性ガスを、発電機を稼働させるための燃料とすることができる。
【0079】
この発明の可燃性ガスの製造方法は、下記の処理により、有機物を熱分解して、可燃性ガスを製造する。
【0080】
すなわち、有機物を熱分解することにより炭化して無定形炭素を生成する。
【0081】
そして、熱分解途上の有機物から発生する、第1可燃性ガスと気体状のタールとを含む未処理ガスを、無定形炭素の集合体中に流通させて未処理ガス中のタールを、無定形炭素に吸着させることにより、タールが除去された処理ガスとする。
【0082】
そして、タールを吸着した無定形炭素を、大気圧下で800〜1000℃の温度に保つことによって、タールを熱分解反応により分解して第2可燃性ガスを発生させる。
【0083】
そして、処理ガス及び第2可燃性ガスが混合された可燃性ガスを製造する。
【0084】
この発明によれば、有機物は未処理ガスを発生させながら熱分解により炭化され、最終的には無定形炭素となる。
【0085】
この未処理ガスは、炭化終了後の無定形炭素の集合体へと流通される。これにより、タールが無定形炭素へと吸着されて、未処理ガスは処理ガスとなる。
【0086】
タールを吸着した無定形炭素は、800〜1000℃の温度に保持される。これにより、無定形炭素に吸着されているタールが熱分解反応により分解し、タールよりも分子量が小さい第2可燃性ガスが発生する。
【0087】
無定形炭素に吸着されたタールから発生する第2可燃性ガスは、無定形炭素の集合体中を流通する未処理ガスの流れに乗って輸送される。ところで、未処理ガスは、無定形炭素の集合体中を流通するにしたがって徐々にタールが除去され、最終的には処理ガスとなる。よって、無定形炭素を流通し終わった段階で、未処理ガス中からタールが除去された処理ガスと、第2可燃性ガスとが混合された可燃性ガスが得られる。
【発明の効果】
【0088】
このように、請求項1に記載の有機物の処理方法によれば、無定形炭素に吸着されたタールを熱分解反応により分解して、第2可燃性ガスを生成する。したがって、タールの分解に水蒸気を必要としない。また、タールの分解により生成する第2可燃性ガスの発生量分だけ可燃性ガスの収量を増大することができる。また、タールを吸着させるための無定形炭素として、未処理ガス発生源である有機物よりも以前に炭化された有機物に由来するものを用いているので、タール吸着材を別途準備する必要がない。さらに、この有機物の処理方法によれば、可燃性ガスとともに、有用な無定形炭素を生成することができる。
【0089】
請求項2に記載の有機物の処理方法によれば、タールを吸着した無定形炭素を800〜1000℃の温度で、最長10分程度保持することで、吸着されたタールのほとんどを分解して第2可燃性ガスとすることができる。
【0090】
請求項3に記載の有機物の処理方法によれば、未処理ガス中のタールの99%以上を分解して第2可燃性ガスへと変化させることができる。
【0091】
請求項4に記載の第1の熱分解炉によれば、分解筒の一端開口側に供給される有機物から発生する未処理ガスを、分解筒の他端開口側に存在する無定形炭素の集合体に流通させる。これにより、未処理ガス中からタールが除去される。また、無定形炭素は800〜1000℃の温度に保持されるので、無定形炭素に吸着されたタールは、熱分解反応により分解されて第2可燃性ガスを生成する。よって、未処理ガス中からタールをほとんど除去できる。また、発生した第2可燃性ガスの分だけ、可燃性ガスの収量を増大できる。さらに、無定形炭素を可燃性ガスとともに得ることができる。
【0092】
請求項5に記載の第1の熱分解炉によれば、複数の連通孔の1つ以上が、必ず分解筒内に停留する無定形炭素に埋没するので、未処理ガス中のタールを確実に無定形炭素へと吸着させることができる。
【0093】
請求項6に記載の第1の熱分解炉によれば、取出口手段に2次分解炉を設けているので、仮に取出口手段から取り出された可燃性ガス中にタールが含まれていたとしても、このタールを確実に分解することができる。この結果、可燃性ガスの収量をさらに増大させることが可能となる。
【0094】
請求項7に記載の第2の熱分解炉によれば、いわゆるバッチ式の熱分解炉においても、未処理ガス中のタールを除去することで可燃性ガスの収量を増大させることができる。さらに、可燃性ガスとともに無定形炭素を得ることができる。
【0095】
請求項8に記載の発電システムによれば、熱分解炉から得られた可燃性ガスを燃料として発電機を稼働させるので、有機物から得られたエネルギーをより有効に使用することができる。
【0096】
請求項9に記載の可燃性ガスの製造方法によれば、有機物を熱分解することにより可燃性ガスを得ることができる。特に、水蒸気改質によらないタールの分解により、可燃性ガスの収量を増大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0097】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係を、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例に過ぎない。したがって、この発明は、以下の実施の形態には、なんら限定されない。
【0098】
(実施の形態1)
図1〜図5を参照して、実施の形態1の熱分解炉の構造及び動作につき説明する。なお、熱分解炉の動作の説明とともに、この発明の有機物の処理方法、可燃性ガスの製造方法及び発電システムについても説明する。
【0099】
図1は、熱分解炉の全体構成を示す模式図である。図2は、邪魔板の説明に供する分解筒の斜視図である。図3(A)及び(B)は、連通孔の説明に供する分解筒の正射影を表す図である。図4(A)及び(B)は、連通孔の説明に供する分解筒の正射影を表す図である。図5は、熱分解炉中におけるガスの流れの説明に供するブロック図である。
【0100】
図1を参照すると、熱分解炉10は、回転型分解筒12と、供給手段14と、加熱手段16と、回転手段18と、タール分解手段20と、取出口手段としての取出口22とを備えている。さらに、この熱分解炉10は、好ましくは、任意的な構成要件として2次分解炉23を備えている。
【0101】
分解筒12は中空の円筒形であり、円筒内部が加熱室となっている。そして、分解筒12は、一端開口12aから他端開口12bにかけて高さが低くなるように、分解筒12の中心軸12cを傾斜させて配置されている。そして、一端開口12a及び他端開口12b付近において、分解筒12の外側面12は、それぞれ断熱材60a及び60bで被覆されている。
【0102】
また、分解筒12は、回転手段18により、中心軸12cを回転軸として周方向に回転される。さらに、分解筒12は、加熱手段16により外側から加熱されている。
【0103】
したがって、供給手段14から連続的に一端開口12a側に供給される有機物Oは、回転する分解筒12内で熱分解されながら、一端開口12a側から他端開口12b側に向かって徐々に移動していく。この有機物Oは、分解筒12内を移動する過程で、熱分解により炭化され無定形炭素Cへと変質する。生成された無定形炭素Cは、分解筒12内を他端開口12bに向かって移動していく。
【0104】
ここで、分解筒12の一端開口12aと他端開口12bとの間の距離L(以下、全長Lとも称する。)は、好ましくは、たとえば約5mとする。また、分解筒12の内径Dは、好ましくは、たとえば約30cmとする。また、分解筒12の傾斜角θ、すなわち、水平面と分解筒12の中心軸12cとのなす角度は、好ましくは、たとえば約2°とする。
【0105】
また、分解筒12は、加熱室内の最高温度となる領域が800〜1000℃の温度に加熱されるものであるので、耐熱性の高い材料から形成されている。すなわち、分解筒12は、母材をライニング材で被覆した材料からなる。ここで、母材は、好ましくは、たとえば厚みが約6mmのステンレス鋼(SUS316L)とする。また、ライニング材は、好ましくは、たとえば厚みが約4mmのフレアメタルとする。
【0106】
また、分解筒12の周方向の回転速度は、好ましくは、たとえば約1rpmとする。
【0107】
加熱手段16は、分解筒12の外側面12を囲むように設けられている。加熱手段16は、ヒータ16aと外筒16bとを含む。
【0108】
外筒16bは、横断面形状が円形であって、その中心軸を分解筒12の中心軸12cと共通にし、かつ、分解筒12よりも大きな直径を有する中空筒状の部品である。外筒16bは、図示しない固定手段により、分解筒12を包み込むように固定されている。
【0109】
外筒16bの長手方向の両端には、円環板状の蓋16b,16bが、外筒16bの筒状本体16bと一体的に設けられている。分解筒12は、これらの蓋16b,16bの開口の間に挿入されるように配置されている。
【0110】
蓋16b,16bの表面であって、分解筒12の外側面12に対向する面16bと、外側面12との間には、間隔が空けられている。この間隔により、分解筒12は、外筒16bに干渉することなく、周方向に回転することができる。
【0111】
外筒16bは、ヒータ16aから発生する熱の放熱を防ぎ、かつ、高温度に耐えることができるような、断熱性及び耐熱性に優れた材料で形成される。外筒16bの材料としては、好ましくは、たとえば、厚みが約250mmのキャスターが用いられる。
【0112】
外筒16bの内周面16bには、ヒータ16aが固定されている。外筒16bの長手方向に関しては、好ましくは、たとえば3個のヒータ16a,16a,16aが空間的に直列に配置されている。それぞれのヒータ16aは、好ましくは、内周面16bの全周にわたって設けられているのがよい。図1には、ヒータ16aの内、外筒16bの断面切り口に存在する部分だけを示している。
