説明

架空線吊架移動金具

【課題】架空線に沿って、支持物を回避しつつ、脱落することなく安全に、比較的小さな力で走行でき、構造簡単で小型軽量な移動金具を提供する。
【解決手段】架空線吊架移動金具1は、ベース2、ゲート支持部材3、ゲート部材4、ゲート受け部材5、一括開放機構6を具備する。ゲート支持部材3は、架空線T上を転動可能なローラ7を具備し、架空線Tの延線方向に3つ並ぶ。ゲート部材4は、垂直軸でゲート支持部材3に水平回動自在に支持し、常時架空線Tの上方を延線直交方向に横断する閉鎖位置に回転付勢し、架空線T上を移動中に支持物に押されて開放位置へ回動可能とする。ゲート受け部材5は、閉鎖位置にあるゲート部材4に係合する係合部12を有する。一括開放機構6は、一括開放レバー13と、これを開放位置へ回動させたときにゲートの全てを同時に開放位置へ回動させるように開放レバー13と垂直軸との間を連結する連結機構14とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気鉄道の架線の保守点検作業時等に、工具、測定機器等をトロリ線のような架空線に吊り下げて移動する装置等として適用可能な移動金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば懸架式架空線走行機として、特許文献1に記載されたものが知られている。この懸架式架空線走行機は、トロリ線の点検作業に応用可能な走行機であり、架空線上に太い部分や他の結線などの障害物があったとしてもそれを乗り越えながら走行できる。
この懸架式架空線走行機は、2つの回転軸、これら回転軸の周囲に掛けまわされた無端チェーン30、この無端チェーン30に所定間隔で設けられた6つの懸架部、側壁の上方に取り付けられた一対のレール部材を備える。懸架部は、バネで開状態に付勢された一対の爪部材を含む。爪部材は、懸架部がチェーンの直線経路上にあるときに、レール部材からの押圧力で閉状態となり、懸架部が直線経路上以外にあるときは開状態となる。
【特許文献1】特開2001−218326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の懸架式架空線走行機は、機構が複雑で、大型、大重量となり、移動に大きなエネルギーを必要とするし、高価であるという問題点がある。
したがって、この発明は、支持物によって上方から吊られたトロリ線のような架空線に沿って、これらの支持物を回避しつつ、脱落することなく安全に、比較的小さな力で走行することができ、構造簡単で小型軽量な移動金具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明においては、上記課題を解決するため、第1に、架空線Tの下方に配置されるベース2と、このベース2に支持されるゲート支持部材3と、閉鎖位置と開放位置の間を水平回動自在にゲート支持部材3に支持されるゲート部材4と、ゲート支持部材3に対向するようにベース2に支持されるゲート受け部材5と、ベース2に支持される一括開放機構6とを具備させて架空線吊架移動金具1を構成した。ゲート支持部材3は、架空線Tの延線直交方向の片側に起立するようにベース2に支持し、架空線Tの延線方向に相互間隔を置いて少なくとも3つ設ける。ゲート部材4は、基端側において垂直軸8によってゲート支持部材3に水平回動自在に支持し、常時架空線Tの上方を延線直交方向に横断する閉鎖位置にあるように回転付勢し、架空線Tを移動中に支持物Hに押されて架空線Tと平行になる開放位置へ回動可能とする。ゲート受け部材5は、架空線Tを挟んでゲート支持部材3に対向させ、閉鎖位置にあるゲート部材4の先端側に係合可能な係合部12を具備させる。一括開放機構6には、開放位置と閉鎖位置との間で回動操作可能にベースに枢支された一括開放レバー13と、この一括開放レバー13を開放位置へ回動させたときにゲート部材4の全てを同時に開放位置へ回動させるように開放レバー13と垂直軸8との間を連結する連結機構14とを具備させる。ゲート部材4には、架空線T上を直交方向に横断する状態で架空線T上を転動可能なローラ7を具備させる。
