椅子
【課題】ハンガー装置の支持強度に優れると共に、ハンガー装置の表皮材取り付け時に使用するカバーをなるべく目立たなくした椅子を提供する。
【解決手段】背もたれ6は背インナーシェル7と前後のクッション8,9とを有しており、前後のクッション8,9は表皮材10a,10bで覆われている。背インナーシェル7の上端には後ろ向き張り出し部7aが形成されており、後ろ向き張り出し部7aで隠れた部位にハンガー取り付け部13を形成している。ハンガー装置を取り付けない状態では、ハンガー取り付け部13はカバー14で塞がれている。後ろ向き張り出し部7aがリブ効果を発揮するためハンガー取り付け部13のハンガー支持強度が高くか、かつ、カバー14は後ろ向き張り出し部6aで隠れているため美観に優れている。
【解決手段】背もたれ6は背インナーシェル7と前後のクッション8,9とを有しており、前後のクッション8,9は表皮材10a,10bで覆われている。背インナーシェル7の上端には後ろ向き張り出し部7aが形成されており、後ろ向き張り出し部7aで隠れた部位にハンガー取り付け部13を形成している。ハンガー装置を取り付けない状態では、ハンガー取り付け部13はカバー14で塞がれている。後ろ向き張り出し部7aがリブ効果を発揮するためハンガー取り付け部13のハンガー支持強度が高くか、かつ、カバー14は後ろ向き張り出し部6aで隠れているため美観に優れている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、背もたれにハンガー装置等のオプション品を取り付け可能な椅子に関するものである。ここに、オプション品としては、ハンガー装置の他にヘッドレストや荷物下げ用フック(あるいはカゴ)などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
椅子の背もたれにハンガー装置等のオプション品を取り付けることは広く行われている。オプション品の取り付け構造は様々であるが、背もたれの背面にオプション品を取り付ける場合、オプション品を取り付けていない状態で、ねじ穴等の取り付け部が露出して美観を損なう問題がある。そこで、特許文献1,2には、オプション品を取り付けていない状態で、オプション品取付け部をカバーで覆うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−155690号公報
【特許文献2】特開2004−159747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、オプション品を取り付けていない状態でも、背もたれの背面はできるだけすっきりしているのが好ましいと言える。この点、特許文献1,2とも、オプション品を取り付けていない状態でのオプション品取付け部の露出は防止できるが、オプション品取付け部は背もたれの背面のうち人目に触れる部位に設けているため、オプション品を取り付けていない状態でカバーが目立つおそれがある。
【0005】
本願発明はこのような現状に鑑み成されたもので、オプション品取付け部を覆うカバー自体も目立たないようにして美観を向上させること等を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、背もたれの上部背面にハンガー装置又はヘッドレスト若しくは他のオプション品を取り付けるためのオプション品取付け部を設けている構成において、前記背もたれの上端には庇状の後ろ向き張り出し部をもうけており、この後ろ向き張り出し部で隠れた部位に前記オプション品取付け部を設けており、前記オプション品取付け部は、前記オプション品を取り付けない状態ではカバーで覆われている。
【0007】
本願発明は請求項2の構成も含んでいる。この請求項2の発明は、請求項1において、前記背もたれの前面と背面との両方が表皮材で構成されており、前記オプション品取付け部をカバーで覆った状態で、前記背もたれの背面を構成する表皮材が前記カバーで押さえ保持されている。
【発明の効果】
【0008】
本願発明では、オプション品取付け部は後ろ向き張り出し部で隠れた部位に設けているため、オプション品を使用しない場合に取り付けるカバーもさして目立たず、このため美観を向上できる。また、後ろ向き張り出し部のリブ効果によって背もたれ上部の強度をアップできるため、オプション品の支持強度も向上できる。更に、後ろ向き張り出し部は人が椅子を移動させる場合の掴み部として機能させることも可能であり、従って、椅子を掴んで移動させ易いという利点もある。
【0009】
例えばオフィス等で多用されている回転椅子の背もたれは、樹脂製の背インナーシェル(背板)の前面にクッションを配置してこれを表皮材で覆った構造であることが多く、この場合、表皮材を袋状に構成して背インナーシェル及びクッションをすっぽり覆うことが行われており、この構成を採用すると、デザイン的な統一性を確保できる利点がある。
【0010】
そして、背もたれの上端に後ろ向き張り出し部を設けて表皮材を袋状に構成すると、表皮材は引っ張られると平面状になる性質があるため、後ろ向き張り出し部の下側の箇所で表皮材が背インナーシェルから離れてしまいやすくなり、これを防止するには、表皮材を背インナーシェルの背面に接着等して固定せねばならいが、これでは加工に手間がかかると共に表皮材の交換も面倒である。
【0011】
