説明

植物の乾燥バイオマスの増加方法

本発明は、植物、植物の一部、植物が成長しているもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体を、少なくとも一種の殺虫剤により処理することによって、炭素同化を増加させ、植物の乾燥バイオマスを増加させる方法に関する。また本発明は、植物、植物の一部、植物が成長しているもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体を、少なくとも一種の殺虫剤により処理することによって、植物の炭素同化を増加させ、植物果実のバイオマスを増加させる方法であり、果実が全重量を基準として、5〜25重量%の残存湿分(水分)を含む、前記方法に関するものである。さらに本発明は、植物、植物の一部、植物が成長しているもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体を、明細書中に記載される少なくとも一種の殺虫剤により処理することによって、植物による大気中の二酸化炭素固定を増加させる方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一種の殺虫剤により、植物、植物の一部、植物が成長しているもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体を処理することによって、植物の乾燥バイオマスを増加させる方法に関する。本発明はまた、少なくとも一種の殺虫剤により、植物、植物の一部、植物が成長しているもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体を処理することによって、果実全重量を基準として、5〜25重量%の残留水分を含む、植物の果実のバイオマスを増加させる方法に関する。さらに本発明は、以下に記載するように、少なくとも一種の殺虫剤により植物、植物の一部、植物が成長しているもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体を処理することによって、大気中の二酸化炭素固定を増加させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今後数年における、国際社会に対する最も大きな課題の一つは、大気中の温室効果を担うガスを削減すること、又は少なくとも、大気中の温室ガス濃度を気候システムに対して危険な人為的干渉を防ぐ水準で一定に保つことである。おそらく、これらの温室効果ガスで最も重要なものは二酸化炭素である。この問題は京都議定書で表明されており、批准国は二酸化炭素及び他の5種の温室効果ガスの排出を削減すること、又はもしこれらのガスの放出を維持もしくは増加させるならば、排出量取引を保証することを誓約している。
【0003】
大気中の二酸化炭素は、多種の天然源、例えば火山によるガスの放出、有機物の燃焼、及び生存する好気性生物の呼吸過程等に由来する。人為的原因の二酸化炭素は主に、発電や輸送機関の利用に用いられる様々な化石燃料の燃焼に由来する。産業革命が始まって以来、大気中の二酸化炭素濃度は、約110μl/l又は約40%増加しており、その大半は1945年以降放出されている。世界で最も大きく、急成長している二つの国、インドと中国が世界人口の3分の1を占め、それらのエネルギー渇望の見積りを考慮しただけでも、人間由来の二酸化炭素放出が最大になっていないことが、期待され得る。代替エネルギー源、例えば太陽エネルギー、潮汐エネルギー、又は風力エネルギーを用いることは有望な方法であるが、これまでのところ、地球規模で慣用される燃焼から生じるエネルギーと置き換えるほど、十分に効果的又は順応的ではない。エネルギーを節約する努力や代替エネルギー源が今後成功する可能性は低いので、温室効果ガス濃度の削減/維持、また京都議定書を遵守することに対する別の方法が適切であり、その方法は大気中の二酸化炭素の固定である。
【0004】
主要な天然二酸化炭素の吸収源、即ち好ましくは容量を増加できる二酸化炭素貯蔵庫は、海及び生長する植物である。
【0005】
海はおそらく地球上で最も大きな二酸化炭素吸収源である。二酸化炭素の吸収源としてのこの役割は、二つの過程、溶解ポンプ及び生物ポンプによって駆動される。前者は主に、海水中の二酸化炭素溶解度差、及び熱塩循環の機能であり、後者は炭素(有機形態及び無機形態)を表面受光層から海洋内部へ輸送する一連の生物過程の合計である。生物ポンプにより海底へ輸送された有機炭素の一部は、無酸素条件で堆積物下に埋没され、最終的に油や天然ガスのような化石燃料を形成する。しかし、炭素吸収源としての海の有効性に対する気候変動の影響についてはほとんど知られていない。例えば、人間が原因の二酸化炭素による海洋の酸性化は、石灰化生物、例えば、円石藻類、有孔虫、及び翼足類に悪影響を与えることによって、生物ポンプに影響を与える可能性がある。気候変化も、海洋表面を温暖化、階層化し、従って栄養制限物質の表水への供給を減少させることによって将来生物ポンプに影響する可能性がある。
【0006】
従って、炭素吸収源として植物に頼ることがより有望なようである。これも京都議定書に反映されており、広範囲の森林(又はその他の植物)を有する国々は、排出量から一定量を控除することができ、それにより所望の排出レベルをより容易に達成できるようになる。
【0007】
光合成の一環として、植物は大気中の二酸化炭素を吸収する。代謝後生成された炭水化物は、糖質、でんぷん及び/又はセルロースとして貯蔵され、一方酸素が大気中へ放出される。土壌中では、ゆっくりと腐朽していく有機物質が徐々に堆積することによって炭素が蓄積され、別の二酸化炭素吸収源を形成する。
【0008】
森林はおそらく最も効果的な植物形態の炭素吸収源であるが、世界的な森林破壊はこの効能と拮抗する。森林は多くが農業用地と入れ替わっている。従って、二酸化炭素吸収源として農業植物を利用することは、有益な代替法である。この意味で、大気中から固定される二酸化炭素の量を増加させるために、植物による二酸化炭素の正味の取り込み及び炭素同化を増加する方法を提供することが望まれる。炭素同化の増加は、一般的に植物又はその産物の乾燥バイオマスを増加させる。
【0009】
今後数年における、国際社会に対するその他の主な課題は、不運にも高品質の耕地の世界的な減少を伴っている世界的な人口増加に合わせて、食物生産を維持することである。この課題を満たすには様々な領域での努力が必要であり、一つは農作物の栄養価を増加させることである。栄養価は一方で、植物又は作物のバイオマスと関連する。他方、植物又は作物のバイオマスはまた水も含むので、より良い測定基準は乾燥バイオマスである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、植物の乾燥バイオマス、特に乾燥炭素バイオマスを増加させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、植物及び/又はその成長場所及び/又はその散布体を殺虫剤で処理することによって、二酸化炭素の同化が増強され、それにより植物の乾燥バイオマス、特に乾燥炭素バイオマスが増強されることが見出された。
【0012】
従って一側面では、本発明は二酸化炭素同化を増加させることによって植物の乾燥バイオマスを増加させる方法を提供し、この方法は少なくとも一種の殺虫剤により植物、植物の一部、植物が成長しているもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体を処理することを含む。
【0013】
本発明はまた植物の乾燥バイオマス、特に乾燥炭素バイオマスを増加させるための殺虫剤の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の用語で、「植物のバイオマス」は、植物、例えば葉、根、種子及び茎によって生成される全有機物質である。バイオマスは、有機物質、例えば炭水化物、脂質及びタンパク質と、少量の無機物、例えばナトリウム、カルシウム、鉄及びリンを含む複雑な混合物である。植物バイオマスの主な成分は、炭水化物とリグニンであり、その割合は植物種により変化する。「果実のバイオマス」は果実の全質量である。植物又は果実のバイオマスは、特記されない限り、植物/果実組織に含まれる水も含んでいる。