【0005】
第2に、この発明においては、上記一括開放機構6の連結機構14をスライド部材17と、駆動アーム16と、係合部材18とで構成した。スライド部材17は、一括開放レバー13の回動に連動してベース2に対して閉鎖位置と開放位置の間を相対移動可能にベース2の下方に設ける。駆動アーム16は、ゲート部材4の垂直軸8と一体に閉鎖位置と開放位置の間で水平回転するように、垂直軸8の下部に固着する。係合部材18は、駆動アーム16と係合するように、スライド部材17上に固定する。係合部材18は、閉鎖位置にある駆動アーム16に付勢されてスライド部材17を閉鎖位置に置き、開放レバー13の開放操作に応じてスライド部材17が開放位置へ移動するとき駆動アーム16を開放位置へ移動させるように配置する。
【0006】
第3に、この発明においては、進行方向に隣接する2つのゲート部材4,4間にインタロック機構19を設ける。インタロック機構19は、進行方向先頭側のゲート部材4が開放位置にあるときに進行方向後方のゲート部材4が開放位置へ回動するのを阻止する。
【0007】
第4に、この発明においては、上記インタロック機構19を、ロック操作レバー20と、ロックレバー21と、両者を連結するリンク22と、両者を回動付勢する付勢部材23とで構成する。上記ロック操作レバー20は、進行方向先頭側の駆動アーム16近傍の下方に位置して、スライド部材17に枢支し、進行方向先頭側の駆動アーム16が閉鎖位置にあるとき、上端がこの駆動アーム16の下面に当接して非ロック位置にあり、当該駆動アーム16が開放位置にあるとき、上端がこの駆動アーム16の下面から外れてロック位置にあるように配置する。上記ロックレバー21は、進行方向後方側の駆動アーム16近傍の下方に位置して、スライド部材17に枢支し、非ロック位置にあるとき、進行方向後方側の駆動アーム16の開放位置への回動を阻害せず、ロック位置あるとき、進行方向後方側の駆動アーム16の開放位置への回動を阻止するように配置する。上記リンク22は、ロックレバー21とロック操作レバー22とをロック位置と非ロック位置の間で一体に回動させるために、両者の下端部間を連結する。上記付勢部材23は、ロック操作レバー20とロックレバー21をロック位置側へ回動付勢する。
【発明の効果】
【0008】
上記第1のように構成したこの発明は、支持物によって上方から吊られたトロリ線のような架空線に沿って、これらの支持物を回避しつつ、脱落することなく比較的小さな力で走行することができ、構造簡単で小型軽量な移動金具を提供できる。
【0009】
上記第2のように構成したこの発明は、金具を架空線に着脱する際に、ゲート部材を一括して開放動作させるための一括開放機構における連結機構を簡易で、確実に動作するように構成することができる。
【0010】
上記第3のように構成したこの発明は、ロック機構により、進行方向先頭側のゲート部材が開放位置にあるときに進行方向後方のゲート部材が開放位置へ回動するのを確実に阻止し、各線からの脱落の恐れのない、安全性の高い架空線吊架移動金具を提供できる。
【0011】
上記第4のように構成したこの発明は、上記インタロック機構を、簡易な構成で、確実に動作するものとした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の架空線吊架移動金具の斜視図、図2は本発明の架空線吊架移動金具の正面図、図3は本発明の架空線吊架移動金具の平面図、図4は本発明の架空線吊架移動金具の側面図、図5は本発明の架空線吊架移動金具における一部の断面図、図6は図2におけるVI−VI断面図、図7は本発明の架空線吊架移動金具におけるインタロック機構の説明図、図8は本発明の架空線吊架移動金具におけるゲート支持部材の斜視図、図9は本発明の架空線吊架移動金具におけるインタロック機構の正面図である。
【0013】
図において、架空線吊架移動金具1は、例えば上方からハンガイヤーのような支持物により吊り下げ支持されたトロリ線のような架空線上を支持物を回避しつつ一方向へ移動可能な金具であり、例えば工事作業中に、工具、資材を吊って簡易に移動させるのに使用することができるものである。
