説明

板状抵抗体を有する抵抗器及びその製造方法

【課題】両端部と中間部のリード端子を備えたツイン形状の抵抗器において、簡易な手法を採用することで、各リード端子の向きを同一方向に揃えるとともに小型化を図る。
【解決手段】板状抵抗体3と、両端部リード端子2a,2bと、中間部リード端子2cと、板状抵抗体3とリード端子2a,2b,2cの一部とを収納する絶縁性ケースと、を備えた抵抗器であって、両端部2a,2bと中間部2cのリード端子は板状抵抗体3にスポット溶接で取り付けられて接合部を形成し、板状抵抗体3は、略U字形状に曲げられた構造を有し、中間部リード端子2cの接合部を形成している板状抵抗体3は、その平面を略90度捻られた捻り部6を有すること。板状抵抗体3は、両端部からの略U字形状と、略U字形状同士を繋ぐ凹部形状と、からなり、凹部形状が捻り部6を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状(リボン状とも称する)の抵抗体とリード端子からなる抵抗器に係わり、特に、板状抵抗体の両端部とその中間部に取り付けられた端部リード端子と中間部リード端子を備えたツイン形状の抵抗器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状(リボン状)の金属抵抗体の両端にリード端子を溶接で取り付けた後に、金属抵抗体をU字形状に折り曲げて絶縁性ケースの内部空間に挿入し、絶縁性充填物を絶縁性ケースに充填してシングル形状の抵抗器とすることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、抵抗体の中央部にリード端子をもつツイン形状の抵抗器として、薄板状の金属板をその上下端面から、金属板長手方向に沿って互い違いに、反対側端面に向けて半円形、U字形又は矩形状に打ち抜き、打ち抜かれた金属板のジグザグ形状の通路を電流通路とすることで所望の抵抗値を得るとともに、打ち抜かれた金属板の中央部にも中央部リード端子を取り付けることでツイン形状抵抗器を構成するものは、従来技術として提起されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−16372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に示す従来技術は、金属抵抗体の両端にリード端子を取り付けてU字状に折り曲げることで、抵抗器の組み立ての際におけるケースへの抵抗体の支持容易性と抵抗器の小型化を図るとともに放熱性の改善を意図したものであり、金属抵抗体の両端部にのみリード端子を取り付けることを前提にしたものである。そうすると、特許文献1には、両端のリード端子の中間に中間部リード端子を設けることについての特別の配慮がされておらず、ツイン形状抵抗器における中間部リード端子の取り付け手法に一段の工夫を要することが求められている。
【0006】
また、上記の背景技術欄で紹介したツイン形状抵抗器の従来技術は、両端部リード端子に加えて中央部リード端子を設ける構造ではあるものの、金属板を打ち抜くという余分な工程が必須となり、さらに打ち抜くことで薄板状の金属板材料の無駄が生じると云う課題が生じる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解決するために、弾性変形可能な板状抵抗体の両端部にリード端子を取り付けるとともにその中間部にリード端子を取り付けて、当該板状抵抗体の中間部を捻る(ヒネル)という簡易な手法を採用することで、両端部リード端子と中間部リード端子を同一方向に揃えるようにした抵抗器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
