説明

有高確定装置及び有高確定プログラム

【課題】カセットの装着時における媒体の有高を正しく確定できるようにする。
【解決手段】現金自動預払機1の副制御部32は、紙幣カセット17Aが装着されると収納量センサ22の検出結果を基に収納状態を判定し、空状態であれば有高を0枚に確定する一方、低状態であれば収納されている全ての紙幣BLを一時保留部12へ順次搬送しながら鑑別部11によりその枚数を計数することにより有高を確定することができる。一方副制御部32は、収納状態がそれ以外であれば、その後の取引処理において取引枚数を記録しながら紙幣BLの枚数が減少するのを待ち、当該紙幣カセット17Aが空状態又は低状態になった時点で取引後の枚数を計数し、紙幣カセット17Aの装着後における全取引枚数を集計して取引後の枚数と合算することにより、装着時の実際の有高を確定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有高確定装置及び有高確定プログラムに関し、例えば紙幣等の媒体を投入して所望の取引を行う現金自動預払機(ATM)に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関等で使用される現金自動預払機等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金するようになされている。
【0003】
現金自動預払機としては、例えば顧客との間で紙幣の授受を行う紙幣入出金部と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、紙幣を搬送する搬送部と、金種ごとに紙幣を格納する紙幣カセットとを有するものがある。
【0004】
例えば現金自動預払機は、金融機関の営業開始前などに、一時的に紙幣カセットが取り外され、当該紙幣カセットに紙幣が装填されて、再び当該紙幣カセットが装着される。
【0005】
また現金自動預払機のなかには、金融機関の営業終了後などに、紙幣カセットに格納されている紙幣を他の紙幣カセットや一時保留部へ1枚ずつ搬送すると共にその枚数を計数することにより、当該紙幣カセットに格納されている紙幣の枚数を確定する(精査する)ようになされたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−108160公報(段落[0020]〜[0024]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで現金自動預払機では、紙幣カセットに紙幣が収納されて装着される際、金融機関の職員等に所定の操作部等から紙幣の枚数を入力させることにより、当該紙幣カセットに収納されている紙幣の枚数(以下これを有高と呼ぶ)を認識することができる。
【0008】
そして現金自動預払機は、取引処理による紙幣の入金及び出金に応じて紙幣カセットの有高を更新することにより、常に紙幣カセットの最新の有高を把握することができる。
【0009】
しかしながら、紙幣カセットの装着時に入力された枚数が誤っていた場合、現金自動預払機は、誤った有高を更新し続けることになってしまい、誤った有高を認識し続けることになってしまう。
【0010】
特に現金自動預払機では、把握している有高と実際の有高との間に差異が生じた場合、最初の有高を基に取引の記録等を辿ることにより差異が発生した時点やその原因についての調査が行われる。しかしながら紙幣カセットの有高が最初から誤っていた場合には、差異が発生した時点やその原因を正しく調査することが困難になるという問題があった。
【0011】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、カセットの装着時における媒体の有高を正しく確定することができる有高確定装置及び有高確定プログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するため本発明の有高確定装置においては、紙葉状の媒体を積層して収納するカセットと、カセットが所定の装着箇所に装着されたことを検出する装着検出部と、媒体を一時的に保持する媒体保持部と、少なくともカセットと媒体保持部との間で媒体を1枚ずつ搬送する搬送部と、搬送部により搬送された媒体の枚数を計数する計数部と、装着検出部によりカセットが装着箇所に装着されたことを検出し、且つ媒体の移転先を確保できることを表す移転条件を満たす場合に、搬送部によりカセットから媒体保持部へ媒体を搬送させる移転処理と、媒体保持部からカセットへ媒体を搬送させる復元処理と、当該移転処理又は当該復元処理における搬送中に計数部により計数された媒体の枚数をカセットの装着時における有高として確定する確定処理とを行う制御部と、確定された有高を記憶する記憶部とを設けるようにした。
【0013】
これにより本発明の有高確定装置は、カセットが装着されると、移転条件が満たされる場合、収納されている媒体を媒体保持部との間で搬送させ、その際に媒体の枚数を計数することにより、装着時における媒体の実際の有高を確定することができる。
【0014】
また本発明の有高確定プログラムにおいては、媒体を収納するカセットが所定の装着箇所に装着されたことを検出する装着検出ステップと、媒体の移転先を確保できることを表す移転条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、カセットが装着され且つ移転条件が満たされた場合に、所定の搬送路を介して、カセットから所定の媒体保持部へ当該媒体を順次搬送させる退避ステップと、搬送路を介して、媒体保持部からカセットへ媒体を順次搬送させる復元ステップと、退避ステップ又は復元ステップにおいて搬送された媒体の枚数を、搬送路の途中に設けられた計数部により計数する計数ステップと、計数部により計数された枚数を、カセットの装着時における有高として確定する有高確定ステップと、確定された有高を所定の記憶部に記憶させる記憶ステップとを設けるようにした。
【0015】
これにより本発明の有高確定プログラムでは、カセットが装着されると、移転条件が満たされる場合、収納されている媒体を媒体保持部との間で搬送させ、その際に媒体の枚数を計数することにより、装着時における媒体の実際の有高を確定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カセットが装着されると、移転条件が満たされる場合、収納されている媒体を媒体保持部との間で搬送させ、その際に媒体の枚数を計数することにより、装着時における媒体の実際の有高を確定することができる。かくして本発明は、カセットの装着時における媒体の有高を正しく確定することができる有高確定装置及び有高確定プログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】現金自動預払機の外観構成を示す略線的斜視図である。
【図2】現金自動預払機の内部構成を示す略線図である。
【図3】紙幣カセットと各センサの位置との関係を示す略線図である。
【図4】現金自動預払機の回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図5】紙幣枚数テーブル(1)を示す略線図である。
【図6】紙幣枚数テーブル(2)を示す略線図である。
【図7】紙幣枚数テーブル(3)を示す略線図である。
【図8】紙幣枚数テーブル(4)を示す略線図である。
【図9】紙幣枚数テーブル(5)を示す略線図である。
【図10】第1の実施の形態による有高確定処理手順を示すフローチャートである。
【図11】紙幣枚数テーブル(6)を示す略線図である。
【図12】紙幣枚数テーブル(7)を示す略線図である。
【図13】第2の実施の形態による有高確定処理手順(1)を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態による有高確定処理手順(2)を示すフローチャートである。
【図15】カセット間搬送処理手順を示すフローチャートである。
【図16】第3の実施の形態による現金自動預払機の内部構成を示す略線図である。
【図17】第3の実施の形態による有高確定処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0019】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、顧客へ現金を出金する出金処理や顧客に現金を入金させる入金処理のように、顧客との間で現金に関する取引を行うようになされている。
【0020】
筐体2は、その前面2A側に顧客が対峙した状態で媒体としての紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面2Aの上部から上面に渡る箇所に、接客部3が設けられている。
【0021】
接客部3は、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、硬貨入出金部4、紙幣入出金部5、通帳取扱部6、カード・レシート取扱部7及び顧客操作部8が設けられている。
【0022】
硬貨入出金部4及び紙幣入出金部5は、顧客が入金する硬貨及び紙幣がそれぞれ投入されると共に、顧客へ出金する硬貨及び紙幣がそれぞれ排出される部分である。また硬貨入出金部4及び紙幣入出金部5は、それぞれに設けられたシャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。因みに紙幣入出金部5は、最大で約150枚の紙幣を内部に格納し得るようになされている。
【0023】
通帳取扱部6は、取引で使用される通帳が挿入されると取引内容等を通帳に記録し、取引が終了すると通帳を排出するようになされている。
【0024】
カード・レシート取扱部7は、キャッシュカード等の各種カードが挿入されると、各種カードに磁気記録された口座番号等を読み取り、取引が終了すると各種カードを排出すると共に、取引内容を印刷したレシートを排出するようになされている。
【0025】
顧客操作部8は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額などを入力するタッチパネルとが一体化されている。
【0026】
因みに筐体2は、前面2A側やその反対側(すなわち背面側)等の一部の側面が開閉可能な扉により構成されている。すなわち筐体2は、顧客との間で現金に関する取引を行う取引動作時には、図1に示したように各扉を閉塞することにより、内部に収納している紙幣を保護する。一方筐体2は、保守作業が行われる場合等に各扉を開放することにより、内部へのアクセスや保守作業等を容易化するようになされている。
【0027】
