説明

検知部材、搬送装置、及び画像読取装置

【課題】受信基板に形成された対をなす受信用の渦巻線の差動効果を効果的に発生させる。
【解決手段】受信アンテナ基板110渦巻線120、130は逆巻きに巻かれた線対称形状とされ、更に、外側端120Sからの抵抗値と外側端130Sからの抵抗値とが等しい中間点127Mに導電線が接続され、内側端120Eからと内側端130Eからとの抵抗値が等しい中間点137Mに導電線が接続されている。よって、送信アンテナ基板150からの漏洩磁界の影響を抑制する差動効果が向上し、磁性体の検知性能が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知部材、搬送装置、及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被検知物に磁性体を付与し、その被検知物中の磁性体から発生した磁界を検知することで、例えば、複写を許可するか否の判定を可能とする磁性体検知装置が記載されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献2には、近接配置された各平面アンテナ間を搬送移動される用紙に付与された磁性体が発する信号を検知して用紙を検出する用紙検出装置が記載されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−192636号公報
【特許文献2】特開2008−85779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、受信基板に形成された対をなす受信用の渦巻線の外側端同士及び内側端同士が電気的に接続されていない構成と比較し、受信基板に形成された対をなす受信用の渦巻線の差動効果を効果的に発生させることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、被検知物中の磁性体を磁化反転させる磁界を発生する送信用の渦巻線が、一つ又は複数形成された送信基板と、前記送信用の渦巻線に対向して配置され前記磁界を受信する互いに逆巻きに巻かれた受信用の渦巻線の対が、前記送信用の渦巻線毎に一対又は複数対形成され、前記送信基板に積層又は前記送信基板と隙間をあけて対向して配置された受信基板と、対をなす前記受信用の渦巻線の外側端同士が接続された外側端用の接続点、前記外側端同士を電気的に接続した外側端間用の接続線の線長の中間点、又は前記外側端間用の接続線の各前記外側端からの抵抗値が等しい点に、電気的に接続された外側端用の配線と、対をなす前記受信用の渦巻線の内側端同士を電気的に接続した内側端間用の接続線の線長の中間点、又は前記内側端間用の接続線の各前記内側端からの抵抗値が等しい点に、電気的に接続された内側端用の配線と、を備える。
【0007】
請求項2の発明は、前記送信基板及び前記受信基板の対向方向外側を、前記送信基板及び前記受信基板と前記被検知部物とが相対移動し、前記送信基板は、前記被検知物と相対移動されている状態で前記被検知物の前記磁性体を磁化反転させる磁界を発生し、前記受信基板は、前記被検知物と相対移動されている状態で前記磁界を受信する。
【0008】
請求項3の発明は、前記送信基板に形成された前記送信用の渦巻線は、前記相対移動方向に沿って配線された相対移動方向用の配線部の長さが、他の方向に沿って配線された配線部の長さよりも長くなるように形成された相対移動方向用の渦巻線と、前記相対移動方向と交差する交差方向に沿って配線された交差方向用の配線部の長さが他の方向に沿って配線された配線部の長さよりも長い交差方向用の渦巻線と、を有し、前記送信基板には、前記相対移動方向用の渦巻線と前記交差方向用の渦巻線とが積層されている。
【0009】
請求項4の発明は、前記移動方向用の渦巻線は、前記相対移動方向と交差する方向に沿って複数並んで形成された渦巻線で構成されると共に、複数の前記渦巻線は電気的に直列に接続されている。
【0010】
請求項5の発明は、前記送信用の渦巻線における前記相対移動方向用の渦巻線の前記他の方向に沿って配線された配線部の少なくとも一部は前記送信基板の両面に配線されると共に、前記他の方向に沿って配線された配線部の配線方向と直交する幅は前記相対移動方向用の配線部の配線方向と直交する幅よりも幅狭に形成されている。
【0011】
請求項6の発明は、前記送信基板には、線対称形状の前記送信用の渦巻線が複数並んで形成されている。
【0012】
請求項7の発明は、前記送信基板及び前記受信基板の対向方向外側に前記被検知物が配置され、前記送信基板は、静止した状態の前記被検知物の前記磁性体を磁化反転させる磁界を発生し、前記受信基板は、静止した状態の前記被検知物の前記磁界を受信する。
【0013】
請求項8の発明は、前記送信基板に形成された前記送信用の渦巻線は、第一方向に沿って配線された第一方向用の配線部の長さが他の方向に沿って配線された配線部の長さよりも長く形成された第一方向用の渦巻線と、前記第一方向と交差する第二方向に沿って配線された第二方向用の配線部の長さが他の方向に沿って配線された配線部の長さよりも長く形成された第二方向用の渦巻線と、を有し、前記送信基板には、前記第一方向用の渦巻線と前記第二方向用の渦巻線とが積層されている。
【0014】
請求項9の発明は、前記第一方向用の渦巻線に給電する第一給電部と、前記第二方向用の渦巻線に給電する第二給電部と、を備える。
【0015】
請求項10の発明は、前記第一方向用の渦巻線に流れる交流の位相と前記第二方向用の渦巻線に流れる交流の位相とが、同位相と逆位相とに交互に切り替わるように、前記第一給電部と前記第二給電部とに給電する。
【0016】
請求項11の発明は、前記第一方向用の渦巻線の前記他の方向に沿って配線された配線部の少なくとも一部には、第一方向と直交する方向に対して斜めに配線された第一斜め配線部が形成され、前記第二方向用の渦巻線の前記他の方向に沿って配線された配線部の少なくとも一部には、第二方向と直交する方向に対して斜めに配線された第二斜め配線部が形成されている。
【0017】
請求項12の発明は、前記第一斜め配線部は前記第一方向用の渦巻線の周縁部に形成され、前記第二斜め配線部は前記第二方向用の渦巻線の周縁部に形成されている。
【0018】
請求項13の発明は、前記被検知物が前記磁性体を有する用紙とされ、前記用紙を前記相対移動方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって前記相対移動方向に搬送される前記用紙の前記磁性体を磁化反転させる磁界を発生する共に前記磁界を受信する請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載の検知部材と、を備える。
【0019】
請求項14の発明は、前記被検知物が前記磁性体を有する用紙とされ、前記用紙が置かれる用紙台と、前記用紙台に置かれた前記用紙の画像を読み取る読取手段と、前記用紙台に置かれた前記用紙の前記磁性体を磁化反転させる磁界を発生する共に前記磁界を受信する請求項7〜請求項12のいずれか1項に記載の検知部材と、を備える
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、受信基板に形成された対をなす受信用の渦巻線の外側端同士及び内側端同士が電気的に接続されていない構成と比較し、送信基板からの漏洩磁界の影響をより確実に抑制できる。
【0021】
請求項2の発明によれば、請求項1の記載の構成が適用されていない場合と比較し、送信基板及び受信基板と相対移動されている磁性体をより確実に検知することができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、送信基板に形成された送信用の渦巻線が一つの渦巻線で構成されている場合と比較し、様々な方向を向く磁性体を磁化反転させやすくしながら相対移動方向の幅を狭くすることができる。
【0023】
請求項4の発明によれば、送信基板に形成された相対移動方向用の渦巻線が一つの渦巻線で構成されている場合と比較し、様々な方向を向く磁性体を磁化反転させやすくしながら、相対移動方向の幅を狭くすることができる。
【0024】
請求項5の発明によれば、送信基板に形成された相対移動方向用の渦巻線の他の方向に沿って配線された配線部が片面に配線されている構成と比較し、相対移動方向用の配線部の長さを長くすることができる。
【0025】
請求項6の発明によれば、送信基板に一つの送信用の渦巻線が形成された構成と比較し、対をなす受信用の渦巻線の対称性を確保しつつ、送信基板の配線の設計自由度が向上する。
【0026】
請求項7の発明によれば、請求項1に記載の構成が適用されていない場合と比較し、送信基板及び受信基板の対向方向外側に配置され、静止した状態の披検知物中の磁性体をより確実に検知することができる。
【0027】
請求項8の発明によれば、送信用の渦巻線が一つの渦巻線で構成された場合と比較し、様々な方向を向く磁性体を磁化反転させやすくなる。
【0028】
請求項9の発明は、送信基板に形成された第一方向用の渦巻線と第二方向用の渦巻線とに別々に給電することができる。
【0029】
請求項10の発明は、送信基板に形成された第一方向用の渦巻線に流れる交流の位相と第二方向用の渦巻線に流れる交流の位相とが切り替わる期間ごとに、異なる方向の磁界を発生させることができる。
【0030】
請求項11の発明によれば、送信基板に形成された第一斜め配線部と第二斜め配線部とが形成されていない構成と比較し、第一方向及び第二方向に磁界のベクトルを多く残存させることができる。
【0031】
請求項12の発明によれば、斜め配線部が周縁部に形成されない構成と比較して、被検知体中の磁性体が斜め配線部に対向する確率を減らすことができる。
【0032】
請求項13の発明によれば、請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載の検知部材以外の検知部材を備える構成と比較し、搬送手段によって相対移動方向に搬送されている用紙中の磁性体をより確実に検知することができる。
【0033】
請求項14の発明は、請求項7〜請求項12のいずれか1項に記載の検知部材以外の検知部材を備える構成と比較し、用紙台に置かれた用紙中の磁性体をより確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係る第一検知アンテナと第二検知アンテナとが設けられた画像形成装置の上部を模式的に示す模式図である。