【0015】
本発明の用語で、「乾燥バイオマス」は、植物の残存含水率が0〜1重量%、好ましくは0〜0.5重量%、特に約0重量%になるまで乾燥した後の、植物のバイオマスを意味する。「約」は標準誤差値を含む。乾燥は各植物を乾燥させるのに適したあらゆる方法によって行うことができ、例えば、必要であれば初めに植物又はその部分を切断し、その後オーブンにより例えば100℃又はより高温で適当な時間乾燥させる。本発明の一実施形態では、根、塊茎、幹、葉、果実などを含む植物全体の乾燥バイオマスを決定する。この算定基準は、好ましくは塊茎植物に適用される。別の実施形態では、植物の地表部分、即ち根、塊茎その他地中部分を除いた植物の乾燥バイオマスを決定する。この目的のためには、植物を地表面にて固く覆い、乾燥し計量する。この算定基準は、場合によっては全ての根系と共に植物を掘り起こすことは困難であるので、好ましくは(塊茎の無い)根の付いた植物に適用される。さらに他の実施形態では、植物の主要部分、例えば葉又は幹/茎の乾燥バイオマスを決定する。別の他の実施形態では、植物の産物の乾燥バイオマスを決定する。
【0016】
散布体はあらゆる種類の植物繁殖物質である。この用語は、種子、穀粒、果実、塊茎、根茎、胞子、挿し穂、分枝、分裂組織、単細胞及び多細胞の植物、その他、完全な植物を得ることができる植物組織全てを含む。ある特定の散布体の一つは種子である。
【0017】
場所は、植物が成長しているかもしくは成長することになる土壌、領域、物質、又は環境を意味する。
【0018】
他の側面では、本発明は植物の産物のバイオマスを増加させる方法であり、その産物は、産物の全重量を基準にして、0〜25重量%、好ましくは0〜16重量%、より好ましくは0〜12重量%の残存湿分(水分)を含み、この方法は少なくとも一種の殺虫剤により植物、植物の一部、植物が成長しているもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体を処理することを含む。
【0019】
本発明はまた植物の産物のバイオマスを増加させるための、少なくとも一種の殺虫剤の使用に関するものであり、この産物はその全重量を基準として0〜25重量%、好ましくは0〜16重量%、より好ましくは0〜12重量%の残存湿分を含む。
【0020】
「産物」は収穫後にさらに利用されるあらゆる植物生産物として理解され、例えば本来の意味での果物、野菜、殻果、穀粒、種子、木(例えば造林植物の場合)、花(例えば園芸植物、観賞植物の場合)等であり、植物によって生産される経済価値のあるあらゆるものを意味する。
【0021】
別の他の側面では、本発明は植物の果実のバイオマスを増加させる方法であり、果実はその全重量を基準として、5〜25重量%、好ましくは8〜16重量%、より好ましくは9〜12重量%の残存湿分(水分)を含み、この方法は少なくとも一種の殺虫剤により植物、植物の一部、植物が成長しているかもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体を処理することを含む。
【0022】
本発明はまた、植物果実のバイオマスを増加させるための殺虫剤の使用に関し、果実はその全重量を基準として、5〜25重量%、好ましくは8〜16重量%又は9〜12重量%の残存湿分を含む。
【0023】
本発明の用語で、「果実」とは、一般的に、植物の繁殖に役立つ任意の植物生産物、例えば本来の意味での果物、野菜、殻果、穀粒又は種子として理解される。
【0024】
果実又は産物の残存湿分は、例えばNIR(近赤外)分光法又は導電率によって決定できる。好ましくは、産物又は果実は適当な含水量になった時点で収穫する。しかしこれが可能ではなく、果実又は産物の残存湿分含有量が上記の値よりも大きい場合は、湿分含有量は、産物又は果実が所望の湿分含有量になるまで乾燥する(例えば乾燥器中で乾燥する)ことによって、減少させることができる。この場合、湿分含有量は、例えば乾燥した果実又は産物の重量を、乾燥工程前の重量と比較することによって決定できる。
【0025】
乾燥バイオマスの増加は特に乾燥炭素バイオマスの増加に基づいており、この乾燥炭素バイオマス自体は植物の二酸化炭素同化の増加に少なくとも部分的に起因する。本発明の方法及び使用によって、二酸化炭素同化の正味の増加が得られる一方、同時に植物の正味の光呼吸は減少するか、又は少なくとも二酸化炭素同化の正味の増加よりも小さくなる。「正味」は、植物の生存期間にわたって測定される値を表す。従って乾燥バイオマスの増加は、植物によって大気から固定される二酸化炭素が増加した結果であり、乾燥炭素バイオマスの増加である。二酸化炭素固定は光呼吸によって消滅していない二酸化炭素の同化を表す。
【0026】
従って別の側面では、本発明は植物による大気の二酸化炭素固定を増加させる方法に関し、この方法は少なくとも一種の殺虫剤により植物、植物の一部、植物が成長しているもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体を処理することを含む。
【0027】
本発明はまた、植物による大気の二酸化炭素固定を増加させるための殺虫剤の使用に関する。
【0028】
既に述べた通り、乾燥バイオマスの増加、果実又は産物のバイオマスの増加、及び二酸化炭素固定の増加は、一時的な効果だけでなく、植物の生存期間全体に亘る又は少なくとも植物の生存期間の重要な部分に亘る期間(例えば植物の収穫まで、各植物品種において通例の時点で行われる収穫まで、又は植物が死ぬまで)の正味の結果であることを強調しなければならない。好ましくは、植物の乾燥バイオマス、又は上記で定義した湿分含有量を有する果実/産物のバイオマスの増加は、植物が収穫された後、即ち各植物品種のために通例の時点で行われる収穫後に決定される。
【0029】
本発明の殺虫剤の好ましい実施形態、それらの好ましい使用、及びその方法の好ましい実施形態に関する下記の記載は、各々それ自体で理解されるか、又は好ましくは互いに組み合わせて理解されるべきである。
【0030】
好ましくは、少なくとも一種の殺虫剤は、GABAアンタゴニスト化合物、ニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物及び次式Γ1のアントラニルアミド化合物から選択される。
【化1】

【0031】
式中、A1はCH3、Cl、Br又はIであり、XはC-H、C-Cl、C-F又はNであり、Y'はF、Cl又はBrであり、Y''はF、Cl、又はCF3であり、B1は水素、Cl、Br、I又はCNであり、B2はCl、Br、CF3、OCH2CF3、又はOCF2Hであり、RBは水素、CH3又はCH(CH3)2である。
【0032】
好ましくは、GABAアンタゴニスト化合物はアセトプロール、エンドスルファン、エチプロール、5-アミノ-1-(2,6-ジクロロ-α,α,α-トリフルオロ-p-トリル)-4-トリフルオロメチルスルフィニルピラゾール-3-カルボニトリル (フィプロニル)、バニリプロール、ピラフルプロール、ピリプロール及び次式Γ2のフェニルピラゾール化合物から選択される。
【化2】

【0033】
特に好ましいGABAアンタゴニスト化合物は、5-アミノ-1-(2,6-ジクロロ-α,α,α-トリフルオロ-p-トリル)-4-トリフルオロメチルスルフィニルピラゾール-3-カルボニトリルであり、フィプロニルの慣用名で公知である。
【0034】
好ましいニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物はクロチアニジン、ジノテフラン、(EZ)-1-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-N-ニトロイミダゾリジン-2-イリデンアミン (イミダクロプリド)、(EZ)-3-(2-クロロ-1,3-チアゾール-5-イルメチル)-5-メチル-1,3,5-オキサジアジナン-4-イリデン(ニトロ)アミン (チアメトキサム)、ニテンピラム、アセタミプリド及びチアクロプリドから選択される。
