説明

機器制御システム

【課題】 省エネルギー制御に対するユーザの好みに対応可能で、且つユーザが省エネルギーモードを設定する手間を削減できる機器制御システムを提供する。
【解決手段】 コントローラ1において、モード学習部1jは、モード履歴記憶部1iを参照して、省エネルギーモードと関連情報との相関関係を分析し、制御部1dは、モード学習部1jが分析した相関関係に基づいて、現在の関連情報に対して相関関係が高いと判断した省エネルギーモードがある場合、この相関関係が高いと判断した省エネルギーモードが適用され、この適用された省エネルギーモードに対応するパラメータを設定された制御アルゴリズムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省エネルギー制御を行う機器制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、集合住宅の各住戸、一戸建て住宅、オフィス等において、ヒータ、クーラ、照明器具等の被制御機器の使用電力(使用エネルギー)を減少させるために、省エネルギー制御を行う機器制御システムがある(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−115359号公報
【特許文献2】特開平9−217953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の機器制御システムが行う省エネルギー制御は、予め設定された1つの制御アルゴリズムにしたがって行われる。しかしながら、1つの制御アルゴリズムのみにしたがって行われる省エネルギー制御は、省エネルギー制御の内容に自由度がない。また、ユーザの省エネルギー制御に対する好み(意識、感覚)は、ユーザによって様々である。
【0005】
したがって、1つの制御アルゴリズムのみにしたがって行われる省エネルギー制御が、ユーザに納得され、ユーザの好みに合致することは難しかった。而して、このような省エネルギー制御は、ユーザに長期間に亘って許容されることは困難であり、省エネルギー制御が長期間に亘って継続して実施されることは難しかった。
【0006】
そこで、ユーザ自身が、省エネルギーのレベル示す省エネルギーモードを可変自在に設定し、このユーザによって設定された省エネルギーモードに応じた機器制御を行う機器制御システムが考えられる。
【0007】
しかしながら、ユーザ自身が省エネルギーモードを設定する手間が必要であった。
【0008】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、省エネルギー制御に対するユーザの好みに対応可能で、且つユーザが省エネルギーモードを設定する手間を削減できる機器制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の機器制御システムは、省エネルギーのレベルを示す省エネルギーモードを設定する入力手段と、被制御機器の動作を制御し、制御対象の前記被制御機器の使用エネルギーに影響を与えるパラメータを含む1乃至複数の制御アルゴリズムを格納したアルゴリズム記憶部、前記入力手段が設定した前記省エネルギーモードを取得するモード情報取得部、前記モード情報取得部が取得した前記省エネルギーモードが適用され、この適用された前記省エネルギーモードに対応する前記パラメータが設定された前記制御アルゴリズムを実行することによって、前記被制御機器の動作を制御する制御部を具備するコントローラと、前記入力手段による前記省エネルギーモードの設定に影響を与える事象に関する関連情報を取得する関連情報取得部と、前記入力手段が設定した前記省エネルギーモードの履歴を、前記省エネルギーモードの設定時点における前記関連情報とともに記憶するモード履歴記憶部と、前記モード履歴記憶部を参照して、前記モード情報取得部が取得した前記省エネルギーモードと前記関連情報との相関関係を分析するモード学習部とを備え、前記制御部は、前記モード学習部が分析した前記相関関係に基づいて、現在の前記関連情報に対して相関関係が高いと判断した前記省エネルギーモードがある場合、この相関関係が高いと判断した前記省エネルギーモードが適用され、この適用された前記省エネルギーモードに対応する前記パラメータを設定された前記制御アルゴリズムを実行することを特徴とする。
【0010】
この発明において、前記省エネルギーモードの設定の可否を前記制御アルゴリズム毎に選択するアルゴリズム選択部を備え、前記モード履歴記憶部は、前記入力手段が設定した前記省エネルギーモードの履歴を、前記省エネルギーモードの設定時点における前記関連情報、および前記アルゴリズム選択部の選択結果とともに記憶し、前記モード学習部は、前記モード履歴記憶部を参照して、前記モード情報取得部が取得した前記省エネルギーモードと前記関連情報と前記アルゴリズム選択部の選択結果との相関関係を分析し、前記制御部は、前記モード学習部が分析した前記相関関係に基づいて、現在の前記関連情報に対して相関関係が高いと判断した前記省エネルギーモードがある場合、この相関関係が高いと判断した前記省エネルギーモードおよび現在の前記関連情報に対して相関関係が高い前記制御アルゴリズムを判別し、前記相関関係が高いと判断した前記省エネルギーモードを、前記判別した前記制御アルゴリズムに適用することが好ましい。
【0011】
この発明において、前記コントローラは、前記制御アルゴリズムに含まれる各パラメータを前記省エネルギーモード毎に格納したパラメータテーブルを有し、前記パラメータテーブルに格納した前記省エネルギーモード毎のパラメータを、ユーザの操作によって変更するパラメータ変更部と、前記パラメータの変更履歴に基づいて、前記パラメータの更新値を計算するパラメータ再設定部とを備え、前記コントローラは、前記パラメータの更新値を前記パラメータテーブルに設定することが好ましい。
【0012】
この発明において、前記モード学習部は、ネットワークを介して前記コントローラと通信可能に設けられたサーバに設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明では、省エネルギー制御に対するユーザの好みに対応可能で、且つユーザが省エネルギーモードを設定する手間を削減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1の機器制御システムを示すブロック図である。