これに対して本願請求項2の発明を採用すると、背もたれの上端に後ろ向き張り出し部を設けていても、表皮材はカバーによって背インナーシェル等の内部部材に押さえ保持されるため、表皮材を内部部材にきっちり重ね保持することができて美観に優れている。なお、オプション品を取り付けた状態でも表皮材を内部部材に重ねた状態に保持するために、オプション品で表皮材を内部部材に押さえ保持するが好ましいと言える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る椅子の外観図で、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図2】(A)は椅子の平面図、(B)は椅子の背面図である。
【図3】(A)は背インナーシェルの全体的な斜視図、(B)は背インナーシェルの上部を前から見た部分斜視図である。
【図4】背インナーシェルとカバーとを後ろから見た分離斜視図である。
【図5】背インナーシェルとカバーとを前から見た分離斜視図である。
【図6】要部の斜視図である。
【図7】要部の中央部縦断側面図である。
【図8】背インナーシェルとカバーとの分離正面図である。
【図9】(A)は背インナーシェルとハンガー装置全体との分離斜視図、(B)は背インナーシェルとハンガー装置の一部との分離斜視図である。
【図10】(A)(B)ともハンガー装置の分離斜視図である。
【図11】第2実施形態に係る背もたれの分離斜視図である。
【図12】第2実施形態の要部の分離斜視図である。
【図13】図12の X-X視断面図である。
【図14】(A)はハンガー装置の一部とバックフレームとの分離斜視図、(B)はハンガー装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では方向を特定するため「前後」「左右」の文言を使用するが、この前後左右の文言は着座した人を基準にしている。正面視方向は着座した人と対峙した方向であり、従って、正面視での左右と着座した人から見た左右とは逆になる。
【0014】
(1).第1実施形態の概略
まず、図1〜図10を参照して第1実施形態を説明する。本実施形態は事務用等に多用されている回転椅子に適用しており、椅子は、脚支柱1及びキャスタ2を有する脚装置3と、脚支柱1の上端に固定したベース4と、ベース4の上に配置した座5と、着座した人がもたれ掛かり得る背もたれ6とを有している。背もたれ6は、ベース2に後傾動自在に連結した背フレーム2aに取り付けている。
【0015】
例えば図1(A)に示すように、背もたれ6は、ポリプロピレン等の樹脂より成る背インナーシェル7と、この背インナーシェル7との前面に張った前部クッション8、背インナーシェル7の背面に重ね配置した後部クッション9と、これら背インナーシェル7と及び前後クッション8,9をすっぽり覆う下向き開口袋状の表皮材10とを有する。なお、前部クッション8と後部クッション9とは背インナーシェル7とにインサート成形で一体に取り付けることも可能であるし、シート状の素材を切り抜いてから背インナーシェル7とに重ねてもよい。
【0016】
表皮材10は前部クッション8に重なる前部10aと後部クッション9に重なる後部10bとを有している。前部10aと後部10bとはその上端及び一方の側縁が一体に繋がっており、他方の側縁にはファスナ(図示せず)を設けている。また、下端の開口部にもファスナ(図示せず)を設けている。
【0017】
例えは図4に示すように、背インナーシェル7の背面には多数の補強リブ11を設けている。また、背インナーシェル7の背インナーシェル7の上端には、後ろ向きに突出した後ろ向き張り出し部7aが形成されている。従って、背もたれ6の上端にも後ろ向き張り出し部6aが存在している。前後のクッション8,9は、背インナーシェル7の後ろ向き張り出し部7aに重なっている。
【0018】
そして、図1に一点鎖線で示すように、背もたれ6の上端部でかつ左右中央部には、オプション品の一例としてのハンガー装置12を取り付けることができる。そこで、図3(B)〜図5に明瞭に示すように、背インナーシェル7の上端部でかつ左右中央部に、オプション品取付け部の一例として、ハンガー取り付け部13を形成しており、ハンガー装置12を取り付けない場合は、ハンガー取り付け部13はカバー14で覆われる。
【0019】
本実施形態のハンガー装置12は、ハンガー取り付け部13に固定されるサポート部15と、このサポート部15に昇降自在に装着された正面視略T型のハンガー体16とで構成されており、ハンガー体16の支柱部がサポート部15で昇降自在に抱持されている。ハンガー装置12の詳細は後述する。
【0020】
(2).ハンガー装置取り付け部及びカバー
図3(B)〜図5,図8に示すように、ハンガー取り付け部13は、左右中央部に位置して前後に開口した1つの第1係合穴18と、その左右外側に位置して後ろ向きに開口した左右一対ずつの第2係合穴19と、第2係合穴19の外側に位置して前後に開口した左右一対ずつの第3係合穴20と、第3係合穴20の左右外側に位置して前後に開口した左右一対の第4係合穴21を有している。
【0021】
図5に示すように、第1係合穴18の前面開口部はセンター前面リブ22で囲われており、第3〜第4の係合穴20,21の前面開口部はサイド前面リブ23で囲われている。第2係合穴19の後部はセンター前面リブ22とサイド前面リブ23の間に位置している。他方、背インナーシェル7の背面の部位では、各係合穴18〜21の群は背面リブ24の群で区画されている。
【0022】
つまり、背インナーシェル7を開口させると共にリブ22〜24を形成することで、各係合穴18〜21が形成されている(リブを後面のみに形成してもよい。)。背面リブ24は第4係合穴21の左右外側にはみ出しており、背面リブ24と後ろ向き張り出し部7aとで囲われた部位がハンガー取り付け部13になっている。そして、このハンガー取り付け部13に、カバー14が後部表皮材10bを介して後ろから重なり得る。ハンガー取り付け部13及びハンガー装置14は、背面視で左右方向に細長い楕円の外観を呈している。
【0023】
