説明

枕カバー固定装置

【課題】ベッドが傾斜しても枕がずり落ちないようにする。
【解決手段】ベッドの頭部側縁部に、弾力性を有する側面略コ字形の左右屈曲板2及び左右屈曲板の間に介装した上下連繋板5からなる保持具1を臨ませ、前記屈曲板2の上部片に枕カバーの下面に設けた帯状ポケットを嵌合するとともに枕カバーを引っ掛け具を介して連繋板5に連結固定し、しかして枕カバー側面に枕の出し入れをする開閉口を形成し、該開閉口から枕を挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院・介護施設等のベッド上に置かれている枕がずり落ちたりむやみに移動することがなく、取替えも容易な枕カバー固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院・介護施設などのベッドは、患者や入所者の立ち上がりを容易にするだけでなく、ベッド上で食事や読書をしたり人と会話ができるように自動で傾斜角度を変えられるようになっているが、水平状態で置かれている枕は固定されているわけではないためベッドが傾くと腰のあたりまでずり落ちてしまうことがあり、ベッド上の患者はその都度枕を引き上げるという面倒な手間を要している。ずり落ちないようにするためには枕をベッドに縫い付けるなどして固定すればよいが、枕が汚れるとその度に交換する必要があるので、枕が固定してあると取りはずすのに時間がかかって不便この上ないものである。人によっては同じ枕を使い続けることに抵抗を感じる場合もあり、したがって枕は簡単に取り外し交換ができるようにしておかなければならないことも当然といえる。また病院等の施設だけでなく最近は家庭でも傾斜角度の調節ができるベッドが普及しており、ずり落ちだけでなく枕が就寝中に移動をすることにより安眠できなくなるといった不都合も、まま経験するところである。
【先行技術文献】
【0003】
それゆえベッドが傾いてもいたずらに移動したりずり落ちしないだけでなく交換も容易にできる枕が期待されるところであり、その解決のための技術もわずかながら存在する(例えば特許文献1参照)。
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−84752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
病院などのベッドマット(以下単にベッド)はあらかじめ所定の形どおりに製作されたものであり、患者に負担をかけない構造を有していることは当然であって、枕がずり落ちるからといって後からベッド上に穴を開けるような細工を施すことはできない。また特許文献1にみられるように頭が直接当たるカバー布の表面にサイドベルトのような別体のものを取り付けることはかえって就寝の妨げになるものである。すなわち枕に取り外しが容易な固定手段を設けることは必要でありながら現状のままであり、そのため通常は図5のように傾動自在としたベッド20には頭部側に枕21が単に置かれているにすぎず、このためベッド20が傾いて患者22の上体が起き上がって枕21と頭との間に隙間ができると、枕21は元の位置から落下して腰のあたりに沈んでしまい患者22は自分の手で引き上げるか、その都度介護人などが手助けしなければならないといった不都合が生じている。また水平に置かれていても就寝中に体が動いて枕が移動すると安眠できなくなるといったことは誰もが経験するところである。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、枕の取り外しが簡単にできることはもちろん、ベッドが傾いても枕がずり落ちる心配がなく、就寝中も枕が正しい位置にあり、しかも取り外し取り付けが容易で簡単に洗濯ができ、既存のベッドに広く実施できる枕のずり落ち防止に適する枕カバー固定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために本発明は、ベッドの頭部側縁部に、弾力性を有する側面略コ字形の左右屈曲板及び左右屈曲板の間に介装した上下部連繋板からなる保持具を臨ませ、前記屈曲板の上部片に枕カバーの下面に設けた帯状ポケットを嵌合するとともに枕カバーを引っ掛け具を介して上部連繋板に連結固定し、しかして枕カバー側面に枕の出し入れをする開閉口を形成することを主旨とする。