図2は、現金自動預払機1を矢印A方向から見た側面図であり、当該現金自動預払機1の内部構成のうち主に紙幣BLの処理に関する部分を模式的に表している。
【0028】
同図に示したように、現金自動預払機1の内部には、上側に接客部3の紙幣入出金部5、紙幣の金種や真偽を判定する鑑別部11、入金紙幣等を一時的に保留する一時保留部12、及び顧客が紙幣入出金部5から取り忘れた紙幣を回収して格納する取忘れ回収庫13等が設けられている。
【0029】
搬送部14は、図示しないローラやベルト等により、図中太線で示す搬送路に沿って紙幣BLを短辺方向に搬送するようになされている。搬送部14は、鑑別部11を前後方向に挿通させるように紙幣BLを搬送し、当該鑑別部11の後側と一時保留部12、取忘れ回収庫13及び紙幣入出金部5とをそれぞれ接続している。また搬送部14は、鑑別部111の前側と紙幣入出金部5及び後述する紙幣収納部15とを接続している。
【0030】
また現金自動預払機1の内部には、下側に金種別の紙幣カセット等を有する紙幣収納部15と、鑑別部11において破損した紙幣(いわゆる損券)と鑑別された紙幣BLを格納する損券庫18とが設けられている。
【0031】
紙幣収納部15は、筐体部2に固定されており、それぞれ紙幣を収納する4個の紙幣カセット17A、17B、17C及び17Dをそれぞれ着脱し得るようになされている。
【0032】
紙幣収納部15は、図示しない収納排出機構により、搬送部14から搬送されてきた紙幣BLを取り込んで紙幣カセット17A、17B、17C及び17D(以下まとめて紙幣カセット17と呼ぶ)に収納させ、また紙幣カセット17に収納されている紙幣BLを排出して搬送部14へ供給するようになされている。
【0033】
図3に示すように、紙幣カセット17は、全体として直方体状に構成されており、その内部に紙幣BLを縦方向に集積して収納するようになされている。因みに紙幣カセット17には、例えば約1000枚の紙幣を収納し得るようになされている。
【0034】
また紙幣収納部15には、紙幣カセット17A〜17Dそれぞれについて、紙幣カセット17の装着又は離脱を検出する着脱センサ21と、紙幣カセット17内に収納されている紙幣の量を検出する収納量センサ22A、22B、22C及び22Dとが設けられている。
【0035】
紙幣カセット17において、集積されている紙幣BLの最下面から最上面までの高さは、集積された紙幣BLの枚数におおむね比例することになる。そして収納量センサ22A、22B、22C及び22D(以下まとめて収納量センサ22と呼ぶ)は、カセット17の底面からの高さ(距離)が紙幣BLの枚数に換算して0枚、約100枚、満杯まで残り約100枚及び満杯となる箇所にそれぞれ設けられている。
【0036】
これにより紙幣収納部15は、紙幣カセット17内に収納された紙幣BLについて、それぞれ0枚であるか否か、約100枚以上であるか否か、満杯まで残り100枚以下であるか否か、及び満杯であるか否かを検出することができる。
【0037】
この検出結果を基に、紙幣収納部15は、紙幣カセット17における紙幣BLの収納状態として、内部に収納された紙幣BLの枚数がそれぞれ0枚である空状態、約100枚以下である低状態、満杯まで残り100枚以下である高状態、又は満杯である満状態のいずれであるかを判定する。
【0038】
これらの収納状態は、紙幣カセット17内に収納された紙幣BLについて、0枚、約100枚以下、満杯まで約100枚以下、又は満杯といったおおよその枚数(以下これを粗枚数と呼ぶ)を表すことになる。
【0039】
このように紙幣収納部15は、着脱センサ21により各紙幣カセット17の着脱を検出すると共に、収納量センサ22により各紙幣カセット17内に収納されている紙幣BLの粗枚数、すなわち収納状態を検出できるようになされている。
【0040】
[1−2.現金自動預払機の回路構成]
現金自動預払機1の内部には、図4に示すように、全体を統括制御する主制御部31と、各部の動作をそれぞれ制御する副制御部32を中心として各回路が設けられている。
【0041】
主制御部31は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やワークエリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)等を有しており、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部33から基本プログラムや各種アプリケーションプログラムを読み出して実行するようになされている。
【0042】
主制御部31は、顧客との間で行われる各種取引に関して統括的な制御を行うようになされており、顧客との取引内容に応じて、硬貨入出金部4、紙幣入出金部5、通帳取扱部6、カード・レシート取扱部7及び顧客操作部8をそれぞれ制御するようになされている。
【0043】
係員操作部9は、例えば筐体2の背面(前面2Aの反対面)に設けられると共に所定の操作キーを有しており、現金自動預払機1を管理する金融機関の職員等(以下これを係員と呼ぶ)による当該操作キーを介した操作を受け付け、その操作指示を主制御部31へ供給する。
【0044】
副制御部32は、主制御部31と同様、図示しないCPUやRAM等を有しており、フラッシュメモリやROM(Read Only Memory)等でなる記憶部34から基本プログラムや各種アプリケーションプログラムを読み出して実行するようになされている。
【0045】
また副制御部32は、内部にクロック回路(図示せず)を有しており、このクロック回路により現在の日時を取得できるようになされている。
【0046】
記憶部34には、有高確定プログラム等の各種プログラムに加えて、紙幣カセット17ごとに紙幣の枚数や取引処理における入出金の履歴が記録される紙幣枚数テーブルTBLが記憶されている。
【0047】
副制御部32は、主制御部31と連携しながら鑑別部11、一時保留部12及び搬送部14等といった各部の動作を制御することにより、各部の間で紙幣BLを搬送し、また各部に紙幣BLを収納し、或いは各部から紙幣BLを排出するようになされている。
【0048】
例えば顧客が紙幣BLを入金する入金取引を行う場合、主制御部31は、顧客操作部8を介して所定の操作入力を受け付けた後、紙幣入出金部5のシャッタを開いて紙幣を投入させる。
【0049】
続いて主制御部31は、副制御部32と連携し、投入された紙幣BLを搬送部14を介して鑑別部11へ搬送して鑑別させ、正常紙幣と鑑別された紙幣BLを一時保留部12へ搬送して一時的に保留する一方、取引すべきでないと鑑別されたリジェクト紙幣を紙幣入出金部5へ搬送して顧客に返却する。
【0050】
その後主制御部31は、顧客操作部8を介して顧客に入金金額を確定させると共に、副制御部32と連携して一時保留部12に保留している紙幣を再び鑑別部11へ搬送して金種を再鑑別させて、鑑別された金種に応じて紙幣収納部15の各紙幣カセット17へ搬送し収納させるようになされている。
【0051】
このとき副制御部32は、この入金取引において紙幣収納部15の各紙幣カセット17に収納した紙幣BLの枚数を紙幣枚数テーブルTBLに記録する。
【0052】
また、例えば顧客へ紙幣BLを出金する出金取引を行う場合、主制御部31は、カード・レシート取扱部7を介して顧客にキャッシュカードを挿入させて口座番号等を読み取り、また顧客操作部8を介して出金すべき金額等を入力させる。
【0053】
続いて主制御部31は、副制御部32と連携し、紙幣収納部15の各紙幣カセット17A〜17Dから出金すべき金額に応じた紙幣BLを排出させ、搬送部14により鑑別部11へ順次搬送して鑑別させ、正常紙幣と鑑別された紙幣BLを紙幣入出金部5へ搬送する一方、破損又は汚損していると鑑別された損券を損券庫18へ搬送して収納させる。
【0054】
その後主制御部31は、紙幣入出金部5のシャッタを開いて顧客に紙幣を取り出させると共に、カード・レシート取扱部7を介して顧客にキャッシュカードを返却し、さらに取引内容を印刷したレシートを排出させるようになされている。
【0055】
このとき副制御部32は、入金取引の場合と同様、出金取引において紙幣収納部15の各紙幣カセット17から排出された紙幣BLの枚数を紙幣枚数テーブルTBLに記録する。
【0056】
このように現金自動預払機1は、主制御部31及び副制御部32の制御に基づき、記憶部34の紙幣枚数テーブルTBLに取引の記録を残しながら、各種取引処理を実行するようになされている。
【0057】
[1−3.紙幣カセットの有高の確定方針]
ところで副制御部32は、紙幣カセット17が装着されると、収納されている紙幣BLの枚数(以下これを有高と呼ぶ)を計数することにより、当該紙幣カセット17の装着時における正確な有高を確定し、その値を紙幣枚数テーブルTBLに記憶させるようになされている。
【0058】
以下、紙幣カセット17Aを例に、収納されている紙幣BLの有高を確定する処理における基本的な方針について説明する。
【0059】
紙幣収納部15は、収納量センサ22により紙幣カセット17の収納状態として空状態、低状態、高状態、又は満状態のいずれであるかを検出することができる。しかしながらこの収納状態は、紙幣カセット17に収納されている紙幣BLのおおよその枚数(粗枚数)に過ぎず、正確な枚数(有高)を表すものではない。
【0060】
このため副制御部32は、搬送部14により紙幣カセット17Aから紙幣BLを1枚ずつ搬送して所定の移転先、具体的には一時保留部12へ移転させた後、当該紙幣BLを再び当該紙幣カセット17へ搬送して元の状態に復元し、その搬送中に鑑別部11により紙幣BLの枚数を計数して有高を確定する。
【0061】
ここで紙幣カセット17Aは、上述したように最大で約1000枚という大量の紙幣BLを収納できる。これに対し移転先としての一時保留部12は、保持できる枚数が約150枚であり、紙幣カセット17Aに収納されている全ての紙幣BLを保持できない場合も考えられる。
【0062】
すなわち紙幣カセット17Aの収納状態が低状態であれば、その紙幣BLを全て一時保留部12へ移転させることができる。さらに、紙幣カセット17Aの収納状態が空状態であれば、紙幣BLの搬送処理を一切行うことなく、有高が0枚であることを確定できる。
【0063】
そこで副制御部32は、紙幣カセット17Aの収納状態が空状態であれば、有高を0枚に確定し、図5に示すように、その値を紙幣枚数テーブルTBLにおける装着時の有高を記憶する箇所(以下これを有高セルCMと呼ぶ)に記憶させる。因みに図5及び以降の図では、紙幣カセット17A〜17Dをそれぞれ「紙幣カセットA」〜「紙幣カセットD」と表記している。
【0064】
