説明

植物を害虫から保護する方法

【課題】発芽又は移植後の植物を害虫から保護する方法を提供する。
【解決手段】式(I):
【化1】


[式中、Xは酸素原子又は硫黄原子であり、Yはハロアルキルであり、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアルキニル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよい複素環基等であり、mは0又は1である]で表されるピリジン系化合物又はその塩を種子又は苗に処理し、植物を害虫から保護する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の薬剤を種子又は苗に処理することにより、発芽又は移植後の植物を害虫から保護する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
後記式(I)のピリジン系化合物又はそれらの塩が害虫の防除に有効であることが、特許文献1、特許文献2などによって知られている。しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、それらの薬剤を種子又は苗に処理することにより、発芽又は移植後の植物を害虫から保護する方法については何ら具体的に開示されていない。
【0003】
【特許文献1】日本特許第2994182号公報
【特許文献2】日本特許第3456702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来からの有害生物防除剤は、スペクトラム及び効果においてそれぞれ特徴を有するが、反面、特定の病害虫に対して効果が充分でなかったり、残効性が短かく一定期間の効果を期待できなかったりして、施用場面によっては、実用上充分な防除効果を示さないことがある。また、防除効果において優れたものであっても、魚類、甲殻類及び家畜に対する安全性の観点から改善が求められたり、施用作業の省力化や少ない処理薬量によって高い防除効果をあげることが求められたりしている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、課題を解決すべく検討を重ねた結果、後記式(I)のピリジン系化合物又はそれらの塩を種子又は苗に処理することにより、簡便かつ安全に少ない処理薬量でも予想以上の高い防除効果をあげることができるとの知見を得、本発明を完成した。
即ち、本発明は、式(I):
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、Xは酸素原子又は硫黄原子であり、Yはハロアルキル基であり、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアルキニル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよい複素環基、-C(W1)R3基、-S(O)nR4基又は-NHR5基であるか、又はR1及びR2は一緒になって=C(R6)R7基を、或は隣接する窒素原子とともに5乃至6員複素環基を形成してもよく、R3は置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアルキニル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよい複素環基、アルコキシ基、アルキルチオ基又はモノ若しくはジアルキルアミノ基であり、R4はアルキル基又はジアルキルアミノ基であり、R5はアルキル基又はアリール基であり、R6及びR7はそれぞれ独立にアルコキシ基又はアルキルチオ基であり、W1は酸素原子又は硫黄原子であり、mは0又は1であり、nは1又は2である]で表されるピリジン系化合物又はそれらの塩を種子又は苗に処理し、植物を害虫から保護する方法に関する。
また本発明は、前記式(I)で表されるピリジン系化合物又はそれらの塩の有効量を種子又は苗に処理し、害虫を防除する方法に関する。
また本発明は、前記式(I)で表されるピリジン系化合物又はそれらの塩の有効量を含有する種子処理剤に関する。
また本発明は、前記式(I)で表されるピリジン系化合物又はそれらの塩の有効量を含有する育苗ポット又は育苗箱処理剤に関する。
【0008】
前記式(I)において、YにはCF3、CHF2、CH2F、CF2Cl、CFCl2、CCl3、CH2CF3、CF2CF3、CHBr2、CH2Brのような炭素数1〜6のハロアルキル基が含まれる。それらの中でも、炭素数1〜2、ハロゲン原子1〜5のハロアルキル基が望ましく、トリフルオロメチル基がさらに望ましい。
【0009】
1及びR2に含まれるアルキル基又はアルキル部分としては、炭素数が1〜6のもの、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられ、炭素数が3以上のものは直鎖又は枝分れ鎖の構造異性のものであってもよい。アルケニル基としては、炭素数が2〜6のもの、例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどが挙げられ、炭素数が3以上のものは直鎖又は枝分れ鎖の構造異性のものであってよい。アルキニル基としては、炭素数が2〜6のもの、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどが挙げられ、炭素数が3以上のものは直鎖又は枝分れ鎖の構造異性のものであってよい。シクロアルキル基としては、炭素数が3〜8のもの、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。アリール基としては、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。複素環基としては、チエニル、フリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、テトラヒドロフラニル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリル、ピラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリルなどの窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含む5員〜7員の単環式基又は縮合環式基が挙げられる。