【図2】同上の在・不在制御アルゴリズムを示す図である。
【図3】(a)(b)同上の在・不在制御アルゴリズムのパラメータを示すテーブル図である。
【図4】同上のモード学習機能を示すフローチャート図である。
【図5】実施形態2の設定画面を示す図である。
【図6】同上のモード学習機能を示すフローチャート図である。
【図7】実施形態3のコントローラの構成を示すブロック図である。
【図8】実施形態4の機器制御システムの概略を示すブロック図である。
【図9】同上のパラメータ更新値の算出処理を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(実施形態1)
図1は、住戸内に設けられた本実施形態の機器制御システムの構成を示し、コントローラ1と複数の被制御機器2とが、制御線L1を介して互いに接続されており、コントローラ1は、被制御機器2の各々の動作を制御する。
【0017】
コントローラ1は、宅内ネットワークNT1に接続されており、この宅内ネットワークNT1には、例えばパーソナルコンピュータで構成される操作端末3が接続されている。操作端末3は、キーボード、マウス等の操作部3aと、液晶画面等の表示部3bとを備えており、ユーザによって操作される。この操作端末3は、本発明の入力手段に相当する。
【0018】
被制御機器2は、壁スイッチ21、コンセント22、ヒータ23、クーラ24等であり、コントローラ1から制御線L1を介して送信される制御信号によって、動作を制御される。
【0019】
壁スイッチ21は、図示しない照明機器への電力供給をオン・オフする機能を有し、ユーザによる直接操作だけでなく、コントローラ1によっても、電力供給のオン・オフを制御される。コンセント22は、図示しない電気機器への電力供給を行うアウトレットであり、コントローラ1が、コンセント22内の電路に設けた接点を導通・遮断することによって、電力供給のオン・オフを制御される。ヒータ23は、屋内の暖房機能を有し、コントローラ1によって、暖房機能の目標温度を設定される。クーラ24は、屋内の冷房機能を有し、コントローラ1によって、冷房機能の目標温度を設定される。
【0020】
宅内ネットワークNT1には、さらにホームゲートウェイ4が接続されている。ホームゲートウェイ4は、宅内ネットワークNT1とインターネットNT2との間で、ルータ機能、プロトコル変換機能、ファイアウォール機能などのネットワークインターフェース機能を有しており、宅内ネットワークNT1がインターネットNT2に接続される。したがって、宅内ネットワークNT1上の各端末は、ホームゲートウェイ4を介してインターネットNT2に接続可能となる。
【0021】
そして、コントローラ1は、ネットワーク通信部1aと、アルゴリズム記憶部1bと、モード情報取得部1cと、制御部1dと、制御信号送信部1gと、関連情報取得部1hと、モード履歴記憶部1iと、モード学習部1jとを備える。
【0022】
まず、ネットワーク通信部1aは、宅内ネットワークNT1との間で情報授受を行うインターフェース機能を有する。
【0023】
アルゴリズム記憶部1bは、被制御機器2の動作を制御するための制御アルゴリズムを、プログラムの形態で複数格納している。各制御アルゴリズムは、制御パターン毎に作成され、在・不在制御アルゴリズム、間欠制御アルゴリズム、スケジュール制御アルゴリズム、シーン制御アルゴリズム等がある。各制御アルゴリズムは、この制御アルゴリズムの制御対象となる被制御機器2の使用エネルギーに影響を与えるパラメータを含んでいる。そして、このパラメータの値を変えることによって、この制御アルゴリズムで動作する被制御機器2の使用エネルギーを増減させることができる。
【0024】
モード情報取得部1cは、ネットワーク通信部1aを介して、操作端末3から後述する省エネルギーモード(以降、省エネモードと称す)の設定情報を受信し、制御部1dへ出力する。すなわち、モード情報取得部1cは、操作端末3が設定した省エネモードを取得する機能を有する。
【0025】
制御部1dは、省エネモード設定部1eと、制御信号作成部1fとで構成される。省エネモード設定部1eは、実行する制御アルゴリズムをアルゴリズム記憶部1bから読み出す。そして省エネモード設定部1eは、この読み出した制御アルゴリズムに、モード情報取得部1cが取得した省エネモードを適用し、この制御アルゴリズムのパラメータには、適用した省エネモードに応じた値が設定される。複数の省エネモードの各々に対応するパラメータの値は、制御アルゴリズム毎に、アルゴリズム記憶部1bに予め格納されている。
【0026】
制御信号作成部1fは、省エネモードが適用された制御アルゴリズムを実行することによって、制御対象の被制御機器2を制御する制御信号を作成する。
【0027】
制御信号送信部1gは、制御信号作成部1fが作成した制御信号を制御線L1に送出し、制御対象の被制御機器2へ制御信号を送信する。自己宛の制御信号を受信した被制御機器2は、制御信号の内容にしたがって動作する。
【0028】
このような構成の機器制御システムにおいて、省エネモードを用いた機器制御について、以下説明する。
【0029】
まず、省エネモードとは、省エネルギーのレベルを示しており、本実施形態では「強」「弱」の2モードに分類される。省エネモード「強」とは、被制御機器2の使用エネルギーが最も少ないモードである。省エネモード「弱」とは、被制御機器2の使用エネルギーが最も多いモードである。すなわち、省エネモード「強」→「弱」の順に、省エネルギーのレベルが高い。
【0030】
この省エネモードは、ユーザが、操作端末3の表示部3bに表示された設定画面に対して、操作部3aを操作することによって、「強」「弱」のいずれかが選択される。この操作端末3で選択された省エネモードの設定情報は、宅内ネットワークNT1を介して、コントローラ1へ送信される。
【0031】
