説明

梱包装置

【課題】特別な引き締め機構や、モータのブレーキ機構を組み込まなくても、引き締めたバンドが緩まず、コストを抑えた梱包装置を提供すること。
【解決手段】バンド搬送用モータM1と、カム軸26を回転させるカム軸用モータM2とをコントローラCに接続し、梱包物にかけたバンドの先端側を第1押え機構11で押えた状態で、バンド搬送用モータM1によってバンドを引き締めた後、引き戻し側を押える第2押え機構12と、バンドを溶着する溶着機構13と、溶着部よりバンド送り出し側をカットするカット機構15とをカム軸26の回転によって順次動作させる構成にし、コントローラCは、バンド引き締め工程で、バンド搬送用モータM1に流れる電流値を検出し、この検出値IM1が予め設定した設定値を検出した時点で、カム軸用モータM2の駆動を開始し、バンド搬送用モータM1の回転が停止する前に、第2押え機構12が動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、梱包物にバンド掛けをする梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3〜図6は従来から知られた梱包機で、本体1の斜視図を図3に示す。
この梱包装置は、上記本体1に一対のテーブル2、3を設置するとともに、それらテーブル2、3間に、所定の間隔を保ってバンド通路4を確保している。上記テーブル2、3の両端には、アーチガイド5を固定し、このアーチガイド5にはバンド通路6を設けている。
また、上記本体1には、上押え板7を設けているが、この上押え板7を、バンド通路4と直交する方向に往復動可能に取り付けている。従って、この上押え板7は、バンド走行軌跡を横切る方向に突出したり、あるいはそこから外れる方向に退避したりできる。
【0003】
さらに、この本体1には、バンドBをバンド通路6に導くバンドガイド8(図4参照)を設けている。このバンドガイド8は、上押え板7と同様に、バンド走行軌跡内に突出したり、あるいはそこから外れる方向に退避したりできるようにしている。このバンドガイド8には、上押え板7の下側に接触する凸部からなるストッパー9と、バンドBをバンド通路6に導く案内通路10とを形成している。
そして、ストッパー9は、案内通路10のバンド入口側10aとの間に十分な距離を確保するようにしている。すなわち、案内通路10を入口側10aと出口側10bとに分けたとき、出口側10bにストッパー9を位置させている。
【0004】
さらに、本体1には、第1下押え部材11と、第2下押え部材12と、図6に示すヒーター13と、プレス部材14と、このプレス部材14と一体に取り付けた下刃15とを備えている。
上記第1下押え部材11は、上記案内通路10の入口側10aよりもバンド送り出し側に上下動可能に設けている。そして、この第1下押え部材11にはガイド孔16を形成している。さらに、このガイド孔16のバンド供給方向前方の開口縁を上刃17とし、上記下刃15とこの上刃17とが相まってカッター機構を構成するようにしている。
【0005】
しかも、この第1下押え部材11は、その最上昇位置で、上端の滑り止め部11aが、上押え板7の下側に押し付ける関係にしている。詳細に述べると、この滑り止め部11aを凸型にし、この滑り止め部11aの型に合う凹部7aを上押え板7に設けている。そして、この滑り止め部11aと上押え板7の凹部7aとで、バンド先端部分を挟持する挟持機構を構成している。
【0006】
また、上記第2下押え部材12は、上押え板7の下方であって、案内通路10の出口側10bに対応する位置に、上下動可能に設けている。この第2下押え部材12は、バンドガイド8がバンド走行軌跡から退避した後に上昇する。そして、第2下押え部材12の上端の滑り止め部12aが上押え板7の下側に押し付けられ、案内通路10の出口側10bに対応する位置のバンドBを挟持する。
すなわち、この滑り止め部12aを凸型にし、この滑り止め部12aの型に合う凹部7bを上押え板7に設けている。そして、この滑り止め部12aと上押え板7の凹部7bとで、バンドBを挟持するバンド挟持機構を構成する。
さらに、ヒーター13は、バンド走行軌跡内に位置したり、その軌跡から外れる位置に退避したりできるようにしている。
【0007】
