果樹覆いシート及び果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウス
【課題】果実への収穫間際の降雨を回避し、風の逃げ道を設けて強風によるハウスの吹き飛びを防止する。
【解決手段】天井シート部2を中心とし、開閉シート3を具備した窓シート部4、雨除けシート部5、空気導入シート部6を左右対称になるように横方向に一体的に連設し、1列の果樹群を包み込み可能な面積を有する平視矩形状を呈するように形成されている。天井シート部2、開閉シート3及び雨除けシート部5は通気性及び雨除け機能を有するシートよりなる。窓シート部4と空気導入シート部6は通水性及び天井シート部2よりは通気性の高いシートよりなる。開閉シート3は窓シート部4の全面を被覆可能に設けている。
【解決手段】天井シート部2を中心とし、開閉シート3を具備した窓シート部4、雨除けシート部5、空気導入シート部6を左右対称になるように横方向に一体的に連設し、1列の果樹群を包み込み可能な面積を有する平視矩形状を呈するように形成されている。天井シート部2、開閉シート3及び雨除けシート部5は通気性及び雨除け機能を有するシートよりなる。窓シート部4と空気導入シート部6は通水性及び天井シート部2よりは通気性の高いシートよりなる。開閉シート3は窓シート部4の全面を被覆可能に設けている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、柑橘類、桃、梨、林檎等の列状に栽培された果樹、その他の各種果樹の露地栽培において、果実に雨が降り掛かることなく通気性を良好にして内部温度の異常な上昇を回避すると共に、強風によりハウスが破損することのない安定的に果樹を覆うことが可能な果樹覆いシート及び果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、温州みかん、伊予柑、不知火、清見タンゴール、タロッコ等の柑橘栽培において雨害、虫害、鳥獣害、褪色等の防止、成長促進、糖度調整等のためにハウス栽培が行われている。この種のハウスは特許文献1〜3に示すような柱や梁及び屋根を有する一定形状のものを使用することが一般的である。特許文献1〜3に記載されているハウスは、柱を必要とし組立及び解体作業に手間を要し、高コスト化により果樹生産業者の経営を圧迫しているという問題点があった。そこで本願発明者は1枚のシートを幅方向中央部は通気性及び雨除け機能を有する透明な網状シートとし、両側部は中央部の網状シートよりは通気性があり且つ遮光性を有する網状シートとし、横幅方向中央部と両側部を機能別に区分けした果樹覆いシートを用いて果樹群の側方に側視トラス状にロープを張設し、前後方も打ち合わせて1枚のシートで果樹群を内側にひとまとめにして配設するようにした果樹簡易ハウスを発明し、特願2009−282174号として特許出願した。
特願2009−282174号に開示の発明は、上部に中心部に窪み部を具備した突起(通称:デコ)を有する不知火に用いた場合、側面シート部から雨水が果実に直接降り掛かり果実の突起の窪み部(デコの窪み部)に雨水が貯留する。不知火は、突起の窪み部の中心に枝との接続部を有して果実が枝にぶら下がっているという構造であり、突起窪み部への雨水の貯留により枝と果実との接続部強度が短期に著しく低下し、収穫間際の果実が落下し、商品化できないという問題点があった。特に、晩柑類は収穫時期の2月が雨量の多い時期となるため被害は大きい。
【特許文献1】特開2009−144368号公報
【特許文献2】特開2003−9674号公報
【特許文献3】実開平6−86441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創案されたものであって、天井シート部と果実の生る範囲には通気性及び雨除け機能を有するシートを用いて果実への降雨を回避し、果実の生らない下部から地表面の所定位置に亘る範囲には高通気性及び通水性を具備するシートを用い、前記果実の生る範囲に設けた通気性及び雨除け機能を有するシートの上部には排気機能を持たせるために窓シート部を設け、該窓シート部からの降雨の通過を回避すると共に下部から入り込み地表面で反射して進路が上向きになった空気の逃げ道を設けるために雨除け機能を有する開閉シートを窓シート部に被覆自在に取り付けた果樹覆いシート及び果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、収穫間際の果実を雨害、鳥害から守るために列状に栽培された果樹群をひとまとめにして内側に配設して覆うと共に、収穫間際の果実を虫害から守るために地表面とシートの間に隙間を有しないようにシートの左右両端部所定横幅分が接地し地表面を覆って1列の果樹群全体を被覆可能な大きさを有する果樹覆いシートにおいて、天井シート部を中心とし、左右両側には開閉シートを具備した窓シート部と、雨除けシート部と、空気導入シート部を略左右対称に区画配設され、天井シート部、窓シート部、雨除けシート部及び空気導入シート部は夫々所定横幅を有し前後方向に延びる同幅帯状に形成され、天井シート部は1列の果樹群の頂部を被覆可能な所定横幅を有した通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、窓シート部は通水性及び天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果樹の上部左右側方に位置するよう設けられ、窓シート部の天井シート部側から窓シート部全面を被覆可能に天井シート部の左右両端縁に開閉シートを取り付け、該開閉シートは通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、雨除けシート部は通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果樹側方に於いて果実の生っている範囲を覆うことが可能な横幅を有し、空気導入シート部は通水性及び前記天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果実の生っていない部分に対応する位置からシートの左右両端縁に亘り配設され、空気導入シート部から果樹覆いシートの内側に入り込み暖められ上昇した空気が、シート部の内側から開閉シートを開き、窓シート部から外部に排気されるようにしたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、収穫間際の果実を雨害、鳥害から守るために列状に栽培された果樹群をひとまとめにして内側に配設して覆うと共に、収穫間際の果実を虫害から守るために地表面とシートの間に隙間を有しないようにシートの左右両端部所定横幅分が接地し地表面を覆って1列の果樹群全体を被覆可能な大きさを有する果樹覆いシートにおいて、天井シート部を中心とし、左右両側には雨除けシート部と、空気導入シート部を略左右対称に区画配設され、天井シート部、雨除けシート部及び空気導入シート部は夫々所定横幅を有し前後方向に延びる同幅帯状に形成され、天井シート部は1列の果樹群の頂部を被覆可能な所定横幅を有した通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、雨除けシート部は通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果樹の側方に於いて果実の生っている範囲を覆うことが可能な横幅を有し、雨除けシート部のうち天井シート部側には通水性及び天井シート部よりは高通気性機能を具備する窓シート部が前後方向に所定間隔離隔して設けられ、窓シート部の天井シート部側から窓シート部全面を被覆可能に天井シート部の左右両端縁に開閉シートが取り付けられ、該開閉シートは通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、空気導入シート部は通水性及び天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果実の生っていない部分に対応する位置からシートの左右両端縁に亘り配設され、空気導入シート部から果樹覆いシートの内側に入り込み暖められ上昇した空気が、窓シート部の内側から開閉シートを開き、窓シート部から外部に排気されるようにしたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、収穫間際の果実を雨害、鳥害から守るために列状に栽培された果樹群をひとまとめにして内側に配設して覆うと共に、収穫間際の果実を虫害から守るために地表面とシートの間に隙間を有しないようにシートの左右両端部所定横幅分が接地し地表面を覆って1列の果樹群全体を被覆可能な大きさを有する果樹覆いシートにおいて、天井シート部を中心とし、左右両側に空気導入シート部を区画配設され、天井シート部及び空気導入シート部は夫々所定横幅を有し前後方向に延びる同幅帯状に形成され、天井シート部は1列の果樹群の頂部を被覆可能な所定横幅を有した通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、空気導入シート部は通水性及び前記天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果実の生っている部分に対応する位置からシートの左右両端縁に亘り配設され、果実の生っている範囲には天井シート部から連続する開閉シートが空気導入シート上面を被覆可能に設けられ、開閉シートは通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、空気導入シート部のうち前記開閉シートで被覆されていない部分から果樹覆いシートの内側に入り込み暖められ上昇した空気が、空気導入シート部の内側から開閉シートを開き、外部に排気されるようにしたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、上記請求項1、2又は3の何れかに記載の果樹覆いシートと、アンカー杭と、ワイヤーロープ、ブレーカーロープ、S状フック及びロープとよりなる果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスであって、地面に於いて1列の果樹群を囲む位置に沿ってアンカー杭を所定間隔離隔すると共にアンカー杭の頭部を地表面から突出させて設け、アンカー杭の頭部間にはワイヤーロープが張設され、1列の果樹群を囲む位置に対応する地表面上にワイヤーロープで枠が設けられ、該枠には前後果樹間に於ける左右対向する位置に下側S状フックが夫々取り付けられ、果樹覆いシートの天井シート部の左右両端縁には長さ方向に所定距離離隔して上側S状フックが取り付けられ、ロープは、1列の果樹群の長さ方向に沿ってワイヤーロープ、アンカー杭、上側S状フックにジグザグに架け渡して側視トラス状に取り付けられ、左右側方の側視トラス状に張設されたロープの外側には天井シート部の左右両側方に連設されるシート部を垂下し、1列の果樹群の左右側方を夫々ロープを介在して覆い、シート部の左右側端縁は地表面に重合当接し、天井シート部の左右側方に連設されたシート部の前端部と後端部は、1列の果樹群の前方と後方に於いて夫々打ち合わせて1列の果樹群の前方と後方を夫々被覆閉塞し、空気導入シート部が強風により捲れ上がり鳥が侵入することを防止するために、1列の果樹群のうち前後果樹間には左右対となる下側S状フック間にブレーカーロープを架け渡したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本願発明は、1枚のシートとロープ及びフック等、部品点数が少なく、極めて簡単な作業で側面を有する果樹栽培用簡易ハウスを組立可能であるため、低コスト化及びハウスの軽量化が可能であるという効果がある。又、1枚のシートで列状果樹群の周囲の地表面から列状果樹群全体をひとまとめにして包み込むように被覆するので、ハウスの組立及び取り外し作業が極めて簡便で作業性が向上し、収穫済みの果樹群から取り外した果樹栽培用簡易ハウスの部品を収穫期が近付いた果樹に再構築して再利用に供することが可能で経済性を有するという効果がある。
