説明

橋脚と主桁の剛節架構構造

【課題】本発明は橋桁とコンクリート製橋脚との剛結合強度を向上し、主桁の伸縮や撓み、ねじれを有効に抑止することができると共に、上記伸縮やねじれ等に対する連結コンクリート自身の強度を相乗的に高めることができ、重度の地震に対する落橋防止対策として極めて有効である橋脚と主桁の剛節架構構造を提供する。
【解決手段】コンクリート製橋脚1と該橋脚1の橋座面2上に並列支持された複数本の主桁3とを上記橋座面2上に増し打ちされた連結コンクリート4を介し結合すると共に、上記橋脚1と主桁3とを上記橋座面2から上記連結コンクリート4内に立ち上げた連結棒5で連結した構造を有する橋脚1と主桁3の剛節架構構造において、上記連結棒5上端に雌ねじ部材6を螺合し、該雌ねじ部材6の螺合による垂直方向の締結力を主桁3に付設した連結棒締結座7を介して同主桁3に伝達して上記橋脚1と主桁3とを連結する構成とした橋脚と主桁の剛節架構構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は橋梁における下部工であるコンクリート製橋脚(コンクリート製橋台を含む)と、同上部工である主桁の節点を剛接合した剛節架構構造に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人の出願に係る特許文献1は、コンクリート製橋脚(コンクリート製橋台を含む)と、該橋脚の橋座面上に並列支持した複数本の鋼桁から成る主桁とを、両者の節点において上記橋座面上に増し打ちされた連結コンクリートを介し結合すると共に、上記橋脚と主桁とを上記橋座面から上記連結コンクリート内に立ち上げた連結棒で連結した構造を有する橋脚と主桁の剛節架構構造を提供している。
【0003】
この橋脚と主桁の剛節架構構造においては、主桁を構成する鋼桁のフランジ上において雌ねじ部材を連結棒上端に螺合締結し、該雌ねじ部材による締結力を直接主桁に与えて橋脚に締結する剛節架構構造を実施例として示している。
【特許文献1】特開2007−211566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記先行例に示された実施例は、各主桁としてH形鋼やT形鋼を用いた場合、そのフランジに上記連結棒の立ち上げ部を貫挿する孔を設け、連結棒の立ち上げ部を該孔に貫挿し、該貫挿端に雌ねじ部材をフランジ上で螺合締結する構造を必須とする。
【0005】
本発明は上記先行例における主桁上で雌ねじ部材を締結して主桁を橋脚に直接締結する構造に依存せずに、主桁に付設した連結棒締結座を介し主桁を橋脚に締結し連結することができるようにした橋脚と主桁の剛節架構構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はコンクリート製橋脚と該橋脚の橋座面上に並列支持された複数本の主桁とを上記橋座面上に増し打ちされた連結コンクリートを介し結合する構造と、上記橋脚と主桁とを上記橋座面から上記連結コンクリート内に立ち上げた連結棒で連結した構造とを併用する、上記先行例に示した剛節架構構造を基本構造とする。
【0007】
本発明は上記剛節架構構造を基本構造として実施しつつ、該剛節架構構造を構成する上記連結棒による結合構造を形成する際に、上記連結棒上端に雌ねじ部材を螺合し、該雌ねじ部材の螺合による垂直方向の締結力を主桁に付設した連結棒締結座を介して同主桁に伝達して上記橋脚と主桁とを連結する構成としたものである。
【0008】
上記連結棒締結座は上記雌ねじ部材を座着する支圧座と、該支圧座を支持する支圧脚とを備え、上記連結棒の立ち上がり部上端を上記支圧座に貫挿し、該連結棒の貫挿端に螺合した雌ねじ部材の締結力を上記支圧座と支圧脚を介し主桁に伝達する構成としたものである。
