説明

樹木保護装置

【課題】植栽される樹木の根元部分を保護することができるとともに、その樹木の周辺の景観などの環境を良好に整えることができ、かつ必要に応じて種々のバリエーションでその環境を変えることが可能な樹木保護装置を提供する。
【解決手段】土壌に植栽された樹木1の根元の幹部分を囲むようにその土壌の上に設置される受枠3を備え、この受枠3の内側にそれぞれ樹木1の周辺の環境を整えるための複数の蓋ユニット14a〜14cが脱着可能にかつ平面的に並ぶように収容される。蓋ユニット14a〜14cとしては、外観が異なる複数種のものが用意され、その複数種のものから選択された一種または複数種の蓋ユニット14a〜14cが受枠3の内側に収容される。例えば蓋ユニット14aは、基台の上に化粧タイルや化粧ブロックなどの舗装材18を取り付けて成るユニット構造に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、街路や公園内の歩道、あるいはビル周辺の敷地などに植栽される樹木の根元部分を保護する樹木保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、街路や公園内の歩道、あるいはビル周辺の敷地などに樹木を植栽した際には、例えば特開平7−123873号公報や特開2002−305993号公報などに見られるように、樹木の根元の幹部分を囲むように保護装置を設置して樹木を保護することが行なわれている。
【特許文献1】特開平7−123873号公報
【特許文献2】特開2002−305993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のこの種の保護装置は、円形や四角形の単なる平板の格子状に形成され、樹木の根元部分を覆って樹木を保護する機能しかなく、景観的に殺風景な感じがある。
【0004】
近年、街路の歩道には、彩色された化粧タイルや化粧ブロックなどの舗装材を縦横に敷き込んで美装化することが多くなってきているが、このような美装歩道に樹木を植栽した際に、その樹木の根元部分に殺風景な保護装置を設置したのでは、歩道の美装化にマッチせず、その保護装置が周辺の景観を低下させてしまう恐れがある。
【0005】
したがって、このような美装歩道に植栽される樹木の根元部分を覆う保護装置としては、その美装歩道の舗装材とマッチする景観や花壇風の景観、さらにはその景観を種々のバリエーションに変えることができるような機能をもつことが好ましい。
【0006】
また、イベントが開催される歩道などにあっては、その歩道沿いの樹木をライトアップするような場合があるが、このような場合、従来ではその樹木の根元部分にライトアップ用の機器をその都度設置してライトアップするのが普通となっている。この場合、樹木の保護装置がライトアップ機能を有すれば、個々にライトアップ機器を設置するような面倒な手間や煩わしい作業を省くことができることになる。
【0007】
この発明はこのような点に着眼してなされたもので、その目的とするところは、植栽される樹木の根元部分を保護することができるとともに、その樹木の周辺の景観などの環境を良好に整えることができ、かつ必要に応じて種々のバリエーションでその環境を変えることが可能な樹木保護装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、土壌に植栽された樹木の根元の幹部分を囲むようにその土壌の上に設置される受枠を備え、この受枠の内側が桟材により複数の収容部に区画され、その収容部にそれぞれ樹木の周辺の環境を整えるための複数の蓋ユニットが脱着可能にかつ平面的に並ぶように収容されることを特徴としている。
【0009】
すなわち、土壌に植栽された樹木の根元の幹部分を囲むことが可能な枠状で、内側が桟材により複数の収容部に区画された受枠と、この受枠の各収容部に脱着可能にかつ平面的に並ぶように収容することが可能な、樹木の周辺の環境を整えるための複数の蓋ユニットとを具備し、土壌に植栽された樹木の根元の幹部分を囲むようにその土壌及び樹木の根鉢の上に前記受枠を設置し、この受枠の内側の各収容部に前記蓋ユニットを脱着可能にかつ平面的に並ぶように収容して前記樹木の根元部分を覆うことを特徴としている。そして、前記受枠の外側周囲に、歩道面となる舗装材を敷き込めることが可能である。
【0010】
前記蓋ユニットとしては複数種のものが用意され、その複数種のものから選択された一種または複数種の蓋ユニットが前記受枠の内側に平面的に並ぶように収容される。
【0011】