【0008】
上記屈曲板が上部片と下部片の別体で構成され、双方の垂直面を重ね合わせて一方及び/又は双方に長孔を形成し、平面視コ字形のワッシャを端面に被装し相互をねじ止めして上部片と下部片の高さ調節をすることを特徴とする。
【0009】
枕カバー内に氷枕を収納するスペースを設けて随時患者の頭部を冷やすことができることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
屈曲板は弾力性を有し、布団バサミの要領でベッド縁部に係合するため簡単には脱出しないが、引き抜くときにはベッドから容易に取り外しできる。そして屈曲板の上部片に枕カバー下面の帯状ポケットが嵌合して固定されるため枕カバー内部の枕も当然ながら妄動することがない。食事時などでベッドの頭部側を立ち上がらせても枕は保持具によって固定されているためずり落ちる心配はなく、枕に頭をあてがった上体はそのままの姿勢を保つことができ、また枕は妄動せず定位置にあるため睡眠が妨げられるといった恐れはない。
【0011】
枕は開閉口から出し入れできるため固さの異なるものの交換などは簡単にでき、また枕カバーは保持具との着脱が容易であるから汚れたときには取り外して洗濯すれば絶えず清潔な状態で使用でき、枕カバー内の枕が汚れることもないため衛生上頗る効果的である。
【0012】
屈曲板の上部片と下部片の高さ幅調節をすればベッドの厚みに応じた取付がなされるため家庭用のマット・布団などにも応用でき、病院等の施設にとどまらない汎用性を備える。
【0013】
枕カバー内に別のスペースを設けると氷枕を取り付けるにも都合がよく、このため高熱を発したときには迅速に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】保持具の概略図である。
【図2】枕カバーと保持具の説明図である。
【図3】ベッドに取り付けた保持具上に枕を固定した説明図である。
【図4】ベッドを傾斜させた使用状態の説明図である。
【図5】従来例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面に沿って本発明の形態を説明すると、図1は左右に屈曲板2を備えた合成樹脂製(ABS材)の保持具を示したもので、左右の屈曲板2は側面略コ字形で弾力性を有し上部片3が長く、下部片4が短く形成され、下部片4の先端部を上向きに傾斜形成してある。そして左右屈曲板2の間には、上下部に連繋板5が介装してあるため保持具1は平面視もほぼコ字形となる。因みに上部片3は250mm、下部片4は147mm、上部片3と下部片4の間隔を103mmにとると片方の屈曲体2の長さは500mm丁度となる。なお上部片3と下部片4は図示のように別体に形成し、双方の垂直面Mを重ね合わせて双方に長孔Nを穿ち、その箇所に平面視コ字形のワッシャWを被装してねじ止めKすると上部片3と下部片4の高さ幅調節ができ、このときコ字形ワッシャWによって垂直面Mの両側が抑止されて正しく密接する。
【0016】
図2は前記保持具1と枕カバー6(枕は不図示)を示したもので、枕カバー6の下面左右には前記屈曲板2の上部片3と係合する帯状ポケット7が縫着してあり、このポケット7の開口側を上部片3の端部より嵌合することで保持具1に枕カバー6が取り付けられる。また枕カバー6の側面には枕の出し入れをするための開閉口8を形成し、ホック8aを着脱することで開閉操作がなされる。なお枕カバー6には当然ながら枕に応じて大小があるため保持具1も大小のものを用意し、またホック8a以外にも開閉口8に面ファスナなどを取り付けるようにしても良い。因みに介護用の枕には幅が40cm、45cm、50cmの3種類があり、夫々の幅の大きさに対応して、奥行き・高さなどもサイズが決められている。
【0017】
