木ねじ
【課題】 流し台や洗面化粧台等のキャビネットを壁面に取り付けるための木ねじとして要求される機能である、木材への引っ掛かり率を高くし、引き抜き強度を大きくして、その保持力を増加させることができ、しかも、キャビネットを壁に固定したときのキャビネットの浮きを確実に防止することができると共に、ねじ頭部の飛びの発生を防止して、製造コストを大幅に低減することができる木ねじを提供する。
【解決手段】 木ねじを、ねじ軸部直径の2倍以上の直径を有する大皿状のねじ頭部と、該ねじ頭部とねじ軸部との間に形成された円錐台状の傾斜面に突設された複数のリブと、上記ねじ軸部の軸径よりも若干大径に形成されたローレット刃状のナール部と、ねじ軸部の先端部とナール部の間に形成されたねじ山と、ねじ山の先端部に形成された先割れ尖り先部と、から構成した。
【解決手段】 木ねじを、ねじ軸部直径の2倍以上の直径を有する大皿状のねじ頭部と、該ねじ頭部とねじ軸部との間に形成された円錐台状の傾斜面に突設された複数のリブと、上記ねじ軸部の軸径よりも若干大径に形成されたローレット刃状のナール部と、ねじ軸部の先端部とナール部の間に形成されたねじ山と、ねじ山の先端部に形成された先割れ尖り先部と、から構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として、流し台や洗面化粧台等のキャビネットを壁面に固定するために用いられる木ねじに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の用途に用いることができる木ねじとしては、例えば特許文献1乃至特許文献3に示すような木ねじが提案されている。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3027065号公報
【0004】
【特許文献2】実公平8−7135号公報
【0005】
【特許文献3】特開2003−42121号公報
【0006】
特許文献1に示す木ねじは、ねじ軸部の先端に尖鋭部を備えると共に尾端に頭部を備え、ねじ軸部の外周にねじ山を形成した木ねじであって、前記尖鋭部の近傍からねじ軸部の中途部に至る前方領域に形成されたねじ山が、山径を大径とした導入ねじ山と山径を小径とした補助ねじ山とから成る2条ねじで構成され、前記前方領域からねじ軸部の尾端に向けて延びる後方領域に形成されたねじ山が、前記導入ねじ山から連続して形成され且つ該導入ねじ山よりも山径を大径とした締結ねじ山から成る1条ねじで構成されている。
【0007】
また、特許文献2に示す木ねじは、ドライバー溝を形成した偏平な頭部を有し、先端を尖らせたねじ軸部の外周面にねじ山を螺旋状に形成した木ねじであって、頭部とねじ山との間のねじ軸部の表面に、ねじ軸部の長さ方向にそって縦長であり、ねじ軸部の外径より少し大きい径を有する凹凸状のローレット刃状のナールを形成して構成されている。
【0008】
さらに、特許文献3に示す木ねじは、ねじ軸部の一端にビット穴を備えた頭部と他端に尖鋭な先端部を有し、ねじ軸部の外周面から先端部にかけて、第一のねじ山と、前記第一のねじ山より呼び径の小さい第二のねじ山が交互に並んで設けられたダブルリードのねじ山を有した木ねじで構成され、前記第一のねじ山の基部から第二のねじ山の基部にかけて、軸部が徐々に縮径するように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1にあっては、ねじ頭部がそれほど大径に形成されていないため、キャビネットに対する保持力が小さく、また、ねじ軸部の基部の直径を太くとれないため、ねじ頭部の所謂飛びが発生し易く、さらには、ねじ頭部とねじ山との間のねじ軸部は凹凸が形成されていないため、キャビネットを壁に固定したときに、キャビネットの浮き、即ち壁面との間に隙間が発生する、という問題を有していた。
【0010】
また、特許文献1に示す木ねじは、ねじ山も大径のねじ山より先端部側に小径のねじ山を形成した構造であるため、木材への引っ掛かり率が低く、引き抜き強度が小さいため木ねじの保持力が弱いため、流し台や洗面化粧台等のキャビネットの取付用木ねじとしては、その保持力が弱く、可及的に少ない本数でキャビネットを壁面に固定するのが望ましい当該分野においては、保持力を高めるためには、特許文献1の木ねじの場合、多くの本数を用いなければならないため、取付作業が非常に煩雑となり、また、コスト高となる、という問題を有していた。
【0011】
特許文献2の木ねじにあっては、ねじ軸部にナールが形成されてはいるが、ねじ頭部がそれほど大径に形成されていないため、キャビネットに対する保持力が小さく、また、ねじ軸部の基部の直径を太くとれないため、ねじ頭部の所謂飛びが発生し易く、さらには、ねじ山も1条のねじ山を形成した構造であるため、木材への引っ掛かり率が低く、引き抜き強度が小さいため木ねじの保持力が弱いため、流し台や洗面化粧台等のキャビネットの取付用木ねじとしては、その保持力が弱いため、特許文献1と同様の問題を有している。
【0012】
また、特許文献3の木ねじにあっても、ダブルリードのねじ山を有した木ねじである点においては、木材への引っ掛かり率が高く、引き抜き強度も大きいという利点を有してはいるものの、小さいねじ頭部がそれほど大径に形成されていないため、キャビネットに対する保持力が小さく、また、ねじ軸部の基部の直径を太くとれないため、ねじ頭部の所謂飛びが発生し易く、さらには、ねじ頭部とねじ山との間のねじ軸部は凹凸が形成されていないため、キャビネットを壁に固定したときに、キャビネットの浮き、即ち壁面との間に隙間が発生する、という問題を有していた。