【0035】
より好ましいニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物は、イミダクロプリド、クロチアニジン及びチアメトキサムから選択される。
【0036】
より好ましい実施形態では、殺虫剤はGABAアンタゴニスト化合物から選択される。
【0037】
特に好ましい殺虫剤はフィプロニルである。
【0038】
本発明の一実施形態では、一種より多くの殺虫剤を使用する。例えば、二種以上の異なるGABAアンタゴニスト化合物、二種以上の異なるニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物、もしくは二種以上の式Γ1のアントラニルアミド化合物を使用し、又は一種のGABAアンタゴニスト化合物を他種の殺虫剤、例えばピレスロイドと併せて使用し、一種のニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物を他種の殺虫剤と併せて使用し、もしくは式Γ1のアントラニルアミド化合物を他種の殺虫剤と併せて使用する。特定の実施形態では、GABAアンタゴニスト化合物、好ましくはフィプロニルをピレスロイド系殺虫剤と併せて使用する。好ましいピレスロイド系殺虫剤は、アレスニン、ビフェントリン、シフルトリン、シハロトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、α-シペルメトリン、β-シペルメトリン、ζ-シペルメトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、イミプロトリン、λ-シハロトリン、γ-シハロトリン、ペルメトリン、プラレトリン、ピレトリン I 及び II、レスメトリン、シラフルオフェン、τ-フルバリネート、テフルトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン並びにジメフルトリンから選択され、特にα-シペルメトリンが好ましい。
【0039】
上記の殺虫剤及びその製造方法は一般的に公知である。例えば市販の化合物は、他の刊行物もあるがThe Pesticide Manual, 13th Edition, British Crop Protection Council (2003)で見つかるだろう。アセトプロール及びその調製方法はWO 98/28277に記載されている。ピラフルプロール及びその調製方法は、JP 2002193709及びWO 01/00614に記載されている。ピリプロール及びその調製方法はWO 98/45274及びUS 6335357に記載されている。別の殺虫剤は、上記文献中に記載されている方法と類似の方法によって調製できる。
【0040】
植物の部分、例えば葉を、本発明の方法によって処理しようとする場合、その処理される部分は生きている植物の部分でなければならず、収穫された部分でないことは明らかである。また、処理される植物が生きている植物であることも明らかである。
【0041】
一般的に本発明の方法では、ほぼ全種の植物を使用できる。しかし経済的な考慮から、処理される植物は、農業又は林業の植物が好ましい。
【0042】
農業植物は、その部分もしくは全てが商業規模で収穫もしくは栽培され、又は飼料、食物、繊維(例えば綿、リネン)、可燃物(例えば木材、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオマス)その他化成品の重要な資源となる植物である。例えば、ダイズ、トウモロコシ(メイズ)、小麦、ライ小麦、オオムギ、オート麦、ライ麦、セイヨウアブラナ、例えばキャノーラ、キビ(ソルガム)、米、ヒマワリ、綿、サトウダイコン、仁果、核果、柑橘類(シトラス)、バナナ、イチゴ、ブルーベリー、アーモンド、ブドウ、マンゴー、パパイヤ、ピーナッツ、ジャガイモ、トマト、コショウ、ウリ科植物、キュウリ、メロン、スイカ、ニンニク、タマネギ、ニンジン、キャベツ、豆、エンドウ豆、レンティル(平豆)、ムラサキウマゴヤシ(アルファルファ、ルーサン)、ツメクサ(三つ葉)、クローバー、亜麻、エレファントグラス(ススキ属(Miscanthus))、グラス(芝生)、レタス、サトウキビ、茶、タバコ及びコーヒーが挙げられる。
【0043】
本発明の用語で林業植物は、木であり、さらに具体的には森林再生又は産業プランテーションで用いられる木である。産業プランテーションは一般的に森林産物、例えば木材、パルプ、紙、ゴム、クリスマスツリー又は園芸のための若木の商業生産のため行われる。林業植物の例として、針葉樹(例えばマツ)、特にPinus spec.、モミ及びトウヒ、ユーカリ、熱帯樹木、例えばチーク、ゴムノキ、油やし、柳(Salix)、特にSalix spec.、ポプラ(ハコヤナギ)、特にPopolus spec.、ブナノキ、特にFagus spec.、カバノキ並びにオークが挙げられる。
【0044】
好ましい一実施形態において、農業植物は(再生可能な)エネルギー生産に適している植物から選択される。その意味で好ましい植物は、穀物(例えばダイズ、トウモロコシ、小麦、オオムギ、オート麦、ライ麦、セイヨウアブラナ、キビ及びコメ)、ヒマワリ及びサトウキビである。特に、農業植物はトウモロコシ、ダイズ及びサトウキビから選択される。
【0045】
他の好ましい実施形態において、農業植物はマメ科植物から選択される。マメ科植物は特にタンパク質に富んでいる。例えば、エンドウ豆及び豆全種、レンティル、ムラサキウマゴヤシ(ルーサン)、ピーナッツ、ツメクサ、クローバー、特にダイズである。
【0046】
好ましい一実施形態において、林業植物はユーカリ、熱帯樹木(例えばチーク)、ゴムノキもしくは油やし、柳(Salix)、特にSalix spec.、及びポプラ(ハコヤナギ)、特にPopolus spec.から選択される。
【0047】
好ましい一実施形態において、植物は(再生可能な)エネルギー生産で使用できる植物から選択される。その意味で適した植物は、油脂植物、例えばダイズ、トウモロコシ、アブラナ(特にキャノーラ)、亜麻、油やし、ヒマワリ及びピーナッツである。別の適した植物は、バイオエタノールを製造するための植物、例えばサトウキビである。別の適した植物は、バイオマスを製造するのに適した植物、例えばそのわらが可燃性のバイオマスとして使用できる全ての穀物であり、例えばダイズ、トウモロコシ、小麦、オオムギ、オート麦、ライ麦、セイヨウアブラナ、キビ及びコメ、特にトウモロコシ、小麦、オオムギ、オート麦、ライ麦、セイヨウアブラナ、及びキビ、木、特に速く成長する木材を有する木、例えばユーカリ、ポプラ及び柳、並びにまたミスカンサスである。(再生可能な)エネルギーの生産で使用できる好ましい植物は、ダイズ、トウモロコシ、アブラナ(特にキャノーラ)、亜麻、油やし、ピーナッツ、ヒマワリ、小麦、サトウキビ、ユーカリ、ポプラ、柳及びミスカンサスから選択される。
【0048】
他の好ましい実施形態では、植物は、でんぷんを生成する植物、好ましくはジャガイモ及びでんぷんに富む穀物、例えばトウモロコシ、小麦、オオムギ、オート麦、ライ麦、キビ及びコメ、特にジャガイモ及びトウモロコシから選択される。
【0049】
他の好ましい実施形態では、植物は繊維、特に綿及び亜麻を生産するのに適した植物から選択される。
【0050】
他の好ましい実施形態では、植物は油脂植物、例えばダイズ、トウモロコシ、アブラナ(特にキャノーラ)、亜麻、油やし、ヒマワリ及びピーナッツから選択される。
【0051】
他の好ましい実施形態では、植物は単子葉植物、例えばトウモロコシ、小麦、オオムギ、オート麦、ライ麦、キビ、コメ、バナナ、ニンニク、タマネギ、ニンジン、サトウキビ及びススキ属(Miscanthus)、特にトウモロコシ、小麦及びススキ属(Miscanthus)から選択される。
【0052】