ハンガー取り付け部13は、背インナーシェル7における鉛直状背面の上端と後ろ向き張り出し部7aとに跨がるように形成されている。そこで、背面リブ24のうち上下方向に延びているリブ24aは、後ろ向き張り出し部7aの先端に向けて延びるように側面視で湾曲している。つまり、ハンガー取り付け部13は、側面視で後ろ下方に向いて凹の状態に湾曲している。リブ22,23,24の存在により、ハンガー取り付け部13の箇所での強度は格段に高くなっている。
【0024】
第1係合穴18、第2係合穴19,第4係合穴21はそれぞれ正面視略四角形の形態である一方、第3係合穴21は背面視で逆凸型になっている。第3係合穴21はハンガー装置12のサポート部15を取り付けるにおいて強度保持部として機能するものであり、図4に示すように、第3係合穴20の手前部はサイド前面リブ23で補強されている。
【0025】
カバー14は、背インナーシェル7のハンガー取り付け部13に重なる本体14aを有している。ハンガー取り付け部13は背インナーシェル7の背面の上端部から後ろ向き張り出し部7aまで延びているので、カバー14の本体14aも後ろ向き張り出し部7aに下方から重なる後ろ向きの庇状部27aを有する。
【0026】
カバー14の本体14aには、ハンガー取り付け部13の第1係合穴18に嵌まる1つのセンター係合爪25と、第2係合穴19に嵌まる正面視逆凸形の位置決め突起26と、第4係合穴21に嵌まるサイド係合爪27とが前向きに突設されている。センター係合爪25の前端には上向き爪部25aが形成されており、そこで、第1係合穴18には、上向き爪部25aが引っ掛かるセンター係止部28を形成している。位置決め突起26は第2係合穴19に単に嵌まっているだけであり、引っ掛かり機能は備えていない。他方、サイド係合爪の前端には下向き爪部27aを形成しており、そこで、図5から理解できるように、第4係合穴21には、サイド係合爪27の下向き爪部27aが引っ掛かるサイド係止部29を形成している。
【0027】
図7に示すように、後部クッション9のうちハンガー取り付け部13に対応した部位にはくり抜き部30が形成されており、カバー14は、後部表皮材10bを押した状態で配置されている。このため、後部表皮材10bは、後ろ向き張り出し部7aの箇所において後部クッション9に重なるように密着している。
【0028】
従って、後ろ向き張り出し部7aの外形がクリアに表れていて美観に優れている。カバー14の取り付けに当たっては、各係合爪26,27及び位置決め突起26を後部表皮材10bに貫通させるが、予め各係合爪26,27及び位置決め突起26に対応した穴を後部表皮材10bに空けておいてもよいし、取り付け時にナイフや刺し具で穴を空けるなどしてもよい。
【0029】
ハンガー装置12を取り付けるに際しては、サポート部15を後部表皮材10bに重ねて、各係合穴18〜21に嵌まる足部を後部表皮材10bに貫通させても良いし、後部表皮材10bを切り抜いてもよい。ハンガー装置12のサポート部15はカバー14と略同じ背面視形状になっている。このため、ハンガー装置12を取り付けた状態でも、後部表皮材10bは後部クッション9に密着している。
【0030】
(3).ハンガー装置
ハンガー装置12の詳細は図9,10に表示している。この点を次に説明する。既述のとおりハンガー装置12はサポート部15とハンガー体16と有している。そして、図9(B)に示すように、サポート部15は、背インナーシェル7のハンガー取り付け部13に後ろから固定されるベース部41と、ベース部41に後ろから装着された押圧体42とを有しており、両者の間には弾性体の一例してとゴムブロック(チェラストブロック)43が介在している。
【0031】
ベース部41は、カバー14と略同じ背面視形状の重合部41aと、重合部41aから後ろ向きに突出した支持部41bとを有しており、支持部41bは背面視で概ね四角形の形態であり、重合部41aの上下両側にはみ出ている。図9(B)に示すように、重合部41aの前面からは、カバー14と同様に、ハンガー取り付け部13の第1係合穴18に嵌まる1つのセンター係合爪44と、第2係合穴19に嵌まる角形の位置決め突起45と、第4係合穴21に嵌まるサイド係合爪46とが前向きに突設されている。
【0032】
更に、ベース部41の重合部41aには、ハンガー取り付け部13の第3取り付け穴20に後ろから嵌まる円筒状のボス体47を前向き突設している一方、ハンガー取り付け部13の第3取り付け穴20には、平面視T形のフランジ付きナット48を回転不能に装着している。フランジ付きナット48は、第3取り付け穴20に後ろから挿入して下向きにずらという手順でにより、第3取り付け穴20に嵌め込まれる。
【0033】
従って、後ろからボス体47に挿入したビス49をフランジ付きナット48にねじ込むことにより、ベース部41はハンガー取り付け部13にしっかりと固定される。また、後部表皮材10bは背インナーシェル7に重合部41aで押さえ保持されているため、後部表皮材10bはクッションに密着した状態に保持される。
【0034】
図10に示すように、ハンガー体16の支柱50は前向きに開口しているが、開口部は左右内側部に内向きリップ51aを設けた蟻溝51になっており、ベース体41における支持部41bの後端部と押圧体42の後端部とが蟻溝51に嵌まっている。そこで、ベース体41の支持部41bには、ハンガー体16のリップ51aが嵌まる左右の縦溝52が形成されている。また、押圧体42の左右両端には、リップ51aの内側に嵌まるフラップ42aを形成している。このため、ハンガー体16は上下動は可能で前後左右に離脱不能に保持される。
【0035】