開閉シートを通水性機能を有する窓シート部の上面に重合して閉窓したり、窓シート部から離隔することで開窓する構成であるので、降雨の際には雨水の下方向への力の作用で開閉シートは窓シート部に重合して閉じ、果実へ雨水を降りかからすことがないという効果がある。
強風により、シート下部の通水性及び高通気性機能を有するシート配設範囲から果樹栽培用簡易ハウス内に吹き込み、地表面に衝突し反射して運動方向が上向きになった空気(風)は、その風力により開閉シートを窓シート部外面から離し、窓シート部から排気されるので、強風で果樹栽培用簡易ハウスが吹き飛ばされたり破損することが生じないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
1枚のシートを天井シート部を中心に左右側方に機能の異なるシート部を帯状に区画配設し、天井シート部と果実の生る範囲には降雨を回避するために通気性及び雨除け機能を有するシートを用い、果実の生らない下部から地表面に亘る範囲には高通気性及び通水性を具備するシートを用い、果実の生る範囲に設けたシート部の上部には風の逃げ道として排気機能を持たせるために通水性機能を有するシート部に雨除け機能を具備する開閉シートを備えることで、降雨時に果実に雨が掛からず果実が落下しないことを実現した。又、シート下部から入り込み地表面で反射してハウス内で空気の運動の向きが斜め上方向になった風の逃げ道を窓シート部とすることで、強風時には風力により開窓し、平常時には閉窓して果実に降雨しないようにし、強風によっても吹き飛ばされることなく果樹栽培用簡易ハウスが安定的に設置されることを実現した。
【実施例1】
【0007】
図1〜図9に示される実施例1について説明する。
果樹覆いシート1は、所定横幅を有し前後方向に長い帯状の天井シート部2を中心とし天井シート部2の左右側方に、開閉シート3、3を具備した幅狭な帯状の窓シート部4、4、帯状の雨除けシート部5、5、帯状の空気導入シート部6、6を左右対称になるように横方向に一体的に連設し、1列の果樹群を包み込み可能な面積を有する平視矩形状を呈するように形成されている。天井シート部2、窓シート部4、雨除けシート部5及び空気導入シート部6は前後方向長さが同一長に設定されている。詳しくは、天井シート部2を中心として天井シート部2の左右外側端縁に開閉シート3、3を具備した窓シート部4、4を、窓シート部4、4の外側端縁には雨除けシート部5、5を、雨除けシート部5、5の外側端縁には空気導入シート部6、6を順次連設し、天井シート部2の横幅方向中心線を中心とし左右対称に窓シート部4、雨除けシート部5及び空気導入シート部6を配設して1枚の矩形状果樹覆いシート1を形成し、1列の果樹群を内側にして包み込んだ場合、左右両側縁部が少なくとも30cm以上は地面に這わせていることが鳥の侵入防止の観点より好適である。天井シート部2、開閉シート3、窓シート部4、雨除けシート部5及び空気導入シート部6を一体的に連設する手段は、縫着若しくは熱融着等の何れの手段を用いてもよい。
【0008】
果樹覆いシート1の横方向中央部に配設される天井シート部2は、果樹7の平面から視た枝葉を含む直径よりも僅かに長い横幅を有し、1列の果樹群のうち最前位置の果樹7と最後位置の果樹7の前後地表面を被覆する長さを有する帯状に形成されている。天井シート部2は、通気性及び雨除け機能を有する必要がある。天井シート部2に雨除け機能を必要とするのは、不知火等の果樹は、枝と果実の接続部である頭頂窪み部に雨水が溜まると、接続部の接続強度が低下し、果実が落下して収穫できなくなるため、果実への降雨を回避する必要性があるという理由による。図2に示すように、天井シート部2は耐水性、耐薬品性、高耐久性を有する透明なポリエチレン等の合成樹脂製の扁平テープ状ヤーンを経糸8と緯糸9に使用し、経糸8と緯糸9を交錯させて平織りを織成し、経糸8と緯糸9の交差部を熱溶着したものを使用することが、通気性及び雨除け機能を発揮する観点より好適である。具体的には、横幅が3〜15mm程度のテープ状ヤーンを使用し隣り合う糸間隔を0.5〜5.0mm程度にした平織りに織成されたものの交差部を熱溶着することが考えられる。合成樹脂製の扁平なテープ状ヤーンよりなる経糸8と緯糸9の交差部は熱溶着しないものであってもよい。交差部を熱溶着しないものについては、横幅が1〜10mm程度の糸を使用し、糸間隔を0.1〜3.0mm程度の高密度の平織りに織成したもの使用するとよい。天井シート部2は熱溶着して全体としてフィルム化したものの方が、果樹群に果樹覆いシート1を被覆作業中に天井シート部2の織目が部分的に拡開したりすることが無く、形状保持能力が高いため取り扱い易く、果樹群への被覆作業性が良好で、且つ通気性及び雨除け機能の双方を有するため好適である。天井シート部2は合成樹脂製の扁平なテープ状ヤーンを平織りしたシートに限定するものではなく、通気性及び雨除け機能を有するものであれば足り、使用する果樹7に応じて着色をしたものであってもよい。
【0009】
窓シート部4は通水性及び前記天井シート部2よりは通気性の高いこと必要とし、用途に応じた形状のネットよりなる。窓シート部4は、主としてポリエチレン等の耐薬品性及び高耐久性を有する材料を用いてなり、ネットの形状、材料及び網目の目合は用途により適宜異なる。窓シート部4に用いるネットとしては、図3に示すように、経方向に連続する鎖編みの編目列10に挿入糸11として架け渡して経編した網状編地を用いる。窓シート部4の通気性の調整は、編目列10、10間に架け渡し隣り合う挿入糸11、11間の密度を調整することや、編地の形状を変化させることで行う。窓シート部4の遮光性の調整は、向かい合う編目列10、10間に架け渡し隣り合う挿入糸11、11間の密度の調整や挿入糸11として使用するヤーンの着色を調整することで行う。窓シート部4に遮光性及び遮熱性を有させるには、網状編み地に使用するヤーンの色を灰色、白色或はアルミ蒸着加工等により表面を銀色にしたり、或は挿入糸11、11の間の隙間の大小の調整により行う。
【0010】
開閉シート3は通気性及び雨除け機能を具備した材質のシートよりなり、窓シート部4の全面を被覆可能に設けている。開閉シート3は、閉状態では開閉シート3の外端縁が、窓シート部4の左右外端縁よりも左右外側方に位置して窓シート部4の表面全面を被覆可能に、横幅が窓シート部4よりも開閉シート3の方が広く形成されている。実施例1では、図1に示すように、窓シート部4の表面側のうち天井シート部2側の端縁部を、天井シート部2の裏面側に重合し、この重合部に天井シート部2の前後端縁と90度の角度を有して左右方向に僅かばかり離隔し前後方向に延びる互いに平行な位置関係の2条の接着部12、12を設け、2条の接着部12、12間をロープ挿通部13と成している。図4に示すように、実施例1では接着部12は、窓シート部4と天井シート部2を接着剤14を使用して一体的に接着しているが、本願発明は接着手段に接着剤14を用いることに限定しない。ヒートシール等の手段により窓シート部4と天井シート部2を連設することも本願発明に包含される。天井シート部2を構成するシートは、天井シート部2の左右両側端縁から左右外側方に連続的に延設し、ロープ挿通部13よりも外側方部分を開閉シート3と成している。ロープ挿通部13にはS状フック取付用ロープ15が挿通取着されている。
【0011】
雨除けシート部5は果樹7の果実の生っている範囲を覆うことが可能な横幅を有して、窓シート部4、4の左右外端縁に連続的に設けられている。雨除けシート部5は、天井シート部2と同様に通気性及び雨除け機能を具備した材質よりなり、例えば耐水性、耐薬品性、高耐久性を有する透明なポリエチレン等の合成樹脂製の扁平テープ状ヤーンを、図2に示すように経糸8と緯糸9に使用し、経糸8と緯糸9を交錯させて平織りを織成し、経糸8と緯糸9の交差部を熱溶着したものを使用することが、通気性及び雨除け機能を発揮する観点より好適である。
【0012】
空気導入シート部6は、1列の果樹群に使用した場合、果実の生っていない果樹7の下部から接地部に約30cmを加えた長さの横幅を有して果樹覆いシート1の最外側部に配設されている。空気導入シート部6は、通水性及び天井シート部2よりは通気性の高いシートよりなり、主としてポリエチレン等の耐薬品性及び高耐久性を有する材料を用いてなり通水性を有する目合いのネットよりなる。例えば、図3に示すように、経方向に連続する鎖編みの編目列10に挿入糸11として架け渡して経編した網状編地を用いる。空気導入シート部6の通気性の調整は、編目列10、10間に架け渡し隣り合う挿入糸11、11間の密度を調整することや、編地の形状を変化させることで行う。
【0013】
次に、果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスについて説明する。
