説明

樹脂組成物のポリウレタンフォームに対する表面接着性を改良するための組成物及び方法

ポリウレタンフォームとの接着性を改良するための樹脂組成物が開示される。この樹脂組成物は、(a)約10〜約80重量%の1種以上のポリフェニレンエーテル樹脂と、(b)約20〜約70重量%の1種以上のポリオレフィンポリマーと、(c)約1〜約20重量%の1種以上のアミン化合物と、(d)0〜約4重量%の1種以上の接着促進剤とを含む(すべての百分率は組成物全体の重量に対するものである。)。好ましい実施形態では、樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル−ポリオレフィン共重合体、ポリスチレン−ポリオレフィン共重合体及びポリスチレン樹脂からなる群の1種以上をさらに含む。樹脂組成物とポリウレタンフォームの接着性を改良する方法も本明細書で開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォームに対する接着性の向上した新規樹脂組成物に関する。本発明は、樹脂組成物とポリウレタンフォームとの接着性を改良する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車内の計器パネル、トップカバー及びアームレストのような自動車の内装部品における金属代替品として熱可塑性樹脂が注目されている。こうした用途で、熱可塑性樹脂に求められる条件の一つは、カバーとして多用されるポリウレタンフォームとの接着性を有していなければならないことである。ポリフェニレンエーテルとポリオレフィン(ポリプロピレンなど)を主成分として含む樹脂組成物が知られており、その優れた耐薬品性、高い衝撃強さ、比較的低コストであること、良好な寸法安定性のため、上述の自動車用途に特に魅力的である。
【0003】
Del Giudice他の米国特許第4713416号には、(a)ポリフェニレンエーテル、(b)ポリフェニレンエーテルとは非相溶性の熱可塑性ポリマー及び(c)ポリフェニレンエーテル(a)と相溶性のビニル芳香族単量体単位からなる1以上のブロックと熱可塑性ポリマー(b)と同種又は相溶性の単量体単位からなる1以上のブロックとを含む高分子相溶性促進剤を含む組成物が記載されている。
【0004】
Yamauchi他の米国特許第4764559号には、(a)低重合度のポリフェニレンエーテル又は該ポリフェニレンエーテルとスチレン樹脂との混合物、(b)ポリオレフィン及び(c)スチレン化合物/共役ジエンブロック共重合体又はその水素化物を含む組成物が記載されている。
【0005】
Shibuya他の米国特許第4863997号には、(a)ポリオレフィン樹脂、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂及び(c)アルケニル芳香族化合物から誘導される繰返し単位を45〜80重量%含有するアルケニル芳香族化合物と共役ジエンの水素化ブロック共重合体を含む組成物が記載されている。
【0006】
Shiraki他の米国特許第4994508号には、(a)主にビニル芳香族化合物からなる1以上のポリマーブロックと主に共役ジエン化合物からなる1以上のポリマーブロックとを有する特定の水素化ブロック共重合体1〜99重量部及び(b)粘着付与剤樹脂、熱可塑性樹脂及び瀝青物質からなる群から選択される1種以上の熱可塑性材料99〜1重量部を含む組成物が記載されている。熱可塑性樹脂としては、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフェニレンエーテルが挙げられている。
【0007】
Furuta他の米国特許第5071912号には、(a)ポリフェニレンエーテル、(b)スチレン変性プロピレンポリマー又はスチレン変性プロピレンポリマーとポリプロピレンとを含む組成物及び(c)(a)と相溶性のゴム状材料と(a)と非相溶性のゴム状材料との2種以上のゴム状材料を含む組成物が記載されている。
【0008】
Maruyama他の米国特許第5081187号には、特定量の(a)ポリオレフィン、(b)ポリフェニレンエーテル、(c)部分水素化アルケニル芳香族化合物−イソプレンブロック共重合体及び(d)アルケニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体を含む組成物が記載されている。
【0009】
Tanaka他の米国特許第5418287号には、(a)ポリフェニレンエーテル、(b)結晶性ポリオレフィン樹脂及び(c)骨格が(i)エチレン又は1種以上のC〜Cα−オレフィンと(ii)1種以上の非共役鎖ジエンとの共重合体であるグラフト共重合体を含む組成物が記載されている。
【0010】
Chino他の米国特許第6031049号には、特定量の(a)シンジオタクチックポリスチレンとポリオレフィンからなる成分、(b)スチレン含有率40〜85重量%のブロック又はグラフトスチレン−オレフィン共重合体及び(c)ポリフェニレンエーテルを含む組成物が記載されている。
【0011】
Furuta他の欧州特許出願公開第412787号には、(a)ポリフェニレンエーテル、(b)スチレン系単量体を単独又は他の共重合性単量体と共にグラフトして変性したプロピレンポリマー(未変性プロピレンポリマーを含んでいてもいないくてもよい。)及び(c)(a)の全体又は一部と混和性の鎖Aと(b)の全体又は一部と混和性の鎖Bとを有するゴム状材料を含む組成物が記載されている。
【0012】
Adeyinka他の米国特許第6495630号には、特定量のポリ(アリーレンエーテル)、ポリオレフィン、ゴム変性ポリ(アルケニル芳香族)樹脂、水素化ブロック共重合体、非水素化ブロック共重合体及びエチレン/α−オレフィン弾性共重合体を含む熱可塑性組成物が記載されている。
【0013】
Chao他の米国特許第5756196号には、第一アミン又は第二アミン含有材料を用いて、ポリフェニレンエーテルとポリスチレン樹脂からなる組成物のポリウレタンフォームに対する接着性を向上させるための組成物及び方法が開示されている。
【特許文献1】米国特許第4713416号明細書
【特許文献2】米国特許第4764559号明細書
【特許文献3】米国特許第4863997号明細書
【特許文献4】米国特許第4994508号明細書
【特許文献5】米国特許第5071912号明細書
【特許文献6】米国特許第5081187号明細書
【特許文献7】米国特許第5418287号明細書
【特許文献8】米国特許第6031049号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第412787号明細書
【特許文献10】米国特許第6495630号明細書
【特許文献11】米国特許第5756196号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、かなりの量のポリオレフィンを含有する組成物とポリウレタンフォームとの望ましいレベルの接着性を達成するのは、かかる組成物中のポリオレフィンの反応性及び/又は表面エネルギーが低いため困難である。そこで、ポリフェニレンエーテルとポリオレフィン(特にポリプロピレン)との組成物で、その特性を保持したまま、ポリウレタンフォームとの接着性が向上した組成物に対するニーズが依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施形態は、
(a)約10〜約80重量%の1種以上のポリフェニレンエーテル樹脂、
(b)約20〜約70重量%の1種以上のポリオレフィンポリマー、
(c)約1〜約20重量%の1種以上のアミン化合物、及び
(d)0〜約4重量%の1種以上の接着促進剤
を含む樹脂組成物である(但し、各成分の量は当該組成物の総重量を基準にする。)。
【0016】
アミン化合物は、ポリエチレンイミン、シクロヘキシルアミン、1−ヘキサデシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、次式のトリアミン及びこれらの1種以上を含む混合物からなる群から選択される。
【0017】
【化1】