【0014】
金具1は、架空線Tの下方に配置されるベース2と、このベース2に支持されるゲート支持部材3と、閉鎖位置と開放位置の間を水平回動自在にゲート支持部材3に支持されたゲート部材4と、ゲート支持部材3に対向するようにベース2に支持されたゲート受け部材5と、ベースに支持された一括開放機構6とを具備する。
【0015】
ゲート支持部材3は、架空線Tの延線直交方向の片側に起立するように、下部においてベース2に支持され、架空線Tの延線方向に相互間隔を置いて少なくとも3つ設けられる。
【0016】
ゲート部材4は、架空線T上を転動できるローラ7を備え、基端側において垂直軸8によってゲート支持部材3に水平回動自在に支持され、架空線Tの上方を延線直交方向に水平に横断する閉鎖位置(図3の実線の状態)と、架空線Tとほぼ平行となる開放位置(図3の仮想線の状態)の間で水平にほぼ90度回動することができ、かつばね9により閉鎖位置側へ回転付勢される。
【0017】
図5、図8に示すように、ゲート支持部材3内には垂直軸8が支持される。垂直軸8は、中間部において円柱状のゲート部材4を直角方向水平に延出させ、またベース2から下方へ突出した下端部において駆動アーム16を直角方向水平に延出させる。垂直軸8は、ゲート支持部材3の筒状部内に所定距離上下に移動自在、水平回転自在に収められ、ばね9によって、一方向に回転付勢されると共に、ばね10により下方へ付勢される。ゲート支持部材3の筒状部には、ゲート部材4を突出させる切欠孔11がほぼ90度の回転範囲にわたって設けられる。
【0018】
切欠孔11は、一端側においてゲート部材4を閉鎖位置に配置し、他端側においてゲート部材4を開放位置に配置する。切欠孔11は、一端側から他端側へ保持部11a、隘部11b、傾斜部11cと連続する。一端側の保持部11aは、円柱状ゲート部材4の基端側を上下方向に所定距離移動可能に挿通させる上下方向長円形状である。隘部11bは、保持部11aと傾斜部11cとの境界にあって、上下方向の幅が保持部11aより狭くなる部位である。傾斜部11cは、隘部11bと同じ上下幅で隘部11bから他端側に向かって所定角度で上昇するように延びる。したがって、 ゲート部材4は、保持部11aから突出して閉鎖位置にあるときより傾斜部11cの端から突出して開放位置にあるときのほうが上位に位置する。このため、ゲート部材4は、閉鎖位置にあって架空線T上を移動中に支持物H(図4)に当接すると、これに押されて架空線Tと平行になる開放位置へやや上昇しながら90度回動し、支持物Hを通過すると、ばね9により瞬時にやや下降しながら閉鎖位置へ復帰する。
【0019】
ゲート受け部材5は板状で、下部においてベース2に支持され、架空線Tを挟んでゲート支持部材3に対向するように配置される。ゲート受け部材5は、閉鎖位置にあるゲート部材4の先端側に係合可能な係合部としての切欠12を具備する。切欠12は、ゲート受け部材5の反進行方向(矢印方向)側に開放するように形成される。切欠12は、保持部12a、隘部12b、開放部12cを有する。保持部12aは、奥部にあって、やや上下方向に長い長円形孔で、閉鎖状態の円柱状ゲート部材4の先端部を余裕を持って受け入れることができる。開放部12cは、隘部12bを介して保持部12aにつながり、反進行方向側に外広がりに開放する。
【0020】
一括開放機構6は、一括開放レバー13と、それを垂直軸8に連結する連結機構14とを有する。一括開放レバー13は、中間においてベース2の下方延出部15に枢支され、開放位置と閉鎖位置との間で回動操作可能である。連結機構14は、一端側において一括開放レバー13の上端部に結合され、他端側において垂直軸8に連結される。連結機構14は、駆動アーム16、スライド部材17、係合部材18を有し、一括開放レバー13を開放位置へ回動させたとき、全てのゲート部材4を同時に開放位置へ回動させる。
【0021】