複数種の蓋ユニットのうちの少なくとも一種の蓋ユニットは、基台の上に化粧タイルや化粧ブロックなどの舗装材を取り付けて成るユニット構造に構成されている。
【0012】
また、数種の蓋ユニットのうちの少なくとも一種の蓋ユニットは、ケース内に園芸土を収容し、その園芸土の表層部に芝や草花などの園芸植物を植え込んで成るユニット構造に構成されている。
【0013】
さらに、複数種の蓋ユニットのうちの少なくとも一種の蓋ユニットは、基台の上に化粧タイルや化粧ブロックなどの舗装材を取り付け、基台の下側にはライトアップ用の投光器を取り付け、前記舗装材には開口を形成し、この開口を通して前記投光器の投光部を前記舗装材の表面部に露出させて成るユニット構造に構成されている。
【0014】
そして、前記複数の収容部の幾つかは、前記受枠の設置場所の維持管理に必要な各種設備機器を集約して収容するための基地スペースとして用いることが可能としてある。
【発明の効果】
【0015】
このような樹木保護装置においては、植栽される樹木の根元部分を、受枠の内側に収容する蓋ユニットで覆って保護することができるとともに、その樹木の周辺の景観などの環境をその蓋ユニットにより良好に整えることができる。そして、ユーザの好みや設置場所の使用用途に応じて受枠の内側に収容する蓋ユニットを外観の異なる他の蓋ユニットと交換することで種々のバリエーションで環境を変えることができる。また、歩道に設置した場合にはその歩道の幅員の確保にも役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1には、例えば美装歩道の土壌に植栽された樹木1を示してあり、この樹木1はその根鉢1aが歩道の土壌中に埋め込まれ、この樹木1の根元の幹部分を囲むように歩道の土壌の上に保護装置2が設置されている。
【0018】
保護装置2は、樹木1を囲む四角形の受枠3を備えており、この受枠3の構造を図2および図3に示してある。図2は受枠3の全体の平面図で、図3は図2中のA−A線に沿う断面図である。
【0019】
この受枠3は一定の高さを有する断面L状のアングル材で構成されている。すなわち、垂直に伸びる一定の高さの周壁部3aと、この周壁部3aの下端からその内側に水平に延びる受部3bとを有する断面L状をなしている。そしてこの受枠3の下端部にアンカー材4が取り付けられ、このアンカー材4が図1および図3に示すように土壌中の基礎5の上にアンカーボルト6を介して締結固定され、これにより受枠3が水平に支持されている。
【0020】
受枠3の内側には、図2に示すように複数の桟材8a,8b,9a,9bが架設されている。一対の桟材8a,8bは互いに平行に並ぶように、受枠3の一側部の受部3bと他側部の受部3bとの間に架設され、残りの一対の桟材9a,9bは前記一対の桟材8a,8b間に平行に並んで架設されている。そして前記桟材8a,8b,9a,9bとで囲まれる中央の升目が樹木1の幹が通る開口部11となっている。
【0021】
なお、各桟材8a,8b,9a,9bは分解可能となっている。受枠3は樹木1が歩道の土壌に植栽される前にその土壌の上に設置され、その植栽後に各桟材8a,8b,9a,9bが樹木1の幹を囲むように受枠3の内側に組み付けられる。
【0022】
受枠3と桟材8a,8bとで囲まれた各区画、および受枠3と桟材8a,8b,9a,9bとで囲まれた各区画はそれぞれ収容部12a,12b,12c,12dとなっており、これら収容部12a,12b,12c,12dに図1および図4に示すように複数種の蓋ユニット14a,14b,14cが平面的に並ぶように収容されている。
【0023】
図5および図6には第1の蓋ユニット14aの構造例を示してあり、この第1の蓋ユニット14aは、複数の脚16を有する基台17の上に化粧タイルや化粧ブロックなどの舗装材18を取り付けて成る。そして基台17の周縁には、舗装材18の周囲を囲むように目地材19が取り付けられている。
【0024】
なお、舗装材18はモルタルを介して基台17の上に固定されている。また、基台17の上に設ける舗装材18は、面積の比較的大きい単一のものであっても、複数の舗装材を敷き並べる形態の場合であってもよい。
【0025】
図7および図8には第2の蓋ユニット14bの構造例を示してあり、この第2の蓋ユニット14bにおいては、上面が開口する箱形状のケース22を備え、このケース22内に園芸土が収容され、この園芸土の表層部に芝や草花などの園芸植物23が植え付けられている。そしてケース22の側面には均等的に複数の水抜き孔24が形成され、またケース22の下面の一側部にライナー25が取り付けられている。