コントローラ1では、モード情報取得部1cが、操作端末3から省エネモードの設定情報を取得し、制御部1dへ出力する。制御部1dでは、省エネモード設定部1eが省エネモードの設定情報を記憶することによって、省エネモードが設定される。この設定された省エネモードは、ユーザが選択した省エネモードである。そして、省エネモード設定部1eは、実行する制御アルゴリズムを、ユーザによって選択された省エネモードに対応するパラメータとともにアルゴリズム記憶部1bから読み出し、この読み出した制御アルゴリズムに、読み出したパラメータを設定する。
【0032】
制御信号作成部1fは、上記のようにユーザが選択した省エネモードが適用された制御アルゴリズムを実行することによって、制御対象の被制御機器2を制御する制御信号を作成し、制御信号送信部1gを介して被制御機器2へ送信する。制御信号を受信した被制御機器2は、ユーザが選択した省エネモードに応じた省エネルギーのレベルで制御される。
【0033】
このように、ユーザが操作端末3を操作して、省エネモード「強」「弱」のいずれか1つを選択することで、コントローラ1の省エネモード設定部1eによって、全ての制御アルゴリズムに、同じ1つの省エネモードが一括して適用される。
【0034】
したがって、ユーザは、制御アルゴリズムに対する省エネルギーのレベルを、自分の好みに応じて選択できるので、本システムが実行する省エネルギー制御が、ユーザに納得され、ユーザの好みに合致する可能性が高くなる。而して、このような省エネルギー制御は、多くのユーザに長期間に亘って許容され易くなり、省エネルギー制御が長期間に亘って継続して実施され易くなる。すなわち、省エネルギー制御に対するユーザの好みに対応可能な機器制御システムを提供することが可能となる。
【0035】
また、全ての制御アルゴリズムに、同じ1つの省エネモードが一括して適用されるので、制御アルゴリズム毎に省エネモードを設定する必要がなく、追加された制御アルゴリズムにも、既に設定されている省エネモードが反映される。したがって、ユーザの省エネモード設定操作を簡便に行うことができる。
【0036】
次に、制御信号作成部1fが実行する制御アルゴリズムの具体例として、在・不在制御アルゴリズムを説明する。
【0037】
まず、図1に示すように宅内ネットワークNT1に人感センサ5を接続する。人感センサ5は、屋内の所定空間における人の在・不在を検知する人検知部を構成し、この検知結果を示すセンサ信号は、宅内ネットワークNT1を介してコントローラ1へ送信される。人感センサ5の検知対象となる空間は、リビング、台所等の屋内の限定された空間でもよいし、または屋内全体でもよい。
【0038】
在・不在制御アルゴリズムは、人感センサ5が空間内の人の存在を検知しているとき、空間内の被制御機器2を、現在の制御状態に維持する。この現在の制御状態(元の制御状態)は、壁スイッチ21およびコンセント22がオンされ、ヒータ23の目標温度に上限温度が設定され、クーラ24に所定の目標温度が設定されているものとする。そして図2に示すように、人感センサ5が空間内の人の不在を検知した場合(t0)、この不在状態が、不在検知タイミングt0から不在判定時間T1が経過するまで継続したか否かを判定する。
【0039】
そして、不在判定時間T1の計時中に人感センサ5が人の存在を検知した場合(ta)、不在判定時間T1の計時動作をリセットし、被制御機器2を現在の制御状態に維持する。
【0040】
一方、不在状態が、不在検知タイミングt0から不在判定時間T1が経過するまで継続した場合、不在判定時間T1が経過した時点で(t1)、被制御機器2を不在制御に切り替える。不在制御では、壁スイッチ21およびコンセント22をオフし、ヒータ23の目標温度に下限温度を設定し、クーラ24の冷房動作の目標温度を現在値より高くする。すなわち、この不在制御では、被制御機器2を省エネルギー方向に制御し、被制御機器2の使用エネルギーを、元の制御状態(不在制御の開始タイミングt1以前の状態)に比べて低減させる。
【0041】
そして、不在オフ制御に切り替わった後、不在制御の開始タイミングt1から復旧判定時間T2の計時を開始する。この復旧判定時間T2の計時中に、人感センサ5が人の存在を検知した場合(tb)、被制御機器2を非省エネルギー方向に制御し、被制御機器2を元の制御状態(不在制御の開始タイミングt1以前の状態)に戻す。したがって、短時間の不在状態であれば、再びユーザの存在を検知した時点で、ユーザの操作によらず、元の制御状態に自動で復旧させることが可能となる。
【0042】
しかし、復旧判定時間T2の計時が完了した後に(復旧判定の終了タイミングt2以降)、人感センサ5が人の存在を検知した場合(tc)、被制御機器2の不在制御を継続する。そして、ユーザが、操作端末3の操作部3aを操作することによって、操作端末3からコントローラ1へ復旧信号が送信されると、この復旧信号の受信タイミングで、被制御機器2を元の制御状態(不在制御の開始タイミングt1以前の状態)に戻す。したがって、長時間の不在状態であれば、再びユーザの存在を検知した時点での自動復旧は行われず、ユーザによる操作端末3の復旧操作によって、元の制御状態に復旧させることが可能となる。
【0043】
そして、コントローラ1では、省エネモード設定部1eが、アルゴリズム記憶部1bから読み出した在・不在制御アルゴリズムに、ユーザが選択した省エネモードを適用する。在・不在制御アルゴリズムのパラメータは、制御時間パラメータと、制御動作パラメータとがある。
【0044】
在・不在制御アルゴリズムの制御時間パラメータは、不在判定時間T1(第1の所定時間)、復旧判定時間T2(第2の所定時間)である。そして、アルゴリズム記憶部1bは、図3(a)に示すパラメータテーブルを記憶している。省エネモード設定部1eは、このパラメータテーブルを参照して、選択された省エネモードに応じた不在判定時間T1および復旧判定時間T2を、在・不在制御アルゴリズムに設定する。図3(a)のパラメータテーブルには、壁スイッチ21、コンセント22、ヒータ23、クーラ24の各不在判定時間T1、復旧判定時間T2が、省エネモード「強」「弱」のそれぞれに対応して格納されている。不在判定時間T1は、省エネモード「強」「弱」のそれぞれに対応する「T1a」「T1b」が、T1a<T1bの関係に設定される。復旧判定時間T2は、省エネモード「強」「弱」のそれぞれに対応する「T2a」「T2b」が、T2a<T2bの関係に設定される。すなわち、不在判定時間T1、復旧判定時間T2は、省エネモード「強」の場合が最も短く、省エネモード「弱」の場合が最も長くなる。而して、省エネルギーのレベルが高いほど、不在制御の期間が長くなり、壁スイッチ21、コンセント22が図示しない照明機器および電気機器へ供給する使用エネルギー量、およびヒータ23、クーラ24の使用エネルギー量を、より多く低減できる。