【0013】
このように、特許文献1乃至3に示す木ねじは、流し台や洗面化粧台等のキャビネットの取付用木ねじとしては、その保持力等において一長一短があり、特に、ねじ頭部の飛びの問題をクリアできない構造であるため、製造コストが嵩む、という問題を有していた。
【0014】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、特に、流し台や洗面化粧台等のキャビネットを壁面に取り付けるための木ねじとして要求される機能である、木材への引っ掛かり率を高くし、引き抜き強度を大きくして、その保持力を増加させることができ、しかも、キャビネットを壁に固定したときのキャビネットの浮きを確実に防止することができると共に、ねじ頭部のキャビネットへの食い込みを防止してキャップの取付を確実にすることができ、さらには、ねじ頭部の飛びの発生を防止して製造コストを大幅に低減することができる木ねじを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の木ねじは、ねじ軸部直径の2倍以上の直径を有するように形成されてなる大皿状のねじ頭部と、該ねじ頭部とねじ軸部との間に形成された円錐台状の傾斜面に突設された複数のリブと、上記ねじ軸部の軸径よりも若干大径に形成されたローレット刃状のナール部と、ねじ軸部の先端部とナール部の間に形成されたねじ山と、ねじ山の先端部に形成された平面形状が略三日月状に切削された略V字状の先割れ尖り先部と、から構成され、上記ねじ山は、第一のねじ山と、前記第一のねじ山より呼び径の小さい第二のねじ山が交互に並んで設けられたダブルリードのねじ山で形成されていると共に、上記先割れ尖り先部は、先端の尖り先部が被締結部材に食い付いた後、回転によって切削された切り屑が圧縮されずに排出されるように切削形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の木ねじを技術的前提とし、前記ねじ頭部と前記円錐台状の傾斜面との間に、段部を形成したことを特徴とする。
【0017】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の木ねじを技術的前提とし、前記ねじ頭部には、合成樹脂製カラーキャップが着脱自在に嵌装されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、請求項1に記載の発明にあっては、ねじ軸部直径の2倍以上の直径を有するように形成されてなる大皿状のねじ頭部を構成したので、キャビネットに対する保持力が増加し、また、ねじ軸部の基部の直径を太くすることができるため、ねじ頭部の所謂飛びをなくすることができ、ねじ頭部の強度を確保することができる。
【0019】
また、請求項1に記載の木ねじにあっては、ねじ頭部とねじ軸部との間に形成された円錐台状の傾斜面に複数のリブを突設したので、空転を防止することができると共に、座刳り作用によってねじ頭部の浮きを有効に防止することができる。
【0020】
さらに、請求項1に記載の木ねじにあっては、上記ねじ軸部の軸径よりも若干大径に形成されたローレット刃状のナール部を配設したので、キャビネットを壁面に固定したときに、キャビネットの浮き、即ち壁面との間に隙間が発生するのを確実に防止することができる。
【0021】
また、請求項1に記載の木ねじにあっては、ねじ軸部の先端部とナール部の間に形成されるねじ山を、第一のねじ山と、前記第一のねじ山より呼び径の小さい第二のねじ山とを交互に並べたダブルリードのねじ山で形成したので、木材への引っ掛かり率が増加し、引き抜き強度が大きくなるため木ねじの保持力を大きくすることができる。
【0022】
さらに、請求項1に記載の木ねじにあっては、ねじ山の先端部に平面形状が略三日月状に切削された略V字状の先割れ尖り先部を形成したので、先端の尖り先部による被締結部材への食い付きが非常に良好であり、また、木ねじの回転によって切削された切り屑は圧縮されにくく、上記V字面に沿ってスムーズに上方へと排出されるため、目詰まりのない優れた下穴の切削機能を得ることができ、従来の木材や木材を基調とした内装材や一部の新建材のみならず、縦目の多い硬い木材や節を有する硬い木材、木材屑を固めたパーティクルボード、圧縮ボード、石膏ボード、アルミ板、塩化ビニール板、薄い鉄板あるいはセメント板等の種々の内装材や建材であっても、割れが起きにくく作業性を向上させることができる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明にあっては、前記ねじ頭部と前記円錐台状の傾斜面との間に、段部を形成したので、当該木ねじを電動ドライバー等で強く締めすぎても、ねじ頭部がキャビネットの背板等に食い込むことがなく、該背板等とねじ頭部との間に段部によるクリアランスができるため、合成樹脂製カラーキャップを確実に取り付けることができる。
【0024】