また副制御部32は、紙幣カセット17Aの収納状態が低状態であれば、一時保留部12へ紙幣BLを搬送することにより当該紙幣BLの枚数を計数し、図6に示すように、その値を紙幣枚数テーブルTBLの有高セルCMに記憶させる。因みに図6では、一例として有高が80枚であった場合を示している。
【0065】
一方、副制御部32は、紙幣カセット17Aの収納状態が空状態若しくは低状態以外であった場合、装着直後には紙幣BLの枚数を計数せず、そのまま出金取引や入金取引等の取引処理を行う。このとき副制御部32は、図7に示すように、有高セルCMを空欄としたまま、取引処理において排出され又は搬入された紙幣BLの枚数(以下これを取引枚数と呼ぶ)を紙幣枚数テーブルTBLの取引枚数を記憶する箇所(以下これを取引枚数セルCCと呼ぶ)にそれぞれ記憶させる。
【0066】
そして副制御部32は、取引処理が行われた後に紙幣カセット17Aが空状態又は低状態となった時点で、当該紙幣カセット17Aの装着時における有高を事後的に算出して確定する。
【0067】
すなわち副制御部32は、取引処理が行われた後に紙幣カセット17Aの収納状態が空状態であれば、この時点における有高を0枚に確定する。そして副制御部32は、紙幣カセット17の装着後に行われた全ての取引処理における取引枚数の集計値(以下これを全取引枚数と呼ぶ)を紙幣カセット17Aの装着時における有高として確定し、図7と対応する図8に示すように、その値(例えば133枚)を紙幣枚数テーブルTBLの有高セルCMに記憶させる。
【0068】
また副制御部32は、取引処理が行われた後に紙幣カセット17Aの収納状態が低状態であれば、一時保留部12へ紙幣BLを搬送することにより当該紙幣BLの枚数を計数し、この時点における有高(枚数)を確定する。そして副制御部32は、この時点における枚数と、紙幣カセット17の装着後に行われた全取引枚数とを合算することにより紙幣カセット17Aの装着時における有高を確定し、図9に示すように、その値を紙幣枚数テーブルTBLの有高セルCMに記憶させる。因みに図9は、取引処理の終了時点における枚数が10枚、全取引枚数が133枚であり、装着時における有高を143枚と算出した場合を表している。
【0069】
このように副制御部32は、紙幣カセット17Aが装着されると、その収納状態を基に、収納枚数が比較的少なく移転先を確保できる場合には直ちに計数して有高を確定し、収納枚数が多い場合には取引処理により減少するのを待ってから計数して、これを全取引枚数と合算することにより事後的に装着時の有高を確定するようになされている。
【0070】
[1−4.有高確定処理手順]
次に、現金自動預払機1による有高確定処理の具体的な処理手順について、図10のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0071】
現金自動預払機1の副制御部32は、電源が投入され基本プログラムが実行された後、記憶部34から有高確定プログラムを読み出して実行することにより有高確定処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。
【0072】
ステップSP1において副制御部32は、紙幣収納部15の着脱センサ21により紙幣カセット17Aが装着されるのを待ち受け、装着されたことを検出すると次のステップSP2へ移る。
【0073】
ステップSP2において副制御部32は、紙幣カセット17Aが装着された日時を記憶部34の紙幣枚数テーブルTBLに記録し、次のステップSP3へ移る。
【0074】
ステップSP3において副制御部32は、紙幣収納部15の収納量センサ22による検出結果を基に、紙幣カセット17Aの収納状態を判定する。ここで収納状態が空状態と判定された場合、このことは紙幣BLの計数処理を特に行うことなく有高を0枚に確定できることを表しており、副制御部32は次のステップSP4へ移る。
【0075】
ステップSP4において副制御部32は、紙幣カセット17Aの有高を0枚に確定し、次のステップSP15へ移る。
【0076】
また、ステップSP3において収納状態が低状態と判定された場合、すなわち紙幣カセット17Aに収納されている紙幣BLが約100枚未満であると判定された場合、このことは一時保留部12を移転先として用いることにより当該紙幣BLの正確な枚数を計数できることを表しており、このとき副制御部32は次のステップSP5へ移る。
【0077】
ステップSP5において副制御部32は、移転処理として、搬送部14により紙幣収納部15の紙幣カセット17Aから一時保留部12へ紙幣BLを順次搬送し、その途中において鑑別部11により紙幣BLの枚数を計数する。そして副制御部32は、全ての紙幣BLを紙幣カセット17Aから一時保留部12へ移転させ終えると、次のステップSP6へ移る。
【0078】
ステップSP6において副制御部32は、復元処理として、搬送部14により一時保留部12から紙幣収納部15の紙幣カセット17Aへ紙幣BLを搬送し、全ての紙幣BLを元の状態に復元し終えると次のステップSP7へ移る。
【0079】
ステップSP7において副制御部32は、確定処理として、鑑別部11により計数された枚数を紙幣カセット17Aの有高に確定し、次のステップSP15へ移る。
【0080】
一方、ステップSP3において空状態若しくは低状態以外であった場合、このことは紙幣カセット17Aに収納されている紙幣BLの枚数が一時保留部12の保持可能な最大枚数を超えており、この段階では一時保留部12を紙幣BLの移転先として利用できず、紙幣BLの正確な枚数を計数できないことを表している。このとき副制御部32は、取引処理による紙幣BLの減少を待つべく、次のステップSP8へ移る。
【0081】
ステップSP8において副制御部32は、1回の取引処理が終了するまで待機した後、次のステップSP9へ移る。
【0082】
ステップSP9において副制御部32は、取引処理が行われた日時及び取引枚数を記憶部34の紙幣枚数テーブルTBLに記憶させ、次のステップSP10へ移る。
【0083】
ステップSP10において副制御部32は、ステップSP3と同様、紙幣収納部15の収納量センサ22による検出結果を基に、紙幣カセット17Aの収納状態を判定する。
【0084】
ここで収納状態を高状態又は満状態と判定した場合、このことは未だ紙幣BLが取引処理により十分に減少しておらず、この段階では一時保留部12を紙幣BLの移転先として利用できず、紙幣BLの正確な枚数を計数できないことを表している。このため副制御部32は、再度ステップSP8へ戻って一連の処理を繰り返すことにより、次回以降の取引処理によって紙幣BLが十分に減少するまで待機する。
【0085】
一方、ステップSP10において収納状態が空状態と判定された場合、このことは紙幣BLが取引処理により十分に減少し、且つ当初収納されていた紙幣BLが取引処理により全て排出されたこと、すなわち紙幣カセット17A内の紙幣BLを改めて計数する必要が無いことを表しており、このとき副制御部32は次のステップSP11へ移る。
【0086】
ステップSP11において副制御部32は、記憶部34の紙幣枚数テーブルTBLを参照し、紙幣カセット17Aの装着後に行われた全ての取引処理における取引枚数(以下これを全取引枚数と呼ぶ)を集計し、この全取引枚数を紙幣カセット17Aの装着時における有高として確定して、次のステップSP15へ移る。
【0087】
また、ステップSP10において収納状態が低状態と判定された場合、このことは紙幣BLが取引処理により十分に減少しており、紙幣BLの移転先として一時保留部12を用いることにより、この時点で紙幣カセット17Aに収納されている紙幣BLの正確な枚数を計数できることを表している。このとき副制御部32は次のステップSP12へ移る。
【0088】
ステップSP12及び13において副制御部32は、ステップSP5及びSP6と同様、搬送部14により紙幣カセット17Aと一時保留部12との間で全ての紙幣BLを搬送しながら鑑別部11により紙幣BLの枚数を計数し、得られた枚数を取引後有高として、次のステップSP14へ移る。
【0089】
ステップSP14において副制御部32は、ステップSP11と同様に記憶部34の紙幣枚数テーブルTBLを参照して全取引枚数を集計し、これと鑑別部11により計数された取引後有高とを合算することにより紙幣カセット17Aの装着時における有高を確定し、次のステップSP15へ移る。
【0090】
ステップSP15において副制御部32は、確定した有高を紙幣カセット17Aの装着時における有高として紙幣枚数テーブルTBLに記憶させた後、ステップSP16へ移って有高検出処理手順RT1を終了する。
【0091】
[1−5.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による現金自動預払機1の副制御部32は、紙幣収納部15に紙幣カセット17Aが装着されると、収納量センサ22の検出結果を基に当該紙幣カセット17Aの収納状態を判定する。
【0092】
ここで副制御部32は、紙幣カセット17Aの収納状態が空状態であれば、当該紙幣カセット17の有高を0枚に確定する。
【0093】
また副制御部32は、紙幣カセット17Aの収納状態が低状態であれば、収納されている全ての紙幣BLを一時保留部12へ順次搬送しながら鑑別部11によりその枚数を計数し、その後全ての紙幣BLを紙幣カセット17Aへ戻すと共に計数された枚数を有高に確定する。
【0094】
これにより副制御部32は、紙幣カセット17Aの装着時に収納されている紙幣BLの枚数が比較的少ない場合に、当該紙幣BLの枚数を精度良く計数することができ、紙幣カセット17の正確な有高を直ちに確定することができる。
【0095】
特に副制御部32は、収納状態が空状態であった場合には、紙幣BLの搬送処理や鑑別部11による計数処理を行うことなく、収納量センサ22の検出結果のみを基に、極めて短時間で紙幣カセット17の有高を0枚に確定することができる。
【0096】
一方副制御部32は、紙幣カセット17Aの装着時における収納状態が空状態若しくは低状態以外であれば、その後の取引処理において取引枚数を記録しながら紙幣BLの枚数が減少するのを待ち、当該紙幣カセット17Aが空状態又は低状態になった時点で装着時と同様の処理により取引後の枚数(すなわち取引後有高)を計数する。そして副制御部32は、紙幣カセット17の装着後における全取引枚数を集計して取引後有高と合算することにより装着時における有高を確定し、紙幣枚数テーブルTBLに記憶させる。
【0097】
これにより副制御部32は、紙幣カセット17Aの装着時に収納されている紙幣BLの枚数が比較的多く、全紙幣BLを保持し得る適切な移転先が無いために計数できなかったとしても、取引処理による減少後に、残った紙幣BLの枚数を精度良く計数して全取引枚数と合算することにより、事後的に装着時の正確な有高を確定することができる。