【0045】
また、在・不在制御アルゴリズムの制御動作パラメータは、被制御機器2毎の不在制御の内容である。そして、アルゴリズム記憶部1bは、図3(b)に示すパラメータテーブルを記憶している。省エネモード設定部1eは、このパラメータテーブルを参照して、選択された省エネモードに応じた不在制御の内容を、被制御機器2毎に設定する。図3(b)のパラメータテーブルには、壁スイッチ21、コンセント22、ヒータ23、クーラ24の不在制御の内容が、省エネモード「強」「弱」のそれぞれに対応して格納されている。クーラ24の不在制御の内容は、冷房時の目標温度であり、省エネモード「強」の場合が最も高く、省エネモード「弱」の場合が最も低くなる。而して、省エネルギーのレベルが高いほど、冷房時の目標温度が高くなり、クーラ24の使用エネルギー量を、より多く低減できる。なお、壁スイッチ21、コンセント22、ヒータ23の不在制御の内容は、省エネモード「強」「弱」の全てのモードにおいて、オフ制御または下限温度に設定される。
【0046】
このように、省エネモード設定部1eが、ユーザが選択した省エネモードを在・不在制御アルゴリズムに適用することによって、在・不在制御アルゴリズムは、省エネモードに応じた省エネ効果を得ることができるアルゴリズムになる。
【0047】
そして、制御信号作成部1fは、省エネモードが適用された制御アルゴリズムを実行することによって、制御対象の被制御機器2を制御する制御信号を作成する。制御信号送信部1gは、制御信号作成部1fが作成した制御信号を制御線L1に送出し、制御対象の被制御機器2へ制御信号を送信する。自己宛の制御信号を受信した被制御機器2は、制御信号の内容にしたがって動作する。
【0048】
また、この省エネモードの設定は、屋内の全領域に配置された被制御機器2に対して一括して設定する構成、または屋内の各部屋に配置された被制御機器2に対して、部屋毎に一括して設定する構成のいずれでもよい。
【0049】
次に、本機器制御システムのモード学習機能について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0050】
まず、モード情報取得部1cが上述のように、操作端末3から省エネモードの設定情報を取得する(S1)。
【0051】
また、関連情報取得部1hは、操作端末3による省エネモードの設定に影響を与える事象に関する関連情報を取得する(S2)。関連情報とは、日付、時刻等の時間情報、温度、湿度、天候、風速、日射量等の気象情報などで構成される。時間情報は、コントローラ1内に設けた図示しないタイマー回路の計時結果を、関連情報取得部1hが取得することで生成される。また、温度、湿度、天候、風速の環境情報は、温度、湿度、風速、日射量等を計測する環境情報センサ7を宅内ネットワークNT1に接続し、この環境情報センサ7の計測結果を、関連情報取得部1hが取得することで生成される。さらに、天候の環境情報は、インターネットNT2上の気象情報を蓄積したサーバから、関連情報取得部1hが天候に関する情報を取得することによって生成される。
【0052】
モード履歴記憶部1iは、モード情報取得部1cが取得した省エネモードの履歴を、この省エネモードの取得時点(設定時点)における関連情報(時間情報、気象情報)とともに記憶する(S3)。すなわち、モード履歴記憶部1iには、省エネモードの履歴が、日付、時刻等の時間情報や、温度、湿度、天候、風速、日射量等の気象情報に対応付けて格納されている。
【0053】
モード履歴記憶部1iに各情報が十分に蓄積されると、モード学習部1jは、モード履歴記憶部1iを参照して、ユーザによって選択された省エネモードと関連情報との相関関係を分析し、省エネモードのそれぞれと、関連情報との相関度を導出する(S4)。
【0054】
例えば、省エネモードと時間情報との相関度が高い例として、
「夏は省エネモードを「強」にする傾向がある」
「朝は省エネモードを「強」にするが、夜は省エネモードを「弱」にする傾向がある」
「夏の昼間は省エネモードを「弱」にする傾向がある」
等が挙げられる。
【0055】
また、省エネモードと気象情報との相関度が高い例として、
「気温が30℃を超えると、省エネモードを「強」にする傾向がある」
「気温が20℃〜30℃のときは、省エネモードを「弱」にする傾向がある」
等が挙げられる。
【0056】
また、省エネモードと時間情報および気象情報との相関度が高い例として、
「8月で、且つ気温が28℃〜32℃のときは、省エネモードを「強」にするが、9月で、且つ気温が28℃〜32℃のときは、省エネモードを「弱」にする傾向がある」
「5月,6月,10月,11月の昼間で、且つ気温が18℃〜22℃のときは、省エネモードを必ず「強」にする」
等が挙げられる。
【0057】
そして、省エネモード設定部1eは、上記省エネモードと関連情報との相関関係の分析結果に基づいて、現在の関連情報に対して相関関係が高いと判断される省エネモードがあるか否かを判定する(S5)。この相関関係の判定処理は、現在の関連情報に対する相関度が所定の閾値以上であれば、この省エネモードは、現在の関連情報に対して相関関係が高いと判断される。現在の関連情報に対して相関関係が高いと判断される省エネモードがある場合、省エネモード設定部1eが、この相関度が高いと判定された省エネモードの設定情報を記憶することによって、制御部1dに1つの省エネモードが設定される(S6)。この設定された省エネモードは、過去の省エネモードと関連情報との相関関係に基づく学習によって自動設定された省エネモードである。そして、省エネモード設定部1eは、実行する制御アルゴリズムを、自動設定によって適用された省エネモードに対応するパラメータとともにアルゴリズム記憶部1bから読み出し、この読み出した制御アルゴリズムに、読み出したパラメータを設定する。
【0058】