さらに、請求項3に記載の発明にあっては、前記ねじ頭部に、合成樹脂製カラーキャップを着脱自在に嵌装することができるので、木ねじを装着した後、上記カラーキャップを、例えばキャビネットの背板と同系色とすることで、ねじ頭部を隠すことができ、キャビネットとの色彩の統一性を図ることができ、取付品質を向上させることができると共に、カラーキャップの形状を統一して種類を少なくすることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面に示す発明の実施例1に基づき、この発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、この発明の実施例1に係る木ねじの正面図を、図2は同木ねじの背面図を、図3は同木ねじの左側面図を、図4は同木ねじの右側面図を、図5は同木ねじの平面図を、図6は同木ねじの底面図を、図7は図5A−A線断面図、図8は図1B−B線断面図を、図9は同木ねじの使用状態を示す断面図である。
【0027】
この実施例1に係る木ねじ1は、ねじ軸部直径d1の2倍以上の直径d2を有するように形成されてなる大皿状のねじ頭部2と、該ねじ頭部2とねじ軸部3との間に形成された円錐台状の傾斜面4に突設された複数のリブ5(本実施例1では6条)と、上記ねじ軸部3の軸径d1よりも若干大径d3に形成(d1<d3<d2)されたローレット刃状のナール部6と、ねじ軸部3の先端部とナール部6の間に形成された2条のねじ山7,8と、ねじ山7,8の先端部に形成された先割れ尖り先部9と、から構成されている。
【0028】
上記したように、この実施例1に係る木ねじ1は、ねじ頭部2を、ねじ軸部直径d1の2倍以上の直径d2を有するように構成したので、キャビネットに対する保持力が増加し、また、ねじ軸部3の基部の直径を太くすることができるため、ねじ頭部2の所謂飛びをなくすることができる。尚、ねじ頭部2には、ドライバー等の回転駆動工具を係合せしめるプラス溝等の係合部10が形成されている。また、この実施例1に係る木ねじ1は、ねじ頭部2に、合成樹脂製カラーキャップCを着脱自在に嵌装することができるので、木ねじ1を装着した後、上記カラーキャップCを、例えばキャビネットKの背板Bと同系色とすることで、ねじ頭部2を隠すことができ、キャビネットKとの色彩の統一性を図ることができ、取付品質を向上させることができる。勿論、このカラーキャップCの形状を統一することで、種類を少なくすることができ、部品管理を簡略化することができる。尚、この実施例1では、ねじ頭部2の断面形状を、カラーキャップCとの係合力を高めるため、周方向に凸条2Aを突設するのが望ましい。
【0029】
また、この実施例1では、ねじ頭部2とねじ軸部3との間に形成された円錐台状の傾斜面4に複数のリブ5を突設したので、木ねじ1の空転を防止することができると共に、座刳り作用によってねじ頭部2の浮きを有効に防止することができる。
【0030】
さらに、実施例1の木ねじ1にあっては、上記ねじ軸部3の軸径d1よりも若干大径d3に形成されたローレット刃状のナール部6を形成したので、図8に示すように、キャビネットKの背板Bを壁面Wに固定したときに、キャビネットKの浮き、即ち壁面Wとの間に隙間が発生するのを確実に防止することができる。
【0031】
この実施例1に係るナール部6は、ローレット状の刃が、手前側の木材に大きめの孔を開けるので、締付けトルクが小さく、木材相互の締め付け作業を軽くすることができる。また、このナール部6は、ねじ軸部3の軸芯方向にそって長く、かつ、ねじ軸部3の周方向表面に凹凸面を形成し、木材との接触面を少なくするものであるため、ローレット状の刃の形状に限らず、ねじ軸部3の外周面に、周方向にそって多数の縦溝を形成したものであってもよい。また、上記ナール部6は、ねじ山7,8と同じ方向に傾斜を持たせると、螺装時の抵抗を小さくすることができるので、このように形成するのが望ましい。
【0032】
また、実施例1の木ねじ1にあっては、ねじ軸部3の外周面に、第一のねじ山7と、該第一のねじ山7の呼び径d4より小さな呼び径d5に成形された第二のねじ山8がダブルリードねじとしてねじ頭部3の首下から先端部9にかけて交互に並んで設けてある。さらに第一のねじ山7の基部の直径d6から第二のねじ山8の基部の直径d7にかけて徐々に縮径して成形されている。また、先端部の先にはドリル刃である先割れ尖り先部9が形成されている。この先割れ尖り先部9は、ねじ山7,8の先端部に平面形状が略三日月状に切削され断面形状が略V字状に形成されているので、先端の尖り先部9による被締結部材への食い付きが非常に良好であり、また、木ねじ1の回転によって切削された切り屑は圧縮されにくく、上記V字面に沿ってスムーズに上方へと排出される。
【0033】
次に、本実施例1の木ねじ1を木質建材にねじ込む状態を説明すると、電動回転工具によって、回転力を付与されて、木ねじ1の先割れ尖り先部9が木質建材にd8の直径の穴を開けながら木質建材の内部に進入していく。第一のねじ山7と第二のねじ山8が、交互に先割れ尖り先部9によって開けられた穴の側面壁にメネジを形成しながら進入していく。先割れ尖り先部9の直径d8は第一のねじ山7の基部の直径d6より大径のため、穴の側面壁と第一のねじ山7、第二のねじ山8及び各ねじ山の谷部によって囲まれた隙間が生じる。従って、先割れ尖り先部9の切削によって生じた切削くずは、この隙間を通って穴の外側へ排出されていく。
【0034】
また、木ねじ1の締結力を生み出す第一のねじ山7は、先割れ尖り先部9によって開けられた穴の側面壁に深く食い込んでいく。第一のねじ山7の基部の径d6は、側面壁に浅く食い込んでいく第二のねじ山8の基部の直径d7より大径に形成されているため、各ねじ山が側面壁にくい込んでいくときに発生する抵抗に負けることなく螺入していくので、木材への引っ掛かり率が増加し、引き抜き強度が大きくなるため木ねじ1の保持力を大きくすることができる。