【0026】
図9および図10には第3の蓋ユニット14cの構造例を示してあり、この第3の蓋ユニット14cにおいては、第1の蓋ユニット14aの場合と同様に、脚16を有する基台17の上に舗装材18が取り付けられているが、この舗装材18の中央部に円形の開口28が形成されている。そして基台17の中央部にライトアップ用の投光器29が取り付けられ、この投光器29の投光部29aが舗装材18の前記開口28内に挿入され、その投光面が舗装材18の表面と面一と成るようにその表面側に露出している。なお、投光器29には電源コード30が接続され、またこの投光器29の舗装材18と面一の透光面は硬質ガラスなどで構成されている。
【0027】
そしてこのような各種の蓋ユニット14a,14b,14cは、植栽された樹木1の周辺の環境を整える目的で、図1および図4に示すように、適宜受枠3の内側の各収容部12a〜12dに縦横に並ぶように収容される。
【0028】
本実施形態においては、収容部12a,12bに、それぞれ第1の蓋ユニット14aと第2の蓋ユニット14bとが交互に収容され、収容部12c,12dにそれぞれ第3の蓋ユニット14cが収容されている。
【0029】
図11には、収容部12aの端部に収容された第1の蓋ユニット14aの収容状態を示してあり、蓋ユニット14aの基台17は受枠3の内側に挿入され、脚16が受枠3の受部3bと桟材8aの上とにそれぞれゴムクッション32を介して突き当てられ、これにより舗装材18の上面が受枠3の上端縁と面一と成るように水平に支持されている。
【0030】
受枠3と蓋ユニット14aの目地材19との間には僅かな隙間が確保され、この隙間を通して降雨時における雨水が蓋ユニット14aの下方側に流れ込んで歩道の土壌中に浸透する。なお、受枠3の外側には、歩道面と成る舗装材33が敷き込められ、また受枠3の内側の樹木1が通る開口部11内には玉砂利34が敷き詰められている。受枠3の内側の他の部分に収容された第1の蓋ユニット14aも同様の構造で受枠3の受部3bと桟材8bの上に支持されている。
【0031】
図12には、収容部12aの中間部に収容された第2の蓋ユニット14bの収容状態を示してあり、蓋ユニット14bのケース22は受枠3の内側に挿入され、このケース22の下面の一側部はライナー25およびゴムクッション32を介して受枠3の受部3bに突き当てられ、他側部は桟材8aの上にゴムクッション32を介して突き当てられ、これによりケース22の上面が受枠3の上端縁と面一と成るように水平に支持されている。
【0032】
降雨時の雨水は受枠3とケース22との間の隙間を通して蓋ユニット14bの下方側に流れ込んで歩道の土壌中に浸透する。また、ケース22内の園芸土にも雨水が浸透する。そして園芸土に浸透した余剰の雨水は水抜き孔24から流出し、歩道の土壌中に浸透する。なお、受枠3の内側の他の部分に収容された第2の蓋ユニット14bも同様の構造で受枠3の受部3bと桟材8bの上に支持されている。
【0033】
収容部12c,12dに収容された第3の蓋ユニット14cは、図示しないが第1の蓋ユニット14aの場合と同様に、基台17が受枠3の内側に挿入され、脚16が受枠3の受部3bと桟材9a,9bの上とにそれぞれゴムクッションを介して突き当てられ、これにより舗装材18の上面が受枠3の上端縁と面一と成るように水平に支持されている。
【0034】
この第3の蓋ユニット14cは投光器29を備えており、したがってその投光器29の電源コード30を受枠3の内側で引き回して所定の電源部に接続する必要がある。このため、受枠3の下端部に取り付けられたアンカー材4の側面および受枠3の内側に架設された桟材8a,8b,9a,9bの側面には、図11および図12に示すようにその電源コード30を通して引き回すための開口36,37が形成されている。
【0035】
このように、各種の蓋ユニット14a,14b,14cを受枠3の内側に収容することにより、樹木1の幹の周辺の環境を美装歩道とマッチするように、また趣のある雰囲気に整えることができ、特に夜間に第3の蓋ユニット14cの投光器29を点灯することにより樹木1をライトアップしてより独特で幻想的な環境に整えることができる。
【0036】
各蓋ユニット14a,14b,14cは受枠3の内側に脱着可能に収容されており、したがって各蓋ユニット14a,14b,14cを適宜交換してその配置の位置を変更することが可能である。
【0037】