プレス部材14も、上押え板7の下方であって、案内通路10の入口側10aに対向する位置に、上下動可能に設けている。このようにしたプレス部材14には下刃15を一体に取り付けるとともに、上記バンドガイド8がバンド走行軌跡から退避した後に上昇するようにしている。
【0008】
上記第1下押え部材11よりも外側には、バンド搬送用モータを連結したフィードローラ18と、このフィードローラ18に対向するアッパーローラ19とを設けている。さらに、これらローラ18、19の外側にはテンションアーム20を設けている。
このテンションアーム20には、バンドBを通す通路21と、ピン22を中心に回動するテンションジョー23と、このテンションジョー23を図面時計方向に強制的に回動させる押え部材24とを備えている。そして、これらテンションアーム20、テンションジョー23および押え部材24で、引き締め機構を構成する。
【0009】
上記のように構成した梱包機を用いて、以下のように、梱包物にバンド掛けをする。
まず、バンドガイド8を図4に示すようにバンドの走行軌跡内の位置に保つとともに、第1下押え部材11のガイド孔16をバンドガイド8の案内通路10に対向させる。上記の状態から、リール25に巻いたバンドBを、図示していないプールボックスを経由して引き出し、引き締め機構及びバンド送り出し機構を通してガイド孔16および案内通路10に挿入する。
そして、バンド搬送用モータを駆動してフィードローラ18を図4の矢印方向に回転すると、バンドBはアーチガイド5のバンド通路6を高速で走行し、その先端をバンドガイド8のストッパー9に衝突させる。ストッパー9にバンドBが衝突した時点で、バンドの送り出しを停止する。
【0010】
次に、アーチガイド5内におけるテーブル2、3に、図4に示すように、梱包物Wを置く。作業者が起動ボタンを押すと、図5に示すように、第1下押え部材11をさらに上昇させて、滑り止め部11aと上押え板7とでバンドBを挟持する。このようにバンドBを挟持し終わった時点で、バンドガイド8をバンド走行軌跡から退避させる。
【0011】
バンドガイド8がバンド走行軌跡から退避すると、フィードローラ18を、図5の矢印方向に逆転させてバンドBを引っ張る。すると、バンドBはバンド通路6から強制的に外されて梱包物Wに巻きつく。
【0012】
バンドBが梱包物Wに巻きついたら、今度は、押え部材24で押しながら、テンションジョー23を時計方向に回し、バンドBをしっかりと保持する。そして、テンションアーム20を図6の矢印方向に回して、バンドBをさらに引っ張る。このようにしてバンドBを引っ張って引き締めてから、第2下押え部材12を最上位まで上昇して、この第2下押え部材12の滑り止め部12aと上押え板7とで、バンドBを挟持する。
【0013】
この状態では、バンドBの送り出し方向先端部分と、その元の部分とが、上下に間隔を保持して対向する。この対向間隔に、図6に示すようにヒーター13を挿入して、バンドBの表面を溶かす。バンドBの表面が溶けたら、図6に示すプレス部材14が上昇し、その溶けた部分を押し付けて両者を接着する。この時、このプレス部材14に設けた下刃15も上昇するので、ガイド孔16に形成した上刃17と相まってバンドBをカットする。
このようにバンドBをカットした後、上押え板7はバンドの走行軌跡から退避する。
【0014】
なお、上記本体1内のバンド走行軌跡内に突出したり退避したりするために水平方向に移動するバンドガイド8、ヒータ13や、上下に移動する第1、第2下押え部材11,12、プレス部材14,下刃15、バンドを引き締めるためのテンションアーム20などは、全て共通のカム軸に設けられたカムによって移動するようにしている。そして、このカム軸には、上記フィードローラ18を回転させる搬送用モータとは別の、カム軸用モータを連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2002−104317号公報(図6、図7、図8、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記従来の梱包装置では、梱包物Wに掛けまわしたバンドを引き締めるための引き締め機構として、上記テンションアーム20、テンションジョー23、押え部材24が必要であった。そのため、部品点数が多くなるとともに、これらを駆動するカム機構が複雑になってしまうという問題があった。さらに、テンションアーム20はカム機構によって回動するため、その回動量に限界があるとともに、回動量を自由に制御することができない、すなわち引き締め量のコントロールが難しいという問題があった。