【0009】
又応用例として、上記隣接する主桁に夫々設けられた支圧脚間に上記支圧座を架橋支持し、上記雌ねじ部材の締結力を上記架橋支圧座を介し隣接する主桁の双方に伝達する構成とすることができる。
【0010】
上記各主桁に設けられた支圧脚は適例として、上記雌ねじ部材を座着する支圧座と、該支圧座を高位に支持する対向して立ち上げた第一支圧脚と第二支圧脚とで形成する。
【0011】
又上記支圧脚を有しない横長の支圧座から成る連結棒締結座を形成し、該支圧座を支圧脚で支持することなく隣接する主桁間に架橋し、上記連結棒の立ち上がり部上端を上記支圧座に貫挿し、該連結棒の貫挿端に螺合した雌ねじ部材の締結力を上記架橋支圧座を介し隣接する主桁の双方に伝達する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記先行例に実施例として示された、主桁上で雌ねじ部材を締結して主桁を橋脚に直接締結する構造に制約されず、主桁とは別部材の連結棒を締結する専用の連結棒締結座を介し主桁を橋脚に締結する橋脚と主桁の剛節架構構造を提供でき、先行例における更なる応用展開を図ることができる。
【0013】
又本発明によれば連結棒締結座の使用により、主桁を構成する鋼桁のフランジに孔穿け加工せずに、主桁の並設間隔を通して立ち上げた連結棒上端を連結棒締結座を構成する支圧座に貫挿して主桁を橋脚に締結する構造の実施が可能となる。勿論、連結棒の立ち上がり部を主桁のフランジに貫挿しつつ、連結棒締結座上で雌ねじ部材による締結を図る設計仕様、又は両者を併用する設計仕様も採ることができる。
【0014】
又上記連結棒締結座を構成する支圧座を隣接する主桁の双方に作用するように配置して両主桁を締結する構造の採用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図7に基づき説明する。
【0016】
本発明はコンクリート製橋脚1(コンクリート製橋台を含む)と、該橋脚1の橋座面2上に橋幅方向に並列支持された鋼桁から成る主桁3とを上記橋座面2上に増し打ちされた連結コンクリート4を介し結合する構造と、上記橋脚1と主桁3とを上記橋座面2から上記連結コンクリート4内に立ち上げた連結棒5で連結した構造とを併用する剛節架構構造を基本構造とする。
【0017】
本発明は上記剛節架構構造を基本構造として実施しつつ、該剛節架構構造を構成する上記連結棒5による結合構造を形成する際に、上記連結棒5上端に雌ねじ部材6を螺合し、該雌ねじ部材6の螺合による垂直方向の締結力を主桁3に付設した連結棒締結座7を介して同主桁3に伝達して上記橋脚1と主桁3とを連結する構成としたものである。
【0018】
上記連結棒5の下端は上記橋脚1に一体に埋設されており、例えば橋座面2にドリルで穿孔加工し、該孔に連結棒5の下端を挿入し、接着材を介し孔内壁面と一体に埋設し、上端を橋座面2から立ち上げる。又は橋脚1の構築時に連結棒5を該橋脚1内に埋設するよう配筋しつつ橋座面2から立ち上げる。即ち連結棒5は埋設部5aと立ち上がり部5bとを有する。
【0019】
上記連結棒5としては鉄筋等の補強筋、鋼製ワイヤーの他、鋼製又は強化合成樹脂製又はセラミック製条材、その他の高抗張力条材を用いることができる。
【0020】
上記連結棒締結座7は上記雌ねじ部材6を座着する支圧座8と、該支圧座8を支持する支圧脚9とを備え、上記連結棒5の立ち上がり部5b上端を上記支圧座8に貫挿し、該連結棒5の貫挿端に螺合した雌ねじ部材6の締結力を上記支圧座8と支圧脚9を介し主桁3に伝達する構成としたものである。
【0021】