板状抵抗体と、前記板状抵抗体の両端部に取り付けられた両端部リード端子と、前記板状抵抗体の中間部に取り付けられた中間部リード端子と、前記板状抵抗体の全部とそれぞれのリード端子の一部とを収納する絶縁性ケースと、を備えた抵抗器であって、前記両端部リード端子と前記中間部リード端子は、前記板状抵抗体にスポット溶接で取り付けられて接合部を形成し、前記板状抵抗体は、略U字形状に曲げられた構造を有し、前記中間部リード端子の接合部を形成している板状抵抗体は、その平面を略90度捻られた捻り部を有する構成とする。
【0009】
また、前記抵抗器において、前記絶縁性ケースの内側面に前記両端部リード端子が当接するように、板状抵抗体の両端部の外側に前記両端部リード端子が取り付けられる構成とする。さらに、前記板状抵抗体は、前記両端部からの略U字形状と、前記略U字形状同士を繋ぐ凹部形状と、からなり、前記凹部形状が前記捻り部を形成する構成とする。
【0010】
また、板状抵抗体と、前記板状抵抗体の両端部に取り付けられた両端部リード端子と、前記板状抵抗体の中間部に取り付けられた中間部リード端子と、前記板状抵抗体の全部とそれぞれのリード端子の一部とを収納する絶縁性ケースと、を備えた抵抗器の製造方法において、 前記板状抵抗体である長尺の弾性特性をもつ金属板を所望する抵抗値に応じた長さに切断するステップと、前記切断した金属板を同一平面上に配置し、前記金属板の両端に当該金属板の長手方向に沿って前記両端部リード端子を圧着固定するとともに、前記金属板の中間部に当該金属板長手方向の垂直方向に前記中間部リード端子を圧着固定するステップと、前記圧着固定した前記両端部リード端子と前記中間部リード端子を順次又は同時にスポット溶接するステップと、前記金属板の一端部から前記金属板の中間部を経て前記金属板の他端部に亘って、前記金属板の平面を曲げることによって略U字形状、略凹部形状、略U字形状を形成するステップと、前記略凹部形状の金属板にスポット溶接された中間部リード端子、又は前記略凹部形状の金属板を把持して略90度回転させ、前記金属板の中間部に捻り部を形成することで、前記両端部リード端子と前記中間部リード端子の向きを同一方向に揃えるステップと、前記捻り部及び両略U字形状をもつ金属板と、向きの揃った各リード端子とを前記絶縁性ケースに収納するステップと、を備えた抵抗器の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ツイン形状の抵抗器における両端部リード端子と中間部リード端子の3つのリード端子を簡易な手法を用いて同一方向に揃えることができる。
【0012】
さらに、板状抵抗体の中間部に捻り部を形成することのみで足りるので、板状抵抗体の幅W方向の寸法を縮小することができ、引いては抵抗器を構成する絶縁性ケースの厚さDを小型化することに繋がる。さらに、弾性変形特性をもつ帯状金属板に湾曲形状を複数形成することで、所望の複数の抵抗値を有する抵抗器を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る板状抵抗体を有する抵抗器の全体構成を示す図であり、図1(1)は本実施形態に係る抵抗器の斜視図であり、図1(2)は本実施形態に係る抵抗器の上面図であり、図1(3)は本実施形態に係る抵抗器の側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る板状抵抗体を収納する絶縁性ケースの断面図であり、図2(1)は絶縁性ケースの断面上面図であり、図2(2)は絶縁性ケースの断面側面図である。
【図3】本実施形態に係る抵抗器における板状抵抗体と、両端部リード端子及び中間部リード端子とのスポット溶接取り付け状態を示す図であり、図3(1)は当該取り付け状態の上面図であり、図3(2)は当該取り付け状態の正面図である。
【図4】本実施形態に係る抵抗器における板状抵抗体と中間部リード端子との接合部での捻り構造を示す図であり、板状抵抗体の全体形態が略M字状を形成する構造例である。
【図5】本実施形態に係る抵抗器における板状抵抗体と中間部リード端子との接合部での捻り構造を示す図であり、板状抵抗体の全体形態が略U字状を形成する構造例である。