式中、「x」、「y」及び「z」の合計は約5〜約6である。
【0018】
本発明の別の実施形態は、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂約20重量%以上、ポリプロピレン(以下、「PP」ともいう。)ポリマー約20重量%以上、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体及びスチレングラフト化ポリプロピレンポリマーからなる群から選択される1種以上のポリスチレン−ポリオレフィンポリマー約5重量%以上、ポリスチレン(以下、「PS」ともいう。)樹脂約20〜約55重量%、有機スズ接着促進剤約0〜約4重量%、及び上述の構造を有するアミン化合物約1〜約20重量%を含む樹脂組成物である(但し、各成分の量は組成物の総重量を基準にする。)。
【0019】
本発明の別の態様は、樹脂組成物とポリウレタンフォームとの接着性を改良する方法である。この方法は、1種以上のポリフェニレンエーテル樹脂と、1種以上のポリオレフィンポリマーと、(i)ポリフェニレンエーテル−ポリオレフィン共重合体、(ii)ポリスチレン−ポリオレフィン共重合体及び(iii)ポリスチレン樹脂の1種以上と、適宜、官能化ポリスチレン樹脂及び官能化ポリオレフィン樹脂の1種以上と、約0〜約4重量%の接着促進剤と、1種以上のアミン化合物とを含む樹脂組成物(但し、各成分の量は当該組成物の総重量を基準にする。)を形成する段階を含み、上記アミンを、ASTM D 3359A標準試験法で測定して、4以上の接着強度を生じる量で添加する。この方法では、ポリオレフィン含有樹脂組成物は、約20重量%以上の1種以上のポリオレフィン、好ましくはポリプロピレン樹脂を含む。
【0020】
本発明の別の態様は、樹脂組成物とポリウレタンフォームとの接着性を改良する方法である。この方法は、(a)ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂約20重量%以上と、(b)ポリプロピレンポリマー約20重量%以上と、(c)スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレントリブロック共重合体及びスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体から選択される1種以上のポリスチレン−ポリオレフィン共重合体約5重量%以上、(d)ポリプロピレングラフト無水マレイン酸共重合体0〜約10重量%、(e)ポリスチレン樹脂約20〜約55重量%、(f)有機スズ接着促進剤0〜約4重量%及び(g)アミン化合物約1〜約20重量%を含む樹脂組成物(但し、各成分の量は当該組成物の総重量を基準にする。)を形成する段階を含み、上記アミンを、ASTM D 3359A標準試験法で測定して、4以上の接着強度を生じる量で添加する。
【0021】
以下、樹脂組成物及びポリウレタンフォームに対する接着性の改良方法に関し、本発明の詳細な説明を記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、ポリウレタンフォームに対する接着性の向上した樹脂組成物を包含する。本樹脂組成物の主な成分は、(a)1種以上のポリフェニレンエーテル(以下、「PPE」ともいう。)樹脂、(b)1種以上のポリオレフィンポリマー(以下、「PO」ともいう。)、(c)1種以上のアミン化合物及び(d)適宜、1種以上の接着促進剤である。この樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル−ポリオレフィン共重合体、ポリスチレン−ポリオレフィン共重合体及びポリスチレン樹脂からなる群の1種以上をさらに含んでいてもよい。
【0023】
PPEの代表的な例は、次の式(I)の構造単位を複数含んでなる公知のポリマーである。
【0024】
【化2】