【0113】
加熱手段16は、ヒータ16a,16a,16aを発熱させることで、分解筒12の一端開口12a側(以下、上流側とも称する。)に存在する有機物Oの熱分解を促進し、かつ、分解筒12の他端開口12b側(以下、下流側とも称する。)に存在する無定形炭素Cを、好ましくは、たとえば約900℃の温度に保つ。
【0114】
なお、ヒータ16a,16a,16aのそれぞれに等しい電力を供給したとしても、上流側に存在する有機物Oの温度は、下流側に存在する無定形炭素Cよりも低温(<900℃)となる。これは、熱分解により有機物Oから、水蒸気等を含むガスを発生させる際に、気化熱及び分解熱が消費されるためである。
【0115】
回転手段18は、駆動部18aとコロ18b,18cとを含む。
【0116】
駆動部18aは、分解筒12の一端開口12a付近に配置されており、駆動モータ18と、歯車機構を用いた回転駆動部18と、断熱材60aの外周面に固定された歯車とを含む。駆動モータ18が回転されると、この回転は、回転駆動部18及び前記歯車を介して、所定の回転速度まで減速された上で、分解筒12に伝達される。この結果、分解筒12は、中心軸12cの周りに、周方向に所定の回転速度(約1rpm)で回転する。
【0117】
分解筒12の一端開口12a及び他端開口12b付近には、それぞれ、上述した断熱材60a,60bの側面に接して、分解筒12を回転可能に支持するためのコロ18b及び18cが設けられている。コロ18b,18cは、それぞれ、分解筒12の中心軸12cと平行な回転軸18b,18cの周りで回転自在とされている。なお、コロ18b,18cは、それぞれ一対ずつ設けられている。図1には、その内、片側の1個のみが示されている。
【0118】
なお、図示はしないが、コロ18b,18cは、分解筒12の重量を支えることが可能な基台の上に、回転自在に支持されている。
【0119】
供給手段14は、分解筒12の一端開口12aに設けられている。供給手段14は、好ましくは、ホッパ14aと、スクリューフィーダ14bとを含む。
【0120】
ホッパ14aは、スクリューフィーダ14bの後端部14b付近に、中心軸12cに対してほぼ垂直に接続されている。ホッパ14a中には、分解筒12に供給されるべき有機物Oが格納される。
【0121】
スクリューフィーダ14bは、スクリュー14bの回転軸と、分解筒12の中心軸12cとが同軸となるように配置されている。そして、スクリューフィーダ14bの前端部14bは開口されており、この開口は有機物投入口14cを構成している。スクリューフィーダ14bは、ホッパ14a中の有機物Oを所定の供給速度で連続的に分解筒12に供給する。
【0122】
スクリューフィーダ14bは、分解筒12の一端開口12aに、設計に応じた任意好適な長さだけ挿入されている。そして、この挿入部には、分解筒12の気密性を保ち、かつ、分解筒12の回転を阻害しないような、図示しないシール機構が設けられている。
【0123】
取出口22は、好ましくは、分解筒12の他端開口12bを兼ねている。この取出口22から無定形炭素Cと、可燃性ガス(後述)とが取り出される。
【0124】
タール分解手段20は、停留室24と邪魔板26と蓋28とを含む。
【0125】
蓋28は、取出口22、すなわち他端開口12bの重力方向の下側領域(以下、単に下側領域と称する。)をふさいでいる。したがって、取出口22は、蓋28でふさがれていない領域、つまり、重力方向の上側領域が開口している。
【0126】
蓋28は、分解筒12とは別体として構成されていて、図示しない固定手段により後述する2次分解炉23に固定されている。したがって、分解筒12の回転にかかわらず、蓋28は、常に取出口22の下側領域をふさぐこととなる。
【0127】
取出口22の下側領域が蓋28でふさがれた結果、分解筒12内には、常に所定量の無定形炭素Cが、その粒子の集合体として停留する。そして、蓋28の上端からあふれ出した無定形炭素Cが取出口22から取り出されることとなる。
【0128】
以降、無定形炭素Cの粒子の集合体のことを、「無定形炭素Cの集合体」又は「集合体C」とも称する。
【0129】
停留室24は、分解筒12において、その中心軸12c、すなわち、有機物Oの移動方向(以下、長手方向とも称する。)に沿って、上流側から下流側へと直列に複数、たとえば5室設けられている。
【0130】
最も下流側の停留室24Aを除く4室の停留室24は、分解筒12の内壁面12dと、2枚の邪魔板26,26とで囲まれた空間として形成されている。なお、最も下流側の停留室24Aは、1枚の邪魔板26と内壁面12dと蓋28とで囲まれた空間として形成されている。詳細は後述するが、邪魔板26は、分解筒12の内壁面12dに接続され、かつ、この邪魔板26と内壁面12dとの間に連通孔32を形成する板状部品である。
【0131】
したがって、隣接する停留室24,24は、両者の間に存在する1枚の邪魔板26を共有することとなる。つまり、隣接する2つの停留室24,24の間は、1枚の邪魔板26により区画されている。
【0132】
このように、停留室24が5室設けられている例では、これら停留室24は、5枚の邪魔板26と取出口22をふさぐ蓋28とで区画されている。
【0133】
ここで、複数の停留室24からなる領域を、停留室群30と称する。停留室群30は、分解筒12内の無定形炭素Cの存在領域に位置し、その長さは、設計に応じて任意好適な長さとすることができる。特に、停留室群30は、好ましくは、長手方向の全長が分解筒12の全長Lの約1/3(約1.7m)とするのがよい。そして、停留室群30は、分解筒12の下流側に、他端開口12bに至るまで延在しているのが好適である。なお、停留室群30は、好ましくは、有機物Oの熱分解で発生する未処理ガスが2秒以上滞留することができる体積を有するように設計するのがよい。
【0134】
次に、図2〜図4を参照して、邪魔板26及び連通孔32につき説明する。
【0135】
まず、図2を参照して、個々の邪魔板26の構造につき説明する。
【0136】
邪魔板26は、弦26aを除いた外縁26bが全周にわたり分解筒12の内壁面12dに接続された板状部品である。より詳細には、邪魔板26は、直径Dの優弧及びその両端を結ぶ弦26aで囲まれた平面形状に形成されている。さらに、この邪魔板26は、内壁面12dに対してほぼ直角に、分解筒12の内部に向かって延在している。
【0137】
邪魔板26には、連通孔32が設けられている。この連通孔32に対応する部分は、弦26aと劣弧とで囲まれた三日月状の形状部分が、直径Dの円形状から欠落している部分である。すなわち連通孔32は、内壁面12dに接続されない弦26aと、この弦26aに対応する位置に存在する内壁面12dとで囲まれた開口として形成されている。なお、邪魔板26に形成される連通孔32はそれぞれ合同の平面形状とされている。
【0138】
したがって、連通孔32は、隣接する停留室24,24間を連通することとなる。つまり、有機物Oから発生する未処理ガス(後述)や、無定形炭素Cは、この連通孔32を通過して隣接する下流側の停留室24に移動していく。
【0139】
次に、図3(A)を参照して、個々の連通孔32の平面形状が満たすべき条件につき説明する。
【0140】
なお、図3(A)は、中心軸12c方向に対する分解筒12の正射影を示している。また、図が煩雑となるのを防ぐために、図3(A)には、1個の連通孔32の正射影を示している。
【0141】
図3(A)に示すように、分解筒12中に停留する集合体Cと、分解筒12の内壁面12dとの接触領域Xにおいて、分解筒の回転方向R(図中矢印)に沿った両端部をC1,C1とする。そして、両端部C1,C1と中心軸12cとを結ぶ2線分S1,S1に挟まれた角をΘとする。
【0142】
また、分解筒12の内壁面12dの重力方向の最下端位置Lowから、内壁面12dに垂直に測った集合体Cの厚みをHとする。
【0143】
また、連通孔32の、回転方向R前方の端部を前端部32aとする。同様に、連通孔32の、回転方向R後方の端部を後端部32bとする。そして、前端部32aと中心軸12cとを結ぶ線分Sa、及び、後端部32bと中心軸12cとを結ぶ線分Sbに挟まれた角をαとする。
【0144】
また、連通孔32が、重力方向の最下端位置に存在するときに、内壁面12dの重力方向の最下端位置Lowの高さを基準として、重力方向に沿って測った連通孔32の最高点までの高さをhとする。
【0145】
なお、「連通孔32が重力方向の最下端位置に存在する」とは、前端部32aと後端部32bとの間の弧Arcの中点が、最下端位置Lowに存在することを示す。
【0146】
このとき、個々の連通孔32が満たさなければならない、平面形状に関する条件は、下記(条件1)及び(条件2)である。
(条件1):Θ>α
(条件2):H≧h
連通孔32を、これら2条件を満足するような平面形状とすることにより、分解筒12の回転過程で、連通孔32は、(Θ−α)の角度範囲において集合体C中に、埋没する。したがって、連通孔32が埋没した状態において、未処理ガスは集合体C中を確実に流通する。
【0147】
ここで、「埋没」とは、連通孔32の全領域が、集合体C中に埋まった状態を示す。
【0148】
次に、図3(B)を参照して、正射影上で回転方向Rに沿って互いに隣接する2個の連通孔32,32が満たすべき配置条件につき説明する。
【0149】
なお、図が煩雑となるのを防ぐために、図3(B)には、隣接する2個の連通孔32,32の正射影を示している。
【0150】
図3(B)に示すように、隣接する2個の連通孔32,32の内、回転方向Rの前方に位置する連通孔を前方連通孔32Fと称する。また、回転方向Rの後方に位置する連通孔を後方連通孔32Bと称する。