ハンガー体16における蟻溝51の内底面には、ハンガー体16カバー14の上向き抜けを阻止する下部突起53と、上昇させたハンガー体16が下降しないように保持する上部突起54とを設けている。他方、押圧体42には下向き舌状のキャッチ片55を設けており、キャッチ片55に、下部突起53が下方から当たる下部爪55aと、上部突起54が上から当たる上部爪55bとを設けている。キャッチ片55は弾性に抗して上端を中心にして前後に回動するようになっており、手前に引き曲げると下部爪55aを下突起53から離脱させてハンガー体16を抜き外すことができる。
【0036】
ホルダー42は、ベース部41に設けた後ろ向き開口の凹所56に嵌まっており、上下方向及び左右方向にずれ不能に保持されている。また、押圧体42の左右両側部に前向きの撓み係合爪57を設ける一方、ベース部41における凹所56の左右内側面には、撓み係合爪57が弾性に抗しての変形によって係合する係合突起58を設けている。ベース部41と押圧体41との間にゴムブロック43が介在しているため、押圧体42の左右両側部の後面がハンガー体16に突っ張っており、このため、ハンガー体16はガタ付きのない状態に保持されている。
【0037】
(4).第2実施形態
次に、図11〜14に示す第2実施形態を説明する。この実施形態の背もたれ6は、前後に開口したバックフレーム32と、バックフレーム32にインサンート成形で一体に設けられた樹脂製のバックシート33とで構成されている。この実施形態では、バックシート33は露出したままである。バックフレーム32は、左右のサイドメンバー34と、サイドメンバー34の上端間に一体に繋がったアッパーメンバー35と、サイドメンバー34の下端間に一体に繋がったロアメンバー36とから成っている。図11に示すように、バックシート33のうちアッパーメンバー35を抱持する部分には、ハンガー取り付け部13を露出させるための穴33aが後ろ向きに開口している。
【0038】
アッパーメンバー35には後ろ向き張り出し部35aが形成されており、ハンガー取り付け部13には、庇状の後ろ向き張り出し部35aが一体に形成されている。ハンガー取り付け部13は底板13aを有しており、アッパーメンバー35の背面から後ろ向きに突出すると共に後ろ向き張り出し部7aの下面からは下向きに突出した箱状に形成されており、前後に開口している。また、ハンガー取り付け部13の内部はリブの群で左右複数に仕切られており、これらリブで仕切られた空所に、ハンガー装置のサポート部に設けた足部が嵌入される。また、底板13aには左右一対のビス挿通穴37を設けており、ビス挿通穴37に挿通したビスがハンガー装置のサポート部にねじ込まれる。
【0039】
この実施形態のカバー14は、ハンガー取り付け部13に下方から被さるように略トレー状に形成されている。カバー14の外れ防止手段としては、例えばビス挿通穴に嵌まる係合爪を突設したらよい。或いは、ハンガー取り付け部13の内部にナットを挿入して、これに、カバー14に貫通したビスをねじ込むことも可能である。
【0040】
この実施形態でも、ハンガー取り付け部13は後ろ向き張り出し部32aで隠れた部位に設けているため、カバー14を配置してもそのカバー14が目立つことはない。このため美観に優れている。また、アッパーメンバー35は後ろ向き張り出し部35aを設けたことで断面L型になっているため、アッパーメンバー35の強度が高くなっていると共に、ハンガー装置の支持強度も優れている。
【0041】
この実施形態に使用するハンガー装置12は第1実施形態のハンガー装置12と同様にベース体41と押圧体42とハンガー体16とを有する。ベース体41と押圧体42とハンガー体16との関係は第1実施形態に使用したハンガー装置12と同じであるが、ベース体41の構造が第1実施形態とは相違している。すなわち、この実施形態のベース体41は、重合部41aはカバー14と略同じ形状に形成されており、その内部に側面視コの字形の補強金具59が配置されている。
【0042】
補強金具59は、その上板59aはハンガー取り付け部13の内部に入り込んで下板59bはハンガー取り付け部13の下面に重なっている。そして、補強金具59に、ベース体41の重合部41aに上から挿入した上ビス60がねじ込むことにより、補強金具59とベース体41とが固定されていると共に、重合部41aに下方から挿通して下ビス61が補強金具59の下板59bとハンガー取り付け部13の下部とを貫通して、補強金具5)の上板59aにねじ込まれている。当然ながら、下ビス61は、ハンガー取り付け部13のビス挿通穴37に嵌まっている。
【0043】
(5).その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、前後に開口したバックフレームにメッシュ材を張った椅子にも適用できる。ハンガー装置も、例えば左右2本の支柱を有する形態にするなど、様々な形態を採用できる。背もたれがロッキングしない椅子にも適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本願発明は椅子に具体化することができる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0045】
6 背もたれ
7 背インナーシェル
8 前部クッション
9 後部クッション
10 表皮材
10b 後部表皮材
12 ハンガー装置
13 ハンガー取り付け部
14 カバー
14a 本体
15 サポート部
16 ハンガー体
【技術分野】
【0001】
本願発明は、背もたれにハンガー装置等のオプション品を取り付け可能な椅子に関するものである。ここに、オプション品としては、ハンガー装置の他にヘッドレストや荷物下げ用フック(あるいはカゴ)などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
