説明

歯牙観察装置および歯牙観察方法

【課題】エナメル層と象牙層との境界の鮮明な観察を簡易に行う。
【解決手段】発光部2と、発光部2に対向配置される撮像部3と、撮像部3に対する発光部2の位置/角度を変化させる駆動部4と、これらを制御する制御部5とを備え、制御部5が、歯牙の画像を処理して、歯牙の輪郭に固定された原点位置を抽出する原点抽出部9と、抽出された原点位置に対して、外側測定点と内側測定点を設定する測定点設定部10と、駆動部4により変更された発光部2の複数の位置/角度において発光部2から光を射出させたときに撮像部3により取得された各画像から、内側測定点に対する外側測定点の輝度値の比または差を算出するコントラスト算出部11と、算出された輝度値の比または差が最も大きい位置および/または角度を選択する位置選択部12とを備える歯牙観察装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯牙観察装置および歯牙観察方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバの先端を歯牙の裏側に配置し、光ファイバから射出させた光を歯牙に透過させて、歯牙の表面側に配置したカメラによって観察する歯牙観察装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−65906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、歯牙のう蝕の観察においては、う蝕の進達度を診断するために、エナメル層と象牙層との境界を鮮明に観察することが重要となるが、そのための光ファイバの先端部の位置調整作業は微妙な作業となり簡易に良好な観察条件となるように設定することができないという不都合がある。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、エナメル層と象牙層との境界の鮮明な観察を簡易に行うことの可能な撮影位置を決定することができる歯牙観察装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、光を射出する発光部と、歯牙からの戻り光を受光する撮像部と、該撮像部に対する前記発光部の位置および/または角度を変化させる駆動部と、前記発光部、前記撮像部および前記駆動部を制御する制御部とを備え、該制御部が、前記撮像部により撮影して取得された前記歯牙の画像を処理して、前記歯牙の輪郭に対して固定された原点位置を抽出する原点抽出部と、該原点抽出部により抽出された原点位置に対して、前記歯牙の輪郭から異なる距離に配置される外側測定点と内側測定点とを設定する測定点設定部と、前記駆動部により変更された前記発光部の複数の位置および/または角度において該発光部から光を射出させたときに前記撮像部により取得された各画像から、前記内側測定点に対する前記外側測定点の輝度値の比または差を算出するコントラスト算出部と、該コントラスト算出部により算出された輝度値の比または差が最も大きい位置および/または角度を選択する位置選択部とを備える歯牙観察装置を提供する。
【0006】
本発明によれば、歯牙に対して撮像部を固定し、発光部から光を射出させて撮像部により歯牙の画像が取得される。取得された画像は、制御部に備えられた原点抽出部により処理されることによって、歯牙に対して固定された原点位置が抽出される。抽出された原点位置に対して測定点設定部により内側測定点と外側測定点とが設定され、その後、駆動部が作動させられて発光部の位置および/または角度を変更しながら撮像部により画像が取得される。
【0007】
そして、各画像において、内側測定点の輝度値と外側測定点の輝度値との比または差がコントラスト算出部により算出され、位置選択部によって、輝度値の比または差が最も大きくなる発光部の位置および/または角度が選択される。内側測定点と外側測定点とは、輪郭からの距離を異ならせているので、これら測定点間にエナメル層と象牙層との境界が配されるように設定しておくだけで、これら測定点間の輝度値の比または差が最も大きくなる位置および角度から光を照射することによって、エナメル層と象牙層との境界が鮮明に確認できる画像を取得することが可能となる。
【0008】
すなわち、本発明によれば、2つの測定点間の輝度値の比または差によって発光部の位置および角度を決定するので、エナメル層と象牙層との境界を、客観的に最も鮮明に確認できる撮影位置を簡易に決定することができ、う蝕の進達度等を精度よく診断することができる。
