説明

柄付き清掃具

【課題】払掃部材の柄への取付構造が簡単で、且つその払掃部材の取り付けを確実に行うことができ、しかも払掃部材の交換を容易に行うことができる柄付き清掃具を得る。
【解決手段】柄2に取り付ける払掃部材3を、柔軟な繊維束の中央部を緊締することにより、該中央部が括れて両端部で繊維束が拡散した形をなすように形成し、上記柄2の先端に、前方に向けて二股状に延出する一対の挟持アーム6,6を設けると共に、各挟持アーム6,6の先端部内側に係止用の突起6b、6bを設け、これら一対の挟持アーム6,6間に上記払掃部材3の中央の括れ部3aを弾力的に挟持させ、上記突起6b、6bに払掃部材3を係止させることにより、該払掃部材3を柄2に抜止状態で取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパーソナルコンピューターのキーボードやモニター等の各所に付着した塵埃を払掃するのに使用される柄付きの清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の柄付き清掃具としては、握持用の柄の先端に、清掃対象部位を払掃する払掃部材が固定的に取り付けられたハタキ状のものやブラシ状のもの、あるいは払掃部材が略球状に形成されたもの等が知られている。これらのタイプのものは、払掃部材が交換できないため、清掃によって払掃部材が汚れた場合にはその払掃部材に着いた塵埃をいちいち取り除くか、または清掃具全体を交換する必要があり、何かと不便であった。
そこで、払掃部材が柄の先端に着脱自在に取り付けられて、汚れた場合には該払掃部材を交換できるものが望ましいが、その払掃部材の取り付けにあたっては、製造面や取り扱い易さの面から、取付構造が簡単でありながら確実に取り付けることができ、しかも交換作業が容易であることが求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、払掃部材の柄への取付構造が簡単であると共に、その払掃部材の取り付けを確実に行うことができ、しかも払掃部材の交換を容易に行うことができる柄付き清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため本発明の柄付き清掃具は、握持用の柄と、該柄の先端に着脱自在に取り付けられた払掃部材とを備え、上記払掃部材は、柔軟な繊維束の中央部を緊締することにより、該中央部が括れて両端部で繊維束が拡散した形をなすように形成され、上記柄は、前方に向けて二股状に延出する一対の挟持アームを先端に有すると共に、各挟持アームの先端部内側に係止用の突起を有していて、これら一対の挟持アーム間に上記払掃部材の中央の括れ部を弾力的に挟持させると共に、上記突起を該払掃部材に係止させることにより、該払掃部材が柄に抜止状態で取り付けられていることを特徴とするものである。
【0005】
本発明においては、上記一対の挟持アームが、柄の先端の互いに相対する位置に対称に配設されていて、外に向けて凸状の形に湾曲しており、また、各挟持アームの先端を斜め内側を向く傾斜面とすることにより、両挟持アームの先端部間に、上記払掃部材を押し込むための先広がり状をした空間部を有するものとすることができる。また、この場合、上記傾斜面の延長上に上記係止用の突起が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の柄付き清掃具。
【発明の効果】
【0006】
本発明の柄付き清掃具によれば、柄と払掃部材との連結を、柄の先端に二股状に延出する一対の挟持アーム間に、払掃部材の中央部の括れ部を弾性的に挟持させるという単純な構成によって行うことができ、また、各挟持アームの先端部内側の係止用の突起によって払掃部材の挟持アーム間からの抜脱を防止するため、払掃部材を柄に確実に取り付けることができる。さらに、払掃部材の交換は、括れ部を上記挟持アーム間から抜き挿しするだけで取り付け・取り外しができ、容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜図5は本発明に係る柄付き清掃具の一実施例を示すもので、この実施例の清掃具1は、握持用の柄2と、該柄2の先端に着脱自在に取り付けられた払掃部材3とを有している。
【0008】
上記払掃部材3は、図5に示すように、中央部が括れ且つ両端部で繊維端が拡散した形に形成された全体として略球状のもので、該中央部の括れ部3aが上記柄2の先端に連結されている。
この払掃部材3は、複数のフィラメントを揃えてなる柔軟な繊維束を不織布製の基布に固定した上で、図4に示すように、それらの繊維束及び基布を束ねて中央部(図4中、一点鎖線であらわした位置)を上記括れ部3aが形成されるように緊締(この実施例の場合、図5に示すように、紐4で縛っている。)すると共に、該中央部から一定の長さの両側部分で切断し、繊維をほぐすことにより起毛状態にしてボリュームを保持させている。したがって、この払掃部材3は、繊維の解繊によって勝れた弾力性と柔軟性を発揮するため、清掃対象部位の形状に適応しながら変形し、しかもその起毛した繊維が狭い部分まで入り込んで塵埃を確実に絡め取るため、複雑な形状をした部位であっても隅々まで清掃を行うことができる。
なお、上記払掃部材3は、上記括れ部3aにおいても若干の弾力性を有していて、後述する一対の挟持アーム5,5間に挟持させるに際しては、この括れ部3aが弾力的に変形・縮小してこれらの挟持アーム5,5間に押し込み易くなっている。
【0009】
上記柄2は、全体として棒状に形成されたもので、図1及び図2に示すように、丸棒条をした本体部2aと、基端側に設けられた扁平で本体部2aより幅広の操作用の握持部5と、上記本体部2aの先端に設けられた、上記払掃部材3を取り付けるための一対の挟持用アーム6,6とを一体に備えている。
この柄2は、適度な弾性と剛性を有する合成樹脂により形成されていて、使用者が払掃部材を清掃対象部位に押し付けた際には全体が適度に撓み、払掃部材3に使用者の力を適度に伝えながらもソフトなタッチが得られるようになっている。
