説明

歯ブラシ立て

【課題】歯ブラシに付いた水滴を自然に落ちやすくし、歯ブラシを常に乾燥状態で衛生的に保ち、水滴の溜まりやすい箱隅形状をなくして掃除を容易した歯ブラシ立てを提供すること。
【解決手段】直立の支柱5に笠状で側面視が台形の略円錐形状の上下2つの支持体2、3を備え、支持体2,3に歯ブラシ10を起立状態に貫通支持する挿通孔6,7を複数備えて、支柱5の最下部に歯ブラシ10の下部11を受ける受け台4を備え、支持体2,3と受け台4の受け面が傾斜してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯ブラシ立てに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衛生的に保管できる歯ブラシ立てが提案されている。
【0003】
たとえば特許文献1には、中空箱状の歯ブラシ立てであって、保管する複数本の歯ブラシが隣り合ったもの同士で当たるのを確実に抑制する事のできる歯ブラシ立てが開示されている。ただし、中空箱状のために歯ブラシに付いた水滴は箱の中に溜まり滞り、カビ、臭いが発生しやすく、箱内の細部の掃除も容易ではない課題がある。
【0004】
また、特許文献2には、歯ブラシに付いた水滴が溜まり滞る事がなく、掃除等のメンテナンスを容易に行うことができるアイデアが開示されている。具体的には、上面板部と中間板部と底面板部とを互いに適宜間隔をおいて平行状に並列して側面視略己の字形に形成し、上記上面板部及び中間板部には歯ブラシを挿し込むための差込み用穴を複数個形成し、底面板部の上面を平滑に形成している。
【0005】
しかし、上記のような構造では、中間板部と底面板部に付着した水滴が他へ流れる構造ではないので、表面張力作用により水滴が溜まりやすく、カビ、臭い等が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−233009号公報
【特許文献2】特開2001−169941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、以上の課題を鑑みてなされたものであり、
歯ブラシに付いた水滴が滞る要因がなく衛生的で、また掃除がしやすい歯ブラシ立てを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、以下の特徴を有している。
【0009】
すなわち、第1には、直立の支柱に、歯ブラシを起立状態に貫通支持する挿通孔を適宜複数有する支持体を適宜間隔に2つ備え、前記支持体が笠状で側面視が台形で略円錐形状であって、2つの前記支持体の挿通孔を貫通した歯ブラシの柄の下部を受ける受け台を前記支柱の最下部に備え、前記受け台が笠状で側面視が台形で略円錐形状であって、前記支持体と前記受け台の受け面が傾斜してなることを特徴としている歯ブラシ立てである。
【0010】
第2には、支台を備えた直立した支柱に、歯ブラシを起立状態に貫通支持する挿通孔を適宜複数有する支持体を適所適宜間隔に2つ備え、前記支持体が傾斜した板状であって、2つの前記支持体の挿通孔を起立状態で貫通した歯ブラシの柄の下部を受ける受け台を前記支持体と前記支台の間に備え、前記受け台が板状で受け面が傾斜してなることを特徴とする歯ブラシ立てである。
【0011】
第3には、前記歯ブラシ立ての2つの支持体と歯ブラシの柄の下部を受ける受け台が、歯ブラシ立ての上から見て半円形で半笠状の半略円錐形状であることを特徴とする請求項2記載の歯ブラシ立てである。
【0012】
第4には、前記歯ブラシ立ての歯ブラシの柄の下部を受ける受け台において、傾斜した受け面の裾部に溝を備えたことを特徴とする第1項、第2項または第3項記載の歯ブラシ立てである。

【発明の効果】
【0013】
本発明は、第1の特徴により、挿通孔に挿入された歯ブラシは2つの支持体により起立状態が保持され、歯ブラシの柄の下部を受ける受け台の受け面が傾斜していても、前後左右に倒れることなく安定した保管状態が保たれる。そして、歯ブラシに付いた水滴は、それぞれ支持部、受ける部分に接触するが、支持体は笠状の略円錐形のために水滴は斜めに落ちやすく溜まることはない。また、歯ブラシ立て下部の受け台に流れる水滴は、受ける面が傾斜しているので水滴は溜まらずに歯ブラシは乾燥状態が促進され、カビや臭いは発生しにくい。さらに、水滴が流れる箇所は箱隅などの溜まる箇所がなく、掃除が極めて容易であり、衛生的に保たれる。