他の好ましい実施形態では、植物は双子葉植物、例えばダイズ、セイヨウアブラナ、ヒマワリ、綿、サトウダイコン、仁果類、核果、シトラス、イチゴ、ブルーベリー、アーモンド、ブドウ、マンゴー、パパイヤ、ピーナッツ、ジャガイモ、トマト、コショウ、ウリ科植物、キュウリ、メロン、スイカ、キャベツ、豆、エンドウ豆、レンティル、ムラサキウマゴヤシ(ルーサン)、ツメクサ、クローバー、亜麻、エレファントグラス(ススキ属(Miscanthus))、レタス、茶、タバコ及びコーヒーから選択される。
【0053】
しかしより好ましい実施形態では、植物は農業植物(これ自体はダイズ及びC4植物から選択される)、並びに林業植物から選択され、より好ましくはC4植物及び林業植物から選択される。
【0054】
C4植物はC3植物と比較して、温暖な光条件下でより速い光合成ができ、二酸化炭素固定の別の経路を有する植物である。より簡素で古代のC3植物において、光合成の光非依存性反応の第一段階では、RuBisCo酵素(リブロース二リン酸カルボキシラーゼオキシゲナーゼ、カルビン回路の第一酵素)によって、二酸化炭素が3-ホスホグリセリン酸(PGA)(3つの炭素原子を有する分子であり(それゆえ「C3」植物という)、糖質及びでんぷん合成の出発物質として働く)中へと固定される。しかし、RuBisCoの有するカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼの二重の活性によって、一定量の基質はカルボキシル化されるよりむしろ酸化され、基質の損失及びエネルギー消費(光呼吸として知られる現象)を引き起こす。光呼吸経路を迂回するために、C4植物は二酸化炭素をRuBisCO酵素へ効率よく運ぶ機構を作り出した。それらは特定の葉の構造を利用し、そこでは葉緑体が、葉の外側部分にある葉肉細胞だけでなく維管束鞘細胞にも存在する。カルビン回路の直接的な固定に代わって、二酸化炭素は、維管束鞘細胞の葉緑体中で二酸化炭素を再生でき、4つの炭素原子を有する有機酸(それゆえ「C4」)へ変換される。続いて維管束鞘細胞はこの二酸化炭素を利用して、通常のC3経路によって炭水化物を生成することができる。C4植物はC3植物よりも水利用効率(WUE)に関して優れており、すなわち、同じ乾燥質量を形成するためにより少ない水で足りる。大半の公知のC4植物はイネ科であり、次いでスゲである。
【0055】
本発明において、好ましいC4植物はトウモロコシ、サトウキビ、キビ、ソルガム、エレファントグラス(ススキ属(Miscanthus))、スイッチグラス(ススキ(Miscanthus sinensis))及びアマランスから選択される。特に、植物はトウモロコシ及びサトウキビ、より特定するとトウモロコシから選択される。
【0056】
好ましい産物は、穀粒(grain)、特に穀物(cereal grain)、例えばダイズ、トウモロコシ、小麦、ライ小麦、オオムギ、オート麦、ライ麦、セイヨウアブラナ、キビ、及びコメの穀粒、さらにヒマワリ種子、綿穀粒及びピーナッツ、特に穀物(cereal)、例えばトウモロコシ、小麦、ライ小麦、オオムギ、オート麦、ライ麦、セイヨウアブラナ及びキビ、又はミスカンサスのわら、並びに特に速く成長する木、例えばユーカリ、ポプラ及び柳の木材である。より好ましい作物は穀粒(grain)及びわらである。
【0057】
植物は非遺伝子組み換え植物、又は少なくとも一種の遺伝子組み換えをされている植物であり得る。本発明で使用する殺虫剤が、他の農薬例えば除草剤と共に使用される場合、一実施形態において植物は、好ましくは特定の農薬に耐性ができるように遺伝子組み換えをされているトランスジェニック植物であることが好ましい。例えば、その追加の農薬がグリホセート除草剤である場合、遺伝子組み換え植物又は散布体は、グリホセート耐性ができるように遺伝子組み換えをされていることが好ましい。グリホセート耐性ができるように遺伝子組み換えをされている、好ましいトランスジェニック植物の数例は、US 5,914,451、US 5,866,775、US 5,804,425、US 5,776,760、US 5,633,435、US 5,627,061、US 5,463,175、US 5,312,910、US 5,310,667、US 5,188,642、US 5,145,783、US 4,971,908及びUS 4,940,835に記載されている。遺伝子組み換え植物が、遺伝子組み換えダイズ植物である場合、「ラウンドアップレディー(Roundup-Ready)」遺伝子組み換えダイズ(Monsanto社St. Louis, Mo.から入手できる)の特性を有する植物が好ましい。
【0058】
しかし、植物が遺伝子組み換え植物である場合、植物中の遺伝子組み換え事象は農薬耐性をもつ植物に限定されることはなく、任意の遺伝子組み換え事象を包含できるものと理解されたい。実際に植物中で、「積み重なった(stacked)」遺伝子組み換え事象の使用も考えられる。
【0059】
本発明の一実施形態において、殺虫剤は少なくとも一種の別の農薬と共に使用する。適した農薬は、例えば上記グリホセートのような除草剤及び殺菌剤である。
【0060】
植物又は種子のような繁殖物質を、本発明の方法によって少なくとも一種の殺虫剤で処理することは、幾つかの方法で達成できる。薬剤(場合によって一種以上の上記追加の農薬と共に)は、散布体、特に種子、及び/又は種子が蒔かれる土壌へ直接、例えば種子と共に蒔く時点で施用することができる(例えば畝間処理)。あるいは、それは種蒔き及び発芽後土壌へ、又は出芽後及び/もしくは植物の全生活環の間に植物の葉へ施用することができる。
【0061】
即時使用可能な調製物において、少なくとも一種の殺虫剤は、懸濁、乳化又は溶解状態で存在できる。施用形態は、意図する使用法に専ら依存する。
【0062】
少なくとも一種の殺虫剤は、処方物の形態で又はそれから調製された施用形態で、施用し、例えば直接噴霧可能な溶液、粉末、懸濁液もしくは分散液、例えば高濃縮された水性、油性その他の懸濁液もしくは分散液、エマルジョン、油状分散液、ペースト、粉剤、散布用の組成物又は顆粒の形態で施用することができる。施用は通常噴霧、散霧、散粉、散布又は散水によって行う。施用形態及び方法は意図する用途に依存し、各場合活性化合物を可能な限り微細に分布させるべきである。
【0063】
少なくとも一種の殺虫剤の即時使用可能な調製物が存在する実施形態によって、調製物は一種以上の液体又は固体担体、適宜界面活性剤、及び適宜作物保護剤を処方するために慣用される別の助剤を含む。その処方物の調製法は当業者によく知られている。
【0064】
水性施用形態は、例えばエマルジョン濃縮物、懸濁液、ペースト、湿潤可能な粉末又は水分散性顆粒に、水を添加することによって調製できる。エマルジョン、ペースト、油状分散液を調製するために、活性化合物それ自体、又は油もしくは溶媒に溶解した活性化合物は、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤又は乳化剤によって水中で均質化することができる。しかし、活性化合物、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤又は乳化剤、及び適宜溶媒又は油から成る濃縮物を調製することも可能であり、かかる濃縮物は水での希釈に適している。
【0065】
即時使用可能な調製物中の少なくとも一種の殺虫剤の濃度は、比較的広範囲に変えることができる。一般的に濃度は0.0001〜10%、好ましくは0.01〜1%(即時使用可能な調製物の全重量に基づく、活性化合物の全含有量、重量%)である。
【0066】
少なくとも一種の殺虫剤はまた、超微量散布法(ULV)によりうまく使用することもでき、活性化合物を95重量%より多く含む処方物を、又は添加物の無い活性化合物さえも使用できる。
【0067】
種々の油、湿潤剤、補助剤、除草剤、殺菌剤(fungicide)、本発明で使用される少なくとも一種の殺虫剤と異なる殺虫剤、殺線虫剤、他の農薬(例えば殺菌剤(bacteridide))、肥料及び/又は成長調節剤を活性化合物に添加することができ、適当であれば使用直前でなくてもよい(タンクミックス)。これらの薬剤は、本発明により使用する少なくとも一種の殺虫剤と共に、重量比1:100〜100:1 、好ましくは1:10 〜10:1で混合できる。