例えば、省エネモード「強」と、「夏」という関連情報との相関度が高いとする。この場合、現在の関連情報が「夏」である場合、省エネモード「強」が自動設定される。
【0059】
また、省エネモード「強」と、「気温が30℃を超える」という関連情報との相関度が高いとする。この場合、現在の関連情報が「気温が30℃を超える」である場合、省エネモード「強」が自動設定される。
【0060】
また、省エネモード「強」と、「8月で、且つ気温が28℃〜32℃」という関連情報との相関度が高いとする。この場合、現在の関連情報が「8月で、且つ気温が28℃〜32℃」である場合、省エネモード「強」が自動設定される。
【0061】
一方、ステップS5において、現在の関連情報に対して相関関係が高いと判断される省エネモードがない場合、本処理を終了する。
【0062】
制御アルゴリズムとしては、上記在・不在制御アルゴリズム以外に、間欠制御アルゴリズム、スケジュール制御アルゴリズム、シーン制御アルゴリズムがあり、以下、各制御アルゴリズムについて、その概略を説明する。
【0063】
まず、間欠制御アルゴリズムをヒータ23に用いた場合、ヒータ23の目標温度に上限温度を設定した上限温度期間と、ヒータ23の目標温度に下限温度を設定した下限温度期間とを交互に繰り返す。間欠制御アルゴリズムのパラメータは、上限温度期間の時間長さに対する下限温度期間の時間長さの比であり、省エネルギーのレベルが高いほど、この時間長さの比が大きくなる。
【0064】
また、間欠制御アルゴリズムは、省エネルギーのレベルが高いほど、上限温度または下限温度を低くする構成でもよい。すなわち、間欠制御アルゴリズムのパラメータは、上限温度期間におけるヒータ23の使用エネルギー量、または下限温度期間におけるヒータ23の使用エネルギー量の少なくともいずれか一方でもよい。この場合、省エネルギーのレベルが高いほど、ヒータ23の使用エネルギー量が小さくなる。
【0065】
次に、スケジュール制御アルゴリズムとは、被制御機器2に対して、予め決められた時刻に予め決められた制御を行うアルゴリズムである。以下、スケジュール制御アルゴリズムをヒータ23に用いる場合を例にして、説明する。
【0066】
まず、ヒータ23に用いるスケジュール制御アルゴリズムとして、おはようスケジュール制御アルゴリズムと、おやすみスケジュール制御アルゴリズムとを例示する。
【0067】
おはようスケジュール制御アルゴリズムは、予め決められた時刻(例えば、起床時刻)に、ヒータ23の目標温度を下限温度から上限温度に切り替える。この上限温度でのヒータ制御は、制御継続時間の間、継続される。制御継続時間が経過した後は、ヒータ23の目標温度を上限温度から下限温度に切り替える。
【0068】
おやすみスケジュール制御アルゴリズムは、予め決められた時刻(例えば、就寝時刻)に、ヒータ23の目標温度を上限温度から下限温度に切り替える。この下限温度でのヒータ制御は、制御継続時間の間、継続される。制御継続時間が経過した後は、ヒータ23の目標温度を下限温度から上限温度に切り替える。
【0069】
このようなスケジュール制御アルゴリズムのパラメータは、制御継続時間である。おはようスケジュール制御アルゴリズムの場合、省エネルギーのレベルが高いほど、制御継続時間が短くなる。また、おやすみスケジュール制御アルゴリズムの場合、省エネルギーのレベルが高いほど、制御継続時間が長くなる。
【0070】
また、おはようスケジュール制御アルゴリズムのパラメータは、制御継続時間において制御されるヒータ23の上限温度としてもよい。この場合、省エネルギーのレベルが高いほど、上限温度は低くなる。さらに、おやすみスケジュール制御アルゴリズムのパラメータは、制御継続時間において制御されるヒータ23の下限温度としてもよい。この場合、省エネルギーのレベルが高いほど、下限温度は低くなる。
【0071】
次に、シーン制御アルゴリズムとは、生活シーンに応じた省エネルギー制御を行うアルゴリズムである。以下、就寝時に用いるシーン制御アルゴリズム(以降、おやすみシーン制御アルゴリズムと称す)を例にして、説明する。
【0072】
まず、おやすみシーン制御アルゴリズムは、就寝前のユーザが、操作端末3の表示部3bに表示された操作画面に対して、操作部3aを操作することによって実行される。おやすみシーン制御アルゴリズムが実行されてから、シーン制御時間が経過するまでは、被制御機器2を現在の制御状態に維持する。そして、シーン制御時間が経過した時点で、使用エネルギーが減少する省エネルギー方向に被制御機器2を制御する。すなわち、ユーザが操作部3aを操作してから、就寝するまでの移動時間等を考慮して、被制御機器2をすぐに省エネルギー方向に制御しないものである。
【0073】
このようなおやすみシーン制御アルゴリズムのパラメータは、シーン制御時間である。省エネルギーのレベルが高いほど、シーン制御時間は短くなる。
【0074】
そして、上記間欠制御アルゴリズム、スケジュール制御アルゴリズム、シーン制御アルゴリズムにおいても、上記在・不在制御アルゴリズムと同様に、過去の省エネモードと関連情報との相関関係に基づく学習によって、現在の関連情報に適した省エネモードが自動設定される。
【0075】
このように本実施形態では、過去の省エネモードと関連情報との相関関係に基づく学習によって、現在の関連情報に適した省エネモードが自動設定されるので、ユーザが省エネモードを設定する手間を削減できる。
【0076】
また、モード学習部1gを、インターネットNT2を介してコントローラ1と通信可能に設けられたセンターサーバ6に設けてもよい。この場合、センターサーバ6は、コントローラ1のモード履歴記憶部1iから、過去の省エネモードと関連情報を取得する。そして、センターサーバ6のモード学習部は、ユーザによって選択された省エネモードと関連情報との相関関係を分析し、省エネモードのそれぞれと、関連情報との相関度を導出し、この相関度の情報をコントローラ1へ送信する。コントローラ1の省エネモード設定部1eは、現在の関連情報に対して相関関係が高いと判断される省エネモードがある場合、この相関度が高いと判定された省エネモードの設定情報を記憶し、制御部1dに省エネモードが設定される。
【0077】
