橋脚とコンクリート桁の剛結合構造
【課題】本発明は鋼桁を使用したラーメン橋に比べ、架橋コストを大幅に低減でき、使用する総鋼材量を節減し、又鋼桁のような形状制限を伴うことなく、コンクリート桁を架橋現場に応じた形状に自在に成形できる橋脚とコンクリート桁の剛結合構造を提供する。
【解決手段】コンクリート桁2の両端に短尺形鋼から成る形鋼継手3の後半部を夫々埋設し、該各形鋼継手3の前半部をコンクリート桁2の端面から突出して成る継手付きPCコンクリート桁1を形成し、該コンクリート桁2端面から突出せる各形鋼継手部分3bを橋脚4の橋座面12上に支持しつつ該橋座面12から立ち上げた連結条材13と連結し、該各形鋼継手部分3bと連結条材13を上記橋座面12上に増し打ちした連結コンクリート14中に埋設した構成を有する橋脚4とコンクリート桁2の剛結合構造。
【解決手段】コンクリート桁2の両端に短尺形鋼から成る形鋼継手3の後半部を夫々埋設し、該各形鋼継手3の前半部をコンクリート桁2の端面から突出して成る継手付きPCコンクリート桁1を形成し、該コンクリート桁2端面から突出せる各形鋼継手部分3bを橋脚4の橋座面12上に支持しつつ該橋座面12から立ち上げた連結条材13と連結し、該各形鋼継手部分3bと連結条材13を上記橋座面12上に増し打ちした連結コンクリート14中に埋設した構成を有する橋脚4とコンクリート桁2の剛結合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラーメン橋におけるコンクリート桁の両端と橋脚の剛結合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1はH形鋼等の形鋼から成る鋼桁を、橋幅方向に並列しつつ、各鋼桁両端をコンクリート製橋脚の橋座面上に支持し、更に各鋼桁の両端を橋脚の橋座面から立ち上げた連結条材と連結し、上記橋座面上に連結コンクリートを増し打ちして上記鋼桁の両端を該連結コンクリート中に埋設し、該連結条材による連結と連結コンクリートを介して上記コンクリート製橋脚と鋼桁両端とを剛結合したラーメン橋を開示している。
【0003】
【特許文献1】特開2007−211566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、鋼材の高騰が著しく、H形鋼等の形鋼から成る鋼桁を使用した橋梁工事は、採算性の観点から実施が制限されている状況にあり、鋼材の浪費に繋がる。
【0005】
又形鋼は形状変更が難しく、個々の橋梁に応じた形状の選択が困難である。
【0006】
これに対しPCコンクリート桁(プレキャストコンクリート桁)は鋼桁に比べ非常に安価であり、橋梁設計に応じ容易に任意の形状に成形できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は橋桁として上記コンクリート桁を採用しつつ、該コンクリート桁の両端と橋脚との健全なる剛結合が得られる橋脚とコンクリート桁の剛結合構造を提供するものである。
【0008】
本発明においてはコンクリート桁の両端に短尺形鋼から成る形鋼継手の後半部を夫々埋設し、該各形鋼継手の前半部をコンクリート桁の端面から突出して成る継手付きPCコンクリート桁(継手付きプレキャストコンクリート桁)を事前に用意する。
【0009】
前半部と後半部とは二分の一の長さに限定されず、例えば一方が長く、他方が短い場合を包含する。
【0010】
上記継手付きPCコンクリート桁を現場に搬入し、該継手付きPCコンクリート桁を橋幅方向に並列しつつ、各コンクリート桁から突出する形鋼継手部分を橋脚の橋座面上に支持する。
【0011】
そして上記コンクリート桁端面から突出せる各形鋼継手部分を上記橋脚の橋座面から立ち上げた連結条材と連結し、該各形鋼継手部分と連結条材を上記橋座面上に増し打ちした連結コンクリート中に埋設し橋脚とコンクリート桁の剛結合構造を形成する。
【0012】
上記連結条材は上記各形鋼継手部分のフランジに貫挿し、該連結条材の貫挿端にナットを螺合してフランジ上に定着する。該ナットも上記連結コンクリート中に埋設する。
【0013】
上記形鋼継手部分と連結条材とはナットにより連結する他、溶接による連結、楔等の連結金具を用いることができる。上記ナットや溶接や連結金具は連結条材から形鋼継手部分が脱出するのを阻止するストッパーとして機能する。
【0014】
上記コンクリート桁から突出する各形鋼継手部分には横繋ぎ条材を貫挿し、該横繋ぎ条材を介して隣接するコンクリート桁の形鋼継手部分相互を連結する。該横繋ぎ条材も上記連結コンクリート中に埋設する。
【0015】
上記の通り、上記コンクリート桁端部のコンクリート中に形鋼継手の後半部が埋設され、上記連結コンクリート中に上記形鋼継手の前半部が埋設され、コンクリート桁と連結コンクリートとは形鋼継手を介して一体構造になる。
【0016】
本発明はコンクリート桁の端面から突出する上記各形鋼継手部分を橋脚の橋座面上に荷受けしてコンクリート桁を間接的に荷受けする実施例と、上記各形鋼継手部分を橋脚の橋座面上に荷受けすると同時に、コンクリート桁の両端末を同橋座面上に直接荷受けする実施例を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、前記した鋼桁を使用したラーメン橋に比べ、架橋コストを大幅に低減でき、総鋼材量の節減に繋がる。又鋼桁のような形状制限を伴うことなく、コンクリート桁を架橋現場に応じた形状に自在に成形できる。
【0018】
又現場において桁間に打設するコンクリート量を低減でき、打設作業を軽減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図25に基づき説明する。
【0020】
図1乃至図5は本発明に係るコンクリート製橋脚4(橋台を含む)とコンクリート桁2の剛結合構造に用いられる継手付きPCコンクリート桁1の第一例を示し、図6乃至図10は同継手付きPCコンクリート桁1の第二例を示し、図11乃至図15は同継手付きPCコンクリート桁1の第三例を示す。
【0021】