1列の果樹群の左右側方地面には、果樹列方向に沿って所定間隔離隔し、且つアンカー杭16の頭部を地表面から5cm程度浮かせて地中に打ち込まれている。ワイヤーロープ17のアンカー杭16頭部への係脱作業を簡便に行うためである。隣り合うアンカー杭16の頭部には、ワイヤーロープ17が順次巻着されて連結張設され、1列の果樹群の周囲を囲むように地表面上にワイヤーロープ17で枠を形成している。S状フック取付用ロープ15には長さ方向に沿って所定間隔離隔して上側S状フック18が着脱可能に吊設されている。上側S状フック18は、図4及び図5に示すように、1本のワイヤの両端から同一位置で互いに相反する方向に彎曲され、該彎曲部がフックとしての作用をなすように形成されている。
図6に示すように、天井シート部2のロープ挿通部13を折目とし、天井シート部2の左右両側方のシート部を天井シート部2の上面に折り畳み、この折り畳んだ果樹覆いシート1を、1列の果樹群の頭頂部に天井シート部2の裏面が当接するように載置する。ロープ19の両端は、1列の果樹群の最前部に位置するアンカー杭16と最後部に位置するアンカー杭16に夫々巻着され、ロープ19の中途部分は上側S状フック18とワイヤーロープ17との間に掛けられて、側視が上下にジグザグのトラス状を呈するようにしている。窓シート部4、雨除けシート部5及び空気導入シート部6は、側視トラス状に架け渡されたロープ19を介在して1列の果樹群の左右側方へ垂下し、窓シート部4、雨除けシート部5及び空気導入シート部6で側視トラス状に架け渡されたロープ19の外側を覆う。空気導入シート部6の左右両端部は、ワイヤーロープ17に留め具20で取り付ける。空気導入シート部6の左右両端部は、地表面と当接した位置から30cm程度以上の長さ分が地面を這っていることが好適である。空気導入シート部6の左右両端部の接地長さが30cm程度以上であれば、害鳥や害獣或は害虫が空気導入シート部6と地表面との間から果樹栽培用簡易ハウス内に侵入不可能なためである。
1列の果樹群の前後方に於いては、雨除けシート部5及び空気導入シート部6の対向端部を夫々打ち合わせて重合し、該重合部を留め具20で夫々留めることで1列の果樹群の前方及び後方を被覆閉塞している。
又、ワイヤーロープ17よりなる枠には、1列の果樹群のうち前後果樹7、7間に対応する左右対向する位置に下側S状フック21の一端を取り付ける。下側S状フック21の他端は、ネット製空気導入シート部6の編目を貫通させ、空気導入シート部6の下面側から上面側に引き出される。引き出された下側S状フック21の対向他端間には1列の果樹群のうち前後果樹7、7間に於いてブレーカーロープ22を架け渡して果樹覆いシート1を上方から押え、果樹栽培用簡易ハウスが強風によっても吹き飛ばないようにする。
【0014】
上記構成の果樹覆いシート1を具備した果樹栽培用簡易ハウスは、1列の果樹群の上方を雨除け機能を有する天井シート部2で覆い、側方を雨除け機能を具備する雨除けシート部5及び空気導入シート部6とで覆い、雨除けシート部5の天井シート部2側には開閉シート3を具備した窓シート部4を設けている。そのため、雨は天井シート部2から開閉シート3、雨除けシート部5を伝って流れ、空気導入シート部6の編目より地面に落下し、果樹7へは直接雨水が掛からない。果樹7の根元近傍の地中の水分供給量は少なく、果実が高糖度となり美味で果実が大玉にならず美観を呈し、且つ、果実が激しい降雨や雹等により落下したり表皮に傷を形成する事態が生じないという効果がある。特に、不知火等の晩柑類は降雨量が多くなる2月以降が収穫期であるので、本願果樹栽培用簡易ハウスを使用すると、高糖度で無傷の優良な果実が収穫最適時まで落下することなく健康状態で枝にぶら下がっているため上級品を大量収穫可能であるという効果がある。
又、図9に示すように、空気導入シート部6からハウス内に入り込み地面に衝突して反射し斜め上方向に進路を変えた風は、ハウスの内側から開閉シート3を窓シート部4から浮き上らせ窓シート部4より外部へ逃げる。窓シート部4から風を効率よく外部に逃がすため、ハウスが強風により吹き飛ばされたり、破損することがない。加えて、側視トラス状に取り付けられたロープ19と留め具20、開閉シート3による窓シート部4の開窓、及びブレーカーロープ22による果樹覆いシート1の上方からの押さえ込みにより、超強風によっても果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスは吹き飛ばされないという効果がある。
果樹覆いシート1を長さ方向に別の果樹覆いシート1を連結していくことて、長い列状果樹群にも使用できる。通常は1つの果樹農園内で数種類の収穫時期の異なる果樹を栽培しているが、収穫期が徒過した果樹群から果樹覆いシート1を取り除き、ワイヤーロープ17からなる枠のみをそのまま地面に放置し、収穫期に入っていない他の果樹群の周囲に新たに別のワイヤーロープ17で枠を形成し収穫期が徒過した果樹群から取り除いた使用済みの果樹覆いシート1を再使用することができる。つまり、ワイヤーロープ17よりなる枠のみを地面に設けていれば、果樹覆いシート1を何度も使用することができる。
【実施例2】
【0015】
図10に示される実施例2について説明する。説明を簡単にするために、図1〜図9と同様の作用をなす部分は同一符号を用いて説明する。通気性及び雨除け機能を具備する天井シート部2は、ロープ挿通部13を介して左右外側方に雨除けシート部23を連続的に設けている。雨除けシート部23は天井シート部2の左右両端縁から使用する果樹のうち果実の生っている範囲に亘り覆う横幅を有する前後方向に長い帯状に形成されている。雨除けシート部23のうち天井シート部2側には所定横幅を有する開口部を、雨除けシート部23の長さ方向に所定間隔を有して離隔して開設している。これら開口部には通水性及び天井シート部2よりは通気性の高いネット状シートを張設して窓シート部24を形成している。窓シート部24に張設するネット状シートは、主としてポリエチレン等の耐薬品性及び高耐久性を有する材料を用いてなり、図3に示すように、経方向に連続する鎖編みの編目列10に挿入糸11として架け渡して経編した網状編地を用いることが考えられる。開閉シート3は通気性及び雨除け機能を具備した材質のシートよりなり、窓シート部24の全面を被覆可能に設けている。開閉シート3は、閉状態では開閉シート3の外端縁が、窓シート部24の左右外端縁よりも左右外側方に位置して窓シート部24の表面全面を被覆可能に、窓シート部24の横幅よりも開閉シート3の横幅の方が長く形成されている。
実施例2の果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスは、空気導入シート部6から果樹栽培用簡易ハウス内に入り込み地面に衝突し反射して向きを斜め上方に変化させた風は、窓シート部24から開閉シート3を離して外部に出、ハウス内に入り込んだ風をスムーズに外部に逃がしてしまうため果樹栽培用簡易ハウスは強風によっても吹き飛ばされない。
【実施例3】
【0016】
図11〜図14に基いて実施例3を説明する。
果樹覆いシート25の中央部に配設されている天井シート部26は、果樹7の平面から視た枝葉を含む直径よりも僅かに長い横幅を有する同幅帯状に区画配設されている。天井シート部26の左右両側には、天井シート部26と前後方向長さが同一長さで所定横幅を有する同幅帯状の空気導入シート部27を連設し、全体として平視矩形に形成されている。天井シート部26は通気性及び雨除け機能を具備したシートよりなり、耐水性、耐薬品性、高耐久性を有する透明なポリエチレン等の合成樹脂製の扁平テープ状ヤーンを経糸と緯糸に使用し、経糸と緯糸を交錯させて平織りを織成し、経糸と緯糸の交差部を熱溶着したものを使用することが通気性及び雨除け機能を発揮する観点より好適である。空気導入シート部27は、通水性及び天井シート部26よりは通気性の高いシートよりなり、主としてポリエチレン等の耐薬品性及び高耐久性を有する材料を用いてなり通水性を有する目合いのネットよりなる。天井シート部26と空気導入シート部27は縫着やヒートシール等の接着手段により連設されている。空気導入シート部27の天井シート部26側に於ける裏面には、S状フック取付用ロープ28を取り付けている。S状フック取付用ロープ28は、空気導入シート部27の目合いに挿通することで果樹覆いシート25に取り付けている。天井シート部26と空気導入シート部27の境界部には果樹7の果実の生る範囲を覆う横幅を有する開閉シート29を両面に粘着剤層を設けたテープ30を介在させて取り付けている。開閉シート29、29は、天井シート部26や空気導入シート部27の前後方向長さよりは短い同幅帯状に形成されている。実施例3に示される果樹覆いシート25の一例として、天井シート部26の横幅が270cm、空気導入シート部27、27の横幅が夫々250cm、開閉シート29、29の横幅が夫々80cm、左右開閉シート29、29の天井シート部26を跨ぐ外端縁間の直線距離が430cm、天井シート部26と空気導入シート部27、27の前後方向長さが130cm、空気導入シート部27、27の前後端縁から開閉シート29、29の前後端縁までの直線距離が150cmに形成されている。
【0017】
実施例3の果樹覆いシート25を用いた果樹栽培用簡易ハウスについて説明する。
図13に示すように、1列の果樹群の左右側方地面には、果樹列方向に沿って所定間隔離隔し、且つアンカー杭16の頭部を地表面から5cm程度浮かせて地中に打ち込まれている。ワイヤーロープ17のアンカー杭16頭部への係脱作業を簡便に行うためである。隣り合うアンカー杭16の頭部には、ワイヤーロープ17が順次巻着されて連結張設され、1列の果樹群の周囲を囲むように地表面上にワイヤーロープ17で枠を形成している。S状フック取付用ロープ28には長さ方向に沿って所定間隔離隔して上側S状フック18が着脱可能に吊設されている。天井シート部26のS状フック取付用ロープ28を折目とし、空気導入シート部27を天井シート部26の上面に折り畳み、この折り畳んた果樹覆いシート25を、1列の果樹群の頭頂部に天井シート部26の裏面が当接するように載置する。ロープ19の両端は、1列の果樹群の最前部に位置するアンカー杭16と最後部に位置するアンカー杭16に夫々巻着され、ロープ19の中途部分は上側S状フック18とワイヤーロープ17との間に掛けられて、側視が上下にジクザグのトラス状を呈するようにしている。図14に示すように、空気導入シート部27は、側視トラス状に架け渡されたロープ19を介在して1列の果樹群の左右側方へ垂下し、空気導入シート部27で側視トラス状に架け渡されたロープ19の外側を覆う。空気導入シート部27の左右両端部は、ワイヤーロープ17に留め具20で取り付ける。空気導入シート部27の左右両端部は、地表面と当接した位置から30cm程度以上の長さ分が地面を這っていることが好適である。空気導入シート部27の左右両端部の接地長さが30cm程度以上であれば、害鳥や害獣或は害虫が空気導入シート部27と地表面との間から果樹栽培用簡易ハウス内に侵入不可能なためである。