【0010】
1及びR2が形成してもよい5乃至6員複素環基としては、R1及びR2に隣接する窒素原子とともに、窒素原子又は酸素原子を含んでもよく、例えばモルホリノ、ピロリジノ、ピペリジノ、1−イミダゾリジニル、2−シアノイミノ−3−メチル−1−イミダゾリジニル、1−ピペラジニル、4−メチル−1−ピペラジニルのような炭素数4〜5の複素環基が挙げられる。
【0011】
1及びR2に含まれる置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアルキニル基又は置換されてもよいシクロアルキル基のその置換基としては、例えば、ハロゲン原子;アルコキシ基;アルキルチオ基;トリアルキルシリル基;フェニル基;ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ若しくはハロアルキルで置換されたフェニル基;アルコキシ又はアルキルチオで置換されてもよいフェノキシで置換されたフェニル基;フェノキシ基;フェニルチオ基;アミノ基;モノ若しくはジアルキルアミノ基;C2-6環状アミノ基;モルホリノ基;アルキルで置換されたモルホリノ基;1−ピペラジニル基;アルキル、フェニル、ピリジル若しくはトリフルオロメチルピリジルで置換された1−ピペラジニル基;ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、フェニル(フェニルはハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、ハロアルキル又はフェノキシでさらに置換されてもよい)、フェノキシ、フェニルチオ、シクロアルキル若しくはシクロアルコキシで置換されてもよい複素環基;ヒドロキシ基;シアノ基;シクロアルキル基;イミノ基;-C(W2)R8基(W2は酸素原子又は硫黄原子であり、R8は水素原子;アミノ基;モノ若しくはジアルキルアミノ基;アルキル基;アルコキシ基;アルキルチオ基又はアリール基である);-OC(W2)R9基(R9はアルキル又はハロアルキルで置換されたアリール基である);アルキルスルホニル基などが挙げられる。また上述の置換基がイミノ基の場合にはアミノ基又はアルコキシ基とともにアミジノ基又はイミダート基を形成してもよい。
【0012】
1及びR2に含まれる置換されてもよいアリール基又は置換されてもよい複素環基のその置換基としては、例えば、ハロゲン原子;アルキル基;ハロアルキル基;アルコキシ基;ハロアルコキシ基;アルキルチオ基;シクロアルキル基;シクロアルキルオキシ基;アルコキシカルボニル基;アルキルカルボニル基;アルキルカルボニルオキシ基;ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、ハロアルキル若しくはフェノキシで置換されてもよいアリール基;アリールオキシ基;アリールチオ基;アミノ基;モノ若しくはジアルキルアミノ基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基などが挙げられる。
【0013】
式(I)のピリジン系化合物の塩としては、酸性物質又は塩基性物質との塩であってよい。酸性物質との塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩又は硝酸塩のような無機酸塩が挙げられる。塩基性物質との塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩又はジメチルアミン塩のような無機或は有機塩基塩が挙げられる。
【0014】
式(I)のピリジン系化合物又はそれらの塩は、上記特許文献1又は2などに記載の方法に従って製造することができる。
【0015】
本発明において「種子又は苗」とは、農園芸用に栽培される植物の、その発芽前の種子乃至発芽して苗と呼ばれる移植前のものである。ここで、種子又は苗には、種芋、塊茎、球根、球茎、鱗茎、むかご、接木用植物片、幼苗なども含まれる。農園芸用に栽培される植物としては、例えばイネ、オオムギ、コムギ、エンバク、ライムギ、オートムギ、トウモロコシ、ソバなどの禾穀類;ジャガイモ、サツマイモ、ダイズ、アズキ、インゲン、エンドウ、ソラマメ、ラッカセイなどのイモ、豆類;クワ、タバコ、チャ、テンサイ、サトウキビ、イグサ、ワタ、アマ、アサ、ナタネ、ゴマ、ベニバナ、ホップ、チョウセンニンジン、ゼラニウム、オリーブなどの特用作物;トマト、ナス、トウガラシ、ピーマン、キュウリ、メロン、スイカ、カボチャ、ダイコン、ハクサイ、キャベツ、カリフラワー、タマネギ、ネギ、ラッキョウ、ニラ、ニンニク、アスパラガス、ゴボウ、シュンギク、フキ、アーチチョーク、ニンジン、セロリ、パセリ、セリ、ミツバ、ホウレンソウ、サトイモ、ヤマイモ、クワイ、ハス、ショウガ、ミョウガ、イチゴ、オクラなどの野菜;ヒマワリ、カーネーション、キク、ランなどの草花;カンキツ、リンゴ、ナシ、モモ、スモモ、アンズ、ウメ、ブドウ、カキなどの果樹;バラなどの鑑賞樹木などが挙げられる。
【0016】
本発明における処理の方法としては、種子又は苗に式(I)のピリジン系化合物又はそれらの塩(以下有効成分と略す)を付着させる方法を採用することができる。付着させるには、有効成分を固形や液状に製剤したものや、それらを水等の希釈剤で希釈したものを用いることができる。具体的な方法としては、例えば以下のものが挙げられる。ここで薬液とは、有効成分を液状に製剤したもの或は有効成分を固形や液状に製剤したものを水等の希釈剤で希釈したものである。
(1)種子を薬液に浸漬する方法。
(2)種子に薬液をスプレー又は塗布する方法。
(3)種子に固形製剤を紛衣する方法。
(4)薬液又は固形製剤を、育苗ポットや育苗箱にスプレー、注入、散布又は投下する方法。
(5)薬液又は固形製剤を、土壌、育苗土、植穴に詰める土などにスプレー、注入、散布、投下又は混和する方法。
(6)薬液又は固形製剤を、播き溝、植穴、うね等にスプレー、注入、散布又は投下する方法。
【0017】
種子又は苗に処理する有効成分の量は、保護すべき植物の種類、薬剤の処理方法、防除対象害虫の種類などにより異なり一概に規定できないが、種子100Kg当り通常1g〜5000gであり、望ましくは5g〜1000gである。また、苗1株当り通常0.01mg〜500mgであり、望ましくは0.1mg〜100mgである。また、処理面積1ヘクタール当り通常1g〜5000gであり、望ましくは5g〜1000gである。また、植穴などに処理する場合、例えばナス、キュウリ、トマト、キャベツ、メロンなどの植物の苗1株当り通常0.1mg〜100mgであり、望ましくは5mg〜20mgである。