【0014】
また、本発明の第2の特徴は、2つの支持体の挿通孔に挿入された歯ブラシは上下2つの支持部により起立状態が保持され、歯ブラシの柄の下部を受ける板状の受け面が傾斜していても、前後左右に倒れることなく安定した保管状態が保たれる。そして、歯ブラシに付いた水滴は、それぞれ支持部、受け台に接触するが、支持体は板状で傾斜させているために水滴は斜めに落ちやすく溜まることはない。また、歯ブラシ立ての下部の受け台に流れる水滴は、受け面が傾斜しているので水滴は流れて溜まらず、歯ブラシは乾燥状態が促進されカビや臭いは発生しにくい。さらに、水滴が流れる箇所は箱隅などの溜まる箇所がなく、掃除が極めて容易であり、衛生的に保たれる。
【0015】
また、本発明の第3の特徴は、本発明第2特徴の支持体と歯ブラシの柄の下部を受ける受け台が、歯ブラシ立ての上から見て半円形の半略円錐形状であって、上下2つの支持体の支持部により歯ブラシが起立状態に保持され、歯ブラシの柄の下部を受ける受け台が傾斜していても、前後左右に倒れることなく安定した保管状態が保たれる。
【0016】
また、本発明の第4の特徴は、本発明第1、第2、第3の特徴の歯ブラシの柄の下部を受ける受け台において、傾斜した受け面の裾部に溝を備えて、歯ブラシから受け台に流れた水分を溜め、歯ブラシ立てを設置した場所に水分を逃がさず、周辺を汚さない役割を果たす。

【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は請求項1の歯ブラシ立ての斜視図である。
【図2】図2は請求項1の歯ブラシ立ての使用時側面図である。
【図3】図3は請求項2の歯ブラシ立ての正面図である。
【図4】図4は請求項2の歯ブラシ立ての使用時の左側面図である。
【図5】図5は請求項3の歯ブラシ立ての左側面図である。
【図6】図6は請求項3の歯ブラシ立ての平面図である。
【図7】図7は請求項4の歯ブラシ立ての使用時の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の材質、形状、数、その配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0019】
請求項1の本発明において、図1と図2に示した歯ブラシ立て1は、直立の支柱5に歯ブラシ10(図2)を支持する笠状で側面視が台形の略円錐形状の上下2つの支持体2,3と、歯ブラシ10の下部11を受ける略円錐形状の受け台4を備えている。上下の支持体2,3と支柱5とは分離でき、樹脂等により形成されていて、支柱5に支持体3の貫入穴部9を貫入し、さらに支持体2の貫入穴部8を貫入して歯ブラシ立て1を形成する。
【0020】
支柱5は略円錐の形状であるが、受け台4に接する下部はやや太く、上部に向かって細くなるように形成し、貫入する上部の支持体2の貫入穴部8の径は下部の支持体3の貫入穴部9の径より少し小さく、おのおの上下適宜間隔に配置、貫入挿着できるように形成されている。
【0021】
笠状の略円錐形を形成する上下2つの支持体2,3には、複数の挿通孔6、7が形成され、歯ブラシ10を起立状態に貫通支持する。挿通孔6,7の形状は好ましくは略楕円形で、歯ブラシ10の幅方向に合わせ安定して支持できる形状になっている。 さらに、支柱5の最下部に歯ブラシ10の下部11を受ける略円錐の形状の受け台4を備えてある。
【0022】
このような歯ブラシ立て1に歯ブラシ10を保管する時は、歯ブラシ10の下部11を支持体2の挿通孔6の一つに挿入し、続いてその下部に備えてある支持体3の挿通孔7の一つに挿入する。さらに歯ブラシ10の下部11を受ける受け台4に着台する。支持体2と3は適宜間隔で、歯ブラシ10が挿通孔6と7を続けて貫通しやすい間隔で備えてある。
【0023】
歯ブラシ10は、2つの支持体2,3の挿通孔6,7により上下2つの支点で支持され、起立状態が保持される。さらに歯ブラシ10の下部11を受ける受け台4が略円錐の形状で受け面が傾斜しているが、上記支持体2,3により起立状態が保持固定されている為に受け台4に着台した歯ブラシ10の下部11は受け台4から滑り落ちることなく安定保持される。
【0024】