【図2】図1の画像形成装置の上部を模式的に示す斜視図である。
【図3】図2の画像形成装置のカバー部を開いた状態の斜視図である。
【図4】図5に示す本発明の第一実施形態に係る第一検知アンテナを示す分解斜視図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る第一検知アンテナの分解斜視図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係る第一検知アンテナの送信アンテナ基板を構成する水平方向優先送信アンテナ基板を示す平面図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係る第一検知アンテナの送信アンテナ基板を構成する垂直方向優先送信アンテナ基板を示す平面図である。
【図8】本発明の第一実施形態に係る第一検知アンテナの受信アンテナ基板を示す平面図である。
【図9】本発明の第一実施形態に係る第一検知アンテナの配線基板を示す平面図である。
【図10】(A)は本発明が適用されていない比較例としての送信アンテナ基板を構成する垂直方向優先送信アンテナ基板の渦巻線を示す部分平面図であり、(B)は第一検知アンテナの送信アンテナ基板を構成する垂直方向優先送信アンテナ基板の渦巻線を示す部分平面図である。
【図11】第一検知アンテナの送信アンテナ基板を構成する垂直方向優先送信アンテナ基板の渦巻線の他の例を示す平面図である。
【図12】第一検知アンテナの送信アンテナ基板に45°方向優先送信アンテナ基板を設けた場合の構成を説明する説明図である。
【図13】本発明の第二実施形態に係る第一検知アンテナの送信アンテナ基板を示す平面図である。
【図14】本発明の第二実施形態に係る第一検知アンテナの受信アンテナ基板を示す平面図である。
【図15】本発明の第二実施形態に係る第一検知アンテナの配線基板を示す平面図である。
【図16】(A)は送信アンテナ基板の水平方向優先送信アンテナ基板の渦巻線及び垂直方向優先送信アンテナ基板の渦巻線と受信アンテナ基板の渦巻線とが直交していない場合の検知領域を説明するモデル図であり、(B)は送信アンテナ基板の水平方向優先送信アンテナ基板の渦巻線及び垂直方向優先送信アンテナ基板の渦巻線と受信アンテナ基板の渦巻線とが直交している場合の検知領域を説明するモデル図である。
【図17】送信アンテナ基板の渦巻線をモデル化したモデル図である。
【図18】静止磁場解析の結果(磁束密度Bx)を示すグラフである。
【図19】静止磁場解析の結果(磁束密度Bz)を示すグラフである。
【図20】図18及び図19に示す静止磁場解析の解析条件を説明するための説明図である。
【図21】(A)は有限な直線回りの磁場を示すグラフ(渦巻線の長さ磁束密度との関係を示すグラフ)であり、(B)は(A)のグラフを計算するための計算式である。
【図22】本発明の実施形態に係る第二検知アンテナを示す斜視図である。
【図23】図22に示す本発明の実施形態に係る第二検知アンテナの分解斜視図である。
【図24】本発明の実施形態に係る第二検知アンテナの送信アンテナ基板を構成する水平方向優先送信アンテナ基板を示す平面図である。
【図25】本発明の実施形態に係る第二検知アンテナの送信アンテナ基板を構成する垂直方向優先送信アンテナ基板を示す平面図である。
【図26】本発明の実施形態に係る第二検知アンテナの受信アンテナ基板を構成する水平方向優先受信アンテナ基板を示す平面図である。
【図27】本発明の実施形態に係る第二検知アンテナの受信アンテナ基板を構成する垂直方向優先送信アンテナ基板を示す平面図である。
【図28】本発明の実施形態に係る第二検知アンテナの配線基板を示す平面図である。
【図29】本発明の実施形態に係る第二検知アンテナの送信アンテナ基板を構成する水平方向優先送信アンテナ基板と垂直方向優先送信アンテナ基板とを、2波長毎に同送駆動(同位相)と逆相駆動(逆位相)に駆動させた場合の波形を示すグラフである。
【図30】2波長毎に同送駆動(同位相)と逆相駆動(逆位相)に駆動させた場合に発生する磁界ベクトルを説明するための説明図である。
【図31】本発明の実施形態に係る第一検知アンテナと第二検知アンテナとが設けられた画像検知アンテナの全体構成を模式的に示す模式図である。
【図32】本発明の実施形態に係る第一検知アンテナと第二検知アンテナとが設けられた配送品搬送装置を模式的に示す斜視図である。
【図33】受信アンテナ基板と送信アンテナ基板とが対向して配置された第一検知アンテナを模式的に示す斜視図である。
【図34】受信アンテナ基板と送信アンテナ基板とが対向して配置された第二検知アンテナを模式的に示す斜視図である。
【図35】磁性体Gが付与された原稿を模式的に示す斜視図である。
【図36】一つの送信用の渦巻線に対して、複数対の受信用の渦巻線を備える構成を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<全体構成>
まず、本発明の実施形態に係る第一検知アンテナと本発明の実施形態に係る第二検知アンテナとを備える画像読取装置(画像読取装置部)が一体的に設けられた画像形成装置について説明する。
【0036】
図1と図31とに示すように、画像形成装置10は、装置本体14の上部に画像読取装置部12が配置されている。
画像読取装置部12は原稿PAの画像を読み取り、読み取った信号を装置本体14に出力する。装置本体14は画像読取装置部12から出力された信号に基づき、記録用紙(記録媒体)PBに画像を形成する。なお、記録用紙PBに画像形成する画像形成方式は、特に限定されない。例えば、電子写真方式、インクジェット記録方式、熱転写方式等、どのような画像形成方式であってもよい。
【0037】
図35に示すように、原稿PAには大バルクハウゼン効果を起こす線状の磁性体G1、磁性体G2及び磁性体G3が、原稿PA中に抄き込まれることによって付与されている。磁性体G1は長手方向がY方向及びL方向に沿って配置されている。磁性体G2は長手方向がX方向及びM方向に沿って配置されている。更に、磁性体G3のように、Y方向及びL方向、X方向及びM方向以外の方向に沿って配置されている磁性体も付与されている。言いかえると、磁性体G1及び磁性体G2以外の、方向や姿勢がランダムの磁性体G3等も原稿PAには付与されている。
なお、各方向(Y方向、L方向、X方向、M方向)については後述する。また、磁性体G1、磁性体G2、磁性体G3を区別する必要がない場合は、単に磁性体Gと記載する。
【0038】
図31に示すように、装置本体14の下部には、記録用紙収容部16が設けられている。そして、ピックアップロール18によって記録用紙PBを順次取り出して画像形成部15に搬送する。画像形成部15で画像が形成された記録用紙PBは、装置本体14から排出されたのち、装置本体14に装着された振分装置52に送られる。振分装置52は記録用紙PBを振分けて、排出部54、55、56のいずれかに排出する。
【0039】
図2と図3とに示すように、画像形成装置10の正面には、操作パネル17が設けられている。なお、この操作パネル17側を装置正面とし、反対側を装置奥側とする。また、図1のKと図2における破線Kが、後述する画像読取装置部12のカバー部20の原稿搬送部50によって搬送される原稿PAの搬送経路Kである。
【0040】
図3に示すように、画像読取装置部12は、原稿PAを置く透明な原稿台(プラテンガラス)32が上面に設けられた読取部30と、原稿台32を覆うカバー部20(図2も参照)と、を有している。
画像読取装置部12は原稿台32に置かれた原稿PAの画像を読み取る。また、カバー部20に設けられた原稿搬送部50によって搬送される原稿PAの画像を読み取る。
【0041】
読取部30とカバー部20とは、ヒンジ機構部33によって連結されている。
ヒンジ機構部33は、回転軸35を回転中心として、カバー部20を原稿台32が露出される開いた状態(図3参照)と、カバー部20が原稿台32を覆う閉じた状態(図2参照)と、に開閉する機能を有している。更に、ヒンジ機構部33は、重力によってカバー部20が閉じようとする力に反発する力をバネ等で発生させ、開いた状態(図3を参照)で静止させる機能を有している。また、カバー部20が原稿台32に覆い被さることによって、外光が遮断される。
【0042】
つぎに、読取部30について説明する。なお、読取部30は、従来と同様の一般的な構造である。また、ここで説明する読取部30の構造は一例であって他の構造であってもよい。
【0043】
図2に示すように、読取部30の内部には、原稿台32の裏側に配置されミラーやレンズ等の光学系及び照明装置等で構成された走査部36、縮小光学系34、及び受光部38などが備えられている。
【0044】
そして、走査部36がL方向に移動しながら原稿台32に置かれた原稿PAに光を照射し、原稿PAに反射された反射光が縮小光学系34によって縮小され受光部38に結像されることによって、原稿PAの画像が読み取られる。
【0045】
一方、カバー部20には、原稿PAが重ねて置かれる原稿トレー24が備えられている。原稿トレー24に置かれた原稿PAは、原稿搬送部50の原稿給紙ロール26によって、一枚ずつ繰り出され、複数の搬送ローラ対28A〜28E等によって搬送される。
【0046】
そして、一旦、原稿PAは、カバー部20から出て、読取部30の読取窓部42との間を搬送された後、原稿すくい上げ部材40によって、再び押えカバー部20に入る。カバー部20に入った原稿PAは搬送ローラ対28Eによって搬送されたのち、排紙ローラ対29によって、排紙部19に排紙される。
【0047】
このとき走査部36は読取窓部42の下方に静止した状態とされ、原稿PAが読取窓部42を搬送されている際に画像が読み取られる。つまり、読取窓部42の上に搬送され通過する原稿PAの画像が読み取られる。なお、両面読取が必要な場合は、カバー部20の内部に設けられた読取ヘッド51で読み取られる。
【0048】
ここで、本発明の実施形態に係る第一検知アンテナ100は、カバー部20の原稿搬送部50の搬送ローラ対28Cと搬送ローラ対28Dとの間の搬送経路Kに近接するように設けられている。言いかえると、搬送経路Kを搬送されている原稿PAの対向方向外側(面外方向外側)に第一検知アンテナ100が配置されている。
また、本発明の実施形態に係る第二検知アンテナ500は、原稿台32と対向するカバー部20の下面の裏側に設けられている。言いかえると、原稿台32に置かれた原稿PAの対向方向外側(面外方向外側)に第二検知アンテナ500が配置されている。