また、例えば樹木1の根元部分の上の全体を舗装材で美装したいような場合には、受枠3の内側の全体に、舗装材18を備える第1の蓋ユニット14aを縦横に並べて収容することにより対応することができる。また、樹木1の根元部分の上の全体を園芸植物で花壇風に美装したいような場合には、受枠3の内側の全体に、園芸植物23を備える第2の蓋ユニット14bを縦横に並べて収容することにより対応することができる。さらにはイベントなどの開催により歩道の樹木1をより明るくライトアップしたいような場合には、受枠3の内側の全体に、投光器29を備える第3の蓋ユニット14cを縦横に並べて収容してその各投光器29を点灯させることにより対応することができる。
【0038】
このように、受枠3の内側には蓋ユニット14a,14b,14cのうちの一種あるいは複数種を収容して樹木1の周辺の環境を整えることができる。そして受枠3の内側に収容する蓋ユニット14a,14b,14cの組み合わせや配列のバリエーションを選ぶことにより樹木1の周辺環境を必要に応じた種々の環境に整えることができる。
【0039】
ところで、舗装材18を備える第1および第3の蓋ユニット14a,14cにあっては、その舗装材18の表面に道路案内や地区案内などの標識を施すことも可能で、これにより歩行者に対する便宜を高めることができる。
【0040】
受枠3の内側に収容する蓋ユニットとしては、上記の構造のものに限らず、例えば図13および図14に示すような第4の蓋ユニット14dを用いることも可能である。この第4の蓋ユニット14dは、第1の蓋ユニット14aの場合と同様に、基台17の上に舗装材18が取り付けられているが、この舗装材18の周囲に目地材が露出しない形態となっている。そして、この第4の蓋ユニット14dを他の蓋ユニット14a,14b,14cと適宜交換して受枠3の内側に収容することが可能となっている。
【0041】
図15および図16にはさらに構造の異なる第5の蓋ユニット14eの例を示してあり、この蓋ユニット14eにおいては、収納ケース40を備え、この収納ケース40の上面の開口部に基板41が取り付けられ、この基板41の上に舗装材42およびこの舗装材42を囲む側板43が取り付けられている。収納ケース40は周縁にフランジ45を有し、このフランジ45の上に基板41が取り付けられ、またこのフランジ45の下面に均等的に複数の脚46が取り付けられている。
【0042】
基板41の一部には開口47が形成され、前記舗装材42には前記開口47に対応する部分に切欠部49が形成され、この切欠部49内に蓋体50が脱着可能に設けられ、この蓋体50により前記開口47が閉塞されている。
【0043】
蓋体50は、蓋ケース51内に前記舗装材42と面一と成るようにその舗装材42と同質の小型の舗装材42aを充填して成る。前記側板43の内面には切欠部49に対応する部分にブラケット53が取り付けられ、前記蓋ケース51にはそのブラケット53の上に重なる折曲片51aが一体に形成され、この折曲片51aからブラケット53に渡って複数の止めねじ54が螺挿され、これら止めねじ54により蓋体50が切欠部49内に固定されている。また、収納ケース40の側面にはガイドパイプ55が取り付けられている。
【0044】
この蓋ユニット14eは、図15に示すように受枠3の内側の適宜な位置に収容して使用する。この蓋ユニット14eの場合には、収納ケース40内に予め例えば潅水用の散水器を収納しておく。そして、必要に応じて、蓋体50の止めねじ54を外し、蓋体50を切欠部49から取り外して開口47を開き、収納ケース40内の散水器の散水ホースをその開口47を通して引き出し、樹木の周辺に散水する。
【0045】
この場合、収納ケース40内の散水器が備える配水管や電気配線は、収納ケース40の側面のガイドパイプ55を通して外部に導出するとともに、受枠3のアンカー材4の側面に形成されている開口36を通して引き回し、所定の水源部や電源部に接続する。なお、収納ケース40内には散水器に代えて、非常消火用の消火器などを収納することも可能である。
【0046】
図17には、受枠3の変形例を示してあり、この受枠3はその形状が前記の受枠よりも大型となっていて、その内側に複数の桟材8a,9a,10aが架設され、その桟材9a,10aとで囲まれる升目が樹木の幹が通る開口部11となっている。そして、このような大型の受枠3の内側に前述の第1〜第5の蓋ユニット14a〜14eのうちから選択した蓋ユニット、あるいはその各蓋ユニットを収容して並べる。図18には前記受枠3の内側に蓋ユニット14a〜14cを収容して並べた一例を示してある。
また、この大型の受枠3の場合においては、受枠3の内側の横長の領域部分に必要に応じて例えば簡易形のベンチを組み付けるようなことも可能である。