【0018】
本発明によって防除される害虫としては、植物が生育する過程で、その植物に害を及ぼす惧れがある茎葉部の吸汁性昆虫などであり、例えばツマグロヨコバイ、ヒメヨコバイ等のヨコバイ類;トビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカ等のウンカ類;タバココナジラミ、オンシツコナジラミ等のコナジラミ類;ブドウネアブラムシ、モモアカアブラムシ、リンゴアブラムシ、ワタアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、ジャガイモヒゲナガアブラムシ、ムギミドリアブラムシ、ムギクビレアブラムシ等のアブラムシ類;クワコナカイガラムシ、ルビーロウムシ、サンホーゼカイガラムシ、ヤノエカイガラムシ等のカイガラムシ類;及びチャノキイロアザミウマ、ミナミキイロアザミウマ、クロトンアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、イネクダアザミウマ等のアザミウマ類などが挙げられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来の薬剤の散布方法と比べ、散布作業の省力化や、薬剤の飛散防止など観点から環境等に対する安全性の向上が期待できるが、更に加えて、少ない処理薬量によっても予想以上の高い害虫防除効果をあげることができる。しかも、従来の薬剤の散布方法では実用上効果が充分でなかった一部の害虫に対しても、防除効果が期待できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
前記式(I)のピリジン系化合物としては、以下のものが望ましい。
(1)式(I)において、Xが酸素原子であり、Yがトリフルオロメチル基であり、R1及びR2がそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノアルキル基、C2-6環状アミノアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シアノアルキル基、チオカルバモイルアルキル基、アルキルカルボニルオキシアルキル基、イソオキサゾリル基、ハロゲン置換イソオキサゾリル基、アルキル置換イソオキサゾリル基、アルコキシ置換イソオキサゾリル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、トリフルオロメチル置換アリールカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基又はアルコキシカルボニル基であるか、又はR1及びR2が一緒になって=C(R6)R7基を形成し、R6及びR7がそれぞれアルコキシ基及びアルキルチオ基である化合物。
【0021】
(2)N−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物No.1)、N−エチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物No.2)、4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド 1−オキシド(化合物No.3)、4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物No.4)、N−チオカルバモイルメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物No.5)、N−エトキシメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物No.6)、N−イソプロピルアミノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物No.7)、N−アセチル−N−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物No.8)、N−シアノメチル−N−メチル−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボキサミド(化合物No.9)、N−(5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物No.10)、N−(3−メチル−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物No.11)、N−(4−クロロ−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物No.12)、N−(4−ブロモ−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物No.13)、N−(4−メチル−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物No.14)、N−(4−エチル−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物No.15)、N−(4−メトキシ−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物No.16)、O−メチル N−(4−トリフルオロメチルニコチノイル)チオカルバマート、N−メチル−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボキサミド、N−(N′,N′−ジメチルアミノメチル)−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボキサミド、N−(1−ピペリジルメチル)−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボキサミド、N−シアノメチル N−(4−トリフルオロメチルニコチノイル)アミノメチルピバラート、O,S−ジメチル N−(4−トリフルオロメチルニコチノイル)イミノホルマート、N−ヒドロキシメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−アセチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド及びメチル N−(4−トリフルオロメチルニコチノイル)カルバマートから成る群より選ばれる少なくとも1種の化合物。