スライド部材17は、ベース2の下方に、これと平行に水平移動自在設けられ、一括開放レバー13の回動に連動してベース2に対して閉鎖位置(図1,2,6において実線の位置)と開放位置(図1,2,6において仮想線の位置)の間を相対移動する。すなわち、スライド部材17は、ベース2の下部に水平に、進行方向に架設されたスライドレール26にスライダー27を係合させて移動する。
【0022】
駆動アーム16は、ゲート部材4の垂直軸8と一体に閉鎖位置と開放位置の間で水平回転するように、ベース2の下方において垂直軸8の下部に固着される。
【0023】
係合部材18は、駆動アーム16と係合するように、スライド部材17上に起立して固定される。スライド部材17は、垂直軸8−駆動アーム16−係合部材18を介してばね9により一方向へ付勢され、ゲート部材4と同様に常時閉鎖位置に配置される。開放レバー13が開放操作されると、スライド部材17は、ばね9の付勢力に抗して開放位置へ移動し、このとき駆動アーム16−垂直軸8を介して、ゲート部材4を開放位置へ配置する。
【0024】
進行方向に隣接する2つのゲート部材4,4間には、それぞれインタロック機構19が設けられる。すなわち、図7に示すように、2組のインタロック機構19が設けられる。各インタロック機構19は、図5、図9に示すように、スライド部材17の下部に設けられ、隣接する2つのゲート部材4,4の駆動アーム16、これらに対応するロック操作レバー20とロックレバー21、両レバー20,21間を連結するリンク22、これを一方向へ付勢するばね23で構成され、進行方向先頭側のゲート部材4が開放位置にあるとき、進行方向後方のゲート部材4が開放位置へ回動するのを阻止する。
【0025】
図7において、各ロック操作レバー20は、進行方向先頭側(図7において各組の左側)のゲート部材4の駆動アーム16の近傍に位置して、スライド部材17の下部に軸24で枢支される。ロックレバー21は、進行方向後方側(図7において各組の右側)の駆動アーム16(図示を省略)の近傍に位置して、スライド部材17の下部に軸25で枢支される。リンク22は、ロック操作レバー20とロックレバー21とを一体に、ロック位置と非ロック位置の間で回動させるために、両者の下端部間を連結する。ばね23は、スライド部材17とリンク22との間に介設され、ロック操作レバー20とロックレバー21をロック位置側へ回動付勢する。
図5ないし図7において、駆動アーム16が閉鎖位置にあり、ロック操作レバー20は、その上端がこの駆動アーム16の下面に当接して非ロック位置にある。ロック操作レバー20が非ロック位置にあるとき、ロックレバー21も倒伏した非ロック位置にあり、進行方向後方側の駆動アーム16の開放位置への回動を阻害しない(図6,7の状態)。図9において、駆動アーム16が開放位置にあり、ロック操作レバー20の上端がこの駆動アーム16の下面から外れると、付勢力で起立して、ロック操作レバー20、ロックレバー21がロック位置に配置される。ロックレバー21がロック位置にあるとき、起立して進行方向後方側の駆動アーム16の開放位置への回動を阻止する。
【0026】
この架空線吊架移動金具1を架空線T上に装着する場合には、一括開放レバー13の下部を図1,2において左方へ引いて解放位置へ操作すると、スライド部材17が右方の解放位置へ移動し、係合部材18により駆動レバー16を回動(図6において反時計方向)させ、垂直軸8を介して全ゲート部材4を解放位置に配置する。この状態で、架空線吊架移動金具1を架空線Tの下部に当節させ、一括開放レバー13を解放すると、ばね9の力で全ゲート部材4が同時に閉鎖位置に戻り、ゲート受け部材5に係合して、架空線Tの上に乗る。この間に、スライド部材17が閉鎖位置へ戻り、ロック操作レバー20は、駆動アーム16に押し下げられて非ロック位置に置かれる。
【0027】