各例示の継手付きPCコンクリート桁1はコンクリート桁2の両端に短尺形鋼から成る一対の形鋼継手3を備える。
【0022】
各短尺形鋼から成る形鋼継手3は後半部をコンクリート桁2の各端部に夫々埋設し、該各形鋼継手3の前半部をコンクリート桁2の端面から突出して上記継手付きPCコンクリート桁1を形成している。
【0023】
詳述すると、コンクリート桁2の一端に第一形鋼継手3の後半部の形鋼継手部分3aを埋設し、該第一形鋼継手3の前半部の形鋼継手部分3bをコンクリート桁2の一端面から突出せしめる。
【0024】
同様に上記コンクリート桁2の他端に第二形鋼継手3の後半部の形鋼継手部分3aを埋設し、該第二形鋼継手3の前半部の形鋼継手部分3bをコンクリート桁2の他端面から突出せしめる。
【0025】
上記前半部と後半部とは形鋼継手3の二分の一の長さに限定されず、例えば一方が長く、他方が短い場合を包含する。
【0026】
上記コンクリート桁2の端面から突出した形鋼継手部分3bには、ウェブ6を橋幅方向に貫通する複数の貫通孔8aを設け、該貫通孔8aを後記する横繋ぎ条材7の貫挿に供する。
【0027】
更に上記形鋼継手部分3bのフランジ10を上下方向に貫通する複数の貫通孔8bを設け、該貫通孔8bを後記する連結条材13の貫挿に供する。
【0028】
又コンクリート桁2の端部に埋設した形鋼継手部分3aには、ウェブ6を橋幅方向に貫通する複数の貫通孔8aを設け、該貫通孔8aに補強鉄筋16を貫挿し、該補強鉄筋16をコンクリート桁2中に埋設する。
【0029】
上記補強鉄筋16は短直の鉄筋を貫通孔8aの夫々に貫挿するか、それより長い鉄筋を貫通孔8aの夫々に貫挿しつつ、コンクリート桁2の長手方向に屈曲し同桁2内に埋設することができる。
【0030】
図1乃至図5に示す第一例は、上記コンクリート桁2として比較的断面積の大きな柱状部11の下部両側に短幅のフランジ9を有する略逆T形コンクリート桁2を用い、又上記形鋼継手3としてウェブ6の上下端の両側にフランジ10を有するH形鋼を用い、該H形鋼3の後半部を上記コンクリート桁2の端部に埋設し、同前半部をコンクリート桁2の端面から突出し、両者2,3を前記の如く一体構造とした場合を示している。
【0031】
上記形鋼継手3をH形鋼で形成する場合には、上下フランジ10に上記貫通孔8bを設ける。
【0032】
又実施態様として、図5に示すように形鋼継手部分3aの上下フランジ10に逆U字形の補強鉄筋23を、ウェブ6を跨ぐように貫挿し、該形鋼継手部分3aを逆U字形補強鉄筋23と一緒にコンクリート桁2の端部に埋設することができる。該U字形補鉄強筋23は形鋼継手部分3aとコンクリート桁2の結合強度を増強し、コンクリート桁2の端部と形鋼継手部分3aの埋設部に実質的に負荷される耐荷力を向上せしめる。
【0033】
次に図6乃至図10に示す第二例は、第一例と同様、上記コンクリート桁2として比較的断面積の大きな柱状部11の下部両側に短幅のフランジ9を有する略逆T形コンクリート桁2を用い、又上記形鋼継手3としてウェブ6の上下端から一側方に張り出したフランジ10を有するC形鋼を用い、該C形鋼3の後半部を上記コンクリート桁2の端部に埋設し、同前半部をコンクリート桁2の端面から突出し、両者2,3を前記の如く一体構造とした場合を示している。
【0034】
第二例においては、コンクリート桁2の一端と他端の形鋼継手3の夫々を二本のC形鋼3で形成した場合を示している。二本のC形鋼3はウェブ6を平行に対面し、フランジ10が外側方へ突出するように間隔を置いて並列してコンクリート桁2の端部に埋設した場合を示している。
【0035】
次に図11乃至図15に示す第三例は、上記コンクリート桁2としてウェブ11′の上端両側にフランジ9を有するT形のコンクリート桁2を用い、又上記形鋼継手3としてウェブ6の上端両側にフランジ10を有するT形鋼を用い、該T形鋼3の後半部を上記コンクリート桁2の端部に埋設し、同前半部をコンクリート桁2の端面から突出し、両者2,3を前記の如く一体構造とした場合を示している。
【0036】
上記T形鋼はそのフランジ10をT形コンクリート桁2のフランジ9中に埋設し、T形鋼のウェブ6をT形コンクリート桁2のウェブ11′中に埋設する。
【0037】
本発明は上記各例示に示すH形鋼、T形鋼、C形鋼に限定されず、I形鋼、L形鋼、Z形鋼等の各種断面形状を有する形鋼を形鋼継手3として使用する場合を含み、コンクリート桁2の形状に応じ、各種形鋼を選択的に使用できる。
【0038】
上記各種形鋼はJIS規格等の押し出し成形した形鋼を用いることができる他、ウェブ板とフランジ板を溶接して上記各種断面形状を有する形鋼にしたものを使用できる。
【0039】
上記第一、第二、第三例に示す継手付きPCコンクリート桁1は、工場にて製造し、架橋現場に搬入して使用する。
【0040】
上記継手付きPCコンクリート桁1の第二例と第三例においても、前記第一例において説明した逆U字形補強鉄筋23を使用することができる。即ち、C形鋼(第二例)、T形鋼(第三例)を形鋼継手3として用いた場合にも、形鋼継手部分3aのフランジ10に逆U字形補強鉄筋23を、ウェブ6を跨ぐように貫挿してコンクリート桁2中に埋設することができる。
【0041】
以下図16乃至図25に基づき上記継手付きPCコンクリート桁1を用いた橋脚4とコンクリート桁2の剛結合構造について説明する。
【0042】
以下に説明する継手付きPCコンクリート桁1と橋脚4との剛結合構造は図17に示す単径間ラーメン橋、又は図18に示す複径間ラーメン橋に実施できる。
【0043】
図19、図20は図1乃至図5に示す継手付きPCコンクリート桁1を用い形成したラーメン橋の剛結合部を示す横断面図、図21、図22は図6乃至図10に示す継手付きPCコンクリート桁1を用い形成したラーメン橋の剛結合部を示す横断面図、図23、図24は図11乃至図15に示す継手付きPCコンクリート桁1を用い形成したラーメン橋の剛結合部を示す横断面図である。
【0044】
図19、図21、図23は連結コンクリート14打設前の状態を示す断面図、図20、図22、図24は連結コンクリート14打設後の状態を示す断面図である。