【0017】
これに対し、上記テンションアーム20などからなる引き締め機構を省略し、上記フィードローラ18を逆転させることによってバンドを引き締める梱包装置が知られている。このように、フィードローラ18を逆回転させることでバンドを引き締める梱包装置では、バンドが梱包物Wに引き締められた後、第2下押え部材12が上昇してバンドを押えるまでの間、フィードローラ18と上記アッパーローラ19とによってバンドを挟んで引き締めた状態を維持する必要がある。つまり、バンドのテンションによって上記両ローラー18,19が引き戻されることがないようにしなければならない。
【0018】
そのため、この種の梱包装置では、フィードローラ18に連係したバンド搬送用モータにブレーキ機構を設けて、バンドを引き締めてから第2下押え部材12が上昇してバンドを抑えるまでの間、フィードローラ18の停止状態を維持するようにしていた。
しかし、上記のように、バンド搬送用モータの停止状態を維持するブレーキ機構が必要になれば、ブレーキ機構の分の部品点数が多くなり、備品コストも上がってしまう。
この発明の目的は、特別な引き締め機構や、モータのブレーキ機構を組み込まなくても、引き締めたバンドが緩まず、コストを抑えた梱包装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明は、梱包物に掛けまわすバンドのバンド通路と、バンドを送り出したり、引き戻したりするバンド搬送用モータと、梱包物にかけまわしたバンドの先端側を押える第1押え機構と、第1押え機構で先端側を押えた状態でバンドを引き締めた後、引き戻し側を押える第2押え機構と、この第2押え機構によって押えた位置より送り出し側におけるバンドの重なり部間を溶着する溶着機構と、バンドの溶着部よりバンド送り出し側をカットするカット機構とを備え、上記第2押え機構、溶着機構、及びカット機構を、カムを設けたカム軸をカム軸用モータの回転によって順次動作させる構成にし、上記バンド搬送用モータ及び上記カム軸用モータを制御するコントローラを備えた梱包装置を前提とする。
【0020】
第1の発明は、上記装置を前提とし、上記コントローラは、上記バンド搬送用モータによってバンドを引き締めるバンド引き締め工程で、バンド搬送用モータの消費電流あるいは電圧を検出する機能と、この検出値が予め設定したカム軸用モータを駆動させるための設定値を検出した時点で、上記カム軸用モータの駆動を開始し、第2押え機構を動作させる機能とを備え、バンド搬送用モータの回転が停止する前に、第2押え機構が動作する構成にしたことを特徴とする。
第2の発明は、上記コントローラに、上記バンド搬送用モータを停止させるための電流あるいは電圧の設定値を設定するとともに、この停止用の設定値を上記カム軸用モータを駆動させるための設定値よりも大きい値にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
第1、第2の発明では、バンド搬送用モータを利用してバンドの引き締めを行い、第2押え機構によってバンドを押えてから引き締め方向に回転している搬送用モータを停止させるようにしている。そのため、バンド搬送用モータにバンドの引き締め状態を維持するためのブレーキ機構を備える必要がなくなる。
従って、特別な引き締め機構や、ブレーキ機構を組み込む場合と比べて、部品コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施形態の梱包装置の制御機構を示す模式図である。
【図2】実施形態のコントローラの機能を示すフローチャートである。
【図3】従来例の梱包装置の斜視図である。
【図4】従来の梱包装置の構成図で、梱包工程の初期の工程を示すものである。
【図5】従来の梱包装置の構成図で、図4に示す工程の後の工程を示すものである。
【図6】従来の梱包装置の構成図で、図5に示す工程の後の工程を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下にこの発明の実施形態と示す。
この実施形態の梱包装置は、上記テンションアーム20、通路21、ピン22、テンションジョー23、及び押え部材24からなる引き締め機構を備えずに、フィードローラ18を逆回転することによってバンドを引き締めるようにしている点で、図3〜図6に示した従来の梱包装置とは異なる。但し、従来の梱包装置と共通の構成も多く含んでいるので、同様の機能を有する構成要素には、図3〜図6と同じ符号を用いるとともに、以下の説明にも図3〜図6を参照する。