なお、省エネモードを設定する入力手段として、パーソナルコンピュータで構成される操作端末3以外に、インターネットNT2経由で宅内ネットワークNT1に接続可能な図示しない携帯端末を用いてもよい。また、宅内に設置された図示しないネットワーク対応テレビや専用端末を宅内ネットワークNT1に接続して、入力手段として用いてもよい。
【0078】
(実施形態2)
本実施形態の機器制御システムは、実施形態1と同様に図1に示され、同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0079】
本実施形態では、ユーザが操作端末3を操作して、選択した省エネモードの適用可否を制御アルゴリズム毎に設定できる。例えば、操作端末3の表示部3bに、図5に示す設定画面を表示する。この設定画面は、制御アルゴリズムの種類毎にチェックボックスB1が配置され、このチェックボックスB1にチェックを入れることによって、チェックの入った制御アルゴリズムのみを適用対象とする省エネモードの設定情報がコントローラ1に送信される。ここで、図5に示す操作端末3の設定画面が、本発明のアルゴリズム選択部を構成する。
【0080】
コントローラ1では、モード情報取得部1cが、操作端末3から省エネモードの設定情報を取得し、制御部1dへ出力する。制御部1dでは、省エネモード設定部1eが、適用対象の制御アルゴリズムが設定された省エネモードの設定情報を記憶する。そして、省エネモード設定部1eは、適用対象の制御アルゴリズムを実行するときのみ、ユーザが選択した省エネモードを適用する。また、省エネモード設定部1eは、ユーザが設定した省エネモードの適用対象外の制御アルゴリズムを実行する場合、省エネモード「強」(または「弱」)を自動設定する。
【0081】
次に、本機器制御システムのモード学習機能について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0082】
まず、モード情報取得部1cが上述のように、操作端末3から、省エネモードの設定情報を取得し(S11)、さらに、この設定情報から、適用対象の制御アルゴリズムの情報を取得する(S12)。また、関連情報取得部1hは、操作端末3による省エネモードの設定に影響を与える事象に関する関連情報を取得する(S13)。
【0083】
モード履歴記憶部1iは、モード情報取得部1cが取得した省エネモードの履歴を、各省エネモードに設定された適用対象の制御アルゴリズムの情報と、各省エネモードの取得時点における関連情報(時間情報、気象情報)とともに記憶する(S14)。すなわち、モード履歴記憶部1iには、省エネモードの履歴が、各省エネモードに設定された適用対象の制御アルゴリズムの情報、および日付、時刻等の時間情報や、温度、湿度、天候、風速、日射量等の気象情報に対応付けて格納されている。
【0084】
モード履歴記憶部1iに各情報が十分に蓄積されると、モード学習部1jは、モード履歴記憶部1iを参照して、ユーザによって選択された省エネモードと、適用対象の制御アルゴリズムと、関連情報との相関関係を分析し、省エネモードと、適用対象の制御アルゴリズムと、関連情報との互いの相関度を導出する(S15)。
【0085】
例えば、省エネモードと適用対象の制御アルゴリズムと関連情報との相関度が高い例として、
「10月、11月の昼間で、且つ気温が18℃〜22℃のときは、適用対象の制御アルゴリズムとして必ず「在・不在制御アルゴリズム」と「ヒータ設定温度制御」を選択し、且つ省エネモードを「強」にする」
等が挙げられる。
【0086】
そして、省エネモード設定部1eは、上記省エネモードと関連情報との相関関係の分析結果に基づいて、現在の関連情報に対して相関関係が高いと判断される省エネモードがあるか否かを判定する(S16)。現在の関連情報に対して相関関係が高いと判断される省エネモードがある場合、省エネモード設定部1eは、この省エネモードおよび現在の関連情報に対して相関関係が高い適用対象の制御アルゴリズムを判別する(S17)。そして、省エネモード設定部1eが、この相関度が高いと判定された省エネモードおよび適用対象の制御アルゴリズムの設定情報を記憶することによって、制御部1dに省エネモードおよび適用対象の制御アルゴリズムが設定される(S18)。この設定された省エネモードおよび適用対象の制御アルゴリズムは、過去の省エネモードと適用対象の制御アルゴリズムと関連情報との相関関係に基づく学習によって自動設定される。そして、省エネモード設定部1eは、実行する制御アルゴリズムが適用対象である場合、自動設定によって適用された省エネモードに対応するパラメータとともにアルゴリズム記憶部1bから読み出し、この読み出した制御アルゴリズムに、読み出したパラメータを設定する。
【0087】
例えば、省エネモード「強」と、「10月、11月の昼間で、且つ気温が18℃〜22℃」という関連情報と、「在・不在制御アルゴリズム」「ヒータ設定温度制御」という適用対象のアルゴリズムとの相関度が高いとする。この場合、現在の関連情報が「10月、11月の昼間で、且つ気温が18℃〜22℃」である場合、省エネモード「強」が、「在・不在制御アルゴリズム」「ヒータ設定温度制御」に自動設定される。
【0088】
一方、ステップS16において、現在の関連情報に対して相関関係が高いと判断される省エネモードがない場合、本処理を終了する。
【0089】
このように本実施形態では、過去の省エネモードと適用対象の制御アルゴリズムと関連情報との相関関係に基づく学習によって、現在の関連情報に適した省エネモードが、適用対象の制御アルゴリズムのみに自動設定される。したがって、ユーザが省エネモードを設定する手間を削減でき、さらには各省エネモードに対する適用対象の制御アルゴリズムを個別に設定する手間も削減できる。
【0090】
(実施形態3)
本実施形態の機器制御システムは、実施形態1または実施形態2と同様の構成を備えており、同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0091】
本実施形態のコントローラ1は、図7に示すように、パラメータ再設定部1kを備えており、以下、このパラメータ再設定部1kによるパラメータ再設定処理について説明する。
【0092】