【図6】本実施形態に係る抵抗器における中間部リード端子が板状抵抗体の中央部から外れた部位で板状抵抗体に接合する非対称型を示す構造例である。
【図7】本実施形態に係る抵抗器における両端部リード端子の変形構造例を示す上面図である。
【図8】本実施形態に係る板状抵抗体を有する抵抗器の製造方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る板状抵抗体を有する抵抗器について、その基本的構成を図1〜図4を用いて以下説明する。図面において、1は絶縁性ケース、2はリード端子、2a,2bは端部リード端子、2cは中間部リード端子、3は板状抵抗体(金属板)、4は収納空間、5は絶縁性充填物、6は捻り部(ヒネリ部)、10は抵抗器、11は 抵抗器本体(板状抵抗体とリード端子からなるもの)、Lは板状抵抗体(金属板)の長さ、Wは板状抵抗体(金属板)の幅、Tは板状抵抗体(金属板)の厚さ、Dは絶縁ケースの収納空間厚さ、をそれぞれ表す。
【0015】
図1と図2において、絶縁性ケース1は、セラミックを用いるのが一般的であるが、ある程度の機械的な強度と耐熱性を有する材料であればよく、セラミック以外の材料でもよい。絶縁性ケース1内には収納空間4が形成されており、収納空間4内には板状抵抗体3が収納され、また、両端部リード端子2a,2b及び中間部リード端子2c、並びに抵抗体3を固定するために絶縁性充填物5が充填されている。絶縁性充填物5としては、無機セメント、あるいは、シリコーン樹脂等の合成樹脂など絶縁性の材料が用いられる。リード端子2a,2b,2cは、収納空間4に収納されている板状抵抗体3に接続されており、不図示の基板への抵抗器10の取り付け、接続に必要な長さをもって絶縁性ケース1から突出している。絶縁性ケース1の収納空間4には、後述の図3に示す板状抵抗体3の幅Wに対応する収納空間厚さDが形成されている。
【0016】
図3は、本実施形態に係る抵抗器における板状抵抗体と、両端部リード端子及び中間部リード端子とのスポット溶接取り付け状態を示す図であり、図3(1)は当該取り付け状態の上面図であり、図3(2)は当該取り付け状態の正面図である。板状抵抗体3は、銅ニッケル系やニッケルクロム系等の抵抗材料からなる板状の抵抗体(リボン状の抵抗体とも称する)を用いて、これを所望の抵抗値となるように切断したものであり、板状抵抗体3の両端部に端部リード端子2a,2bを取り付け、さらに、板状抵抗体3の中間部に中間部リード端子2cを取り付けて、抵抗素子が構成される。なお、中間部リード端子2cは、板状抵抗体3の中央部に接合することの外に、各端部リード端子2a,2bの間のいずれの部位で接合されたものを含むものである。
【0017】
リード端子2の取り付けは、スポット溶接等の溶接による取付方法が、機械的な強度と電気的な接続の点から好ましい。スポット溶接に際しては、各リード端子2と板状抵抗体3は、それぞれ平面上に配置されて、両者にある程度の重なり寸法を確保した状態で圧着され、順にスポット溶接される。ここで、抵抗素子の抵抗値は、板状抵抗板3の固有抵抗値と幅Wと厚さTおよび長さLで決定される。
【0018】
図4は本実施形態に係る抵抗器における抵抗器本体11(板状抵抗体3とリード端子2からなるもの)が絶縁性ケース1に挿入される直前の形状を示す図であり、板状抵抗体3と中間部リード端子2cとの接合部での捻り構造を示し、板状抵抗体3の全体形態が略M字状を形成する構造例を示している。
【0019】
前述の図3に示す、スポット溶接されて板状抵抗体3とリード端子2の全てを平面上に形成した抵抗器本体11が、図4に示す捻り部6をもつ略M字状の抵抗器本体11となる手順を以下説明する。同一平面上に配置された各端部リード端子2a,2b,2cと板状抵抗体3の内で、両端部リード端子2a,2bに対して当該平面に垂直方向に力を加えることにより、弾性変形特性をもつ板状抵抗体3は、両端部リード端子2a,2bを通して曲げられて略逆U字形状を形成し、両端部リード端子2a,2bも図4に示すように下向きとなる。
【0020】