上記主桁3としては鋼桁を用い、適例として腹板10の上端に上部フランジ11を有し、同下端に下部フランジ12を有するH形鋼を用いる。又は腹板の一端にフランジを有するT形鋼を用いる。
【0022】
好ましい例示として上記支圧脚9を個々の主桁3の下部フランジ12から対向して立ち上げた第一支圧脚9aと第二支圧脚9bで構成し、該第一,第二支圧脚9a,9bの上端に上記支圧座8を支持する。上記第一,第二支圧脚9a,9bは橋長方向において並列対向し、各支圧脚9a,9bの上端に上記支圧座8の橋長方向端部を支持する。
【0023】
上記連結棒締結座7を構成する支圧脚9の下端は下部フランジ12に溶接又はボルトにより一体に取り付ける。好ましくは同支圧脚9の腹板10に沿う側縁を同腹板10に溶接又はボルトにより一体に取り付けると共に、同下端を下部フランジ12に溶接又はボルトにより一体に取り付ける。
【0024】
本発明の応用例として、上記雌ねじ部材6の螺合による垂直方向の締結力を隣接する主桁3間に架橋された連結棒締結座7を介して同隣接する主桁3の双方に伝達して上記橋脚1と主桁3とを連結する構成とすることができる。
【0025】
即ち主桁3個々の下部フランジ12上面から支圧脚9を立ち上げ、隣接する主桁3に設けた支圧脚9間に支圧座8を架橋支持し、上記雌ねじ部材6による締結を図る。
【0026】
上記の通り、上記雌ねじ部材6を座着する支圧座8を第一支圧脚9aと第二支圧脚9b間に支持すると共に、隣接する主桁3の支圧脚9a,9b間に支持する。
【0027】
そして上記連結棒5の立ち上がり部5b上端を上記支圧座8に貫挿し、該連結棒5の貫挿端に螺合した雌ねじ部材6の締結力を上記支圧座8と第一支圧脚9aを介し隣接する主桁3の双方に伝達する構成とすることができる。
【0028】
上記第一支圧脚9aは隣接する一方の主桁3の下部フランジ12上面から対向して立ち上げた支圧脚9a,9aの対で形成することができ、同様に第二支圧脚9bは隣接する他方の主桁3の下部フランジ12上面から対向して立ち上げた支圧脚9b,9bの対で形成することができる。
【0029】
上記連結棒5の立ち上がり部5bは上記対向して立ち上げた支圧脚対9a,9bの対向間隔を通して立ち上げ、その上端を支圧座8に貫挿し、該貫挿端に上記雌ねじ部材6を螺合し、螺合締結力を支圧座8によって受圧する。
【0030】
上記実施例は支圧脚9を下部フランジ12で荷受けする構造とした例を示すが、該支圧脚9を腹板10に溶接又はボルト付けし、該腹板10に支圧脚9を荷受けすることが可能である。
【0031】
上記連結棒締結座7、即ち支圧脚9は主桁3に一体に溶接又はボルト付けせずに、支圧脚9を主桁3の下部フランジ12上に単に載置して雌ねじ部材6による垂直方向の締結力を主桁3に伝達する構成とすることができる。
【0032】
主桁には車輌荷重等が常時加わり、又地震時には主桁3に大きな揺れが発生し、連結棒5に強力な引張力が作用する。該引張力が支圧座8を介して主桁3の下部フランジ12に加わり同フランジ12の変形を招く恐れがある。上記支圧脚9a,9bは雌ねじ部材6による締結部の両側において下部フランジ12を補強し、上記変形を有効に防止し、主桁3と橋脚1との剛結合構造を補完する。
【0033】
本発明は上記連結棒締結座7、即ち該締結座7を構成する支圧座8を隣接する主桁3間に架橋して設ける場合と、同連結棒締結座7を隣接する主桁3に作用させずに各主桁3毎に設けることができる。
【0034】
上記のように、上記支圧脚9を第一,第二支圧脚対9a,9bで構成する場合、各主桁3の下部フランジ12上に上記支圧脚対9a,9bを対向して立ち上げ、両支圧脚対9a,9bの対向間隔を通して上記連結棒5の立ち上がり部5bを通挿しつつ、その上端を支圧座8に貫設した孔8aに貫挿し、該貫挿端を支圧座8上で螺合締結することができる。