【0010】
上記一対の挟持アーム6,6は、図3に示すように、上記本体部2aの前方、即ち上記握持部5とは反対側の方向に向けて二股状に延出したもので、柄の先端の互いに相対する位置に対称に配設され、外に向けて凸の形に湾曲している。そして、これらの挟持アーム6,6が弾力的に撓むことにより両挟持アーム6,6の間が拡大して、これらの挟持アーム間に上記払掃部材3の括れ部3aを押し込み、あるいは引き抜くことができ、元の位置に復帰することにより該括れ部3aを弾力的に挟持することができるように構成されている。この実施例においては、上記挟持アーム6,6間に、上記払掃部材3の括れ部3aに適応した大きさの空間7が形成されており、括れ部3aをこの空間7内に収容した状態で挟持することにより、払掃部材3をより安定的に保持できるようにしている。
なお、この実施例の挟持アーム6,6は、図3から分かるように、各挟持アーム6の基端部分を他の部分に比べて若干幅狭とし、各挟持アーム6がこの基端部分で撓み易くしており、これによって両挟持アーム6,6の先端間の幅が弾性的に拡縮し易くしている。また、各挟持アーム6は、上記柄2の本体部2aの径より厚みが小さい断面略矩形状としている。
【0011】
上記各挟持アーム6,6の先端は、それぞれ斜め内側を向く傾斜面6a,6aとなっていて、両挟持アーム6,6の先端部間に上記払掃部材3を押し込むための先広がり状をした空間8が形成されており、これによって該払掃部材3の括れ部3aを挟持アームの間の空間7内に押し込み易くしている。なお、図3から分かるように、上記傾斜面6aは、他方の挟持アームの傾斜面側に凸となる緩やかな湾曲面となっている。
【0012】
さらに、上記各挟持アーム6,6の先端部内側には、両挟持アーム6,6間に挟持した払掃部材3の抜止めとして機能する係止用の突起6b,6bがそれぞれ形成されている。 この突起6bは、図3に示すように、上記各挟持アーム6の傾斜面6aの延長状、即ち、該傾斜面6aが内側に延出する位置に形成され、挟持アーム6,9が挟持した払掃部材3の括れ部3aに食い込むように位置して該払掃部材3を抜止め状態に係止している。
【0013】
上記構成を有する柄付き清掃具は、払掃部材3の括れ部3aを一対の挟持アーム6,6間に押し込むことによりこれら一対の挟持アーム6,6に払掃部材を弾性的に挟持させ、柄2を手で握って清掃体操部位の払掃を行う。一方、清掃により払掃部材3が汚れた場合には、該括れ部3aを挟持アーム6,6を撓ませながら引き抜き、交換する。
このとき、柄2と払掃部材3との連結は、柄2の先端に設けた二股状の一対の挟持アーム6,6間に、払掃部材3の括れ部3aを弾性的に挟持させるだけであるため、これら払掃部材3の柄2への取付構造はきわめて簡単である。さらに、払掃部材3の柄2への取り外し・取り付けは、払掃部材3の括れ部3bを、挟持アーム6,6を撓ませながらこれらの挟持アーム6,6間から抜き挿しするだけで行うことができるため、交換作業はきわめて容易である。その一方で、各挟持アーム6,6の先端部内側の突起6b,6bが、払掃部材3の括れ部3aに食い込んで挟持アーム6,6間から抜け落ちないよう係止するため、取付構造が単純でありながら該払掃部材3を柄に確実に取り付けることができる。
【0014】
上記実施例においては、上記払掃部材3は、繊維束の中央部を紐4で縛って緊締することにより形成された構成となっているが、この繊維束を緊締する手段は、中央部に上記括れ部3aが形成されるものであれば、例えば繊維束の中央部を金具で縛ったり、接着したりするなど、適当な手段を用いることができる。
また、この実施例では、上記払掃部材3を全体として略球状に形成しているが、この払掃部材3の形状は、柔軟な繊維束の中央部を各種手段で緊締することにより、該中央部が括れて両端部で繊維束が拡散した形であれば球状以外の形状であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る柄付き清掃具の一実施例を示す正面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】柄の挟持アーム部分の要部拡大図である。
【図4】払掃部材の作成の過程において、繊維束の中央部を緊締する前の状態を概略的に示す説明図である。
【図5】払掃部材を概略的に示す一部断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 柄付き清掃具
2 柄
3 払掃部材
3a 括れ部
6 挟持アーム
6a 傾斜面
6b 突起
8 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
握持用の柄と、該柄の先端に着脱自在に取り付けられた払掃部材とを備え、
上記払掃部材は、柔軟な繊維束の中央部を緊締することにより、該中央部が括れて両端部で繊維束が拡散した形をなすように形成され、
上記柄は、前方に向けて二股状に延出する一対の挟持アームを先端に有すると共に、各挟持アームの先端部内側に係止用の突起を有していて、これら一対の挟持アーム間に上記払掃部材の中央の括れ部を弾力的に挟持させると共に、上記突起を該払掃部材に係止させることにより、該払掃部材が柄に抜止状態で取り付けられている、
ことを特徴とする柄付き清掃具。
【請求項2】
上記一対の挟持アームが、柄の先端の互いに相対する位置に対称に配設されていて、外に向けて凸状の形に湾曲しており、また、各挟持アームの先端を斜め内側を向く傾斜面とすることにより、両挟持アームの先端部間に、上記払掃部材を押し込むための先広がり状をした空間部を有することを特徴とする請求項1に記載の柄付き清掃具。
【請求項3】
上記傾斜面の延長上に上記係止用の突起が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の柄付き清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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