【0068】
補助剤は例えば、修飾された有機ポリシロキサン(例えばBreak Thru S 240(登録商標))、アルコールアルコキシレート(例えばAtplus 245(登録商標)、Atplus MBA 1303(登録商標)、Plurafac LF 300(登録商標)及びLutensol ON 30(登録商標))、EO-POブロックコポリマー(例えばPluronic RPE 2035(登録商標)及びGenapol B(登録商標))、アルコールエトキシレート(例えばLutensol XP 80(登録商標))、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート(例えばLeophen RA(登録商標))である。
【0069】
処方物は公知の方法、例えば活性化合物を、溶媒及び/又は担体を用いて、所望ならば界面活性剤(乳化剤及び分散剤)を用いて、伸展することによって調製する。この目的に適した溶媒/担体は基本的に以下のものである。
【0070】
水、芳香族溶剤(例えばSolvesso製品、キシレン)、パラフィン(例えば鉱油画分)、アルコール(例えばメタノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例えばシクロヘキサノン、メチルヒドロキシブチルケトン、ジアセトンアルコール、メシチルオキシド、イソホロン)、ラクトン(例えばγ-ブチロラクトン)、ピロリドン類(ピロリドン、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、n-オクチルピロリドン)、アセテート(グリコールジアセテート)、グリコール、ジメチル脂肪酸アミド、脂肪酸、及び脂肪酸エステル。原則として、溶媒混合物もまた使用できる。
【0071】
担体、例えば粉砕天然鉱物(例えばカオリン、クレー、タルク、チョーク)、及び粉砕合成鉱物(例えば細かく分割したシリカ、シリケート)、乳化剤、例えば非イオン性及び陰イオン性乳化剤(例えばポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルスルホネート、及びアリールスルホネート)、並びに分散剤、例えばリグノサルファイト廃液及びメチルセルロース。
【0072】
適した界面活性剤は、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、アルキルアリールスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、脂肪アルコールスルフェート、脂肪酸、及び硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテルのアルカリ金属、アルカリ土類金属、及びアンモニウム塩、さらに、スルホン化ナフタレン及びナフタレン誘導体とホルムアルデヒドとの縮合物、ナフタレン又はナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステリルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルコール及び脂肪アルコールエチレンオキシド縮合物、エトキシル化キャスターオイル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグノサルファイト廃液並びにメチルセルロースである。
【0073】
直接噴霧可能な溶液、エマルジョン、ペースト又は油状分散物の調製に適した物質は、中〜高沸点の鉱油画分、例えばケロシン又はディーゼル油、さらにコールタール油及び植物又は動物由来の油、脂肪族、環式及び芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレンもしくはそれらの誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、メシチルオキシド、イソホロン、高極性溶媒、例えばジメチルスルホキシド、2-イロリドン、N−メチルピロリドン、ブチロラクトンもしくは水である。
【0074】
粉末、散布するための組成物及び粉剤は、活性化合物を固体担体と混合又は同時に粉砕することによって調製できる。
【0075】
顆粒、例えば被覆顆粒、含浸顆粒、及び均質顆粒は、固体担体へ活性物質を結合させることによって調製できる。固体担体の例として、鉱物土、例えばシリカゲル、シリケート、タルク、カオリン、アタクレイ、石灰石、石灰、チョーク、赤土、黄土、クレー、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕合成物、肥料、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、及び植物由来の製品、例えば穀物粉、樹皮粉、木穀粉、及び堅果穀粉、セルロース粉末、並びに他の固体担体が挙げられる。
【0076】
種子処理のための処方物はさらに、結合剤、及び/又はゲル化剤、並びに場合により着色剤を包含できる。
【0077】
一般的に処方物は0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%、特に5〜50重量%の活性化合物を含む。この意味において、活性化合物は90%〜100%、好ましくは95%〜100%の純度(NMRスペクトルによる)で使用する。
【0078】
2〜10倍希釈後、種子処理用の処方物は、即時使用可能な調製物中において0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%の活性化合物を含む。
【0079】
処方物の例は以下の通りである。
【0080】
1. 水希釈のための生成物
I) 水溶性濃縮物(SL, LS)
10重量部の活性化合物を、90重量部の水又は水溶性溶媒に溶解させる。あるいは、湿潤剤その他の補助剤を添加する。活性物質は水希釈により溶解する。これにより10重量%の活性成分を含む処方物が得られる。
【0081】
II) 分散性濃縮物(DC)
20重量部の活性化合物を、10重量部の分散剤、例えばポリビニルピロリドンを添加した70重量部のシクロヘキサノンに溶解させる。活性成分の含量は20重量%である。水希釈により分散液が得られる。
【0082】
III) 乳化性濃縮物(EC)
15重量部の活性化合物を、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びキャスターオイルエトキシレート(各々5重量部)を加えた75重量部のキシレンに溶解させる。活性成分の含量は15重量%である。水希釈によりエマルジョンが得られる。
【0083】
IV) エマルジョン(EW, EO, ES)
25重量部の活性化合物を、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びキャスターオイルエトキシレート(各々5重量部)を加えた35重量部のキシレンに溶解させる。この混合物を、乳化装置(Ultraturrax)によって、30重量部の水中に導入し、均一なエマルジョンにする。活性成分の含量は25重量%である。水希釈によりエマルジョンとなる。
【0084】
V) 懸濁液(SC, OD, FS)
ボールミル中で攪拌しながら、20重量部の活性化合物を、10重量部の分散剤、湿潤剤及び70重量部の水又は有機溶媒に加えてミル処理をすると、微細な活性化合物懸濁液が得られる。活性成分の含量は20重量%である。水希釈により活性化合物を含む安定な懸濁液が得られる。
【0085】
VI) 水分散性顆粒及び水溶性顆粒(WG, SG)
50重量部の活性化合物を、50重量部の分散剤及び湿潤剤を加えて微細に粉砕し、工業装置(例えば押し出し機、噴霧塔、流動床)により、水分散性又は水溶性顆粒にする。活性成分の含量は50重量%である。水希釈により、活性化合物を含む安定な分散液又は溶液となる。