【0022】
(3)N−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−エチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド 1−オキシド、4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−チオカルバモイルメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−エトキシメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−イソプロピルアミノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−アセチル−N−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−シアノメチル−N−メチル−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボキサミド、N−(5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−(3−メチル−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−(4−クロロ−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−(4−ブロモ−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−(4−メチル−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−(4−エチル−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド及びN−(4−メトキシ−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミドから成る群より選ばれる少なくとも1種の化合物。
(4)N−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−エチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド 1−オキシド、4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミドから成る群より選ばれる少なくとも1種の化合物。
(5)N−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−エチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド。
【0023】
式(I)のピリジン系化合物又はそれらの塩は、農薬補助剤と共に乳剤、粉剤、粒剤、水和剤、顆粒水和剤、懸濁剤、液剤、エアゾール剤、ペースト剤などの種々の形態に製剤して使用することができる。それらの製剤における有効成分の配合割合は、通常0.1〜98重量部、望ましくは0.5〜95重量部である。それらの製剤は、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用することができる。
【0024】
ここにいう農薬補助剤としては、担体、乳化剤、分散剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤、増粘剤、消泡剤、安定剤、凍結防止剤などが挙げられ、必要により適宜添加すればよい。担体としては、固体担体と液体担体に分けられ、固体担体としては、澱粉、活性炭、大豆粉、小麦粉、木粉、魚粉、粉乳などの動植物性粉末;タルク、カオリン、ベントナイト、炭酸カルシウム、ゼオライト、珪藻土、ホワイトカーボン、クレー、アルミナなどの鉱物性粉末;硫黄粉末;無水硫酸ナトリウムなどが挙げられ、液体担体としては、水;メチルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドンなどのケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ケロシン、灯油などの脂肪族炭化水素類;キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シクロヘキサン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素類;クロロホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類;酢酸エチルエステル、脂肪酸のグリセリンエステルなどのエステル類;アセトニトリルなどのニトリル類;ジメチルスルホキシドなどの含硫化合物類;大豆油、トウモロコシ油などの植物油などが挙げられる。
【0025】
種子又は苗への有効成分の付着力を増大させるために、上記製剤又は水等の希釈剤で一定の濃度に調製した薬液に、寒天、ペクチン、カラギーナン、アルギン酸塩又はその誘導体、ザンサンガム、セルロース誘導体、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの天然又は合成高分子、ゲル化剤を添加することができる。
【0026】
本発明においては、式(I)のピリジン系化合物又はそれらの塩と、他の有害生物防除剤を混用することができる。混用は、製剤調製時であっても、種子又は苗に処理する時であってもよい。他の有害生物防除剤としては、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤或いは殺土壌害虫剤;殺菌剤;BT剤、昆虫病原ウイルス剤のような微生物農薬などが挙げられる。
【0027】