そして、第一検知アンテナ100及び第二検知アンテナ500は、原稿PAに磁性体Gが付与されているか否かを検知し、例えば、磁性体Gが検知された場合には、印刷出力を停止し、不正な印刷出力を防止する。
【0049】
なお、本実施形態においては、第一検知アンテナ100は、カバー部20の原稿搬送部50の搬送ローラ対28Cと搬送ローラ対28Dとの間の搬送経路Kに近接するように設けられているが、この場所に限定されない。例えば、搬送ローラ対28Eと排紙ローラ対29との間の搬送経路Kに近接して配置されてもよい。つまり、第一検知アンテナ100は、装置構成に応じて、適当とされる場所に配置される。
【0050】
<第一検知アンテナ>
第一検知アンテナ100の第一実施形態について、図4〜図9を用いて説明する。
図4と図5とに示すように、第一検知アンテナ100は、搬送方向Kと直交する原稿PAの紙面に沿った方向(装置奥側方向)を長手方向とする矩形板状とされている。なお、本実施形態では、搬送方向Kと直交する原稿PAの紙面に沿った方向(面内方向)を水平方向として矢印Xで示し、搬送方向Kを垂直方向として矢印Yで示す。
よって、第一検知アンテナ100は、水平方向(X方向)を長手方向とする矩形板状とされている。また、X方向及びY方向に直交する方向が、板状の第一検知アンテナ100の面外方向であり、後述する積層方向である。
なお、垂直方向・Y方向・K方向は、相対移動方向に相当する。また、水平方向・X方向は、相対移動方向と交差する方向に相当する。
【0051】
第一検知アンテナ100の水平方向両外側端部には、それぞれ矩形状の孔部101、102と孔部103、104とが形成されている。これら孔部101〜孔部104には、搬送される原稿PAを検知するセンサー(図示略)が配置される(図5参照)。
【0052】
第一検知アンテナ100は、平面状の受信アンテナ基板110と、平面状の水平方向優先送信アンテナ基板140及び平面状の垂直方向優先送信アンテナ基板160が積層されて構成された送信アンテナ基板150と、配線基板180と、が積層された構成とされている。また、各基板は、湾曲自在の絶縁基板の表面に導体線(後述する渦巻線などの導電パターン)が形成され、且つ皮膜層で皮膜されて構成されている。また、スルーホールで各基板間が電気的に接続されている。なお、ここで説明する各基板の積層の順番は一例であってこれに限定されない。また、渦巻線に示す矢印は、電流が流れる方向を示している。また、後述する配線方向は電流が流れる方向と一致する。
【0053】
なお、本第一実施形態の第一検知アンテナ100、後述する第二実施形態の第一検知アンテナ200、及び後述する第二検知アンテナ500に入力する電流は交流電流であるので、周期的に電流の向きが変わる。しかし、本明細書では、説明を判りやすくするため、便宜上、電流方向を特定して説明する。
また、本第一実施形態の第一検知アンテナ100、後述する第二実施形態の第一検知アンテナ200、及び後述する第二検知アンテナ500の厚みは、実際よりも厚く図示されている(実際は薄膜状とされている)。
【0054】
図6に示すように、送信アンテナ基板150の水平方向優先送信アンテナ基板140には、渦巻線142が形成されている。渦巻線142は、全体として図6の紙面の上から見て時計回り方向に、外側から内側に向かった渦巻き状とされている。また、一筆書きで形成可能な形状とされている。そして、水平方向に沿って配線された水平方向配線部142Aの配線方向の長さが、他の方向に沿って配線された配線部の配線方向の長さよりも長く形成されている。
【0055】
なお、本実施形態においては、渦巻線142は、水平方向両端部に設けられた孔部101〜孔部104を避けるように形成されている。よって、渦巻線142の渦の外側部分は矩形状であるが、内側部分は孔部101〜孔部104を避けるため、孔部101と孔部102との間、及び孔部103と孔部104との間、を通るように形成されている。
【0056】
図7に示すように、送信アンテナ基板150の垂直方向優先送信アンテナ基板160は、渦巻線161〜渦巻線165が水平方向に並んで形成されている。また、渦巻線161〜渦巻線165は、図7の紙面の上から見て、それぞれ時計回り方向に外側から内側に向かった渦巻き状とされている。そして、垂直方向に沿って配線された垂直方向配線部161A〜165Aの配線方向の長さが、他の方向に沿って配線された配線部の配線方向の長さよりも、長く形成されている。
【0057】
なお、本実施形態においては、水平方向両端部に設けられた孔部101〜孔部104を避けるため、渦巻線161と渦巻線165の中心部分は、渦巻線162〜渦巻線164よりも大きく形成されている。
【0058】
また、本実施形態では、図10(B)に示すように、各渦巻線161〜165の水平方向の配線部分161B〜165Bは、渦巻線161〜165が形成された表面と、表面と反対側の裏面と、に交互に形成されている。そして、それぞれスルーホール166で接続されることによって、各配線が重なるように形成されている。したがって、図10(A)に示す一方の面(表面)のみに配線された構成と比較し、配線部の配線方向と直交する方向の束線幅が約1/2となっている。つまり、J1≒J2/2となっている。
よって、その分、各渦巻線161〜165の垂直方向配線部161A〜165Aの配線方向の配線方向の長さが長く形成される。
なお、各渦巻線161〜165の水平方向の配線部分161B〜165Bを構成する配線全てを基板の両面に形成しなくてもよく、一部の配線を両面に形成してもよい。
【0059】
図8に示すように、受信アンテナ基板110は、一対の渦巻線120及び渦巻線130が水平方向に並んで形成されている。また、図8の紙面の上から見て左側の渦巻線120は、全体として反時計回り方向に外側から内側に向かった渦巻き状とされている。図8の紙面の上から見て右側の渦巻線130は、全体として時計回り方向に外側から内側に向かった渦巻き状とされている。また、それぞれ、一筆書きで形成可能な形状とされている。
また、図8の紙面左側の渦巻線120と紙面右側の渦巻線130とは、渦巻方向が逆方向とされた線対称形状(一対の渦巻120と渦巻130との間の垂直方向の線を対称線とした線対称形状)である。
【0060】
紙面左側の渦巻線120は、紙面における上側の配線部122が水平方向に沿って配線されている。また、紙面における下側の配線部124が垂直方向に折り返しながらジグザクに形成されている(ミアンダ形状)。つまり、渦巻線120は、水平方向に沿って配線された配線部の長さと垂直方向に沿って配線された配線部の長さとの両方がバランス良く確保されるように形成されている。
【0061】
同様に、紙面右側の渦巻線130は、紙面上側の配線部132が水平方向に沿って配線されている。また、紙面下側の配線部134が垂直方向に折り返しながらジグザクに形成されている(ミアンダ形状)。つまり、渦巻線130は、水平方向に沿って配線された配線部の配線方向の長さと垂直方向に沿って配線された配線部の配線方向の長さとの両方がバランス良く確保されるように形成されている。
【0062】
なお、本実施形態においても、渦巻線120、130は、水平方向両端部に設けられた孔部101〜孔部104を避けるように形成されている。
【0063】
図9に示すように、配線基板180の導電線と各層の渦巻線とはスルーホールによって電気的に接続するように形成されている。
配線基板180の、紙面左端上部には、送信アンテナ基板150用の端子部182、184が設けられている。また、配線基板180の、紙面左端下部には、受信アンテナ基板110用の端子部186、188が設けられている。
【0064】
図6と図9とに示すように、配線基板180の端子部182は、スルーホール144を介し、送信アンテナ基板150を構成する水平方向優先送信アンテナ基板140の渦巻線142の外側端(始点)142Sに電気的に接続されている。渦巻線142の内側端(終点)142Eは、スルーホール146及び配線基板180の導電線148を介して、配線基板180の端子部184に電気的に接続されている。
【0065】
図7と図9とに示すように、配線基板180の端子部182は、導電線152及びスルーホール153を介して送信アンテナ基板150を構成する垂直方向優先送信アンテナ基板160の渦巻線161の外側端(始点)161Sに接続されている。渦巻線161の内側端(終点)161Eは、スルーホール154、配線基板180の導電線156、及びスルーホール157を介して、隣の渦巻線162の外側端(始点)162Sと接続されている。
【0066】
同様に渦巻線162の内側端(終点)162Eは、スルーホール159、配線基板180の導電線171及びスルーホール172を介して隣の渦巻線163の外側端(始点)163Sと接続され、内側端(終点)163Eはスルーホール173及び配線基板180の導電パター174及びスルーホール175を介して隣の渦巻線164の外側端(始点)164Sと接続されている。更に、渦巻線164の内側端(終点)164Eはスルーホール176及び配線基板180の導電パター177及びスルーホール178を介して隣の渦巻線165の外側端(始点)165Sと接続されている。そして、渦巻線165の内側端(終点)165Eはスルーホール146及び配線基板180の導電線148を介して、配線基板180の端子部184に電気的に接続されている。
【0067】
したがって、図6と図9とに示すように、配線基板180の端子部182から入力された電流は、スルーホール144を介して、送信アンテナ基板150の水平方向優先送信アンテナ基板140の渦巻線142の外側端142Sから入力され、渦巻線142の内側端142Eから出力されたのち、スルーホール146及び配線基板180の導電線148を介して配線基板180の端子部184から出力される。
【0068】
一方、図7と図9とに示すように、配線基板180の端子部182から入力された電流は、配線線152及びスルーホール153を介して、送信アンテナ基板150の垂直方向優先送信アンテナ基板160の渦巻線161の外側端161Sから入力され内側端161Eから出力される。そして、順次直列に連結された渦巻線161〜渦巻線165を流れ、配線基板180の端子部184から出力される。
【0069】
また、図8と図9とに示すように、配線基板180の受信アンテナ基板110用の端子部188は、導電線128及びスルーホール112、113を介して、受信アンテナ基板110の左側の渦巻線120の外側端120Sと右側の渦巻線130と外側端130Sと電気的に接続されている。