【0009】
上記発明においては、前記制御部が、前記撮像部により取得された画像上における前記原点抽出部により抽出された原点位置の座標と、前記コントラスト算出部により算出された輝度値の比または差が最も大きくなった前記発光部の位置および/または角度の情報とを記憶する記憶部を備えていてもよい。
【0010】
このようにすることで、歯牙観察装置を歯牙から取り外した後に、再度歯牙に取り付けて観察を行う際においても、新たに抽出された原点位置を、記憶部に記憶されている原点位置に近接させるように撮像部を配置し、記憶部に記憶されている情報に対応する位置および/または角度に発光部が配置されるように駆動部を作動させることにより、最も良好なコントラストでエナメル層と象牙層との境界を観察できる観察条件を簡易に再現することができる。
【0011】
また、上記発明においては、前記位置選択部が、該コントラスト算出部により算出された輝度値の比または差が最も大きくなる位置および角度に前記発光部を配置するように前記駆動部を作動させてもよい。
このようにすることで、エナメル層と象牙層との境界を、客観的に最も鮮明に確認できる撮影位置を簡易に再現することができ、う蝕の進達度等を精度よく診断できる。
【0012】
また、上記発明においては、前記制御部が、前記原点抽出部により原点位置が新たに抽出されたときは、前記記憶部に記憶されている原点位置と新たな原点位置との差分だけ、前記記憶部に記憶されている発光部の位置から前記発光部を並進移動させるように前記駆動部を制御してもよい。
【0013】
このようにすることで、歯牙観察装置を歯牙から取り外した後に、再度歯牙に取り付けて観察を行う際においても、新たに抽出された原点位置と記憶部に記憶されている原点位置との差分だけ、記憶部に記憶されている情報に対応する位置から発光部を並進移動させるように駆動部を作動させることにより、原点位置を一致させるように撮像部の設置調節を行うことなく、最も良好なコントラストでエナメル層と象牙層との境界を観察できる観察条件を簡易に再現することができる。
【0014】
また、上記発明においては、前記撮像部を前記歯牙に対して位置決めする位置決め部を備えていてもよい。
このようにすることで、歯牙観察装置を歯牙に対して付け替える都度に、過去の原点位置に近い位置に原点位置が配置されるように撮像部を設置することができ、さらに簡易に観察条件を再現することができる。
【0015】
また、本発明は、歯牙を挟んで対向する位置に光を射出する発光部と前記歯牙の画像を取得する撮像部とを配置して撮影するステップと、該撮像部により取得された画像を処理して前記歯牙の輪郭に対して固定された原点位置を抽出するステップと、抽出された原点位置に対して前記歯牙の輪郭から異なる距離に配置される外側測定点と内側測定点とを設定するステップと、前記撮像部に対して前記発光部の位置および/または角度を異ならせて、前記撮像部により複数の画像を取得するステップと、取得された複数の画像において、前記内側測定点に対する前記外側測定点の輝度値の比または差を算出するステップとを備える歯牙観察方法を提供する。
【0016】
上記発明においては、前記原点位置の座標と、前記輝度値の比または差が最も大きくなった前記発光部の位置および/または角度の情報とを記憶するステップとを備えていてもよい。
また、上記発明においては、算出された輝度値の比または差が最も大きくなる位置および角度に前記発光部を移動させるステップを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、エナメル層と象牙層との境界の鮮明な観察を簡易に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る歯牙観察装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の歯牙観察装置の制御部を示すブロック図である。
【図3】図1の歯牙観察装置により取得された画像例を示す図である。
【図4】図3の画像において設定された外接矩形、原点および測定点をそれぞれ示す図である。
【図5】図1の歯牙観察装置において発光部を位置決めする発光部位置の例を示す図である。
【図6】図1の歯牙観察装置を用いた歯牙観察方法を説明するフローチャートである。