【0086】
VII) 水分散性粉末剤及び水溶性粉末剤(WP, SP, SS, WS)
75重量部の活性化合物を、25重量部の分散剤、湿潤剤、及びシリカゲルを加えてローター-ステーターミル中で粉砕する。活性成分の含量は75重量%である。水希釈により、活性化合物を含む安定な分散液又は溶液になる。
【0087】
VIII) ゲル処方物 (GF)
20重量部の活性化合物、10重量部の分散剤、1重量部のゲル化剤、及び70重量部の水又は有機溶媒をボールミル中で粉砕すると、微細に分割された懸濁液が得られる。水希釈により、活性化合物を含む安定な懸濁液となる。
【0088】
2. 直接施用のための生成物
IX) 粉剤(DP, DS)
5重量部の活性化合物を微細に粉砕し、95重量部の微粒状のカオリンとよく混合する。これにより5重量%の活性成分を含む粉剤が得られる。
【0089】
X) 顆粒(GR, FG, GG, MG)
0.5重量部の活性化合物を、微細に粉砕し、99.5重量部の担体と混合する。慣用の方法は、押し出し、噴霧乾燥、又は流動床である。これにより0.5重量%の活性成分を含む、直接施用のための顆粒が得られる。
【0090】
XI) ULV溶液(UL)
10重量部の活性化合物を、90重量部の有機溶媒、例えばキシレンに溶解させる。これにより10重量%の活性成分を含む、直接施用のための顆粒が得られる。
【0091】
種子処理に適した組成物は例えば以下の通りである。
【0092】
I 水溶性濃縮物(SL, LS)
III 乳化性濃縮物(EC)
IV エマルジョン(EW, EO, ES)
V 懸濁液(SC, OD, FS)
VI 水分散性顆粒及び水溶性顆粒(WG, SG)
VII 水分散性粉末剤及び水溶性粉末剤(WP, SP, WS)
VIII ゲル処方物(GF)
IX 粉剤及び粉剤様粉末(DP, DS)
種子処理に用いられる好ましい処方物は、FS処方物である。一般的にこれらの処方物は、1〜800 g/lの活性化合物、1〜200g/lの湿潤剤、0 〜200g/lの不凍剤、0〜400g/lの結合剤、0〜200g/lの着色剤(顔料及び/又は色素)及び溶媒、好ましくは水を含む。
【0093】
種子処理のための活性化合物の好ましいFS処方物は、通常、0.5〜80%の活性化合物、0.05〜5%の湿潤剤、0.5〜15%の分散剤、0.1〜5%の増粘剤、5〜20%の不凍剤、0.1〜2%の消泡剤、1〜20%の顔料及び/又は色素、0〜15%の粘着性付与剤又は接着剤、0〜75%の充填剤/賦形剤、並びに0.01〜1%の防腐剤を含む。
【0094】
種子処理のための活性化合物の処方物に適した顔料又は色素は、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド112、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド 52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイエロー23、ベーシックレッド10、ベーシックレッド108である。
【0095】
適した湿潤剤及び分散剤は、特に上記の界面活性剤である。好ましい湿潤剤はアルキルナフタレンスルホネート、例えばジイソプロピルナフタレンスルホネート又はジイソブチルナフタレンスルホネートである。好ましい分散剤は、非イオン性もしくは陰イオン性分散剤、又は非イオン性もしくは陰イオン性分散剤の混合物である。適した非イオン性分散剤は特に、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、アルキルフェノールポリグリコールエーテル及びトリストリリルフェノールポリグリコールエーテル、例えばポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステリルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルコール及び脂肪アルコール/エチレンオキシド濃縮物、エトキシル化キャスターオイル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル並びにメチルセルロースである。適した陰イオン性分散剤は特に、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、アルキルアリールスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、脂肪アルコールスルフェート、脂肪酸、及び硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテルのアルカリ金属、アルカリ土類金属、及びアンモニウム塩、さらにアリールスルホネート/ホルムアルデヒド縮合物、例えばスルホン化ナフタレン及びナフタレン誘導体とホルムアルデヒドの縮合物、ナフタレン又はナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒド縮合物、リグノスルホネート、リグノサルファイト廃液、メチルセルロースのリン酸化又は硫酸化誘導体、並びにポリアクリル酸塩である。
【0096】
不凍剤としての使用に適したものは、原則として水の融点を下げる全物質である。適した不凍剤は、アルカノール例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、グリコール、グリセロール、ジエチレングリコールなどを含む。
【0097】
適した増粘剤は農薬組成物のために用いられる全物質であり、例えばセルロース誘導体、ポリアクリル酸誘導体、キサンタン、修飾されたクレー及び微細分割したシリカである。
【0098】
消泡剤としての使用に適しているのは、農薬活性化合物を処方するために慣用される全ての消泡剤である。特にシリコーン消泡剤及びステアリン酸マグネシウムである。
【0099】
防腐剤としての使用に適しているのは、この目的で農薬組成物に使用できる全ての防腐剤である。例えば、ジクロロフェン、イソチアゾレン、例えば1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンヒドロクロライド、5-クロロ-2-(4-クロロベンジル)-3(2H)-イソチアゾロン、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンヒドロクロライド、4,5-ジクロロ-2-シクロヘキシル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン塩化カルシウム錯体、2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オンであり、ベンジルアルコールヘミホルマールでもよい。
【0100】
接着剤/粘着性付与剤は、処理後の種子に効果的な成分を付着しやすくするために添加する。適した接着剤は、EO/POベースブロックコポリマー界面活性剤であるが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリスチレン、ポリエチレンアミン、ポリエチレンアミド、ポリエチレンイミン((Lupasol(登録商標)、Polymin(登録商標))、ポリエーテル及びこれらのポリマー由来のコポリマーでもよい。
【0101】
土壌処理に適した組成物は、散布顆粒又は含浸肥料顆粒として、畝間施用可能な顆粒を含み、発芽前又は発芽後の噴霧として土壌へ施用する噴霧施用物も含む。
【0102】
植物、特にその地上部分、特に葉(葉施用)を処理するのに適した組成物は、噴霧施用物、粉剤、微小顆粒を含むが、噴霧施用が好ましい。
【0103】
直接施用のための噴霧溶液を製造するのに適した処方物は、
I 水溶性濃縮物(SL、LS)
II) 分散性濃縮物(DC)
III 乳化性濃縮物(EC)
IV エマルジョン(EW、EO)
V 懸濁液(SC)
VI 水分散性顆粒及び水溶性顆粒(WG)
VII 水分散性粉末剤及び水溶性粉末剤(WP、SP)
である。
