説明

棚板及び棚板製造方法

【課題】棚板の成形時に補強のために成形されるリブを巧みに利用してこのリブを棚板のダボ受けとなる凹部として使用し、不用意にダボが抜け落ちるのを防止した棚板及び棚板製造方法を提供する。
【解決手段】左右の側板から互いに内向きに対向突設した少なくとも前後2箇所のダボ上に載置して架設される棚板において、上記棚板は裏面の少なくとも前後2箇所に設けた一対のリブを備え、該リブの凹部が上記前後2箇所のダボに合致するように形成され、上記左右の側板の内向き寸法に合わせた所定長さに切断され、上記リブの凹部であって棚板の両端から上記ダボの突出長さだけ後退した位置にダボの抜け止め片が付設されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面化粧台等の水回りの収納キャビネット等の内部空間に架設される棚板及び棚板製造方法に係り、特に、棚板の裏面に一体成形された補強用のリブを利用して凹部を形成し、これを側板のダボに嵌合係止するものにおいて、側板の孔に差し込んだダボが不用意に抜け落ちるのを防止するようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面化粧台等の水回りの収納キャビネット等の内部空間に架設される棚板は、水に強く洗えるようにするため合成樹脂製で押出成形により成形したものが使用されており、その下面にダボに嵌合係止する凹部を長手方向に延長形成している。そして、このものを収納キャビネット等の内部空間の幅に合わせて所定の寸法に切断し、左右の側板から互いに内向きに対向突設した少なくとも前後2箇所のダボに嵌合係止するものであり、ダボの差し込み高さ位置の変更により棚板の高さを自在に調節できるようにしたものである。(例えば、特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−149828号公報
【特許文献2】特開平8−294422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の棚板は、左右の側板から互いに内向きに対向突設した少なくとも前後2箇所のダボ上に載置して架設されるものであるが、通常使用されるダボは単に側板に開けた孔に差し込んで突設するものが使用される。しかも、棚板は押出成形で形成したものを切断して使用するものであり、棚板下面にダボに嵌合係止する凹部が延長形成され、この凹部に架設した場合は、運搬時の振動や使用時の荷重により、不用意に抜け落ちてしまうという問題があった。
【0005】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、棚板の成形時に補強のために成形されるリブを巧みに利用してこのリブを棚板のダボ受けとなる凹部として使用し、不用意にダボが抜け落ちるのを防止した棚板及び棚板製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1の棚板は、左右の側板から互いに内向きに対向突設した少なくとも前後2箇所のダボ上に載置して架設される棚板において、上記棚板は裏面の少なくとも前後2箇所に設けた一対のリブを備え、該リブの凹部が上記前後2箇所のダボに合致するように形成され、上記左右の側板の内向き寸法に合わせた所定長さに切断され、上記リブの凹部であって棚板の両端から上記ダボの突出長さだけ後退した位置にダボの抜け止め片が付設されていることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の請求項2の棚板は、請求項1記載の棚板において、上記抜け止め片は一対のリブの凹部に嵌合する板状片であり、接着により取り付けられたものであることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項3の棚板製造方法は、押出し成形により左右の側板から内向きに突設した少なくとも前後2箇所のダボに合致する前後2箇所に設けた一対のリブの凹部を有する棚板を形成する成形工程と、上記棚板を適用する左右側板の所定長さに合わせて切断する切断工程と、上記リブの凹部であって棚板の両端からダボの突出長さだけ後退した位置にダボ先端の抜け止め片を付設する取り付け工程と、を具備したことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項4の棚板製造方法は、請求項3の棚板製造方法において、上記抜け止め片は一対のリブの凹部に嵌合する板状片であり、接着により取り付けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