【0035】
又は図示は省略するが、一個の支圧脚9の上端に支圧座8を一体に支持し、該支圧座8を支圧脚9の両側方へ張り出し、該各張り出し部の夫々において上記連結棒5による締結を図る構成とすることができる。
【0036】
又上記連結棒5の立ち上がり部5bは主桁3の下部フランジ12の並設間隔を通して立ち上げ、その上端を支圧座8に貫挿し該支圧座8上において雌ねじ部材6により締結する第一の連結構造を採ることができる。即ち連結棒5の立ち上がり部5bを主桁3間を通し立ち上げ、締結座7上において締結することが可能となる。
【0037】
又は上記連結棒5の立ち上がり部5bは主桁3の下部フランジ12に貫設した孔12aに通挿し、その上端を支圧座8に貫挿して該貫挿端を雌ねじ部材6により締結する第二の連結構造を採ることができる。
【0038】
上記第一の連結構造と第二の連結構造は夫々を単独で用いるか併用が可能である。
【0039】
又他例として、図3,図4に示すように、上記連結棒締結座7を支持脚を有しない横長の支圧座8で構成し、該支圧座8を隣接する主桁3間に架橋し、上記連結棒5の立ち上がり部5b上端を上記支圧座8に貫挿し、該連結棒5の貫挿端に螺合した雌ねじ部材6の締結力を上記架橋支圧座8を介し隣接する主桁3の双方に伝達する構成とすることができる。
【0040】
主桁3としてH形鋼又はT形鋼を用いた場合、該H形鋼又はT形鋼3の下部フランジ12を橋脚1の橋座面2上に支持すると共に、隣接する主桁3の下部フランジ12間に上記支圧座8を架橋支持する。
【0041】
そして上記連結棒5の立ち上がり部5bは主桁3の下部フランジ12の並設間隔を通して立ち上げ、その上端を支圧座8に貫挿し該支圧座8上において雌ねじ部材6により締結する第一の連結構造を採ることができる。
【0042】
又は上記連結棒5の立ち上がり部5bは主桁3の下部フランジ12に貫設した孔12aに通挿し、その上端を支圧座8に貫挿して該貫挿端を雌ねじ部材6により締結する第二の連結構造を第一の連結構造と併用する。
【0043】
上記図3,図4に示す実施例においては、上記雌ねじ部材6による締結部の両側に沿って補強板9a′,9b′を立ち上げ、該補強板9a′,9b′の下端を下部フランジ12に、同上端を上部フランジ11に夫々溶接する。又は補強板9a′,9b′の下端を下部フランジ12に、同上端を上部フランジ11に夫々溶接すると共に、腹板10に沿う内縁部を該腹板10に溶接する。
【0044】
前記のように、地震時等に連結棒5に強力な引張力が作用し、該引張力が支圧座8を介して主桁3の下部フランジ12に加わり変形を招く恐れがある。上記補強板9a′,9b′は雌ねじ部材6による締結部の両側において下部フランジ12を補強し、上記変形を有効に防止し、主桁3と橋脚1との剛結合構造を補完する。
【0045】
上記図1乃至図4に述べた支圧座8としては、平板、L形チャンネル、コ字形チャンネル等の形チャンネルを用いることができる。
【0046】
同様に前記支圧脚9としては平板、L形チャンネル、コ字形チャンネル等の形チャンネルを用いることができる。
【0047】
上記例示した主桁3と橋脚1の剛節架構構造は、主桁3として鋼桁の他、PCコンクリート桁を用いる場合を包含する。
【0048】
以下、図5乃至図7に基づき、鋼桁3間にスラブコンクリート13を打設して複合構造床版にし、該複合構造床版と橋脚との節点に本発明を実施したラーメン橋について説明する。
【0049】