【0151】
そして、前方連通孔32Fの前端部及び後端部を、それぞれ32Fa及び32Fbと称する。同様に後方連通孔32Bの前端部及び後端部を、それぞれ32Ba及び32Bbと称する。
【0152】
また、前方連通孔32Fの前端部32Faから中心軸12cに引いた線分S32Faと、後方連通孔32Bの後端部32Bbから中心軸12cに引いた線分S32Bbとで挟まれた角をβとする。
【0153】
このとき、正射影上で回転方向Rに沿って互いに隣接する2個の連通孔32,32が満たすべき配置条件は、下記(条件3)である。
(条件3):Θ≧β
この条件を満たすように、連通孔32Fと32Bとを配置することにより、前方連通孔32Fが回転して前端部32Faが集合体Cから露出したとしても、後方連通孔32Bを集合体C中に埋没した状態に保つことができる。
【0154】
したがって、連通孔32F及び32Bが集合体C中を回転移動する過程で、未処理ガスは、集合体C中に埋没した連通孔32F及び32Bのどちらか一方又は双方を必ず通過しなければならない。この結果、未処理ガスは集合体C中を確実に流通する。
【0155】
この条件を、図3(B)(β=Θ)に即して説明する。
【0156】
図3(B)の状態から、分解筒12が回転方向Rに回転すると、前方連通孔32Fの前端部32Faは、集合体Cから露出する。したがって、それまで集合体C中を流通せざるをえなかった未処理ガスは、より流通抵抗の少ない前方連通孔32Fの露出領域を流通することとなる。
【0157】
ところで、連通孔32F及び32Bは、上述の(条件3)を満たすように配置されているので、前方連通孔32Fの前端部32Faが集合体Cから露出すると同時に、後方連通孔32Bの後端部32Bbは、集合体Cへの埋没を完了する。したがって、未処理ガスは、後方連通孔32Bを通過する際に、集合体C中を流通せざるをえない。
【0158】
つまり、未処理ガスは、どちらかの連通孔32F又は32Bを通過する過程で、必ず、集合体C中を流通する。換言すれば、連通孔32F及び32Bが集合体C中を通過する過程で、必ず、どちらかの連通孔32F又は32Bは、集合体C中に埋没した状態に保たれる。
【0159】
次に、図3(B)、図4(A)及び(B)を参照して、停留室群30を構成する邪魔板26の必要枚数、及び、これらの邪魔板26に設けられる連通孔32の配置角度につき説明する。
【0160】
図3(B)において、前方連通孔32Fの前端部32Faと後端部32Fbとを結んだ線分SFの中点を32Fcとする。同様に、後方連通孔32Bの前端部32Baと後端部32Bbとを結んだ線分SBの中点を32Bcとする。
【0161】
そして、中点32Fcから中心軸12cに引いた線分SFOと、中点32Bcから中心軸12cに引いた線分SBOとで挟まれた角をλとする。この角λを、正射影上で回転方向Rに沿って互いに隣接する連通孔32Fと32Bとの位相のずれと定義する。
【0162】
よって、連通孔32が、上述の(条件1)〜(条件3)を満足するような平面形状及び配置とされているときに、1個以上の連通孔32を集合体C中に埋没させた状態を維持したまま、分解筒12を回転させるためには、下記(条件4)より得られるn個の連通孔が必要である(図4(B))。
(条件4):n・λ≧360°を満たす最小のn(ただし、nはn≧3の整数)
ところで、連通孔32は邪魔板26に1個ずつ設けられる。したがって、邪魔板26は最低n枚設ける必要がある。
【0163】
そして、これらn枚の邪魔板26を、n個の連通孔32の正射影が、回転方向Rに沿って、角λずつ位相をずらして並ぶように、配置すればよい。
【0164】
ところで、n・λ=360°の場合、つまり、360°がλで割り切れる場合には、正射影上で回転方向Rに沿って隣接する連通孔32,32(以下、連通孔対と称する。)の位相のずれは、全て角λとなる。
【0165】
図4(A)にλ=90°(n=4)の場合を模式的に例示する。なお、図4(A)においては、図が煩雑となるのを防ぐために、分解筒12を単なる円形で表し、集合体Cの図示を省略し、及び連通孔32を単なるハッチング付きの半円形として表した。これは図4(B)でも同様である。
【0166】
図4(A)に示したように、全ての連通孔対P1〜P4について、λは90°である。
【0167】
一方、n・λ>360°の場合、つまり、360°がλで割り切れない場合には、全体でn対の連通孔対の内、(n−1)対については、位相のずれはλである。しかし、残りの1対については、位相のずれは、360°−(n−1)λとなる。
【0168】
図4(B)に、λ=55°(n=7)の場合を例示する。この場合、連通孔対P1〜P6については、λは55°である。しかし、連通孔対P7については、λは30°(=360°−55°×(7−1))となる。
【0169】
このように、上述の(条件1)〜(条件4)を満たすように、邪魔板26及び連通孔32を構成することにより、分解筒12が回転しても、1個以上の連通孔32は、必ず、分解筒12内に停留する集合体Cに埋没した状態となる。よって、未処理ガスは、集合体Cに埋没した邪魔板26を通過する際に、必ず、集合体C中を流通する。
【0170】
再び図2を参照して、この実施の形態における5枚の邪魔板26の配置につき説明する。
【0171】
5枚の邪魔板26の内、下流側の4枚の邪魔板26〜26においては、連通孔32はλ=90°で配置されている。したがって、分解筒12の回転の過程で、これら4枚の邪魔板26〜26にそれぞれ設けられた連通孔32の内、必ず1個は、集合体C中に埋没することとなる。
【0172】
最も上流側に存在する1枚の邪魔板26は、付加的なものである。したがって、邪魔板26に設けられる連通孔32の位相は、任意である。
【0173】
図1を参照して、2次分解炉23につき説明する。2次分解炉23は取出口22に接続されている。2次分解炉23は、貯蔵容器34と、ガス排出口36と、排出手段38と、2次加熱手段40とを含む。
【0174】
貯蔵容器34は、重力方向に沿って延在する円筒状の容器である。貯蔵容器34の側面に、分解筒12の取出口22が接続されていて、下部にガス排出口36が設けられている。したがって、取出口22からは、可燃性ガスと無定形炭素Cとが貯蔵容器34に導入されることとなる。この内、無定形炭素Cは、その粒子の自重により落下し、貯蔵容器34内に徐々に蓄積していく。また、可燃性ガスは、貯蔵容器34に蓄積した集合体Cを流通した後にガス排出口36から排出される。
【0175】
ここで、貯蔵容器34は、好ましくは、分解筒12中から取り出される可燃性ガスが2秒以上滞留することができる体積とするのがよい。その場合には、貯蔵容器34の体積は、分解筒12から取り出される可燃性ガスの体積(1秒あたり)の2倍以上となる。具体的には、貯蔵容器34は、内径が、好ましくは、たとえば約40cmである。また、高さが、好ましくは、たとえば約2.5mである。
【0176】
また、貯蔵容器34は、2次加熱手段40から発生する熱の放熱を防ぎ、かつ、高温度に耐えることができるような、断熱性及び耐熱性に優れた材料で形成される。貯蔵容器34の材料としては、好ましくは、たとえば、厚みが約300mmのキャスターが用いられる。
【0177】
なお、取出口22と貯蔵容器34との接続部には、分解筒12の気密性を保ち、かつ、分解筒12の回転を阻害しないように、リングシール等からなるシール機構34aが設けられている。
【0178】
また、貯蔵容器34には、好ましくは、無定形炭素Cの蓄積量が所定量以上となったことを検知するための、図示しない炭素量検知器を設けておくのがよい。
【0179】
ガス排出口36は、貯蔵容器34の下端34b付近の側面に設けられた開口である。熱分解炉10が定常的に運転されている場合、貯蔵容器34中には、無定形炭素Cが蓄積されている。よって、ガス排出口36は、この蓄積された炭素粒子からなる集合体C中に埋没した状態となっている。したがって、取出口22から貯蔵容器34へと流通した可燃性ガスは、貯蔵容器34中に蓄積された集合体C中を流通した後にガス排出口36から排出されることとなる。
【0180】
ガス排出口36は、配管46を介してスクラバ式のガス洗浄装置44に接続されている。したがって、ガス排出口36から排出された燃料ガス(後述)は、ガス洗浄装置44により洗浄された後に系外に取り出される。
【0181】
なお、貯蔵容器34に貯蔵された無定形炭素Cの粒子の配管46への侵入を防ぐために、ガス排出口36には、無定形炭素Cの粒子の平均粒径よりも細かいメッシュの金網58が張り渡されている。
【0182】
排出手段38は、貯蔵容器34の下端34bに接続されたスクリューフィーダ48と、このスクリューフィーダ48に接続されたスクリューフィーダ50を含む。
【0183】
スクリューフィーダ48は、水平方向に延在し、したがって、貯蔵容器34中の無定形炭素Cを水平方向に搬送する。スクリューフィーダ50は鉛直方向に延在し、スクリューフィーダ48と同期して駆動される。そして、スクリューフィーダ50は、スクリューフィーダ48を搬送されてきた無定形炭素Cの搬送方向を、鉛直下向きへと変更する。
【0184】
スクリューフィーダ50の先端開口は、水槽52に蓄えられた水Wの中に没している。したがって、スクリューフィーダ50により搬送されてきた無定形炭素Cは、この先端開口から、水中へと排出される。水中に排出された無定形炭素Cは、洗浄され、ベルトコンベア54により取り出される。
【0185】