式中、各構造単位において、各Qは独立にハロゲン、第一又は第二低級アルキル(すなわち炭素原子数7以下のアルキル)、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、或いはハロゲン原子と酸素原子の間に2以上の炭素原子が介在するハロ炭化水素オキシ基であり、各Qは独立に水素、ハロゲン、第一又は第二低級アルキル、フェニル、ハロアルキル、炭化水素オキシ或いはQについて定義したハロ炭化水素オキシである。好ましい実施形態では、各Qはメチルであり、各Qは水素又はメチルである。
【0025】
単独重合体及び共重合体のPPE樹脂共に概して好適である。好ましい単独重合体としては、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル単位を含むものが挙げられる。好適な共重合体としては、かかる単位を例えば2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル単位と共に含むランダム共重合体がある。一実施形態では、PPE樹脂は、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル)及びポリ[(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)−(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル)]共重合体からなる群から選択される。その他、ビニル単量体又はポリスチレンやエラストマーのようなポリマーをグラフトして得られる部分を含むPPE、並びに低分子量ポリカーボネートやキノンや複素環式化合物やホルマールのようなカップリング剤を公知の方法で複数のポリ(フェニレンエーテル)鎖と反応させて様々な分子量のポリマーとしたカップリング化ポリフェニレンエーテルも包含される。さらに、官能性末端基をもつ反応性化合物との反応で得られる官能性末端基含有PPEも包含される。
【0026】
PPE樹脂は通例2,6−キシレノールや2,3,6−トリメチルフェノールのような1種類以上のモノヒドロキシ芳香族化合物の酸化カップリングによって製造される。かかる酸化カップリングには概して触媒系が使用されるが、触媒系は通例、銅、マンガン又はコバルト化合物のような1種以上の重金属化合物を、通常はn−ジブチルアミン、ジエチルアミン、ピコリン、キノリン、ピリジン塩基、トリイソプロピルアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイロプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンのようなアミン化合物と共に含んでいる。得られるPPEには、PPEの数百重量ppm程度の残留アミン化合物が存在している可能性がある。しかし、このようなレベルでは、アミン化合物は、PPE含有樹脂組成物とポリウレタンフォームとの望ましいレベルの接着を促進する効果はない。
【0027】
多くの目的に特に有用なPPE樹脂は、1以上の含アミノアルキル末端基を有する分子からなるものである。アミノアルキル基は通例ヒドロキシ基に対してオルト位に位置し、重合触媒と併用されるアミンに由来すると考えられる。2,6−キシレノールの重合で得られるPPEでは、アミノアルキル基はアミノメチル基となろう。また、4−ヒドロキシビフェニル型の末端基が存在していることも多々あり、通例、単量体由来のジキノン副生物が存在している反応混合物から得られる。かなりの割合のポリマー分子(通例ポリマーの約90重量%にも達する)が上記の含アミノアルキル末端基及び4−ヒドロキシビフェニル末端基の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
【0028】
好ましい実施形態では、PPEは概して約3000〜約40000の数平均分子量を有する。ポリフェニレンエーテルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定して、約20000〜約80000の重量平均分子量を有し得る。PPEの固有粘度(IV)は、25℃のクロロホルム中で測定して、約0.12〜約0.6デシリットル/gである。IVの種々異なるPPEの混合物も有用である。
【0029】
ある実施形態では、樹脂組成物中に存在するPPEの量は(樹脂組成物の総重量を基準として)約10〜約80重量%である。この範囲内で、約70重量%未満の量を用いることができ、60重量%未満の量が特に好ましい。同じくこの範囲内で、約15重量%以上の量が好ましく、約20重量%以上の量が特に好ましい。
【0030】
樹脂組成物の他の主成分は、(i)プロピレン(PP)の単独重合体、(ii)プロピレンと、エチレン及びC〜C10α−オレフィンから選択されるオレフィンとのランダム共重合体、並びに(iii)プロピレンと、エチレン及びC〜C10α−オレフィンからなる群から選択される2種類のオレフィンとのランダム三元共重合体の1種以上を含むPO樹脂である。ある実施形態では、POは、PP、エチレン/プロピレン共重合体、耐衝撃性エチレン/プロピレン共重合体及びこれらの混合物からなる群から選択される。(ii)のランダム共重合体の場合、オレフィンがエチレンであれば、重合エチレンの最大含有率は、一実施形態では約10重量%であり、別の実施形態では約4重量%である。α−オレフィンがC〜C10α−オレフィンであれば、得られる共重合体中の重合α−オレフィンの最大含有率は、一実施形態では約20重量%であり、別の実施形態では約16重量%である。(iii)のランダム三元共重合体の場合、重合C〜C10α−オレフィンの最大含有率は、一実施形態では約20重量%であり、別の実施形態では約16重量%である。エチレンがα−オレフィンの1つであるときは、ランダム三元共重合体中の重合エチレン最大含有率は、一実施形態では約5重量%であり、別の実施形態では約4重量%である。実施形態によっては、ポリオレフィンは、メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン共重合体も含む。かかるポリオレフィンの具体例としては、ExxonMobil社から市販のEXACT(商標)シリーズのポリ(エチレン−αオレフィン)共重合体、例えば、EXACT(登録商標)3024、3022、3128、3035、4011、4033、4006、4041、4049、3132、3131、3139、3040、4151、4150、4056、0201、0201HS、0210、0230、8201、8203及び8210が挙げられる。ポリ(エチレン−αオレフィン)共重合体は一般にメタロセン触媒を用いて液相で製造される。エチレンとαオレフィンコモノマーのモル比を適宜選択することによって、密度、メルトフローレート、ビカット軟化点及び脆性のような一般特性、光沢、ヘイズ、耐破壊エネルギー及び耐衝撃エネルギーのようなフィルム特性、破断点引張強さ、破断点伸び、曲げ弾性率及びノッチ付アイゾット値のような成形板特性、並びにムーニー粘度のような弾性特性にある程度の幅をもった様々なポリエチレン−αオレフィン共重合体を得ることができる。
【0031】
本発明で使用する好ましいPOとしてはPP単独重合体が挙げられる。結晶質含有率が約20%以上、好ましくは約30%以上のPP単独重合体も使用できる。好適なPP単独重合体としては、メルトフローレート(g/10分)が約0.5〜約10.0の範囲のものが挙げられ、約0.5〜約4.0の範囲のものが特に好ましい。好ましいPP単独重合体としては、Basell社(以前のMontell Polyolefins of North America)から市販のもの、例えばPro−fax(登録商標)シリーズのポリマー、例えばPro−fax(登録商標)7823、7624、7601S、7531、7523、6823、6524、KF6190H、PDC1276、PDC1282、PD403及び6523、並びにMoplen(登録商標)シリーズ、例えばMoplen(登録商標)HP400H、HP522J及びHP550Jが挙げられる。好ましいPOとしては、メルトフローレート(g/10分)約25〜約45、さらに好ましくは約30〜35の高分子量PP単独重合体も挙げられる。かかるPP単独重合体の非限定的な例としては、Basellから市販のProfax(登録商標)PD702N、PD702、PDC1284、PDC1292、PDC1302、PF304、PH020及びPH385が挙げられる。
【0032】
別の実施形態では、POは、耐衝撃性改良剤として作用するエチレン−プロピレンランダム共重合体単位を約5〜約30重量%含むPP共重合体である。別の実施形態では、POは、耐衝撃性改良剤として作用するエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体単位を約2〜約8重量%含むPPである。これら2種類のランダム共重合体におけるエチレン含有率は、共重合体全体の約20〜約70重量%である。好適なPOの例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、ポリ(1−ブテン)、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(4−メチルペンテン−1,3−メチル−1−ブテン)、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(3,4−ジメチル−1−ブテン)、ポリ(1−ヘプテン)、ポリ(3−メチル−1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、さらにこれらのポリオレフィンポリマーを含む混合物が挙げられる。
【0033】
ある実施形態では、樹脂組成物中に存在するPOの量は(樹脂組成物の総重量を基準として)約10〜約80重量%である。この範囲内で、約70重量%未満の量を用いることができ、60重量%未満の量が特に好ましい。同じくこの範囲内で、約15重量%以上の量が好ましく、約20重量%以上の量が特に好ましい。
【0034】
本発明のある好ましい実施形態には、PPE−PO共重合体、ポリスチレン−ポリオレフィン(以下、「PS−PO」ともいう。)共重合体及びPS樹脂からなる群から選択される1種以上の耐衝撃性改良剤を約2重量%〜約30重量%(樹脂組成物の総重量を基準)含む樹脂組成物が包含される。PPE−PO共重合体は、PPE−PP共重合体、PPE−PE共重合体、PPE−エチレン/プロピレン共重合体及びこれらのPPE−PO共重合体の混合物からなる群から選択される。
【0035】
PS−PO共重合体は、PS−PP共重合体、部分水素化PS−共役ジエンブロック共重合体、部分水素化PS−共役ジエン−オレフィンブロック共重合体及びこれらのPS−PO共重合体の混合物からなる群から選択される。PO重合体骨格にラジカル開始剤でスチレン系単量体をグラフトして得られるグラフト共重合体が、PS−PO共重合体の一例である。ラジカル部位は、照射又はラジカル発生化学物質、例えば適切な有機過酸化物との反応によって生成させることができる。POポリマーは、PP単独重合体、エチレン/プロピレン共重合体、耐衝撃性エチレン/プロピレン共重合体及びこれらの混合物からなる群から選択される。スチレン系のグラフト用単量体は、スチレン、アルキルで環を置換したスチレン(但し、アルキルはメチル又はエチル)又はこれらの組合せである。ある実施形態では、スチレン系のグラフト用単量体は、スチレン、α−メチルスチレン及びこれらの混合物である。
【0036】
スチレングラフトPOポリマー耐衝撃性改良剤は、一実施形態では、Interloy P10451(Montell Polyolefin社から市販)などの、PP骨格にスチレンをグラフトした共重合体からなり、第二の実施形態ではエチレン/プロピレンランダム共重合体骨格にスチレンをグラフトした共重合体からなり、第三の実施形態ではエチレン/プロピレンゴム耐衝撃性改良PP骨格にスチレンをグラフトした共重合体からなり、第四の実施形態ではPP骨格にスチレン/α−メチルスチレンをグラフトした共重合体からなり、第五の実施形態ではエチレン/プロピレンランダム共重合体骨格にスチレン/α−メチルスチレンをグラフトした共重合体からなり、第六の実施形態ではエチレン−プロピレンゴム耐衝撃性改良PP骨格にスチレン/α−メチルスチレンをグラフトした共重合体からなる。
【0037】
PS−PO共重合体は、スチレン化合物と共役ジエンとオレフィンの部分水素化ブロック共重合体であってもよく、水素化ブロック共重合体は、約20%以下の残存側鎖脂肪族不飽和及び約30%以上の残存鎖中脂肪族不飽和を有する。幾つかの実施形態では、水素化ブロック共重合体は、(A)スチレン化合物から誘導される1以上のブロックと(B)共役ジエンから誘導される1以上のブロックとを含む選択的水素化ブロック共重合体で、ブロック(B)の脂肪族不飽和基含有率を水素化によって選択的に低減したものである。具体的には、鎖中脂肪族不飽和(即ち、共重合体への共役ジエンの1,4−結合で生じる肪族不飽和)は、約30%以上、好ましくは約40%以上、さらに好ましくは約50%以上が水素化されずに残る。また、側鎖脂肪族不飽和(即ち、共重合体への共役ジエンの1,2−結合で生じる脂肪族不飽和)は、約20%以下、好ましくは約10%以下、さらに好ましくは約5%以下が水素化されずに残る。一実施形態では、非水素化鎖中脂肪族不飽和の割合と非水素化側鎖脂肪族不飽和の割合との比は、約2以上、好ましくは約5以上、さらに好ましくは約10以上である。鎖中及び側鎖脂肪族不飽和の水素化の程度は、赤外分光法、並びにH及び13C核磁気共鳴(NMR)分光法を始めとする様々な方法で測定できる。
【0038】
上述の水素化ブロック共重合体におけるブロック(A)とブロック(B)の配列としては、線状構造、グラフト構造及びラジアルテレブロック構造が挙げられ、枝分れ鎖を有するものと有さないものがある。これらの構造のうち好ましいのは、ジブロック(A−Bブロック)構造、トリブロック(A−B−Aブロック又はB−A−Bブロック)構造、テトラブロック(A−B−A−Bブロック)構造及びペンタブロック(A−B−A−B−Aブロック又はB−A−B−A−Bブロック)構造を始めとする線状構造、並びにAとBを合計6ブロック以上含む線状構造である。さらに好ましいのはジブロック構造、トリブロック構造及びテトラブロック構造であり、A−B−Aトリブロック構造が特に好ましい。
【0039】
ブロック(A)の形成に用いられるスチレン化合物は、次の式(II)で表される。
【0040】
【化3】