鋼桁3としてはH形鋼、T形鋼等の形鋼を用い、又PCコンクリートの採用が可能であるが、ここではH形鋼を用いた実施例について説明する。又図5乃至図7においては、図1,図2に示す連結棒締結座7を代表例として示しているが、これを図3,図4に示す連結棒締結座7に置き換えることができる。
【0050】
複数本の主桁3を橋脚1上に支持しつつ橋幅方向に並列し、該各主桁3の側面間に主桁3の長手方向に亘りスラブコンクリート13を打設形成し、主桁3とスラブコンクリート13との複合構造にする。
【0051】
図5は河川の対岸に橋脚1を夫々設置し、主桁3の両端を該橋脚1上に支持した単径間床版橋を示し、図6は上記主桁3の延在長の途中を支持する橋脚1を設けた複径間床版橋を示しており、本発明はこの単径間床版橋と複径間床版橋に実施される。
【0052】
上記主桁3として用いる鋼桁、即ちH形鋼製主桁3は腹板10の上端に上部フランジ11を有し、同下端に下部フランジ12を有し、橋幅方向に隣接する主桁3間に上下フランジ11,12と腹板10にて画成されたスペースを有し、該スペースにコンクリートを打設してスラブコンクリート13を形成し、主桁(H形鋼製主桁)3とスラブコンクリート13との複合構造から成る床版14を形成する。
【0053】
上記隣接する上部フランジ11間には橋長方向に延びる上部開口15を有し、隣接する下部フランジ12相互間の橋長方向に延びる下部開口15′は閉鎖部材にて閉鎖して上記上部開口15を通じて上記スペース内にコンクリートを打設して上記スラブコンクリート13を形成する。
【0054】
上記下部開口15′を閉鎖する閉鎖部材はスラブコンクリート13を成形後、取り除くか、又はそのまま残存せしめる。然しながら連結コンクリート4を打設する主桁部分3′の橋脚1の橋座面2と対向する部位においては、上記下部開口15′を閉鎖せずに上記主桁間スペース内にコンクリートを打設してスラブコンクリート13を形成すると同時に、コンクリートの一部を下部開口15′を通じて橋座面2へ向け流出せしめ橋座面2とコンクリート結合せしめる。
【0055】
同時に、上記全上部フランジ11上に上記上部開口15を通じてスラブコンクリート13と一体結合された路盤コンクリートによる舗装16を施し、更に該路盤コンクリートの上面にアスファルト等の舗装16を施す。又は路盤コンクリートによる舗装16のみにするか、該路盤コンクリートを施さずにコンクリート以外のアスファルト舗装等の舗装16を施す。
【0056】
好ましくは、上記全上部フランジ11と上部開口15の上面(該開口15において露出するスラブコンクリート13の上面)に防水層22を施し、該防水層22の上面に上記舗装16を施す。
【0057】
上記防水層22は橋長の全長に亘って延び、連結コンクリートの後側部4bの上面を覆い、更に背面土23と接する同後側部4bの背面を覆い下端付近で終端する。
【0058】
上記橋脚1の橋座面2上に並列支持した全主桁3に橋幅方向に延在する鋼製の腹通し棒17(同ケーブルを含む)を多数本貫挿し、該腹通し棒17の両端にナット18を螺合締結する。
【0059】
即ち、上記橋脚1の橋座面2上に並列支持した全H形鋼製主桁3の腹板10に橋幅方向に延在する腹通し棒17を貫挿し、該腹通し棒17を上下方向と橋長方向に間隔を置いて並列して貫挿し、該各腹通し棒17の両端にナット18を螺合締結して橋幅方向両端の腹板10の側面に定着する。
【0060】
上記各腹通し棒17を横筋とし、該横筋に縦筋19を組筋しスラブコンクリート13内及び前記節点に打設した連結コンクリート4内に埋設する。即ち腹通し棒17と該腹通し棒17に組筋した縦筋19に代表される鉄筋にてスラブコンクリート13と連結コンクリート4との補強筋を構成する。
【0061】