なお、スクリューフィーダ48,50は、上述の炭素量検知器からの信号に基づき駆動される。つまり、貯蔵容器34中に所定量以上の無定形炭素Cが蓄積されると、炭素量検知器からの信号がONとなり、スクリューフィーダ48,50が駆動される。そして、無定形炭素Cの量が所定量未満まで減少すると、炭素量検知器からの信号がOFFとなり、スクリューフィーダ48,50が停止される。
【0186】
2次加熱手段40は、貯蔵容器34に設けられた4本の棒状ヒータ56を含む。なお、図1には、この内の2本のみを示している。
【0187】
棒状ヒータ56は、貯蔵容器34の上蓋を貫通して、ほぼ鉛直に延在している。そして、棒状ヒータ56は、下側部分が貯蔵容器34に蓄積された集合体Cに埋没するように配置されている。好ましくは、棒状ヒータ56の下側部分を、ガス排出口36の付近まで延在させてあるのがよい。
【0188】
棒状ヒータ56を発熱させることにより、貯蔵容器34中の集合体Cを、好ましくは、たとえば約1000℃の温度に保持するのがよい。
【0189】
ここで、棒状ヒータ56は、その上部が図示しない昇降機構に接続されており、これにより棒状ヒータ56を、貯蔵容器34中に蓄積された無定形炭素Cの量に応じて抜き差しすることが可能となっている。
【0190】
また、棒状ヒータ56は、集合体Cに埋没する先端側に発熱部が設けられており、この発熱部のみが発熱するように構成されている。このようにすることにより、集合体Cのみを効果的に加熱できる。
【0191】
次に、図1及び図5を参照して、熱分解炉10の動作につき説明する。あわせて、有機物の処理方法、可燃性ガスの製造方法についても説明する。図5は、熱分解炉中におけるガスの流れの説明に供するブロック図である。
【0192】
なお、以下の説明は、定常運転中の熱分解炉10に関するものである。すなわち、分解筒12は、加熱手段16により加熱されており、分解筒12中には熱分解途上の有機物C、及び、炭化した無定形炭素Cの双方が併存しているものとする。また、2次分解炉23の貯蔵容器34には、所定量の無定形炭素Cが蓄積されているものとする。
【0193】
(有機物Oの分解筒12への供給)
スクリューフィーダ14bの稼働により、加熱されている分解筒12の一端開口12a付近には、有機物Oが一定の供給速度で供給される。ここで、有機物Oとしては、水分含有量が10〜30wt%の粉砕された有機系廃棄物を用いる。
【0194】
分解筒12は傾斜しており、かつ、周方向に回転されている。したがって、有機物Oは、加熱されながら、分解筒12の他端開口12bに向かって移動していく。
【0195】
分解筒12の傾斜が緩やか(θ≒2°)であることより、有機物Oは、分解筒12中で内径Dの約半分の高さに堆積した状態で移動する。無定形炭素Cも同様である。
【0196】
ところで、加熱の過程で有機物Oから発生する未処理ガスの体積は、分解筒12の体積に比べて非常に大きい。また、スクリューフィーダ14bから有機物Oとともに分解筒12内に供給される空気(酸素)は、未処理ガスに比べて非常に少ない。その結果、有機物Oは、ほとんど酸素の存在しない状態で加熱されることとなる。したがって、有機物Oは、「燃焼」ではなく、「熱分解(乾留)」される。
【0197】
なお、有機物Oの分解筒12への供給速度は、約1.3kg/分である。
【0198】
また、分解筒12内における有機物Oの移動速度は、約10m/1時間である。つまり、一端開口12aに供給された有機物Oは、熱分解されながら分解筒12の全長Lを約30分かけて移動して、取出口22から無定形炭素Cとして取り出される。
【0199】
(有機物Oの分解筒12での熱分解)
有機物Oは、第1可燃性ガス及び気体状のタール(以下、単にタールとも称する。)を含む未処理ガスを発生しながら熱分解されていく(図5:矢印Ar1)。有機物Oは、分解筒12の上流側の2/3L(L:分解筒12の全長)程度の長さの領域を移動する間に熱分解が完了し、無定形炭素Cへと炭化される(図5:矢印Ar2)。周知の通り、無定形炭素Cは、粒子の状態にある。
【0200】
ここで、未処理ガスとは、有機物Oから発生する、水蒸気、H、CO、CO、メタン、エタン、気体状のタール及びその他の微量ガス成分が混合されたガスのことを示す。未処理ガス中で可燃性の化学種、すなわち、H、CO、メタン及びエタン等を第1可燃性ガスと称する。つまり、未処理ガスは、第1可燃性ガスと、気体状のタールと、水蒸気と、その他の微量ガス成分とからなる。
【0201】
また、タールとは、有機物Oの熱分解の過程で発生する、可燃性ガスに比べて分子量の大きな有機化合物であり、300〜400℃より高温では気体状であるが、これ以下の温度では液化するような成分を示す。
【0202】
また、熱分解途上の有機物Oは、未処理ガスの気化に必要な気化熱及び分解熱を消費する。したがって、有機物Oが熱分解されている領域(上流側の2/3Lの領域)の温度は約500〜900℃の範囲であり、無定形炭素Cが移動する領域(下流側の1/3Lの領域)の温度(約900℃)よりも低温である。
【0203】
(分解筒12における無定形炭素Cの移動)
無定形炭素Cの集合体は、約900℃の温度に保たれたまま、分解筒12の下流側1/3L程度の長さの停留室群30を、約10分かけて、取出口22まで移動する。このようにして、無定形炭素Cは、他端開口12bに最も近い停留室24Aまで移動する。ところで、取出口22の下側領域は、蓋28によりふさがれている。その結果、集合体Cは、分解筒12内に一時的に停留される。この停留により、停留室群30の全体にわたって無定形炭素Cが溜まることとなる。
【0204】
そして、分解筒12内の無定形炭素Cの停留量が所定量を超えると、無定形炭素Cは蓋28の上端からあふれ出す。このあふれ出した無定形炭素Cは、自重により落下して2次分解炉23の貯蔵容器34へと蓄積される(図5:矢印Ar3)。
【0205】
(未処理ガスからのタールの除去)
一方、有機物Oの熱分解の過程で発生した未処理ガスは、分解筒12内を取出口22に向けて流通する。そして、停留室群30を通過する際に無定形炭素C中を流通する(図5:矢印Ar4)。
【0206】
なお、ここで未処理ガスが流通する無定形炭素Cは、当該未処理ガスの発生源である有機物Oよりも以前に分解筒12に供給された有機物Oに由来するものである。
【0207】
ところで、熱分解により得られた無定形炭素Cには、多数の微細孔が形成され、単位質量あたりの表面積が、元の有機物Oに比べて格段に大きくなっている。
【0208】
未処理ガス中の気体状のタールは、無定形炭素Cの、この微細孔中に吸着され、未処理ガスから除去される(図5:矢印Ar5)。気体状のタールが除去されることにより、未処理ガスは処理ガスとなる(図5:矢印Ar6)。
【0209】
ここで、未処理ガスからタールを除去する方法につき、より詳細に説明する。
【0210】
上述のように、停留室群30には、連通孔32が形成された5枚の邪魔板26が設けられている。そして、これら5枚の邪魔板26に形成された連通孔32は、必ず、1個以上が分解筒12に停留する集合体C中に埋没するように配置されている。その結果、この埋没した連通孔32を通過する際に、未処理ガスは、集合体C中を流通することとなる。この際に、未処理ガス中の気体状のタールが無定形炭素Cに吸着される。
【0211】
(吸着されたタールの分解)
無定形炭素Cに吸着されたタールは、900℃の温度環境下に長時間(最長で約10分)にわたり曝される。その結果、タールは、水蒸気の有無に関係なく、熱分解反応により分解される。これにより、タールよりも低分子量であるメタン、エタン及びCO等を含む可燃性の第2可燃性ガスが発生する(図5:矢印Ar7)。なお、タールの分解に水蒸気を必要としないことについては、実施例において詳述する。
【0212】
このタール由来の第2可燃性ガスは、分解筒12中を流通する未処理ガス又は処理ガスの流れに乗って、下流側に流通する。そして、取出口22から、処理ガス及び第2可燃性ガスが混合された可燃性ガスとして取り出される(図5:矢印Ar8)。
【0213】
この発明の有機物の処理方法は、以上のような過程を経て無定形炭素Cと可燃性ガスとを生成する。同様に、この発明の可燃性ガスの製造方法は、以上のような過程を経て可燃性ガスを製造する。
【0214】
(2次分解炉23での処理)
得られた無定形炭素Cと可燃性ガスとは、2次分解炉23に導入される。
【0215】
2次分解炉23の貯蔵容器34中には、取出口22から取り出された無定形炭素Cが、貯蔵容器34の下端34bから所定高さにわたって蓄積されて、集合体となっている。そして、この無定形炭素Cは、2次加熱手段40により加熱され、約1000℃の温度に保たれている。また、貯蔵容器34の下端34b付近の側面には、ガス排出口36が設けられている。
【0216】
したがって、2次分解炉23中の可燃性ガスは、ガス排出口36から取り出されるまでに、貯蔵容器34に蓄積された集合体C中を流通しなければならない。
【0217】
よって、停留室群30の流通過程で除去されなかったタールが可燃性ガス中に含まれていたとしても、このタールは、可燃性ガスの流通過程で、貯蔵容器34中の無定形炭素Cに吸着される(図5:矢印Ar9)。その結果、ガス排出口36から取り出される可燃性の燃料ガス(後述)には、ほとんどタールが含まれない。
【0218】
また、貯蔵容器34中の無定形炭素Cは、約1000℃の温度に保たれている。よって、分解筒12中では分解しきれなかったタール、及び貯蔵容器34中で、新たに無定形炭素Cに吸着されたタールは、上述と同様の熱分解反応により分解され、第2可燃性ガスと同様の化学種を含む第3可燃性ガスを発生する(図5:矢印Ar10)。第3可燃性ガスは可燃性ガスと混合されて燃料ガスとなり、ガス排出口36から取り出される(図5:矢印Ar11)。
【0219】