1列の果樹群の前後方に於いては、空気導入シート部27の対向端部を夫々打ち合わせて重合し、該重合部を留め具20で夫々留めることで1列の果樹群の前方及び後方を被覆閉塞している。
ワイヤーロープ17よりなる枠には、1列の果樹群のうち前後果樹7、7間に対応する左右対向する位置に下側S状フック21の一端を取り付ける。下側S状フック21の他端は、ネット製空気導入シート部27の編目を貫通させて空気導入シート部6の下面側から上面側に引き出される。引き出された下側S状フック21の対向他端間には1列の果樹群のうち前後果樹7、7間に於いてブレーカーロープ22を架け渡して果樹覆いシート25を上方から押え、果樹栽培用簡易ハウスが強風によっても吹き飛ばないようにする。
空気導入シート部27のうち開閉シート29で覆われていない範囲から強風がハウス内に入り込むと、風は地面に衝突し反射して斜め上方へ進み、空気導入シート部27の裏面側から開閉シート29を外側へ移動させて風を空気導入シート部27と開閉シート29との間から逃がす。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】果樹覆いシートの平面図である。(実施例1)
【図2】天井シート部と開閉シートの一例を示す拡大平面図である。(実施例1)
【図3】窓シート部と空気導入シート部の一例を示す拡大平面図である。(実施例1)
【図4】ロープ挿通部に取り付けた上側S状フック取付用ロープにS状フックを吊設し、S状フックにロープを引っ掛けた状態を示す側面拡大説明図である。(実施例1)
【図5】S状フック取付用ロープに上側S状フックを吊設し、上側S状フックにロープを引っ掛けた状態を示す裏面拡大説明図である。(実施例1)
【図6】3重に折り畳まれた果樹覆いシートを1列の果樹群上に載置し、ロープを側視ジグザグに張設した状態を示す説明図である。(実施例1)
【図7】1列の果樹群に果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスを取り付けた使用状態を示す説明斜視図である。(実施例1)
【図8】1列の果樹群に樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスを取り付けた状態を示す拡大縦断面説明図である。(実施例1)
【図9】強風が果樹栽培用簡易ハウス内に入り込んだ場合の風の軌跡と開閉シートの動作を示す説明図である。(実施例1)
【図10】果樹覆いシートの平面図である。(実施例2)
【図11】果樹覆いシートの平面図である。(実施例3)
【図12】天井シート部と空気導入シート部と開閉シートとの関係を示す構成説明図である。(実施例3)
【図13】3重に折り畳まれた果樹覆いシートを1列の果樹群上に載置し、ロープを側視ジグザグに張設した状態を示す説明図である。(実施例3)
【図14】1列の果樹群に果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスを取り付けた使用状態を示す説明斜視図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0019】
1、25 果樹覆いシート
2、26 天井シート部
3、29 開閉シート
4、24 窓シート部
5、23 雨除けシート部
6、27 空気導入シート部
7 果樹
16 アンカー杭
17 ワイヤーロープ
18 上側S状フック
19 ロープ
21 下側S状フック
22 ブレーカーロープ
【技術分野】
【0001】
本願発明は、柑橘類、桃、梨、林檎等の列状に栽培された果樹、その他の各種果樹の露地栽培において、果実に雨が降り掛かることなく通気性を良好にして内部温度の異常な上昇を回避すると共に、強風によりハウスが破損することのない安定的に果樹を覆うことが可能な果樹覆いシート及び果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、温州みかん、伊予柑、不知火、清見タンゴール、タロッコ等の柑橘栽培において雨害、虫害、鳥獣害、褪色等の防止、成長促進、糖度調整等のためにハウス栽培が行われている。この種のハウスは特許文献1〜3に示すような柱や梁及び屋根を有する一定形状のものを使用することが一般的である。特許文献1〜3に記載されているハウスは、柱を必要とし組立及び解体作業に手間を要し、高コスト化により果樹生産業者の経営を圧迫しているという問題点があった。そこで本願発明者は1枚のシートを幅方向中央部は通気性及び雨除け機能を有する透明な網状シートとし、両側部は中央部の網状シートよりは通気性があり且つ遮光性を有する網状シートとし、横幅方向中央部と両側部を機能別に区分けした果樹覆いシートを用いて果樹群の側方に側視トラス状にロープを張設し、前後方も打ち合わせて1枚のシートで果樹群を内側にひとまとめにして配設するようにした果樹簡易ハウスを発明し、特願2009−282174号として特許出願した。
特願2009−282174号に開示の発明は、上部に中心部に窪み部を具備した突起(通称:デコ)を有する不知火に用いた場合、側面シート部から雨水が果実に直接降り掛かり果実の突起の窪み部(デコの窪み部)に雨水が貯留する。不知火は、突起の窪み部の中心に枝との接続部を有して果実が枝にぶら下がっているという構造であり、突起窪み部への雨水の貯留により枝と果実との接続部強度が短期に著しく低下し、収穫間際の果実が落下し、商品化できないという問題点があった。特に、晩柑類は収穫時期の2月が雨量の多い時期となるため被害は大きい。
【特許文献1】特開2009−144368号公報
【特許文献2】特開2003−9674号公報
【特許文献3】実開平6−86441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創案されたものであって、天井シート部と果実の生る範囲には通気性及び雨除け機能を有するシートを用いて果実への降雨を回避し、果実の生らない下部から地表面の所定位置に亘る範囲には高通気性及び通水性を具備するシートを用い、前記果実の生る範囲に設けた通気性及び雨除け機能を有するシートの上部には排気機能を持たせるために窓シート部を設け、該窓シート部からの降雨の通過を回避すると共に下部から入り込み地表面で反射して進路が上向きになった空気の逃げ道を設けるために雨除け機能を有する開閉シートを窓シート部に被覆自在に取り付けた果樹覆いシート及び果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、収穫間際の果実を雨害、鳥害から守るために列状に栽培された果樹群をひとまとめにして内側に配設して覆うと共に、収穫間際の果実を虫害から守るために地表面とシートの間に隙間を有しないようにシートの左右両端部所定横幅分が接地し地表面を覆って1列の果樹群全体を被覆可能な大きさを有する果樹覆いシートにおいて、天井シート部を中心とし、左右両側には開閉シートを具備した窓シート部と、雨除けシート部と、空気導入シート部を略左右対称に区画配設され、天井シート部、窓シート部、雨除けシート部及び空気導入シート部は夫々所定横幅を有し前後方向に延びる同幅帯状に形成され、天井シート部は1列の果樹群の頂部を被覆可能な所定横幅を有した通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、窓シート部は通水性及び天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果樹の上部左右側方に位置するよう設けられ、窓シート部の天井シート部側から窓シート部全面を被覆可能に天井シート部の左右両端縁に開閉シートを取り付け、該開閉シートは通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、雨除けシート部は通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果樹側方に於いて果実の生っている範囲を覆うことが可能な横幅を有し、空気導入シート部は通水性及び前記天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果実の生っていない部分に対応する位置からシートの左右両端縁に亘り配設され、空気導入シート部から果樹覆いシートの内側に入り込み暖められ上昇した空気が、シート部の内側から開閉シートを開き、窓シート部から外部に排気されるようにしたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、収穫間際の果実を雨害、鳥害から守るために列状に栽培された果樹群をひとまとめにして内側に配設して覆うと共に、収穫間際の果実を虫害から守るために地表面とシートの間に隙間を有しないようにシートの左右両端部所定横幅分が接地し地表面を覆って1列の果樹群全体を被覆可能な大きさを有する果樹覆いシートにおいて、天井シート部を中心とし、左右両側には雨除けシート部と、空気導入シート部を略左右対称に区画配設され、天井シート部、雨除けシート部及び空気導入シート部は夫々所定横幅を有し前後方向に延びる同幅帯状に形成され、天井シート部は1列の果樹群の頂部を被覆可能な所定横幅を有した通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、雨除けシート部は通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果樹の側方に於いて果実の生っている範囲を覆うことが可能な横幅を有し、雨除けシート部のうち天井シート部側には通水性及び天井シート部よりは高通気性機能を具備する窓シート部が前後方向に所定間隔離隔して設けられ、窓シート部の天井シート部側から窓シート部全面を被覆可能に天井シート部の左右両端縁に開閉シートが取り付けられ、該開閉シートは通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、空気導入シート部は通水性及び天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果実の生っていない部分に対応する位置からシートの左右両端縁に亘り配設され、空気導入シート部から果樹覆いシートの内側に入り込み暖められ上昇した空気が、窓シート部の内側から開閉シートを開き、窓シート部から外部に排気されるようにしたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、収穫間際の果実を雨害、鳥害から守るために列状に栽培された果樹群をひとまとめにして内側に配設して覆うと共に、収穫間際の果実を虫害から守るために地表面とシートの間に隙間を有しないようにシートの左右両端部所定横幅分が接地し地表面を覆って1列の果樹群全体を被覆可能な大きさを有する果樹覆いシートにおいて、天井シート部を中心とし、左右両側に空気導入シート部を区画配設され、天井シート部及び空気導入シート部は夫々所定横幅を有し前後方向に延びる同幅帯状に形成され、天井シート部は1列の果樹群の頂部を被覆可能な所定横幅を有した通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、空気導入シート部は通水性及び前記天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果実の生っている部分に対応する位置からシートの左右両端縁に亘り配設され、果実の生っている範囲には天井シート部から連続する開閉シートが空気導入シート上面を被覆可能に設けられ、開閉シートは通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、空気導入シート部のうち前記開閉シートで被覆されていない部分から果樹覆いシートの内側に入り込み暖められ上昇した空気が、空気導入シート部の内側から開閉シートを開き、外部に排気されるようにしたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、上記請求項1、2又は3の何れかに記載の果樹覆いシートと、アンカー杭と、ワイヤーロープ、ブレーカーロープ、S状フック及びロープとよりなる果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスであって、地面に於いて1列の果樹群を囲む位置に沿ってアンカー杭を所定間隔離隔すると共にアンカー杭の頭部を地表面から突出させて設け、アンカー杭の頭部間にはワイヤーロープが張設され、1列の果樹群を囲む位置に対応する地表面上にワイヤーロープで枠が設けられ、該枠には前後果樹間に於ける左右対向する位置に下側S状フックが夫々取り付けられ、果樹覆いシートの天井シート部の左右両端縁には長さ方向に所定距離離隔して上側S状フックが取り付けられ、ロープは、1列の果樹群の長さ方向に沿ってワイヤーロープ、アンカー杭、上側S状フックにジグザグに架け渡して側視トラス状に取り付けられ、左右側方の側視トラス状に張設されたロープの外側には天井シート部の左右両側方に連設されるシート部を垂下し、1列の果樹群の左右側方を夫々ロープを介在して覆い、シート部の左右側端縁は地表面に重合当接し、天井シート部の左右側方に連設されたシート部の前端部と後端部は、1列の果樹群の前方と後方に於いて夫々打ち合わせて1列の果樹群の前方と後方を夫々被覆閉塞し、空気導入シート部が強風により捲れ上がり鳥が侵入することを防止するために、1列の果樹群のうち前後果樹間には左右対となる下側S状フック間にブレーカーロープを架け渡したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本願発明は、1枚のシートとロープ及びフック等、部品点数が少なく、極めて簡単な作業で側面を有する果樹栽培用簡易ハウスを組立可能であるため、低コスト化及びハウスの軽量化が可能であるという効果がある。又、1枚のシートで列状果樹群の周囲の地表面から列状果樹群全体をひとまとめにして包み込むように被覆するので、ハウスの組立及び取り外し作業が極めて簡便で作業性が向上し、収穫済みの果樹群から取り外した果樹栽培用簡易ハウスの部品を収穫期が近付いた果樹に再構築して再利用に供することが可能で経済性を有するという効果がある。
開閉シートを通水性機能を有する窓シート部の上面に重合して閉窓したり、窓シート部から離隔することで開窓する構成であるので、降雨の際には雨水の下方向への力の作用で開閉シートは窓シート部に重合して閉じ、果実へ雨水を降りかからすことがないという効果がある。
強風により、シート下部の通水性及び高通気性機能を有するシート配設範囲から果樹栽培用簡易ハウス内に吹き込み、地表面に衝突し反射して運動方向が上向きになった空気(風)は、その風力により開閉シートを窓シート部外面から離し、窓シート部から排気されるので、強風で果樹栽培用簡易ハウスが吹き飛ばされたり破損することが生じないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
1枚のシートを天井シート部を中心に左右側方に機能の異なるシート部を帯状に区画配設し、天井シート部と果実の生る範囲には降雨を回避するために通気性及び雨除け機能を有するシートを用い、果実の生らない下部から地表面に亘る範囲には高通気性及び通水性を具備するシートを用い、果実の生る範囲に設けたシート部の上部には風の逃げ道として排気機能を持たせるために通水性機能を有するシート部に雨除け機能を具備する開閉シートを備えることで、降雨時に果実に雨が掛からず果実が落下しないことを実現した。又、シート下部から入り込み地表面で反射してハウス内で空気の運動の向きが斜め上方向になった風の逃げ道を窓シート部とすることで、強風時には風力により開窓し、平常時には閉窓して果実に降雨しないようにし、強風によっても吹き飛ばされることなく果樹栽培用簡易ハウスが安定的に設置されることを実現した。
【実施例1】
【0007】
図1〜図9に示される実施例1について説明する。
果樹覆いシート1は、所定横幅を有し前後方向に長い帯状の天井シート部2を中心とし天井シート部2の左右側方に、開閉シート3、3を具備した幅狭な帯状の窓シート部4、4、帯状の雨除けシート部5、5、帯状の空気導入シート部6、6を左右対称になるように横方向に一体的に連設し、1列の果樹群を包み込み可能な面積を有する平視矩形状を呈するように形成されている。天井シート部2、窓シート部4、雨除けシート部5及び空気導入シート部6は前後方向長さが同一長に設定されている。詳しくは、天井シート部2を中心として天井シート部2の左右外側端縁に開閉シート3、3を具備した窓シート部4、4を、窓シート部4、4の外側端縁には雨除けシート部5、5を、雨除けシート部5、5の外側端縁には空気導入シート部6、6を順次連設し、天井シート部2の横幅方向中心線を中心とし左右対称に窓シート部4、雨除けシート部5及び空気導入シート部6を配設して1枚の矩形状果樹覆いシート1を形成し、1列の果樹群を内側にして包み込んだ場合、左右両側縁部が少なくとも30cm以上は地面に這わせていることが鳥の侵入防止の観点より好適である。天井シート部2、開閉シート3、窓シート部4、雨除けシート部5及び空気導入シート部6を一体的に連設する手段は、縫着若しくは熱融着等の何れの手段を用いてもよい。
【0008】
果樹覆いシート1の横方向中央部に配設される天井シート部2は、果樹7の平面から視た枝葉を含む直径よりも僅かに長い横幅を有し、1列の果樹群のうち最前位置の果樹7と最後位置の果樹7の前後地表面を被覆する長さを有する帯状に形成されている。天井シート部2は、通気性及び雨除け機能を有する必要がある。天井シート部2に雨除け機能を必要とするのは、不知火等の果樹は、枝と果実の接続部である頭頂窪み部に雨水が溜まると、接続部の接続強度が低下し、果実が落下して収穫できなくなるため、果実への降雨を回避する必要性があるという理由による。図2に示すように、天井シート部2は耐水性、耐薬品性、高耐久性を有する透明なポリエチレン等の合成樹脂製の扁平テープ状ヤーンを経糸8と緯糸9に使用し、経糸8と緯糸9を交錯させて平織りを織成し、経糸8と緯糸9の交差部を熱溶着したものを使用することが、通気性及び雨除け機能を発揮する観点より好適である。具体的には、横幅が3〜15mm程度のテープ状ヤーンを使用し隣り合う糸間隔を0.5〜5.0mm程度にした平織りに織成されたものの交差部を熱溶着することが考えられる。合成樹脂製の扁平なテープ状ヤーンよりなる経糸8と緯糸9の交差部は熱溶着しないものであってもよい。交差部を熱溶着しないものについては、横幅が1〜10mm程度の糸を使用し、糸間隔を0.1〜3.0mm程度の高密度の平織りに織成したもの使用するとよい。天井シート部2は熱溶着して全体としてフィルム化したものの方が、果樹群に果樹覆いシート1を被覆作業中に天井シート部2の織目が部分的に拡開したりすることが無く、形状保持能力が高いため取り扱い易く、果樹群への被覆作業性が良好で、且つ通気性及び雨除け機能の双方を有するため好適である。天井シート部2は合成樹脂製の扁平なテープ状ヤーンを平織りしたシートに限定するものではなく、通気性及び雨除け機能を有するものであれば足り、使用する果樹7に応じて着色をしたものであってもよい。
【0009】
窓シート部4は通水性及び前記天井シート部2よりは通気性の高いこと必要とし、用途に応じた形状のネットよりなる。窓シート部4は、主としてポリエチレン等の耐薬品性及び高耐久性を有する材料を用いてなり、ネットの形状、材料及び網目の目合は用途により適宜異なる。窓シート部4に用いるネットとしては、図3に示すように、経方向に連続する鎖編みの編目列10に挿入糸11として架け渡して経編した網状編地を用いる。窓シート部4の通気性の調整は、編目列10、10間に架け渡し隣り合う挿入糸11、11間の密度を調整することや、編地の形状を変化させることで行う。窓シート部4の遮光性の調整は、向かい合う編目列10、10間に架け渡し隣り合う挿入糸11、11間の密度の調整や挿入糸11として使用するヤーンの着色を調整することで行う。窓シート部4に遮光性及び遮熱性を有させるには、網状編み地に使用するヤーンの色を灰色、白色或はアルミ蒸着加工等により表面を銀色にしたり、或は挿入糸11、11の間の隙間の大小の調整により行う。
【0010】
開閉シート3は通気性及び雨除け機能を具備した材質のシートよりなり、窓シート部4の全面を被覆可能に設けている。開閉シート3は、閉状態では開閉シート3の外端縁が、窓シート部4の左右外端縁よりも左右外側方に位置して窓シート部4の表面全面を被覆可能に、横幅が窓シート部4よりも開閉シート3の方が広く形成されている。実施例1では、図1に示すように、窓シート部4の表面側のうち天井シート部2側の端縁部を、天井シート部2の裏面側に重合し、この重合部に天井シート部2の前後端縁と90度の角度を有して左右方向に僅かばかり離隔し前後方向に延びる互いに平行な位置関係の2条の接着部12、12を設け、2条の接着部12、12間をロープ挿通部13と成している。図4に示すように、実施例1では接着部12は、窓シート部4と天井シート部2を接着剤14を使用して一体的に接着しているが、本願発明は接着手段に接着剤14を用いることに限定しない。ヒートシール等の手段により窓シート部4と天井シート部2を連設することも本願発明に包含される。天井シート部2を構成するシートは、天井シート部2の左右両側端縁から左右外側方に連続的に延設し、ロープ挿通部13よりも外側方部分を開閉シート3と成している。ロープ挿通部13にはS状フック取付用ロープ15が挿通取着されている。