【0070】
導電線128は、前述した外側端120Sと外側端130Sとをスルーホール112、113を介して電気的に接続された外側端間接続線127と、配線126と、で構成されている。
【0071】
配線126は、外側端間接続線127の線長の中間点127Mに接続されている。なお、外側端間接続線127は、線幅が一定の導電線(導電パターン)であり、スルーホール112とスルーホール113とは同じ抵抗値とされている。よって、この中間点127Mは、外側端120Sからの抵抗値と外側端130Sからの抵抗値とが等しい点となっている。言い換えると、外側端120Sから中間点127Mまでの抵抗値と外側端130Sから中間点127Mまでの抵抗値とが等しくなっている。
【0072】
受信アンテナ基板110の左側の渦巻線120の内側端120Eと右側の渦巻線130と内側端130Eとは、スルーホール114、115と導電基板180の導電線138を介して、配線基板180の受信アンテナ基板110用の端子部186に電気的に接続されている
【0073】
導電線138は、前述した内側端120Eと内側端130Eとをスルーホール114、115を介して電気的に接続した内側端間接続線137と、配線136と、で構成されている。
【0074】
配線136は、内側端間接続線137の線長の中間点137Mに接続されている。なお、内側端間接続線137は、線幅が一定の導電線(導電パターン)であり、スルーホール114とスルーホール115とは同じ抵抗値とされている。よって、この中間点137Mは、内側端130Eからの抵抗値と内側端130Eからの抵抗値とが等しい点となっている。言い換えると、内側端120Eから中間点137Mまでの抵抗値と内側端130Eから中間点137Mまでの抵抗値とが等しくなっている。
【0075】
このように渦巻線120、130が電気的に接続されているので、渦巻線120と渦巻線130とには、逆回転方向に電流が流れる。
【0076】
なお、水平方向優先送信アンテナ基板140の渦巻線142、垂直方向優先送信アンテナ基板150の渦巻線161〜渦巻線165、受信アンテナ基板110の渦巻線120、130が重なっていない部分に各スルーホールが配置されている。また、スルーホールを多く用いることで、抵抗値の低減、インダクタンス低減、及び電流容量の確保などの効果が得られる。更に、各スルーホールに空気が通ることで、各基板が冷却される。
【0077】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、第一検知アンテナ100の送信アンテナ基板150の渦巻線142及び渦巻線121〜渦巻線125に交流電流が流れることで交番磁界が発生する。この交番磁界を、搬送経路Kを搬送されている原稿PAが第一検知アンテナ100に対向する位置を通過する際に、原稿PAに付与された大バルクハウゼン効果を起こす磁性体Gが受けることで、磁性体Gが磁化反転されると共に、急峻な磁界変化が発生する。
その結果、第一検知アンテナ100の受信アンテナ基板110の渦巻線にパルス状の誘導電流が流れ、この誘導電流を端子部186と端子部188とに接続した検出装置(図示略)が検出することで、磁性体Gが検知される。
【0078】
ここで、図8に示すように、受信アンテナ基板110の渦巻線120と渦巻線130とは逆巻きに巻かれた線対称形状とされている。
更に、外側端120Sからの抵抗値と外側端130Sからの抵抗値とが等しい中間点127Mに端子部188に接続された配線126が電気的に接続され、内側端120Eからと内側端130Eからとの抵抗値が等しい中間点137Mに端子部186に接続された配線136が電気的に接続されている。
【0079】
したがって、一対の渦巻線120及び渦巻線130に差動効果が効果的に発生し、送信アンテナ基板150からの漏洩磁界の影響が抑制され、この結果、磁性体Gの検知性能が向上する。
【0080】
また、図6に示すように、送信アンテナ基板150の水平方向優先送信アンテナ基板140の渦巻線142は、水平方向に沿って配線された水平方向配線部142Aの配線方向の長さが長くなるように形成されている。よって、水平方向(搬送方向Kと直交する方向)と交差する方向、特に搬送方向K(垂直方向)を長手方向とする磁性体G1(図35参照)が効果的に磁化反転され急峻な磁界変化が発生する。つまり、水平方向優先送信アンテナ基板140は、垂直方向(搬送方向K)を長手方向する磁性体G1(図35参照)を優先的に磁化反転させ急峻な磁界変化を発生させるための送信アンテナとして機能を有する。
【0081】
一方、図7に示すように、送信アンテナ基板150の垂直方向優先送信アンテナ基板160の渦巻線161〜162は、全体として垂直方向に沿って配線された部分の配線方向の長さが長くなるように形成されている。よって、長手方向が垂直方向(搬送方向K)と交差する方向、特に搬送方向Kと直交する水平方向の磁性体G2(図35)が効果的に磁化反転され急峻な磁界変化が発生する。つまり、垂直方向優先送信アンテナ基板160は、水平方向を長手方向とする磁性体G2(図35)を優先的に磁化反転させ急峻な磁界変化を発生させるための送信アンテナとしての機能を有する。
【0082】
そして、これら垂直方向優先送信アンテナ基板160と水平方向優先送信アンテナ基板140とを積層した構成とすることで、磁性体G1と磁性体G2の両方を磁化反転させ急峻な磁界変化を発生させる磁界発生性能を確保しつつ(磁性体G1,G2の両方の検知性能を確保しつつ)、送信アンテナ基板150(第一検知アンテナ100)の垂直方向(搬送方向K)の幅が狭く設定される。
【0083】
また、図10(B)に示すように、水平方向の配線部161B〜165Bの幅を両面に形成することで、水平方向の配線部分161B〜165Bの幅(Hor)が狭く形成され、その分、垂直方向配線部161A〜165Aの幅(Ver)が更に長く形成される。これにより、長手方向が垂直方向(搬送方向K)と交差する方向、特に搬送方向Kと直交する方向を長手方向とする磁性体G2を、更に効果的に磁化反転させ急峻な磁界変化を発生させる。つまり、磁性体G2の検知性能が更に向上する。
【0084】
なお、図11に示すように、水平方向の配線部161B〜165Bが両面に形成されていなくても、垂直方向優先送信アンテナ基板160の渦巻線161〜165を水平方向に並べて形成し、水平方向の配線部の配線間隔を詰めることで、水平方向の配線部161B〜165Bの幅(Hor)を狭くし、その分、垂直方向配線部161B〜165Bの幅(Ver)を幅広に形成するようにしてもよい。
【0085】
また、本実施形態では、送信アンテナ基板150の水平方向優先送信アンテナ基板140の渦巻線142及び垂直方向優先送信アンテナ基板160の渦巻線161〜渦巻線165と、受信アンテナ基板110の渦巻線120及び渦巻線130とは、直交する配線部を有している。
【0086】
図16(B)は、このことをモデル化したモデル図である。つまり、配線80と配線82とが直交配置されているモデル図である。また、図16(A)は、配線80と配線82とが直交配置されていない比較例としてのモデル図である。
【0087】
ここで磁性体Gに当たる磁界のベクトル成分は、磁性体Gの配線に対する角度をθとすると
HW=Hcosθ
とされ、図16(A)の配線80(送信用の渦巻線)と配線82(受信用の渦巻線)とが平行の場合の受信用の渦巻線感度は、
Hr=f(Hcosθ)xcosθ
とされる。なお、fは磁性体Gのヒステリシス特性による磁界変化関数である。
また、図16(B)の配線80(送信用の渦巻線)と配線82(受信用の渦巻線)とが直交した場合の受信線感度は、
Hr=f(Hcosθa)xcosθb
とされる。なお、θaは磁性体Gの配線80(送信用の渦巻線)に対する角度であり、θbは磁性体Gの配線82(受信用の渦巻線)に対する角度である。
【0088】
図16の斜線(ハッチング)部分が感度を有する領域とされ、白部分は殆ど感度がない領域とされている。図16(A)と図16(B)とを比較すると判るように、図16(A)は感度を有する網点領域が上下二つであるのに対して、図16(B)は感度を有する網点領域は8つに分かれている。図16(A)と図16(B)とで、網点領域の面積自体は同じである。しかし、一点破線84で示す網点領域の近傍領域も感度は低いが感度を有する領域(ここでは便宜上「低感度領域」とする)とされている。
【0089】
よって、この低感度領域を含めると、第一検知アンテナ100においては、配線80と配線82とが平行に配置された図16(A)よりも、配線80と配線82とが直交に配置された図16(B)の方が感度を有する領域が広くなる。よって、図16(B)の構成(本実施形態の構成)は、磁性体Gの検知確率が高くなる。
【0090】
なお、第一検知アンテナ100の送信アンテナ基板150は、水平方向優先送信アンテナ基板140と垂直方向優先送信アンテナ基板160とが積層されて構成されている(図4参照)。つまり、水平方向(搬送方向Kと直交する方向)と交差する方向、特に搬送方向Kを長手方向とする磁性体G1(図35)を優先的に検知するための水平方向優先送信アンテナ基板140と、長手方向が垂直方向(搬送方向K)と交差する方向、特に直交する方向の磁性体G2(図35)を優先的に検知するための垂直方向優先送信アンテナ基板160と、を有する構成である。
【0091】
しかし、三層以上で構成されていてもよい。例えば、図12に示すように、長手方向が搬送方向Kと約45°の角度方向の磁性体Gを優先的に検知するための45°方向優先送信アンテナ基板を、更に有する構成であってもよい。なお、このような構成とすると、原稿PAに付与された磁性体Gの検知確率が更に高くなる。
【0092】
更に、送信アンテナ基板が一層構造であってもよい。よって、つぎに、送信アンテナ基板が一層構造の一例としての第一検知アンテナを第二実施形態として、図13〜図15を用いて説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0093】
第二実施形態の第一検知アンテナ200は、平面状の受信アンテナ基板210(図14)と、平面状の送信アンテナ基板260(図13)と、配線基板280(図15)と、が積層され、搬送方向Kと直交する水平方向を長手方向とする矩形板状とされている。
【0094】
また、各基板は、湾曲自在の絶縁基板の表面に導体線(導電パターン)が形成され、且つ皮膜層で皮膜されて構成されている。また、スルーホールで各基板間が電気的に接続されている。なお、ここで説明する各基板の積層の順番は一例であって、これに限定されない。また、渦巻線に示す矢印は、電流が流れる方向を示している。