上記他の有害生物防除剤中の、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤或いは殺土壌害虫剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む)としては、例えばプロフェノホス(Profenofos)、ジクロルボス(Dichlorvos)、フェナミホス(Fenamiphos)、フェニトロチオン(Fenitrothion)、EPN、ダイアジノン(Diazinon)、クロルピリホスメチル(Chlorpyrifos-methyl)、アセフェート(Acephate)、プロチオホス(Prothiofos)、ホスチアゼート(Fosthiazate)、ホスホカルブ(Phosphocarb)、カズサホス(Cadusafos)、ジスルホトン(Disulfoton)、クロルピリホス(Chlorpyrifos)、デメトン-S-メチル(Demeton-S-methyl)、ジメトエート(Dimethoate)、メタミドホス(Methamidophos)のような有機リン酸エステル系化合物;
カルバリル(Carbaryl)、プロポキスル(Propoxur)、アルジカルブ(Aldicarb)、カルボフラン(Carbofuran)、チオジカルブ(Thiodicarb)、メソミル(Methomyl)、オキサミル(Oxamyl)、エチオフェンカルブ(Ethiofencarb)、ピリミカルブ(Pirimicarb)、フェノブカルブ(Fenobucarb)、カルボスルファン(Carbosulfan)、ベンフラカルブ(Benfuracarb)のようなカーバメート系化合物;
カルタップ(Cartap)、チオシクラム(Thiocyclam)、ベンスルタップ(Bensultap)のようなネライストキシン誘導体;
ジコホル(Dicofol)、テトラジホン(Tetradifon)、エンドスルファン(Endosulfan)のような有機塩素系化合物;
酸化フェンブタスズ(Fenbutatin Oxide)のような有機金属系化合物;
フェンバレレート(Fenvalerate)、ペルメトリン(Permethrin)、シペルメトリン(Cypermethrin)、デルタメトリン(Deltamethrin)、シハロトリン(Cyhalothrin)、テフルトリン(Tefluthrin)、エトフェンプロックス(Ethofenprox)、フェンプロパトリン(Fenpropathrin)、ビフェントリン(Bifenthrin)のようなピレスロイド系化合物;
ジフルベンズロン(Diflubenzuron)、クロルフルアズロン(Chlorfluazuron)、テフルベンズロン(Teflubenzuron)、フルフェノクスロン(Flufenoxuron)、ルフェヌロン(Lufenuron)、ノバルロン(Novaluron)のようなベンゾイルウレア系化合物;
メトプレン(Methoprene)、ピリプロキシフェン(Pyriproxyfen)、フェノキシカルブ(Fenoxycarb)のような幼若ホルモン様化合物;
ピリダベン(Pyridaben)のようなピリダジノン系化合物;
フェンピロキシメート(Fenpyroximate)、フィプロニル(Fipronil)、テブフェンピラド(Tebufenpyrad)、エチプロール(Ethiprole)、トルフェンピラド(Tolfenpyrad)、アセトプロール(Acetoprole)、ピラフルプロール(Pyrafluprole)、ピリプロール(Pyriprole)のようなピラゾール系化合物;
イミダクロプリド(Imidacloprid)、ニテンピラム(Nitenpyram)、アセタミプリド(Acetamiprid)、チアクロプリド(Thiacloprid)、チアメトキサム(Thiamethoxam)、クロチアニジン(Clothianidin)、ジノテフラン(Dinotefuran)のようなネオニコチノイド;
テブフェノジド(Tebufenozide)、メトキシフェノジド(Methoxyfenozide)、クロマフェノジド(Chromafenozide)、ハロフェノジド(Halofenozide)のようなヒドラジン系化合物;
【0028】
ジニトロ系化合物、有機硫黄化合物、尿素系化合物、トリアジン系化合物、ヒドラゾン系化合物また、その他の化合物として、ブプロフェジン(Buprofezin)、ヘキシチアゾクス(Hexythiazox)、アミトラズ(Amitraz)、クロルジメホルム(Chlordimeform)、シラフルオフェン(Silafluofen)、トリアザメイト(Triazamate)、ピメトロジン(Pymetrozine)、ピリミジフェン(Pyrimidifen)、クロルフェナピル(Chlorfenapyr)、インドキサカルブ(Indoxacarb)、アセキノシル(Acequinocyl)、エトキサゾール(Etoxazole)、シロマジン(Cyromazine)、1,3−ジクロロプロペン(1,3-dichloropropene)、ジアフェンチウロン(Diafenthiuron)、ベンクロチアズ(Benclothiaz)、フルフェンリム(Flufenerim)、ピリダリル(Pyridalyl)、スピロジクロフェン(Spirodiclofen)、ビフェナゼート(Bifenazate)、スピロメシフェン(Spiromesifen)、スピロテトラマット(spirotetramat)、プロパルギット(Propargite)、クロフェンテジン(Clofentezine)、フルアクリピリム(Fluacrypyrim)、メタフルミゾン(Metaflumizone)、フルベンジアミド(Flubendiamide)、シフルメトフェン(Cyflumetofen)のような化合物;などが挙げられる。更に、BT剤、昆虫病原ウイルス剤、昆虫病原糸状菌剤、線虫病原糸状菌剤などのような微生物農薬;アベルメクチン(Avermectin)、エマメクチンベンゾエート(Emamectin-Benzoate)、ミルベメクチン(Milbemectin)、スピノサッド(Spinosad)、イベルメクチン(Ivermectin)、レピメクチン(Lepimectin)のような抗生物質;アザディラクチン(Azadirachtin)、ロテノン(Rotenone)のような天然物などが挙げられる。
【0029】
殺菌剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は日本植物防疫協会供試試験コード)としては、例えば、メパニピリム(Mepanipyrim)、ピリメサニル(Pyrimethanil)、シプロジニル(Cyprodinil)のようなアニリノピリミジン系化合物;
フルアジナム(Fluazinam)のようなピリジナミン系化合物;