【0104】
本発明の方法は一般的に、処理される植物、植物の一部、植物が成長しているもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体と、少なくとも一種の殺虫剤又はそれを含む組成物/処方物とを接触させることにより実行する。この目的のため、組成物又は個々の活性化合物は、植物、植物の一部、植物が成長しているもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体へ施用する。
【0105】
種子処理のために、原則として種子を処理又は粉衣するために慣用される任意の方法を使用でき、例えば種子粉衣、種子コーティング、種子散布、種子浸漬、種子フィルムコーティング、種子多層コーティング、種子包含(encrusting)、種子ドリッピング、種子ペレット化があるがこれらに限定されない。特にその処理は、そのまま又は本目的に適した装置(例えば固体又は固体/液体混合対のための混合装置)中で水により前希釈した後、種子と特定量の所望の種子粉衣処方物とを、組成物が種子上に均一に分布するまで、混合することによって実行する。適宜、その後乾燥する。
【0106】
植物が成長しているもしくは成長することになる場所、特に土壌を処理するためには、散布体が植付/蒔種される前に、散布体と共に植え付けもしくは種蒔きする時点で(種子を蒔く場合、これは畝間処理と呼ばれる)、植付/蒔種後、又は植物の発芽後でさえ、そのまま又は水による前希釈後に少なくとも一種の殺虫剤を含む適当量の処方物を用いて、土壌へ施用することによって土壌処理できる。
【0107】
土壌処理は例えば穀物、綿、ヒマワリ及び木に適した方法であり、プランテーションで育成している場合は特に適している。
【0108】
植物又はその地上部分、特に葉の処理は、一般的に、植物又はその地上部分、特に葉に噴霧すること(葉施用)によって実行され、希釈もしくは微細分散状態で、活性化合物又はその処方物を含む噴霧液を用いる。処理は例えば、担体として水を用いて、100〜1000 l/ha (例えば300〜400 l/ha)の噴霧液量を用いることによって、慣用の噴霧技術により実行される。活性化合物は微量散布法及び超微量散布法によって処理可能であり、微小顆粒状態での施用もできる。
【0109】
純粋な殺虫剤、即ち処方助剤を含まない活性化合物の必要とされる施用量は、植物の設置場所、植物の発達段階、施用場所の気候条件、及び施用方法に依存する。一般的に、施用される化合物の量は、0.001〜3kg/ha、好ましくは0.005〜2kg/ha、 特に0.01〜1kg/haの活性物質(a.s.)である。
【0110】
種子処理において使用される活性化合物の量は、100kgの種子当たり0.1g〜10kg、好ましくは100kg当たり1〜2.5kg、より好ましくは1〜200g/100kgであり、特に5〜100g/100kgである。レタス及びタマネギのような特定の作物では、その割合を高くすることができる。
【0111】
少なくとも一種の殺虫剤は、季節毎に1〜10回、好ましくは1〜5回、より好ましくは 1〜3回、特に1又は2回、植物及び/又は植物が成長しているもしくは成長することになる場所へ施用する。
【0112】
散布体の処理は一般的に、一年生の植物、即ち一季終了後完全に収穫し、次季に植付けしなければならない植物にのみ適している。
【0113】
好ましい一実施形態において、本発明の方法では、散布体、特に種子及び/又は植物が成長する土壌、好ましくは散布体、特に種子、及び/又は植物が成長する土壌を、少なくとも一種の殺虫剤で処理する。より好ましくは、散布体、特に種子を少なくとも一種の殺虫剤で処理する。
【0114】
土壌処理、及び特に葉処理の場合、土壌又は植物は、植物の発芽後に処理する。好ましくは、植物は成長段階30〜70(BBCH (Biologische Bundesanstalt fur Land- und Forstwirtschaft, Bundessortenamt und Chemische Industrie (ドイツ共和国農林連邦局))拡大基準(extended scale)(全ての単子葉及び双子葉植物種の音韻論と同様な成長段階を均一にコーディングするシステム、www.bba.de/veroeff/bbch/bbcheng.pdfを参照)、すなわち、主芽の茎成長又はロゼット成長/発達から開花するまで)において処理する。最適な処理時間は特定の植物種に依存し、適当な試験により容易に決定できる。
【0115】
本発明の方法によって、産物全重量を基準として、湿分含有量0〜25重量%、好ましくは0〜16重量%、より好ましくは0〜12重量%を有する植物の乾燥バイオマス及び/もしくは植物産物のバイオマス、並びに/又は果実全重量を基準として、湿分含有量5〜25重量%、好ましくは8〜16重量%、より好ましくは9〜12重量%を有する植物果実のバイオマスは、同条件で生育したが本発明に従って処理していない植物と比較して、また同等の含水量を有する産物/果実と比較して、増加する。このことは、処理した植物は本発明により処理していない植物と比較して、炭素をより良好に同化し、場合により窒素もより良好に同化することを意味する。
【0116】
一方で、より良好な炭素の同化は、大気中の二酸化炭素の固定の増大と直接関連する。すなわち、二酸化炭素は植物の炭水化物の必須の原料だからである。このことは、本発明により使用される殺虫剤で植物もしくはその部分又は成長場所又は植物散布体を処理することによって、植物が二酸化炭素の正味の取り込みを増やす、即ち未処理の植物と比較して大気からの二酸化炭素固定を増大することを意味する。この高まった炭素同化が、一定の湿分含有量における植物の乾燥バイオマス及び/又は植物果実のバイオマスの増加に反映されていることで示されるように、固定された二酸化炭素は植物によって完全に再び放出されることはない。この効果によって、二酸化炭素貯蔵庫としての、成長する植物の役割を大幅に改善することができる。二酸化炭素の正味の取り込みの増加は、京都議定書における二酸化炭素バランスの改善を意味する。
【0117】
他方、より良い炭素同化及び窒素同化は、食物及び食餌に用いられる植物又はその部分の栄養価の増加と関連する。
【0118】
理論に制約されることはないが、植物の二酸化炭素固定の増加及び炭素同化の増加に貢献する要因の一つは、本発明により使用される殺虫剤によって植物の呼吸が減少し、従って呼吸中の二酸化炭素の放出による炭素の損失が減少することであると考えられる。呼吸の減少は一時的な効果ではなく、おそらく植物の生活環全体の間、又は少なくとも重要な期間中多かれ少なかれ継続的に続く。さらに、付随的に起こる可能性がある植物の窒素同化の増加は、本発明により使用される殺虫剤によって直接的に又は非直接的に起こる硝酸還元酵素活性の上昇に起因すると考えられる。さらに本発明により使用される殺虫剤はまた、非生物ストレス、例えば極端な温度、渇水、極端な湿り又は放射線に対する植物の耐性を増加させ、従って不利な条件下でさえエネルギー(炭水化物、タンパク質、即ち乾燥バイオマス)を貯蔵する植物の能力を改善することが考えられる。おそらく別の要因も炭素及び窒素の同化の増加に貢献する。
【0119】
本発明により使用される殺虫剤の上記効果、即ち植物の乾燥バイオマスの増加、上記の特定の湿分含有量を有する果実のバイオマスの増加、及び大気中の二酸化炭素固定の増加はまた、植物が生物ストレス下に無い場合、特に植物が害虫にさらされない場合でも起こることを強調しなければならない。害虫(pest, insect)の攻撃を受けている植物は、害虫に対する治療的又は予防的処理を受け、害虫によるダメージを受けないで生育することができる植物と比較して、バイオマスの生産及び産物の収率が小さくなることは明らかである。しかし、本発明による方法は、生物ストレスの無い場合、特に害虫の無い場合でさえ、植物の乾燥バイオマスの増加、上記の特定の湿分含有量を有する果実のバイオマスの増加、及び/又は植物による大気中の二酸化炭素固定の増加をもたらす。このことは、本発明により使用される殺虫剤の効能がこれらの化合物の殺虫活性のみによって説明することはできなず、別の活性プロファイルに基づいていることを意味する。しかし当然、害虫ストレス下の植物を本発明の方法によって処理することもできる。