【0045】
図16Aは上記コンクリート桁2と橋脚4の剛結合部を連結コンクリート14打設前の状態を以って示す拡大断面図、図16Bは同連結コンクリート14打設後の状態を以って示す拡大断面図である。
【0046】
上記コンクリート桁2から突出する形鋼継手部分3bを橋脚4の橋座面12上に支持して橋幅方向に並列しつつ、コンクリート桁2を橋幅方向に並列する。
【0047】
次に上記各形鋼継手部分3bを橋座面12から立ち上げた連結条材13と連結し、具体例として上記連結条材13にナット17を螺合し、横繋ぎ条材7を貫挿し、橋座面12の上面に連結コンクリート14を打設する。
【0048】
上記の通り、上記コンクリート桁2端部のコンクリート中に形鋼継手3の後半部が埋設され、上記連結コンクリート14中に上記形鋼継手3の前半部が埋設され、コンクリート桁2と連結コンクリート14とは形鋼継手3を介して一体構造になる。
【0049】
上記連結条材13は例えば鉄筋等の鋼棒にて形成し、該鋼棒の下端をコンクリート製橋脚4に一体に埋設して橋座面12から立ち上げる。又は鋼棒の他、ケーブルの使用が可能である。
【0050】
連結条材13として鋼棒を用いる場合、コンクリート製橋脚4に埋設した補強鉄筋15の端部を橋座面12から上方へ突出し、該突出部分で上記鋼棒(連結条材13)を形成する。
【0051】
上記連結条材13を形鋼継手部分3bのフランジ10に設けた貫通孔8bに貫挿し、フランジ10の上面から突出する連結条材13の突出端(突出端の雄ねじ)にナット17を螺合し、該ナット17をフランジ10上面に定着して形鋼継手部分3bを橋脚4に連結する。
【0052】
上記ナット17は形鋼継手部分3bの浮き上がりを阻止するストッパー機能を有し、該ストッパー機能を有する他の楔や抜け止め金具を用いることができる。
【0053】
形鋼継手3をH形鋼で形成した場合には、形鋼継手部分3bの上下フランジ10に上記連結条材13を貫挿し、連結条材13の上端部にナット17を螺合して上フランジ10の上面に定着する。
【0054】
上記ナット17はフランジ10の上面に直接定着するか、支圧材18を介してフランジ10の上面に定着せしめる。
【0055】
上記支圧材18は橋幅方向に並列された形鋼継手部分3bを橋幅方向に横断するように延在し、各形鋼継手部分3bのフランジ10上面に架橋載置する。
【0056】
一例として一条の支圧材18を橋幅方向に並列した全形鋼継手部分3bを横断するように設置する。他例として上記支圧材18を分割した長さにし、各分割支圧材18を隣接する二本以上の形鋼継手部分3bのフランジ10上に架橋して載置することができる。
【0057】
上記支圧材18を使用した場合、上記連結条材13群の一部を形鋼継手部分3bのフランジ10の貫通孔8bに貫挿すると共に支圧材18のフランジ10上に支持された部分に貫挿し、該支圧材18上面においてナット17を螺合し定着する。
【0058】
又上記連結条材13群の他の一部を隣接する形鋼継手3間の間隔を通して立ち上げ、即ちフランジ10間の間隔を通して立ち上げ、支圧材18の形鋼継手部分3b間に延在する部分18a、即ちフランジ10間に延在する支圧材部分18aに連結条材13の上端を貫挿してナット17を螺合し、支圧材部分18a上面に定着する。
【0059】
上記支圧材18としてはコ形チャンネル、同L形チャンネル等の形チャンネルを用いることができる。同コ形チャンネル、L形チャンネル等の形チャンネルは曲げ強度が高く、又連結コンクリート14との結合作用が大であり、支圧材18として適性である。本発明は上記形チャンネルに代え、鋼製の平条板を支圧材18として用いる場合を排除するものではない。
【0060】
次に上記橋座面12上に支持された各形鋼継手部分3bの貫通孔8aに鋼棒、鋼ケーブル、他の高張力繊維から成るケーブル等から成る横繋ぎ条材7を貫挿し、該横繋ぎ条材7を介して橋幅方向に隣接するコンクリート桁の形鋼継手部分3b相互を連結する。該連結を介して橋幅方向に隣接するコンクリート桁2相互を連結する。
【0061】
再述すると、上記横繋ぎ条材7は橋幅方向に並列された全形鋼継手部分3bに貫挿し、同条材7両端を橋幅方向の最外端に設置された形鋼継手部分3bのウェブ6の外側面においてナット19を螺合し、該ウェブ6の外側面に定着する。
【0062】
上記ナット17を連結条材13に螺合する作業の前に、上記横繋ぎ条材7を貫挿しナット19を螺合する作業を行うことができる。又はナット17を連結条材13に螺合する作業の後に、上記横繋ぎ条材7を貫挿しナット19を螺合する作業を行うことができる。
【0063】
又上記継手付きPCコンクリート桁1のコンクリート桁2間の間隔には、橋長方向に亘り間詰めコンクリート20を充填する。該間詰めコンクリート20は各コンクリート桁2と連結すると同時に、間詰めコンクリート20両端は連結コンクリート14と連結し、コンクリート桁2と間詰めコンクリート20にてコンクリート床版を形成する。
【0064】
上記コンクリート床版の上面にコンクリート舗装又はアスファルト舗装21を施し路盤を形成する。従って該舗装21は上記コンクリート桁2と間詰めコンクリート20と形鋼継手3を覆うように一体に積層される。
【0065】
上記間詰めコンクリート20は連結条材13にナット17を螺合する工程の前後、又は横繋ぎ条材7を貫挿する工程の前後に充填することができる。
【0066】
上記継手付きPCコンクリート桁1の形鋼継手部分3bを上記コンクリート製橋脚4の橋座面12に直接支持するか、該橋座面12上にコンクリート製又は形鋼製の枕材22を設け、該枕材22上に形鋼継手部分3bを支持し、即ち橋座面12上に枕材22を介して形鋼継手部分3bを間接支持し、該枕材22を上記連結コンクリート14内に埋設する。
【0067】
上記連結コンクリート14は枕材22によって形成されたスペース内に充填された底部コンクリート14aと、形鋼継手3の端面を覆う端部コンクリート14bを有する。よって形鋼継手部分3bと横繋ぎ条材7と連結条材13とナット17,19と支圧材18と枕材22は連結コンクリート14中に埋設する。
【0068】