まず、ユーザが、操作端末3の表示部3bに表示されたパラメータ変更画面に対して、操作部3aを操作することによって、パラメータの変更操作を行うことができる。このパラメータ変更操作は、制御アルゴリズム毎に、省エネモード「強」「弱」の各パラメータを変更し、このパラメータ変更内容を含むパラメータ変更要求がコントローラ1へ送信される。なお、この構成によって、本発明のパラメータ変更部が構成される。
【0093】
パラメータ変更要求を受信したコントローラ1では、制御アルゴリズム毎のパラメータテーブルをアルゴリズム記憶部1bに格納しており、変更対象のパラメータの値を変更する。以降は、この変更されたパラメータを用いて、省エネモードに応じた制御アルゴリズムを実行する。このように、ユーザは、生活パターン、環境等に応じて、各制御アルゴリズムのパラメータを変更することができる。例えば、住戸内に複数のユーザが存在する場合、同じ省エネモードが設定された同じ制御アルゴリズムであっても、ユーザ毎にパラメータの設定値を変更する状況が発生する。
【0094】
そこで、パラメータ再設定部1kは、全ての制御アルゴリズムの全てのパラメータについて、パラメータの変更履歴を記憶しておき、このパラメータの変更履歴に基づいて、複数のユーザが納得し易い新たなパラメータの設定値(パラメータ更新値)を、定期的またはユーザ操作時に算出する。
【0095】
具体的には、各制御アルゴリズムのパラメータは、省エネモード「強」「弱」のそれぞれに対応して設定されている。パラメータ再設定部1kは、各制御アルゴリズムのパラメータについて、その変更履歴に基づき、所定期間(例えば1ヶ月、半年、1年間等)の平均値および標準偏差を省エネモード毎に算出する。すなわち、制御アルゴリズムのそれぞれに対して、省エネモード「強」のパラメータの平均値および標準偏差、省エネモード「弱」のパラメータの平均値および標準偏差が算出される。
【0096】
パラメータ再設定部1kは、省エネモード「強」のパラメータの平均値と標準偏差との和[平均値+標準偏差]を省エネモード「強」に対応するパラメータ更新値として算出する。また、パラメータ再設定部1kは、省エネモード「弱」のパラメータの平均値と標準偏差との差[平均値−標準偏差]を省エネモード「弱」に対応するパラメータ更新値として算出する。
【0097】
パラメータ再設定部1kは、上記省エネモード毎のパラメータ更新値の算出処理を、全ての制御アルゴリズムの全てのパラメータについて行う。したがって、全ての制御アルゴリズムの全てのパラメータについて、複数のユーザが設定したパラメータの変更履歴に基づいて、省エネモード「強」「弱」に対応するパラメータ更新値が算出される。
【0098】
そして、コントローラ1では、アルゴリズム記憶部1bに格納している各制御アルゴリズムのパラメータテーブルを、パラメータ再設定部1kが算出したパラメータ更新値に更新する。
【0099】
この更新されたパラメータは、複数のユーザによる変更履歴に基づく値であるので、複数のユーザが納得し易いパラメータになる。したがって、このようなパラメータを用いた省エネルギー制御は、多くのユーザに長期間に亘って許容され易くなり、省エネルギー制御が長期間に亘って継続して実施され易くなる。
【0100】
(実施形態4)
本実施形態の機器制御システムは、図8に示す同一地域内に存在する複数の住戸Aのそれぞれに、コントローラ1、被制御機器2、操作端末3、ホームゲートウェイ4、人感センサ5を設ける(図1参照)。そして、各住戸Aの機器制御システムが、インターネットNT2上のセンターサーバ6に接続している。なお、実施形態1または実施形態2と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0101】
センターサーバ6は、図8に示すように、パラメータ再設定部6aを備えており、以下、このパラメータ再設定部6aによるパラメータ再設定処理について説明する。
【0102】
まず、ユーザが、操作端末3の表示部3bに表示されたパラメータ変更画面に対して、操作部3aを操作することによって、パラメータの変更操作を行うことができる。このパラメータ変更操作は、制御アルゴリズム毎に、省エネモード「強」「弱」の各パラメータを変更し、このパラメータ変更内容を含むパラメータ変更要求がコントローラ1へ送信される。なお、この構成によって、本発明のパラメータ変更部が構成される。
【0103】
パラメータ変更要求を受信したコントローラ1では、制御アルゴリズム毎のパラメータテーブルをアルゴリズム記憶部1bに格納しており、変更対象のパラメータの値を変更する。以降は、この変更されたパラメータを用いて、省エネモードに応じた制御アルゴリズムを実行する。このように、各住戸Aのユーザは、生活パターン、環境等に応じて、各制御アルゴリズムのパラメータを変更することができる。したがって、同じ制御アルゴリズムであっても、ユーザ毎(住戸A毎)にパラメータの値が異なる。
【0104】
そして、各住戸Aのコントローラ1は、アルゴリズム記憶部1bに格納しているパラメータテーブルの情報をセンターサーバ6へ定期的に送信する。センターサーバ6は、図9のフローチャートにしたがって動作する。
【0105】
センターサーバ6のパラメータ再設定部6aは、複数の住戸Aのコントローラ1から、パラメータテーブルの情報を取得し(S21)、複数の住戸Aにおいて設定されている各パラメータの値に基づいて、新たなパラメータの設定値(パラメータ更新値)を計算する(S22)。具体的には、制御アルゴリズムのパラメータは、省エネモード「強」「弱」のそれぞれに対応して設定されている。パラメータ再設定部6aは、複数の住戸Aにおける同じ制御アルゴリズムの同じパラメータについて、同じ省エネモードに対応する値の平均値および標準偏差を算出する。パラメータ再設定部6aは、この平均値と標準偏差との和[平均値+標準偏差]を省エネモード「強」に対応するパラメータ更新値として算出する。また、パラメータ再設定部6aは、この平均値と標準偏差との差[平均値−標準偏差]を省エネモード「弱」に対応するパラメータ更新値として算出する。パラメータ再設定部6aは、上記パラメータ更新値の算出処理を、全ての制御アルゴリズムの全てのパラメータについて行う。したがって、全ての制御アルゴリズムの全てのパラメータについて、複数の住戸Aにおいて各ユーザが設定したパラメータに基づいて、省エネモード「強」「弱」に対応するパラメータ更新値が算出される。