【0095】
第一検知アンテナ200の水平方向端部(本実施形態では、各図を上から見て右端部)には、二つの矩形状の孔部201、202が形成されている。また、水平方向中央部には、凹部203が掲載されている。これら孔部201、202及び凹部203には、原稿PAを検知するセンサー(図示略)が配置されている。
【0096】
図13に示すように、送信アンテナ基板260には、図を上から見て水平方向左側に渦巻線262が形成され、右側に渦巻線270が形成されている。これら渦巻線262、270は、全体としては時計回り方向に外側から内側に向かった渦巻き状とされている。また、一筆書きで形成可能な形状とされている。
【0097】
紙面左側の渦巻線262は、紙面上側の配線部は水平方向に沿って配線されている。しかし、紙面下側の配線部は、垂直方向に折り返しながらジグザクに形成されている(ミアンダ形状)。つまり、水平方向に沿って配線された配線部と垂直方向の配線部との両方が確保されるように形成されている。なお、紙面下側の配線部の中央部分は、垂直方向に幅狭に形成されている。また、渦巻線262は、一点破線T1を中心に線対称形状とされている。
【0098】
紙面右側の渦巻線270は、孔部201、202を避けるように、垂直方向中央部が水平方向に湾曲した略8の字形状に形成されている(配線は中央で交差していないので厳密には8の字ではない)。また、略8字の形状に形成されることで、水平方向に沿って配線された配線部と垂直方向に沿って配線された配線部との両方が確保されるように形成されている。また、渦巻線270は、一点破線T2を中心とする線対称形状とされている。
【0099】
図14に示すように、受信アンテナ基板210には、水平方向左側(紙面左側)に送信アンテナ基板260の渦巻線262に対応した一対の水平方向に並んだ渦巻線220と渦巻線230とが形成されている。そして、渦巻線220と渦巻線230とを合わせた形状が送信アンテナ基板260の渦巻線262と略同形状とされている。なお、図14の紙面の上から見て左側の渦巻線220と右側の渦巻線230とは、渦巻方向が逆方向とされた線対称形状である。また、一点破線T1は、渦巻線220と右側の渦巻線230との対称線(分割線)を示している。
【0100】
また、受信アンテナ基板210には、水平方向右側に送信アンテナ基板260の渦巻線270に対応した一対の垂直方向に並んだ渦巻線240と渦巻線250とが形成されている。そして、渦巻線240と渦巻線250とを合わせた形状が送信アンテナ基板260の渦巻線270と略同形状とされている。なお、図14の紙面の上から見て上側の渦巻線240と下側の渦巻線250とは、渦巻方向が逆方向とされた線対称形状である。また、一点破線T2は、渦巻線240と渦巻線250との対称線(分割線)を示している。
【0101】
図15に示すように、配線基板280の導電線(導電パターン)は各層のスルーホールに電気的に接続するように形成されている。なお、導電線は両面に記載されている。
配線基板280の、図における左端上部には、送信アンテナ基板260用の端子部282、284が設けられている。また、配線基板280の、図における左端下部には、受信アンテナ基板210用の端子部286、288が設けられている。
【0102】
図13と図15とに示すように、配線基板280の端子部282は、スルーホール264を介し、送信アンテナ基板260の渦巻線262の外側端(始点)262Sに電気的に接続されている。渦巻線262の内側端(終点)262Eは、スルーホール266、配線基板280の導電線267、及びスルーホール268を介して、渦巻線270の外側端270Sに電気的に接続されている。渦巻線270の内側端(終点)270Eは、スルーホール272、配線基板280の導電線273を介して、端子部284に電気的に接続されている。
したがって、送信アンテナ基板260の渦巻線262と渦巻線270は、電気的に直列に接続されている。
【0103】
一方、図14と図15とに示すように、配線基板280の受信アンテナ基板210用の端子部286は、導電線228及びスルーホール212を介して、受信アンテナ基板210の渦巻線220の外側端220Sと渦巻線230の外側端230Sとが接続された接続点205に電気的に接続されている。
【0104】
渦巻線220の内側端220Eと渦巻線230の内側端230Eとはスルーホール214、215を介して、配線基板280の導電線218に接続されている。
導電線218は、内側端220Eと外側端230Eとをスルーホール214、215を介して電気的に接続された内側端間接続線216と、配線217と、で構成されている。
【0105】
配線217の一方の端部は、内側端間接続線216の線長の中間点216Mに電気的に接続されている。なお、内側端間接続線216は、線幅が一定の導電線であり、スルーホール214とスルーホール215とは同じ抵抗値とされている。よって、この中間点216Mは、内側端220Eからの抵抗値と内側端230Eからの抵抗値とが等しい点となっている。言い換えると、内側端220Eから中間点216Mまでの抵抗値と内側端230Eから中間点216Mまでの抵抗値とが等しくなっている。
【0106】
配線217の他方の端部は、スルーホール219を介して、受信アンテナ基板210の渦巻線240の外側端240Sと渦巻線250の外側端240Sとが接続された接続点207と電気的に接続されている。
【0107】
渦巻線240の内側端240Eと渦巻線250の内側端250Eとはスルーホール241、242を介して、配線基板280の導電線248に接続されている。
導電線248は、前述した内側端240Eと内側端250Eとをスルーホール241、242を介して電気的に接続された内側端間接続線246と、端子部288に接続された配線247と、で構成されている。
【0108】
配線247は、内側端間接続線246の線長の中間点246Mに接続されている。なお、内側端間接続線246は、線幅が一定の導電線(導電パターン)であり、スルーホール241とスルーホール242とは同じ抵抗値とされている。よって、この中間点246Mは、内側端240Eからの抵抗値と内側端250Eからの抵抗値とが等しい点となっている。言い換えると、内側端240Eから中間点246Mまでの抵抗値と内側端250Eから中間点246Mまでの抵抗値とが等しくなっている。
【0109】
したがって、図14に示すように、渦巻線220と渦巻線230とには逆回転方向に電流が流れ、渦巻線240と渦巻線250とには逆回転方向に電流が流れる。
また、渦巻線220及び渦巻線230と渦巻線240及び渦巻線250とは、電気的に直列に接続されている。
【0110】
つぎに本実施形態の作用について説明する。
受信アンテナ基板210の渦巻線220及び渦巻線230は逆巻きに巻かれた線対称形状とされ、渦巻線240及び渦巻線250は逆巻きに巻かれた線対称形状とされている。
更に渦巻線220の外側端220Sと渦巻線230の外側端230Sとが接続された接続点205に端子部286に接続された導電線228が接続され、渦巻線220の内側端220Eと渦巻線230の内側端230Eとが電気的に接続された内側端間接続線216の中間点216Mに配線217の一方の端部が電気的に接続されている。
そして、配線217の他方の端部は、受信アンテナ基板210の渦巻線240の外側端240Sと渦巻線250の外側端240Sとが接続された接続点207と電気的に接続され、内側端240Eと内側端250Eとに接続された内側端間接続線246の中間点246Mに端子部288に接続された配線247が接続されている。
【0111】
よって、本実施形態の第一検知アンテナ200も第一実施形態の第一検知アンテナ100と同様に、受信アンテナ基板210の渦巻線220及び渦巻線230と渦巻線240及び渦巻線250とにそれぞれ、送信アンテナ基板260からの漏洩磁界の影響を抑制する差動効果が効果的に発生し、磁性体Gの検知性能が向上する。
【0112】
また、送信アンテナ基板260に渦巻線262と渦巻線270とが形成された構成とすることで、検知アンテナ200の形状が左右非対称であっても、渦巻線262と渦巻線270とをそれぞれを対称形に形成することで、対応する一対の渦巻線220、230と、一対の渦巻線240、250と、がそれぞれ線対称形状に形成される。
【0113】
ここで、第一検知アンテナ100、200の送信アンテナ基板150、260に形成さされた渦巻線140、160、262、270のパターンの設計方法の一例について説明する。
【0114】
まず、図17〜図20を用いて、図17の隙間D1の設定について説明する。なお、図17は、送信アンテナ基板の渦巻線をモデル化したモデル図である。図18は図20のZ=1mm,Y=0mmにおける静止磁場解析の結果(磁束密度Bx)を示すグラフであり、図19は図20のZ=1mm,Y=0mmにおける静止磁場解析の結果(磁束密度Bz)を示すグラフである。図20は、図18及び図19に示す静止磁場解析の解析条件(各配線の位置関係)を説明する説明である。
【0115】
隙間Dは、配線面積による位相の異なる電流の相殺効果が磁界影響を与えない間隙(電流相殺間隔)を計算し、その計算結果により適切な隙間D1を設定する。具体的には、図18及び図19のグラフを用いて決定する。例えば、隙間D1を5mmに設定することで、影響が10%以下に抑えられる。
【0116】
また、図21に示すように、渦巻線400の束数を、使用時電流と、合成抵抗と垂直水平の沿面方向の合成磁界強度と、検出対象の磁性体Gの長さZと、から決定する。具体的には、「渦巻線の合成抵抗=配線幅×総配線長幅=[束線数]×配線長」で渦巻線400の束数を決定する。
【0117】
また、図17の垂直方向の束線幅D2と水平方向の束線幅D3は、磁性体Gの長さの1/2以上の幅となるように形成する。
【0118】
また、紙搬送方向の渦巻線の線長は、検知処理時間の最短時間以上を保証する時間を原稿PAの移動速度(搬送速度)から割り出して形成する。
【0119】
また、平面視において、送信アンテナ基板の渦巻線と受信アンテナ基板の渦巻線との配置角度が90°である面積を、全体の20%以上確保するように、各渦巻線を形成する。
【0120】
また、送信アンテナ基板の渦巻線と受信アンテナ基板の渦巻線との角度が、原稿PAの磁性体Gと全て同一角度になる組み合わせが有る場合、必ず相互に磁性体Gと90°になるように、受信アンテナ基板の渦巻線及び送信アンテナ基板の渦巻線を形成する。