【0098】
これを換言すれば、副制御部32は、本来は取引処理の記録に過ぎない取引枚数を、紙幣カセット17Aに装着時に収納されていた紙幣BLの部分的な計数結果として利用することができる。
【0099】
このため副制御部32は、この取引枚数を集計するだけで、装着後の全ての取引処理において紙幣カセット17Aから減少した紙幣BLの正確な枚数である全取引枚数を得ることができ、これと取引後有高とを合算するだけで、装着時の有高を精度良く算出することができる。
【0100】
因みに、一般の現金自動預払機においては、例えば主制御部31が所定の運用プログラムを実行することにより、係員操作部9(図4)を介して、紙幣カセット17Aに収納した紙幣BLの枚数を係員に入力させ、その枚数を基に紙幣カセット17Aの有高を管理する場合がある。
【0101】
しかしながらこの場合、例えば係員が「500枚」と入力したものの実際には数え間違いにより紙幣BLが499枚であった場合や、係員の勘違いにより紙幣BLが600枚収納されていた場合のように、入力された枚数と実際に収納されている枚数との間に誤差が生じ得る。
【0102】
これに対し副制御部32は、実際に紙幣カセット17Aに収納されている紙幣BLを鑑別部11により1枚ずつ計数するため、誤差を排除した正確な有高を確定することができる。
【0103】
これにより現金自動預払機1では、仮に現金違算事故が発生したとしても、紙幣カセット17Aの装着時における正確な有高が確定しているため、紙幣BLの動きを高精度に追跡調査することが可能となり、事故発生時期や事故発生原因の調査を容易化することができる。
【0104】
以上の構成によれば、現金自動預払機1の副制御部32は、紙幣カセット17Aが装着されると収納量センサ22の検出結果を基に収納状態を判定し、空状態であれば有高を0枚に確定する一方、低状態であれば収納されている全ての紙幣BLを一時保留部12へ順次搬送しながら鑑別部11によりその枚数を計数することにより有高を確定することができる。一方副制御部32は、収納状態がそれ以外であれば、その後の取引処理において取引枚数を記録しながら紙幣BLの枚数が減少するのを待ち、当該紙幣カセット17Aが空状態又は低状態になった時点で取引後の枚数を計数する。そして副制御部32は、紙幣カセット17Aの装着後における全取引枚数を集計して取引後の枚数と合算することにより、装着時の有高を事後的に確定することができる。
【0105】
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、副制御部32及び記憶部34に代わる副制御部132及び記憶部134を有している点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0106】
副制御部132は、第1の実施の形態による副制御部32と同様、図示しないCPUやRAM等を有しており、記憶部34と同様にフラッシュメモリやROM等でなる記憶部134から基本プログラムや各種アプリケーションプログラムを読み出して実行するようになされている。また記憶部134には、紙幣枚数テーブルTBLが記憶されている。
【0107】
[2−1.紙幣カセットの有高の確定方針]
ところで各紙幣カセット17(17A〜17D)は、上述したようにいずれも最大で約1000枚という大量の紙幣BLを収納できる。すなわち枚数の観点からすれば、ある紙幣カセット17に収納されている紙幣BLの全てを他の紙幣カセット17に収納することは可能である。
【0108】
そこで第2の実施の形態では、副制御部132による紙幣カセット17の有高の確定において、紙幣カセット17に収納されている紙幣BLの移転先として、一時保留部12に加えて他の紙幣カセット17も用いるようになされている。
【0109】
以下では、副制御部132により紙幣カセット17Aの有高を確定する際に、他の紙幣カセット17として紙幣カセット17Bを用いる場合を例に説明する。
【0110】
副制御部132は、紙幣カセット17Aの収納状態が空状態又は低状態であれば、第1の実施の形態と同様に有高を確定し、その値を紙幣枚数テーブルTBLの有高セルCMに記憶させる(図5、図6)。
【0111】
これに加えて副制御部132は、紙幣カセット17Aの収納状態が空状態若しくは低状態以外であり、その全ての紙幣BLを一時保留部12に保持させることができない場合、紙幣BLの移転先として紙幣カセット17Bを用いるカセット間搬送処理(詳しくは後述する)により紙幣BLの枚数を計数する。これにより枚数を計数できた場合、副制御部132は、その枚数を有高として確定し、図11に示すように、その値(例えば300枚)を紙幣枚数テーブルTBLの有高セルCMに記憶させる。
【0112】
また副制御部132は、カセット間搬送処理において紙幣カセット17Aの枚数を計数できなかった場合、そのまま出金取引や入金取引等の取引処理を行う。このとき副制御部132は、第1の実施の形態と同様、有高セルCMを空欄としたまま、取引処理における取引枚数を紙幣枚数テーブルTBLの取引枚数セルCCにそれぞれ記憶させる(図7)。
【0113】
そして副制御部132は、取引処理が行われ紙幣カセット17A又は17Bの紙幣BLが減少した時点で、当該紙幣カセット17Aの装着時における有高を事後的に求める。
【0114】
すなわち副制御部132は、取引処理が行われた後に紙幣カセット17Aの収納状態が空状態又は低状態であれば、それぞれ第1の実施の形態と同様に、全取引枚数と取引後有高とを合算することにより紙幣カセット17Aの装着時における有高を確定し、その値を紙幣枚数テーブルTBLの有高セルCMに記憶させる(図8、図9)。
【0115】
これに加えて副制御部132は、取引処理が行われた後の紙幣カセット17Aの収納状態が空状態若しくは低状態以外であれば、紙幣カセット17Bを用いたカセット間搬送処理(後述する)を行う。
【0116】
そして副制御部132は、取引処理後における紙幣カセット17Aの枚数を計数できた場合、第1の実施の形態と同様、紙幣カセット17の装着後に行われた全取引枚数と合算することにより、紙幣カセット17Aの装着時における有高を事後的に確定し、図12に示すように、その値(例えば433枚)を紙幣枚数テーブルTBLの有高セルCMに記憶させる。
【0117】
このように第2の実施の形態においては、紙幣カセット17Aの収納状態が空状態若しくは低状態以外であった場合、さらにカセット間搬送処理を行うことにより、装着時に又事後的に紙幣カセット17Aの有高を確定するようになされている。
【0118】
[2−2.カセット間搬送処理の方針]
カセット間搬送処理では、上述したように、紙幣カセット17Aの紙幣BLを計数する際に紙幣カセット17Bを移転先として利用するが、このとき当該紙幣カセット17Bが空状態となっている必要がある。
【0119】
そこで副制御部132は、まず収納量センサ22により紙幣カセット17Bの収納状態を判定し、空状態であれば、紙幣カセット17Aの全ての紙幣BLを紙幣カセット17Bへ搬送することにより当該紙幣BLの枚数を直ちに計数する。
【0120】
ここで現金自動預払機1は、構造上の制約により、各紙幣カセット17間で紙幣BLを直接搬送することができず、ある紙幣カセット17から紙幣BLを一時保留部12へ一度搬送した後、当該一時保留部12から紙幣BLを他の紙幣カセット17へ搬送する必要がある。また一時保留部12における紙幣BLの保持可能枚数は、約150枚であり、紙幣カセット17における紙幣BLの保持可能枚数である約1000枚よりも格段に少ない。
【0121】
このため副制御部132は、紙幣カセット17Aに収納されている紙幣BLを約100枚ずつに分け、一時保留部12を経由して紙幣カセット17Bへ順次搬送することにより、全ての当該紙幣BLを移転させる。
【0122】
また紙幣カセット17Bは、空状態ではなく低状態であっても、収納されている紙幣BLを他の箇所、例えば一時保留部12や紙幣入出金部5等へ一時的に退避させることにより、空状態にすることができる。
【0123】
そこで副制御部132は、紙幣カセット17Bの収納状態が低状態であれば、紙幣入出金部5を退避先とし、紙幣カセット17Bの全ての紙幣BLを一時保留部12経由で当該紙幣入出金部5へ搬送して保持させ、当該紙幣カセット17Bを空状態にする。この場合、上述したように紙幣カセット17間で紙幣BLを搬送する際に一時保留部12を使用する必要があるため、紙幣入出金部5を退避先とする。
【0124】
次に副制御部132は、紙幣カセット17Bが空状態であった場合と同様、紙幣カセット17Aの紙幣BLを約100枚ずつに分けて一時保留部12を経由しながら紙幣カセット17Bへ搬送することにより、全ての当該紙幣BLを移転させる。このとき副制御部132は、搬送中の紙幣BLの枚数を鑑別部11により計数させる。
【0125】
一方、副制御部132は、紙幣カセット17Bの収納状態が空状態若しくは低状態以外であった場合、当該紙幣カセット17Bの紙幣BLを一時的に退避できる箇所が無く空状態にすることができないため、紙幣カセット17Aの紙幣BLを計数せずにカセット間搬送処理を終了する。
【0126】
このように副制御部132は、カセット間搬送処理において、紙幣BLを紙幣入出金部5に退避させる等して紙幣カセット17Bを空状態にすることができる場合に、紙幣カセット17Aに収納されている紙幣BLを紙幣カセット17Bに搬送させてその枚数を計数するようになされている。
【0127】
[2−3.有高確定処理手順]
次に、第2の実施の形態における有高確定処理の具体的な処理手順について、図10と対応する図13及び図14のフローチャート並びにカセット間搬送処理を表す図15のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0128】
現金自動預払機101の副制御部132は、電源が投入され基本プログラムが実行された後、記憶部134から有高確定プログラムを読み出して実行することにより有高確定処理手順RT2を開始し、ステップSP21へ移る。
【0129】
副制御部132は、ステップSP21〜SP27において、それぞれステップSP1〜SP7(図10)と同様の処理を行うことにより、空状態又は低状態と判定された場合に有高をそれぞれ確定し、ステップSP15へ移る。
【0130】
一方、ステップSP23において空状態若しくは低状態以外であった場合、このことは紙幣カセット17Aに収納されている紙幣BLの枚数が多く、一時保留部12を紙幣BLの移転先としては利用できないものの、紙幣カセット17Bを用いれば計数できる可能性があることを表している。このとき副制御部132は、次のカセット間搬送処理SRT1へ移ることにより、図15に示すサブルーチンを開始してステップSP41へ移る。