【実施例】
【0120】
以下の実施例により、本発明を限定することなくさらに例証する。
【0121】
1.トウモロコシ 植物の乾燥バイオマスの増加 病気のない条件下でのフィプロニル又はフィプロニル及びα-シペルメトリンによる処理
2005/2006年、カンピナス(ブラジル)において通常条件下でトウモロコシを栽培した。試験植物の種子の一部は前もってフィプロニルで処理した。植物の種子の別の部分は、前もってフィプロニル及びα-シペルメトリンの混合物で処理した。植物の発芽37日後、植物及びその根を収穫した。葉及び根を、110℃のオーブン中で完全に乾燥させ、計量した。結果を以下に示す。
【表1】

【0122】
表から分かるように、トウモロコシの葉及び根の両方の乾燥バイオマスは、未処理の植物と比較して本発明による処理によって大幅に増加している。
【0123】
2.ダイズ植物の乾燥バイオマスの増加 病気のない条件下でのフィプロニル又はフィプロニル及びα-シペルメトリンによる処理
2005/2006年、カンピナス(ブラジル)において通常条件下でダイズを栽培した。試験植物の種子の一部は前もってフィプロニルで処理した。植物の種子の別の部分は前もってフィプロニル及びα-シペルメトリンの混合物で処理した。植物の発芽35日後、植物及びその根を収穫した。葉及び根を、110℃のオーブン中で完全に乾燥させ、計量した。結果を以下に示す。
【表2】

【0124】
表から分かるように、ダイズの葉及び根の両方の乾燥バイオマスは、未処理の植物と比較して本発明による処理によって大幅に増加している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物、植物の一部、植物が成長しているもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体を、少なくとも一種の殺虫剤により処理することを含む、炭素同化を増加させることによって植物の乾燥バイオマスを増加させる方法。
【請求項2】
殺虫剤がGABAアンタゴニスト化合物、ニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物、及び一般式Γ1のアントラニルアミド化合物[式中、A1はCH3、Cl、Br又はIであり、XはC-H、C-Cl、C-F又はNであり、Y'はF、Cl又はBrであり、Y''はF、Cl、又はCF3であり、B1は水素、Cl、Br、I又はCNであり、B2はCl、Br、CF3、OCH2CF3、又はOCF2Hであり、及びRBは水素、CH3又はCH(CH3)2である。]から選択される、請求項1に記載の方法。
【化1】

【請求項3】
GABAアンタゴニスト化合物が、アセトプロール、エンドスルファン、エチプロール、5-アミノ-1-(2,6-ジクロロ-α,α,α-トリフルオロ-p-トリル)-4-トリフルオロメチルスルフィニルピラゾール-3-カルボニトリル (フィプロニル)、バニリプロール、ピラフルプロール、ピリプロール及び化学式Γ2のフェニルピラゾール化合物から選択される、請求項2に記載の方法。
【化2】

【請求項4】
GABAアンタゴニスト化合物がフィプロニルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物が、クロチアニジン、ジノテフラン、(EZ)-1-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-N-ニトロイミダゾリジン-2-イリデンアミン (イミダクロプリド)、(EZ)-3-(2-クロロ-1,3-チアゾール-5-イルメチル)-5-メチル-1,3,5-オキサジアジナン-4-イリデン(ニトロ)アミン (チアメトキサム)、ニテンピラム、アセタミプリド及びチアクロプリドから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
ニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物が、イミダクロプリド、チアメトキサム、及びクロチアニジンから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
植物の炭素同化を増加させることによって、植物果実のバイオマスを増加させる方法であり、果実が全重量を基準として、5〜25重量%の残存湿分を含み、植物、植物の一部、植物が成長しているもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体を、請求項1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも一種の殺虫剤により処理することを含む前記方法。
【請求項8】
植物、植物の一部、植物が成長しているもしくは成長することになる場所及び/又は植物散布体を、請求項1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも一種の殺虫剤により処理することを含む、植物による大気中の二酸化炭素固定を増加させる方法。
【請求項9】
植物の乾燥バイオマスを増加させるための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の殺虫剤の使用。
【請求項10】
果実が全重量を基準として、5〜25重量%の残存湿分を含む、植物果実のバイオマスを増加させるための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の殺虫剤の使用。
【請求項11】
植物による大気中の二酸化炭素固定を増加させるための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の殺虫剤の使用。
【請求項12】
植物が農業植物及び林業植物から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項13】
農業植物が、ダイズ、トウモロコシ、小麦、ライ小麦、オオムギ、オート麦、ライ麦、セイヨウアブラナ、キビ、コメ、ヒマワリ、綿、サトウダイコン、仁果、核果、柑橘類、バナナ、イチゴ、ブルーベリー、アーモンド、ブドウ、マンゴー、パパイヤ、ピーナッツ、ジャガイモ、トマト、コショウ、ウリ科植物、キュウリ、メロン、スイカ、ニンニク、タマネギ、ニンジン、キャベツ、豆、エンドウ豆、レンティル、ムラサキウマゴヤシ(ルーサン)、ツメクサ、クローバー、亜麻、エレファントグラス(ススキ属(Miscanthus))、スイッチグラス(ススキ(Miscanthus sinensis))、芝生、レタス、サトウキビ、茶、タバコ及びコーヒーから選択される、請求項12に記載の方法又は使用。
【請求項14】
農業植物がダイズ及びC4植物から選択される、請求項13に記載の方法及び使用。
【請求項15】
C4植物がトウモロコシ、サトウキビ、キビ、ソルガム、エレファントグラス(ススキ属(Miscanthus))、スイッチグラス(ススキ(Miscanthus sinensis))及びアマランスから選択される、請求項14に記載の方法及び使用。
【請求項16】
林業植物が、マツ、モミ、トウヒ、ユーカリ、チーク、ゴムノキ、油やし、柳、ポプラ、ブナノキ、カバノキ及びオークから選択される、請求項12に記載の方法及び使用。

【公表番号】特表2010−510193(P2010−510193A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536742(P2009−536742)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062463
【国際公開番号】WO2008/059054
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】