この状態で、架空線吊架移動金具1を架空線Tに沿って、図において矢印で示す進行方向へ引くと、ゲート部材4のローラ7を転動させながら、架空線T上を移動させることができる。移動途上でハンガイヤーのような支持物Hによる支持位置に来ると、まず先頭のゲート部材4が支持物Hに押されて図3において反時計方向へ回動して解放位置に配置され、支持物Hは当該ゲート部材4を通過する。この間に、図6において左端の駆動アーム16が反時計方向へ回動して仮想線の位置に至る。これにより左端のロックレバー20が解放されてばね23の力で起立すると同時に、リンク22を介して、ロックレバー21が起立し(図9の状態)、進行方向後方に隣接する(図6において中央の)駆動アーム16の開放位置への回動が阻止され、それによりゲート部材4の開放が防止される。
【0028】
支持物Hが先頭のゲート部材4を通過すると、当該ゲート部材4はばね9の力で瞬時に閉鎖位置に戻され、同時に図6において左端のロックレバー20が駆動アーム16に押し下げられ、リンク22を介して、ロックレバー21が伏倒して非ロック位置に戻される。支持物Hが中間のゲート部材4を通過する時には、それの進行方向後方に隣接するゲート部材4と同様の関連動作を繰り返して、架空線吊架移動金具1は、架空線Tから脱落することなく円滑に走行することができる。
【0029】
ゲート部材4が開放位置にあるとき、その箇所における架空線Tに対する支持がなくなるので、ベース2が架空線Tに対してやや下がった状態となる可能性がある。この状態においても、ゲート受け部材5の切欠12における開放部12cが外広がりになっているので、開放部12cの上部が架空線Tより上位に開放しており閉鎖されることはない。一方、ゲート部材4が閉鎖位置から開放位置へ回動するとき、ゲート支持部材3の切欠孔の傾斜部11cにガイドされるために、ゲート支持部材3はベースに対してやや上昇する。したがって、開放位置にあって上昇位置にあるゲート部材4が開放位置から閉鎖位置へ戻るとき、架空線Tより上位に開放している切欠の開放部12cの上部に確実に進入し、円滑に閉鎖位置に復帰することができる。
【0030】
なお、ゲート部材4の垂直軸8をベース2に対して相対的に下方へ押し下げているばね10は、ベース2に負荷される許容荷重の範囲では、圧縮されないばね力を有する。したがって、架空線吊架移動金具1が架空線T上に装着された状態で、ベース2に許容以上の荷重がかかると、ばね10が圧縮される結果、ベース2の位置がゲート部材4および垂直軸8に対して相対的に下がることになる。そうすると、ゲート部材4の基端側がゲート支持部材3の切欠孔における保持部11aの上部に移動すると共に、先端側がゲート受け部材5の切欠における保持部12aの上部に移動する。このため、ゲート部材4は、基端側および先端側においてそれぞれ隘部11b、12bに阻まれて開放位置へ回動することができなくなる。ゲート部材4を開放位置へ回動させるためには、荷重を減じるか、架空線吊架移動金具1を下方からやや押し上げて移動させる必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明の架空線吊架移動金具は、例えば電気鉄道の架線の保守点検作業時等に、工具、測定機器等をトロリ線のような架空線に吊り下げて移動する装置等として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の架空線吊架移動金具の斜視図である。。
【図2】本発明の架空線吊架移動金具の正面図である。
【図3】本発明の架空線吊架移動金具の平面図である。
【図4】本発明の架空線吊架移動金具の側面図である。
【図5】本発明の架空線吊架移動金具における一部の断面図である。
【図6】図2におけるVI−VI断面図である。
【図7】本発明の架空線吊架移動金具におけるインタロック機構の説明図である。
【図8】本発明の架空線吊架移動金具におけるゲート支持部材の斜視図である。
【図9】本発明の架空線吊架移動金具におけるインタロック機構の正面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 架空線吊下移動金具
2 ベース
3 ゲート支持部材
4 ゲート部材
5 ゲート受け部材
6 一括開放機構
7 ローラ
8 垂直軸
9 ばね
10 ばね
11 切欠孔
11a 保持部
11b 隘部
11c 傾斜部
12 係合部(切欠)