【0131】
ステップSP41において副制御部132は、紙幣収納部15の収納量センサ22による検出結果を基に、紙幣カセット17Bの収納状態を判定する。ここで収納状態を空状態と判定した場合、このことは紙幣カセット17Bが既に紙幣カセットBLの移転先として利用できる状態であることを表しており、このとき副制御部132は次のステップSP42へ移る。
【0132】
ステップSP42において副制御部132は、第2移転処理として、紙幣カセット17Aから約100枚の紙幣BLを一時保留部12へ搬送し、当該一時保留部12から紙幣BLを紙幣カセット17Bへ搬送し、その途中において鑑別部11により紙幣BLの枚数を計数する、といった処理を繰り返す。これにより副制御部132は、紙幣カセット17Aの全ての紙幣BLを紙幣カセット17Bへ順次搬送し、すなわち一時的に移動させて、次のステップSP43へ移る。
【0133】
ステップSP43において副制御部132は、第2復元処理として、紙幣カセット17Bから約100枚の紙幣BLを一時保留部12へ搬送し、当該一時保留部12から紙幣BLを紙幣カセット17Aへ搬送する、といった処理を繰り返す。これにより副制御部132は、紙幣カセット17Bの全ての紙幣BLを紙幣カセット17Aへ順次搬送し、すなわち元の状態に復元し、次のステップSP48へ移る。
【0134】
また、ステップSP41において収納状態を低状態と判定した場合、すなわち紙幣カセット17Bに収納されている紙幣BLが約100枚未満であると判定した場合、このことは当該紙幣BLを全て紙幣入出金部5に保持させることにより紙幣カセット17Bを空状態にすることができることを表している。このとき副制御部132は次のステップSP44へ移る。
【0135】
ステップSP44において副制御部132は、事前移転処理として、搬送部14により紙幣カセット17Bの全ての紙幣BLを一時保留部12へ搬送し、さらに当該紙幣BLを一時保留部12から紙幣入出金部5へ搬送する。これにより副制御部132は、紙幣カセット17Bの全ての紙幣BLを退避先である紙幣入出金部5に一時的に保持させ、紙幣カセット17Bを空状態にすると共に一時保留部12にも紙幣BLを保持していない状態にして、次のステップSP45へ移る。
【0136】
ステップSP45において副制御部132は、第2移転処理として、搬送部14により紙幣カセット17Aの約100枚の紙幣BLを一時保留部12へ搬送した後、当該一時保留部12から紙幣カセット17Bへ搬送する。このとき副制御部132は、搬送した紙幣BLの枚数を鑑別部11により計数する。その後副制御部132は、紙幣カセット17Aの紙幣BLが無くなるまで、約100枚ずつに区切って鑑別部11により計数しながら一時保留部12を経由して紙幣カセット17Bへ順次搬送することにより、当該紙幣カセット17Aにおける全ての紙幣BLの枚数を計数し、ステップSP46へ移る。
【0137】
ステップSP46において副制御部132は、第2復元処理として、搬送部14により紙幣カセット17Bの約100枚の紙幣BLを一時保留部12へ搬送した後、当該一時保留部12から紙幣カセット17Aへ搬送する処理を繰り返すことにより、全ての紙幣BLを紙幣カセット17Aに戻し、次のステップSP47へ移る。
【0138】
ステップSP47において副制御部132は、事後復元処理として、搬送部14により退避先である紙幣入出金部5の全ての紙幣BLを一時保留部12へ搬送し、さらに当該紙幣BLを一時保留部12から紙幣カセット17Bへ搬送することにより、紙幣入出金部5に一時的に保持させていた紙幣BLを全て紙幣カセット17Bに戻し、次のステップSP48へ移る。
【0139】
一方、ステップSP41において空状態若しくは低状態以外であった場合、このことは紙幣カセット17Bに収納されている紙幣BLの枚数が多く、紙幣入出金部5を紙幣BLの移転先としては利用できず、この段階では紙幣カセット17Aの紙幣BLの正確な枚数を計数できないことを表している。このとき副制御部132は、次のステップSP48へ移る。
【0140】
ステップSP48において副制御部132は、カセット間搬送処理SRT1を終了し、元の有高確定処理手順RT2(図13)へ戻る。
【0141】
このとき副制御部132は、次のステップSP28へ移り、カセット間搬送処理SRT1において紙幣カセット17Aの紙幣BLの枚数を計数したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、副制御部132は次のステップSP27へ移り、有高を確定する。
【0142】
一方、ステップSP28において否定結果が得られると、このことは、紙幣カセット17Aの装着時にはその有高を確定できなかったことを表している。このため副制御部132は、その後の取引処理において紙幣カセット17A又は17Bの紙幣BLの枚数が減少するのを待つべく、次のステップSP29(図14)へ移る。
【0143】
ステップSP29において副制御部132は、1回の取引処理が終了するまで待機した後、次のステップSP30へ移る。
【0144】
ステップSP30において副制御部132は、取引処理が行われた日時及び取引枚数を記憶部134の紙幣枚数テーブルTBLに記憶させ、次のステップSP31へ移る。
【0145】
ステップSP31において副制御部132は、ステップSP23と同様、紙幣収納部15の収納量センサ22による検出結果を基に、紙幣カセット17Aの収納状態を判定する。
【0146】
ここで収納状態を空状態と判定した場合、このことは紙幣BLが取引処理により十分に減少し、且つ紙幣カセット17Aに当初収納されていた紙幣BLが取引処理により全て排出されたこと、すなわち紙幣カセット17A内の紙幣BLを改めて計数する必要が無いことを表しており、このとき副制御部132は次のステップSP32へ移る。
【0147】
ステップSP32において副制御部132は、第1の実施の形態におけるステップSP11(図10)と同様、記憶部134の紙幣枚数テーブルTBLを参照して紙幣カセット17Aに関する全取引枚数を集計し、これを紙幣カセット17Aの装着時における有高として確定して、次のステップSP37(図13)へ移る。
【0148】
またステップSP31において収納状態を低状態と判定した場合、このことは紙幣BLが取引処理により十分に減少し、一時保留部12を用いることにより、この時点で紙幣カセット17Aに収納されている紙幣BLの正確な枚数を計数できることを表している。このとき副制御部132は次のステップSP33へ移る。
【0149】
ステップSP33〜SP35において、副制御部132は、ステップSP12〜14と同様、搬送部14により紙幣カセット17Aと一時保留部12との間で全ての紙幣BLを搬送しながら鑑別部11により紙幣BLの枚数を計数して取引後有高とする。そして副制御部132は、紙幣カセット17Aの装着後における全取引枚数を集計して取引後有高と合算することにより紙幣カセット17Aの装着時における有高を確定し、次のステップSP37(図13)へ移る。
【0150】
一方、ステップSP31において収納状態を空状態若しくは低状態以外であると判定した場合、このことは紙幣カセット17Aの紙幣BLの移転先として一時保留部12を利用することはできないものの、紙幣カセット17Bを利用できる可能性があることを表している。
【0151】
このため副制御部132は、上述したカセット間搬送処理SRT1(図15)を再度実行した後、その次のステップSP36へ移る。
【0152】
ステップSP36において副制御部132は、直前のカセット間搬送処理SRT1において紙幣カセット17Aの紙幣BLの枚数を計数したか否かを判定する。
【0153】
ここで否定結果が得られると、このことは紙幣カセット17A及び17Bの紙幣BLが取引処理により未だ十分に減少しておらず、紙幣BLの正確な枚数を計数できないことを表している。このため副制御部132は、再度ステップSP29へ戻って一連の処理を繰り返すことにより、取引処理によって紙幣カセット17A及び17Bの紙幣BLが十分に減少するのを待ち受ける。
【0154】
一方、ステップSP36において肯定結果が得られると、このことは既に紙幣カセット17Bを移転先として利用して紙幣カセット17Aの紙幣BLの枚数を計数し終えたことを表している。このとき副制御部132は、次のステップSP35へ移り、紙幣カセット17Aの装着後における全取引枚数と取引後有高とを合算することにより紙幣カセット17Aの装着時における有高を確定してからステップSP37へ移る。
【0155】
ステップSP37(図13)において副制御部132は、確定した有高を紙幣カセット17Aの装着時における有高として紙幣枚数テーブルTBLに記憶させた後、ステップSP38へ移って有高検出処理手順RT2を終了する。
【0156】
[2−4.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による現金自動預払機101の副制御部132は、紙幣収納部15に紙幣カセット17Aが装着されると、第1の実施の形態と同様、収納量センサ22の検出結果を基に当該紙幣カセット17Aの収納状態を判定する。
【0157】
ここで副制御部132は、紙幣カセット17Aの収納状態が空状態又は低状態であれば、第1の実施の形態と同様にその有高を確定する。
【0158】
一方副制御部132は、紙幣カセット17Aの装着時における収納状態が空状態若しくは低状態以外であれば、カセット間搬送処理を行い、紙幣カセット17Bが空状態又は低状態である場合に紙幣カセット17Aと紙幣カセット17Bとの間で紙幣BLを搬送し、その枚数を鑑別部11によって計数することにより、紙幣カセット17Aの有高を確定する。
【0159】
すなわち副制御部132は、紙幣カセット17Aの紙幣BLが比較的多く一時保留部12に保持し切れないような場合であっても、紙幣カセット17Bを移転先として利用することにより、その枚数を正しく計数して有高を確定することができる。
【0160】
このとき副制御部132は、紙幣カセット17Bに紙幣BLが収納されていたとしても、低状態であれば、その紙幣BLを一時的に紙幣入出金部5へ退避させることにより空状態にすることができるので、当該紙幣カセット17Bを移転先として用いて紙幣カセット17Aの有高を確定することができる。
【0161】
このため副制御部132は、第1の実施の形態と比較して、紙幣カセット17Aの装着時にその有高を確定できる可能性を格段に高めることができる。
【0162】