【0035】
このように、実施例1の木ねじ1にあっては、ねじ山の先端部に形成された先割れ尖り先部9により、目詰まりのない優れた下穴の切削機能を得ることができ、従来の木材や木材を基調とした内装材や一部の新建材のみならず、縦目の多い硬い木材や節を有する硬い木材、木材屑を固めたパーティクルボード、圧縮ボード、石膏ボード、アルミ板、塩化ビニール板、薄い鉄板あるいはセメント板等の種々の内装材や建材であっても、割れが起きにくく作業性を向上させることができる。尚、この実施例1では、壁面Wは、図9に示すように、キッチンパネルPと取付桟Sとの間に不燃材Fが配設されて構成されているが、該壁面Wの構成は、これに限定されるものではなく、各種構成からなる壁面にも適用できることは勿論である。
【0036】
また、この実施例1に係る木ねじ1にあっては、キャビネットKの背板Bが木製である場合、木ねじ1の頭部2が僅かに背板Bに食い込み、カラーキャップCが取り付けにくいことがあるので、図1に示すように、ねじ頭部2のねじ孔開設部側2Aの高さ寸法H1に対し、ねじ軸部側2Bの高さ寸法H2を大きく(この実施例ではH1=1.1mm<H2=1.6mm)形成し、ねじ孔開設部側2Aの周面の傾斜角に対してねじ軸部側2Bの周面の傾斜角を緩やかに形成することで、カラーキャップCをねじ頭部2に嵌装したときに、図9に示すように、ねじ軸部側2BがカラーキャップCの底面部C1よりもはみ出すように形成するのが望ましい。
【0037】
本実施例1に係る木ねじ1は、以上のように構成されているので、図9に示すように、流し台や洗面化粧台等のキャビネットKを壁面Wに取り付けるときに、先ず、先割れ尖り先部9が、背板BからキッチンパネルP、不燃材F、取付桟Sの順に切削してねじ込まれる。このとき、ねじ山7,8が不燃材Fと取付桟Sに食い込み、ナール部6が背板Bに枠材B1とキッチンパネルPに食い込むため、これら各部の保持力によってキャビネットKを壁面Wに確実に密着させることができ、さらに、傾斜面4に突設された複数本のリブ5が背板Bに食い込むため、ねじ頭部2が背板Bから浮き上がることがない。この後、カラーキャップCをねじ頭部2に嵌装することで、ねじ頭部2のドライバー係止溝10を隠蔽することができる。
【実施例2】
【0038】
図10乃至図13は、この発明の実施例2に係る木ねじ1Aを示しており、該実施例2に係る木ねじ1Aは、ねじ頭部2と前記円錐台状の傾斜面4との間に、段部Dを形成した他は、他の構成部分は実施例1の木ねじ1と同様であるので、図面には、実施例1で用いた符号と同一の符号を付して、その詳細な説明をここでは省略する。この段部Dの高さは、本実施例2では0.3mmとした。これ以上高くした場合には、カラーキャップCとキヤビネットKの背板Bとの間に隙間ができるため、カラーキャップCの肉厚(0.2〜0.3mm)と略同じ高さに設定した。勿論、この発明にあっては、段部Dの高さを、必要に応じて0.3mm以上に設定しても構わない。
【0039】
この実施例2に係る木ねじ1Aは、以上のように構成されているので、当該木ねじ1Aを電動ドライバー等で強く締めすぎても、ねじ頭部2がキャビネットの背板等に食い込むことがなく、該背板等とねじ頭部2との間に段部Dによるクリアランスができるため、合成樹脂製カラーキャップを確実に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施例1に係る木ねじの正面図である。
【図2】同木ねじの背面図である。
【図3】同木ねじの左側面図である。
【図4】同木ねじの右側面図である。
【図5】同木ねじの平面図である。
【図6】同木ねじの底面図である。
【図7】図5A−A線断面図である。
【図8】図1B−B線断面図である。
【図9】同木ねじの使用状態を示す断面図である。
【図10】この発明の実施例2に係る木ねじの正面図である。
【図11】同木ねじの左側面図である。
【図12】同木ねじの右側面図である。
【図13】同木ねじの段部を拡大して示す説明図である。
【符号の説明】
【0041】
B 背板
B1 背板枠部
C カラーキャップ
D 段部
F 不燃材
K キャビネット
P キッチンパネル
S 取付桟
W 壁面
1,1A 木ねじ
2 ねじ頭部
3 ねじ軸部
4 円錐台状の傾斜面
5 リブ
6 ナール部
7,8 ねじ山
9 先割れ尖り先部
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として、流し台や洗面化粧台等のキャビネットを壁面に固定するために用いられる木ねじに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の用途に用いることができる木ねじとしては、例えば特許文献1乃至特許文献3に示すような木ねじが提案されている。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3027065号公報
【0004】
【特許文献2】実公平8−7135号公報
【0005】
【特許文献3】特開2003−42121号公報
【0006】
特許文献1に示す木ねじは、ねじ軸部の先端に尖鋭部を備えると共に尾端に頭部を備え、ねじ軸部の外周にねじ山を形成した木ねじであって、前記尖鋭部の近傍からねじ軸部の中途部に至る前方領域に形成されたねじ山が、山径を大径とした導入ねじ山と山径を小径とした補助ねじ山とから成る2条ねじで構成され、前記前方領域からねじ軸部の尾端に向けて延びる後方領域に形成されたねじ山が、前記導入ねじ山から連続して形成され且つ該導入ねじ山よりも山径を大径とした締結ねじ山から成る1条ねじで構成されている。