ガス排出口36から排出された燃料ガスは、配管46を介してガス洗浄装置44に流通し、洗浄された後に系外に取り出される。
【0220】
また、貯蔵容器34中の無定形炭素Cは、上述の炭素量検知器からの信号に基づいたスクリューフィーダ48,50の駆動により、適宜系外に取り出される。これにより、貯蔵容器34中には常に所定量の無定形炭素Cが蓄積されることとなる。
【0221】
以下、この実施の形態で説明した熱分解炉、有機物の処理方法及び可燃性ガスの製造方法の奏する効果につき説明する。
【0222】
有機物Oの熱分解で発生した未処理ガスを、多数の微細孔を有する無定形炭素Cに流通させる。これにより、タールが除去された処理ガスを得ることができる。
【0223】
ところで、この無定形炭素Cは、未処理ガスを発生した有機物Oよりも以前に分解筒12に供給された有機物Oが熱分解されたものである。つまり、分解筒12内で先に供給された有機物O由来の無定形炭素Cに、後に供給された有機物Oから発生する未処理ガスを流通させる。この結果、タールの除去のために、別途吸着材を準備する必要がない。
【0224】
また、タールを吸着した無定形炭素Cを900℃の温度で、最長10分程度保持することで、吸着されたタールを分解して第2可燃性ガスを発生させる。つまり、この第2可燃性ガスの発生量分だけ可燃性ガスの収量を増加させることができる。
【0225】
また、このタールの分解は、熱分解反応により行われるので、タールの分解に水蒸気を必要としない。
【0226】
また、実施の形態の有機物の処理方法によれば、可燃性ガスと無定形炭素Cとを同時に生成することができる。これにより、可燃性ガスは各種燃料として、及び無定形炭素Cは、吸着材や土壌改質剤等として有効利用することができる。
また、有機物Oから発生した未処理ガスは、取出口22から取り出されるまでに、800℃以上の温度(約900℃)に2秒以上保持される。したがって、ダイオキシンの発生を防止することができる。
【0227】
また、5枚の邪魔板26のそれぞれに形成された連通孔32の1個以上が、必ず、分解筒12内の無定形炭素Cの集合体中に埋没するように、連通孔32が配置されている。これにより、未処理ガスは、確実に無定形炭素Cの集合体中を流通する。したがって、未処理ガス中のタールは確実に除去される。
【0228】
また、無定形炭素Cを約1000℃の温度に保った状態で貯蔵する2次分解炉23を設けている。さらに、取出口22から取り出される可燃性ガスを、この無定形炭素Cを流通させた上でガス排出口36から排出させている。これにより、可燃性ガス中に微量のタールが含まれていたとしても、このタールを除去することができる。
【0229】
また、2次分解炉23中の無定形炭素Cに吸着されているタールは、分解されて、第3可燃性ガスとなる。これにより、2次分解炉23を設置しない場合に比較して、第3可燃性ガスの発生量分だけ可燃性ガスの収量を増加することができる。
【0230】
さらに、この熱分解炉10においては、分解筒12が所定の温度まで昇温した後は、この温度を保持するために加熱手段16から分解筒12へと加える熱量は比較的少量ですむ。よって、“加熱−冷却”を繰り返すバッチ式の熱分解炉70(後述)よりも、エネルギー利用効率が高い。
【0231】
以下、この実施の形態で説明した熱分解炉、有機物の処理方法及び可燃性ガスの製造方法の設計条件や変形例につき説明する。
【0232】
熱分解炉10は、スケールアップ及びスケールダウンすることができる。たとえば、分解筒12の直径を約75cmとし、及び全長Lを約7mにスケールアップすることで、1日あたり約20tの有機系廃棄物を処理することができる。
【0233】
また、この実施の形態では、有機物Oの分解筒12への供給速度は、約1.3kg/分とされている。これは、分解筒12内で、有機物Oから単位時間あたりに発生する未処理ガスの発生量を勘案して決定されたものである。つまり、有機物Oの供給速度をこの値とすることにより、未処理ガスは、900℃の温度に保たれた停留室群30を2秒以上かけて流通することができる。
【0234】
このようにすることにより、未処理ガスと無定形炭素Cとの接触時間を、実用上充分な長さとすることができる。その結果、未処理ガス中のタールのほとんどが無定形炭素Cへと吸着される。また、ダイオキシンの発生を防止することができる。
【0235】
また、分解筒12の傾斜角θは、2°には限られず、分解筒12内における有機物Oや無定形炭素Cの移動速度、及び、分解筒12内における集合体Cの厚みH等を勘案して決定することが好ましい。
【0236】
また、停留室群30に存在する無定形炭素Cの保持温度は、800℃〜1000℃の範囲の中で、設計に応じて好適な温度を選択できる。無定形炭素Cに吸着されたタールを熱分解反応により分解する観点から見ると、無定形炭素Cの保持温度は、より高い温度であることが好ましい。したがって、分解筒12の構成材料の耐熱性を勘案して、この範囲の中から、より高い温度を選択することが好ましい。このようにすることにより、タールを効果的に分解できるとともに、可燃性ガスの収量を実用上充分な程度まで増加させることができる。
【0237】
ただし、保持温度は800℃以上であれば、無定形炭素Cに吸着されたタールの分解速度を実用上許容できる速度とすることができる。したがって、可燃性ガスの収量を実用上許容できる程度まで増加させることができる。
【0238】
また、分解筒12を構成する材料の耐熱性をより高いものとできれば保持温度は1000℃より高くてもかまわない。
【0239】
また、停留室群30に設けられる邪魔板26は、連通孔32が上述の(条件1)〜(条件4)を満たすような形状及び配置とされていれば、5枚には限定されない。
【0240】
より詳細には、邪魔板26はm枚(ただし、mは、m≧3、かつ、m≧nの整数)以上であればよい。そして、これらm枚の邪魔板26の内、n枚の邪魔板26が上述の(条件1)〜(条件4)を満足すればよい。
【0241】
このとき、残りの(m−n)枚の邪魔板26の連通孔32は、任意の位相で配置してかまわない。ただし、未処理ガスを無定形炭素C中に充分に流通させるという観点からは、(m−n)≧3の場合には、可能であれば、これら(m−n)個の連通孔32を(条件3)及び(条件4)を満たすように配置することが好ましい。
【0242】
また、個々の連通孔32は、上述の(条件1)及び(条件2)を満足した上で、分解筒12を移動する無定形炭素Cの移動を妨げないような形状及び大きさとすることが好ましい。
【0243】
ただし、連通孔32の角αを大きくし、かつ、高さhを大きくすると、連通孔32の面積が大きくなる。この結果、無定形炭素Cは移動しやすくなる。しかし、必要とされる邪魔板26の枚数が増加する。逆に、連通孔32の角αを小さくし、かつ、高さhを小さくすると、連通孔32の面積が小さくなる。この結果、必要とされる邪魔板26は少なくてすむが、無定形炭素Cが移動しにくくなる。
【0244】
したがって、連通孔32の形状及び大きさは邪魔板26の枚数と、無定形炭素Cの移動の容易さとを勘案して決定することが好ましい。
【0245】
また、分解筒12に供給される有機物Oは、水分含有量が30wt%以下であることが好ましい。水分含有量が30wt%以下であれば、有機物Oから水蒸気を気化させるための気化熱を、実用上許容できる程度の熱量に抑えることができる。その結果、熱分解が円滑に進行する。この観点から見ると、有機物Oの水分含有量は、より少ないことが好ましい。後述の実施例では、含有水分量が15wt%程度の乾燥木片を有機物Oとして用いて、タールを含まない充分な量の可燃性ガスと無定形炭素Cとを生成することができた。
【0246】
また、熱分解炉10において、2次分解炉23は、必須の構成要件ではない。したがって、取出口22から、直接、可燃性ガス及び無定形炭素Cを取り出してもよい。このようにすることによっても、可燃性ガス中のタールは実用上充分な量にまで低減されている。
【0247】
また、2次分解炉23中に貯蔵されている無定形炭素Cの保持温度は、800℃〜1000℃の範囲の中で、設計に応じて好適な温度を選択できる。無定形炭素Cに吸着されたタールを熱分解反応により分解する観点から見ると、無定形炭素Cの保持温度は、より高い温度であることが好ましい。したがって、貯蔵容器34の構成材料の耐熱性を勘案して、この範囲の中から、より高い温度を選択することが好ましい。
【0248】
また、熱分解炉10と、この熱分解炉10から取り出された燃料ガスを燃料として発電を行う発電機(不図示)とで、発電システムを構成してもよい。そして、この発電機で発電された電力を、ヒータ16aや棒状ヒータ56に供給してもよい。このようにすることにより、商用電力の消費量を低減することができる。
【0249】
また、分解筒12をヒータ16aで加熱する代わりに、外筒16b内で、熱分解炉10から取り出された燃料ガスを燃焼させることで、分解筒12を加熱してもよい。このようにすることにより、熱分解炉10のエネルギー利用効率を高めることができる。
【0250】
(実施の形態2)
図6を参照して、実施の形態2の熱分解炉につき説明する。
【0251】
図6は、熱分解炉の全体構成を示す模式図である。
【0252】
なお、以下の説明において用いる「未処理ガス」、「処理ガス」、「可燃性ガス」、及び「第2可燃性ガス」等の用語の意味は、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0253】
熱分解炉70は、分解筒72と、加熱手段74と、タール分解手段としてのタール分解容器76と、取出口手段としての取出口78とを備えている。さらに、任意的な構成要件として、回転手段82と、冷却装置80とを備えている。