【0011】
雨除けシート部5は果樹7の果実の生っている範囲を覆うことが可能な横幅を有して、窓シート部4、4の左右外端縁に連続的に設けられている。雨除けシート部5は、天井シート部2と同様に通気性及び雨除け機能を具備した材質よりなり、例えば耐水性、耐薬品性、高耐久性を有する透明なポリエチレン等の合成樹脂製の扁平テープ状ヤーンを、図2に示すように経糸8と緯糸9に使用し、経糸8と緯糸9を交錯させて平織りを織成し、経糸8と緯糸9の交差部を熱溶着したものを使用することが、通気性及び雨除け機能を発揮する観点より好適である。
【0012】
空気導入シート部6は、1列の果樹群に使用した場合、果実の生っていない果樹7の下部から接地部に約30cmを加えた長さの横幅を有して果樹覆いシート1の最外側部に配設されている。空気導入シート部6は、通水性及び天井シート部2よりは通気性の高いシートよりなり、主としてポリエチレン等の耐薬品性及び高耐久性を有する材料を用いてなり通水性を有する目合いのネットよりなる。例えば、図3に示すように、経方向に連続する鎖編みの編目列10に挿入糸11として架け渡して経編した網状編地を用いる。空気導入シート部6の通気性の調整は、編目列10、10間に架け渡し隣り合う挿入糸11、11間の密度を調整することや、編地の形状を変化させることで行う。
【0013】
次に、果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスについて説明する。
1列の果樹群の左右側方地面には、果樹列方向に沿って所定間隔離隔し、且つアンカー杭16の頭部を地表面から5cm程度浮かせて地中に打ち込まれている。ワイヤーロープ17のアンカー杭16頭部への係脱作業を簡便に行うためである。隣り合うアンカー杭16の頭部には、ワイヤーロープ17が順次巻着されて連結張設され、1列の果樹群の周囲を囲むように地表面上にワイヤーロープ17で枠を形成している。S状フック取付用ロープ15には長さ方向に沿って所定間隔離隔して上側S状フック18が着脱可能に吊設されている。上側S状フック18は、図4及び図5に示すように、1本のワイヤの両端から同一位置で互いに相反する方向に彎曲され、該彎曲部がフックとしての作用をなすように形成されている。
図6に示すように、天井シート部2のロープ挿通部13を折目とし、天井シート部2の左右両側方のシート部を天井シート部2の上面に折り畳み、この折り畳んだ果樹覆いシート1を、1列の果樹群の頭頂部に天井シート部2の裏面が当接するように載置する。ロープ19の両端は、1列の果樹群の最前部に位置するアンカー杭16と最後部に位置するアンカー杭16に夫々巻着され、ロープ19の中途部分は上側S状フック18とワイヤーロープ17との間に掛けられて、側視が上下にジグザグのトラス状を呈するようにしている。窓シート部4、雨除けシート部5及び空気導入シート部6は、側視トラス状に架け渡されたロープ19を介在して1列の果樹群の左右側方へ垂下し、窓シート部4、雨除けシート部5及び空気導入シート部6で側視トラス状に架け渡されたロープ19の外側を覆う。空気導入シート部6の左右両端部は、ワイヤーロープ17に留め具20で取り付ける。空気導入シート部6の左右両端部は、地表面と当接した位置から30cm程度以上の長さ分が地面を這っていることが好適である。空気導入シート部6の左右両端部の接地長さが30cm程度以上であれば、害鳥や害獣或は害虫が空気導入シート部6と地表面との間から果樹栽培用簡易ハウス内に侵入不可能なためである。
1列の果樹群の前後方に於いては、雨除けシート部5及び空気導入シート部6の対向端部を夫々打ち合わせて重合し、該重合部を留め具20で夫々留めることで1列の果樹群の前方及び後方を被覆閉塞している。
又、ワイヤーロープ17よりなる枠には、1列の果樹群のうち前後果樹7、7間に対応する左右対向する位置に下側S状フック21の一端を取り付ける。下側S状フック21の他端は、ネット製空気導入シート部6の編目を貫通させ、空気導入シート部6の下面側から上面側に引き出される。引き出された下側S状フック21の対向他端間には1列の果樹群のうち前後果樹7、7間に於いてブレーカーロープ22を架け渡して果樹覆いシート1を上方から押え、果樹栽培用簡易ハウスが強風によっても吹き飛ばないようにする。
【0014】
上記構成の果樹覆いシート1を具備した果樹栽培用簡易ハウスは、1列の果樹群の上方を雨除け機能を有する天井シート部2で覆い、側方を雨除け機能を具備する雨除けシート部5及び空気導入シート部6とで覆い、雨除けシート部5の天井シート部2側には開閉シート3を具備した窓シート部4を設けている。そのため、雨は天井シート部2から開閉シート3、雨除けシート部5を伝って流れ、空気導入シート部6の編目より地面に落下し、果樹7へは直接雨水が掛からない。果樹7の根元近傍の地中の水分供給量は少なく、果実が高糖度となり美味で果実が大玉にならず美観を呈し、且つ、果実が激しい降雨や雹等により落下したり表皮に傷を形成する事態が生じないという効果がある。特に、不知火等の晩柑類は降雨量が多くなる2月以降が収穫期であるので、本願果樹栽培用簡易ハウスを使用すると、高糖度で無傷の優良な果実が収穫最適時まで落下することなく健康状態で枝にぶら下がっているため上級品を大量収穫可能であるという効果がある。
又、図9に示すように、空気導入シート部6からハウス内に入り込み地面に衝突して反射し斜め上方向に進路を変えた風は、ハウスの内側から開閉シート3を窓シート部4から浮き上らせ窓シート部4より外部へ逃げる。窓シート部4から風を効率よく外部に逃がすため、ハウスが強風により吹き飛ばされたり、破損することがない。加えて、側視トラス状に取り付けられたロープ19と留め具20、開閉シート3による窓シート部4の開窓、及びブレーカーロープ22による果樹覆いシート1の上方からの押さえ込みにより、超強風によっても果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスは吹き飛ばされないという効果がある。
果樹覆いシート1を長さ方向に別の果樹覆いシート1を連結していくことて、長い列状果樹群にも使用できる。通常は1つの果樹農園内で数種類の収穫時期の異なる果樹を栽培しているが、収穫期が徒過した果樹群から果樹覆いシート1を取り除き、ワイヤーロープ17からなる枠のみをそのまま地面に放置し、収穫期に入っていない他の果樹群の周囲に新たに別のワイヤーロープ17で枠を形成し収穫期が徒過した果樹群から取り除いた使用済みの果樹覆いシート1を再使用することができる。つまり、ワイヤーロープ17よりなる枠のみを地面に設けていれば、果樹覆いシート1を何度も使用することができる。
【実施例2】
【0015】
図10に示される実施例2について説明する。説明を簡単にするために、図1〜図9と同様の作用をなす部分は同一符号を用いて説明する。通気性及び雨除け機能を具備する天井シート部2は、ロープ挿通部13を介して左右外側方に雨除けシート部23を連続的に設けている。雨除けシート部23は天井シート部2の左右両端縁から使用する果樹のうち果実の生っている範囲に亘り覆う横幅を有する前後方向に長い帯状に形成されている。雨除けシート部23のうち天井シート部2側には所定横幅を有する開口部を、雨除けシート部23の長さ方向に所定間隔を有して離隔して開設している。これら開口部には通水性及び天井シート部2よりは通気性の高いネット状シートを張設して窓シート部24を形成している。窓シート部24に張設するネット状シートは、主としてポリエチレン等の耐薬品性及び高耐久性を有する材料を用いてなり、図3に示すように、経方向に連続する鎖編みの編目列10に挿入糸11として架け渡して経編した網状編地を用いることが考えられる。開閉シート3は通気性及び雨除け機能を具備した材質のシートよりなり、窓シート部24の全面を被覆可能に設けている。開閉シート3は、閉状態では開閉シート3の外端縁が、窓シート部24の左右外端縁よりも左右外側方に位置して窓シート部24の表面全面を被覆可能に、窓シート部24の横幅よりも開閉シート3の横幅の方が長く形成されている。
実施例2の果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスは、空気導入シート部6から果樹栽培用簡易ハウス内に入り込み地面に衝突し反射して向きを斜め上方に変化させた風は、窓シート部24から開閉シート3を離して外部に出、ハウス内に入り込んだ風をスムーズに外部に逃がしてしまうため果樹栽培用簡易ハウスは強風によっても吹き飛ばされない。
【実施例3】
【0016】
図11〜図14に基いて実施例3を説明する。
果樹覆いシート25の中央部に配設されている天井シート部26は、果樹7の平面から視た枝葉を含む直径よりも僅かに長い横幅を有する同幅帯状に区画配設されている。天井シート部26の左右両側には、天井シート部26と前後方向長さが同一長さで所定横幅を有する同幅帯状の空気導入シート部27を連設し、全体として平視矩形に形成されている。天井シート部26は通気性及び雨除け機能を具備したシートよりなり、耐水性、耐薬品性、高耐久性を有する透明なポリエチレン等の合成樹脂製の扁平テープ状ヤーンを経糸と緯糸に使用し、経糸と緯糸を交錯させて平織りを織成し、経糸と緯糸の交差部を熱溶着したものを使用することが通気性及び雨除け機能を発揮する観点より好適である。空気導入シート部27は、通水性及び天井シート部26よりは通気性の高いシートよりなり、主としてポリエチレン等の耐薬品性及び高耐久性を有する材料を用いてなり通水性を有する目合いのネットよりなる。天井シート部26と空気導入シート部27は縫着やヒートシール等の接着手段により連設されている。空気導入シート部27の天井シート部26側に於ける裏面には、S状フック取付用ロープ28を取り付けている。S状フック取付用ロープ28は、空気導入シート部27の目合いに挿通することで果樹覆いシート25に取り付けている。天井シート部26と空気導入シート部27の境界部には果樹7の果実の生る範囲を覆う横幅を有する開閉シート29を両面に粘着剤層を設けたテープ30を介在させて取り付けている。開閉シート29、29は、天井シート部26や空気導入シート部27の前後方向長さよりは短い同幅帯状に形成されている。実施例3に示される果樹覆いシート25の一例として、天井シート部26の横幅が270cm、空気導入シート部27、27の横幅が夫々250cm、開閉シート29、29の横幅が夫々80cm、左右開閉シート29、29の天井シート部26を跨ぐ外端縁間の直線距離が430cm、天井シート部26と空気導入シート部27、27の前後方向長さが130cm、空気導入シート部27、27の前後端縁から開閉シート29、29の前後端縁までの直線距離が150cmに形成されている。