【0024】
この実施形態の梱包装置は、図4、図5に示すように、正転及び逆転して、バンドBを搬送するためのフィードローラ18とこれと従動するアッパーローラ19とを備えているが、フィードローラ18には、図1に示すようにバンド搬送用モータM1を連結している。つまり、この搬送用モータM1の回転によってフィードローラ18が正転したり逆転したりする。
なお、ここで、バンド搬送用モータM1の正転とはバンドBを梱包物W側へ送り出す方向の回転のことであり、逆転とは梱包物Wに掛けたバンドBを引き締める方向の回転のことである。
【0025】
また、この実施形態の梱包装置においても、上記従来例と同様に、水平方向に移動して、バンドBの走行軌跡内に進入したり退避したりするバンドガイド8、バンドB間に進入したり退避したりするヒータ13、上押え板7に対して上下する第1、第2下押え部材11,12、やはり上下移動するプレス部材14及び下刃15は、全てカム機構によって駆動される。
なお、上記第1押え機構11と上記上押え板7とでこの発明の第1押え機構を構成し、上記第2押え機構12と上押え板7とでこの発明の第2押え機構を構成する(図4〜図6参照)。
【0026】
図1は、この実施形態の梱包装置の制御機構を示す模式図である。この図1に示すように、上記カム機構によって駆動される各部材は、共通のカム軸26に設けたカムに連係して設けられるとともに、このカム軸26はカム軸用モータM2に連結されている。従って、このカム軸用モータM2が駆動して回転するカムによって上記した各部材が所定のタイミングで水平移動や上下移動するように構成されている。
そして、上記カム軸用モータM2は、これを制御するコントローラCを接続している。
【0027】
なお、図1は模式図であり、上記カム軸26には、各部材を駆動するためのカムを部材ごとに設けたよう示しているが、実際には、駆動される部材ごとに個別のカムを設けてもよいし、複数の部材を共通のカムで駆動するようにしてもよい。そして、駆動される部材は、カム軸26に設けたカムに直接接触するものに限らず、リンクなどの伝達機構を介してカムと連結するようにしてもよい。要するに、カム軸26の回転によって所定の動きをするようになっていればよい。
【0028】
さらに、上記コントローラCには、バンド搬送用モータM1を接続し、このバンド搬送用モータM1には上記フィードローラ18を連結し、バンドBの搬送もこのコントローラCが制御するようにしている。但し、バンド搬送用モータM1は、上記したように正逆両方向に回転可能であり、コントローラCがそれを制御する。
また、このコントローラCには、上記バンド搬送用モータM1の消費電流値IM1を検出する機能を備えていている。この電流値IM1はバンド搬送用モータM1に掛かる負荷に応じた値で、負荷が大きくなれば大きくなるものである。
なお、図中の符号27は、作業者が押す起動スイッチである。
【0029】
次に、この実施形態の梱包装置によって梱包物Wにバンド掛けをする工程を説明する。
まず、バンドガイド8を図4に示すようにバンドの走行軌跡内の位置に保つとともに、第1下押え部材11のガイド孔16をバンドガイド8の案内通路10に対向させる。上記の状態から、リール25に巻いたバンドBを、図示していないプールボックスを経由して引き出し、フィードローラ18とアッパーローラ19間を通してガイド孔16および案内通路10に挿入する。
【0030】
そして、コントローラCがバンド搬送用モータM1を駆動してフィードローラ18を図4の矢印方向に回転すると、バンドBはアーチガイド5のバンド通路6を高速で走行し、その先端をバンドガイド8のストッパー9に衝突させる。ストッパー9にバンドBが衝突した時点で、コントローラCはバンド搬送用モータM1を停止させバンドBの送り出しを停止する。なお、上記ストッパー9には、バンドBが衝突したことを検出する図示しないスイッチを備え、その検出信号に基づいて上記コントローラCがバンド搬送用モータM1を停止させるようにする。
【0031】
次に、アーチガイド5内におけるテーブル2、3に、図4に示すように、梱包物Wを置き、作業者が起動ボタン27を押す。
ここまでは、上記従来例の梱包装置と同じである。