【0254】
この熱分解炉70は、有機物Oを断続的に熱分解する、いわゆるバッチ式熱分解炉である。
【0255】
分解筒72は、ほぼ水平に配置された中空円筒である。分解筒72の一端部側には、入出口72aが設けられている。この入出口72aは、有機物Oの投入口及び無定形炭素Cの取出口を兼ねている。また、入出口72aには、分解筒72を気密に保つことが可能な蓋72bが設けられている。
【0256】
分解筒72の他端部側には、ガス排出用配管72cが接続されている。このガス排出用配管72cは、タール分解容器76の側面に接続されている。
【0257】
回転手段82は、分解筒72に接続されており、有機物Oの熱分解中に、分解筒72を周方向に回転させる。
【0258】
加熱手段74は、バーナ74aと、外筒74bとを備える。外筒74bは、分解筒72を内包するように配置されている。バーナ74aは、分解筒72と外筒74bとの間の空間に設けられている。そして、バーナ74aを燃焼させることにより、分解筒72を約900℃まで加熱して、分解筒72内部に投入された有機物Oを熱分解する。
【0259】
タール分解容器76は、ガス排出用配管72cを介して分解筒72と接続されている。有機物Oの熱分解で発生した未処理ガスは、ガス排出用配管72cを介してタール分解容器76に導入される。
【0260】
タール分解容器76は、中空筒状の本体76aと、カートリッジ88と、充填材加熱手段76bとを備えている。
【0261】
カートリッジ88は、未処理ガスの通気性を確保するために、メッシュ状の金網等で形成された容器であり、内部に無定形炭素Cからなる充填材84が充填されている。このカートリッジ88は、本体76a内部に装着及び脱着自在に設けられている。
【0262】
充填材加熱手段76bは、カートリッジ88の内部空間に挿入されるように配置されており、充填材84を約1000℃の温度に加熱することができる。ここで、カートリッジ88は、有機物Oの熱分解で発生する未処理ガスが、加熱された充填材84を2秒以上かけて通過することができる体積とされている。
【0263】
なお、充填材84として用いられる無定形炭素Cとしては、この熱分解炉70で生成されたものを用いている。
【0264】
また、タール分解容器76の上面に形成された開口として取出口78が設けられている。したがって、タール分解容器76に導入された未処理ガスは、約1000℃に保たれた充填材84中を流通し、可燃性ガスとして、取出口78から取り出される。
【0265】
すなわち、未処理ガスは、充填材84を流通する過程で、無定形炭素Cによりタールが吸着除去され、処理ガスとなる。さらに、実施の形態1で説明したように、無定形炭素Cに吸着されたタールは、1000℃の環境下で熱分解反応により分解され第2可燃性ガスとなる。したがって、取出口78からは、処理ガスと第2可燃性ガスとが混合された可燃性ガスが取り出される。
【0266】
冷却装置80は、配管86を介して取出口78と接続されている。冷却装置80は、いわば水槽であり、内部に大量の水Wが蓄えられている。そして、配管86の、取出口78とは反対側の開口部は、この水中に没している。つまり、冷却装置80は、いわゆるバブリング式である。
【0267】
したがって、取出口78から取り出された可燃性ガスは、冷却装置80に蓄えられた水中を流通することで、冷却されるとともに洗浄される。そして、冷却装置80の上部に設けられた開口80aから取り出される。
【0268】
熱分解炉70の動作や、タール分解のメカニズムは、実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0269】
以下、この実施の形態で説明した熱分解炉70の奏する効果につき説明する。
【0270】
この熱分解炉70では、有機物Oの熱分解で発生した未処理ガスを、タール分解容器76において、多数の微細孔を有する無定形炭素Cに流通させる。これにより、タールが除去された処理ガスを得ることができる。
【0271】
ところで、充填材84として用いる無定形炭素Cは、熱分解炉70により生成されたものである。つまり、タールの除去のために、別途吸着材を準備する必要がない。
【0272】
また、タールを吸着した無定形炭素Cを約1000℃の温度に保持することで、吸着されたタールを分解して第2可燃性ガスを発生させる。つまり、この第2可燃性ガスの発生量分だけ可燃性ガスの収量を増加させることができる。
【0273】
また、熱分解炉70においては、タールは、熱分解反応により分解されるので、水蒸気を必要としない。
【0274】
また、有機物Oから発生した未処理ガスは、取出口78から取り出されるまでに、800℃の温度に2秒以上保持される。したがって、ダイオキシンの発生を防止することができる。
【0275】
さらに、熱分解炉70はバッチ式であるので、連続式の熱分解炉10では処理できない有機系廃棄物(たとえば、汚染物を含む有機系廃棄物や医療用廃棄物等)の熱分解を行うことができる。
【実施例】
【0276】
次に、この発明の実施例につき説明する。
【0277】
実施例では、発明者らが行った実験の結果に基づき、(1)タールの分解に水蒸気を必要としないこと、(2)タールの低減効果、及び、(3)可燃性ガスの収量増加につき説明する。
【0278】
実験に用いた熱分解炉は、実施の形態2で説明したバッチ式の熱分解炉70をスケールダウンしたものである。したがって、実施例においては、熱分解炉の構造の説明を省略する。また、熱分解炉の構成要素を説明する場合には、実施の形態2と同様の名称及び符号を用いる。
【0279】
実施例においてバッチ式の熱分解炉70を用いた理由は、熱分解により発生する無定形炭素、タール及び可燃性ガスを定量的に把握することが容易だからである。熱分解炉70と熱分解炉10(実施の形態1)との違いは、有機物が連続的に投入されるか否かだけである。つまり、両者は、熱分解炉中における有機物の熱分解過程や発生するガスの処理方法は共通している。したがって、以下に説明する実施例の結果は、連続式の熱分解炉10でも同様に成り立つ。
【0280】
下記の表1に実験条件及び実験結果を、並びに表2に比較例Cで得られた可燃性ガスの成分分析結果を示す。
【0281】
【表1】

【0282】
【表2】

【0283】
表1を参照して、実験条件につき説明する。有機物の熱分解実験を、6種類の条件(比較例A〜E及び実施例A)で行った。そして、1条件につき3回ずつ、合計18回の実験を行った。
【0284】
まず、実験条件及び実験手順につき説明する。なお、以下の説明は、特に明示のない限り全実験に共通したものである。
【0285】
(i)分解筒72に15.0kgの有機物を供給した後に、分解筒72を閉鎖して、分解筒72を加熱手段74により加熱することで、有機物の熱分解を行った。
【0286】
ここで、有機物としては、チップ状に破砕された乾燥木片を用いた。なお、木片を構成する木材種に由来する実験結果のバラツキを防ぐために、攪拌により均一化された充分量の木片(母木片)を予め準備しておき、この母木片から各実験で用いる木片を取り出した。
【0287】
また、表1に示した含有水分量は、公知の水分量計により測定した。なお、この含有水分量は、試料によらず、約15wt%でほぼ一定であった。
【0288】
また、分解筒72は、有機物投入直後の室温状態から、約900℃の温度となるまで加熱した。そして、取出口78から新たなガスが発生しなくなるまで、分解筒72を約900℃の温度に保った。有機物を投入してから実験終了(可燃性ガス発生が停止する)までに要した時間は約1時間であった。
【0289】
(ii)比較例B〜E及び実施例Aにおいては、有機物の熱分解の過程で発生したガス(以下、発生ガスとも称する。)を、約1000℃に保たれたタール分解容器76に導入した。タール分解容器76中には、表1に示した充填材84が充填されたカートリッジ88が設けられており、タール分解容器76に導入された発生ガスを、このカートリッジ88中を流通させた後に、取出口78から可燃性ガスとして取り出した。
【0290】
ここで、カートリッジ88の体積は、発生ガスの体積(1秒あたり)の約3倍とした。
【0291】
なお、比較例Aでは、分解筒72と冷却装置80とを直接接続した。つまり、比較例Aでは、分解筒72の出口から放出される発生ガスを、そのまま可燃性ガスとして取り出した。
【0292】
(iii)(ii)で取り出された可燃性ガスを、バブリング式の冷却装置80を通過させ室温まで冷却した。これにより、可燃性ガス中のタールを液化させた。
【0293】
(iv)(iii)を経た可燃性ガスの体積を測定することにより、表1に示した可燃性ガス発生量とした。また、冷却装置80、分解筒72、タール分解容器76及び配管系中に残留したタールの合算質量を、表1に示した液化タール質量とした。
【0294】
また、表1には、分解筒72中に残留した無定形炭素の質量(A欄)と、充填材84に残留した無定形炭素の質量(B欄)と、両者の合算質量(C欄)を、それぞれ示した。なお、B欄の、充填材84に残留した無定形炭素の質量は、実験の前後において充填材84の質量を測定し、“(実験後の充填材の質量)−(実験前の充填材の質量)”により求めた。
【0295】
(v)比較例Aと比較例Cについては、得られた可燃性ガスの発熱量を測定した。なお、表1に示した発熱量は、標準状態における可燃性ガス1mあたりの値である。
【0296】
(vi)比較例Cについては、可燃性ガスの成分分析を行った。
【0297】
次に、カートリッジ88に充填した充填材84につき説明する。
【0298】
比較例Aでは、タール分解容器76を設けていない。したがって充填材84は使用していない。
【0299】