上記具体例に従い、上記主桁3として鋼材から成るH形鋼製主桁又はT形鋼製主桁又はI形鋼製主桁、各種コンクリート製主桁等を用い、各主桁3間にコンクリート打設スペースを形成すると共に、隣接する主桁3の上端間には上部開口15を形成し、該上部開口15を通じて上記スペース内にコンクリートを打設し、上記スラブコンクリート13を形成すると同時に、上記全主桁3の上面上にスラブコンクリート13及び連結コンクリート4と一体に前記路盤舗装16を形成する。
【0062】
更に上記主桁3の下端面を支持するコンクリート製橋脚1の橋座面2上に該橋座面2に支持された主桁部分3′を埋設する前記連結コンクリート4を増し打ちし、上記スラブコンクリート13とコンクリート製橋脚1とが該連結コンクリート4を介してコンクリート結合し、主桁3をスラブコンクリート13と連結コンクリート4を介して橋脚1に結合した門形ラーメン構造の剛結合構造を構成する。
【0063】
即ち、上記複合構造床版と橋脚1とを連結コンクリート4と連結棒5にて剛結合した剛節架構構造を有するラーメン橋を提供する。
【0064】
再述すると、コンクリート製橋脚1を構築した後、その橋座面2に主桁3の下端面を支持し、H形鋼製主桁3である場合にはその下部フランジ12を橋座面2に支持し、上記連結コンクリート4を橋座面2上に打設形成する。
【0065】
上記連結コンクリート4はコンクリート製橋脚1を実質的に嵩高にし、主桁部分3′の上面、H形鋼製主桁3である場合には上部フランジ11の上面を上部連結コンクリート4の頂部4aで覆い、即ち連結コンクリート4の頂部4aに主桁3の上端部(H形鋼製主桁3である場合には上部フランジ11)を埋設し、主桁3の上部開口15を通じて舗装16と一体に結合する。該連結コンクリート4の頂部4aは舗装16の一部を構成する。
【0066】
更に、橋長端の主桁端面を連結コンクリート4の後側部4bで覆い、即ち主桁端面を同後側部4b内に埋設し、該主桁端面における端部開口を通じてスラブコンクリート13とコンクリート結合する。上記主桁部分3′のスラブコンクリート13は連結コンクリート4の一部を組成する。即ちスラブコンクリート13と連結コンクリート4とを一体に打設することができる。
【0067】
上記コンクリート製橋脚1は地中埋設基礎杭20又は地中埋設矢板20′の上端に構築し、記述の通り、上記橋脚1とスラブコンクリート13間を連結コンクリート4にてコンクリート結合(剛結合)し、且つ主桁3をスラブコンクリート13と連結コンクリート4を介して橋脚1に剛結合した門形ラーメン構造を構築する。
【0068】
上記主桁3は上記コンクリート製橋脚1の橋座面2に直接支持するか、該橋座面2上に枕材21を設け、該枕材21上に主桁3を支持し、即ち橋座面2上に枕材21を介して主桁3を間接支持し、該枕材21を上記連結コンクリート4内に埋設する。
【0069】
スラブコンクリート13乃至連結コンクリート4は主桁3の下部開口15′を通じて橋座面2上へ流出して連結コンクリート4とコンクリート製橋脚1とをコンクリート結合する。
【0070】
従って橋脚1上の主桁部分3′に打設形成された連結コンクリート4はスラブコンクリート13の一部を組成する。
【0071】
上記枕材21を介在することによって床版14と橋座面2間にスペースを形成し、該スペース内に連結コンクリート4を充填して橋座面2とコンクリート結合すると共に、該スペース内に充填された連結コンクリート4の底部4cで主桁部分3′の下面、主桁3の下部フランジ12の下面を覆う。即ち下部フランジ12を連結コンクリート4の底部4cに埋設すると同時に、枕材21を連結コンクリート4の底部4cに埋設する。
【0072】