【0121】
また、受信アンテナ基板の渦巻線は、平面視において、送信アンテナ基板の渦巻線からはみ出さないで重なるように形成する。
【0122】
<第二検知アンテナ>
つぎに第二検知アンテナ500(図1、図3参照)について、図22〜図28を用いて説明する。なお、第一実施形態の第一検知アンテナ100及び第二実施形態の第一検知アンテナ200と重複する説明は省略するか簡略して記載する。
【0123】
図22と図23に示すように、第二検知アンテナ500は、原稿PAを置く原稿台32と略同じ大きさ又は原稿台32よりも若干大きい板状とされている(図1と図3参照)。なお、本実施形態では、原稿PAの長手方向を水平方向として矢印Lで示し、長手方向と直交する面内方向を垂直方向として矢印Mで示す(図3参照)。
よって、第二検知アンテナ500は、水平方向(L方向)を長手方向とする矩形板状とされている。また、M方向及びL方向に直交する方向が、板状の第二検知アンテナ500の面外方向であり、後述する積層方向である。なお、M方向が第一方向に相当し、L方向が第二方向に相当する。
【0124】
第二検知アンテナ500は、平面状の水平方向優先受信アンテナ基板530及び垂直方向優先受信アンテナ基板510が積層されて構成された受信アンテナ基板521と、平面状の水平方向優先送信アンテナ基板570及び平面状の垂直方向優先送信アンテナ基板550とが積層されて構成された送信アンテナ基板560と、配線基板590と、が積層された構成とされている。
また、各基板は、湾曲自在の絶縁基板の表面に導電線(導体パターン)が形成され、且つ皮膜層で皮膜されて構成されている。また、スルーホールで各基板間が電気的に接続されている。なお、ここで説明する各基板の積層の順番は一例であってこれに限定されない。また、渦巻線に示す矢印は、電流が流れる方向を示している。
【0125】
図24に示すように、送信アンテナ基板560の水平方向優先送信アンテナ基板570には、渦巻線572が形成されている。渦巻線572は、全体として図24の紙面の上から見て時計回り方向に、外側から内側に向かった渦巻き状とされている。また、一筆書きで形成可能な形状とされている。そして、水平方向に沿って配線された水平方向配線部572Aの配線方向の長さが、他の方向に沿って配線された配線部の長さよりも長くなるように、水平方向に折り返されて形成されている。
また、渦巻線572の水平方向両端部の配線部は、垂直方向に対して斜めに配線された斜め配線部574、575、576が形成されている。なお、斜め配線部574〜斜め配線部576は、渦巻線572の外周部(周縁部)に形成されている。また、渦巻線572は、垂直方向の中心位置の水平線を対称線とする線対称形状とされている。
【0126】
図25に示すように、送信アンテナ基板560の垂直方向優先送信アンテナ基板550には、渦巻線552が形成さている。渦巻線552は、全体として図25の紙面の上から見て時計回り方向に、外側から内側に向かった渦巻き状とされている。また、一筆書きで形成可能な形状とされている。そして、垂直方向に沿って配線された垂直方向配線部552Aの配線方向の長さが、他の方向の配線部の長さよりも長くなるように、上下に折り返されて形成されている。
また、渦巻552の垂直方向両端部の配線部は、水平方向に対して斜めに配線された斜め配線部554、555、556が形成されている。なお、斜め配線部554〜斜め配線部556は、渦巻線552の外周部(周縁部)に形成されている。また、渦巻線552は、水平方向の中心位置の垂直線を対称線とする線対称形状とされている。
【0127】
図26に示すように、受信アンテナ基板521の水平方向優先受信アンテナ基板530には、水平方向優先送信アンテナ基板570の渦巻線572に対応した一対の垂直方向に並んだ渦巻線540と渦巻線531とが形成されている。また、渦巻540、531の水平方向両端部の配線は、垂直方向に対して斜めに配線された斜め配線部542、543、532、534が形成されている。そして、渦巻線520と渦巻線531とを合わせた形状が、水平方向優先送信アンテナ基板570の渦巻線572と略同形状とされている。
なお、図26の紙面の上から見て上側の渦巻線540と下側の渦巻線531とは、渦巻方向が逆方向とされた線対称形状(一対の渦巻54と渦巻531との間の水平方向の線を対称線とした線対称形状)である。
【0128】
図27に示すように、受信アンテナ基板521の垂直方向優先受信アンテナ基板510には、垂直方向優先送信アンテナ基板550の渦巻線552に対応した一対の水平方向に並んだ渦巻線520と渦巻線512とが形成されている。また、渦巻520、512の垂直方向両端部の配線は、水平方向に対して斜めに配線された斜め配線部524、525、526と、斜め配線部514、515、516と、が形成されている。そして、渦巻線512と渦巻線520とを合わせた形状が、垂直方向優先送信アンテナ基板550の渦巻線552と略同形状とされている。
なお、図27の紙面の上から見て左側の渦巻線520と右側の渦巻線512とは、渦巻方向が逆方向とされた線対称形状(一対の渦巻520と渦巻5120との間の垂直方向の線を対称線とした線対称形状)である。
【0129】
図28に示すように、配線基板590の導電線(導電パターン)は各層のスルーホールと電気的に接続するように形成されている。配線基板590の図における上部には、送信アンテナ基板560用の給電部630と受信アンテナ基板521用の給電部640とを備えている。送信アンテナ基板560用の給電部630は、水平方向優先送信アンテナ基板570の給電部616と垂直方向優先送信アンテナ基板550用の給電部626とを有している。
【0130】
水平方向優先送信アンテナ基板570の給電部616は端子部614と端子部612を備え、垂直方向優先送信アンテナ基板550用の給電部626は端子部624と端子部622を備えている。
つまり、水平方向優先送信アンテナ基板570と垂直方向優先送信アンテナ基板550とは、別々に給電することが可能となっている。
また、受信アンテナ基板520用の給電部640は端子部634と端子部632とを備えている。
【0131】
図24と図28とに示すように、配線基板590の垂直方向優先送信アンテナ基板550用の端子部624は、スルーホール712を介し、水平方向優先送信アンテナ基板570の渦巻線572の外側端(始点)572Sに電気的に接続されている。渦巻線572の内側端(終点)572Eは、スルーホール714、配線基板590の導電線716を介して端子部622に電気的に接続されている。
【0132】
図25と図28とに示すように、配線基板590の端子部614は、スルーホール722を介し、垂直方向優先送信アンテナ基板550の渦巻線552の外側端(始点)552Sに電気的に接続されている。渦巻線552の内側端(終点)552Eは、スルーホール724、配線基板590の導電線726を介して端子部612に電気的に接続されている。
【0133】
一方、図26と図28とに示すように、配線基板590の受信アンテナ基板520用の端子部634は、導電線732及びスルーホール734を介して、水平方向優先受信アンテナ基板530の渦巻線540の外側端540Sと渦巻線531の外側端531Sとが接続された接続点535で電気的に接続されている。
【0134】
渦巻線540の内側端540Eと渦巻線531の内側端531Eとはスルーホール736、738を介して、配線基板590の導電線740に接続されている。
導電線740は、上述した内側端540Eと内側端531Eとをスルーホール736、738を介して電気的に接続された内側端間接続線742と、内側端間接続線744と、で構成されている。
【0135】
内側端間接続線742と外側端間接続線744とは、それぞれ線長の中間点740Mに接続されている。なお、内側端間接続線742は、線幅が一定の導電線(導電パターン)であり、スルーホール736とスルーホール738とは同じ抵抗値とされている。よって、この中間点740Mは、内側端540Eからの抵抗値と内側端531Eからの抵抗値とが等しい点となっている。言い換えると、内側端540Eから中間点740Mまでの抵抗値と内側端531Eから中間点740Mまでの抵抗値とが等しくなっている。
【0136】
図27と図28とに示すように、前述した配線基板590の導電線740の内側端間接続線744は、両端がスルーホール752、754を介して、垂直方向優先受信アンテナ基板510の渦巻線520の内側端520Eと渦巻線512の内側端512Eに電気的に接続されている。
【0137】
なお、内側端間接続線744は、線幅が一定の導電線(導電パターン)であり、スルーホール752とスルーホール754とは同じ抵抗値とされている。よって、中間点740Mは、外側端520Eからの抵抗値と外側端512Eからの抵抗値とが等しい点となっている。言い換えると、内側端520Eから中間点740Mまでの抵抗値と内側端512Eから中間点740Mまでの抵抗値とが等しくなっている。
【0138】
垂直方向優先受信アンテナ基板510の渦巻線520の外側端520Sと渦巻線512の外側端512Sとは接続点511で電気的に接続されている。接続点511は、スルーホール762と導電線764を介して、端子部632と電気的に接続されている。
【0139】
したがって、垂直方向優先受信アンテナ基板510の渦巻線520及び渦巻線512と、は電気的に直列に接続されている。
【0140】
ここで、送信アンテナ基板560の水平方向優先送信アンテナ基板570の渦巻線572と垂直方向優先送信アンテナ基板550の渦巻線552とは、電流方向位相がうち消し合わない適切な距離を置いて配線されている。また、スルーホール714、724は、送信アンテナ基板560の水平方向優先送信アンテナ基板570の渦巻線572と垂直方向優先送信アンテナ基板550の渦巻線552における垂直方向と水平方向のどちらの方向にも配線されてないスポット点に中継点として配置されている。
【0141】
なお、水平方向優先送信アンテナ基板570の給電部616は端子部614と端子部612を備え、垂直方向優先送信アンテナ基板550用の給電部626は端子部624と端子部626を備えている。つまり、水平方向優先送信アンテナ基板570と垂直方向優先送信アンテナ基板550とは、別々に給電される。
【0142】
そして、本実施形態では、水平方向優先送信アンテナ基板570の渦巻線572と、垂直方向優先送信アンテナ基板550の渦巻線552と、に流れる交流の位相が同位相と逆位相とに交互に切り替わるよう設定されている(図29参照)。