12a 保持部
12b 隘部
12c 開放部
13 一括開放レバー
14 連結機構
15 ベースの下部延出部
16 駆動アーム
17 スライド部材
18 係合部材
19 インロック機構
20 ロック操作レバー
21 ロックレバー
22 リンク
23 ばね
24 軸
25 軸
26 スライドレール
27 スライダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から支持物により吊り下げ支持された架空線上を前記支持物をかわしつつ一方向へ移動可能な金具であって;前記架空線の下方に配置されるベースと;架空線の延線直交方向の片側に起立するように前記ベースに支持され、架空線の延線方向に相互間隔を置いて少なくとも3つ設けられたゲート支持部材と;このゲート支持部材に基端側において垂直軸によって水平回動自在に支持され、常時前記架空線の上方を延線直交方向に横断する閉鎖位置にあるように回転付勢され、架空線上を移動中に前記支持物に押されて架空線と平行になる開放位置へ回動可能なゲート部材と;前記ベースに支持され、前記架空線を挟んで前記ゲート支持部材に対向し、閉鎖位置にある前記ゲート部材の先端側に係合可能な係合部を有するゲート受け部材と;開放位置と閉鎖位置との間で回動操作可能に前記ベースに枢支された一括開放レバーと、この一括開放レバーを開放位置へ回動させたときに前記ゲート部材の全てを同時に開放位置へ回動させるように開放レバーと前記垂直軸との間を連結する連結機構とを含む一括開放機構と;を具備し、前記ゲート部材は、前記架空線上を直交方向に横断する状態で架空線上を転動可能なローラを備えることを特徴とする架空線吊架移動金具。
【請求項2】
前記一括開放機構の連結機構は、前記一括開放レバーの回動に連動して前記ベースに対して閉鎖位置と開放位置の間を相対移動可能にベースの下方に設けられたスライド部材と;前記ゲート部材の垂直軸と一体に閉鎖位置と開放位置の間で水平回転するように、垂直軸の下部に固着された駆動アームと;この駆動アームと係合するように、前記スライド部材上に固定され、駆動アームが閉鎖位置にあるとき駆動アームに付勢されてスライド部材を閉鎖位置に置き、前記開放レバーの開放操作に応じてスライド部材が開放位置へ移動するとき駆動アームを開放位置へ移動させるように配置された係合部材とを具備することを特徴とする請求項1に記載の架空線吊架移動金具。
【請求項3】
進行方向に隣接する2つの前記ゲート部材間には、進行方向先頭側のゲート部材が開放位置にあるときに進行方向後方のゲート部材が開放位置へ回動するのを阻止するインタロック機構が設けられることを特徴とする請求項1に記載の架空線吊架移動金具。
【請求項4】
前記インタロック機構は、進行方向先頭側の前記駆動アーム近傍の下方に位置して、前記スライド部材に枢支されたロック操作レバーと;進行方向後方側の前記駆動アーム近傍の下方に位置して、前記スライド部材に枢支されたロックレバーと;このロックレバーと前記ロック操作レバーとをロック位置と非ロック位置の間で一体に回動させるために、ロックレバーとロック操作レバーの下端部間を連結するリンクと;ロックレバーとロック操作レバーをロック位置側へ回動付勢する付勢部材とを具備し;前記ロック操作レバーは、前記スライド部材に中間が枢支され、進行方向先頭側の前記駆動アームが閉鎖位置にあるとき上端がこの駆動アームの下面に当接して非ロック位置にあり、当該駆動アームが開放位置にあるとき上端がこの駆動アームの下面から外れてロック位置にあるように配置され;前記ロックレバーは、前記スライド部材に中間が枢支され、非ロック位置にあるとき、進行方向後方側の駆動アームの開放位置への回動を阻害せず、ロック位置にあるとき、進行方向後方側の駆動アームの開放位置への回動を阻止するように配置されることを特徴とする請求項3に記載の架空線吊架移動金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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