本発明は上記枕材21を介在せずに、主桁3の下面を橋座面2に直接支持し、その周囲に打設されたコンクリートによって橋座面2とコンクリート結合する場合を含む。
【0073】
上記枕材21としてはH形鋼等の鋼材から成る枕材、又はコンクリートから成る枕材を用いる。好ましい例示として、上記コンクリート製枕材21を橋座面2に橋幅方向に延在して配設するか、又は枕材21は主桁3毎に独立して設ける他、橋幅方向に連続して延在する枕材21を横設し、該枕材21上に主桁3の両端又は中間部を支持する。
【0074】
例えば上記コンクリート製枕材21は橋座面2上に置設するか、又は橋脚1と一体にコンクリートを打設して形成する。
【0075】
H形鋼製主桁3又はT形鋼製主桁3等の鋼桁である場合には、下部フランジ12を上記コンクリート製橋脚1の橋座面2に直接支持するか、該橋座面2に設けた上記枕材21上に同下部フランジ12を支持し、即ち橋座面2上に枕材21を介してH形鋼製主桁3を間接支持し、該枕材21を上記連結コンクリート4の底部4cに埋設する。
【0076】
上記主桁3として鋼材から成るT形鋼製橋桁やI形鋼製橋桁、各種形態のコンクリート製主桁を用いる場合にも、該各主桁3の下端面を上記コンクリート製橋脚1の橋座面2に直接支持するか、該橋座面2に設けた枕材21上に主桁3の下端面を支持し、即ち橋座面2上に枕材21を介して主桁3を間接支持し、コンクリートをスペース内に充填して連結コンクリート4の底部4cに枕材21を埋設する。
【0077】
又上記連結コンクリート4による剛結合構造、即ち剛節架構構造を強化する手段として、上記コンクリート製橋脚1の橋座面2に支持され、且つ連結コンクリート2内に埋設された主桁部分3′とコンクリート製橋脚1間を、同橋脚1と連結コンクリート4に埋設せる連結線材又は連結管材から成る連結棒5にて連結する。該連結棒5と連結コンクリート4とは協働して上記剛架構構造を形成する。
【0078】
上記連結棒5はコンクリート製橋脚1内に縦方向に延在し、その上端を橋座面2から上方へ立ち上げ、該立ち上がり部5bを連結コンクリート4内に埋設しつつ、前記した連結棒締結座7を介して、主桁3を橋脚1に連結する。
【0079】
図示の実施例は、上記連結棒5は主桁3を貫き上記連結棒締結座7を介して締結する連結棒5Aと、各主桁3の並列間隔を通して立ち上げ、上記連結棒締結座7を介して締結する連結棒5Bとを示している。
【0080】
上記連結棒締結座7を介して連結棒5上端に雌ねじ部材6を締結する構造により、連結棒5Bを各主桁3の並列間隔を通して立ち上げ、上記連結棒締結座7を介して締結する構造の採用が可能となる。従って隣接する主桁3間に連結棒締結座7を架橋すると共に、連結棒5Bを各主桁3の並列間隔を通して立ち上げ、連結棒締結座7の支圧座8に貫挿し、その上端に雌ねじ部材6を螺合し締結することにより、該締結力を隣接する両主桁3に与え、両主桁3を橋脚に連結することが可能である。
【0081】
本発明は上記主桁3として鋼桁又はPCコンクリート桁を用い、該主桁3とスラブコンクリート13の複合構造から成るラーメン橋の実施例の他、スラブコンクリート13を設けずに、橋脚1上に主桁3を近接して並列支持し、該主桁3の上面に路盤コンクリート又はコンクリート以外のアスファルト等の舗装16を形成し、前記連結コンクリート4と連結棒5による連結構造の併用による剛架構構造とする場合を含む。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】連結棒締結座の一例を示し、該連結棒締結座を以って橋脚と主桁の剛節架構構造を構成した場合の要部を、スラブコンクリートを省略して示す橋幅方向断面図。
【図2】図1における橋長方向の要部断面図。