さらに歯ブラシ10を起立状態に安定保持することを図2(使用時の側面図)で以下に説明すると、
【0025】
図2において、歯ブラシ10の下部11を受け台4に着台すると、歯ブラシ10は受け台4の傾斜により、右側下部に滑り落ちる作用が働くが、下方支持体3の挿通孔7の右下側縁14が支え止め、さらにその作用でブラシ部12が左側に倒れる作用を、上方支持体2の挿通孔6の縁部15の支えにより倒れ作用を止める。従って、歯ブラシ10は起立状態に安定保持される。
【0026】
このように、歯ブラシ立て1では、上記の構造により歯ブラシ10の下部11が着台する受け台4が傾斜面であっても起立状態を安定保持できるために、歯ブラシ10に付いた水滴は上方から下方に自然に流れる。そして、受け台4に流れた水滴は傾斜面によりさらに下方に流れ、歯ブラシ10には水滴が溜まらず乾燥状態が保たれる。
【0027】
また、歯ブラシ10を支える支持体2,3は笠状の略円錐形を形成しているので、歯ブラシ10の水滴が支持体2,3に付着しても下方に流れ落ちる構造になっている。従って、歯ブラシ10には水滴が残りにくく乾燥状態が促進される。
【0028】
さらに、歯ブラシ立て1は笠状の略円錐形の支持体2,3と略円錐形の受け台4と直立の支柱5から構成されていて、水滴の溜まりやすい箱隅を形成していないので掃除が容易であり、常に衛生的に保つことが容易である。
【実施例2】
【0029】
請求項2の本発明において、図3と図4に示した歯ブラシ立て21は、支台28を有する支柱25に歯ブラシ32(図4)を支持する板状で傾斜した上下2つの支持体22,23と、歯ブラシ32の下部33を受ける板状で傾斜した受け台24を備えて形成されている。上下の支持体22,23と受け台24は支柱25とは分離でき、樹脂等により形成されている。歯ブラシ立て21は、支柱25に受け台24の貫入穴部31を貫入し、次に支持体23の貫入穴部30を貫入し、次に支持体22の貫入穴部29を貫入して歯ブラシ立て21を形成する。
【0030】
支柱25は好ましくは板状の略四角錐の台形状であり、下部に備えた支台28側の幅がやや太く、上部に向かって支柱25の幅が細くなるように形成されている。そして、貫入する受け台24の貫入穴部31の径が一番大きく、次に支持体23の貫入穴部30の径、その次に上部の支持体22の貫入穴部29の径が小さくなり、おのおの支柱25の下位置、中位置、上位置に適宜間隔に配置、貫入挿着できるように形成されている。また、支持体22,23と受け台24のそれぞれの貫入穴部29、30、31の断面は、図4に示すように貫入する支持体25に対して傾斜して貫入装着できる角度に形成されている。
【0031】
板状で傾斜のある支持体22,23には、歯ブラシ32を起立状態に貫通支持する複数の挿通孔26、27が形成されている。挿通孔26,27の好ましい形状は略楕円形で、歯ブラシ35の幅方向にあわせ安定して支持できる形状になっている。
【0032】
このような歯ブラシ立て21に歯ブラシ32を保管する時は、歯ブラシ32の下部33を支持体22の挿通孔26の一つに挿入し、続いてその下部に備えた支持体23の挿通孔27の一つに挿入する。さらに、歯ブラシ32の下部の33を受ける受け台24に着台する。支持体22と23は適宜間隔で、歯ブラシ32が挿通孔26と27と続けて貫通しやすい間隔で備えてある。
【0033】
歯ブラシ32は、2つの支持体22、23の挿通孔26、27による上下2つの支点の支持で起立状態が保持され、歯ブラシ32の下側の3点目の支持は受け台24により保持される。従って、受け台24は板状で受け面が傾斜しているが、上記支持体22,23により起立状態が保持されている為に受け台24に着台した歯ブラシ32の下部33は受け台24から滑り落ちることなく安定保持される。
【0034】
さらに歯ブラシ32が起立状態に安定保持する事を図4(使用時の側面図)で以下に説明すると、
【0035】
図4において、歯ブラシ32の下部33を受け台24に着台すると、歯ブラシ32は受け台24の傾斜面により、右側下部に滑り落ちる作用が働く。しかし、下方支持体24の挿通孔27の右下縁35が支え止め、さらにその作用でブラシ部34が左側に倒れる作用を、上方支持体22の挿通孔26の左上縁36の支えにより倒れ作用を止めるので、歯ブラシ32は起立状態に安定保持される。
【0036】