比較例Bでは、タール分解容器76を設けているが、カートリッジ88の内部に充填材84を充填していない。つまり、比較例Bは、空のカートリッジ88を1000℃に加熱している。
【0300】
比較例Cでは、充填材84として、直径10mm、及び長さ15mmのステンレス製パイプの切断片を用いた。
【0301】
比較例Dでは、充填材84として、家庭用のステンレス製金タワシを用いた。
【0302】
比較例Eでは、充填材84として、コークスを用いた。
【0303】
実施例Aでは、充填材84として、予め準備された無定形炭素を用いた。なお、この無定形炭素は、上述の母木片の熱分解により製造したものである。
【0304】
次に、表1を参照して実験結果につき説明する。
【0305】
タール分解容器76を用いていない比較例Aでは、液化タール質量が約3.6kgである。これは、無定形炭素発生量(約2.8kg)よりも多量であり、積極的にタール分解処理を行わない場合には、非常に多量のタールが発生することがわかる。
【0306】
比較例Bでは、空のカートリッジ88中に発生ガスを流通させただけで、液化タール質量が、比較例Aの1/2未満(約1.4kg)となることがわかる。また、可燃性ガス発生量(約8.4m)も比較例Aの約1.8倍まで増加する。
【0307】
比較例C〜E及び実施例Aでは、液化タール質量は、比較例Aの1/3以下にまで減少する。また、可燃性ガス発生量は、比較例Aの1.8倍以上にまで増加する。
【0308】
そして、比較例C〜E及び実施例Aでは、この順序で液化タール質量が減少するとともに、可燃性ガス発生量が増加する。これは、後述のように、充填材84の単位質量あたりの表面積に関係している。
【0309】
特に、充填材84として母木片由来の無定形炭素を用いた実施例Aでは、液化タール質量は約10gである。これは、比較例Aの1/100以下である。
【0310】
つまり、分解筒72の出口から取り出された可燃性ガスを、充填材84としての無定形炭素に流通させず、かつ、800℃未満の温度で液化した比較例Aと比べて、実施例Aでは液化タール質量を1/100以下とすることができる。
【0311】
また、実施例Aの可燃性ガス発生量は、約10.3mである。これは、比較例Aの2倍以上の体積である。
【0312】
比較例A及び比較例Cについては、可燃性ガスの単位体積あたりの発熱量を評価している。これによれば、比較例Aよりも比較例Cの方が、可燃性ガスの発熱量が約10%大きくなっていることがわかる。
【0313】
このことから、単位体積あたりで見た場合、比較例C由来の可燃性ガスの方が、比較例A由来の可燃性ガスよりも、多量の可燃性の化学種を含んでいることが示唆される。そして、比較例Aと比較例Cとの違いは、タールの分解の有無のみであるので、比較例C由来の可燃性ガスで増加したと推測される可燃性の化学種は、分解されたタールに由来していると推測される。
【0314】
さらに、比較例Cで発生する可燃性ガスの体積は、比較例Aの約2倍となっていることを勘案すると、比較例Cでは単位質量あたりの有機物(木片)から、比較例Aに比べて、2倍以上の利用可能エネルギーを取り出せることがわかる。
【0315】
ところで、実施例Aと比較例Cとでは、タール分解のメカニズム(熱分解反応)は、共通していると考えられるので、上述の議論は、実施例Aについても同様に成り立つと考えられる。つまり、実施例Aでは、比較例Aの約2.5倍近く多量の利用可能エネルギーを取り出せると推測される。
【0316】
次に、表2を参照して可燃性ガスの構成成分につき説明する。
【0317】
比較例Cから得られた可燃性ガスは、体積百分率で70%以上が可燃性の化学種で構成されていることがわかる。詳細には、可燃性ガスは、水素、一酸化炭素、メタン、エタン(エチレン)及びプロピレンという可燃性の化学種を含んでいる。
【0318】
ところで、実施例Aと比較例Cとでは、タール分解のメカニズム(熱分解反応)は、共通していると考えられるので、実施例Aで得られた可燃性ガスも、表2と共通した化学種を含んでいるものと推測される。
【0319】
次に、比較例A〜E及び実施例Aの実験結果を用いて、タールの分解に水蒸気を必要としないことにつき説明する。
【0320】
一般に、水分を含んだ有機物の熱分解は、以下に説明する過程で進行することが知られている。すなわち、熱分解の初期段階では、まず始めに水蒸気が発生する。そして、有機物中の水分が蒸発し終わると、有機物からは、H、CO、CO、メタン、エタン及びタール等が発生する。そして、これらのガスが発生し終わると、有機物は無定形炭素へと炭化される。
【0321】
つまり、タールは、水蒸気の蒸発完了後の有機物から発生する。このように水蒸気とタールの発生時期が異なっているので、この実施例の熱分解炉70では、タールと水蒸気とがタール分解容器76中で共存することがない。
【0322】
よって、タール分解容器76を設けた実験例(比較例B〜E及び実施例A)において、タールの発生量(液化タール質量)が、比較例Aより減少したとするならば、タールの分解には水蒸気が必要ないことが結論づけられる。
【0323】
ここで、表1を参照すると、比較例Aの液化タール質量(約3.6kg)よりも、比較例B〜E及び実施例Aの液化タール質量の方が明らかに少ない。
【0324】
つまり、この発明においては、タールは、水蒸気改質により分解されるのではなく、水蒸気を必要としない熱分解反応により分解されることがわかる。
【0325】
次に、比較例A〜E及び実施例Aの実験結果を用いて、タールの低減効果、及び、可燃性ガスの収量増加につき説明する。
【0326】
比較例A〜E及び実施例Aにおける液化タール質量は、この順序で減少する。また、可燃性ガス発生量は、この順序で増加する。
【0327】
この2つの現象は、充填材84の単位質量あたりの表面積(以下、単に表面積と称する。)の大小に関係するものと思われる。
【0328】
つまり、充填材84の表面積を大きくすれば、タールとの接触面積が増えることから、充填材84は、より多量のタールを吸着することができる。その結果、この充填材84は、吸着した多量のタールを、高温環境下(約1000℃)で長時間保持できる。高温環境下での保持時間が長くなることにより、充填材84表面でタールの熱分解反応が充分に進行する。
【0329】
よって、表面積の大きな充填材84を用いることにより、可燃性ガス中のタールの含有量を低減でき、かつ、可燃性ガスの収量を増加させることができると推測される。
【0330】
ここで、表1において(B)欄に注目する。(B)欄は、実験終了後に充填材84に残留した無定形炭素の質量である。いずれの実験でも、(B)欄の値はプラス(>0)であり、実験終了後に、無定形炭素が充填材84に付着していることがわかる。
【0331】
ところで、タール分解容器76中の充填材84には、発生ガスが流通するのみである。したがって、この無定形炭素は、発生ガス中のタールに由来していると推測することができる。
【0332】
つまり、この無定形炭素は、分解途上のタールや分解後のタール残渣が、充填材84に付着したものと考えられる。
【0333】
表1によれば、(B)欄の値は、いずれの実験でも約0.1kg以下である。この値は、タール除去を行っていない比較例Aにおける液化タール質量(約3.6kg)の1/30以下である。
【0334】
これは、充填材84に吸着された発生ガス中のタールのほとんど全量が、充填材84表面で分解されて可燃性ガスとなることを示している。
【0335】
また、(B)欄によれば、充填材84に残留した無定形炭素の質量は、比較例B〜比較例E及び実施例Aの順番で徐々に小さくなっていく。このことより、充填材84の表面積を大きくするほど、タールの分解効率が増加することが推測できる。
【図面の簡単な説明】
【0336】
【図1】実施の形態1の熱分解炉の全体構成を示す模式図である。
【図2】実施の形態1において、邪魔板の説明に供する斜視図である。
【図3】(A)及び(B)は、連通孔の説明に供する分解筒の正射影を表す図である。
【図4】(A)及び(B)は、連通孔の説明に供する分解筒の正射影を表す図である。
【図5】実施の形態1の熱分解炉中におけるガスの流れの説明に供するブロック図である。
【図6】実施の形態2の熱分解炉の全体構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0337】
10,70 熱分解炉
12,72 分解筒
12a 一端開口
12b 他端開口
12c 中心軸
12d 内壁面
12 外側面
14 供給手段
14a ホッパ
14b,48,50 スクリューフィーダ
14b 後端部
14b スクリュー
14b 前端部
14c 有機物投入口
16,74 加熱手段
16a ヒータ
16b,74b 外筒
16b,28,72b 蓋
16b 筒状本体
16b
16b 内周面
18,82 回転手段
18 駆動モータ
18 回転駆動部
18a 駆動部
18b,18c コロ
18b,18c 回転軸
20 タール分解手段
22,78 取出口
23 2次分解炉
24,24A 停留室
26,26〜26 邪魔板
26a 弦
26b 外縁
30 停留室群
32 連通孔
32F 前方連通孔
32B 後方連通孔
32a,32Fa,32Ba 前端部
32b,32Fb,32Bb 後端部
32Fc,32Bc 中点
34 貯蔵容器
34a シール機構
34b 下端
36 ガス排出口
38 排出手段
40 2次加熱手段
44 ガス洗浄装置
46,86 配管
52 水槽
56 棒状ヒータ
58 金網
60a,60b 断熱材
72a 入出口
72c ガス排出用配管
74a バーナ
76 タール分解容器
76a 本体
76b 充填材加熱手段
80 冷却装置