【0007】
また、特許文献2に示す木ねじは、ドライバー溝を形成した偏平な頭部を有し、先端を尖らせたねじ軸部の外周面にねじ山を螺旋状に形成した木ねじであって、頭部とねじ山との間のねじ軸部の表面に、ねじ軸部の長さ方向にそって縦長であり、ねじ軸部の外径より少し大きい径を有する凹凸状のローレット刃状のナールを形成して構成されている。
【0008】
さらに、特許文献3に示す木ねじは、ねじ軸部の一端にビット穴を備えた頭部と他端に尖鋭な先端部を有し、ねじ軸部の外周面から先端部にかけて、第一のねじ山と、前記第一のねじ山より呼び径の小さい第二のねじ山が交互に並んで設けられたダブルリードのねじ山を有した木ねじで構成され、前記第一のねじ山の基部から第二のねじ山の基部にかけて、軸部が徐々に縮径するように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1にあっては、ねじ頭部がそれほど大径に形成されていないため、キャビネットに対する保持力が小さく、また、ねじ軸部の基部の直径を太くとれないため、ねじ頭部の所謂飛びが発生し易く、さらには、ねじ頭部とねじ山との間のねじ軸部は凹凸が形成されていないため、キャビネットを壁に固定したときに、キャビネットの浮き、即ち壁面との間に隙間が発生する、という問題を有していた。
【0010】
また、特許文献1に示す木ねじは、ねじ山も大径のねじ山より先端部側に小径のねじ山を形成した構造であるため、木材への引っ掛かり率が低く、引き抜き強度が小さいため木ねじの保持力が弱いため、流し台や洗面化粧台等のキャビネットの取付用木ねじとしては、その保持力が弱く、可及的に少ない本数でキャビネットを壁面に固定するのが望ましい当該分野においては、保持力を高めるためには、特許文献1の木ねじの場合、多くの本数を用いなければならないため、取付作業が非常に煩雑となり、また、コスト高となる、という問題を有していた。
【0011】
特許文献2の木ねじにあっては、ねじ軸部にナールが形成されてはいるが、ねじ頭部がそれほど大径に形成されていないため、キャビネットに対する保持力が小さく、また、ねじ軸部の基部の直径を太くとれないため、ねじ頭部の所謂飛びが発生し易く、さらには、ねじ山も1条のねじ山を形成した構造であるため、木材への引っ掛かり率が低く、引き抜き強度が小さいため木ねじの保持力が弱いため、流し台や洗面化粧台等のキャビネットの取付用木ねじとしては、その保持力が弱いため、特許文献1と同様の問題を有している。
【0012】
また、特許文献3の木ねじにあっても、ダブルリードのねじ山を有した木ねじである点においては、木材への引っ掛かり率が高く、引き抜き強度も大きいという利点を有してはいるものの、小さいねじ頭部がそれほど大径に形成されていないため、キャビネットに対する保持力が小さく、また、ねじ軸部の基部の直径を太くとれないため、ねじ頭部の所謂飛びが発生し易く、さらには、ねじ頭部とねじ山との間のねじ軸部は凹凸が形成されていないため、キャビネットを壁に固定したときに、キャビネットの浮き、即ち壁面との間に隙間が発生する、という問題を有していた。
【0013】
このように、特許文献1乃至3に示す木ねじは、流し台や洗面化粧台等のキャビネットの取付用木ねじとしては、その保持力等において一長一短があり、特に、ねじ頭部の飛びの問題をクリアできない構造であるため、製造コストが嵩む、という問題を有していた。
【0014】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、特に、流し台や洗面化粧台等のキャビネットを壁面に取り付けるための木ねじとして要求される機能である、木材への引っ掛かり率を高くし、引き抜き強度を大きくして、その保持力を増加させることができ、しかも、キャビネットを壁に固定したときのキャビネットの浮きを確実に防止することができると共に、ねじ頭部のキャビネットへの食い込みを防止してキャップの取付を確実にすることができ、さらには、ねじ頭部の飛びの発生を防止して製造コストを大幅に低減することができる木ねじを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の木ねじは、ねじ軸部直径の2倍以上の直径を有するように形成されてなる大皿状のねじ頭部と、該ねじ頭部とねじ軸部との間に形成された円錐台状の傾斜面に突設された複数のリブと、上記ねじ軸部の軸径よりも若干大径に形成されたローレット刃状のナール部と、ねじ軸部の先端部とナール部の間に形成されたねじ山と、ねじ山の先端部に形成された平面形状が略三日月状に切削された略V字状の先割れ尖り先部と、から構成され、上記ねじ山は、第一のねじ山と、前記第一のねじ山より呼び径の小さい第二のねじ山が交互に並んで設けられたダブルリードのねじ山で形成されていると共に、上記先割れ尖り先部は、先端の尖り先部が被締結部材に食い付いた後、回転によって切削された切り屑が圧縮されずに排出されるように切削形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の木ねじを技術的前提とし、前記ねじ頭部と前記円錐台状の傾斜面との間に、段部を形成したことを特徴とする。