さらに副制御部132は、カセット間搬送処理により紙幣カセット17Aの紙幣を計数できなかった場合、その後の取引処理において取引枚数を記録しながら紙幣カセット17A及び17Bの紙幣BLの枚数が減少するのを待つ。
【0163】
そして副制御部132は、取引後に紙幣カセット17Aが空状態又は低状態になった時点で装着時と同様の処理により取引後の枚数(有高)を計数し、紙幣カセット17の装着後における全取引枚数と合算することにより、紙幣カセット17Aの装着時における有高を確定する。
【0164】
また副制御部132は、取引後に紙幣カセット17Aが空状態若しくは低状態でなくとも、カセット間搬送処理を行い、紙幣カセット17Bが空状態又は低状態になっていれば装着時と同様の処理により取引後の枚数を計数し、紙幣カセット17の装着後における全取引枚数と合算して紙幣カセット17Aの装着時における有高を確定する。
【0165】
すなわち副制御部132は、取引処理後に紙幣カセット17Aが空状態又は低状態になれば第1の実施の形態と同様に事後的に有高を確定できることに加え、当該紙幣カセット17Aが空状態若しくは低状態以外であっても、紙幣カセット17Bが空状態又は低状態になった段階で、事後的に紙幣カセット17Aの有高を確定することができる。
【0166】
このため副制御部132は、紙幣カセット17A及び紙幣カセット17Bの双方に比較的多くの紙幣BLが収納されていたとしても、取引処理により少なくとも一方が空状態又は低状態になった段階で紙幣カセット17Aの有高を確定できるので、第1の実施の形態よりも早い段階で当該紙幣カセット17Aの有高を確定できる可能性が高い。
【0167】
また副制御部132は、その他の点についても、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0168】
以上の構成によれば、現金自動預払機101の副制御部132は、紙幣カセット17が装着されると収納量センサ22の検出結果を基に収納状態を判定し、空状態又は低状態であれば必要に応じ一時保留部12を用いて紙幣BLの枚数を計数して有高を確定し、それ以外であっても紙幣カセット17Bが空状態又は低状態であれば必要に応じて紙幣BLを紙幣入出金部5へ退避させた上で、当該紙幣カセット17Bを用いて紙幣BLの枚数を計数して有高を確定することができる。さらに副制御部132は、紙幣カセット17Aの装着時に有高を確定できなかった場合、その後の取引処理において取引枚数を記録しながら紙幣カセット17A又は17Bの少なくとも一方における紙幣BLの枚数が減少するのを待ってから、装着時と同様の処理により取引後の枚数を計数し、紙幣カセット17Aの装着後における全取引枚数と合算することにより、装着時の有高を事後的に確定することができる。
【0169】
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による現金自動預払機201は、第2の実施の形態による現金自動預払機101と比較して、搬送部14、副制御部132及び記憶部134に代わる搬送部214、副制御部232及び記憶部234を有している点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0170】
搬送部214は、図2と対応する図16に示すように、搬送部14と比較して、搬送経路214Aが追加されている点が異なるものの、他の点については同様に構成されている。この搬送経路214Aは、鑑別部11の後側と紙幣収納部15とを接続している。
【0171】
かかる搬送部214の構成により、現金自動預払機201では、紙幣カセット17間において紙幣BLを搬送する際に一時保留部12を経由する必要が無く、例えば紙幣カセット17Aから鑑別部11を経て紙幣カセット17Bへ直接搬送することができる。
【0172】
また副制御部232は、第2の実施の形態による副制御部132と同様、図示しないCPU及びRAM等を有しており、記憶部134と同様にフラッシュメモリやROM等でなる記憶部234から基本プログラムや各種アプリケーションプログラムを読み出して実行するようになされている。また記憶部234には紙幣枚数テーブルTBLが記憶されている。
【0173】
[3−1.紙幣カセットの有高の確定方針]
第3の実施の形態では、第2の実施の形態と比較して、紙幣カセット17の紙幣BLを計数する際の移転先として、一時保留部12を用いることなく常に他の紙幣カセット17を用いる点が相違している。
【0174】
以下では、副制御部232により紙幣カセット17Aの有高を確定する際に、他の紙幣カセット17として紙幣カセット17Bを用いる場合を例に説明する。
【0175】
副制御部232は、紙幣カセット17が装着されたことを検出すると、第2の実施の形態と同様のカセット間搬送処理(図15)を実行する。
【0176】
このとき副制御部232は、紙幣カセット17Bが空状態であれば、直ちに紙幣カセット17Aの全ての紙幣BLを紙幣カセット17Bへ搬送し、その搬送中に鑑別部11により当該紙幣BLの枚数を計数して、有高を確定する(図6、図11)。また副制御部232は、一時保留部12を経由する必要が無いため、紙幣カセット17Aの全ての紙幣BLを区切ることなく連続的に紙幣カセット17Bへ搬送する。
【0177】
因みに副制御部232は、紙幣カセット17Aから紙幣BLを1枚も搬送できなかった場合、紙幣カセット17Aの有高を0枚に確定する(図5)。
【0178】
また副制御部232は、紙幣カセット17Bが低状態であれば、当該紙幣カセット17Bの紙幣を一時保留部12へ退避させて空状態にした上で、空状態であった場合と同様、紙幣カセット17Aの全ての紙幣BLを紙幣カセット17Bへ搬送し、その搬送中に鑑別部11により当該紙幣BLの枚数を計数して、有高を確定する。
【0179】
このとき副制御部232は、紙幣カセット17Aから17Bへ紙幣BLを搬送する際に一時保留部12を経由する必要が無いため、当該紙幣カセット17Bの紙幣BLの退避先をこの一時保留部12にしている。
【0180】
一方、副制御部232は、紙幣カセット17Bの収納状態が空状態若しくは低状態以外であった場合、当該紙幣BLを退避させることができないため、紙幣カセット17Aの装着直後には紙幣BLの枚数を計数せず、そのまま出金取引や入金取引等の取引処理を行う。このとき副制御部232は、第2の実施の形態と同様、有高セルCMを空欄としたまま、紙幣枚数テーブルTBLの取引枚数セルCCに取引枚数を記憶させる(図7)。
【0181】
そして副制御部232は、取引処理が行われた後に紙幣カセット17Bが空状態又は低状態となった時点で、紙幣カセット17Aの装着時における有高を事後的に算出して確定する。
【0182】
すなわち副制御部232は、取引処理が行われた後に再度カセット間搬送処理(図15)を実行することにより、紙幣カセット17Bが空状態又は低状態であれば紙幣カセット17Aにおける紙幣BLの枚数を計数し、第2の実施の形態と同様に、この枚数を全取引枚数と合算することにより有高を確定し、その値を紙幣枚数テーブルTBLの有高セルCMに記憶させる(図12)。
【0183】
このように第3の実施の形態においては、装着時又は事後的に当該紙幣カセット17Bが空状態若しくは低状態であれば、紙幣カセット17Aの収納状態に関わらず、移転先として紙幣カセット17Bを固定的に利用しながら紙幣BLの枚数を計数するようになされている。
【0184】
[3−2.有高確定処理手順]
次に、第3の実施の形態における有高確定処理の具体的な処理手順について、図10、図13及び図14と対応する図17のフローチャートを用いて詳細に説明する。なおカセット間搬送処理手順SRT1(図15)については、第2の実施の形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0185】
現金自動預払機201の副制御部232は、電源が投入され基本プログラムが実行された後、記憶部234から有高確定プログラムを読み出して実行することにより有高確定処理手順RT3を開始し、ステップSP51へ移る。
【0186】
副制御部232は、ステップSP51及びSP52において、それぞれステップSP21及びSP22(図10)と同様の処理を行うことにより、紙幣カセット17Aの装着を検出してその日時を記憶し、次のカセット間搬送処理SRT1へ移る。
【0187】
カセット間搬送処理SRT1(図15)において副制御部232は、第2の実施の形態と同様、紙幣カセット17Bが空状態又は低状態であれば、紙幣カセット17Aに収納されている紙幣BLを紙幣カセット17Bに搬送させてその枚数を計数し、次のステップSP53へ移る。
【0188】
ただしこの第3の実施の形態における紙幣カセット17A及び17Bの間での紙幣BLの搬送については、一時保留部12を経由せず、且つ全紙幣BLを連続的に搬送する。また紙幣カセット17Bの紙幣BLの退避先を一時保留部12とする。すなわちこの第3の実施の形態では、ステップSP42及びSP45が移転処理となり、ステップSP43及びSP46が復元処理となる。
【0189】
ステップSP53において副制御部232は、カセット間搬送処理SRT1において紙幣カセット17Aの紙幣BLの枚数を計数したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、副制御部232は次のステップSP54へ移る。
【0190】
ステップSP54において副制御部232は、鑑別部11により計数された枚数を紙幣カセット17Aの有高に確定し、次のステップSP59へ移る。
【0191】
一方、ステップSP53において否定結果が得られると、このことは、この段階では紙幣カセット17Bを移転先として利用して紙幣カセット17Aの有高を確定することができなかったことを表している。このため副制御部232は、その後の取引処理において紙幣カセット17Bの紙幣BLの枚数が減少するのを待つべく、次のステップSP55へ移る。
【0192】
ステップSP55において副制御部232は、1回の取引処理が終了するまで待機した後、次のステップSP56へ移る。
【0193】
ステップSP56において副制御部232は、取引処理が行われた日時及び取引枚数を記憶部234の紙幣枚数テーブルTBLに記憶させ、次のカセット間搬送処理SRT1へ移る。
【0194】
カセット間搬送処理SRT1(図15)において副制御部232は、紙幣カセット17Bが空状態又は低状態であれば、紙幣カセット17Aに収納されている紙幣BLを紙幣カセット17Bに搬送させてその枚数を計数し、次のステップSP57へ移る。因みにこのとき計数された枚数は取引後有高となる。
【0195】
ステップSP57において副制御部232は、ステップSP53と同様、カセット間搬送処理SRT1において紙幣カセット17Aの紙幣BLの枚数を計数したか否かを判定する。