式中、R及びRは各々独立に水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基などを表し、R及びRは各々独立に水素原子、C〜Cアルキル基、塩素原子、臭素原子などを表し、R〜Rは各々独立に水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基などを表し、或いはRとRが中心芳香環と共にナフチル基を形成するか又はRとRが中心芳香環と共にナフチル基を形成する。
【0041】
スチレン化合物の具体例としては、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、ブロモスチレン、クロロスチレンなど、並びにこれらのスチレン化合物の1種以上を含む組合せが挙げられる。これらの中では、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンが好ましく、スチレンがさらに好ましい。
【0042】
共役ジエンの具体例としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。これらのうち、好ましいのは1,3−ブタジエンと2−メチル−1,3−ブタジエンであり、1,3−ブタジエンがさらに好ましい。選択的水素化ブロック共重合体は、共役ジエンに加えて、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、ジシクロペンタジエン、非共役ジエンのような低級オレフィン系炭化水素の1種以上を少量含んでいてもよい。
【0043】
選択的水素化ブロック共重合体におけるスチレン化合物由来の繰返し単位の含有率は、選択的水素化ブロック共重合体の総重量を基準として、約20〜約90重量%とし得る。この範囲内で、スチレン含有率は、約30重量%以上であるのが好ましく、さらに好ましくは約55重量%以上である。同じくこの範囲内で、スチレン含有率は、約80重量%未満であるのが好ましく、さらに好ましくは約75重量%未満である。選択的水素化ブロック共重合体骨格における共役ジエンの結合様式に特に制約はない。例えば、共役ジエンが1,3−ブタジエンの場合、約1%〜約99%が1,2−結合、残りが1,4−結合で導入されていてもよい。
【0044】
水素化ブロック共重合体は、ポリスチレン標準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定して、好ましくは約5000〜約500000g/モルの数平均分子量を有し得る。GPCで測定される選択的水素化ブロック共重合体の分子量分布に特に制約はない。共重合体の重量平均分子量と数平均分子量の比はどんな値であってもよい。特に好ましい選択的水素化ブロック共重合体は、スチレン−ブタジエン共重合体及びスチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体の高選択性水素化によってそれぞれ得られるスチレン−(ブタジエン−ブチレン)ジブロック共重合体及びスチレン−(ブタジエン−ブチレン)−スチレントリブロック共重合体である。例えば、スチレン−(ブタジエン−ブチレン)−スチレントリブロック共重合体は、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体前駆体の側鎖不飽和がほぼ完全に(即ち、約95%以上、好ましくは約98%以上)水素化され、鎖中不飽和の約30%以上が水素化されずに残るようにすることによって得られる。
【0045】
ある実施形態では、樹脂組成物は、さらに、PS−PP共重合体、スチレングラフト化ポリプロピレングラフト共重合体、水素化PS−共役ジエンブロック共重合体、水素化PS−共役ジエン−オレフィンブロック共重合体及びこれらのPS−PO共重合体の混合物からなる群から選択される1種以上のポリスチレン−ポリオレフィン共重合体を約2重量%〜約30重量%(樹脂組成物の総重量を基準)含む。一実施形態では、PS−PO共重合体は、1種以上の水素化及び非水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体及びこれらのPS−PO共重合体の混合物から選択される。別の実施形態では、選択的水素化ブロック共重合体は、例えば、Shiraki他の米国特許第4994508号に記載されているように、ブロック重合を行った後水素化を行うことによって合成することができる。好適な選択的水素化ブロック共重合体としては、旭化成(株)から例えばTUFTEC(登録商標)Pシリーズ共重合体として市販されているスチレン−(ブタジエン−ブチレン)−スチレントリブロック共重合体が挙げられる。Kraton Polymers社から市販の例えばKRATON(登録商標)G1650及びG1652などのKRATON(登録商標)シリーズのポリマーも使用できる。好適な非水素化ブロック共重合体としては、さらに、Chevron Phillips Chemical社から例えばK−RESIN(登録商標)KR01、KR03、KR05及びKR10として市販されているスチレン−ブタジエンラジアルテレブロック共重合体、並びにAtofina Petrochemicals社からFINACLEAR(登録商標)520として市販されているスチレン−ブタジエンテーパーブロック共重合体が挙げられる。
【0046】
他の実施形態では、ジエン含有率約2〜約8重量%のエチレン−プロピレン−ジエンゴムで耐衝撃性を改良したプロピレン単独重合体及びランダム共重合体も、本発明のある態様における、水素化スチレン−共役ジエン−オレフィンブロック共重合体用のプロピレンポリマー材料として使用できる。好適なジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられる。ある実施形態では、水素化スチレン−共役ジエン−オレフィンブロック共重合体は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体及びこれらの混合物から選択される1種以上の共重合体である。
【0047】
樹脂組成物は、さらに、適宜、約2重量%〜約30重量%(樹脂組成物の総重量を基準)の官能化PPE樹脂を含んでいてもよい。官能化PPE樹脂とは、アミノ、エポキシ、カルボン酸、カルボン酸エステル、オルトエステル、無水物、脂肪族炭素−炭素二重結合からなる群から選択される1以上の部分を含むPPEを意味する。樹脂組成物は、末端官能化ポリフェニレンエーテルと官能化ポリオレフィンの反応で得られる反応生成物を含んでいてもよい。かかる反応生成物の一例は、グリシジルオキシ官能化ポリフェニレンエーテルとポリプロピレン−アクリル酸共重合体の反応で得られる生成物である。反応生成物の第二の例は、アミノ官能化PPEと残存エポキシ部分を含むポリオレフィンとの反応で得られるものである。各種官能化PPEの混合物、例えばグリシジルオキシ官能化PPEとアミノ官能化PPEの混合物も、本明細書で開示する樹脂組成物を構成し得る。例えばPS−グリシジルメタクリレート共重合体のような官能化PSと、ポリプロピレン−アクリル酸共重合体又はポリエチレン−アクリル酸共重合体のような官能化POとの反応で製造されたものなどの官能化PS樹脂も、樹脂組成物に適宜使用し得る。官能化POは、例えばDow Chemical社製のPrimacor(登録商標)及びExxonMobil Chemical社製のEscorene(登録商標)などのエチレン−アクリル酸共重合体、例えばUniroyal Chemical社製のPolybond(商標)などのポリプロピレン−アクリル酸共重合体、例えばDupont製のNucrel(登録商標)などのポリエチレン−メタクリル酸共重合体、並びにポリプロピレン−メタクリル酸共重合体から選択される。ポリオレフィン骨格と、1種以上の環状無水物から形成された極性グラフトとを含むグラフト共重合体も適宜使用し得る。かかる材料としては、ポリオレフィンとC〜C環状無水物とのグラフト共重合体が挙げられ、例えばExxonMobilからEXXELOR(登録商標)PO1020という商品名で、またDupontからFUSABOND(登録商標)という商品名で市販されているものがある。好適なポリオレフィン−グラフト−ポリ(環状無水物)共重合体の例としては、ExxonMobilから市販のEXXELOR(登録商標)PO1020 及びEXXELOR(登録商標)1015などのポリプロピレン−グラフト−ポリ(無水マレイン酸)材料、DuPontから市販のFUSABOND M613−05、MD353D及びMZ203DなどのFUSABOND(登録商標)シリーズ材料、Uniroyal Chemicals社製のPOLYBOND(登録商標)シリーズ、Atofina Petrochemicals社製のLOTADER(商標)シリーズ、並びにこれらの混合物が挙げられる。かかる材料の適量は容易に決めることができるが、一般に組成物の総重量を基準として約0.1〜約10重量%である。この範囲内で、約0.5重量%以上が好ましい。同じくこの範囲内で、ポリオレフィン−グラフト−ポリ(環状無水物)共重合体の量は約5重量%以下が好ましく、約2重量%以下の量がさらに好ましい。官能化PSは、ポリスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、ポリスチレン−グリシジルメチルメタクリレート共重合体、ポリ−α−メチルスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、ポリ−α−メチルスチレン−グリシジルメチルメタクリレート共重合体又はこれらの混合物から選択される。一般に、官能化ポリ(アルケニル芳香族)に用いられるスチレン系単量体は、上記の一般式(II)で表される群から選択される1種以上のスチレン類である。
【0048】
使用し得るPS樹脂としては、例えば式(II)で表されるスチレン系単量体の単独重合体及び共重合体が挙げられる。使用し得るスチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン及びジブロモスチレンが挙げられる。一実施形態では、PSは、スチレン、置換スチレン又はこれらの混合物のポリマーである。本明細書で開示する樹脂組成物は、結晶性ポリスチレン樹脂、メルトフローレート約5〜約10の高流動性ポリスチレン樹脂、例えばBASF社から市販の147F及び148G、Chevron Philips社から市販のEA3050樹脂、Dow Chemical社から市販のSTYRON(登録商標)668、666D及び675グレード樹脂、NOVA Chemicals社から市販の1500、1504、1510、1511、1600、2500、2504、2510、2511、2580、2581及び2590グレード結晶質樹脂、並びに「耐衝撃性ポリスチレン」又は「HIPS」とも呼ばれる従来のゴム変性ポリスチレンからなる群から選択される1種以上のPS樹脂をさらに含む。
【0049】
PS樹脂成分が存在する場合、該成分は約10〜約80重量%(樹脂組成物の総重量を基準)存在する。この範囲内で、約70重量%未満の量を使用することができ、60重量%未満の量が特に好ましい。同じくこの範囲内で、約15%以上の量が好ましく、約20%以上の量が特に好ましい。
【0050】
本発明の樹脂組成物中に使用されるアミン化合物は、1種以上の第一アミン基、第二アミン基又はその両者を含む。有用なアミン化合物としては、
(A)次の式(III)の骨格を有するポリアミン
【0051】
【化4】