以降の工程を、図2に示すフローチャートに従って説明する。なお、このフローチャートは、コントローラCの制御と、それに基づく各部材の動作を示したものであり、コントローラの処理ステップは実線で囲んだステップのみである。
【0032】
ステップS1で、作業者が起動ボタン27を押すと、コントローラCに起動信号が入力される。
コントローラCは、起動信号が入力されたら、ステップS2でカム軸用モータM2を回転させる。
カム軸用モータM2を回転させると、カム軸26が回転し、このカム軸26に設けたカムの回転によって、第1押え部材11が上昇して滑り止め部11aと上押え板7とでバンドBを挟持する(ステップS3)。さらにカム軸26が回転し、上記のようにバンドBを挟持し終わった時点で、バンドガイド8をバンド走行軌跡から退避させる(ステップS4)。
【0033】
ステップS5で、バンドガイド8がバンド走行軌跡から退避したタイミングで、コントローラCは、一旦カム軸用モータM2を停止させる。
次に、ステップS6で、コントローラCは搬送用モータM1を逆転させフィードローラ18を図5の矢印方向に逆転させてバンドBを引っ張る。すると、バンドBはバンド通路6から強制的に外されて梱包物Wに巻きつく。
バンドBが梱包物Wに巻きついても、バンド搬送用モータM1の回転を止めないので、バンドBをさらに引っ張る。このようにしてバンド搬送用モータM1によってバンドBを引っ張って引き締める。
【0034】
このように、バンド搬送用モータM1を逆転させてバンドBを引き締めている工程で、コントローラCはバンド搬送用モータM1の消費電流値IM1を監視している。
ステップS7で、コントローラCは、図1に示す破線の矢印のようにバンド搬送用モータM1から入力される電流値IM1を予め設定されている設定値Iと対比して、上記消費電流値IM1が設定値に達しているか否かを判定する。
ステップS7で、上記消費電流値IM1が設定値Iに達した場合には、ステップS8へ進むが、上記消費電流値IM1が設定値Iに達していない場合には、その状態を維持する。すなわち、バンド搬送用モータM1は逆転を続け、カム軸用モータM2は停止したままである。
【0035】
上記消費電流値IM1は、バンド搬送用モータM1に作用する負荷の大きさに応じた値となるので、負荷が大きくなれば大きな値になる。ステップS6でバンド搬送モータM1を逆転開始しているので、ステップS7ではバンドBの引き締め動作中である。梱包物Wに掛けられたバンドBに緩みがあるうちは、上記バンド搬送用モータM1には特に負荷が作用しないが、バンドBが引き締められると負荷が大きくなる。つまり、コントローラCは、上記消費電流値IM1によってバンドの引き締め状態を監視することができる。
【0036】
そして、バンドBが十分に引き締められ、バンド搬送用モータM1の消費電流値が設定値Iに達した時点で、ステップS8に進み、カム軸用モータM2を再び回転させる。
カム軸26は、上記ステップS4でバンドガイド8をバンドの走行軌跡から退避させた状態で停止していたが、回転を開始すると、ステップS9ではカムによって第2下押え部材12が上昇し、バンドBを押える。この状態では、梱包物Wに撒きついたバンドBが、第1下押え部材11と第2下押え部材12とによって押えられ、引き締め状態を維持するとともに、バンドBの送り出し方向先端部分とその元の部分とが、上下に間隔を保持して対向する。
【0037】
ステップS10で、コントローラCはバンド搬送用モータM1の消費電流値IM1が設定値Iに達したか否かを判定し、達していた場合にはステップS11へ進んでバンド搬送用モータM1を停止させる。
上記設定値Iは、この発明のバンド搬送用モータを停止させるための設定値であり、ステップS7で消費電流値IM1と対比した、カム軸用モータM2を駆動するための設定値Iよりも大きな値である。従って、バンドBが第2下押え部材12によって押えられた後、さらにバンドBを引っ張ることによってバンド搬送用モータM1の負荷が大きくなったことを検出してバンド搬送用モータM1を停止させることになる。
【0038】
このように、バンド搬送用モータM1が引き締め動作を続けている間に、カムによって第2下押え部材12が上昇してバンドBを押え、バンドBの引き締め状態を第2押え部材12によって保持することができる。
なお、バンド搬送用モータM1は、第2下押え部材12がバンドBを押えてから停止させることができればよいので、バンド搬送用モータM1の停止タイミングをカム軸用モータM2の回転開始を基準にして設定しておけば、上記ステップS10を省略することもできる。