【図3】連結棒締結座の他例を示し、該連結棒締結座を以って橋脚と主桁の剛節架構構造を構成した場合の要部を、スラブコンクリートを省略して示す橋幅方向断面図。
【図4】図3における橋長方向の要部断面図。
【図5】床版をコンクリートと主桁の複合構造で形成した単径間床版橋において本発明を実施した剛節架構構造を示す橋長方向断面図。
【図6】床版をコンクリートと主桁の複合構造で形成した複径間床版橋において本発明を実施した剛節架構構造を示す橋長方向断面図。
【図7】上記図5,図6における径間における橋幅方向断面図。
【符号の説明】
【0083】
1…橋脚、2…橋座面、3…主桁、3′…主桁部分、4…連結コンクリート、4a…頂部、4b…後側部、4c…底部、5,5A,5B…連結棒、5a…埋設部、5b…立ち上がり部、6…雌ねじ部材、7…連結棒締結座、8…支圧座、8a…孔、9…支圧脚、9a…第一支圧脚、9b…第二支圧脚、9a′,9b′…補強板、10…腹板、11…上部フランジ、12…下部フランジ、12a…孔、13…スラブコンクリート、14…床版、15…上部開口、15′…下部開口、16…舗装、17…腹通し棒、18…ナット、19…縦筋、20…地中埋設基礎杭、20′…地中埋設矢板、21…枕材、22…防水層、23…背面土。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製橋脚と該橋脚の橋座面上に並列支持された複数本の主桁とを上記橋座面上に増し打ちされた連結コンクリートを介し結合すると共に、上記橋脚と主桁とを上記橋座面から上記連結コンクリート内に立ち上げた連結棒で連結した構造を有する橋脚と主桁の剛節架構構造において、上記連結棒上端に雌ねじ部材を螺合し、該雌ねじ部材の螺合による垂直方向の締結力を主桁に付設した連結棒締結座を介して同主桁に伝達して上記橋脚と主桁とを連結する構成としたことを特徴とする橋脚と主桁の剛節架構構造。
【請求項2】
上記連結棒締結座は上記雌ねじ部材を座着する支圧座と該支圧座を支持する支圧脚とを備え、上記連結棒の立ち上がり部上端を上記支圧座に貫挿し、該連結棒の貫挿端に螺合した雌ねじ部材の締結力を上記支圧座と支圧脚を介し主桁に伝達する構成としたことを特徴とする請求項1記載の橋脚と主桁の剛節架構構造。
【請求項3】
上記支圧座を隣接する主桁に設けた支持脚間に架橋支持し、上記雌ねじ部材の締結力を上記架橋支圧座を介し隣接する主桁の双方に伝達する構成としたことを特徴とする請求項2記載の橋脚と主桁の剛節架構構造。
【請求項4】
上記支圧脚は対向して立ち上げた第一支持脚と第二支持脚とから成り、上記支圧座を第一支持脚と第二支持脚間に支持したことを特徴とする請求項2又は3記載の橋脚と主桁の剛節架構構造。
【請求項5】
上記連結棒締結座は隣接する主桁間に架橋した上記雌ねじ部材を座着する支圧座から構成され、上記連結棒の立ち上がり部上端を上記支圧座に貫挿し、該連結棒の貫挿端に螺合した雌ねじ部材の締結力を上記架橋支圧座を介し隣接する主桁の双方に伝達する構成としたことを特徴とする請求項1記載の橋脚と主桁の剛節架構構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−270298(P2009−270298A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120378(P2008−120378)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(301077437)朝日エンヂニヤリング株式会社 (17)
【出願人】(300082140)エコ ジャパン株式会社 (19)
【Fターム(参考)】