枕カバー6には当然ながら通常の枕を収納するが、患者が発熱した場合は氷枕を収納できるように、そのためのスペースSを設けて上部をタオル地とすれば緊急時にすこぶる役立つことこの上ない。しかして符号9は枕カバー6の端部2箇所に付設した引っ掛け具であり、上部連繋板5に先端部を掛け止めすると枕カバー6が保持具1に確固として連結固定される。図では上部連繋板5の2箇所に掛け止めできるようになっているが、引っ掛け具9の個数・大きさ・形状などは任意事項であり、たとえば枕カバー6の下面を長めに形成して上部連繋板5に巻き付け、その箇所を面ファスナで止着するなどしてもよい。
【0018】
図3はベッド10に取り付けた保持具1上に枕カバー6を固定した例を示したもので、保持具1はベッド10の縁部11に取り付けてあり、前記した上・下部片3・4がベッド10に密着するためその弾力性と相まって保持具1は固定されるが、ベッドの縁部11に応じて前述のとおり屈曲板2の高さ幅調節をすれば取付は不動状となる。病院等の施設によってベッドの厚みに相違があることも当然であるが、屈曲板2の高さ幅調節が可能であればそれらにも対応でき更には家庭用のベッド等にも利用ができる。枕カバー6は屈曲板2の上部片3に帯状ポケット7が係合しているのでそれだけでも保持具1から容易に脱出はしないが、更に引っ掛け具9を介して連繋板5と結合するため患者の動きやベッド10が傾動しても固定状態を維持する。そして枕カバー6は連繋板5より引っ掛け具9を外し、屈曲板2から帯状ポケット7を引き抜くだけの操作で保持具1から簡単に取り外せるため、汚れたときには速やかに洗濯できて常に清潔な枕カバーを患者等に提供できるとともに枕の汚れも可及的回避できるため衛生上もコスト的にも本発明の使用価値は大きいといえる。
【0019】
保持具1に固定された枕カバー6は図4に示したとおり、ベッド10を傾斜させてもずり落ちることがなく、例え患者の頭が枕から離れても重みで落下することはない。そして再びベッド10が元の水平位置に戻っても枕カバー6はいつも同じ位置、つまりベッド10の頭部側中央に位置しており、従来のように横にずれた枕を元に戻すといった手間を要しないですむ。患者によっては枕を元に戻すことすらままならない症状の者もおり、この点本発明により枕が常に同じ位置に固定されていれば無用の心配をしないですむ。また枕が常に定位置にあれば、通常のマット・布団であっても健常人が枕の移動によって睡眠が妨げられるといった不都合も生じないため安眠するのにも好適する。
【0020】
上記した実施の形態は本発明の一例を示したものであり、保持具1における屈曲板2、連繋板5、引っ掛け具9、枕カバー6などの形状・材質及び本発明の目的効果を奏する範囲における変形・付加事項などは本発明の実施の範疇に属する。
【符号の説明】
【0021】
1 保持具
2 屈曲板
3 上部片
4 下部片
5 上下部連繋板
6 枕カバー
7 帯状ポケット
8 開閉口
9 引っ掛け具
10 ベッド
11 縁部
M 垂直面
N 長孔
W ワッシャ
K ねじ止め
S スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドの頭部側縁部に、弾力性を有する側面略コ字形の左右屈曲板及び左右屈曲板の間に介装した上下連繋板からなる保持具を臨ませ、前記屈曲板の上部片に枕カバーの下面に設けた帯状ポケットを嵌合するとともに枕カバーを引っ掛け具を介して連繋板に連結固定し、しかして枕カバー側面に枕の出し入れをする開閉口を形成することを特徴とする枕カバー固定装置。
【請求項2】
屈曲板が上部片と下部片の別体で構成され、双方の垂直面を重ね合わせて一方及び/又は双方に長孔を形成し、平面視コ字形のワッシャを端面に被装し相互をねじ止めして上部片と下部片の高さ幅調節をすることを特徴とする請求項1記載の枕カバー固定装置。
【請求項3】
枕カバー内に氷枕を収納するスペースを設けて随時患者の頭部を冷やすことを可能とする請求項1又は2記載の枕カバー固定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−571(P2013−571A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150405(P2011−150405)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(506379817)株式会社ノーブルライフ (3)