以上述べたように本願発明による棚板によると、左右の側板から互いに内向きに対向突設した少なくとも前後2箇所のダボ上に載置して架設される棚板において、上記棚板は裏面の少なくとも前後2箇所に設けた一対のリブを備え、該リブの凹部が上記前後2箇所のダボに合致するように形成され、上記左右の側板の内向き寸法に合わせた所定長さに切断され、上記リブの凹部であって棚板の両端から上記ダボの突出長さだけ後退した位置にダボの抜け止め片が付設されている構成になっているので、特殊な形状の棚板を作る必要はなく、側板内面に付設されたダボに対しても、棚板裏面に形成された補強用の数本のリブを利用して凹部としこれにより載置することができる。
したがって特殊な形状の棚板を作る必要はなく、また、任意の長さの棚板に対応することができる。さらに、ダボももっとも簡単な構造で安価なものを使用できる。
また、棚板の裏面両端のリブの凹部にダボ先端との当接する抜け止め片が付設されているので、側板内面に付設されたダボが抜け落ちることがなく、棚板が外れるおそれがない。
【0011】
また、上記抜け止め片は一対のリブの凹部に嵌合する板状片であり、接着により取り付けられたものである場合には、リブに抜け止め片を接着するだけの簡単な作業で製造でき、且つ、抜け止め片を接着する接着位置もダボの長さ寸法の位置に自由に合わせられる。
【0012】
また、本発明による棚板製造方法によると、押出し成形により左右の側板から内向きに突設した少なくとも前後2箇所のダボに合致する前後2箇所に設けた一対のリブの凹部を有する棚板を形成する成形工程と、上記棚板を適用する左右側板の所定長さに合わせて切断する切断工程と、上記リブの凹部であって棚板の両端からダボの突出長さだけ後退した位置にダボ先端の抜け止め片を付設する取り付け工程と、を実施するようにしたから、棚板の裏面にダボに架設されるリブが合成樹脂材の押し出し成形時に裏面に連続して形成されるので、リブで補強された棚板が安価に生産できるとともに、任意の長さのものを生産できる。また、市販されている安価な普及品のダボを使用できるので安価に製造できる。
【0013】
また、棚板の裏面両端のリブの凹部にダボ先端と触れ合う寸法位置に抜け止め片を付設するようにしたから、使用中にダボが側板から抜け落ちることがない。これにより、ストレートな側板の孔にネジ無しのダボを差し込むだけでダボが側板からの脱落しないようにできる棚板を簡単に製造できる。また、上記抜け止め片は一対のリブの凹部に嵌合する板状片であり、接着により取り付けた場合には、リブに抜け止め片を接着するだけの簡単な作業で製造でき、且つ、抜け止め片を接着する接着位置もダボの長さ寸法の位置に自由に合わせられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、棚板の取り付け状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、棚板の取り付け状態を示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、抜け止め片の取り付け部を示す斜断面図と斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、棚板の組立手順図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す図で、抜け止め片の取り付け部を示す斜断面図と斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜図5を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。図1には本発明の棚板11の斜視図が示されており、この棚板11は、表面を収納物の載置面とする基板13と、基板13の前面に垂直に樹立した前面板14からなるもので、収納キャビネットCの左右の側板1,3の内向き寸法に合わせてその間に納まるように所定長LOに形成されている。
上記基板13の裏面には、多数のリブ15A,15B,15C,15D,15E,15Fが形成されている。このうち、上記棚板11の前後に設けた4本のリブ15A,15B,15C,15D間の凹部17は、左右の側板1,3の壁面1A,3Aの孔hに差し込み内向きに対向突設した少なくとも前後2箇所のダボ5,7上に合致するように形成されている。