このように、歯ブラシ立て21では、上記の構造により歯ブラシ32の下部33が着台する受け台24が傾斜面であっても起立状態を安定保持できるために、歯ブラシ32に付いた水滴は上方から下方に自然に流れ落ちる。そして、受け台24に流れ落ちた水滴は板状の傾斜面によりさらに下方に流れ落ち、歯ブラシ32には水滴が溜まらず乾燥状態が促進される。
【0037】
また、歯ブラシ32を支える支持体22,23は板状で傾斜しているので、歯ブラシ32の水滴が支持体22、23に付着しても下方に流れ落ちやすい構造になっている。従って、歯ブラシ32には水滴が残りにくく乾燥状態が促進される。
【0038】
さらに、歯ブラシ立て21は、下部に支台28を配設した支柱25に傾斜した板状の受け台24と傾斜した板状の2つの支持体22,23を貫入した構造になっているので、水滴の溜まりやすい箱隅などを形成していないので掃除が容易である。従って、常に衛生的に保つことが容易である。
【実施例3】
【0039】
請求項3の本発明において、図5と図6に示した歯ブラシ立て41は、歯ブラシ立ての上から見て半円形であって、半笠状の半略円錐形の上下2つの支持体42,43と、半略円錐形の受け台44を備えている。上下の支持体42、43と受け台44と支台48を持つ支柱45とは、樹脂等により形成されていて分離でき、支柱45に受け台44の貫入穴部54を貫入し、さらに支持体43の貫入穴部53を貫入し、さらに支持体42の貫入穴部52を貫入して歯ブラシ立て41を形成する。
【0040】
歯ブラシ立て41は、2つの支持体42,43及び受け台44が半略円錐形で支持部、受け部が傾斜なので、歯ブラシに付いた水滴を下方に流す特徴の構造となっている。
【0041】
従って、歯ブラシには水滴が残りにくく乾燥状態が促進され、カビ、臭いが発生しにくい。
【実施例4】
【0042】
本発明の第4の特徴は、本発明第1、第2、第3の特徴の歯ブラシの柄の下部を受ける受け台において、傾斜した受け面の裾部に溝60を備えて、歯ブラシから受け台に流れた水滴を受け台の裾部で溜め、歯ブラシ立てを設置した場所に水滴を逃がさず、周辺を汚さない役割を果たす。(図7は請求項2の発明に溝60を備えたもの)
【符号の説明】
【0043】
1 歯ブラシ立て
2 支持体
3 支持体
4 受け台
5 支柱
6 挿通孔
7 挿通孔
8 穴部
9 穴部
10 歯ブラシ
11 歯ブラシの柄の下部
12 ブラシ部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシ立てにおいて、直立の支柱に、歯ブラシを起立状態に貫通支持する挿通孔を適宜複数有した支持体を適宜間隔に上下2つ挿着し、前記支持体が笠状で側面視が台形で略円錐形状であって、2つの前記支持体の挿通孔を貫通した歯ブラシの柄の下部を受ける受け台を前記直立の支柱の最下部に備え、前記受け台が略円錐形状であって、前記2つの支持体と前記受け台の受け面が傾斜してなることを特徴とする歯ブラシ立て。
【請求項2】
支台を備えた直立した支柱に、歯ブラシを起立状態に貫通支持する挿通孔を適宜複数有する支持体を適宜間隔に上下2つ備え、前記支持体が傾斜した板状であって、2つの前記支持体の挿通孔を貫通した歯ブラシの柄の下部を受ける受け台を前記支持体と前記支柱の最下部の支台の間に備え、前記受け台が板状で受け面が傾斜してなることを特徴とする歯ブラシ立て。
【請求項3】
前記歯ブラシ立ての、歯ブラシを起立状態に貫通支持する挿通孔を備えた上下2つの支持体と歯ブラシの柄の下部を受ける受け台が、歯ブラシ立ての上から見て半円形で半笠状の半円錐形状であることを特徴とする請求項2記載の歯ブラシ立て。
【請求項4】
前記歯ブラシ立ての歯ブラシの柄の下部を受ける受け台において、傾斜した受け面の裾部に溝を備えたことを特徴とする第1項、第2項または第3項記載の歯ブラシ立て。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−193938(P2011−193938A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61718(P2010−61718)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(595015719)
【Fターム(参考)】