(式中、RはC〜Cアルキレン、C〜Cアルキル置換アルキレン及びこれらの混合物であり、「m」は2〜約700の値を有し、「n」は約0〜約350の値を有する。)、
(B)次の式(IV)の骨格を有するポリアミン
【0052】
【化5】

(式中、「q」は約5〜約10000の値を有する。)、
(C)ポリアミン骨格NH単位の約0%〜約100%が式(RO)10−の1以上の基で置換されたポリアミン化合物(式中、RはC〜Cアルキレン、C〜Cアルキル置換アルキレン及びこれらの混合物であり、R10は水素、C〜Cアルキル及びこれらの混合物であり、「p」は約1〜約12の値を有する。)、及び
(D)シクロヘキシルアミン、1−ヘキサデシルアミン及び次の式(V)のトリアミン
【0053】
【化6】

(式中、「x」、「y」及び「z」の合計は約3〜約20である。)
からなる群から選択される1種以上の第一アミン、並びに
ジエチルアミン及びジプロピルアミンからなる群から選択される1種以上の第二アミン
が挙げられる。
【0054】
ポリエチレンイミンが好適なアミン化合物である。市販のポリエチレンイミンの一例として、The Dow Chemical社から市販のEA−275がある。さらに、「x」、「y」及び「z」の合計が約5〜6である式(V)のトリアミンも好ましい。式(V)のトリアミンの幾つかは市販されており、例えばHuntsman Chemical社から市販されているJeffamine T−403がある。
【0055】
一実施形態では、式(III)のポリアミン骨格を構成するR基の50%未満が炭素原子数4以上である。別の実施形態では、ポリアミン骨格を構成するR基の25%未満、R基の10%未満が炭素原子数4以上である。特に好ましい実施形態では、実質的にすべてのR基がエチレン基である。
【0056】
ポリアミンは均一なポリアミン骨格でも不均一なポリアミン骨格でもよいが、均一な骨格が好ましい。本発明では、「均一なポリアミン骨格」という用語は、同一のR単位(例えばすべてエチレン)を有するポリアミン骨格として定義される。ただし、この定義は、選択に係る化学合成法の副産物として存在する他の異なるポリマー骨格単位を含むポリアミンを除外するものではない。例えば、ポリエチレンイミンの合成にエタノールアミンを「開始剤」として使用できることは当業者に公知であり、重合「開始剤」に由来する1個のヒドロキシエチル部分を含むポリエチレンイミンの試料は、本発明では、均一ポリエチレンイミン骨格をもつものとみなされる。
【0057】
本明細書で用いる「不均一ポリマー骨格」という用語は、1種以上のアルキレン又は置換アルキレン部分の混成体(例えばエチレン単位と1,2−プロピレン単位が共にR単位として存在する)であるポリアミン骨格をいう。
【0058】
アミン化合物として使用できるその他の種類のポリアミンとしては、特に限定されないが、ポリアルキレンアミン(以下、「PAA」ともいう。)、ポリアルキレンイミン(「PAI」ともいう。)、好ましくはポリエチレンイミン(以下、「PEI」ともいう。)が挙げられる。ポリエチレンイミンは、ポリエチレンアミン(以下、「PEA」ともいう。)と呼ばれることもある。代表的PAAはテトラブチレンペンタミンである。PEAは、アンモニアとエチレンジクロリドを反応させ、次いで分別蒸留することによって得られる。得られる代表的PEAは、トリエチレンテトラミン及びテトラエチレンペンタミンである。高級PEA、つまりヘキサミン、ヘプタミン、オクタミン及びおそらくはノナミンも概して同時に生成する混合物として得られるが、これらは蒸留では分離できず、環状アミン、特にピペラジン及び窒素原子を含む環状アミンのような他の物質を含んでいる可能性がある。PEAの製造は、例えば、米国特許第2792372号(Dickinson他、1957年5月14日発行)にみられる。本発明では、ポリエチレンイミンは、第一(NH)及び第二(NH)アミン基を含んでいてもよい。上述のPEIに加えて、繰返し単位に側鎖NH基を有する高分子アミンもアミン化合物として作用し得る。
【0059】
PEIは、例えば二酸化炭素、重亜硫酸ナトリウム、硫酸、過酸化水素、塩酸、酢酸のような触媒の存在下でのエチレンイミンの重合によって製造できる。PEIの具体的製造方法は、米国特許第2182306号(Ulrich他、1939年12月5日発行)、同第3033746号(Mayle他、1962年5月8日発行)、同第2208095号(Esselmann他、1940年7月16日発行)、同第2806839号(Crowther、1957年9月17日発行)及び同第2553696号(Wilson、1951年5月21日発行)に開示されている。線状及び枝分れPEIに加えて、本発明は、一般に合成の副生物として形成される環状アミンも含む。これらの物質の存在は、配合者の選択に係る条件に応じて増減し得る。
【0060】
一実施形態では、アミン化合物は、約1〜約20重量%(樹脂組成物の総重量を基準)存在する。この範囲内で、約15重量%未満の量を用いることができ、約10重量%未満の量が特に好ましい。同じくこの範囲内で、約2%以上が好ましく、約5%以上が特に好ましい。
【0061】
樹脂組成物とポリウレタンフォームとの接着性を改良するための組成物は、適宜、接着促進剤を含んでいてもよい。かかる接着促進剤は、例えば、ポリウレタン接着促進剤接着促進剤とすることができる。ポリウレタン接着促進剤の例としては、例えばカルボン酸スズ及びカルボン酸カリウム塩などの有機金属化合物が挙げられる。有機スズ化合物並びにビスマス及び亜鉛の化合物も接着促進剤として使用できる。一実施形態では、接着促進剤は、有機スズ化合物であり、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキシド及びジオクチルスズオキシドからなる群から選択される1種以上である。接着促進剤を使用する場合、接着促進剤は約0.1〜約5重量%(樹脂組成物の総重量を基準)存在する。この範囲内で、約4重量%未満の量を使用することができ、1重量%未満の量が特に好ましい。同じくこの範囲内で、約0.2%以上の量が好ましく、約0.5%以上の量が特に好ましい。
【0062】
本明細書に記載の組成物は、当技術分野で公知の1種以上の添加剤を含んでいてもよい。かかる添加剤としては、例えば、一次酸化防止剤及び二次酸化防止剤のような酸化防止剤、熱安定剤のような安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、加工助剤、難燃剤、ドリップ防止剤、成核剤、染料、顔料、粒状導電性充填材(例えば、導電性カーボンブラック及び平均直径約1〜約500nmのカーボンナノチューブ)、強化用充填材、酸化防止剤、帯電防止剤、発泡剤などが挙げられる。強化用充填材としては、例えば、E型、NE型、S型、T型及びD型ガラス並びに石英繊維、織布、不織布、ポリ(アクリロニトリル)(PAN)繊維を始めとする炭素繊維、カーボンナノチューブ及び特にグラファイト状カーボンナノチューブ、チタン酸カリウム単結晶繊維、炭化ケイ素繊維、炭化ホウ素繊維、石膏繊維、酸化アルミニウム繊維、アスベスト、鉄繊維、ニッケル繊維、銅繊維、ウォラストナイト繊維のような無機及び有機材料が挙げられる。強化用充填材は、ガラスロービングクロス、ガラスクロス、チョップトグラス、中空ガラス繊維、ガラスマット、ガラスサーフェイスマット及びガラス不織布、セラミック繊維布、並びに金属繊維布の形態でもよい。さらに、繊維を形成し得る有機ポリマーを始めとする合成有機強化用充填材も使用できる。かかる強化有機繊維の具体例としては、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリエステル、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド又はポリエーテルイミド、アクリル樹脂及びポリ(ビニルアルコール)が挙げられる。ポリテトラフルオロエチレンのようなフルオロポリマーも使用できる。また、綿布、麻布及びフェルト、炭素繊維生地、並びにクラフト紙、コットンペーパー及びガラス繊維含有紙のような天然セルロース生地を含めて、当業者に公知の天然有機繊維も挙げられる。かかる強化用充填材は、モノフィラメント又はマルチフィラメント繊維の形態とすることができ、単独で使用してもよいし、或いは、例えば共織、又はコア−シース、サイドバイサイド、オレンジ型、又はマトリックスとフィブリル構造その他繊維製造の当業者に公知の他の方法によって、他の種類の繊維と組合せて使用することもできる。これらは、例えば、織布強化材、不織布強化材又は紙の形態とすることができる。タルク及び雲母も強化用充填材として使用できる。