【0047】
さらに、前記各収容部12a〜12dの幾つかは、樹木保護装置の設置場所の維持管理に必要な各種設備機器、すなわち衛生設備(潅水設備、散水設備)、電気設備(電気用ハンドホール桝、電源コンセント類)、その他の資材等を集約して収容する基地スペースとして利用することも可能である。
【0048】
図19には、変形例としての蓋ユニット14を示してあり、この蓋ユニット14においては脚16を有する基台17の上に複数の蓋体60を設けて成り、その複数の蓋体60は基台17の上面のほぼ全体を覆うように配置されている。そして基台17には蓋体60に対応する位置に開口61が形成されている。蓋体60は、蓋ケース63内に例えば舗装材64を充填し、モルタルで固定して成る。
【0049】
蓋ケース63の一側縁はヒンジ機構66を介して基台17に連結されている。ヒンジ機構66は、図20に示すように、基台17に取り付けられた逆U字状の支持部材67と、蓋ケース63に取り付けられたU字状の係合部材68とで構成されている。支持部材67の水平軸部67aの下面には突起69が取り付けられ、また係合部材68の上下の中間部には水平軸70が取り付けられている。
【0050】
蓋体60が基台17の上に水平に配置されているときには、蓋ケース63の縁部のフランジ部63aが支持部材67の水平軸部67aの上に乗り、係合部材68が支持部材67と平行に並んで下方に垂直に延びる状態にある。この状態からヒンジ機構66の反対側において蓋体60を上方に引き上げると、図21に示すように蓋体60が支持部材67の水平軸部67aとの接触部を支点にして上方に回動し、この回動で基台17の開口61が開放される。そして蓋体60が回動したときには、係合部材68の水平軸70が突起69の外側から内側に移動し、この移動で蓋体60と支持部材67との離脱が防止される。蓋体60を反対方向に回動すれば基台17の開口61を閉じることができる。
【0051】
蓋体60にはヒンジ機構66の反端側の端部においてはねじ軸72が取り付けられている。73はT字状のハンドルで、このハンドル73の端部に前記ねじ軸72のねじ孔72aにねじ込みが可能なねじ部73aが設けられている。
【0052】
蓋体60を開閉するときには、前記ねじ軸72のねじ孔72にハンドル73のねじ部73aをねじ込んでハンドル73を蓋体60に取り付ける。そしてこのハンドル73を握って蓋体60を開閉する。これにより蓋体60の開閉作業を容易に能率よく行なうことができる。なお、蓋体60の開閉操作後にはねじ軸72からハンドル73を取り外す。そして、ねじ軸72のねじ孔72aにキャップねじ74をねじ込んでそのねじ孔72aを閉じる。
【0053】
この変形例としての蓋ユニット14は、受枠3の内側の適宜な例えば収容部12aに収容する。そしてこの場合、蓋ユニット14の下方部に散水栓や上水・潅水用のバルブを配設し、その散水栓やバルブにホースをつなぐとき、あるいは点検をするときなどに、蓋ユニット14の蓋体60を開いてその作業を行なう。
【0054】
なお、前記蓋体60の蓋ケース63内には舗装材64を充填する場合のほか、園芸土を収容して芝や草花などの園芸植物を植え込むような場合であってもよい。
【0055】
また、この発明の樹木保護装置は、歩道に植栽される樹木に対して設ける場合に限らず、例えば公園内の敷地に植栽される樹木やビルの周辺の敷地に植栽される樹木などを対象として設置するような場合であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明の一実施形態に係る樹木保護装置の設置状態を示す断面図。
【図2】樹木保護装置の受枠を示す平面図。
【図3】図2中のA−A線に沿う断面図。
【図4】受枠の内側に蓋ユニットを収容して並べた状態を示す平面図。
【図5】受枠の内側に収容する第1の蓋ユニットの構造を示す断面図。
【図6】第1の蓋ユニットの平面図。
【図7】受枠の内側に収容する第2の蓋ユニットの構造を示す断面図。
【図8】第2の蓋ユニットの平面図。
【図9】受枠の内側に収容する第3の蓋ユニットの構造を示す断面図。
【図10】第3の蓋ユニットの平面図。
【図11】受枠に対する第1の蓋ユニットの収容状態を示す断面図。
【図12】受枠に対する第2の蓋ユニットの収容状態を示す断面図。
【図13】受枠の内側に収容する第4の蓋ユニットの構造を示す断面図。
【図14】第4の蓋ユニットの平面図。
【図15】受枠の内側に収容する第5の蓋ユニットの構造を示す断面図。
【図16】第5の蓋ユニットの平面図。