椅子の背もたれにハンガー装置等のオプション品を取り付けることは広く行われている。オプション品の取り付け構造は様々であるが、背もたれの背面にオプション品を取り付ける場合、オプション品を取り付けていない状態で、ねじ穴等の取り付け部が露出して美観を損なう問題がある。そこで、特許文献1,2には、オプション品を取り付けていない状態で、オプション品取付け部をカバーで覆うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−155690号公報
【特許文献2】特開2004−159747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、オプション品を取り付けていない状態でも、背もたれの背面はできるだけすっきりしているのが好ましいと言える。この点、特許文献1,2とも、オプション品を取り付けていない状態でのオプション品取付け部の露出は防止できるが、オプション品取付け部は背もたれの背面のうち人目に触れる部位に設けているため、オプション品を取り付けていない状態でカバーが目立つおそれがある。
【0005】
本願発明はこのような現状に鑑み成されたもので、オプション品取付け部を覆うカバー自体も目立たないようにして美観を向上させること等を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、背もたれの上部背面にハンガー装置又はヘッドレスト若しくは他のオプション品を取り付けるためのオプション品取付け部を設けている構成において、前記背もたれの上端には庇状の後ろ向き張り出し部をもうけており、この後ろ向き張り出し部で隠れた部位に前記オプション品取付け部を設けており、前記オプション品取付け部は、前記オプション品を取り付けない状態ではカバーで覆われている。
【0007】
本願発明は請求項2の構成も含んでいる。この請求項2の発明は、請求項1において、前記背もたれの前面と背面との両方が表皮材で構成されており、前記オプション品取付け部をカバーで覆った状態で、前記背もたれの背面を構成する表皮材が前記カバーで押さえ保持されている。
【発明の効果】
【0008】
本願発明では、オプション品取付け部は後ろ向き張り出し部で隠れた部位に設けているため、オプション品を使用しない場合に取り付けるカバーもさして目立たず、このため美観を向上できる。また、後ろ向き張り出し部のリブ効果によって背もたれ上部の強度をアップできるため、オプション品の支持強度も向上できる。更に、後ろ向き張り出し部は人が椅子を移動させる場合の掴み部として機能させることも可能であり、従って、椅子を掴んで移動させ易いという利点もある。
【0009】
例えばオフィス等で多用されている回転椅子の背もたれは、樹脂製の背インナーシェル(背板)の前面にクッションを配置してこれを表皮材で覆った構造であることが多く、この場合、表皮材を袋状に構成して背インナーシェル及びクッションをすっぽり覆うことが行われており、この構成を採用すると、デザイン的な統一性を確保できる利点がある。
【0010】
そして、背もたれの上端に後ろ向き張り出し部を設けて表皮材を袋状に構成すると、表皮材は引っ張られると平面状になる性質があるため、後ろ向き張り出し部の下側の箇所で表皮材が背インナーシェルから離れてしまいやすくなり、これを防止するには、表皮材を背インナーシェルの背面に接着等して固定せねばならいが、これでは加工に手間がかかると共に表皮材の交換も面倒である。
【0011】
これに対して本願請求項2の発明を採用すると、背もたれの上端に後ろ向き張り出し部を設けていても、表皮材はカバーによって背インナーシェル等の内部部材に押さえ保持されるため、表皮材を内部部材にきっちり重ね保持することができて美観に優れている。なお、オプション品を取り付けた状態でも表皮材を内部部材に重ねた状態に保持するために、オプション品で表皮材を内部部材に押さえ保持するが好ましいと言える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る椅子の外観図で、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図2】(A)は椅子の平面図、(B)は椅子の背面図である。
【図3】(A)は背インナーシェルの全体的な斜視図、(B)は背インナーシェルの上部を前から見た部分斜視図である。
【図4】背インナーシェルとカバーとを後ろから見た分離斜視図である。
【図5】背インナーシェルとカバーとを前から見た分離斜視図である。
【図6】要部の斜視図である。
【図7】要部の中央部縦断側面図である。
【図8】背インナーシェルとカバーとの分離正面図である。
【図9】(A)は背インナーシェルとハンガー装置全体との分離斜視図、(B)は背インナーシェルとハンガー装置の一部との分離斜視図である。
【図10】(A)(B)ともハンガー装置の分離斜視図である。
【図11】第2実施形態に係る背もたれの分離斜視図である。
【図12】第2実施形態の要部の分離斜視図である。
【図13】図12の X-X視断面図である。
【図14】(A)はハンガー装置の一部とバックフレームとの分離斜視図、(B)はハンガー装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では方向を特定するため「前後」「左右」の文言を使用するが、この前後左右の文言は着座した人を基準にしている。正面視方向は着座した人と対峙した方向であり、従って、正面視での左右と着座した人から見た左右とは逆になる。
【0014】
(1).第1実施形態の概略
