説明

植物サポート具

【課題】 茎の短い切り花等を背の高い花瓶に容易に活けることのできるようにした植物サポート具を提供する。
【解決手段】 両端が開口され、内部に植物(21,31,41,51)の茎を収容して保持する管体(11)と、該管体内に充填され、上記管体の少なくとも一方の開口から吸水して上記植物に与える保水材(12)とから植物サポート具(10)を構成する。切り花、野菜、種子から発芽した苗に適用できる。保水材は高分子吸水材料を用いて製作されるのがよい。この植物サポート具は植物又は野菜の運搬に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は植物サポート具に関し、特に茎の短い切り花等を背の高い花瓶に容易に活けることのできるようにした植物サポート具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、切り花を花器や水盤に活けた場合、花器や水盤の水の新鮮さ、さらには花,葉,茎からの水分の蒸発が切り花の寿命に関係するとされている。そこで、花器に筒状部分を設け、筒状部分に切り花を活け、切り花をカバーで覆うようにした切り花の延命具が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−128554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、茎を短く切ってしまった切り花の場合、花器、特に背の高い花瓶に活けることが難しく、捨てているのが実情であった。
【0004】
本発明はかかる状況において、茎の短い切り花等を背の高い花瓶に容易に活けることのできるようにした植物サポート具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る植物サポート具は、両端が開口され、内部に植物の茎を収容して保持する管体と、該区体内に充填され、上記管体の少なくとも一方の開口から吸水して上記植物に与える保水材と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明の特徴の1つは保水材を充填した管体に植物の茎を入れて保持するようにした点にある。これにより、管体を花器の水中に差し込むと、保水材が花器の水を吸収して保水し、この水が茎の切り口や根から植物の茎に与えられるので、植物の活力が保たれ、植物本来の寿命を確保できる。その結果、植物サポート具を切り花や野菜の茎に被せ、吸水させておくと、切り花や野菜の輸送中に切り花が弱ったり野菜の鮮度が落ちるのを軽減できる。
【0007】
また、植物は切り花でもよく、野菜でもよく、さらには種子から発芽した苗であってもよい。特に、種子から苗を発芽させる場合には苗の茎がヨトウガの幼虫(夜盗虫)やコガネムシの幼虫(地虫)によって喰い切られるという被害を受けやすいが、管体内に苗の茎を収容すると、このような害虫の被害を防止できる。
【0008】
管体は保水材を充填できしかも植物の茎を収容して保持できれば特にその素材は限定されず、例えば合成紙や紙、あるいはポリプロピレンや塩化ビニル等の合成樹脂材料で製作することができる。特に、植物サポート具内の保水材に植物の種子を植え、発芽させる場合には生分解プラスチックで製作するのがよい。
【0009】
保水材はティッシュペーパーや綿でもよいが、十分な量の水を保水する上で、高分子吸水材料を用いて製作されるのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1及び図2は本発明に係る植物サポート具の好ましい実施形態を示す。図において、植物サポート具10は円形状の管体11内に保水材12を充填して構成され、管体11はポリプロピレンや塩化ビニル等の合成樹脂材料、合成紙や紙、合成樹脂フィルムをラミネートした合成紙や紙で製作され、保水材12には例えば高分子吸水材料やティッシュペーパーが用いられている。
【0011】
例えば、切り花の茎を誤って短く切ってしまった場合、上手く切った切り花22を花瓶20に活ける一方、短く切った切り花21の茎を本例の植物サポート具10に差し込み、この植物サポート具10を花瓶20内に差し込むと、図2に示されるように、茎を短く切りすぎた切り花21も普通の切り花22と同様に活けることができる。
【0012】
図3及び図4は第2の実施形態を示す。本例では植物サポート具10を樹脂ポット30での育苗に用いている。即ち、樹脂ポット30の土には植物サポート具10が1/2〜2/3程度まで埋められ、植物サポート具10内の保水材12には種子が蒔かれている。この種子が発芽し成長すると、図3及び図4に示されるように、苗31の茎は植物サポート具10の管体11から上方にのび、根は樹脂ポット30の土中にのびることができる。なお、樹脂ポット30は市販のビニールポットでもよいが、生分解性樹脂で製作されたポットを用いるのがよい。
【0013】
本例では苗31の茎の土側部分が植物サポート具11でカバーされているので、茎がヨトウガの幼虫やコガネムシの幼虫によって喰い切られるという被害を予防できる。
【0014】
図5は図3の実施形態を示す。上記の例では植物サポート具10を育苗に利用したが、本例では図5に示されるように、差し芽32の育成に用いている。この場合、保水材12に発根剤をしみ込ませると、差し芽32の根が早くのびて差し芽32を活着させることができる。
【0015】
図6は第4の実施形態を示す。本例では植物サポート具10を切り花41の輸送に用いている。即ち、輸送函40内には切り花41が入れられ、切り花41の茎の切り口には水に浸した本例の植物サポート具10が嵌められている。このように、植物サポート具10を切り花41や他の花木の輸送に用いると、花木の活力を維持できる。
【0016】
図7は第5の実施形態を示す。本例では輸送函50に入れた野菜51の茎の切り口に、水に浸した植物サポート具10を嵌めている。このように植物サポート具10を野菜51の輸送に用いると、野菜51の鮮度を保つことができる。
【0017】
図8は第6の実施形態を示す。本例では管体11がシート体を巻回して構成されており、管体11の径を植物の茎の太さに応じて調整できるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る植物サポート具の好ましい実施形態を示す図である。
【図2】上記実施形態の使用例を示す図である。
【図3】第2の実施形態を示す図である。
【図4】図3の拡大断面図である。
【図5】第3の実施形態を示す図である。
【図6】第4の実施形態を示す図である。
【図7】第5の実施形態を示す図である。
【図8】第6の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
10 植物サポート具
11 管体
12 保水材
20 花瓶
21,22 切り花
30 樹脂ポット
31 苗
32 差し芽
41 切り花
51 野菜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が開口され、内部に植物の茎を収容して保持する管体と、該管体内に充填され、上記管体の少なくとも一方の開口から吸水して上記植物に与える保水材と、を備えたことを特徴とする植物サポート具。
【請求項2】
上記植物が切り花又は野菜である請求項1記載の植物サポート具。
【請求項3】
上記植物が種子から発芽した苗である請求項1記載の植物サポート具。
【請求項4】
上記保水材が高分子吸水材料を用いて製作されている請求項1記載の植物サポート具。
【請求項5】
植物又は野菜の運搬に用いられるようにした請求項1記載の植物サポート具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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