【0017】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の木ねじを技術的前提とし、前記ねじ頭部には、合成樹脂製カラーキャップが着脱自在に嵌装されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、請求項1に記載の発明にあっては、ねじ軸部直径の2倍以上の直径を有するように形成されてなる大皿状のねじ頭部を構成したので、キャビネットに対する保持力が増加し、また、ねじ軸部の基部の直径を太くすることができるため、ねじ頭部の所謂飛びをなくすることができ、ねじ頭部の強度を確保することができる。
【0019】
また、請求項1に記載の木ねじにあっては、ねじ頭部とねじ軸部との間に形成された円錐台状の傾斜面に複数のリブを突設したので、空転を防止することができると共に、座刳り作用によってねじ頭部の浮きを有効に防止することができる。
【0020】
さらに、請求項1に記載の木ねじにあっては、上記ねじ軸部の軸径よりも若干大径に形成されたローレット刃状のナール部を配設したので、キャビネットを壁面に固定したときに、キャビネットの浮き、即ち壁面との間に隙間が発生するのを確実に防止することができる。
【0021】
また、請求項1に記載の木ねじにあっては、ねじ軸部の先端部とナール部の間に形成されるねじ山を、第一のねじ山と、前記第一のねじ山より呼び径の小さい第二のねじ山とを交互に並べたダブルリードのねじ山で形成したので、木材への引っ掛かり率が増加し、引き抜き強度が大きくなるため木ねじの保持力を大きくすることができる。
【0022】
さらに、請求項1に記載の木ねじにあっては、ねじ山の先端部に平面形状が略三日月状に切削された略V字状の先割れ尖り先部を形成したので、先端の尖り先部による被締結部材への食い付きが非常に良好であり、また、木ねじの回転によって切削された切り屑は圧縮されにくく、上記V字面に沿ってスムーズに上方へと排出されるため、目詰まりのない優れた下穴の切削機能を得ることができ、従来の木材や木材を基調とした内装材や一部の新建材のみならず、縦目の多い硬い木材や節を有する硬い木材、木材屑を固めたパーティクルボード、圧縮ボード、石膏ボード、アルミ板、塩化ビニール板、薄い鉄板あるいはセメント板等の種々の内装材や建材であっても、割れが起きにくく作業性を向上させることができる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明にあっては、前記ねじ頭部と前記円錐台状の傾斜面との間に、段部を形成したので、当該木ねじを電動ドライバー等で強く締めすぎても、ねじ頭部がキャビネットの背板等に食い込むことがなく、該背板等とねじ頭部との間に段部によるクリアランスができるため、合成樹脂製カラーキャップを確実に取り付けることができる。
【0024】
さらに、請求項3に記載の発明にあっては、前記ねじ頭部に、合成樹脂製カラーキャップを着脱自在に嵌装することができるので、木ねじを装着した後、上記カラーキャップを、例えばキャビネットの背板と同系色とすることで、ねじ頭部を隠すことができ、キャビネットとの色彩の統一性を図ることができ、取付品質を向上させることができると共に、カラーキャップの形状を統一して種類を少なくすることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面に示す発明の実施例1に基づき、この発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、この発明の実施例1に係る木ねじの正面図を、図2は同木ねじの背面図を、図3は同木ねじの左側面図を、図4は同木ねじの右側面図を、図5は同木ねじの平面図を、図6は同木ねじの底面図を、図7は図5A−A線断面図、図8は図1B−B線断面図を、図9は同木ねじの使用状態を示す断面図である。
【0027】
この実施例1に係る木ねじ1は、ねじ軸部直径d1の2倍以上の直径d2を有するように形成されてなる大皿状のねじ頭部2と、該ねじ頭部2とねじ軸部3との間に形成された円錐台状の傾斜面4に突設された複数のリブ5(本実施例1では6条)と、上記ねじ軸部3の軸径d1よりも若干大径d3に形成(d1<d3<d2)されたローレット刃状のナール部6と、ねじ軸部3の先端部とナール部6の間に形成された2条のねじ山7,8と、ねじ山7,8の先端部に形成された先割れ尖り先部9と、から構成されている。
【0028】
上記したように、この実施例1に係る木ねじ1は、ねじ頭部2を、ねじ軸部直径d1の2倍以上の直径d2を有するように構成したので、キャビネットに対する保持力が増加し、また、ねじ軸部3の基部の直径を太くすることができるため、ねじ頭部2の所謂飛びをなくすることができる。尚、ねじ頭部2には、ドライバー等の回転駆動工具を係合せしめるプラス溝等の係合部10が形成されている。また、この実施例1に係る木ねじ1は、ねじ頭部2に、合成樹脂製カラーキャップCを着脱自在に嵌装することができるので、木ねじ1を装着した後、上記カラーキャップCを、例えばキャビネットKの背板Bと同系色とすることで、ねじ頭部2を隠すことができ、キャビネットKとの色彩の統一性を図ることができ、取付品質を向上させることができる。勿論、このカラーキャップCの形状を統一することで、種類を少なくすることができ、部品管理を簡略化することができる。尚、この実施例1では、ねじ頭部2の断面形状を、カラーキャップCとの係合力を高めるため、周方向に凸条2Aを突設するのが望ましい。
【0029】
また、この実施例1では、ねじ頭部2とねじ軸部3との間に形成された円錐台状の傾斜面4に複数のリブ5を突設したので、木ねじ1の空転を防止することができると共に、座刳り作用によってねじ頭部2の浮きを有効に防止することができる。