トリアジメホン(Triadimefon)、ビテルタノール(Bitertanol)、トリフルミゾール(Triflumizole)、エタコナゾール(Etaconazole)、プロピコナゾール(Propiconazole)、ペンコナゾール(Penconazole)、フルシラゾール(Flusilazole)、マイクロブタニル(Myclobutanil)、シプロコナゾール(Cyproconazole)、テブコナゾール(Tebuconazole)、ヘキサコナゾール(Hexaconazole)、ファーコナゾールシス(Furconazole‐cis)、プロクロラズ(Prochloraz)、メトコナゾール(Metconazole)、エポキシコナゾール(Epoxiconazole)、テトラコナゾール(Tetraconazole)、オキスポコナゾール硫酸塩(Oxpoconazole fumarate)、シプコナゾール(Sipconazole)、プロチオコナゾール(Prothioconazole)、トリアジメノール(Triadimenol)、フルトリアフオール(Flutriafol)、ジフェノコナゾール(Difenoconazole)、フルキンコナゾール(Fluquinconazole)、フェンブコナゾール(Fenbuconazole)、ブロムコナゾール(Bromuconazole)、ジニコナゾール(Diniconazole)、ペフラゾエート(Pefurazoate)、イプコナゾール(ipconazole)、シメコナゾール(Simeconazole)のようなアゾール系化合物;
キノメチオネート(Quinomethionate)のようなキノキサリン系化合物;
マンネブ(Maneb)、ジネブ(Zineb)、マンゼブ(Mancozeb)、ポリカーバメート(Polycarbamate)、メチラム(Metiram)、プロピネブ(Propineb)チラム(thiram)、のようなジチオカーバメート系化合物;
フサライド(Fthalide)、クロロタロニル(Chlorothalonil)、キントゼン(Quintozene、PCNB)、ジクロメジン(Diclomezine)のような有機塩素系化合物;
ベノミル(Benomyl)、チオファネートメチル(Thiophanate‐Methyl)、カーベンダジム(Carbendazim)、チアベンダゾール(Thiabendazole)、フベリアゾール(fuberiazole)、シアゾファミド(Cyazofamid)のようなイミダゾール系化合物;
シモキサニル(Cymoxanil)のようなシアノアセトアミド系化合物;
メタラキシル(Metalaxyl)、メタラキシルM(Metalaxyl M、メフェノキサム(Mefenoxam))、オキサジキシル(Oxadixyl)、オフレース(Ofurace)、ベナラキシル(Benalaxyl)、ベナラキシルM(Benalaxyl M)、フララキシル(Furalaxyl)、シプロフラム(Cyprofuram)のようなフェニルアミド系化合物;
ジクロフルアニド(Dichlofluanid)のようなスルフェン酸系化合物;
水酸化第二銅(Cuprichydroxide)、有機銅(Oxine Copper)のような銅系化合物;
ヒメキサゾール(Hymexazol)のようなイソキサゾール系化合物;
ホセチルアルミニウム(Fosetyl‐Al)、トルコホスメチル(Tolcofos‐Methyl)、イプロベンホス(Iprobenfos)、エジフェンホス(Edifenphos(I))、ホスホカルブ(Phosphocarb)のような有機リン系化合物;
キャプタン(Captan)、キャプタホル(Captafol)、フォルペット(Folpet)のようなN−ハロゲノチオアルキル系化合物;
プロシミドン(Procymidone)、イプロジオン(Iprodione)、ビンクロゾリン(Vinclozolin)のようなジカルボキシイミド系化合物;
フルトラニル(Flutolanil)、メプロニル(Mepronil)、ゾキサミド(Zoxamid)、チアジニル(Tiadinil)のようなベンズアニリド系化合物;
カルボキシン(Carboxin)、オキシカルボキシン(Oxycarboxin)、チフルザミド(Thifluzamide)、MTF-753(ペンチオピラド、Penthiopyrad)、ボスカリド(Boscalid) のようなアニリド系化合物;
トリホリン(Triforine)のようなピペラジン系化合物;
ピリフェノックス(Pyrifenox)のようなピリジン系化合物;
フェナリモル(Fenarimol)、フルトリアフォル(Flutriafol)のようなカルビノール系化合物;
フェンプロピディン(Fenpropidine)のようなピペリジン系化合物;
フェンプロピモルフ(Fenpropimorph)、トリデモルフ(Tridemorph)のようなモルフォリン系化合物;
フェンチンヒドロキシド(Fentin Hydroxide)、フェンチンアセテート(Fentin Acetate)のような有機スズ系化合物;
ペンシキュロン(Pencycuron)のような尿素系化合物;
ジメトモルフ(Dimethomorph)、フルモルフ(Flumorph)のようなシンナミック酸系化合物;
ジエトフェンカルブ(Diethofencarb)のようなフェニルカーバメート系化合物;
フルジオキソニル(Fludioxonil)、フェンピクロニル(Fenpiclonil)のようなシアノピロール系化合物;
アゾキシストロビン(Azoxystrobin)、クレソキシムメチル(Kresoxim‐Methyl)、メトミノフェン(Metominofen)、トリフロキシストロビン(Trifloxystrobin)、ピコキシストロビン(Picoxystrobin)、オリザストロビン(Oryzastrobin)、ジモキシストロビン(Dimoxystrobin)、ピラクロストロビン(Pyraclostrobin)、フルオキサストロビン(Fluoxastrobin)、フルアクリピリム(Fluacrypyrin)のようなストロビルリン系化合物;
ファモキサドン(Famoxadone)のようなオキサゾリジノン系化合物;
エタボキサム(Ethaboxam)のようなチアゾールカルボキサミド系化合物;
シルチオファム(Silthiopham)のようなシリルアミド系化合物;
イプロバリカルブ(Iprovalicarb)、ベンチアバリカルブ(benthiavalicarb)のようなアミノアシッドアミドカーバメート系化合物;
フェナミドン(Fenamidone)のようなイミダゾリジン系化合物;