次に、逆U字形状の板状抵抗体3の中間部に下向きの力を加えることにより、逆U字形の湾曲上部を凹ませて、板状抵抗体3を略M字形状に変形させる。この変形の時点では、図4に示す視点から板状抵抗体3を正面から見たとき、略M字形状の板状抵抗体3は、図3(2)に示す厚さTのみが観察され、中間部リード端子2cの長手方向の向きは両端部リード端子2a,2bと直交している。なお、上記の説明において、板状抵抗体を略M字形状と称したが、M字の形状に限定されるものではなくて、逆U字形状に続くU字形状(又は凹部形状)、さらに続けて逆U字形状が連続した形状であればよい。すなわち、滑らかな凸部に続けて凹部、さらに滑らかな凸部が連続している形状であればよい。
【0021】
続いて、中間部リード端子2cを略90度回転させるように力を加えることにより(例.中間部リード端子2c自体を略90度曲げたり、又はリード端子2cの溶接点近傍の板状抵抗体3を略90度曲げること)、当該端子2cと接合した板状抵抗体3の部位に捻り部6を形成させる。捻り部6の形成によって、図4に示すように、中間部リード端子2cは、その長手方向の向きを両端部リード端子2a,2bと一致させる(図3(1)に示す直交状態から変位させて一致状態とする)。さらに、捻り部6では、板状抵抗体3が略90度捻られて、図4に示す視点からみたときに板状抵抗体の幅Wが観察されることになる。ここで、中間部リード端子2cと板状抵抗体3のスポット溶接の接合部はある程度の重なり寸法を保持しているので、中間部リード端子2cと一体的に板状抵抗体3の接合部に捻り部6が形成される。板状抵抗体3の中間部に強制的に捻り部6を形成することにより、捻り部6では滑らかなU字状を形成しないが、板状抵抗体3を折り返す曲がり部(図4の図示例で凹部)を形成していれば、本発明の実施形態の範疇に属することになる。
【0022】
図4に示す捻り部6は、図4の紙面垂直方向の長さが、捻り部6以外の板状抵抗体3の幅W(図3(1)に示す幅Wを参照)よりも短くなるので、図2(2)に示す絶縁性ケース1の収納空間4の厚さD(板状抵抗体3の幅Wに対応する寸法)に余裕をもって収納することができる。換言すると、板状抵抗体3の幅Wを基に予め設計された収納空間4の厚さDが、捻り部6を形成したがために厚さDを大きくするという変更の必要性は生じないものである。
【0023】
次に、本実施形態に関する両端部リード端子2a,2bと板状抵抗体3との接続態様について、図4と図2を参照しながら以下説明する。図4に示すように、両端部リード端子2a,2bは、捻り部6をもつ湾曲した板状抵抗体3の両端部の外側に接合される構造となっている。そして、両端部リード端子2a,2bは、元々、接続対象の基板の穿孔配置によってピッチが決まっている。一方、図2に示すように、絶縁性ケース1はその内部に収納空間4がU字状の形状をもって構成されている。
【0024】
そこで、抵抗器本体11を絶縁性ケース1の収納空間4に挿入して抵抗器10を製造する際に、絶縁性ケース1の内径(収納空間4の外径)に、両端部リード端子2a,2bが当接するように挿入することによって、両端部リード端子2a,2bを固定して配置することができるとともに、決められたピッチを確保することができる。上述したように、絶縁性ケース1の内径と両端部リード端子2a,2b間の間隔を一致させることで、両端部リード端子2a,2bの固定とピッチの確保を得るように、両端部リード端子2a,2bを板状抵抗体3の外側に接合する構造を採用している。
【0025】
次に、本発明の実施形態に係る板状抵抗体を有する抵抗器の他の構成例について、図5〜図7を用いて説明する。図5は板状抵抗体3の全体形態が略U字状を形成する構成例であり、図6は中間部リード端子2cが板状抵抗体の中央部から外れた部位で板状抵抗体3に接合する非対称型を示す構成例であり、図7は両端部リード端子2a,2bの変形例である。
【0026】