まず、図1〜図10を参照して第1実施形態を説明する。本実施形態は事務用等に多用されている回転椅子に適用しており、椅子は、脚支柱1及びキャスタ2を有する脚装置3と、脚支柱1の上端に固定したベース4と、ベース4の上に配置した座5と、着座した人がもたれ掛かり得る背もたれ6とを有している。背もたれ6は、ベース2に後傾動自在に連結した背フレーム2aに取り付けている。
【0015】
例えば図1(A)に示すように、背もたれ6は、ポリプロピレン等の樹脂より成る背インナーシェル7と、この背インナーシェル7との前面に張った前部クッション8、背インナーシェル7の背面に重ね配置した後部クッション9と、これら背インナーシェル7と及び前後クッション8,9をすっぽり覆う下向き開口袋状の表皮材10とを有する。なお、前部クッション8と後部クッション9とは背インナーシェル7とにインサート成形で一体に取り付けることも可能であるし、シート状の素材を切り抜いてから背インナーシェル7とに重ねてもよい。
【0016】
表皮材10は前部クッション8に重なる前部10aと後部クッション9に重なる後部10bとを有している。前部10aと後部10bとはその上端及び一方の側縁が一体に繋がっており、他方の側縁にはファスナ(図示せず)を設けている。また、下端の開口部にもファスナ(図示せず)を設けている。
【0017】
例えは図4に示すように、背インナーシェル7の背面には多数の補強リブ11を設けている。また、背インナーシェル7の背インナーシェル7の上端には、後ろ向きに突出した後ろ向き張り出し部7aが形成されている。従って、背もたれ6の上端にも後ろ向き張り出し部6aが存在している。前後のクッション8,9は、背インナーシェル7の後ろ向き張り出し部7aに重なっている。
【0018】
そして、図1に一点鎖線で示すように、背もたれ6の上端部でかつ左右中央部には、オプション品の一例としてのハンガー装置12を取り付けることができる。そこで、図3(B)〜図5に明瞭に示すように、背インナーシェル7の上端部でかつ左右中央部に、オプション品取付け部の一例として、ハンガー取り付け部13を形成しており、ハンガー装置12を取り付けない場合は、ハンガー取り付け部13はカバー14で覆われる。
【0019】
本実施形態のハンガー装置12は、ハンガー取り付け部13に固定されるサポート部15と、このサポート部15に昇降自在に装着された正面視略T型のハンガー体16とで構成されており、ハンガー体16の支柱部がサポート部15で昇降自在に抱持されている。ハンガー装置12の詳細は後述する。
【0020】
(2).ハンガー装置取り付け部及びカバー
図3(B)〜図5,図8に示すように、ハンガー取り付け部13は、左右中央部に位置して前後に開口した1つの第1係合穴18と、その左右外側に位置して後ろ向きに開口した左右一対ずつの第2係合穴19と、第2係合穴19の外側に位置して前後に開口した左右一対ずつの第3係合穴20と、第3係合穴20の左右外側に位置して前後に開口した左右一対の第4係合穴21を有している。
【0021】
図5に示すように、第1係合穴18の前面開口部はセンター前面リブ22で囲われており、第3〜第4の係合穴20,21の前面開口部はサイド前面リブ23で囲われている。第2係合穴19の後部はセンター前面リブ22とサイド前面リブ23の間に位置している。他方、背インナーシェル7の背面の部位では、各係合穴18〜21の群は背面リブ24の群で区画されている。
【0022】
つまり、背インナーシェル7を開口させると共にリブ22〜24を形成することで、各係合穴18〜21が形成されている(リブを後面のみに形成してもよい。)。背面リブ24は第4係合穴21の左右外側にはみ出しており、背面リブ24と後ろ向き張り出し部7aとで囲われた部位がハンガー取り付け部13になっている。そして、このハンガー取り付け部13に、カバー14が後部表皮材10bを介して後ろから重なり得る。ハンガー取り付け部13及びハンガー装置14は、背面視で左右方向に細長い楕円の外観を呈している。
【0023】
ハンガー取り付け部13は、背インナーシェル7における鉛直状背面の上端と後ろ向き張り出し部7aとに跨がるように形成されている。そこで、背面リブ24のうち上下方向に延びているリブ24aは、後ろ向き張り出し部7aの先端に向けて延びるように側面視で湾曲している。つまり、ハンガー取り付け部13は、側面視で後ろ下方に向いて凹の状態に湾曲している。リブ22,23,24の存在により、ハンガー取り付け部13の箇所での強度は格段に高くなっている。
【0024】
第1係合穴18、第2係合穴19,第4係合穴21はそれぞれ正面視略四角形の形態である一方、第3係合穴21は背面視で逆凸型になっている。第3係合穴21はハンガー装置12のサポート部15を取り付けるにおいて強度保持部として機能するものであり、図4に示すように、第3係合穴20の手前部はサイド前面リブ23で補強されている。
【0025】
カバー14は、背インナーシェル7のハンガー取り付け部13に重なる本体14aを有している。ハンガー取り付け部13は背インナーシェル7の背面の上端部から後ろ向き張り出し部7aまで延びているので、カバー14の本体14aも後ろ向き張り出し部7aに下方から重なる後ろ向きの庇状部27aを有する。
【0026】
カバー14の本体14aには、ハンガー取り付け部13の第1係合穴18に嵌まる1つのセンター係合爪25と、第2係合穴19に嵌まる正面視逆凸形の位置決め突起26と、第4係合穴21に嵌まるサイド係合爪27とが前向きに突設されている。センター係合爪25の前端には上向き爪部25aが形成されており、そこで、第1係合穴18には、上向き爪部25aが引っ掛かるセンター係止部28を形成している。位置決め突起26は第2係合穴19に単に嵌まっているだけであり、引っ掛かり機能は備えていない。他方、サイド係合爪の前端には下向き爪部27aを形成しており、そこで、図5から理解できるように、第4係合穴21には、サイド係合爪27の下向き爪部27aが引っ掛かるサイド係止部29を形成している。