【0016】
また、上記リブ15A,15B,15C,15Dの凹部17には、棚板の両端から上記ダボの突出長さだけ後退した位置にダボの抜け止め片9,9が付設されている。
該抜け止め片9,9は、ダボ5,7の先端5A,7Aと当接し、ダボが側板の孔hから抜け落ちるのを防止する。
具体的には、図3に示すように、リブ15A,15B,15C,15Dの凹部17の断面形状と同一形状の板状片をリブの凹部に嵌めて接着剤で固着する。
尚、上記抜け止め片9,9を取り付ける手段としては、接着に限られるものではなく、溶着や圧入等の手段を利用することもできる。
【0017】
次に、図5を参照して、本実施の形態による棚板11の製造工程を説明する。図5は棚板11の製造と組立の手順を示す説明図である。
(棚板成形工程)
まず、図5(a)に示すように、ホッパー19から原料の合成樹脂材POをシリンダ21内で回転するスクリュー23に連続供給し、ヒータ25で加熱して溶融させ、それをダイス27を通して押し出し、冷却装置29でして引き取り機31で引き出して所定形状の棚板11を連続的に成形し、これを切断機33で適宜な寸法に切断する。
上記棚板成形工程において、溶解した合成樹脂材を棚板の成形時に棚板裏面10Aに多数本のリブ15A,15B,15C,15D,15E,15Fを押出し方向に形成する。
また、上記棚板11の裏面15に形成される多数のリブ15A,15B,15C,15
D,15E,15Fの両端の一対のリブ間隔を左右側板1、3の前後2箇所のダボ5,7の間隔に合わせられる。
【0018】
(棚板切断工程)
次に、図5(b)に示すように、上記棚板成形工程で押出し成形された長寸の棚板11を、使用する収納キャビネットC等の左右側板1,3の間隔である所定長LOに切断する。
切断の手段としては丸鋸状のカッター35が一例として使用される。
【0019】
(抜け止め片取り付け工程)
上記棚板11は、裏面両端のリブ15A,15B,15C,15Dを凹部17とし、左右側板1,3のダボ5,7を受けて係合するようになっている。凹部17は長手方向に延長して形成されているので、ダボ5,7を受けることはできるが、抜け止め効果はない。
そこで、図5(c)に示すように、棚板10の裏面15両端のリブの凹部の断面形状と同一形状形に切断した抜け止め片9を、リブの凹部17に嵌めて接着剤で固着する。
【0020】
次に、図5(d)に示すように、上記の製造工程により得られた棚板11を収納キャビネットC等の側板1、3の間に架設する。棚板11は、左右の側板1,3の壁面1A,3Aの孔hに差し込み内向きに対向突出した少なくとも前後2箇所のダボ5,7上に、裏面両端の前後に設けられたリブ15A,15B,15C,15Dの凹部17を乗せて係合し、架設される。上記棚板10の架設状態において、凹部17の抜け止め片9,9がダボ5,7の先端5A,7Aと当接するから、棚板11のガタ付きや運搬時の振動等によってもダボ5,7は抜け落ちることはない。
【0021】
本発明の実施の形態となる棚板11によると、下記の効果が発揮される。まず、特殊な形状の棚板11を作る必要はなく、側板1,3内面に付設されたダボ5,7に対しても、棚板11裏面に形成された補強用の数本のリブを利用して凹部17とし、これにより安定して載置することができる。
【0022】
したがって普通の形状の棚板11とすればよく、また、収納キャビネット等の内部寸法に合わせて任意の長さの棚板11とすることができる。さらに、孔に取り付けるダボ5、7も簡単な構造を有する安価な市販品を使用することができる。
上記棚板11の裏面両端のリブ15A,15B,15C,15Dの凹部17にダボ5、7の先端5A、7Aと当接する抜け止め片9、9が付設されているので、側板1、3内面に付設されたダボ5、7が抜け落ちることがなく、棚板11が外れるおそれがない。
また、上記抜け止め片は一対のリブの凹部に嵌合する板状片であり、接着により取り付けられたものである場合には、リブに抜け止め片を接着するだけの簡単な作業で製造でき、且つ、抜け止め片を接着する接着位置もダボの長さ寸法の位置に自由に合わせられる。
【0023】
また、本実施の形態の場合には、押出し成形により左右の側板から内向きに突設した少なくとも前後2箇所のダボに合致する前後2箇所に設けた一対のリブの凹部を有する棚板を形成する成形工程と、上記棚板を適用する左右側板の所定長さに合わせて切断する切断工程と、上記リブの凹部であって棚板の両端からダボの突出長さだけ後退した位置にダボ先端の抜け止め片を付設する取り付け工程と、を実施するようにしたから、棚板の裏面にダボに架設されるリブが合成樹脂材の押し出し成形時に裏面に連続して形成されるので、リブ15で補強された棚板11が安価に生産できるとともに、任意の長さのものを生産できる。また、市販されている安価なダボ5、7を使用できるので、安価に製造できる。