【0063】
本組成物に有用な適当な一次及び二次酸化防止剤としては、多くの一群の有機リン化合物が挙げられる。かかる化合物の非限定的な例としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、3,9−ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジ(2,4−ジクミルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、2,2′,2″−ニトリロ[トリエチル−トリス[3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−1,1′−ビフェニル−2′−ジイル]ホスファイト]、3,9−ジステアリルオキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ジラウリルホスファイト、3,9−ジ[2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ]−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン及びテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4′−ビス(ジフェニレン)ホスホナイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールホスファイト、トリ−イソデシルホスファイト、並びにこれらの1種以上を含むホスファイトの混合物が挙げられる。トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、並びにこれらホスファイトの1種以上を含むホスファイト混合物などが特に好ましい。
【0064】
本発明の組成物に使用できる好適な熱安定剤としては、特に限定されないが、亜鉛、カルシウム/亜鉛、バリウム/亜鉛及びカルシウム/バリウム/亜鉛をベースとした材料が挙げられる。かかる熱安定剤の例としては、PlastiStab(商標)3000シリーズの安定剤、例えばPS3001(商標)、PS3002(商標)、PS3003(商標)、PS3004(商標)及びPS3005(商標)、PlastiStab(商標)4000シリーズの安定剤、例えばPS4000(商標)、PS4001(商標)、PS4002(商標)及びPS4003(商標)、硫化亜鉛、硫化カドミウム及びこれらの混合物、Ackros Chemicals社から市販のInterstab(商標)BZ−5240、Interstab(商標)BZ−5242及びInterstab(商標)BZ−5246などが挙げられる。
【0065】
本発明の組成物に有用な好適な紫外線(UV)吸収剤としては、主に280〜315nm域の紫外線を吸収して紫外線吸収剤として作用する無機化合物並びに無機化合物と有機化合物の組合せが挙げられる。紫外線吸収剤としての無機金属酸化物の非限定的な例としては、各種の二酸化チタン、例えばSachtleben Chemie社製のHombitec(登録商標)RM300及びHombitec(登録商標)RM400のような微粉化透明グレード、微粉化酸化亜鉛のような酸化亜鉛、微粉化シリカ、並びに微粉化酸化鉄が挙げられる。これらの微粉化無機金属酸化物は平均粒経約200ミクロン未満であるのが好ましい。
【0066】
使用し得る好適な難燃剤としては、臭素化ポリスチレン、トリフェニルホスフィン、トリ−t−ブチルフェニルホスフェート、テトラフェニルレソルシノールビスホスフェート、テトラキシリルレソルシノールビスホスフェート、テトラフェニルヒドロキノンビスホスフェート及びテトラキシリルヒドロキノンビスホスフェートのような含リン化学物質が挙げられる。本組成物は、ポリエチレンのような離型用化合物を含んでいてもよい。
【0067】
フェノール系添加剤を添加すると、ポリウレタンフォームと樹脂組成物との接着性をさらに向上させることができる。好適なフェノール系添加剤の一例は、Nirez(登録商標)(Arizona Chemical社から市販)である。これはリモネンとフェノールとの反応で得られるテルペンフェノールである。
【0068】
本開示の樹脂組成物は、例えば、射出成形、ブロー成形、押出、シート押出、フィルム押出、異形押出、引抜成形、圧縮成形、熱成形、圧力成形、油圧成形、真空成形、発泡成形のような様々な成形技術を用いて成形品又は成形品部品を形成するのに好適である。本組成物及びその反応生成物を含有する有用な成形品としては、例えば、自動車用ダッシュボード、自動車用モジュール、自動車用グリル開口部補強材、食品用トレイ及び電動工具ケーシングが挙げられる。
【0069】
樹脂組成物とポリウレタンフォームとの接着性を改良する方法は、好適には、1種以上のポリフェニレンエーテル樹脂と、1種以上のPOポリマーと、(i)PPE−PO共重合体、(ii)PS−PO共重合体及び(iii)PS樹脂の1種以上と、約0〜約4部の接着促進剤と、1種以上のアミン化合物とを含む樹脂組成物を最初に形成する段階を含み、上記アミンを、ASTM D 3359A標準試験法で測定して、ポリウレタンフォームに対する接着強度が4以上となる量で添加する方法で実施できる。この方法の多くの実施形態では、PPE−PO共重合体は、PPE−PP共重合体、PPE−ポリエチレン共重合体、PPE−エチレンプロピレン共重合体及びこれらのPPE−PO共重合体の混合物からなる群から選択され、前記PS−PO共重合体は、PS−PP共重合体、水素化PS−共役ジエンブロック共重合体、水素化PS−共役ジエン−オレフィンブロック共重合体及びこれらのPS−PO共重合体の混合物からなる群から選択され、前記PS樹脂は、PS樹脂、HIPS樹脂及びこれらの混合物からなる群から選択される
一実施形態では、樹脂組成物とポリウレタンフォームとの接着性を改良する方法は、(a)約20重量部以上のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂と、(b)約20重量部以上のポリプロピレンポリマーと、(c)約5重量部以上のスチレングラフト化ポリプロピレンポリマーと、(d)約20〜約55重量部のポリスチレン樹脂と、(e)約0〜約4部の接着促進剤と、(f)約1〜約20部のアミン化合物とを含む樹脂組成物を形成する段階を含む。接着促進剤は、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキシド及びジオクチルスズオキシドからなる群から選択される有機スズ化合物である。アミン化合物は、上記の式(III)、(IV)、(V)で表される化合物の種類及びポリエチレンイミン、並びにジエチルアミン及びジプロピルアミンからなる群から選択される第二アミンの1種以上を含む。
【0070】
本発明の組成物は、慣用混合装置、例えば単軸又は二軸押出機、バンバリーミキサーその他の慣用溶融コンパウンディング装置で機械的にブレンドすることによって製造される。コンパウンディング作業時に真空を用いて組成物から臭気物質を低減することもできる。組成物の成分の混合順序は概してさほど重要ではなく、当業者が容易に決定し得る。