フェンヘキサミド(Fenhexamid)のようなハイドロキシアニリド系化合物;
フルスルファミド(Flusulfamid)のようなベンゼンスルホンアミド系化合物;
シフルフェナミド(Cyflufenamid)のようなオキシムエーテル系化合物;
フェノキサニル(Fenoxanil)のようなフェノキシアミド系化合物;
ポリオキシン(polyoxins)、バリダマイシン(Validamycin)、カスガマイシン(Kasugamycin)のような抗生物質;
イミノクタジン(Iminoctadine)のようなグアニジン系化合物;
【0030】
また、その他の化合物として、イソプロチオラン(Isoprothiolane)、トリシクラゾール(Tricyclazole)、ピロキロン(Pyroquilon)、ジクロメジン(Diclomezine)、プロベナゾール(Probenazole)、キノキシフェン(Quinoxyfen)、プロパモカルブ塩酸塩(Propamocarb Hydrochloride)、スピロキサミン(Spiroxamine)クロルピクリン(Chloropicrin)、ダゾメット(Dazomet)、カーバムナトリウム塩(Metam‐sodium)、ニコビフェン(Nicobifen)、メトラフェノン(Metrafenone)、UBF-307、ジクロシメット(Diclocymet)、プロキンアジド(Proquinazid)、NC-224(amibromdole、amisulbrom)、KIF-7767(KUF-1204、Pyribencarb methyl、mepyricarb)、Syngenta 446510(Mandipropamid、 dipromandamid)などが挙げられる。
【0031】
式(I)のピリジン系化合物又はそれらの塩と、他の有害生物防除剤との混合割合は、混用する有害生物防除剤の種類、薬剤の処理方法等により異なり、一概に規定できないが、通常は1:100〜100:1であり、望ましくは1:50〜50:1である。
【実施例】
【0032】
製剤例1
有効成分(化合物No.1)72重量部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(Supragil MNS/90、ローディア日華(株))5重量部、ジアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(Supragil WP、ローディア日華(株))3重量部及びクレー20重量部を、ハンマーミルにて粉砕混合して、水和剤を得た。
【0033】
製剤例2
有効成分(化合物No.1)82重量部、ポリカルボン酸ナトリウム(GeroponT/36、ローディア日華(株))5重量部、リグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201、日本製紙ケミカル(株))1重量部及びクレー12重量部を、ハンマーミルにて粉砕混合した。混合物を加水混練し、押出し造粒(ドームグラン、不二パウダル(株))した。その後、乾燥、整粒して、顆粒水和剤を得た。
【0034】
製剤例3
有効成分(化合物No.1)31重量部、ポリビニルピロリドンK-30(ナカライテスク(株))5重量部及びN,N-ジメチルアセトアミド64重量部を混合し、溶液剤を得た。
【0035】
試験例1(浸漬処理)
(1)コムギ種子10gを入れた100ml三角フラスコに、所定有効成分量を含む薬液5mlを注入し、室内に24時間放置し、薬液のほぼ全量を種子に吸収させた。
(2)土壌を1/500000ヘクタールポットに入れ、(1)で処理した種子をポット当り14粒播種し、ムギクビレアブラムシの有翅虫を多発させた人工気象室に置いた。播種21日後に寄生虫数を調査し、結果を第1表に示した。なお、試験は2連制で行い、結果はその平均値である。
【0036】
【表1】

【0037】
試験例2(粉衣処理)
(1)コムギ種子10gを水に約5秒間浸漬した後、ティッシュペーパーで軽く水切りをし、所定有効成分量を含む水和剤を入れた100ml三角フラスコに入れた。三角フラスコを水平に振とうし、水和剤を種子に均一に付着させ、室内に24時間放置し、乾燥させた。
(2)土壌を1/500000ヘクタールポットに入れ、(1)で処理した種子をポット当り14粒播種し、ムギクビレアブラムシの有翅虫を多発させた人工気象室に置いた。播種20日後に寄生虫数を調査し、結果を第2表に示した。なお、試験は2連制で行い、結果はその平均値である。
【0038】
【表2】

【0039】
試験例3(植穴処理)
(1)1/500000ヘクタールポットに入れた土壌に苗を植えるための植穴を一つ掘り、化合物No.1の粒剤(有効成分量1重量%)を所定量投下した。その植穴に6葉期のナス(千両2号)を移植し、ミカンキイロアザミウマの成虫を10頭接種後、温室内に置いた。
(2)移植12、18及び25日後に、寄生虫数(成虫及び幼虫)を調査し、結果を第3表に示した。なお、試験は2連制で行い、結果はその平均値である。
【0040】
【表3】

【0041】
試験例4(植穴処理)
(1)1/500000ヘクタールポットに入れた土壌に苗を植えるための植穴を一つ堀り、化合物No.1の粒剤(有効成分量1重量%)を所定量投下した。その植穴に3.5葉期のトマトを移植し、タバココナジラミの成虫を多発させた温室内に置いた。
(2)処理12及び22日後に、寄生虫数(2〜3齢幼虫及び蛹)を調査し、結果を第4表に示した。なお、試験は2連制で行い、結果はその平均値である。
【0042】
【表4】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、Xは酸素原子又は硫黄原子であり、Yはハロアルキル基であり、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアルキニル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよい複素環基、-C(W1)R3基、-S(O)nR4基又は-NHR5基であるか、又はR1及びR2は一緒になって=C(R6)R7基を、或は隣接する窒素原子とともに5乃至6員複素環基を形成してもよく、R3は置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアルキニル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよい複素環基、アルコキシ基、アルキルチオ基又はモノ若しくはジアルキルアミノ基であり、R4はアルキル基又はジアルキルアミノ基であり、R5はアルキル基又はアリール基であり、R6及びR7はそれぞれ独立にアルコキシ基又はアルキルチオ基であり、W1は酸素原子又は硫黄原子であり、mは0又は1であり、nは1又は2である]で表されるピリジン系化合物又はその塩を種子又は苗に処理し、植物を害虫から保護する方法。
