説明

植物栽培容器およびその製造方法

【課題】この発明は、使用済みの農業用資材や樹皮、雑草などを素材として使用でき、しかもリサイクル可能な植物栽培容器およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】上記の課題を解決するために、本発明に係る植物栽培容器の製造方法は、粉砕した樹皮と、くん炭と、使用済みのロックウールと、乾燥した雑草と、使用済みのウレタンピースと、パラフィンと、シュロと、木酢をバインダに混合に混合し、ホットプレスにより成形するものであり、通気性・保湿性が高く、植物の栽培で適した植物栽培容器を作ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポットやプランターなど植物を栽培するための容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物を栽培するためのプランターや植木鉢として使用されているものは、プラスチック製のものや素焼きの陶器が多い。また、特許文献1には60%の籾殻と40%の粒状の発泡樹脂を混合し、圧縮、スチーム加工により略プランター状に成形した植物育成資材が記載されている。また、特許文献2には、建築の廃材、ペットボトル容器、洗剤容器、ビニール、石膏ボード、発泡スチロール、草、根、木の葉、落ち葉、などを粉にして、水性ボンド、水、と混ぜ合わせ、油圧プレスにて固め加熱してプランターを作成することが記載されている。
【特許文献1】特開2003−178900号公報
【特許文献2】特開平11−077621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の、プラスチック製のものや素焼きの陶器のプランターや植木鉢は、資源を消費しながら作られるものであり、また、使用後は廃棄処分されるしかない。特許文献1や特許文献2に記載されているプランターは、廃材を再使用できるものであるが、これらのプランターを使用した後には廃棄処分されることに変わりがない。
【0004】
この発明は、使用済みの農業用資材や樹皮、雑草などを素材として使用でき、しかもリサイクル可能な植物栽培容器およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明に係る植物栽培容器は、樹皮と、くん炭と、ロックウールと、乾燥した雑草と、ウレタンピースと、パラフィンと、シュロとを素材として含むものである。これに加えて、人工ゼオライトを含ませてもよい。また、粉砕した樹皮と、くん炭と、使用済みのロックウールと、乾燥した雑草と、使用済みのウレタンピースと、パラフィンと、シュロと、木酢をバインダに混合して成形したものでもよい。
【0006】
さらに、本発明に係る植物栽培容器の製造方法は、粉砕した樹皮と、くん炭と、使用済みのロックウールと、乾燥した雑草と、使用済みのウレタンピースと、パラフィンと、シュロと、木酢をバインダに混合に混合し、ホットプレスにより成形するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の本発明に係る植物栽培容器は、使用済みの農業用資材や樹皮、雑草などを素材として利用でき、さらにその使用後も次の植物栽培容器の材料として、または植物栽培用培土として再利用できるという効果を有する。しかも、通気性・保湿性が高く、植物の栽培で適しているという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明を実施するための最良の形態について説明する。この発明の植物栽培容器は、ロックウールと、ウレタンピースと、樹皮と、乾燥した雑草と、くん炭と、パラフィンと、シュロとを素材として含む。
【0009】
ロックウールとウレタンピースとは農業用の資材として使用されるものであるが、この発明では農業用の資材として使用された後のものを利用する。例えば、粉状に粉砕して使用する。
【0010】
樹皮としては、たとえば杉やヒノキの樹皮が利用できる。間伐や製材において発生するものを活用する。粉砕して使用するが、細粉粒になせず適度に繊維状を残すことが好ましい。
【0011】
雑草としては、様々な種類の植物が使用できる。農作業において取り除かれる雑草や、道端の草刈で刈り取られるものなどが利用できる。これらの雑草を乾燥させたものを使用する。
【0012】
くん炭そしては、例えば籾殻を焼いた籾殻くん炭が使用される。
【0013】
シュロは、繊維が網状にからまった状態で使用する。シュロを混ぜることによって、全体の強度を固めることができる。