【0071】
以下の実施例及び比較例から本発明の理解を深めることができると思われるが、これらの実施例は例示にすぎず、本発明を限定するものではない。本明細書で引用した文献の開示内容は援用によって、本明細書の内容の一部をなす。
【実施例】
【0072】
25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度約0.4のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド(以下、「2,6−PPE」ともいう。)はGE Plastics社から入手した。調合物に用いたHIPS試料は、Nova Chemical社製のNovacor 2272であった。PP単独重合体(230℃でのメルトフローインデックス約1.5g/10分のPD−403)はSunoco社から入手した。ポリエチレンアミン(E−275)はHuntsman chemical社から入手した。Cotin 100(接着促進剤として用いたジブチルスズオキシド)はCasChem社から入手した。Interloy P10451(PS−PPグラフト共重合体)はMontell Polyolefin社から入手した。メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレ−ポリオレフィン共重合体も幾つかの組成物で使用した。これらの共重合体を「m(PE−PO)共重合体」と呼ぶ。使用した安定剤パッケージは、上述の1種以上の熱安定剤と紫外線安定剤と一次酸化防止剤と二次酸化防止剤の組合せである。
【0073】
2,6−PPE、HIPS、PP単独重合体、ポリエチレンアミン及びPS−PPグラフト共重合体を様々な割合でブレンドして16種の樹脂組成物を製造した。Cotin 100は任意成分として、以下の表1に示す所定の樹脂組成物に添加した。
【0074】
ブレンド/コンパウンディング、押出及び成形の一般手順
表1に記載の所定量の成分を袋の中で手で混合した。特記しない限り、すべての成分の量は樹脂組成物の重量%で表す。次に、得られた混合物を機械式混合機を用いて激しく混合して均一にした。次に、この均一混合物をフィーダーを介して押出機の最初の入口から押出機に供給した。PS又はHIPS成分の量が各々ブレンドの総重量の10重量%以上となる場合は、ポリスチレン又はゴム変性ポリスチレン成分を別の上流フィーダーから供給した。表1に示す量のPPを10バレル押出機の略5バレルの箇所から下流で供給した。ガラス繊維を添加する場合、10バレル押出機の略6バレルの箇所から下流で供給した。
【0075】
30mm同方向回転二軸押出機を使用した。約271℃、約450〜約500回転/分(rpm)、押出量約30〜約55ポンド/時でブレンドを溶融押出した。押出機からの溶融物を3穴ダイから押出してメルトストランドを生成した。このストランドを、冷水浴に通して急冷した。冷却ストランドを細断してペレットにした。ペレットは約93℃で約2〜約4時間オーブン乾燥した。
【0076】
120トンの成形機(Van Dorn製)を用いて、バレル温度約232〜約288℃、金型温度約38〜約49℃で、ASTM部品を成形した
実施例1
本実施例では、樹脂組成物とポリウレタンフォームの接着性評価に用いる試験プロトコルを説明する。食品グレードのグリースをペーパータオルで発泡金型の内面全体に極薄く塗布した。金型には、樹脂組成物の12枚の板(上述の通り製造)を金型の底に保持した。1000ミリリットルの使い捨てプラスチックビーカーに、382gのSpecflex NM815(Dow Chemical社から市販のポリオール)を加えた。別の250ミリリットルの使い捨てプラスチックビーカーに、205gのPAPI95(The Dow Chemical社から市販のポリイソシアネート)を加えた。次いで、ポリイソシアネートをポリオールに注ぎ、オーバーヘッド機械式撹拌機を用いて、撹拌速度約5000rpmで約10秒間、内容物を素早く混合した。混合直後、均質混合物を発泡金型に注入し、金型に蓋をし、4個のカバークランプで固定した。約20分後、金型を分解して発泡板を金型から取出した。次いで、表面にポリウレタンフォームを有する板を、室温で約24時間コンディショニングした。次いで、試料の接着性をASTM D3359A標準法を用いて以下の通り試験した。
【0077】
上述のポリウレタンフォームを有する板に、鋭い安全かみそりの刃を用いて、その中央近くで交差する各々約1.5インチ長の2本のクロスカットを作った。30〜45度の鋭角を維持した。カットの交点の中心に、テープが鋭角方向に延在するように粘着テープを貼り付けた。フォームとの良好な接触接着が確保されるようにテープを強くこすった。次いで、テープの一方の自由端を持って、テープを引き剥がした。クロスカットを検査して、以下の通り評価した。
5.剥離又は剥がれなし。
4.切込みに沿って微量の剥離又は剥がれ。
3.切込みの両側1/16インチ以下のぎざぎざの剥がれ。
2.切込みの両側1/8インチ以下のぎざぎざの剥がれ。
1.テープ下のクロスカット部分の大部分が剥がれ。
0.クロスカット部分を超えた剥がれ。
【0078】
フォーム接着試験の結果を表1に示す。例は「Ex」と略記した。比較例2、12及び15の対照配合物は、ポリエチレンアミンと有機スズ接着促進剤を使用しない場合、フォーム接着評価がゼロであることを示す。接着試験時に、比較例の板のポリウレタンフォームは基材から分離する。配合物がポリエチレンアミン成分EA−275を含有する場合、実施例3〜5、7〜10、13及び16の板で得られた結果から分かるように、EA−275の使用量の増加に伴ってフォーム接着評価は向上する。さらに、実施例4と6、実施例9と11、実施例13と14、実施例16と17のデータの対比から分かる通り、有機スズ化合物の存在によって、ポリエチレンアミン成分が同等のレベルである配合物のフォーム接着評価は格段に向上する。本明細書で開示した組成物は、様々な製品、特に自動車産業用製品の製造に使用できる。
【0079】
代表的な実施形態について本発明を例示し説明してきたが、本発明の要旨から逸脱せずに様々な修正及び代替がなすことができ、開示した詳細に限定されるものではない。本明細書に開示した発明のその他の修正及び均等は、単なるルーチン実験によって当業者が想到し得るものであり、かかる修正及び均等は、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨及び技術的範囲に属する。本明細書で引用した文献の開示内容は援用によって、本明細書の内容の一部をなす。
【0080】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約10〜約80重量%の1種以上のポリフェニレンエーテル樹脂、
(b)約20〜約70重量%の1種以上のポリオレフィンポリマー、
(c)約1〜約20重量%の1種以上のアミン化合物、及び
(d)0〜約4重量%の1種以上の接着促進剤
を含む樹脂組成物(但し、各成分の量は当該組成物の総重量を基準にする。)。
【請求項2】
前記ポリフェニレンエーテル樹脂が、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル)及びポリ[(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル−(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル)]共重合体からなる群から選択される、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記アミン化合物が、以下の(a)〜(d)の1種以上を含む、請求項1記載の樹脂組成物。
(a)次式の骨格を有するポリアミン
【化1】