上記継手付きPCコンクリート桁1は形鋼継手部分3bを以って橋脚4の橋座面12上に支持するか、又は図25に示すように、同コンクリート桁1の形鋼継手部分3bを橋脚4の橋座面12上に支持すると同時に、コンクリート桁2の両端末を橋脚4の橋座面12上に支持し、コンクリート桁2の両端面を連結コンクリート14と結合する。
【0069】
上記コンクリート桁2の端面から突出する各形鋼継手部分3bとコンクリート桁2の両端を上記橋脚4の橋座面12上に荷受けし、上記連結条材13との連結と、横繋ぎ条材7の貫挿と、連結コンクリート14の現場打設とを行う。
【0070】
上記図25に示した例は図17に示す単径間ラーメン橋と図18に示す複径間ラーメン橋に実施できることは勿論である。
【0071】
図18に示す複径間ラーメン橋の場合には、中間の橋脚4上に並列して枕材22を設け、一方の枕材22に一方の径間を形成するPCコンクリート桁1の形鋼継手部分3bを支持して連結条材13と連結し、他方の枕材22に他方の径間を形成するPCコンクリート桁1の形鋼継手部分3bを支持して連結条材13と連結し、同じ橋脚4上で対向する両形鋼継手部分3bと両横繋ぎ条材7と両枕材22を連結コンクリート14中に一緒に埋設し剛結合構造を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係るコンクリート製橋脚(橋台を含む)とコンクリート桁の剛結合構造に用いられる継手付きPCコンクリート桁の第一例を示す斜視図。
【図2】図1に示すコンクリート桁の平面図。
【図3】図1に示すコンクリート桁の正面図。
【図4】図1に示すコンクリート桁の縦断面図。
【図5】図1に示すコンクリート桁の横断面図。
【図6】本発明に係るコンクリート製橋脚(橋台を含む)とコンクリート桁の剛結合構造に用いられる継手付きPCコンクリート桁の第二例を示す斜視図。
【図7】図6に示すコンクリート桁の平面図。
【図8】図6に示すコンクリート桁の正面図。
【図9】図6に示すコンクリート桁の縦断面図。
【図10】図6に示すコンクリート桁の横断面図。
【図11】本発明に係るコンクリート製橋脚(橋台を含む)とコンクリート桁の剛結合構造に用いられる継手付きPCコンクリート桁の第三例を示す斜視図。
【図12】図11に示すコンクリート桁の平面図。
【図13】図11に示すコンクリート桁の正面図。
【図14】図11に示すコンクリート桁の縦断面図。
【図15】図11に示すコンクリート桁の横断面図。
【図16】Aは上記コンクリート桁と橋脚の剛結合部を連結コンクリート打設前の状態を以って示す縦断面図、Bは同連結コンクリート打設後の状態を以って示す縦断面図。
【図17】継手付きPCコンクリート桁を用いた単径間ラーメン橋の縦断面図。
【図18】継手付きPCコンクリート桁を用いた複径間ラーメン橋の縦断面図。
【図19】図1乃至図5に示す継手付きPCコンクリート桁を用い形成したラーメン橋の剛結合部を、連結コンクリート打設前の状態を以って示す正面図。
【図20】図1乃至図5に示す継手付きPCコンクリート桁を用い形成したラーメン橋の剛結合部を、連結コンクリート打設後の状態を以って示す縦断面図。
【図21】図6乃至図10に示す継手付きPCコンクリート桁を用い形成したラーメン橋を形鋼継手の端面から視た、連結コンクリート打設前の状態を以って示す縦断面図。
【図22】図6乃至図10に示す継手付きPCコンクリート桁を用い形成したラーメン橋を形鋼継手の端面から視た、連結コンクリート打設後の状態を以って示す縦断面図。
【図23】図11乃至図15に示す継手付きPCコンクリート桁を用い形成したラーメン橋を形鋼継手の端面から視た、連結コンクリート打設前の状態を以って示す縦断面図。
【図24】図11乃至図15に示す継手付きPCコンクリート桁を用い形成したラーメン橋を形鋼継手の端面から視た、連結コンクリート打設後の状態を以って示す縦断面図。
【図25】Aはコンクリート桁の形鋼継手部分とコンクリート桁の両端末を橋脚の橋座面上に支持した例を、連結コンクリート打設前の状態を以って示す縦断面図、Bは同連結コンクリート打設後の状態を以って示す縦断面図。
【符号の説明】
【0073】
1…継手付きPCコンクリート桁、2…コンクリート桁、3…形鋼継手、3a,3b…形鋼継手部分、4…橋脚、6…ウェブ、7…横繋ぎ条材、8a,8b…貫通孔、9,10…フランジ、11…柱状部、11′…ウェブ、12…橋座面、13…連結条材、14…連結コンクリート、14a…底部コンクリート、14b…端部コンクリート、15,16…補強鉄筋、17…ナット、18…支圧材、18a…支圧材部分、19…ナット、20…間詰めコンクリート、21…舗装、22…枕材、23…補強鉄筋。
【技術分野】
【0001】
本発明はラーメン橋におけるコンクリート桁の両端と橋脚の剛結合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1はH形鋼等の形鋼から成る鋼桁を、橋幅方向に並列しつつ、各鋼桁両端をコンクリート製橋脚の橋座面上に支持し、更に各鋼桁の両端を橋脚の橋座面から立ち上げた連結条材と連結し、上記橋座面上に連結コンクリートを増し打ちして上記鋼桁の両端を該連結コンクリート中に埋設し、該連結条材による連結と連結コンクリートを介して上記コンクリート製橋脚と鋼桁両端とを剛結合したラーメン橋を開示している。
【0003】
【特許文献1】特開2007−211566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、鋼材の高騰が著しく、H形鋼等の形鋼から成る鋼桁を使用した橋梁工事は、採算性の観点から実施が制限されている状況にあり、鋼材の浪費に繋がる。
【0005】
又形鋼は形状変更が難しく、個々の橋梁に応じた形状の選択が困難である。
【0006】
これに対しPCコンクリート桁(プレキャストコンクリート桁)は鋼桁に比べ非常に安価であり、橋梁設計に応じ容易に任意の形状に成形できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は橋桁として上記コンクリート桁を採用しつつ、該コンクリート桁の両端と橋脚との健全なる剛結合が得られる橋脚とコンクリート桁の剛結合構造を提供するものである。