【請求項2】
Xが酸素原子であり、Yがトリフルオロメチル基であり、R1及びR2がそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノアルキル基、C2-6環状アミノアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シアノアルキル基、チオカルバモイルアルキル基、アルキルカルボニルオキシアルキル基、イソオキサゾリル基、ハロゲン置換イソオキサゾリル基、アルキル置換イソオキサゾリル基、アルコキシ置換イソオキサゾリル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、トリフルオロメチル置換アリールカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基又はアルコキシカルボニル基であるか、又はR1及びR2が一緒になって=C(R6)R7基を形成し、R6及びR7がそれぞれアルコキシ基及びアルキルチオ基である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)の化合物が、N−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−エチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド 1−オキシド、4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−チオカルバモイルメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−エトキシメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−イソプロピルアミノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−アセチル−N−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−シアノメチル−N−メチル−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボキサミド、N−(5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−(3−メチル−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−(4−クロロ−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−(4−ブロモ−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−(4−メチル−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−(4−エチル−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−(4−メトキシ−5−イソキサゾリル)−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、O−メチル N−(4−トリフルオロメチルニコチノイル)チオカルバマート、N−メチル−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボキサミド、N−(N′,N′−ジメチルアミノメチル)−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボキサミド、N−(1−ピペリジルメチル)−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボキサミド、N−シアノメチル N−(4−トリフルオロメチルニコチノイル)アミノメチルピバラート、O,S−ジメチル N−(4−トリフルオロメチルニコチノイル)イミノホルマート、N−ヒドロキシメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド、N−アセチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミド及びメチル N−(4−トリフルオロメチルニコチノイル)カルバマートから成る群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(I)の化合物が、N−シアノメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジンカルボキサミドである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ピリジン系化合物又はその塩を種子に処理し、植物を害虫から保護する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ピリジン系化合物又はその塩を苗に処理し、植物を害虫から保護する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載した式(I)で表されるピリジン系化合物又はその塩の有効量を種子又は苗に処理し、害虫を防除する方法。
【請求項8】
請求項1に記載した式(I)で表されるピリジン系化合物又はその塩の有効量を含有する種子処理剤。
【請求項9】
請求項1に記載した式(I)で表されるピリジン系化合物又はその塩の有効量を含有する育苗ポット又は育苗箱処理剤。


【公開番号】特開2007−112752(P2007−112752A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306431(P2005−306431)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】