【0027】
図7に示すように、後部クッション9のうちハンガー取り付け部13に対応した部位にはくり抜き部30が形成されており、カバー14は、後部表皮材10bを押した状態で配置されている。このため、後部表皮材10bは、後ろ向き張り出し部7aの箇所において後部クッション9に重なるように密着している。
【0028】
従って、後ろ向き張り出し部7aの外形がクリアに表れていて美観に優れている。カバー14の取り付けに当たっては、各係合爪26,27及び位置決め突起26を後部表皮材10bに貫通させるが、予め各係合爪26,27及び位置決め突起26に対応した穴を後部表皮材10bに空けておいてもよいし、取り付け時にナイフや刺し具で穴を空けるなどしてもよい。
【0029】
ハンガー装置12を取り付けるに際しては、サポート部15を後部表皮材10bに重ねて、各係合穴18〜21に嵌まる足部を後部表皮材10bに貫通させても良いし、後部表皮材10bを切り抜いてもよい。ハンガー装置12のサポート部15はカバー14と略同じ背面視形状になっている。このため、ハンガー装置12を取り付けた状態でも、後部表皮材10bは後部クッション9に密着している。
【0030】
(3).ハンガー装置
ハンガー装置12の詳細は図9,10に表示している。この点を次に説明する。既述のとおりハンガー装置12はサポート部15とハンガー体16と有している。そして、図9(B)に示すように、サポート部15は、背インナーシェル7のハンガー取り付け部13に後ろから固定されるベース部41と、ベース部41に後ろから装着された押圧体42とを有しており、両者の間には弾性体の一例してとゴムブロック(チェラストブロック)43が介在している。
【0031】
ベース部41は、カバー14と略同じ背面視形状の重合部41aと、重合部41aから後ろ向きに突出した支持部41bとを有しており、支持部41bは背面視で概ね四角形の形態であり、重合部41aの上下両側にはみ出ている。図9(B)に示すように、重合部41aの前面からは、カバー14と同様に、ハンガー取り付け部13の第1係合穴18に嵌まる1つのセンター係合爪44と、第2係合穴19に嵌まる角形の位置決め突起45と、第4係合穴21に嵌まるサイド係合爪46とが前向きに突設されている。
【0032】
更に、ベース部41の重合部41aには、ハンガー取り付け部13の第3取り付け穴20に後ろから嵌まる円筒状のボス体47を前向き突設している一方、ハンガー取り付け部13の第3取り付け穴20には、平面視T形のフランジ付きナット48を回転不能に装着している。フランジ付きナット48は、第3取り付け穴20に後ろから挿入して下向きにずらという手順でにより、第3取り付け穴20に嵌め込まれる。
【0033】
従って、後ろからボス体47に挿入したビス49をフランジ付きナット48にねじ込むことにより、ベース部41はハンガー取り付け部13にしっかりと固定される。また、後部表皮材10bは背インナーシェル7に重合部41aで押さえ保持されているため、後部表皮材10bはクッションに密着した状態に保持される。
【0034】
図10に示すように、ハンガー体16の支柱50は前向きに開口しているが、開口部は左右内側部に内向きリップ51aを設けた蟻溝51になっており、ベース体41における支持部41bの後端部と押圧体42の後端部とが蟻溝51に嵌まっている。そこで、ベース体41の支持部41bには、ハンガー体16のリップ51aが嵌まる左右の縦溝52が形成されている。また、押圧体42の左右両端には、リップ51aの内側に嵌まるフラップ42aを形成している。このため、ハンガー体16は上下動は可能で前後左右に離脱不能に保持される。
【0035】
ハンガー体16における蟻溝51の内底面には、ハンガー体16カバー14の上向き抜けを阻止する下部突起53と、上昇させたハンガー体16が下降しないように保持する上部突起54とを設けている。他方、押圧体42には下向き舌状のキャッチ片55を設けており、キャッチ片55に、下部突起53が下方から当たる下部爪55aと、上部突起54が上から当たる上部爪55bとを設けている。キャッチ片55は弾性に抗して上端を中心にして前後に回動するようになっており、手前に引き曲げると下部爪55aを下突起53から離脱させてハンガー体16を抜き外すことができる。
【0036】
ホルダー42は、ベース部41に設けた後ろ向き開口の凹所56に嵌まっており、上下方向及び左右方向にずれ不能に保持されている。また、押圧体42の左右両側部に前向きの撓み係合爪57を設ける一方、ベース部41における凹所56の左右内側面には、撓み係合爪57が弾性に抗しての変形によって係合する係合突起58を設けている。ベース部41と押圧体41との間にゴムブロック43が介在しているため、押圧体42の左右両側部の後面がハンガー体16に突っ張っており、このため、ハンガー体16はガタ付きのない状態に保持されている。
【0037】
(4).第2実施形態
次に、図11〜14に示す第2実施形態を説明する。この実施形態の背もたれ6は、前後に開口したバックフレーム32と、バックフレーム32にインサンート成形で一体に設けられた樹脂製のバックシート33とで構成されている。この実施形態では、バックシート33は露出したままである。バックフレーム32は、左右のサイドメンバー34と、サイドメンバー34の上端間に一体に繋がったアッパーメンバー35と、サイドメンバー34の下端間に一体に繋がったロアメンバー36とから成っている。図11に示すように、バックシート33のうちアッパーメンバー35を抱持する部分には、ハンガー取り付け部13を露出させるための穴33aが後ろ向きに開口している。