【0008】
本発明においてはコンクリート桁の両端に短尺形鋼から成る形鋼継手の後半部を夫々埋設し、該各形鋼継手の前半部をコンクリート桁の端面から突出して成る継手付きPCコンクリート桁(継手付きプレキャストコンクリート桁)を事前に用意する。
【0009】
前半部と後半部とは二分の一の長さに限定されず、例えば一方が長く、他方が短い場合を包含する。
【0010】
上記継手付きPCコンクリート桁を現場に搬入し、該継手付きPCコンクリート桁を橋幅方向に並列しつつ、各コンクリート桁から突出する形鋼継手部分を橋脚の橋座面上に支持する。
【0011】
そして上記コンクリート桁端面から突出せる各形鋼継手部分を上記橋脚の橋座面から立ち上げた連結条材と連結し、該各形鋼継手部分と連結条材を上記橋座面上に増し打ちした連結コンクリート中に埋設し橋脚とコンクリート桁の剛結合構造を形成する。
【0012】
上記連結条材は上記各形鋼継手部分のフランジに貫挿し、該連結条材の貫挿端にナットを螺合してフランジ上に定着する。該ナットも上記連結コンクリート中に埋設する。
【0013】
上記形鋼継手部分と連結条材とはナットにより連結する他、溶接による連結、楔等の連結金具を用いることができる。上記ナットや溶接や連結金具は連結条材から形鋼継手部分が脱出するのを阻止するストッパーとして機能する。
【0014】
上記コンクリート桁から突出する各形鋼継手部分には横繋ぎ条材を貫挿し、該横繋ぎ条材を介して隣接するコンクリート桁の形鋼継手部分相互を連結する。該横繋ぎ条材も上記連結コンクリート中に埋設する。
【0015】
上記の通り、上記コンクリート桁端部のコンクリート中に形鋼継手の後半部が埋設され、上記連結コンクリート中に上記形鋼継手の前半部が埋設され、コンクリート桁と連結コンクリートとは形鋼継手を介して一体構造になる。
【0016】
本発明はコンクリート桁の端面から突出する上記各形鋼継手部分を橋脚の橋座面上に荷受けしてコンクリート桁を間接的に荷受けする実施例と、上記各形鋼継手部分を橋脚の橋座面上に荷受けすると同時に、コンクリート桁の両端末を同橋座面上に直接荷受けする実施例を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、前記した鋼桁を使用したラーメン橋に比べ、架橋コストを大幅に低減でき、総鋼材量の節減に繋がる。又鋼桁のような形状制限を伴うことなく、コンクリート桁を架橋現場に応じた形状に自在に成形できる。
【0018】
又現場において桁間に打設するコンクリート量を低減でき、打設作業を軽減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図25に基づき説明する。
【0020】
図1乃至図5は本発明に係るコンクリート製橋脚4(橋台を含む)とコンクリート桁2の剛結合構造に用いられる継手付きPCコンクリート桁1の第一例を示し、図6乃至図10は同継手付きPCコンクリート桁1の第二例を示し、図11乃至図15は同継手付きPCコンクリート桁1の第三例を示す。
【0021】
各例示の継手付きPCコンクリート桁1はコンクリート桁2の両端に短尺形鋼から成る一対の形鋼継手3を備える。
【0022】
各短尺形鋼から成る形鋼継手3は後半部をコンクリート桁2の各端部に夫々埋設し、該各形鋼継手3の前半部をコンクリート桁2の端面から突出して上記継手付きPCコンクリート桁1を形成している。
【0023】
詳述すると、コンクリート桁2の一端に第一形鋼継手3の後半部の形鋼継手部分3aを埋設し、該第一形鋼継手3の前半部の形鋼継手部分3bをコンクリート桁2の一端面から突出せしめる。
【0024】
同様に上記コンクリート桁2の他端に第二形鋼継手3の後半部の形鋼継手部分3aを埋設し、該第二形鋼継手3の前半部の形鋼継手部分3bをコンクリート桁2の他端面から突出せしめる。
【0025】
上記前半部と後半部とは形鋼継手3の二分の一の長さに限定されず、例えば一方が長く、他方が短い場合を包含する。
【0026】
上記コンクリート桁2の端面から突出した形鋼継手部分3bには、ウェブ6を橋幅方向に貫通する複数の貫通孔8aを設け、該貫通孔8aを後記する横繋ぎ条材7の貫挿に供する。
【0027】
更に上記形鋼継手部分3bのフランジ10を上下方向に貫通する複数の貫通孔8bを設け、該貫通孔8bを後記する連結条材13の貫挿に供する。
【0028】
又コンクリート桁2の端部に埋設した形鋼継手部分3aには、ウェブ6を橋幅方向に貫通する複数の貫通孔8aを設け、該貫通孔8aに補強鉄筋16を貫挿し、該補強鉄筋16をコンクリート桁2中に埋設する。
【0029】
上記補強鉄筋16は短直の鉄筋を貫通孔8aの夫々に貫挿するか、それより長い鉄筋を貫通孔8aの夫々に貫挿しつつ、コンクリート桁2の長手方向に屈曲し同桁2内に埋設することができる。
【0030】
図1乃至図5に示す第一例は、上記コンクリート桁2として比較的断面積の大きな柱状部11の下部両側に短幅のフランジ9を有する略逆T形コンクリート桁2を用い、又上記形鋼継手3としてウェブ6の上下端の両側にフランジ10を有するH形鋼を用い、該H形鋼3の後半部を上記コンクリート桁2の端部に埋設し、同前半部をコンクリート桁2の端面から突出し、両者2,3を前記の如く一体構造とした場合を示している。
【0031】
上記形鋼継手3をH形鋼で形成する場合には、上下フランジ10に上記貫通孔8bを設ける。
【0032】
又実施態様として、図5に示すように形鋼継手部分3aの上下フランジ10に逆U字形の補強鉄筋23を、ウェブ6を跨ぐように貫挿し、該形鋼継手部分3aを逆U字形補強鉄筋23と一緒にコンクリート桁2の端部に埋設することができる。該U字形補鉄強筋23は形鋼継手部分3aとコンクリート桁2の結合強度を増強し、コンクリート桁2の端部と形鋼継手部分3aの埋設部に実質的に負荷される耐荷力を向上せしめる。
【0033】