【0030】
さらに、実施例1の木ねじ1にあっては、上記ねじ軸部3の軸径d1よりも若干大径d3に形成されたローレット刃状のナール部6を形成したので、図8に示すように、キャビネットKの背板Bを壁面Wに固定したときに、キャビネットKの浮き、即ち壁面Wとの間に隙間が発生するのを確実に防止することができる。
【0031】
この実施例1に係るナール部6は、ローレット状の刃が、手前側の木材に大きめの孔を開けるので、締付けトルクが小さく、木材相互の締め付け作業を軽くすることができる。また、このナール部6は、ねじ軸部3の軸芯方向にそって長く、かつ、ねじ軸部3の周方向表面に凹凸面を形成し、木材との接触面を少なくするものであるため、ローレット状の刃の形状に限らず、ねじ軸部3の外周面に、周方向にそって多数の縦溝を形成したものであってもよい。また、上記ナール部6は、ねじ山7,8と同じ方向に傾斜を持たせると、螺装時の抵抗を小さくすることができるので、このように形成するのが望ましい。
【0032】
また、実施例1の木ねじ1にあっては、ねじ軸部3の外周面に、第一のねじ山7と、該第一のねじ山7の呼び径d4より小さな呼び径d5に成形された第二のねじ山8がダブルリードねじとしてねじ頭部3の首下から先端部9にかけて交互に並んで設けてある。さらに第一のねじ山7の基部の直径d6から第二のねじ山8の基部の直径d7にかけて徐々に縮径して成形されている。また、先端部の先にはドリル刃である先割れ尖り先部9が形成されている。この先割れ尖り先部9は、ねじ山7,8の先端部に平面形状が略三日月状に切削され断面形状が略V字状に形成されているので、先端の尖り先部9による被締結部材への食い付きが非常に良好であり、また、木ねじ1の回転によって切削された切り屑は圧縮されにくく、上記V字面に沿ってスムーズに上方へと排出される。
【0033】
次に、本実施例1の木ねじ1を木質建材にねじ込む状態を説明すると、電動回転工具によって、回転力を付与されて、木ねじ1の先割れ尖り先部9が木質建材にd8の直径の穴を開けながら木質建材の内部に進入していく。第一のねじ山7と第二のねじ山8が、交互に先割れ尖り先部9によって開けられた穴の側面壁にメネジを形成しながら進入していく。先割れ尖り先部9の直径d8は第一のねじ山7の基部の直径d6より大径のため、穴の側面壁と第一のねじ山7、第二のねじ山8及び各ねじ山の谷部によって囲まれた隙間が生じる。従って、先割れ尖り先部9の切削によって生じた切削くずは、この隙間を通って穴の外側へ排出されていく。
【0034】
また、木ねじ1の締結力を生み出す第一のねじ山7は、先割れ尖り先部9によって開けられた穴の側面壁に深く食い込んでいく。第一のねじ山7の基部の径d6は、側面壁に浅く食い込んでいく第二のねじ山8の基部の直径d7より大径に形成されているため、各ねじ山が側面壁にくい込んでいくときに発生する抵抗に負けることなく螺入していくので、木材への引っ掛かり率が増加し、引き抜き強度が大きくなるため木ねじ1の保持力を大きくすることができる。
【0035】
このように、実施例1の木ねじ1にあっては、ねじ山の先端部に形成された先割れ尖り先部9により、目詰まりのない優れた下穴の切削機能を得ることができ、従来の木材や木材を基調とした内装材や一部の新建材のみならず、縦目の多い硬い木材や節を有する硬い木材、木材屑を固めたパーティクルボード、圧縮ボード、石膏ボード、アルミ板、塩化ビニール板、薄い鉄板あるいはセメント板等の種々の内装材や建材であっても、割れが起きにくく作業性を向上させることができる。尚、この実施例1では、壁面Wは、図9に示すように、キッチンパネルPと取付桟Sとの間に不燃材Fが配設されて構成されているが、該壁面Wの構成は、これに限定されるものではなく、各種構成からなる壁面にも適用できることは勿論である。
【0036】
また、この実施例1に係る木ねじ1にあっては、キャビネットKの背板Bが木製である場合、木ねじ1の頭部2が僅かに背板Bに食い込み、カラーキャップCが取り付けにくいことがあるので、図1に示すように、ねじ頭部2のねじ孔開設部側2Aの高さ寸法H1に対し、ねじ軸部側2Bの高さ寸法H2を大きく(この実施例ではH1=1.1mm<H2=1.6mm)形成し、ねじ孔開設部側2Aの周面の傾斜角に対してねじ軸部側2Bの周面の傾斜角を緩やかに形成することで、カラーキャップCをねじ頭部2に嵌装したときに、図9に示すように、ねじ軸部側2BがカラーキャップCの底面部C1よりもはみ出すように形成するのが望ましい。
【0037】
本実施例1に係る木ねじ1は、以上のように構成されているので、図9に示すように、流し台や洗面化粧台等のキャビネットKを壁面Wに取り付けるときに、先ず、先割れ尖り先部9が、背板BからキッチンパネルP、不燃材F、取付桟Sの順に切削してねじ込まれる。このとき、ねじ山7,8が不燃材Fと取付桟Sに食い込み、ナール部6が背板Bに枠材B1とキッチンパネルPに食い込むため、これら各部の保持力によってキャビネットKを壁面Wに確実に密着させることができ、さらに、傾斜面4に突設された複数本のリブ5が背板Bに食い込むため、ねじ頭部2が背板Bから浮き上がることがない。この後、カラーキャップCをねじ頭部2に嵌装することで、ねじ頭部2のドライバー係止溝10を隠蔽することができる。
【実施例2】
【0038】