【0024】
また、棚板の裏面両端のリブの凹部にダボ先端と触れ合う寸法位置に抜け止め片9を付設するようにしたから、使用中にダボ5、7が側板1、3から抜け落ちることがない。これにより、ストレートな側板の孔にネジ無しのダボを差し込むだけでダボが側板からの脱落しないようにできる棚板を簡単に製造できる。また、上記抜け止め片は一対のリブの凹部に嵌合する板状片であり、接着により取り付けた場合には、リブに抜け止め片を接着するだけの簡単な作業で製造でき、且つ、抜け止め片を接着する接着位置もダボの長さ寸法の位置に自由に合わせられる。
【0025】
次に、本発明の第2の実施の形態の棚板11は、基本的には上記第1の実施の形態と同様であるが、抜け止め片37として、ダボ5、7の突出長さと同じ奥行きを有するコ字状片をリブの凹部17に嵌め込んで接着剤により固着するようにしたものである。
【0026】
本実施の形態の場合も、上記と同様の効果を奏することができるとともに、抜け止め片の取り付けにあたって、コ字状片をリブの凹部17に嵌め込んで固定するだけで良いから、位置決めのための治具等が不要となり、より簡単な作業で容易に製造できる。
【0027】
尚、本発明の棚板11は、上記の実施の形態のものに限定されず、その発明の要旨内での設計変更が可能である。例えば、棚板の下面に設けられるリブの形状や数は任意である。また、本発明の棚板11は、洗面化粧台等の水回りの収納キャビネット等の内部空間に架設される棚板の例を例示したが、これに限らず、食器棚や整理棚、本箱、下駄箱等の内部空間に架設される各種の棚板にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の棚板は、洗面化粧台等の水回りの収納キャビネット等の内部空間に架設される合成樹脂製の押出し成形によって製造されるタイプの棚板の製造、使用分野で利用でき、特に棚板の成形時に補強のために成形されるリブを棚板のダボ受けとなる凹部として使用し、不用意にダボが抜け落ちるのを防止できるようにしたい場合に利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0029】
1,3 側板
5,7 ダボ
5A,7A ダボ先端
9 抜け止め片
11 棚板
13 基板
14 前面板
15A〜15F リブ
17 凹部
19 ホッパー
21 シリンダ
23 スクリュー
25 ヒータ
27 ダイス
29 冷却装置
31 引き取り機
33 切断機
35 カッター
C 収納キャビネット
LO 所定間隔長
h 孔
PO 合成樹脂材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の側板から互いに内向きに対向突設した少なくとも前後2箇所のダボ上に載置して架設される棚板において、上記棚板は裏面の少なくとも前後2箇所に設けた一対のリブを備え、該リブの凹部が上記前後2箇所のダボに合致するように形成され、上記左右の側板の内向き寸法に合わせた所定長さに切断され、上記リブの凹部であって棚板の両端から上記ダボの突出長さだけ後退した位置にダボの抜け止め片が付設されていることを特徴とする棚板。
【請求項2】
上記抜け止め片は一対のリブの凹部に嵌合する板状片であり、接着により取り付けられたものであることを特徴とする請求項1記載の棚板。
【請求項3】
押出し成形により左右の側板から内向きに突設した少なくとも前後2箇所のダボに合致する前後2箇所に設けた一対のリブの凹部を有する棚板を形成する成形工程と、上記棚板を適用する左右側板の所定長さに合わせて切断する切断工程と、上記リブの凹部であって棚板の両端からダボの突出長さだけ後退した位置にダボ先端の抜け止め片を付設する取り付け工程と、を具備したことを特徴とする棚板製造方法。
【請求項4】
上記抜け止め片は一対のリブの凹部に嵌合する板状片であり、接着により取り付けられていることを特徴とする請求項3記載の棚板製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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