【0196】
ここで否定結果が得られると、このことは紙幣カセット17Bの紙幣BLが取引処理により未だ十分に減少しておらず、紙幣BLの正確な枚数を計数できないことを表している。このため副制御部232は、再度ステップSP55へ戻って一連の処理を繰り返すことにより、取引処理によって紙幣カセット17Bの紙幣BLが十分に減少するのを待ち受ける。
【0197】
一方、ステップSP57において肯定結果が得られると、このことは既に紙幣カセット17Bを移転先として利用しながら紙幣カセット17Aの紙幣BLの枚数を計数し終えたことを表しており、このとき副制御部232は、次のステップSP58へ移る。
【0198】
ステップSP58において副制御部232は、記憶部234の紙幣枚数テーブルTBLを参照して紙幣カセット17Aの装着後における全取引枚数を集計し、これと取引後有高とを合算することにより紙幣カセット17Aの装着時における有高を確定し、次のステップSP59へ移る。
【0199】
ステップSP59において副制御部232は、確定した有高を紙幣カセット17Aの装着時における有高として紙幣枚数テーブルTBLに記憶させた後、ステップSP60へ移って有高検出処理手順RT3を終了する。
【0200】
[3−3.動作及び効果]
以上の構成において、第3の実施の形態による現金自動預払機201の副制御部232は、紙幣収納部15に紙幣カセット17Aが装着されると、直ちにカセット間搬送処理を行う。
【0201】
これにより副制御部232は、紙幣カセット17Bが空状態又は低状態である場合に紙幣カセット17Aと紙幣カセット17Bとの間で紙幣BLを搬送し、その枚数を鑑別部11によって計数することにより、紙幣カセット17Aの有高を確定する。
【0202】
ここで現金自動預払機201では、搬送経路214A(図16)の存在により一時保留部12を経由せずに紙幣カセット17間で紙幣BLを搬送できる。このため副制御部232は、カセット間搬送処理において、第2の実施の形態のような約100枚ずつに区切り一時保留部12を経由する搬送を繰り返すといった処理を省略でき、第2の実施の形態よりも格段に短い時間で大量の紙幣BLを計数することができる。
【0203】
また副制御部232は、カセット間搬送処理において、紙幣カセット17Bの紙幣BLの搬送先を一時保留部12とするため、当該一時保留部12からさらに紙幣入出金部5へ搬送する第2の実施の形態と比較して、処理に要する時間を短縮することができる。
【0204】
さらに副制御部232は、カセット間搬送処理により紙幣カセット17Aの紙幣を計数できなかった場合、その後の取引処理において取引枚数を記録しながら紙幣カセット17Bの紙幣BLの枚数が減少するのを待つ。
【0205】
そして副制御部232は、取引後においてカセット間搬送処理により、紙幣カセット17Bが空状態又は低状態になっていれば、装着時と同様の処理により取引後の枚数を計数し、紙幣カセット17の装着後における全取引枚数と合算して紙幣カセット17Aの装着時における有高を確定する。
【0206】
このため副制御部232は、紙幣カセット17Bに比較的多くの紙幣BLが収納されており移転先として利用できなかったとしても、取引処理により空状態又は低状態になった段階で紙幣カセット17Aの有高を確定できるので、第1の実施の形態よりも早い段階で当該紙幣カセット17Aの有高を確定できる可能性が高い。
【0207】
また副制御部232は、その他の点についても、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0208】
以上の構成によれば、現金自動預払機201の副制御部232は、紙幣カセット17が装着されると収納量センサ22の検出結果を基に紙幣カセット17Bの収納状態を判定し、空状態又は低状態であれば必要に応じて紙幣BLを一時保留部12へ退避させた上で、当該紙幣カセット17Bを用いて紙幣BLの枚数を計数して有高を確定することができる。さらに副制御部232は、紙幣カセット17Aの装着時に有高を確定できなかった場合、その後の取引処理において取引枚数を記録しながら紙幣カセット17Bにおける紙幣BLの枚数が減少するのを待ってから、装着時と同様に取引後の枚数を計数し、紙幣カセット17Aの装着後における全取引枚数と合算することにより、装着時の有高を事後的に確定することができる。
【0209】
[4.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、搬送部14により搬送される紙幣を計数部としての鑑別部11により計数するようにした場合について述べた。
【0210】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣収納部15における紙幣カセット17と紙幣を受け渡す箇所の近傍や、一時保留部12における紙幣の出入口の近傍等、搬送時に紙幣BLが通過する箇所に当該紙幣BLを検出するセンサを設け、当該センサの検出結果を基に紙幣BLの枚数を計数するようにしても良い。
【0211】
また上述した実施の形態においては、紙幣カセット17Aから移転先(一時保留部12または紙幣カセット17B)へ紙幣BLを搬送する、すなわち移転させる際に鑑別部11によりその枚数を計数するようにした場合について述べた。
【0212】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣カセット17Aから移転先へ紙幣BLを搬送した後、当該移転先から当該紙幣カセット17Aへ紙幣BLを搬送する際、すなわち復元する際に鑑別部11によりその枚数を計数するようにしても良い。さらには、例えば移転時及び復元時の双方において鑑別部11によりその枚数をそれぞれ計数し、その計数結果を比較して一致した時のみ有高を確定し、不一致であれば再度搬送して計数するようにしても良い。
【0213】
さらに上述した実施の形態においては、鑑別部11において紙幣BLの枚数の計数のみを行うようにした場合について述べた。
【0214】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば鑑別部11において紙幣BLを鑑別する鑑別処理を行い、当該鑑別処理により損券と判定された紙幣BLを損券庫18(図2、図16)へ搬送すると共に計数した枚数から除外するようにしても良い。
【0215】
さらに上述した実施の形態においては、紙幣収納部15に収納量センサ22A〜22Dを設け、その検出結果を基に紙幣カセット17の収納状態が空状態であれば有高を0枚に確定し、低状態であると判定した場合には紙幣BLを搬送してその枚数を計数し有高を確定するようにした場合について述べた。
【0216】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば収納量センサ22A、22C及び22Dを適宜省略し、収納量センサ22Bの検出結果のみにより、収納状態が低状態であるか否かのみを判定するようにしても良い。この場合、低状態であると判定されたときに紙幣BLを搬送してその枚数を計数し、計数結果が0であった場合も含めて計数された枚数を有高として確定すれば良い。
【0217】
さらに上述した実施の形態においては、紙幣収納部15における収納量センサ22Bの設置箇所を、紙幣カセット17に収納された紙幣BLの枚数に換算して約100枚に相当する箇所とするようにした場合について述べた。
【0218】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば約80枚や約120枚など、任意の枚数に相当する箇所に収納量センサ22Bを設けるようにしても良い。この場合、紙幣カセット17に収納されている紙幣BLの枚数が一時保留部12に保持可能な枚数よりも少ないこと、すなわち当該紙幣BLを全て一時保留部12に保持できることを収納量センサ22により検出できれば良い。
【0219】
さらに第2の実施の形態においては、紙幣カセット17A及び17Bの間で紙幣BLを搬送する際、約100枚ずつに区切って順次搬送するようにした場合について述べた。
【0220】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば約120枚や約150枚など、一時保留部12の収納可能枚数に応じて適宜定めるようにしても良い。
【0221】
さらに上述した第2及び第3の実施の形態においては、カセット間搬送処理における他の紙幣カセット17として紙幣カセット17Bを用いるようにした場合について述べた。
【0222】
しかしながら本発明はこれに限らず、他の紙幣カセット17として紙幣カセット17C又は17Dを用いるようにしても良い。また、紙幣カセット17B〜17Dの収納状態をそれぞれ判定した上で、空状態又は低状態である紙幣カセット17を他の紙幣カセット17として用いるようにしても良く、さらにこの場合、空状態である紙幣カセット17を優先的に選択するようにしても良い。
【0223】
さらに上述した第2及び第3の実施の形態においては、カセット間搬送処理手順SRT1(図15)のステップSP41において、紙幣カセット17Bの収納状態を収納量センサ22による検出結果を基に判定するようにした場合について述べた。
【0224】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣カセット17Bの有高が事前に判明している場合に、当該有高を基に紙幣カセット17Bの収納状態を判定するようにしても良い。特に、上述したように紙幣カセット17B〜17Dの収納状態をそれぞれ判定した上で他の紙幣カセット17として選択する場合、各紙幣カセット17の有高を比較し、有高が最も少ない紙幣カセット17を選択するようにしても良い。
【0225】
さらに上述した第2及び第3の実施の形態においては、紙幣カセット17Aのみについて有高を確定するようにした場合について述べた。
【0226】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばカセット間搬送処理SRT1(図15)において、紙幣カセット17Bの紙幣BLを一時保留部12を経由して紙幣入出金部5へ搬送する際に、鑑別部11によりその枚数を計数して当該紙幣カセット17Bについても有高を確定するようにしても良い。
【0227】
さらに上述した第1の実施の形態においては、副制御部32により有高確定処理手順RT1(図10)を実行するようにした場合について述べた。