【0014】
さらに、パラフィンと木酢を加える。これらに加えて、人工ゼオライトを入れてもよい。
【0015】
上述の材料をバインダーに加え、ホットプレスすることによって所望の形状に成形して植物栽培容器を製造する。植物栽培容器の形状は任意であり、植木鉢状であってもよく、おわん型のポットであってもよく、箱型のプランターであってもよい。バインダーは栽培しようとする植物に悪影響を与えないものを選択する必要があり、合成高分子ポリビニルアルコールが適している。
【0016】
このようにして、樹皮、乾燥した雑草、籾殻など農業や林業で発生する有機物を有効利用できる。また、使用済みのロックウールやウレタンピースなど農業用資材の廃材を利用することができる。
【0017】
この発明の植物栽培容器は高い通気性と保水性を有し、植物の栽培に適しており、メロン栽培やランの栽培など、広く使用することができる。有機物が多く、しかもやわらかいものであり、ランなどはこの植物栽培容器に根を張ることもできる。保水量が大きいため、植物栽培容器内が水分過剰なときは吸水し、逆に乾燥しそうなときは水分を放出するので、植物栽培容器内は植物の育成に適した水分量に常時、保たれる。
【0018】
この植物栽培容器はメロン栽培の場合、数回の使用に耐えられる。使用後は、簡単に取り壊すことができる。そのまま土にかえしたり、また栽培用培土として利用することも可能であるが、粉砕した後、バインダー等を加えて、再度植物栽培容器を成形することができる。栽培する植物によっては連作を妨げるような有害物質が排出される場合があるが、植物栽培容器の素材として配合されたくん炭や人工ゼオライトがこの有害物質を吸着する。そして、再度植物栽培容器を成形するときのホットプレスの熱によって、有害物質は外部に排出される。したがって、再生させた植物栽培容器で同じ植物を栽培することもできる。
【実施例1】
【0019】
ついで、この発明の実施例について説明する。本実施例では、材料は次の通りである。
杉およびヒノキの樹皮 700g
籾殻くん炭 300g
乾燥した雑草 15g
使用済みウレタンピース 7g
使用済みロックウール 7g
パラフィン 130g
木酢 100ml
人工ゼオライト 市販品の粉状のものを水に混ぜて泥状にして使う。
バインダー(合成高分子ポリビニルアルコール) 600g
シュロ 50g
これを圧力200Kg/cm-2、温度150℃、乾燥時間50分でホットプレスし、直径356mm、高さ150mm、厚さ22mmのおわん型の栽培用ポットを形成した。
【0020】
このようにして作られた植物栽培容器(栽培用ポット)を使用してメロン栽培を行った。夏と冬とで栽培を行ったが、両時期ともに育成状況はよく、糖度の高い良質の果実を収穫することができた。
【産業上の利用可能性】
【0021】
この発明の様々は植木鉢、栽培用ポット、プランターなど様々な形状の植物栽培容器として利用することができる。メロンのような果実ものの植物でも、観賞用植物でも良好に栽培できる。農業や林業で生じる廃材を使用するので、廃棄物処理の技術としても利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹皮と、くん炭と、ロックウールと、乾燥した雑草と、ウレタンピースと、パラフィンと、シュロとを素材として含む植物栽培容器。
【請求項2】
人工ゼオライトを含む請求項1に記載の植物栽培容器。
【請求項3】
粉砕した樹皮と、くん炭と、使用済みのロックウールと、乾燥した雑草と、使用済みのウレタンピースと、パラフィンと、シュロと、木酢をバインダに混合して成形した請求項1に記載の植物栽培容器。
【請求項4】
粉砕した樹皮と、くん炭と、使用済みのロックウールと、乾燥した雑草と、使用済みのウレタンピースと、パラフィンと、シュロと、木酢をバインダに混合に混合し、ホットプレスにより成形する植物栽培容器の製造方法。


【公開番号】特開2006−254797(P2006−254797A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77130(P2005−77130)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年2月23日 愛媛大学主催の「愛媛大学農学部 生物環境情報システム学専門教育コース 平成16年度 卒業論文・修士論文発表会において文書をもって発表
【出願人】(504147254)国立大学法人愛媛大学 (214)
【Fターム(参考)】