図5に示す構成例は、図4に示す板状抵抗体3の略M字形状の構成例に代えて、略U字形状とするものである。図5の捻り部6は板状抵抗体3の略中央部に設けられており、中間部リード端子2cが共通端子となって端部リード端子2aとの間で一の抵抗値を形成し、端部リード端子2bとの間で他の抵抗値を形成している(一の抵抗値と他の抵抗値は一致していてもよいし異なっていてもよい)。ここで、抵抗器として確保すべき抵抗値、金属板3の固有抵抗値、金属板3の湾曲形成並びに捻り部形成のしやすさ、等を勘案した結果、板状抵抗体3を図5に示す略U字形状にすることとなる。
【0027】
図6に示す構成例は、図4に示す板状抵抗体3の略M字形状の構成例に代えて、板状抵抗体3の全体形態を複数の略U字形状の連続体とする構成例であり、且つ中間部リード端子2cを接合する捻り部6が板状抵抗体3の中央部を外れた部位に配置される構成例である。図6に示す構成例は、単一の絶縁性ケース1に収納された抵抗器本体11が、異なる抵抗値をもつ2つの抵抗体から構成されていることを示している。図6の構成例で略U字形状の連続繋がり個数は、求める抵抗値の大小に対応する。
【0028】
図7に示す構成例は、絶縁性ケース1に収納される板状抵抗体3の形状が図4、図5又は図6に示す構成例であるか否かに関わらず、両端部リード端子2a,2bの形状がリード端子挿入阻止部12を有するものである。当該阻止部12は、直線状のリード端子2a,2bに膨らみ部を形成することで、抵抗器取り付け対象の基板穿孔への挿入範囲を規定する役割を果たすものである。
【0029】
次に、本実施形態に係る板状抵抗体を有する抵抗器の製造プロセスについて、図8を参照しながら説明する。ここでの説明は、本実施形態の特徴を主として述べることとし、抵抗器本体11の絶縁性ケース1への挿入並びに絶縁性充填物の装填に関するプロセスは汎用の技術を適用するものとする。
【0030】
ステップ1(S1)として、長尺の弾性変形特性をもつ帯状金属板(板状抵抗体)3を所望の抵抗値に対応して切断する。ここでは、中間部リード端子2cをもつツイン形状であって略M字形状の金属板からなる抵抗器について述べる。ステップ2(S2)として、切断した帯状金属板3を同一平面上に配して、図3に示すように、両端部リード端子2a,2bを帯状金属板3の長さ方向Lに沿って圧着固定させ、中間部リード端子2cを帯状金属板3の幅方向Wに沿って(2a,2bと2cとは同一平面で直交方向)圧着固定させ、3つの圧着部位をスポット溶接する。
【0031】
ステップ3(S3)として、中間部リード端子2cと両端部リード端子2a,2bの間の帯状金属板3をそれぞれ厚さ(T)方向に湾曲状に折り曲げてそれぞれ略逆U字形状とし、さらに、スポット溶接された中間部リード端子2cの接合部が図4の例で下に来るようにする。その際、両端部リード端子2a,2bは同一方向に向くようにし、図4の例では下向きとする。この時点で、中間部リード端子2cは両端部リード端子2a,2bと直交する向きである。
【0032】
ステップ4(S4)として、中間部リード端子2cを把持して略90度回転させることによって(図4の図示例では手前側に回転させる)、中間部リード端子2cと当該端子2cにスポット溶接された帯状金属板3の接合部も同様に略90度捻られて捻り部6を形成する。ここで、3つのリード端子2a,2b,2cはその向きを同一方向に揃えることができる。
【0033】
以上説明したように、本発明の特徴は、弾性変形可能な帯状金属板の両端部と中間部の3つの部位にリード端子をスポット溶接により接合し、帯状金属板を略M字形状に湾曲加工し、さらに、中間部リード端子を両端部リード端子と同一方向に引き出すことができるように、中間部リード端子の接合部を捻り加工することである。
【符号の説明】
【0034】
1 絶縁性ケース
2 リード端子
2a,2b 端部リード端子
2c 中間部リード端子
3 板状抵抗体(金属板)
4 収納空間
5 絶縁性充填物
6 捻り部(ヒネリ部)
10 抵抗器
11 抵抗器本体(板状抵抗体とリード端子からなるもの)
12 リード端子挿入阻止部
L 板状抵抗体(金属板)の長さ