次に図6乃至図10に示す第二例は、第一例と同様、上記コンクリート桁2として比較的断面積の大きな柱状部11の下部両側に短幅のフランジ9を有する略逆T形コンクリート桁2を用い、又上記形鋼継手3としてウェブ6の上下端から一側方に張り出したフランジ10を有するC形鋼を用い、該C形鋼3の後半部を上記コンクリート桁2の端部に埋設し、同前半部をコンクリート桁2の端面から突出し、両者2,3を前記の如く一体構造とした場合を示している。
【0034】
第二例においては、コンクリート桁2の一端と他端の形鋼継手3の夫々を二本のC形鋼3で形成した場合を示している。二本のC形鋼3はウェブ6を平行に対面し、フランジ10が外側方へ突出するように間隔を置いて並列してコンクリート桁2の端部に埋設した場合を示している。
【0035】
次に図11乃至図15に示す第三例は、上記コンクリート桁2としてウェブ11′の上端両側にフランジ9を有するT形のコンクリート桁2を用い、又上記形鋼継手3としてウェブ6の上端両側にフランジ10を有するT形鋼を用い、該T形鋼3の後半部を上記コンクリート桁2の端部に埋設し、同前半部をコンクリート桁2の端面から突出し、両者2,3を前記の如く一体構造とした場合を示している。
【0036】
上記T形鋼はそのフランジ10をT形コンクリート桁2のフランジ9中に埋設し、T形鋼のウェブ6をT形コンクリート桁2のウェブ11′中に埋設する。
【0037】
本発明は上記各例示に示すH形鋼、T形鋼、C形鋼に限定されず、I形鋼、L形鋼、Z形鋼等の各種断面形状を有する形鋼を形鋼継手3として使用する場合を含み、コンクリート桁2の形状に応じ、各種形鋼を選択的に使用できる。
【0038】
上記各種形鋼はJIS規格等の押し出し成形した形鋼を用いることができる他、ウェブ板とフランジ板を溶接して上記各種断面形状を有する形鋼にしたものを使用できる。
【0039】
上記第一、第二、第三例に示す継手付きPCコンクリート桁1は、工場にて製造し、架橋現場に搬入して使用する。
【0040】
上記継手付きPCコンクリート桁1の第二例と第三例においても、前記第一例において説明した逆U字形補強鉄筋23を使用することができる。即ち、C形鋼(第二例)、T形鋼(第三例)を形鋼継手3として用いた場合にも、形鋼継手部分3aのフランジ10に逆U字形補強鉄筋23を、ウェブ6を跨ぐように貫挿してコンクリート桁2中に埋設することができる。
【0041】
以下図16乃至図25に基づき上記継手付きPCコンクリート桁1を用いた橋脚4とコンクリート桁2の剛結合構造について説明する。
【0042】
以下に説明する継手付きPCコンクリート桁1と橋脚4との剛結合構造は図17に示す単径間ラーメン橋、又は図18に示す複径間ラーメン橋に実施できる。
【0043】
図19、図20は図1乃至図5に示す継手付きPCコンクリート桁1を用い形成したラーメン橋の剛結合部を示す横断面図、図21、図22は図6乃至図10に示す継手付きPCコンクリート桁1を用い形成したラーメン橋の剛結合部を示す横断面図、図23、図24は図11乃至図15に示す継手付きPCコンクリート桁1を用い形成したラーメン橋の剛結合部を示す横断面図である。
【0044】
図19、図21、図23は連結コンクリート14打設前の状態を示す断面図、図20、図22、図24は連結コンクリート14打設後の状態を示す断面図である。
【0045】
図16Aは上記コンクリート桁2と橋脚4の剛結合部を連結コンクリート14打設前の状態を以って示す拡大断面図、図16Bは同連結コンクリート14打設後の状態を以って示す拡大断面図である。
【0046】
上記コンクリート桁2から突出する形鋼継手部分3bを橋脚4の橋座面12上に支持して橋幅方向に並列しつつ、コンクリート桁2を橋幅方向に並列する。
【0047】
次に上記各形鋼継手部分3bを橋座面12から立ち上げた連結条材13と連結し、具体例として上記連結条材13にナット17を螺合し、横繋ぎ条材7を貫挿し、橋座面12の上面に連結コンクリート14を打設する。
【0048】
上記の通り、上記コンクリート桁2端部のコンクリート中に形鋼継手3の後半部が埋設され、上記連結コンクリート14中に上記形鋼継手3の前半部が埋設され、コンクリート桁2と連結コンクリート14とは形鋼継手3を介して一体構造になる。
【0049】
上記連結条材13は例えば鉄筋等の鋼棒にて形成し、該鋼棒の下端をコンクリート製橋脚4に一体に埋設して橋座面12から立ち上げる。又は鋼棒の他、ケーブルの使用が可能である。
【0050】
連結条材13として鋼棒を用いる場合、コンクリート製橋脚4に埋設した補強鉄筋15の端部を橋座面12から上方へ突出し、該突出部分で上記鋼棒(連結条材13)を形成する。
【0051】
上記連結条材13を形鋼継手部分3bのフランジ10に設けた貫通孔8bに貫挿し、フランジ10の上面から突出する連結条材13の突出端(突出端の雄ねじ)にナット17を螺合し、該ナット17をフランジ10上面に定着して形鋼継手部分3bを橋脚4に連結する。
【0052】
上記ナット17は形鋼継手部分3bの浮き上がりを阻止するストッパー機能を有し、該ストッパー機能を有する他の楔や抜け止め金具を用いることができる。
【0053】
形鋼継手3をH形鋼で形成した場合には、形鋼継手部分3bの上下フランジ10に上記連結条材13を貫挿し、連結条材13の上端部にナット17を螺合して上フランジ10の上面に定着する。
【0054】
上記ナット17はフランジ10の上面に直接定着するか、支圧材18を介してフランジ10の上面に定着せしめる。
【0055】
上記支圧材18は橋幅方向に並列された形鋼継手部分3bを橋幅方向に横断するように延在し、各形鋼継手部分3bのフランジ10上面に架橋載置する。
【0056】
一例として一条の支圧材18を橋幅方向に並列した全形鋼継手部分3bを横断するように設置する。他例として上記支圧材18を分割した長さにし、各分割支圧材18を隣接する二本以上の形鋼継手部分3bのフランジ10上に架橋して載置することができる。
【0057】
上記支圧材18を使用した場合、上記連結条材13群の一部を形鋼継手部分3bのフランジ10の貫通孔8bに貫挿すると共に支圧材18のフランジ10上に支持された部分に貫挿し、該支圧材18上面においてナット17を螺合し定着する。
