説明

梅干とごぼうを素材とした甘味のある食品

【課題】
梅干とごぼうを食べやすいかたちに加工し、糖類や甘味料を使用しなくても甘味のある食材を提供すること。
【解決手段】
梅干とごぼうを水で数時間から数十時間時間煮ることから得られる甘味と食感を利用する。煮た後の煮汁および/またはゴボウおよび/または梅干の果肉をすりつぶして使用することで、独特の甘味と食感を有する食品を提供できる。また煮た後のゴボウを乾燥させることで、ドライフルーツのような甘味と食感を持つ食品を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梅干とごぼうを素材とした甘味のある食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、砂糖の過剰摂取からくる身体への弊害が広く認知されるようになり、砂糖に代わる甘味料や果物を用いることにより砂糖の使用を抑えた食品が多く見受けられる。また、糖尿病治療や健康改善などの理由で、甘味料や果物の摂取を控える傾向も存在している。
【0003】
梅干は健康に良い食品として知られており、クエン酸による血液状態の改善等、数々の効能が知られている。またごぼうは、食物繊維を多く含む食材として、腸内環境の改善等、数々の効能が知られている。
しかし、伝統的製法による梅干は一般に酸味が強く塩辛いため、今日では敬遠されがちである。またごぼうは、土臭さとも呼ばれる独特の香りを嫌う人も多く、ほとんどの調理法で硬い食感が残ることにより、お年寄りなど歯の弱い人にも敬遠されがちである。
【0004】
梅干、ごぼうの上記のような敬遠される要素を改善すべく、近年さまざまな工夫がなされているが、それらの工夫はなんらかの加工段階で糖類や甘味料を添加して梅干やゴボウの味や香りを打ち消そうとするものがほとんどである。
【0005】
従来、梅干とごぼうを水で数時間から数十時間時間煮るという調理法があった。(非特許文献1、非特許文献2)しかし、調理後のごぼうをそのままのかたちで食べるのが一般的であり、また材料の比率や調理法によって甘味を引き出すことが出来ないため、甘味に注目した使用はなされていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】松本光司著 「穀菜和食」柴田書店 2005年
【非特許文献2】千坂輸紀夫 竹森美佐子著「千坂式食事法」主婦の友社2005年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、梅干とゴボウを数時間から数十時間煮込むことで、糖類や甘味料を添加しなくても独特の酸味をおびた甘みがでることに着目したもので、梅干とゴボウを食べやすいかたちで摂取できる食品を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、梅干とゴボウを水で数時間から数十時間時間煮込み、これを食材として使用する。
【0009】
煮込み時間に関しては、1時間以上煮たあたりから食材は甘味を持ち始めるが、40時間以上煮たものが甘味や食感の面で好ましい。ゴボウと梅干の比率はゴボウに対して梅干1%から20%ほどが好ましい。また梅干は、梅実に対して2割程の塩および紫蘇の葉のみで漬けられた伝統的製法によるものが好ましい。またごぼうは、出来るだけ農薬を抑えたものを用いたほうが甘味を引き出す上で好ましい。
【発明の効果】
【0010】
この発明の食材は糖類などの甘味料を添加しなくても甘みがあるので、糖類の摂取を控える人に好適であり、ごぼうの繊維により食物繊維の不足を補う健康食品となり、梅干とごぼうを食べやすいかたちで摂取できる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
梅干とごぼうを水で数時間から数十時間煮込んだあとの煮汁、ごぼう、梅干はすべて独特の酸味をおびた甘味を有し、食材として使用できる。煮た後の煮汁および/またはゴボウおよび/または梅干の果肉をすりつぶしてペースト状にすることで、菓子や料理への利用ができ、ジャムやソースに加工することができる。また、煮た後のゴボウを乾燥させることで、保存性に優れた、ドライフルーツに似た食感と味の食材が得られる。
【実施例1】
【0012】
ゴボウ1000gと梅干100gを覆い被るくらいの水で40時間ほど途中水を足しながら煮込む。このゴボウ150gをすりつぶしてペースト状にして、白ワイン20gと葛粉10gを混ぜ、葛粉が糊化するまで火にかける。この実施例による食材はジャムとして、パンに塗ることのほか、調味料として各種料理に使用できる。
【実施例2】
【0013】
ゴボウ1000gと梅干100gを覆い被るくらいの水で40時間ほど途中水を足しながら煮込む。この、梅干の果肉30g ゴボウ100g煮汁150g および白ワイン10gをすりつぶしてペースト状にする。ここに粉末唐辛子1g.をまぜる。この実施例による食材はソースとして、揚げ物、お好み焼き、たこ焼き等の料理にかけるほかに、調味料として各種料理に使用できる。
【実施例3】
【0014】
ゴボウ1000gと梅干100gを覆い被るくらいの水で40時間ほど途中水を足しながら煮込み、ゴボウを3日間天日乾燥させる。この実施例による食材はドライフルーツと同様に、そのままおやつとして、または酒類に漬け込んで菓子・パン類の材料に、または料理の食材として使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梅干とゴボウを水で数時間から数十時間煮込み、この煮汁および/またはゴボウおよび/または梅干の果肉をすりつぶした食材。
【請求項2】
請求項1の食材に葛粉などの澱粉、または増粘安定剤でとろみをつけたジャム。
【請求項3】
請求項2のジャムにおいて、アルコール類や練りゴマなどの調味料を添加したことを特徴とするジャム。
【請求項4】
請求項1の食材に香辛料や調味料を加えたソース。
【請求項5】
梅干とゴボウを水で数十時間煮込み、そのごぼうを乾燥させた食材。

【公開番号】特開2010−246447(P2010−246447A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98129(P2009−98129)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(709001672)
【Fターム(参考)】