80a 開口
84 充填材
88 カートリッジ
O 有機物
C 無定形炭素,無定形炭素の集合体
C1 端部
S1,Sa,Sb,S32Fa,S32Bb,SF,SB,SFO,SBO 線分
P1〜P7 連通孔対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を熱分解して、無定形炭素と可燃性ガスとを生成する、有機物の処理方法であって、
前記有機物を熱分解することにより炭化して前記無定形炭素を生成し、
熱分解途上の前記有機物から発生する、第1可燃性ガスと気体状のタールとを含む未処理ガスを、前記無定形炭素の集合体に流通させて、前記未処理ガス中の当該タールを前記無定形炭素に吸着させることにより、当該タールが除去された処理ガスとし、
当該タールを吸着した前記無定形炭素を、大気圧下で800〜1000℃の温度に保つことによって、当該タールを熱分解反応により分解して第2可燃性ガスを発生させ、
前記処理ガス及び前記第2可燃性ガスが混合された前記可燃性ガスを生成する
ことを特徴とする有機物の処理方法。
【請求項2】
前記無定形炭素を、前記未処理ガスが該無定形炭素の集合体中を流通可能な状態で、800〜1000℃の温度で、10分以上保持することを特徴とする請求項1に記載の有機物の処理方法。
【請求項3】
前記未処理ガスを、下記の条件(1)及び(2)
(1)前記無定形炭素の集合体に流通させない、及び、
(2)800℃未満の温度とする、
の双方を満たした状態で冷却して、前記タールを液化した場合の液化タールの質量を分解前質量とし、及び
前記可燃性ガスを冷却して、前記タールを液化した場合の液化タールの質量を分解後質量とした場合に、
前記分解後質量は、前記分解前質量の1/100以下の質量であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機物の処理方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機物の処理方法を利用した熱分解炉であって、
一端開口から他端開口にかけて高さが低くなるように傾斜して配置され、前記一端開口から前記他端開口に向けて、前記有機物が熱分解されながら移動する中空筒状の、回転型の分解筒と、
前記分解筒の気密性を保った状態で前記一端開口に設けられ、前記分解筒に連続的に前記有機物を供給することができる供給手段と、
前記分解筒の側面を外側から囲むように設けられ、前記有機物を加熱する加熱手段と、
前記有機物の熱分解中に、前記分解筒を、その中心軸の周りで周方向に回転させる回転手段と、
熱分解途上の前記有機物から発生する、第1可燃性ガスと気体状のタールとを含む未処理ガスを、熱分解途上の当該有機物よりも前記他端開口側に存在する無定形炭素の集合体中に流通させるとともに、前記加熱手段による加熱により、該無定形炭素に吸着された前記タールを分解させて第2可燃性ガスを発生させるタール分解手段と、
前記分解筒の前記他端開口に設けられ、前記無定形炭素、並びに、前記未処理ガス中の前記タールが除去された処理ガス及び前記第2可燃性ガスが混合された可燃性ガスを、前記分解筒から連続的に取り出すように構成されている取出口手段と
を備えていることを特徴とする熱分解炉。
【請求項5】
前記タール分解手段は、
前記分解筒内に、前記中心軸方向に沿って直列に配置された複数の停留室と、
個々の該停留室を画成するとともに、隣接する停留室間を連通させているm枚(ただし、mは3以上の整数)の邪魔板と、
前記取出口手段の重力方向の上側領域を開口させるとともに、該取出口手段の重力方向の下側領域をふさぐように設けられていて、前記分解筒内に前記無定形炭素を停留させるための蓋と
を備えており、
前記邪魔板の各々は、それぞれ前記分解筒の内壁面に直角に接続されていて、かつ、互いに隣接する前記停留室間を連通する連通孔を、当該邪魔板と該内壁面との間にそれぞれ形成しており、
前記中心軸方向に対するm枚の前記邪魔板の正射影において、
(1)前記分解筒の前記内壁面及び前記無定形炭素の集合体の接触領域の前記分解筒の回転方向に沿った両端と、前記分解筒の前記中心軸とをそれぞれ結ぶ2線分で挟まれた角度をΘとし、
(2)前記内壁面の重力方向の最下端位置から、重力方向に沿って測った前記無定形炭素の厚みをHとし、
(3)任意の前記連通孔において、当該連通孔の前記回転方向の前方に位置する端部を前端部とし、当該連通孔の前記回転方向の後方の端部を後端部とし、該前端部及び該後端部と、前記中心軸とをそれぞれ結ぶ2線分で挟まれた角度をαとし、
(4)任意の前記連通孔が重力方向の最下端位置に存在する場合に、前記内壁面の重力方向の前記最下端位置の高さを基準として、重力方向に沿って測った当該連通孔の最高点までの高さをhとし、
(5)前記回転方向に沿って互いに隣接する2個の前記連通孔において、前記回転方向の前方に位置するものを前方連通孔とし、及び、前記回転方向の後方に位置するものを後方連通孔とし、当該前方連通孔の前記前端部及び当該後方連通孔の前記後端部と、前記中心軸とをそれぞれ結ぶ2線分で挟まれた角度をβとし、並びに、
(6)前記前方連通孔における前記前端部と前記後端部とを結んだ線分の中点から前記中心軸まで延びる線分、及び、前記後方連通孔における前記前端部と前記後端部とを結んだ線分の中点から前記中心軸まで延びる線分により挟まれた角度をλとした場合に、
複数の前記連通孔のそれぞれを、H≧h、かつ、Θ>αを満たすような、合同の平面形状とし、
前記回転方向に沿って互いに隣接する2個の前記連通孔を、Θ≧βを満たすように配置し、及び、
m枚の前記邪魔板の内、n枚(ただし、nは、n≧3、かつ、n≦mの整数)の前記邪魔板を、以下の条件を満足するように設けることを特徴とする請求項4に記載の熱分解炉。
(条件)n・λ≧360°を満たす最小のn枚の当該邪魔板の前記中心軸方向に対する正射影において、
n・λ=360°の場合には、互いに隣接する前記連通孔の位相がλずつ、ずれて、n個の当該連通孔が配置されており、
n・λ>360°の場合には、互いに隣接する前記連通孔の内、n−1対においては、前記位相がλずつ、ずれており、かつ、残りの1対においては、前記位相が、360°−(n−1)λだけずれて、n個の当該連通孔が配置されている。
【請求項6】
前記熱分解炉が、前記取出口手段に接続された2次分解炉をさらに備え、
該2次分解炉は、
前記取出口手段から取り出された前記無定形炭素を一時的に貯蔵する貯蔵容器と、
該貯蔵容器において、前記取出口手段よりも下側位置に設けられ、前記取出口手段より取り出された前記可燃性ガスを、該貯蔵容器に貯蔵された前記無定形炭素の集合体中を流通させた後に排出するガス排出口と、
該貯蔵容器の下端に設けられた、前記貯蔵容器中の前記無定形炭素を排出する排出手段と、
前記貯蔵容器中に貯蔵された前記無定形炭素を900〜1000℃の温度に加熱する2次加熱手段と
を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の熱分解炉。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機物の処理方法を利用した熱分解炉であって、
有機物が供給され、熱分解中は気密とされる分解筒と、
該分解筒を、前記有機物が熱分解して無定形炭素が生成される温度まで加熱する加熱手段と、
熱分解途上の前記有機物から発生する、第1可燃性ガスと気体状のタールとを含む未処理ガスを、当該有機物の熱分解よりも前に行われた熱分解により得られた前記無定形炭素の集合体中に流通させ、当該タールが除去された処理ガスとし、当該タールを吸着した前記無定形炭素を800〜1000℃の温度に保ち、吸着された前記タールを分解することによって第2可燃性ガスを発生させるタール分解手段と、
前記処理ガス及び前記第2可燃性ガスが混合された可燃性ガスを取り出す取出口手段と
を備えていることを特徴とする熱分解炉。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の熱分解炉と、発電機とを備えた発電システムであって、
該発電機を稼働させるための燃料として前記可燃性ガスを用いることを特徴とする発電システム。
【請求項9】
有機物を熱分解して可燃性ガスを製造するにあたり、
前記有機物を熱分解することにより炭化して無定形炭素を生成し、
熱分解途上の前記有機物から発生する、第1可燃性ガスと気体状のタールとを含む未処理ガスを、前記無定形炭素の集合体中に流通させて前記未処理ガス中の当該タールを、前記無定形炭素に吸着させることにより、当該タールが除去された処理ガスとし、
当該タールを吸着した前記無定形炭素を、大気圧下で800〜1000℃の温度に保つことによって、当該タールを熱分解反応により分解して第2可燃性ガスを発生させ、
前記処理ガス及び前記第2可燃性ガスが混合された可燃性ガスを製造する
ことを特徴とする可燃性ガスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−92003(P2007−92003A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287047(P2005−287047)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【特許番号】特許第3781379号(P3781379)
【特許公報発行日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(302007356)プラント機工株式会社 (1)
【出願人】(504420858)北海道パワーエンジニアリング株式会社 (2)
【Fターム(参考)】