(式中、RはC〜Cアルキレン、C〜Cアルキル置換アルキレン及びこれらの混合物であり、「m」は2〜約700の値を有し、「n」は約0〜約350の値を有し、骨格NH単位の約0%〜約100%が式(RO)10の1以上の基で置換されており、RはC〜Cアルキレン、C〜Cアルキル置換アルキレン及びこれらの混合物であり、R10は水素、C〜Cアルキル及びこれらの混合物であり、「p」は約1〜約12の値を有する。)、
(b)次式の骨格を有するポリアミン
【化2】

(式中、「q」は約5〜約10000の値を有する。)、
(c)シクロヘキシルアミン、1−ヘキサデシルアミン及び次式のトリアミンからなる群から選択される1種以上の第一アミン
【化3】

(式中、「x」、「y」及び「z」の合計は約3〜約20である。)、及び
(d)ジエチルアミン及びジプロピルアミンからなる群から選択される1種以上の第二アミン。
【請求項4】
前記接着促進剤が有機スズ化合物である、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記有機スズ化合物が、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキシド及びジオクチルスズオキシドからなる群から選択される1種以上である、請求項4記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記有機スズ化合物が、当該樹脂組成物の約0.1〜約4重量%存在する、請求項5記載の樹脂組成物。
【請求項7】
当該樹脂組成物が、ポリフェニレンエーテル−ポリオレフィン共重合体、ポリスチレン−ポリオレフィン共重合体及びポリスチレン樹脂からなる群の1種以上をさらに含む、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項8】
当該樹脂組成物が、ポリフェニレンエーテル−ポリプロピレン共重合体、ポリフェニレンエーテル−ポリエチレン共重合体及びポリフェニレンエーテル−エチレンプロピレン共重合体、並びにこれらのポリフェニレンエーテル−ポリオレフィン共重合体の混合物の群から選択される1種以上のポリフェニレンエーテル−ポリオレフィン共重合体をさらに含む、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項9】
当該樹脂組成物が、ポリスチレン−ポリプロピレン共重合体、スチレングラフト化ポリプロピレングラフト共重合体、水素化ポリスチレン−共役ジエンブロック共重合体、水素化ポリスチレン−共役ジエン−オレフィンブロック共重合体及びこれらのポリスチレン−ポリオレフィン共重合体の混合物からなる群から選択される1種以上のポリスチレン−ポリオレフィン共重合体をさらに含む、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記ポリスチレン−ポリオレフィン共重合体が、1種以上の水素化及び非水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体及びこれらのポリスチレン−ポリオレフィン共重合体の混合物から選択される、請求項9記載の樹脂組成物。
【請求項11】
当該樹脂組成物が、結晶性ポリスチレン樹脂、高流動性ポリスチレン樹脂及び耐衝撃性ポリスチレン樹脂からなる群から選択される1種以上のポリスチレン樹脂をさらに含む、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項12】
前記ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、ポリ(1−ブテン)、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(4−メチルペンテン−1,3−メチル−1−ブテン)、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(3,4−ジメチル−1−ブテン)、ポリ(1−ヘプテン)、ポリ(3−メチル−1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)及びこれらのポリオレフィン樹脂を含有する混合物からなる群から選択される、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項13】
前記ポリフェニレンエーテル樹脂が、アミノ、エポキシ、カルボン酸、カルボン酸エステル、オルトエステル、無水物、脂肪族炭素−炭素二重結合からなる群から選択される1以上の部分を含む1種以上の官能化ポリフェニレンエーテル樹脂を含む、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項14】
前記ポリオレフィン樹脂が、アミノ、エポキシ、カルボン酸、カルボン酸エステル、オルトエステル、無水物、脂肪族炭素−炭素二重結合からなる群から選択される1以上の部分を含む1種以上の官能化ポリプロピレン樹脂をさらに含む、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項15】
前記官能化ポリプロピレン樹脂が、ポリプロピレン−グラフト−無水マレイン酸共重合体を含む、請求項14記載の樹脂組成物。
【請求項16】
当該樹脂組成物が、安定剤、離型剤、加工助剤、難燃剤、ドリップ防止剤、成核剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、粒状導電性充填材、強化用充填材、酸化防止剤、帯電防止剤、発泡剤及びこれらの添加剤の混合物からなる群から選択される1種以上の添加剤をさらに含む、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項17】
(a)約20重量%以上のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂、
(b)約20重量%以上のポリプロピレンポリマー、
(c)約5重量%以上の、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体及びスチレングラフト化ポリプロピレンポリマーからなる群から選択される1種以上のポリスチレン−ポリオレフィンポリマー、
(d)約10重量%以下のポリプロピレン−グラフト−無水マレイン酸共重合体、
(e)約20〜約55重量%のポリスチレン樹脂、
(f)約0〜約4重量%の有機スズ接着促進剤、及び
(g)約1〜約20重量%のアミン化合物
を含む樹脂組成物(但し、各成分の量は当該組成物の総重量を基準にする。)であって、上記アミン化合物が、ポリエチレンイミン、シクロヘキシルアミン、1−ヘキサデシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン及び次式のトリアミンからなる群から選択される1種以上である樹脂組成物。
【化4】

式中、「x」、「y」及び「z」の合計は約5〜約6である。
【請求項18】
当該樹脂組成物が、1種以上の充填材、熱安定剤、高流動性ポリスチレン樹脂、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤及び紫外線吸収剤をさらに含む、請求項17記載の樹脂組成物。
【請求項19】
樹脂組成物とポリウレタンフォームの接着性を改良する方法であって、
1種以上のポリフェニレンエーテル樹脂と、
1種以上のポリオレフィンポリマーと、
(i)ポリフェニレンエーテル−ポリオレフィン共重合体、(ii)ポリスチレン−ポリオレフィンポリマー及び(iii)ポリスチレン樹脂の1種以上と、
適宜、官能化ポリスチレン樹脂及び官能化ポリオレフィン樹脂の1種以上と、
約0〜約4重量%の接着促進剤と、
1種以上のアミン化合物と
を含む樹脂組成物(但し、各成分の量は当該組成物の総重量を基準にする。)を形成する段階を含み、上記アミンを、ASTM D 3359A標準試験法で測定して、4以上の接着強度を生じる量で添加する方法。
【請求項20】
前記接着促進剤が、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド及びこれらの有機スズ化合物の混合物からなる群から選択される有機スズ化合物である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記ポリフェニレンエーテル樹脂が、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル)及びポリ[(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル−(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル)]共重合体からなる群から選択される、請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記ポリフェニレンエーテル−ポリオレフィン共重合体が、ポリフェニレンエーテル−ポリプロピレン共重合体、ポリフェニレンエーテル−ポリエチレン共重合体、ポリフェニレンエーテル−エチレン/プロピレン共重合体及びこれらのポリフェニレンエーテル−ポリオレフィン共重合体の混合物からなる群から選択され、前記ポリスチレン−ポリオレフィンポリマーが、ポリスチレン−ポリプロピレン共重合体、スチレングラフト化ポリプロピレンポリマー、水素化ポリスチレン−共役ジエンブロック共重合体、水素化ポリスチレン−共役ジエン−オレフィンブロック共重合体及びこれらのポリスチレン−ポリオレフィン共重合体の混合物からなる群から選択され、前記ポリスチレン樹脂が、ポリスチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン樹脂及びこれらのポリスチレン樹脂の混合物からなる群から選択される、請求項19記載の方法。
【請求項23】
前記ポリスチレン−ポリオレフィンポリマーが、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体及びスチレングラフト化ポリプロピレンポリマーから選択される、請求項19記載の方法。
【請求項24】
前記アミン化合物が、以下の(a)〜(d)の1以上を含む、請求項19記載の方法。
(a)次式の骨格を有するポリアミン
【化5】

(式中、RはC〜Cアルキレン、C〜Cアルキル置換アルキレン及びこれらの混合物であり、「m」は2〜約700の値を有し、「n」は約0〜約350の値を有し、骨格NH単位の約0%〜約100%が式(RO)10の1以上の基で置換されており、RはC〜Cアルキレン、C〜Cアルキル置換アルキレン及びこれらの混合物であり、R10は水素、C〜Cアルキル及びこれらの混合物であり、「p」は約1〜約12の値を有する。)、
(b)次式の骨格を有するポリアミン
【化6】

(式中、「q」は約5〜約10000の値を有する。)、
(c)シクロヘキシルアミン、1−ヘキサデシルアミン及び次式のトリアミンからなる群から選択される1種以上の第一アミン
【化7】

(式中、「x」、「y」及び「z」は、約3〜約20である。)、及び
(d)ジエチルアミン及びジプロピルアミンからなる群から選択される1種以上の第二アミン。
【請求項25】
前記官能化ポリオレフィン樹脂が、アミノ、エポキシ、カルボン酸、カルボン酸エステル、オルトエステル、無水物、脂肪族炭素−炭素二重結合からなる群から選択される1以上の部分を含む、請求項19記載の方法。
【請求項26】
前記官能化ポリスチレン樹脂が、アミノ、エポキシ、カルボン酸、カルボン酸エステル、オルトエステル、無水物、脂肪族炭素−炭素二重結合からなる群から選択される1以上の部分を含む、請求項19記載の方法。
【請求項27】
前記官能化ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン−グラフト−無水マレイン酸共重合体を含む、請求項19記載の方法。
【請求項28】
前記官能化ポリスチレン樹脂がポリスチレン−グラフト−無水マレイン酸共重合体を含む、請求項19記載の方法。
【請求項29】
樹脂組成物とポリウレタンフォームの接着性を改良する方法であって、
(a)約20重量%以上のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂と、
(b)約20重量%以上のポリプロピレンポリマーと、
(c)約5重量%以上の、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレントリブロック共重合体及びスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体から選択される1種以上のポリスチレン−ポリオレフィン共重合体と、
(d)0〜約10重量%のポリプロピレン−グラフト−無水マレイン酸共重合体、
(e)約20〜約55重量%のポリスチレン樹脂と、
(f)0〜約4重量%の有機スズ接着促進剤と、
(g)約1〜約20重量%のアミン化合物と
を含む樹脂組成物(但し、各成分の量は当該組成物の総重量を基準にする。)を形成する段階を含み、
上記アミンを、ASTM D 3359A標準試験法で測定して、4以上の接着強度を生じる量で添加する方法。
【請求項30】
前記有機スズ接着促進剤が、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド及びこれらの有機スズ化合物の混合物からなる群から選択される有機スズ化合物である、請求項29記載の方法。

【公表番号】特表2006−524287(P2006−524287A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509561(P2006−509561)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/009980
【国際公開番号】WO2004/094530
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】