【0017】
実施例3の果樹覆いシート25を用いた果樹栽培用簡易ハウスについて説明する。
図13に示すように、1列の果樹群の左右側方地面には、果樹列方向に沿って所定間隔離隔し、且つアンカー杭16の頭部を地表面から5cm程度浮かせて地中に打ち込まれている。ワイヤーロープ17のアンカー杭16頭部への係脱作業を簡便に行うためである。隣り合うアンカー杭16の頭部には、ワイヤーロープ17が順次巻着されて連結張設され、1列の果樹群の周囲を囲むように地表面上にワイヤーロープ17で枠を形成している。S状フック取付用ロープ28には長さ方向に沿って所定間隔離隔して上側S状フック18が着脱可能に吊設されている。天井シート部26のS状フック取付用ロープ28を折目とし、空気導入シート部27を天井シート部26の上面に折り畳み、この折り畳んた果樹覆いシート25を、1列の果樹群の頭頂部に天井シート部26の裏面が当接するように載置する。ロープ19の両端は、1列の果樹群の最前部に位置するアンカー杭16と最後部に位置するアンカー杭16に夫々巻着され、ロープ19の中途部分は上側S状フック18とワイヤーロープ17との間に掛けられて、側視が上下にジクザグのトラス状を呈するようにしている。図14に示すように、空気導入シート部27は、側視トラス状に架け渡されたロープ19を介在して1列の果樹群の左右側方へ垂下し、空気導入シート部27で側視トラス状に架け渡されたロープ19の外側を覆う。空気導入シート部27の左右両端部は、ワイヤーロープ17に留め具20で取り付ける。空気導入シート部27の左右両端部は、地表面と当接した位置から30cm程度以上の長さ分が地面を這っていることが好適である。空気導入シート部27の左右両端部の接地長さが30cm程度以上であれば、害鳥や害獣或は害虫が空気導入シート部27と地表面との間から果樹栽培用簡易ハウス内に侵入不可能なためである。
1列の果樹群の前後方に於いては、空気導入シート部27の対向端部を夫々打ち合わせて重合し、該重合部を留め具20で夫々留めることで1列の果樹群の前方及び後方を被覆閉塞している。
ワイヤーロープ17よりなる枠には、1列の果樹群のうち前後果樹7、7間に対応する左右対向する位置に下側S状フック21の一端を取り付ける。下側S状フック21の他端は、ネット製空気導入シート部27の編目を貫通させて空気導入シート部6の下面側から上面側に引き出される。引き出された下側S状フック21の対向他端間には1列の果樹群のうち前後果樹7、7間に於いてブレーカーロープ22を架け渡して果樹覆いシート25を上方から押え、果樹栽培用簡易ハウスが強風によっても吹き飛ばないようにする。
空気導入シート部27のうち開閉シート29で覆われていない範囲から強風がハウス内に入り込むと、風は地面に衝突し反射して斜め上方へ進み、空気導入シート部27の裏面側から開閉シート29を外側へ移動させて風を空気導入シート部27と開閉シート29との間から逃がす。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】果樹覆いシートの平面図である。(実施例1)
【図2】天井シート部と開閉シートの一例を示す拡大平面図である。(実施例1)
【図3】窓シート部と空気導入シート部の一例を示す拡大平面図である。(実施例1)
【図4】ロープ挿通部に取り付けた上側S状フック取付用ロープにS状フックを吊設し、S状フックにロープを引っ掛けた状態を示す側面拡大説明図である。(実施例1)
【図5】S状フック取付用ロープに上側S状フックを吊設し、上側S状フックにロープを引っ掛けた状態を示す裏面拡大説明図である。(実施例1)
【図6】3重に折り畳まれた果樹覆いシートを1列の果樹群上に載置し、ロープを側視ジグザグに張設した状態を示す説明図である。(実施例1)
【図7】1列の果樹群に果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスを取り付けた使用状態を示す説明斜視図である。(実施例1)
【図8】1列の果樹群に樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスを取り付けた状態を示す拡大縦断面説明図である。(実施例1)
【図9】強風が果樹栽培用簡易ハウス内に入り込んだ場合の風の軌跡と開閉シートの動作を示す説明図である。(実施例1)
【図10】果樹覆いシートの平面図である。(実施例2)
【図11】果樹覆いシートの平面図である。(実施例3)
【図12】天井シート部と空気導入シート部と開閉シートとの関係を示す構成説明図である。(実施例3)
【図13】3重に折り畳まれた果樹覆いシートを1列の果樹群上に載置し、ロープを側視ジグザグに張設した状態を示す説明図である。(実施例3)
【図14】1列の果樹群に果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスを取り付けた使用状態を示す説明斜視図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0019】
1、25 果樹覆いシート
2、26 天井シート部
3、29 開閉シート
4、24 窓シート部
5、23 雨除けシート部
6、27 空気導入シート部
7 果樹
16 アンカー杭
17 ワイヤーロープ
18 上側S状フック
19 ロープ
21 下側S状フック
22 ブレーカーロープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫間際の果実を雨害、鳥害から守るために列状に栽培された果樹群をひとまとめにして内側に配設して覆うと共に、収穫間際の果実を虫害から守るために地表面とシートの間に隙間を有しないようにシートの左右両端部所定横幅分が接地し地表面を覆って1列の果樹群全体を被覆可能な大きさを有する果樹覆いシートにおいて、
天井シート部を中心とし、左右両側には開閉シートを具備した窓シート部と、雨除けシート部と、空気導入シート部を略左右対称に区画配設され、
前記天井シート部、前記窓シート部、前記雨除けシート部及び前記空気導入シート部は夫々所定横幅を有し前後方向に延びる同幅帯状に形成され、
前記天井シート部は1列の果樹群の頂部を被覆可能な所定横幅を有した通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、
前記窓シート部は通水性及び前記天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果樹の上部左右側方に位置するよう設けられ、前記窓シート部の前記天井シート部側から前記窓シート部全面を被覆可能に前記天井シート部の左右両端縁に開閉シートを取り付け、該開閉シートは通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、
前記雨除けシート部は通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果樹側方に於いて果実の生っている範囲を覆うことが可能な横幅を有し、
前記空気導入シート部は通水性及び前記天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果実の生っていない部分に対応する位置からシートの左右両端縁に亘り配設され、
前記空気導入シート部から果樹覆いシートの内側に入り込み上昇した空気が、前記窓シート部の内側から開閉シートを開き、前記窓シート部から外部に排気されるようにしたことを特徴とする果樹覆いシート。
【請求項2】
収穫間際の果実を雨害、鳥害から守るために列状に栽培された果樹群をひとまとめにして内側に配設して覆うと共に、収穫間際の果実を虫害から守るために地表面とシートの間に隙間を有しないようにシートの左右両端部所定横幅分が接地し地表面を覆って1列の果樹群全体を被覆可能な大きさを有する果樹覆いシートにおいて、
天井シート部を中心とし、左右両側には雨除けシート部と、空気導入シート部を略左右対称に区画配設され、
前記天井シート部、前記雨除けシート部及び前記空気導入シート部は夫々所定横幅を有し前後方向に延びる同幅帯状に形成され、
前記天井シート部は1列の果樹群の頂部を被覆可能な所定横幅を有した通気性及び雨除は機能を具備するシートよりなり、
前記雨除けシート部は通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果樹の側方に於いて果実の生っている範囲を覆うことが可能な横幅を有し、雨除けシート部のうち前記天井シート部側には通水性及び前記天井シート部よりは高通気性機能を具備する窓シート部が前後方向に所定間隔離隔して設けられ、前記窓シート部の前記天井シート部側から前記窓シート部全面を被覆可能に前記天井シート部の左右両端縁に開閉シートが取り付けられ、該開閉シートは通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、
前記空気導入シート部は通水性及び前記天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果実の生っていない部分に対応する位置からシートの左右両端縁に亘り配設され、
前記空気導入シート部から果樹覆いシートの内側に入り込み上昇した空気が、前記窓シート部の内側から開閉シートを開き、前記窓シート部から外部に排気されるようにしたことを特徴とする果樹覆いシート。
【請求項3】
収穫間際の果実を雨害、鳥害から守るために列状に栽培された果樹群をひとまとめにして内側に配設して覆うと共に、収穫間際の果実を虫害から守るために地表面とシートの間に隙間を有しないようにシートの左右両端部所定横幅分が接地し地表面を覆って1列の果樹群全体を被覆可能な大きさを有する果樹覆いシートにおいて、
天井シート部を中心とし、左右両側に空気導入シート部を区画配設され、
前記天井シート部及び前記空気導入シート部は夫々所定横幅を有し前後方向に延びる同幅帯状に形成され、