【図17】受枠の変形例を示す平面図。
【図18】変形例の受枠の内側に蓋ユニットを収容して並べた状態を示す平面図。
【図19】蓋ユニットの変形例を示す断面図。
【図20】変形例の蓋ユニットのヒンジ機構を示す正面図。
【図21】変形例の蓋ユニットの蓋体を開いた状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0057】
1…樹木
2…保護装置
3…受枠
3a…周壁部
3b…受部
8a.8b…桟材
9a.9b…桟材
12a〜12d…収容部
14a〜14e…第1〜第5の蓋ユニット
16…脚
17…基台
18…舗装材
19…目地材
22…ケース
23…園芸植物
28…開口
29…投光器
29a…投光部
30…電源コード
33…舗装材
34…玉砂利
36.37…開口
40…収納ケース
41…基板
42…舗装材
42a…舗装材
43…側板
46…脚
47…開口
49…切欠部
50…蓋体
51…蓋ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌に植栽された樹木の根元の幹部分を囲むようにその土壌及び樹木の根鉢の上に設置される受枠を備え、この受枠の内側が桟材により複数の収容部に区画され、その収容部にそれぞれ樹木の周辺の環境を整えるための複数の蓋ユニットが脱着可能にかつ平面的に並ぶように収容されることを特徴とする樹木保護装置。
【請求項2】
土壌に植栽された樹木の根元の幹部分を囲むことが可能な枠状で、内側が桟材により複数の収容部に区画された受枠と、この受枠の各収容部に脱着可能にかつ平面的に並ぶように収容することが可能な、樹木の周辺の環境を整えるための複数の蓋ユニットとを具備し、
土壌に植栽された樹木の根元の幹部分を囲むようにその土壌及び樹木の根鉢の上に前記受枠を設置し、この受枠の内側の各収容部に前記蓋ユニットを脱着可能にかつ平面的に並ぶように収容して前記樹木の根元部分を覆うことを特徴とする樹木保護装置。
【請求項3】
前記受枠の外側周囲には、歩道面となる舗装材が敷き込められることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹木保護装置。
【請求項4】
前記蓋ユニットとしては複数種のものが用意され、その複数種のものから選択された一種または複数種の蓋ユニットが前記受枠の内側に平面的に並ぶように収容されることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹木保護装置。
【請求項5】
複数種の蓋ユニットのうちの少なくとも一種の蓋ユニットは、基台の上に化粧タイルや化粧ブロックなどの舗装材を取り付けて成るユニット構造に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の樹木保護装置。
【請求項6】
複数種の蓋ユニットのうちの少なくとも一種の蓋ユニットは、ケース内に園芸土を収容し、その園芸土の表層部に芝や草花などの園芸植物を植え込んで成るユニット構造に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の樹木保護装置。
【請求項7】
複数種の蓋ユニットのうちの少なくとも一種の蓋ユニットは、基台の上に化粧タイルや化粧ブロックなどの舗装材を取り付け、基台の下側にはライトアップ用の投光器を取り付け、前記舗装材には開口を形成し、この開口を通して前記投光器の投光部を前記舗装材の表面部に露出させて成るユニット構造に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の樹木保護装置。
【請求項8】
前記複数の収容部の幾つかが、樹木保護装置の設置場所の維持管理に必要な各種設備機器を集約して収容するための基地スペースとして用いられることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の樹木保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−35810(P2008−35810A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216183(P2006−216183)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(301042686)株式会社三菱地所設計 (24)
【出願人】(000208651)第一機材株式会社 (18)
【Fターム(参考)】