【0039】
上記ステップS11でバンド搬送用モータM1が停止後も、カム軸用モータM2によってカム軸26は回転を続け、ステップS12ではカムによって予め通電され熱くなっているヒータ13が上下に対向しているバンドB間に進入する。そして、ヒータ13がバンドBに接触し、その表面が溶融する
バンドBの表面が溶融したら、カムによって上記ヒータ13はバンドB間から退避する(ステップS13)。
【0040】
さらに、ステップS14では、カムによってプレス部材14が上昇し、上記バンドBの溶けた部分を押し付けてバンドBを接着する。この時、このプレス部材14に設けた下刃15も上昇し、ステップS15でガイド孔16に形成した上刃17と相まってバンドBをカットする。
このようにバンドBをカットした後、ステップS16で、カムによって上押え板7がバンドの走行軌跡から退避する。
ステップS17で、コントローラCはカム軸用モータM2を停止させる。
以上で、梱包物Wにバンドを掛ける動作が終了する。
なお、上記実施形態では、コントローラCがバンド搬送用モータM1の消費電流値IM1を検出し、それを設定値Iと対比するようにしているが、この電流値IM1のかわりに、モータM1の消費電圧値を検出し、それを設定値と対比するようにしてもよい。
【0041】
上記のように、この実施形態の梱包装置ではバンド搬送用モータM1が引き締め動作を続けている間に、ステップS9でカムによって第2下押え部材12が上昇し、バンドBを押えることができる。この第2押え部材12によって引き締め状態を維持できるので、バンド搬送用モータM1が停止状態でバンドBの引き締め状態を保持する必要がない。つまり、バンド搬送用モータM1にブレーキ機構を設けなくても、バンドが緩むことがない。
このように、この実施形態の梱包装置では、上記従来の引き締め機構を省略できるだけでなく、バンド搬送用モータM1のブレーキ機構も不要になるので、複雑な構造や部品点数を少なくでき、その分製造コストを下げることができる。
【符号の説明】
【0042】
11 第1下押え部材
12 第2下押さ部材
13 ヒータ
26 カム軸
M1 バンド搬送用モータ
M2 カム軸用モータ
C コントローラ
B バンド
W 梱包物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包物に掛けまわすバンドのバンド通路と、バンドを送り出したり、引き戻したりするバンド搬送用モータと、梱包物にかけまわしたバンドの先端側を押える第1押え機構と、第1押え機構で先端側を押えた状態でバンドを引き締めた後、引き戻し側を押える第2押え機構と、この第2押え機構によって押えた位置より送り出し側におけるバンドの重なり部間を溶着する溶着機構と、バンドの溶着部よりバンド送り出し側をカットするカット機構とを備え、上記第2押え機構、溶着機構、及びカット機構を、カムを設けたカム軸をカム軸用モータの回転によって順次動作させる構成にし、上記バンド搬送用モータ及び上記カム軸用モータを制御するコントローラを備えた梱包装置において、上記コントローラは、上記バンド搬送用モータによってバンドを引き締めるバンド引き締め工程で、バンド搬送用モータの消費電流あるいは電圧を検出する機能と、この検出値が予め設定したカム軸用モータを駆動するための設定値を検出した時点で、上記カム軸用モータの駆動を開始し、第2押え機構を動作させる機能とを備え、バンド搬送用モータの回転が停止する前に、第2押え機構が動作する構成にした梱包装置。
【請求項2】
上記コントローラには、上記バンド搬送用モータを停止させるための電流あるいは電圧の設定値を設定するとともに、この停止用の設定値を上記カム軸用モータを駆動させるための設定値よりも大きい値にした請求項1に記載の梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−195180(P2011−195180A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64894(P2010−64894)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000107697)ストラパック株式会社 (19)
【Fターム(参考)】