前記天井シート部は1列の果樹群の頂部を被覆可能な所定横幅を有した通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、
前記空気導入シート部は通水性及び前記天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果実の生っている部分に対応する位置からシートの左右両端縁に亘り配設され、果実の生っている範囲には前記天井シート部から連続する開閉シートが前記空気導入シート上面を被覆可能に設けられ、前記開閉シートは通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、
前記空気導入シート部のうち前記開閉シートで被覆されていない部分から果樹覆いシートの内側に入り込み上昇した空気が、前記空気導入シート部の内側から開閉シートを開き、外部に排気されるようにしたことを特徴とする果樹覆いシート。
【請求項4】
上記請求項1、2又は3の何れかに記載の果樹覆いシートと、アンカー杭と、ワイヤーロープ、ブレーカーロープ、S状フック及びロープとよりなる果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスであって、
地面に於いて1列の果樹群を囲む位置に沿って、アンカー杭を所定間隔離隔すると共にアンカー杭の頭部を地表面から突出させて設け、
前記アンカー杭の頭部間にはワイヤーロープが張設され、前記1列の果樹群を囲む位置に対応する地表面上にワイヤーロープで枠が設けられ、該枠には前後果樹間に於ける左右対向する位置に下側S状フックが夫々取り付けられ、
前記果樹覆いシートの天井シート部の左右両端縁には長さ方向に所定距離離隔して上側S状フックが取り付けられ、
前記ロープは、1列の果樹群の長さ方向に沿って前記ワイヤーロープ、前記アンカー杭、前記上側S状フックにジグザグに架け渡して側視トラス状に取り付けられ、
前記左右側方の側視トラス状に張設されたロープの外側には前記天井シート部の左右両側方に連設されるシート部を垂下し、1列の果樹群の左右側方を夫々前記ロープを介在して覆い、前記シート部の左右側端縁は地表面に重合当接し、
天井シート部の左右側方に連設されたシート部の前端部と後端部は、1列の果樹群の前方と後方に於いて夫々打ち合わせて1列の果樹群の前方と後方を夫々被覆閉塞し、
前記空気導入シート部が強風により捲れ上がり鳥が侵入することを防止するために、1列の果樹群のうち前後果樹間には左右対となる下側S状フック間にブレーカーロープを架け渡したことを特徴とする果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウス。
【請求項1】
収穫間際の果実を雨害、鳥害から守るために列状に栽培された果樹群をひとまとめにして内側に配設して覆うと共に、収穫間際の果実を虫害から守るために地表面とシートの間に隙間を有しないようにシートの左右両端部所定横幅分が接地し地表面を覆って1列の果樹群全体を被覆可能な大きさを有する果樹覆いシートにおいて、
天井シート部を中心とし、左右両側には開閉シートを具備した窓シート部と、雨除けシート部と、空気導入シート部を略左右対称に区画配設され、
前記天井シート部、前記窓シート部、前記雨除けシート部及び前記空気導入シート部は夫々所定横幅を有し前後方向に延びる同幅帯状に形成され、
前記天井シート部は1列の果樹群の頂部を被覆可能な所定横幅を有した通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、
前記窓シート部は通水性及び前記天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果樹の上部左右側方に位置するよう設けられ、前記窓シート部の前記天井シート部側から前記窓シート部全面を被覆可能に前記天井シート部の左右両端縁に開閉シートを取り付け、該開閉シートは通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、
前記雨除けシート部は通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果樹側方に於いて果実の生っている範囲を覆うことが可能な横幅を有し、
前記空気導入シート部は通水性及び前記天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果実の生っていない部分に対応する位置からシートの左右両端縁に亘り配設され、
前記空気導入シート部から果樹覆いシートの内側に入り込み上昇した空気が、前記窓シート部の内側から開閉シートを開き、前記窓シート部から外部に排気されるようにしたことを特徴とする果樹覆いシート。
【請求項2】
収穫間際の果実を雨害、鳥害から守るために列状に栽培された果樹群をひとまとめにして内側に配設して覆うと共に、収穫間際の果実を虫害から守るために地表面とシートの間に隙間を有しないようにシートの左右両端部所定横幅分が接地し地表面を覆って1列の果樹群全体を被覆可能な大きさを有する果樹覆いシートにおいて、
天井シート部を中心とし、左右両側には雨除けシート部と、空気導入シート部を略左右対称に区画配設され、
前記天井シート部、前記雨除けシート部及び前記空気導入シート部は夫々所定横幅を有し前後方向に延びる同幅帯状に形成され、
前記天井シート部は1列の果樹群の頂部を被覆可能な所定横幅を有した通気性及び雨除は機能を具備するシートよりなり、
前記雨除けシート部は通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果樹の側方に於いて果実の生っている範囲を覆うことが可能な横幅を有し、雨除けシート部のうち前記天井シート部側には通水性及び前記天井シート部よりは高通気性機能を具備する窓シート部が前後方向に所定間隔離隔して設けられ、前記窓シート部の前記天井シート部側から前記窓シート部全面を被覆可能に前記天井シート部の左右両端縁に開閉シートが取り付けられ、該開閉シートは通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、
前記空気導入シート部は通水性及び前記天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果実の生っていない部分に対応する位置からシートの左右両端縁に亘り配設され、
前記空気導入シート部から果樹覆いシートの内側に入り込み上昇した空気が、前記窓シート部の内側から開閉シートを開き、前記窓シート部から外部に排気されるようにしたことを特徴とする果樹覆いシート。
【請求項3】
収穫間際の果実を雨害、鳥害から守るために列状に栽培された果樹群をひとまとめにして内側に配設して覆うと共に、収穫間際の果実を虫害から守るために地表面とシートの間に隙間を有しないようにシートの左右両端部所定横幅分が接地し地表面を覆って1列の果樹群全体を被覆可能な大きさを有する果樹覆いシートにおいて、
天井シート部を中心とし、左右両側に空気導入シート部を区画配設され、
前記天井シート部及び前記空気導入シート部は夫々所定横幅を有し前後方向に延びる同幅帯状に形成され、
前記天井シート部は1列の果樹群の頂部を被覆可能な所定横幅を有した通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、
前記空気導入シート部は通水性及び前記天井シート部よりは高通気性機能を具備するシートよりなり、1列の果樹群に果樹覆いシートを被覆取着した場合に果実の生っている部分に対応する位置からシートの左右両端縁に亘り配設され、果実の生っている範囲には前記天井シート部から連続する開閉シートが前記空気導入シート上面を被覆可能に設けられ、前記開閉シートは通気性及び雨除け機能を具備するシートよりなり、
前記空気導入シート部のうち前記開閉シートで被覆されていない部分から果樹覆いシートの内側に入り込み上昇した空気が、前記空気導入シート部の内側から開閉シートを開き、外部に排気されるようにしたことを特徴とする果樹覆いシート。
【請求項4】
上記請求項1、2又は3の何れかに記載の果樹覆いシートと、アンカー杭と、ワイヤーロープ、ブレーカーロープ、S状フック及びロープとよりなる果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスであって、
地面に於いて1列の果樹群を囲む位置に沿って、アンカー杭を所定間隔離隔すると共にアンカー杭の頭部を地表面から突出させて設け、
前記アンカー杭の頭部間にはワイヤーロープが張設され、前記1列の果樹群を囲む位置に対応する地表面上にワイヤーロープで枠が設けられ、該枠には前後果樹間に於ける左右対向する位置に下側S状フックが夫々取り付けられ、
前記果樹覆いシートの天井シート部の左右両端縁には長さ方向に所定距離離隔して上側S状フックが取り付けられ、
前記ロープは、1列の果樹群の長さ方向に沿って前記ワイヤーロープ、前記アンカー杭、前記上側S状フックにジグザグに架け渡して側視トラス状に取り付けられ、
前記左右側方の側視トラス状に張設されたロープの外側には前記天井シート部の左右両側方に連設されるシート部を垂下し、1列の果樹群の左右側方を夫々前記ロープを介在して覆い、前記シート部の左右側端縁は地表面に重合当接し、
天井シート部の左右側方に連設されたシート部の前端部と後端部は、1列の果樹群の前方と後方に於いて夫々打ち合わせて1列の果樹群の前方と後方を夫々被覆閉塞し、
前記空気導入シート部が強風により捲れ上がり鳥が侵入することを防止するために、1列の果樹群のうち前後果樹間には左右対となる下側S状フック間にブレーカーロープを架け渡したことを特徴とする果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図11】
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【図14】
【公開番号】特開2011−229517(P2011−229517A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116732(P2010−116732)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(593231689)株式会社一色本店 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(593231689)株式会社一色本店 (4)
【Fターム(参考)】
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