【0058】
又上記連結条材13群の他の一部を隣接する形鋼継手3間の間隔を通して立ち上げ、即ちフランジ10間の間隔を通して立ち上げ、支圧材18の形鋼継手部分3b間に延在する部分18a、即ちフランジ10間に延在する支圧材部分18aに連結条材13の上端を貫挿してナット17を螺合し、支圧材部分18a上面に定着する。
【0059】
上記支圧材18としてはコ形チャンネル、同L形チャンネル等の形チャンネルを用いることができる。同コ形チャンネル、L形チャンネル等の形チャンネルは曲げ強度が高く、又連結コンクリート14との結合作用が大であり、支圧材18として適性である。本発明は上記形チャンネルに代え、鋼製の平条板を支圧材18として用いる場合を排除するものではない。
【0060】
次に上記橋座面12上に支持された各形鋼継手部分3bの貫通孔8aに鋼棒、鋼ケーブル、他の高張力繊維から成るケーブル等から成る横繋ぎ条材7を貫挿し、該横繋ぎ条材7を介して橋幅方向に隣接するコンクリート桁の形鋼継手部分3b相互を連結する。該連結を介して橋幅方向に隣接するコンクリート桁2相互を連結する。
【0061】
再述すると、上記横繋ぎ条材7は橋幅方向に並列された全形鋼継手部分3bに貫挿し、同条材7両端を橋幅方向の最外端に設置された形鋼継手部分3bのウェブ6の外側面においてナット19を螺合し、該ウェブ6の外側面に定着する。
【0062】
上記ナット17を連結条材13に螺合する作業の前に、上記横繋ぎ条材7を貫挿しナット19を螺合する作業を行うことができる。又はナット17を連結条材13に螺合する作業の後に、上記横繋ぎ条材7を貫挿しナット19を螺合する作業を行うことができる。
【0063】
又上記継手付きPCコンクリート桁1のコンクリート桁2間の間隔には、橋長方向に亘り間詰めコンクリート20を充填する。該間詰めコンクリート20は各コンクリート桁2と連結すると同時に、間詰めコンクリート20両端は連結コンクリート14と連結し、コンクリート桁2と間詰めコンクリート20にてコンクリート床版を形成する。
【0064】
上記コンクリート床版の上面にコンクリート舗装又はアスファルト舗装21を施し路盤を形成する。従って該舗装21は上記コンクリート桁2と間詰めコンクリート20と形鋼継手3を覆うように一体に積層される。
【0065】
上記間詰めコンクリート20は連結条材13にナット17を螺合する工程の前後、又は横繋ぎ条材7を貫挿する工程の前後に充填することができる。
【0066】
上記継手付きPCコンクリート桁1の形鋼継手部分3bを上記コンクリート製橋脚4の橋座面12に直接支持するか、該橋座面12上にコンクリート製又は形鋼製の枕材22を設け、該枕材22上に形鋼継手部分3bを支持し、即ち橋座面12上に枕材22を介して形鋼継手部分3bを間接支持し、該枕材22を上記連結コンクリート14内に埋設する。
【0067】
上記連結コンクリート14は枕材22によって形成されたスペース内に充填された底部コンクリート14aと、形鋼継手3の端面を覆う端部コンクリート14bを有する。よって形鋼継手部分3bと横繋ぎ条材7と連結条材13とナット17,19と支圧材18と枕材22は連結コンクリート14中に埋設する。
【0068】
上記継手付きPCコンクリート桁1は形鋼継手部分3bを以って橋脚4の橋座面12上に支持するか、又は図25に示すように、同コンクリート桁1の形鋼継手部分3bを橋脚4の橋座面12上に支持すると同時に、コンクリート桁2の両端末を橋脚4の橋座面12上に支持し、コンクリート桁2の両端面を連結コンクリート14と結合する。
【0069】
上記コンクリート桁2の端面から突出する各形鋼継手部分3bとコンクリート桁2の両端を上記橋脚4の橋座面12上に荷受けし、上記連結条材13との連結と、横繋ぎ条材7の貫挿と、連結コンクリート14の現場打設とを行う。
【0070】
上記図25に示した例は図17に示す単径間ラーメン橋と図18に示す複径間ラーメン橋に実施できることは勿論である。
【0071】
図18に示す複径間ラーメン橋の場合には、中間の橋脚4上に並列して枕材22を設け、一方の枕材22に一方の径間を形成するPCコンクリート桁1の形鋼継手部分3bを支持して連結条材13と連結し、他方の枕材22に他方の径間を形成するPCコンクリート桁1の形鋼継手部分3bを支持して連結条材13と連結し、同じ橋脚4上で対向する両形鋼継手部分3bと両横繋ぎ条材7と両枕材22を連結コンクリート14中に一緒に埋設し剛結合構造を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係るコンクリート製橋脚(橋台を含む)とコンクリート桁の剛結合構造に用いられる継手付きPCコンクリート桁の第一例を示す斜視図。
【図2】図1に示すコンクリート桁の平面図。
【図3】図1に示すコンクリート桁の正面図。
【図4】図1に示すコンクリート桁の縦断面図。
【図5】図1に示すコンクリート桁の横断面図。
【図6】本発明に係るコンクリート製橋脚(橋台を含む)とコンクリート桁の剛結合構造に用いられる継手付きPCコンクリート桁の第二例を示す斜視図。
【図7】図6に示すコンクリート桁の平面図。
【図8】図6に示すコンクリート桁の正面図。
【図9】図6に示すコンクリート桁の縦断面図。
【図10】図6に示すコンクリート桁の横断面図。
【図11】本発明に係るコンクリート製橋脚(橋台を含む)とコンクリート桁の剛結合構造に用いられる継手付きPCコンクリート桁の第三例を示す斜視図。
【図12】図11に示すコンクリート桁の平面図。
【図13】図11に示すコンクリート桁の正面図。
【図14】図11に示すコンクリート桁の縦断面図。
【図15】図11に示すコンクリート桁の横断面図。
【図16】Aは上記コンクリート桁と橋脚の剛結合部を連結コンクリート打設前の状態を以って示す縦断面図、Bは同連結コンクリート打設後の状態を以って示す縦断面図。
【図17】継手付きPCコンクリート桁を用いた単径間ラーメン橋の縦断面図。
【図18】継手付きPCコンクリート桁を用いた複径間ラーメン橋の縦断面図。