【0106】
センターサーバ6は、上記のようにパラメータ再設定部6aが算出したパラメータ更新値の情報を各住戸Aのコントローラ1へ送信する(S23)。
【0107】
各住戸Aのコントローラ1では、アルゴリズム記憶部1bに格納している各制御アルゴリズムのパラメータテーブルに設定されている各パラメータを、センターサーバ6から受信したパラメータ更新値に更新する。
【0108】
この更新されたパラメータは、複数の住戸Aの各ユーザによる変更履歴に基づく値であるので、同一地域内の複数の住戸Aの各ユーザが納得し易いパラメータになる。したがって、このようなパラメータを用いた省エネルギー制御は、多くのユーザに長期間に亘って許容され易くなり、省エネルギー制御が長期間に亘って継続して実施され易くなる。
【0109】
また、上記の各実施形態では、ユーザが選択した1つの省エネモードを、複数の制御アルゴリズムに対して一括して適用する構成を例示している。しかし、制御アルゴリズムの各々に対して、個別に互いに異なる省エネモードを適用する構成であってもよい。
【0110】
さらに、上記の各実施形態では、操作端末3によって、省エネモード「強」「弱」を設定している。しかし、操作端末3によって設定するモードは、省エネルギー化による省コストのレベルである省コストモード「高」「低」や、省エネルギー化による二酸化炭素の削減量のレベルである二酸化炭素削減モード「多」「少」であってもよい。すなわち、本発明の省エネモードは、省エネルギー化による省コストのレベルや、省エネルギー化による二酸化炭素の削減量のレベル等のように、省エネルギー化に関連する様々な事象を示すものも含む。
【0111】
さらに、コントローラ1が備える関連情報取得部1h、モード履歴記憶部1i、モード学習部1jは、コントローラ1の外部に設けてもよく、各部がコントローラ1との間でネットワーク等を介して情報授受を行うことができる構成であればよい。
【符号の説明】
【0112】
1 コントローラ
1b アルゴリズム記憶部
1c モード情報取得部
1d 制御部
1h 関連情報取得部
1i モード履歴記憶部
1j モード学習部
2 被制御機器
3 操作端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
省エネルギーのレベルを示す省エネルギーモードを設定する入力手段と、
被制御機器の動作を制御し、制御対象の前記被制御機器の使用エネルギーに影響を与えるパラメータを含む1乃至複数の制御アルゴリズムを格納したアルゴリズム記憶部、前記入力手段が設定した前記省エネルギーモードを取得するモード情報取得部、前記モード情報取得部が取得した前記省エネルギーモードが適用され、この適用された前記省エネルギーモードに対応する前記パラメータが設定された前記制御アルゴリズムを実行することによって、前記被制御機器の動作を制御する制御部を具備するコントローラと、
前記入力手段による前記省エネルギーモードの設定に影響を与える事象に関する関連情報を取得する関連情報取得部と、
前記入力手段が設定した前記省エネルギーモードの履歴を、前記省エネルギーモードの設定時点における前記関連情報とともに記憶するモード履歴記憶部と、
前記モード履歴記憶部を参照して、前記モード情報取得部が取得した前記省エネルギーモードと前記関連情報との相関関係を分析するモード学習部とを備え、
前記制御部は、前記モード学習部が分析した前記相関関係に基づいて、現在の前記関連情報に対して相関関係が高いと判断した前記省エネルギーモードがある場合、この相関関係が高いと判断した前記省エネルギーモードが適用され、この適用された前記省エネルギーモードに対応する前記パラメータを設定された前記制御アルゴリズムを実行する
ことを特徴とする機器制御システム。
【請求項2】
前記省エネルギーモードの設定の可否を前記制御アルゴリズム毎に選択するアルゴリズム選択部を備え、
前記モード履歴記憶部は、前記入力手段が設定した前記省エネルギーモードの履歴を、前記省エネルギーモードの設定時点における前記関連情報、および前記アルゴリズム選択部の選択結果とともに記憶し、
前記モード学習部は、前記モード履歴記憶部を参照して、前記モード情報取得部が取得した前記省エネルギーモードと前記関連情報と前記アルゴリズム選択部の選択結果との相関関係を分析し、
前記制御部は、前記モード学習部が分析した前記相関関係に基づいて、現在の前記関連情報に対して相関関係が高いと判断した前記省エネルギーモードがある場合、この相関関係が高いと判断した前記省エネルギーモードおよび現在の前記関連情報に対して相関関係が高い前記制御アルゴリズムを判別し、前記相関関係が高いと判断した前記省エネルギーモードを、前記判別した前記制御アルゴリズムに適用する
ことを特徴とする請求項1記載の機器制御システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記制御アルゴリズムに含まれる各パラメータを前記省エネルギーモード毎に格納したパラメータテーブルを有し、
前記パラメータテーブルに格納した前記省エネルギーモード毎のパラメータを、ユーザの操作によって変更するパラメータ変更部と、
前記パラメータの変更履歴に基づいて、前記パラメータの更新値を計算するパラメータ再設定部とを備え、
前記コントローラは、前記パラメータの更新値を前記パラメータテーブルに設定する
ことを特徴とする請求項1または2記載の機器制御システム。
【請求項4】
前記モード学習部は、ネットワークを介して前記コントローラと通信可能に設けられたサーバに設けられることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の機器制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−53689(P2012−53689A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196070(P2010−196070)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)