W 板状抵抗体(金属板)の幅
T 板状抵抗体(金属板)の厚さ
D 絶縁ケースの収納空間厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状抵抗体と、前記板状抵抗体の両端部に取り付けられた両端部リード端子と、前記板状抵抗体の中間部に取り付けられた中間部リード端子と、前記板状抵抗体の全部とそれぞれのリード端子の一部とを収納する絶縁性ケースと、を備えた抵抗器であって、
前記両端部リード端子と前記中間部リード端子は、前記板状抵抗体にスポット溶接で取り付けられて接合部を形成し、
前記板状抵抗体は、略U字形状に曲げられた構造を有し、
前記中間部リード端子の接合部を形成している板状抵抗体は、その平面を略90度捻られた捻り部を有する
ことを特徴とする抵抗器。
【請求項2】
請求項1において、
前記絶縁性ケースの内側面に前記両端部リード端子が当接するように、板状抵抗体の両端部の外側に前記両端部リード端子が取り付けられる
ことを特徴とする抵抗器。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記板状抵抗体は、前記両端部からの略U字形状と、前記略U字形状同士を繋ぐ凹部形状と、からなり、
前記凹部形状が前記捻り部を形成する
ことを特徴とする抵抗器。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記板状抵抗体は、前記両端部に亘って略U字形状を形成し、
前記略U字形状の中間部に前記捻り部を形成する
ことを特徴とする抵抗器。
【請求項5】
請求項1または2において、
前記板状抵抗体は、その一端部から複数連続する略U字形状を形成し、その他端部から前記複数連続の数を異にする略U字形状を形成し、
前記中間部リード端子から前記一端部に取り付けられた一端部リード端子間の抵抗値と、前記中間部リード端子から前記他端部に取り付けられた他端部リード端子間の抵抗値と、を異にする
ことを特徴とする抵抗器。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つの請求項において、
前記両端部リード端子は、前記絶縁性ケースの外側に出ている部位において、基板への挿入阻止機能を果たすための凹部が設けられる
ことを特徴とする抵抗器。
【請求項7】
板状抵抗体と、前記板状抵抗体の両端部に取り付けられた両端部リード端子と、前記板状抵抗体の中間部に取り付けられた中間部リード端子と、前記板状抵抗体の全部とそれぞれのリード端子の一部とを収納する絶縁性ケースと、を備えた抵抗器の製造方法において、
前記板状抵抗体である長尺の弾性特性をもつ金属板を所望する抵抗値に応じた長さに切断するステップと、
前記切断した金属板を同一平面上に配置し、前記金属板の両端に当該金属板の長手方向に沿って前記両端部リード端子を圧着固定するとともに、前記金属板の中間部に当該金属板長手方向の垂直方向に前記中間部リード端子を圧着固定するステップと、
前記圧着固定した前記両端部リード端子と前記中間部リード端子を順次又は同時にスポット溶接するステップと、
前記金属板の一端部から前記金属板の中間部を経て前記金属板の他端部に亘って、前記金属板の平面を曲げることによって略U字形状、略凹部形状、略U字形状を形成するステップと、
前記略凹部形状の金属板にスポット溶接された中間部リード端子、又は前記略凹部形状の金属板を把持して略90度回転させ、前記金属板の中間部に捻り部を形成することで、前記両端部リード端子と前記中間部リード端子の向きを同一方向に揃えるステップと、
前記捻り部及び両略U字形状をもつ金属板と、向きの揃った各リード端子とを前記絶縁性ケースに収納するステップと、を備えた
板状抵抗体を有する抵抗器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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