【図19】図1乃至図5に示す継手付きPCコンクリート桁を用い形成したラーメン橋の剛結合部を、連結コンクリート打設前の状態を以って示す正面図。
【図20】図1乃至図5に示す継手付きPCコンクリート桁を用い形成したラーメン橋の剛結合部を、連結コンクリート打設後の状態を以って示す縦断面図。
【図21】図6乃至図10に示す継手付きPCコンクリート桁を用い形成したラーメン橋を形鋼継手の端面から視た、連結コンクリート打設前の状態を以って示す縦断面図。
【図22】図6乃至図10に示す継手付きPCコンクリート桁を用い形成したラーメン橋を形鋼継手の端面から視た、連結コンクリート打設後の状態を以って示す縦断面図。
【図23】図11乃至図15に示す継手付きPCコンクリート桁を用い形成したラーメン橋を形鋼継手の端面から視た、連結コンクリート打設前の状態を以って示す縦断面図。
【図24】図11乃至図15に示す継手付きPCコンクリート桁を用い形成したラーメン橋を形鋼継手の端面から視た、連結コンクリート打設後の状態を以って示す縦断面図。
【図25】Aはコンクリート桁の形鋼継手部分とコンクリート桁の両端末を橋脚の橋座面上に支持した例を、連結コンクリート打設前の状態を以って示す縦断面図、Bは同連結コンクリート打設後の状態を以って示す縦断面図。
【符号の説明】
【0073】
1…継手付きPCコンクリート桁、2…コンクリート桁、3…形鋼継手、3a,3b…形鋼継手部分、4…橋脚、6…ウェブ、7…横繋ぎ条材、8a,8b…貫通孔、9,10…フランジ、11…柱状部、11′…ウェブ、12…橋座面、13…連結条材、14…連結コンクリート、14a…底部コンクリート、14b…端部コンクリート、15,16…補強鉄筋、17…ナット、18…支圧材、18a…支圧材部分、19…ナット、20…間詰めコンクリート、21…舗装、22…枕材、23…補強鉄筋。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート桁の両端に短尺形鋼から成る形鋼継手の後半部を夫々埋設し、該各形鋼継手の前半部をコンクリート桁の端面から突出して成る継手付きPCコンクリート桁を形成し、該コンクリート桁端面から突出せる各形鋼継手部分を橋脚の橋座面上に支持しつつ該橋座面から立ち上げた連結条材と連結し、該各形鋼継手部分と連結条材を上記橋座面上に増し打ちした連結コンクリート中に埋設した構成を有することを特徴とする橋脚とコンクリート桁の剛結合構造。
【請求項2】
上記連結条材を上記各形鋼継手部分のフランジに貫挿し、該連結条材の貫挿端にナットを螺合してフランジ上に定着したことを特徴とする請求項1記載の橋脚とコンクリート桁の剛結合構造。
【請求項3】
上記橋座面上に支持された各形鋼継手部分に横繋ぎ条材を貫挿し、該横繋ぎ条材を介して隣接するコンクリート桁の形鋼継手部分相互を連結する構成としたことを特徴とする請求項1記載の橋脚とコンクリート桁の剛結合構造。
【請求項4】
上記コンクリート桁と上記連結コンクリートとを上記形鋼継手を介して一体構造としたことを特徴とする請求項1記載の橋脚とコンクリート桁の剛結合構造。
【請求項5】
上記コンクリート桁の端面から突出する各形鋼継手部分とコンクリート桁の両端を上記橋脚の橋座面上に荷受けしたことを特徴とする請求項1記載の橋脚とコンクリート桁の剛結合構造。
【請求項1】
コンクリート桁の両端に短尺形鋼から成る形鋼継手の後半部を夫々埋設し、該各形鋼継手の前半部をコンクリート桁の端面から突出して成る継手付きPCコンクリート桁を形成し、該コンクリート桁端面から突出せる各形鋼継手部分を橋脚の橋座面上に支持しつつ該橋座面から立ち上げた連結条材と連結し、該各形鋼継手部分と連結条材を上記橋座面上に増し打ちした連結コンクリート中に埋設した構成を有することを特徴とする橋脚とコンクリート桁の剛結合構造。
【請求項2】
上記連結条材を上記各形鋼継手部分のフランジに貫挿し、該連結条材の貫挿端にナットを螺合してフランジ上に定着したことを特徴とする請求項1記載の橋脚とコンクリート桁の剛結合構造。
【請求項3】
上記橋座面上に支持された各形鋼継手部分に横繋ぎ条材を貫挿し、該横繋ぎ条材を介して隣接するコンクリート桁の形鋼継手部分相互を連結する構成としたことを特徴とする請求項1記載の橋脚とコンクリート桁の剛結合構造。
【請求項4】
上記コンクリート桁と上記連結コンクリートとを上記形鋼継手を介して一体構造としたことを特徴とする請求項1記載の橋脚とコンクリート桁の剛結合構造。
【請求項5】
上記コンクリート桁の端面から突出する各形鋼継手部分とコンクリート桁の両端を上記橋脚の橋座面上に荷受けしたことを特徴とする請求項1記載の橋脚とコンクリート桁の剛結合構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2010−101094(P2010−101094A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274493(P2008−274493)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【特許番号】特許第4245657号(P4245657)
【特許公報発行日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(301077437)朝日エンヂニヤリング株式会社 (17)
【出願人】(300082140)エコ ジャパン株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【特許番号】特許第4245657号(P4245657)
【特許公報発行日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(301077437)朝日エンヂニヤリング株式会社 (17)
【出願人】(300082140)エコ ジャパン株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
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