【0038】
アッパーメンバー35には後ろ向き張り出し部35aが形成されており、ハンガー取り付け部13には、庇状の後ろ向き張り出し部35aが一体に形成されている。ハンガー取り付け部13は底板13aを有しており、アッパーメンバー35の背面から後ろ向きに突出すると共に後ろ向き張り出し部7aの下面からは下向きに突出した箱状に形成されており、前後に開口している。また、ハンガー取り付け部13の内部はリブの群で左右複数に仕切られており、これらリブで仕切られた空所に、ハンガー装置のサポート部に設けた足部が嵌入される。また、底板13aには左右一対のビス挿通穴37を設けており、ビス挿通穴37に挿通したビスがハンガー装置のサポート部にねじ込まれる。
【0039】
この実施形態のカバー14は、ハンガー取り付け部13に下方から被さるように略トレー状に形成されている。カバー14の外れ防止手段としては、例えばビス挿通穴に嵌まる係合爪を突設したらよい。或いは、ハンガー取り付け部13の内部にナットを挿入して、これに、カバー14に貫通したビスをねじ込むことも可能である。
【0040】
この実施形態でも、ハンガー取り付け部13は後ろ向き張り出し部32aで隠れた部位に設けているため、カバー14を配置してもそのカバー14が目立つことはない。このため美観に優れている。また、アッパーメンバー35は後ろ向き張り出し部35aを設けたことで断面L型になっているため、アッパーメンバー35の強度が高くなっていると共に、ハンガー装置の支持強度も優れている。
【0041】
この実施形態に使用するハンガー装置12は第1実施形態のハンガー装置12と同様にベース体41と押圧体42とハンガー体16とを有する。ベース体41と押圧体42とハンガー体16との関係は第1実施形態に使用したハンガー装置12と同じであるが、ベース体41の構造が第1実施形態とは相違している。すなわち、この実施形態のベース体41は、重合部41aはカバー14と略同じ形状に形成されており、その内部に側面視コの字形の補強金具59が配置されている。
【0042】
補強金具59は、その上板59aはハンガー取り付け部13の内部に入り込んで下板59bはハンガー取り付け部13の下面に重なっている。そして、補強金具59に、ベース体41の重合部41aに上から挿入した上ビス60がねじ込むことにより、補強金具59とベース体41とが固定されていると共に、重合部41aに下方から挿通して下ビス61が補強金具59の下板59bとハンガー取り付け部13の下部とを貫通して、補強金具5)の上板59aにねじ込まれている。当然ながら、下ビス61は、ハンガー取り付け部13のビス挿通穴37に嵌まっている。
【0043】
(5).その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、前後に開口したバックフレームにメッシュ材を張った椅子にも適用できる。ハンガー装置も、例えば左右2本の支柱を有する形態にするなど、様々な形態を採用できる。背もたれがロッキングしない椅子にも適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本願発明は椅子に具体化することができる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0045】
6 背もたれ
7 背インナーシェル
8 前部クッション
9 後部クッション
10 表皮材
10b 後部表皮材
12 ハンガー装置
13 ハンガー取り付け部
14 カバー
14a 本体
15 サポート部
16 ハンガー体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背もたれの上部背面にハンガー装置又はヘッドレスト若しくは他のオプション品を取り付けるためのオプション品取付け部を設けている構成であって、
前記背もたれの上端には庇状の後ろ向き張り出し部をもうけており、この後ろ向き張り出し部で隠れた部位に前記オプション品取付け部を設けており、前記オプション品取付け部は、前記オプション品を取り付けない状態ではカバーで覆われている、
椅子。
【請求項2】
前記背もたれの前面と背面との両方が表皮材で構成されており、前記オプション品取付け部をカバーで覆った状態で、前記背もたれの背面を構成する表皮材が前記カバーで押さえ保持されている、
請求項1に記載した椅子。
【請求項1】
背もたれの上部背面にハンガー装置又はヘッドレスト若しくは他のオプション品を取り付けるためのオプション品取付け部を設けている構成であって、
前記背もたれの上端には庇状の後ろ向き張り出し部をもうけており、この後ろ向き張り出し部で隠れた部位に前記オプション品取付け部を設けており、前記オプション品取付け部は、前記オプション品を取り付けない状態ではカバーで覆われている、
椅子。
【請求項2】
前記背もたれの前面と背面との両方が表皮材で構成されており、前記オプション品取付け部をカバーで覆った状態で、前記背もたれの背面を構成する表皮材が前記カバーで押さえ保持されている、
請求項1に記載した椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−103069(P2013−103069A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250622(P2011−250622)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】
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