図10乃至図13は、この発明の実施例2に係る木ねじ1Aを示しており、該実施例2に係る木ねじ1Aは、ねじ頭部2と前記円錐台状の傾斜面4との間に、段部Dを形成した他は、他の構成部分は実施例1の木ねじ1と同様であるので、図面には、実施例1で用いた符号と同一の符号を付して、その詳細な説明をここでは省略する。この段部Dの高さは、本実施例2では0.3mmとした。これ以上高くした場合には、カラーキャップCとキヤビネットKの背板Bとの間に隙間ができるため、カラーキャップCの肉厚(0.2〜0.3mm)と略同じ高さに設定した。勿論、この発明にあっては、段部Dの高さを、必要に応じて0.3mm以上に設定しても構わない。
【0039】
この実施例2に係る木ねじ1Aは、以上のように構成されているので、当該木ねじ1Aを電動ドライバー等で強く締めすぎても、ねじ頭部2がキャビネットの背板等に食い込むことがなく、該背板等とねじ頭部2との間に段部Dによるクリアランスができるため、合成樹脂製カラーキャップを確実に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施例1に係る木ねじの正面図である。
【図2】同木ねじの背面図である。
【図3】同木ねじの左側面図である。
【図4】同木ねじの右側面図である。
【図5】同木ねじの平面図である。
【図6】同木ねじの底面図である。
【図7】図5A−A線断面図である。
【図8】図1B−B線断面図である。
【図9】同木ねじの使用状態を示す断面図である。
【図10】この発明の実施例2に係る木ねじの正面図である。
【図11】同木ねじの左側面図である。
【図12】同木ねじの右側面図である。
【図13】同木ねじの段部を拡大して示す説明図である。
【符号の説明】
【0041】
B 背板
B1 背板枠部
C カラーキャップ
D 段部
F 不燃材
K キャビネット
P キッチンパネル
S 取付桟
W 壁面
1,1A 木ねじ
2 ねじ頭部
3 ねじ軸部
4 円錐台状の傾斜面
5 リブ
6 ナール部
7,8 ねじ山
9 先割れ尖り先部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ軸部直径の2倍以上の直径を有するように形成されてなる大皿状のねじ頭部と、該ねじ頭部とねじ軸部との間に形成された円錐台状の傾斜面に突設された複数のリブと、上記ねじ軸部の軸径よりも若干大径に形成されたローレット刃状のナール部と、ねじ軸部の先端部とナール部の間に形成されたねじ山と、ねじ山の先端部に形成された平面形状が略三日月状に切削された略V字状の先割れ尖り先部と、から構成され、上記ねじ山は、第一のねじ山と、前記第一のねじ山より呼び径の小さい第二のねじ山が交互に並んで設けられたダブルリードのねじ山で形成されていると共に、上記先割れ尖り先部は、先端の尖り先部が被締結部材に食い付いた後、回転によって切削された切り屑が圧縮されずに排出されるように切削形成されていることを特徴とする木ねじ。
【請求項2】
前記ねじ頭部と前記円錐台状の傾斜面との間に、段部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の木ねじ。
【請求項3】
前記ねじ頭部には、合成樹脂製カラーキャップが着脱自在に嵌装されることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の木ねじ。
【請求項1】
ねじ軸部直径の2倍以上の直径を有するように形成されてなる大皿状のねじ頭部と、該ねじ頭部とねじ軸部との間に形成された円錐台状の傾斜面に突設された複数のリブと、上記ねじ軸部の軸径よりも若干大径に形成されたローレット刃状のナール部と、ねじ軸部の先端部とナール部の間に形成されたねじ山と、ねじ山の先端部に形成された平面形状が略三日月状に切削された略V字状の先割れ尖り先部と、から構成され、上記ねじ山は、第一のねじ山と、前記第一のねじ山より呼び径の小さい第二のねじ山が交互に並んで設けられたダブルリードのねじ山で形成されていると共に、上記先割れ尖り先部は、先端の尖り先部が被締結部材に食い付いた後、回転によって切削された切り屑が圧縮されずに排出されるように切削形成されていることを特徴とする木ねじ。
【請求項2】
前記ねじ頭部と前記円錐台状の傾斜面との間に、段部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の木ねじ。
【請求項3】
前記ねじ頭部には、合成樹脂製カラーキャップが着脱自在に嵌装されることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の木ねじ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−308079(P2006−308079A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51498(P2006−51498)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【出願人】(000222990)株式会社テクノアソシエ (11)
【出願人】(390019286)株式会社コクブ (3)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【出願人】(000222990)株式会社テクノアソシエ (11)
【出願人】(390019286)株式会社コクブ (3)
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