【0143】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、第二検知アンテナ500の送信アンテナ基板560の水平方向優先送信アンテナ基板570の渦巻線572と、垂直方向優先送信アンテナ基板550の渦巻線552と、に交流電流が流れることで交番磁界が発生する。この交番磁界を原稿台32に置かれている原稿PAに付与された大バルクハウゼン効果を起こす磁性体Gが受けることで、磁性体Gが磁化反転されると共に、急峻な磁界変化が発生する。
【0144】
この結果、第二検知アンテナ500の受信アンテナ基板521の渦巻線にパルス状の誘導電流が流れ、この誘導電流を端子部632と端子部634とに接続した検出装置(図示略)が検出することで、磁性体Gが検知される。
【0145】
図26、図27に示すように、水平方向優先受信アンテナ基板530の渦巻線540及び渦巻線531と、垂直方向優先受信アンテナ基板510の渦巻線520及び渦巻線512と、はそれぞれ逆巻きに巻かれた線対称形状とされている。
更に、図26と図28とに示すように、水平方向優先受信アンテナ基板530の渦巻線540の外側端540Sと渦巻線531の外側端531Sとが接続された接続点535に端子部634に接続された導電線732が接続され、内側端間接続線742の内側端540E(スルーホール736)からと内側端531E(スルーホール738)からとの抵抗値が等しい中間点740Mに、外側端間接続線744が電気的に接続されている。
また、図27と図28に示すように、この外側端間接続線744の内側端520E(スルーホール754)からと内側端512E(するホール752)からとの抵抗値が等しい中間点740Mに、前述した内側端間接続線742が電気的に接続されている。
また、渦巻線520の外側端520Sと渦巻線512の外側端512Sとが接続された接続部514に、端子部632に接続された導電線764がスルーホール762を介して接続されている。
【0146】
よって、水平方向優先受信アンテナ基板530の渦巻線540及び渦巻線531と、垂直方向優先受信アンテナ基板510の渦巻線520及び渦巻線512と、に送信アンテナ基板560からの漏洩磁界の影響を抑制する差動効果が効果的に発生し、磁性体Gの検知性能が向上する。
【0147】
また、送信アンテナ基板560の水平方向優先送信アンテナ基板570の渦巻線572は、水平方向に沿って配線された水平方向配線部572Aの配線方向の長さが、他の方向の配線部の長さよりも長くなるように折り返されて形成されている。よって、水平方向と交差する方向、特に直交する方向を長手方向とする磁性体G1(図35)が効果的に磁化反転され急峻な磁界変化が発生する。つまり、水平方向優先送信アンテナ基板870は、垂直方向を長手方向する磁性体G1(図35)を優先的に磁化反転させ急峻な磁界変化を発生させるための送信アンテナとして機能を有する。
【0148】
一方、送信アンテナ基板560の垂直方向優先送信アンテナ基板550の渦巻線552は、垂直方向に沿って配線された垂直方向配線部552Aの配線方向の長さが他の方向の配線部の長さよりも長くなるように折り返されて形成されている。よって、長手方向が垂直方向と交差する方向、特に直交する水平方向の磁性体G2(図35)が効果的に磁化反転され急峻な磁界変化が発生する。つまり、垂直方向優先送信アンテナ基板560は、水平方向を長手方向とする磁性体G2(図35)を優先的に磁化反転させ急峻な磁界変化をさせるための送信アンテナとしての機能を有する。
【0149】
そして、これら垂直方向優先送信アンテナ基板550と水平方向優先送信アンテナ基板570とを積層した構成とすることで、送信アンテナ基板が一層構造の場合と比較し、磁性体G1と磁性体G2の両方を磁化反転させ急峻な磁界変化を発生させる磁界発生性能が向上し、その結果、磁性体G1,G2両方の検知性能が向上する。
【0150】
また、水平方向優先送信アンテナ基板570の渦巻572の水平方向両端部の配線は、垂直方向に対して斜めに配線された斜め配線部574〜斜め配線部576が形成されている。同様に、垂直方向優先送信アンテナ基板550の渦巻線の552の垂直方向両端部の配線は、水平方向に対して斜めに配線された斜め配線部554〜斜め配線部556が形成されている。
このように、優先的に検知する方向に沿った配線方向に対して斜め方向の配線を行うことにより磁界ベクトルが優先方向に残存する。よって、優先的に検知する方向を長手方向とする磁性体Gを磁界反転させ急激な磁界変化を発生させる磁界発生性能が向上し、その結果、検知性能が向上する。
【0151】
ここで、前述したように、本実施形態では、水平方向優先送信アンテナ基板570の渦巻線572と、垂直方向優先送信アンテナ基板550の渦巻線552と、に流れる交流の位相が同位相と逆位相とに交互に切り替わるよう設定されている。
【0152】
例えば、図29に示すように、水平方向優先送信アンテナ基板570と垂直方向優先送信アンテナ基板550とに、2波長毎に同送駆動(同位相)と逆相駆動(逆位相)に駆動させている。このように位相が交互に切り代わるようにすると、発生する磁界ベクトルが大きくなり、この結果、磁界発生性能が向上する。つまり、磁性体Gの検知性能が向上する。
【0153】
このことを説明する図が、図30の説明図である。
円97及び円98は、同相駆動(同位相)の場合を示し、円97か円98のいずれか一方の検知範囲を利用して検知する。
これに対して、領域99は逆相駆動(逆位相)を数波長毎にいれる場合を示し、円97と円98との両方のベクトル和となる検知範囲(領域99)を利用して検知する。
更に、このように交互に位相が入れ替わることによって、発生する磁界ベクトルは最大1.4倍のスカラー量が得られる。なお、磁界ベクトルの最小部分は1.0倍、つまり位相を入れ替えない場合と同じである。
【0154】
なお、水平方向優先送信アンテナ基板570の渦巻線572と、垂直方向優先送信アンテナ基板550の渦巻線552と、に流れる交流の位相は、厳密に同位相及び逆位相でなくてもよい。上述した作用効果が得られる範囲であれば、多少位相がずれていてもよい。
【0155】
<その他>
上記実施形態では、カバー部20の原稿搬送部50の搬送経路Kに近接するように設けたが、走査部36に設けてもよい。この場合、第一検知アンテナ100、200原稿PAとの間に原稿台32が配置された構成となる。
なお、この場合、原稿搬送部50を搬送される原稿PAと、原稿台32の置かれた原稿PAと、の両方を、走査部36に設けた第一検知アンテナ100、200が検知する。
【0156】
また、上記実施形態では、一つの送信用の渦巻線に対して、一対の受信用の渦巻線が設けられた構成であったが、これに限定されない。一つの送信用の渦巻線に対して、一対の受信用の渦巻線が複数対設けられた構成であってもよい。例えば、図36に示すように、一つの送信用の渦巻線1500に対して、一対の受信用の渦巻線1602、1604と一対の受信用の渦巻線1612、1614と(の合計二対)が設けられた構成であってもよい。
【0157】
また、上記実施形態では、外側端間接続線127、内側端間接続線137、内側端間接続線216、内側端間接続線246、内側端間接続線742、外側端間接続線744は、各線長の中間点127M,137M、216M、246M、中間点740Mが抵抗値の等しい点であったが、これに限定されない。各接続線の線幅が異なる場合など、線長の中間点と抵抗値の等しい点とが一致しない場合は、渦巻線端から抵抗値が等しい点に接続する。
【0158】
また、上記実施形態では、第一検知アンテナ100、200に対して、原稿PAが移動していたが、これに限定されない。第一検知アンテナ100、200が原稿PAの上(又は下)を移動してもよい。或いは、第一検知アンテナ100、200と原稿PAとの両方が移動してもよい。
【0159】
また、上記実施形態では、第一検知アンテナ100、200、及び第二検知アンテナ500は、原稿PAに付与された磁性体Gを検知したが、これに限定されない。
【0160】
図31に示すように、第一検知アンテナ100、200、及び第二検知アンテナ500は、画像が形成される記録用紙PBに付与された磁性体Gを検知する目的で用いてもよい。
【0161】
例えば、図31に二点破線で示すように、記録用紙収容部16に収容された最上位の記録用紙PBに対向して第二検知アンテナ500を設け、記録用紙収容部16に収容された最上位の記録用紙PBの磁性体Gを検知するようにしてもよい。
【0162】
或いは、記録用紙PBの搬送経路に隣接して第一検知アンテナ100又は第一検知アンテナ200を設け、搬送される記録用紙PBの磁性体Gを検知するようにしてもよい。
【0163】
或いは、振分装置52の記録用紙PBの搬送経路に隣接して第一検知アンテナ100又は第一検知アンテナ200を設け、振分けられ搬送される記録用紙PBの磁性体Gを検知するようにしてもよい。
【0164】
或いは、振分装置52の記録用紙収容部PBが排出される排出部54、55、56に第二検知アンテナ500を設け、振分けられて排出された記録用紙PBの磁性体Gを検知するようにしてもよい。
【0165】
更に、画像形成装置以外の装置にも、本発明の実施形態に係る第一検知アンテナ100、200、及び第二検知アンテナ500を設けてもよい。
【0166】
例えば、図32に示す配送品搬送装置61に適用してもよい。すなわち、ベルトコンベア81によって運ばれる配送品62を包装する包装紙62Aに付与された磁性体Gを検知する目的で使用してもよい。
【0167】
なお、第一検知アンテナ100、200は、ベルトコンベア81を運ばれ移動されている状態の配送品62の包装する包装紙62Aに付与された磁性体Gを検知する。
第二検知アンテナ500は対向する位置に配送品62が運ばれると、一旦、ベルトコンベア81を止め静止した状態の配送品62の包装する包装紙62Aに付与された磁性体Gを検知する。
【0168】
また、上記実施形態では、第一検知アンテナ100、200、及び第二検知アンテナ500では、送信アンテナ基板と受信アンテナ基板は積層され、一体化されていたが、これに限定されない。
【0169】
例えば、図33に示す第一検知アンテナ1100のように、受信用アンテナ基板1120と送信用アンテナ基板1110とが間隔をあけて対向して配置された構成であってもよい。このような構成の場合、図33に示すように、受信用アンテナ基板1120と送信用アンテナ基板1110との間を通過する原稿PA又は記録用紙PBなどの被検知物に付与された磁性体Gを検知するようにしてもよい。