【0228】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば主制御部31により、或いは主制御部31と副制御部32との協働により有高確定処理手順RT1を実行するようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0229】
さらに上述した第1の実施の形態においては、記憶部34に予め記憶させておいた有高確定プログラムを読み出して実行するようにした場合について述べた。
【0230】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースやIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3ab等のネットワーク、或いはCD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の外部記憶媒体を介して、外部から有高確定プログラムを取得して実行するようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0231】
さらに上述した第1の実施の形態においては、現金を取引する現金自動預払機1において、媒体としての紙幣BLを内部で搬送し、紙幣カセット17等に収納するようにした場合について述べた。
【0232】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体を搬送し、その当該媒体に対応したカセットに収納する種々の装置に適用するようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0233】
さらに上述した実施の形態においては、カセットとしての紙幣カセット17Aと、装着検出部としての着脱センサ21と、媒体保持部としての一時保留部12又は紙幣入出金部5と、搬送部としての搬送部14又は214と、計数部としての鑑別部11と、制御部としての副制御部32、132又は232と、記憶部としての記憶部34、134又は234とによって有高確定装置としての現金自動預払機1、101又は201を構成する場合について述べた。
【0234】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるカセットと、装着検出部と、媒体保持部と、搬送部と、計数部と、制御部と、記憶部とによって有高確定装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0235】
本発明は、紙幣等の紙状の媒体を着脱式のカセットに収納し、当該カセット内に収納されている媒体の有高を確定する種々の装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0236】
1、101、201……現金自動預払機、5……紙幣入出金部、11……鑑別部、12……一時保留部、14……搬送部、15……紙幣収納部、17、17A、17B、17C、17D……紙幣カセット、21……着脱センサ、22、22A、22B、22C、22D……収納量センサ、32、132、232……副制御部、34、134、234……記憶部、TBL……紙幣枚数テーブル。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉状の媒体を収納するカセットと、
上記カセットが所定の装着箇所に装着されたことを検出する装着検出部と、
上記媒体を一時的に保持する媒体保持部と、
少なくとも上記カセットと上記媒体保持部との間で上記媒体を1枚ずつ搬送する搬送部と、
上記搬送部により搬送された上記媒体の枚数を計数する計数部と、
上記装着検出部により上記カセットが上記装着箇所に装着されたことを検出し、且つ上記媒体の移転先を確保するための移転条件を満たす場合に、上記搬送部により上記カセットから上記媒体保持部へ上記媒体を搬送させる移転処理と、上記媒体保持部から上記カセットへ上記媒体を搬送させる復元処理と、当該移転処理又は当該復元処理における搬送中に上記計数部により計数された上記媒体の枚数を上記カセットの装着時における有高として確定する確定処理とを行う制御部と、
上記確定された有高を記憶する記憶部と
を具えることを特徴とする有高確定装置。
【請求項2】
上記計数部は、
上記カセットから上記媒体が排出される取引処理において、当該排出された媒体の枚数を取引枚数として計数し、
上記記憶部は、
上記取引処理ごとの上記取引枚数を記憶し、
上記制御部は、
上記装着検出部により上記カセットが上記装着箇所に装着されたことを検出し、且つ上記移転条件を満たさなかった場合であって、上記取引処理の後に上記移転条件を満たすことになった場合に、上記移転処理及び上記復元処理を行うと共に、上記確定処理に代えて、当該移転処理又は当該復元処理における搬送中に上記計数部により計数された上記媒体の枚数を取引後の有高に確定し、上記カセットの装着後に行われた全ての上記取引処理における上記取引枚数の集計値と上記取引後の有高とを基に、上記カセットの装着時における有高を確定する
ことを特徴とする請求項1に記載の有高確定装置。
【請求項3】
上記カセットに収納されている上記媒体のおおよその枚数を表す粗枚数を検出する粗枚数検出部と、
上記粗枚数が上記カセットの収納可能枚数よりも少ない所定のしきい値未満であるか否かを判定する判定部と
をさらに具え、
上記媒体保持部は、
上記しきい値が表す枚数の上記媒体を保持し、
上記制御部は、
上記判定部により上記粗枚数が上記しきい値未満であると判定されたことを、上記移転条件とする
ことを特徴とする請求項1に記載の有高確定装置。
【請求項4】
上記判定部は、
上記粗枚数が0枚、1枚以上上記しきい値未満、又は上記しきい値以上のいずれであるかを判定し、
上記制御部は、
上記判定部により上記粗枚数が1枚以上上記しきい値未満であると判定されたことを上記移転条件とし、上記判定部により上記粗枚数が0枚であると判定された場合には、上記カセットの装着時における有高を0枚に確定する
ことを特徴とする請求項3に記載の有高確定装置。
【請求項5】
上記カセットと同等の上限枚数まで上記媒体を積層して収納する第2カセットと、
上記第2カセットに上記媒体が収納されている状態で当該媒体のおおよその枚数である第2粗枚数を検出する第2粗枚数検出部と、
上記第2粗枚数が0枚であるか否かを判定する第2判定部と、
をさらに具え、
上記制御部は、
上記判定部により上記粗枚数が上記しきい値以上であると判定され且つ上記第2判定部により上記第2粗枚数が0枚であると判定されたことを第2の移転条件とし、上記装着検出部により上記カセットが上記装着箇所に装着されたことを検出し、且つ上記第2の移転条件が満たされる場合に、上記搬送部により上記カセットから上記第2カセットへ上記媒体を搬送させる第2移転処理と、上記媒第2カセットから上記カセットへ上記媒体を搬送させる第2復元処理と、当該第2移転処理又は当該第2復元処理における搬送中に上記計数部により計数された上記媒体の枚数を上記カセットの装着時における有高として確定する第2確定処理とを行う
ことを特徴とする請求項3に記載の有高確定装置。
【請求項6】
上記第2判定部は、
上記第2粗枚数が上記しきい値未満であるか否かを判定し、
上記制御部は、
上記判定部により上記粗枚数が上記しきい値未満であると判定されたこと、又は上記判定部により上記粗枚数が上記しきい値以上であると判定され且つ上記第2判定部により上記第2粗枚数が上記しきい値未満であると判定されたことを上記移転条件とし、上記装着検出部により上記カセットが上記装着箇所に装着されたことを検出し、上記判定部により上記粗枚数が上記しきい値以上であると判定され且つ上記第2判定部により上記第2粗枚数が上記しきい値未満であると判定された場合に、上記搬送部により上記第2カセットから上記媒体保持部へ上記媒体を搬送させる事前移転処理を行ってから、上記第2移転処理及び上記第2復元処理を行い、さらに上記搬送部により上記媒体保持部から上記第2カセットへ上記媒体を搬送させる事後復元処理を行ってから、上記第2確定処理を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の有高確定装置。
【請求項7】
上記媒体保持部は、上記カセットと同等の上限枚数まで上記媒体を積層して収納する第2カセットであって、
上記第2カセットに上記媒体が収納されている状態で当該媒体のおおよその枚数である第2粗枚数を検出する第2粗枚数検出部と、
上記第2粗枚数が0枚であるか否かを判定する第2判定部と
をさらに具え、
上記制御部は、
上記第2判定部により上記第2粗枚数が0枚であると判定されたことを、上記移転条件とする
ことを特徴とする請求項1に記載の有高確定装置。
【請求項8】
上記しきい値が表す枚数の上記媒体を一時的に保持する第2媒体保持部
をさらに具え、
上記第2判定部は、
上記第2粗枚数が上記しきい値未満であるか否かを判定し、
上記制御部は、
上記判定部により上記第2粗枚数が上記しきい値未満であると判定されたことを上記移転条件とし、且つ上記搬送部により上記第2カセットから上記第2媒体保持部へ上記媒体を搬送させる事前移転処理を行ってから、上記移転処理及び上記復元処理を行い、さらに上記搬送部により上記第2媒体保持部から上記第2カセットへ上記媒体を搬送させる事後復元処理を行ってから、上記確定処理を行う
ことを特徴とする請求項7に記載の有高確定装置。
【請求項9】
情報処理装置に対し、
媒体を収納するカセットが所定の装着箇所に装着されたことを検出する装着検出ステップと、
上記媒体の移転先を確保できることを表す移転条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、
上記カセットが装着され且つ上記移転条件が満たされた場合に、所定の搬送路を介して、上記カセットから所定の媒体保持部へ当該媒体を順次搬送させる退避ステップと、
上記搬送路を介して、上記媒体保持部から上記カセットへ上記媒体を順次搬送させる復元ステップと、
上記退避ステップ又は上記復元ステップにおいて搬送された上記媒体の枚数を、上記搬送路の途中に設けられた計数部により計数する計数ステップと、
上記計数部により計数された枚数を、上記カセットの上記装着時における有高として確定する有高確定ステップと、
上記確定された有高を所定の記憶部に記憶させる記憶ステップと
を実行させるための有高確定プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−45239(P2013−45239A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181723(P2011−181723)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】