【0170】
或いは、例えば、図34に示す第二検知アンテナ1200のように、受信用アンテナ基板1220と送信用アンテナ基板1210とが間隔をあけて対向して配置された構成であってもよい。このような構成の場合、図34に示すように、受信用アンテナ基板1220と送信用アンテナ基板1210と間に配置され静止した状態の原稿PA又は記録用紙PBなどの被検知物に付与された磁性体Gを検知するようにしてもよい。
【0171】
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0172】
10 画像形成装置
12 画像読取装置部(画像読取装置の一例)
14 装置本体(搬送装置の一例)
20 カバー部(搬送装置の一例)
30 読取部(読取手段の一例)
32 原稿台(用紙台の一例)
50 原稿搬送部(搬送手段の一例)
52 振分装置(搬送装置の一例)
62A 包装紙(被検知物の一例)
100 第一検知アンテナ(検知部材の一例)
110 受信アンテナ基板(受信基板の一例)
120 渦巻線(受信用の渦巻線の一例)
120S 外側端
120E 内側端
126 配線(外側端用の配線の一例)
127 外側端間接続線(外側端間用の接続線の一例)
130 渦巻線(受信用の渦巻線の一例)
130S 外側端
130E 内側端
136 配線(内側端用の配線の一例)
137 内側端間接続線(内側端間用の接続線の一例)
140 送信アンテナ基板(送信基板の一例)
142 渦巻線(交差方向用の渦巻線の一例)
142A 水平方向配線部(水平方向用の配線部の一例)
161 渦巻線(移動方向用の渦巻線の一例)
161A 垂直方向配線部(垂直方向用の配線部の一例)
162A 垂直方向配線部(垂直方向用の配線部の一例)
163A 垂直方向配線部(垂直方向用の配線部の一例)
164A 垂直方向配線部(垂直方向用の配線部の一例)
165A 垂直方向配線部(垂直方向用の配線部の一例)
162 渦巻線(移動方向用の渦巻線の一例)
163 渦巻線(移動方向用の渦巻線の一例)
164 渦巻線(移動方向用の渦巻線の一例)
165 渦巻線(移動方向用の渦巻線の一例)
200 第一検知アンテナ(検知部材の一例)
205 接続点(外側端用の接続点の一例)
207 接続点(外側端用の接続点の一例)
210 受信アンテナ基板(受信基板の一例)
216 内側端間接続線(内側端間用の接続線の一例)
217 配線(外側端用の配線と内側端用の配線の一例)
220 渦巻線(受信用の渦巻線の一例)
220S 外側端
220E 内側端
230 渦巻線(受信用の渦巻線の一例)
230S 外側端
230E 内側端
240 渦巻線(受信用の渦巻線の一例)
240S 外側端
240E 内側端
246 内側端間接続線(内側端間用の接続線の一例)
247 配線(内側端用の配線の一例)
250 渦巻線(受信用の渦巻線の一例)
250S 外側端
250E 内側端
260 送信アンテナ基板(送信基板の一例)
262 渦巻線(送信用の渦巻線の一例)
270 渦巻線(送信用の渦巻線の一例)
511 接続点(外側端用の接続点の一例)
512 渦巻線(受信用の渦巻線の一例)
512S 外側端
512E 内側端
520 渦巻線(受信用の渦巻線の一例)
520S 外側端
520E 内側端
531 渦巻線(受信用の渦巻線の一例)
531S 外側端
531E 内側端
535 接続点(外側端用の接続点の一例)
540 渦巻線(受信用の渦巻線の一例)
540S 外側端
540E 内側端
552 渦巻線(送信用の渦巻線の一例及び第一方向用の渦巻線の一例)
552A 垂直方向配線部(垂直方向用の配線部の一例)
554 斜め配線部(第一斜め配線部の一例)
555 斜め配線部(第一斜め配線部の一例)
556 斜め配線部(第一斜め配線部の一例)
560 送信アンテナ基板(送信基板の一例)
572 渦巻線(送信用の渦巻線の一例及び第二方向用の渦巻線の一例)
572A 水平方向配線部(水平方向用の配線部の一例)
574 斜め配線部(第二斜め配線部の一例)
575 斜め配線部(第二斜め配線部の一例)
576 斜め配線部(第二斜め配線部の一例)
742 内側端間接続線(内側端間用の接続線の一例)
744 内側端間接続線(内側端間用の接続線の一例)
PA 記録用紙(用紙の一例)
PB 原稿(用紙の一例)
G 磁性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検知物中の磁性体を磁化反転させる磁界を発生する送信用の渦巻線が、一つ又は複数形成された送信基板と、
前記送信用の渦巻線に対向して配置され前記磁界を受信する互いに逆巻きに巻かれた受信用の渦巻線の対が、前記送信用の渦巻線毎に一対又は複数対形成され、前記送信基板に積層又は前記送信基板と隙間をあけて対向して配置された受信基板と、
対をなす前記受信用の渦巻線の外側端同士が接続された外側端用の接続点、前記外側端同士を電気的に接続した外側端間用の接続線の線長の中間点、又は前記外側端間用の接続線の各前記外側端からの抵抗値が等しい点に、電気的に接続された外側端用の配線と、
対をなす前記受信用の渦巻線の内側端同士を電気的に接続した内側端間用の接続線の線長の中間点、又は前記内側端間用の接続線の各前記内側端からの抵抗値が等しい点に、電気的に接続された内側端用の配線と、
を備える検知部材。
【請求項2】
前記送信基板及び前記受信基板の対向方向外側を、前記送信基板及び前記受信基板と前記被検知部物とが相対移動し、
前記送信基板は、前記被検知物と相対移動されている状態で前記被検知物の前記磁性体を磁化反転させる磁界を発生し、
前記受信基板は、前記被検知物と相対移動されている状態で前記磁界を受信する、
請求項1に記載の検知部材。
【請求項3】
前記送信基板に形成された前記送信用の渦巻線は、
前記相対移動方向に沿って配線された相対移動方向用の配線部の長さが、他の方向に沿って配線された配線部の長さよりも長くなるように形成された相対移動方向用の渦巻線と、
前記相対移動方向と交差する交差方向に沿って配線された交差方向用の配線部の長さが他の方向に沿って配線された配線部の長さよりも長い交差方向用の渦巻線と、
を有し、
前記送信基板には、前記相対移動方向用の渦巻線と前記交差方向用の渦巻線とが積層されている、
請求項2に記載の検知部材。
【請求項4】
前記移動方向用の渦巻線は、前記相対移動方向と交差する方向に沿って複数並んで形成された渦巻線で構成されると共に、複数の前記渦巻線は電気的に直列に接続されている請求項3に記載の検知部材。
【請求項5】
前記送信用の渦巻線における前記相対移動方向用の渦巻線の前記他の方向に沿って配線された配線部の少なくとも一部は前記送信基板の両面に配線されると共に、前記他の方向に沿って配線された配線部の配線方向と直交する幅は前記相対移動方向用の配線部の配線方向と直交する幅よりも幅狭に形成されている請求項3又は請求項4に記載の検知部材。
【請求項6】
前記送信基板には、線対称形状の前記送信用の渦巻線が複数並んで形成されている請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の検知部材。
【請求項7】
前記送信基板及び前記受信基板の対向方向外側に前記被検知物が配置され、
前記送信基板は、静止した状態の前記被検知物の前記磁性体を磁化反転させる磁界を発生し、
前記受信基板は、静止した状態の前記被検知物の前記磁界を受信する、
請求項1に記載の検知部材。
【請求項8】
前記送信基板に形成された前記送信用の渦巻線は、
第一方向に沿って配線された第一方向用の配線部の長さが他の方向に沿って配線された配線部の長さよりも長く形成された第一方向用の渦巻線と、
前記第一方向と交差する第二方向に沿って配線された第二方向用の配線部の長さが他の方向に沿って配線された配線部の長さよりも長く形成された第二方向用の渦巻線と、
を有し、
前記送信基板には、前記第一方向用の渦巻線と前記第二方向用の渦巻線とが積層されている、
請求項7に記載の検知部材。
【請求項9】
前記第一方向用の渦巻線に給電する第一給電部と、
前記第二方向用の渦巻線に給電する第二給電部と、
を備える請求項8に記載の検知部材。
【請求項10】
前記第一方向用の渦巻線に流れる交流の位相と前記第二方向用の渦巻線に流れる交流の位相とが、同位相と逆位相とに交互に切り替わるように、前記第一給電部と前記第二給電部とに給電する請求項9に記載の検知部材。
【請求項11】
前記第一方向用の渦巻線の前記他の方向に沿って配線された配線部の少なくとも一部には、第一方向と直交する方向に対して斜めに配線された第一斜め配線部が形成され、
前記第二方向用の渦巻線の前記他の方向に沿って配線された配線部の少なくとも一部には、第二方向と直交する方向に対して斜めに配線された第二斜め配線部が形成されている、
請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載の検知部材。
【請求項12】
前記第一斜め配線部は前記第一方向用の渦巻線の周縁部に形成され、
前記第二斜め配線部は前記第二方向用の渦巻線の周縁部に形成されている、
請求項11に記載の検知部材。
【請求項13】
前記被検知物が前記磁性体を有する用紙とされ、
前記用紙を前記相対移動方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって前記相対移動方向に搬送される前記用紙の前記磁性体を磁化反転させる磁界を発生する共に前記磁界を受信する請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載の検知部材と、
を備える搬送装置。
【請求項14】
前記被検知物が前記磁性体を有する用紙とされ、
前記用紙が置かれる用紙台と、
前記用紙台に置かれた前記用紙の画像を読み取る読取手段と、
前記用紙台に置かれた前記用紙の前記磁性体を磁化反転させる磁界を発生する共に前記磁界を受信する請求項7〜請求項12のいずれか1項に記載の検知部材と、
を備える画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2011−64581(P2011−64581A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215671(P2009−215671)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】