【図7】図1の歯牙観察装置の変形例における制御部を示すブロック図である。
【図8】図7の歯牙観察装置を用いた歯牙観察方法を説明するフローチャートである。
【図9】図8の歯牙観察方法の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る歯牙観察装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る歯牙観察装置1は、図1に示されるように、発光部2と、該発光部2に対して間隔をあけて対向配置されるカメラ(撮像部)3と、発光部2を移動させる駆動部4と、カメラ3により撮影された画像に基づいて駆動部4を制御する制御部5と、カメラ3により取得された画像を表示するモニタ6とを備えている。
【0020】
発光部2は、例えば、近赤外光または赤外光のような透過性の高い光を発生するLED2aと、該LED2aからの光を導光して先端から射出させるガラスロッド2bとを備えている。
発光部2およびカメラ3は、操作者によって把持されるハンドル7に取り付けられている。ハンドル7には、歯牙Aに接触させられて、歯牙Aに対してカメラ3を位置決めする位置決め部材8が設けられている。
【0021】
駆動部4は、LED2aおよびガラスロッド2bをガラスロッド2bの光軸に交差する方向に2次元的に移動させるとともに、ガラスロッド2bの光軸に交差する軸線回りに揺動させるようになっている。駆動部4による発光部2の2次元的な駆動方法は、並進移動であっても回転移動であってもよい。
【0022】
位置決め部材8によって、カメラ3を歯牙Aに対して位置決めすると、カメラ3は、歯牙Aに対して、図3に示されるような、歯牙Aの輪郭を含む画像を取得できるように配置されるようになっている。
【0023】
制御部5は、図2に示されるように、カメラ3により取得された歯牙Aの画像を処理して原点Bの位置を抽出する原点抽出部9と、抽出された原点Bの位置に対して2つの測定点C,Dを設定する測定点設定部10と、発光部2の位置を異ならせて取得した複数の画像において、2つの測定点C,Dの輝度値の比を算出するコントラスト算出部11と、算出された輝度値の比に基づいて最大コントラスト位置を決定し、駆動部4により発光部2を移動させる位置選択部12とを備えている。
【0024】
原点抽出部9は、カメラ3により取得された画像を処理して、図4に示されるような歯牙Aの輪郭に外接する矩形Eを作成し、該矩形Eの左上の角部を原点Bの位置としてその座標を抽出するようになっている。原点Bの位置は、左上の角部に限定されるものではなく、他の角部や重心位置等の矩形の任意の特徴位置を選択してもよい。また、矩形Eに代えて、円形等の他の画像を作成し、その中心等の任意の特徴位置を原点Bの位置として抽出してもよい。
【0025】
測定点設定部10は、図4に示されるように、歯牙Aの輪郭に対して輪郭近傍に配置される外側測定点Cの原点Bの位置に対する相対座標と、該外側測定点Cよりも歯牙Aの内側に間隔をあけて配置された内側測定点Dの原点Bの位置に対する相対座標とを記憶していて、原点抽出部9により原点Bの位置が抽出されると、その原点Bの位置の座標を用いて画像上にそれぞれ設定するようになっている。
【0026】
例えば、外側測定点Cは輪郭から実寸で約1mmの距離に配置され、内側測定点Dは、輪郭から実寸で約5mmの位置に配置されるような座標が選択されている。このような座標を選択することにより、歯牙Aの輪郭線の内側に間隔をあけて存在するエナメル層と象牙層との境界Fを挟む位置に外側測定点Cと内側測定点Dとをそれぞれ設定することができるようになっている。
【0027】
コントラスト算出部11は、駆動部4を作動させて、発光部2を予め設定された複数箇所に移動させる。それとともに、各位置において、発光部2を揺動させて角度を変化させることにより、歯牙Aに対して位置および角度を異ならせた複数の方向から光を照射し、その都度、カメラ3を作動させて画像を取得させるようになっている。発光部2を移動させる位置としては、カメラ3の光軸を基準とした所定の位置に、図5に示されるように所定間隔をあけて2次元的に配列された複数点の発光部位置Gが設定されている(図5は図4において歯牙の背面から見た図となっている。)。
【0028】
そして、コントラスト算出部11は、取得された複数の画像において、それぞれ、外側測定点Cと内側測定点Dに対応する位置の画素の輝度値を抽出し、外側測定点Cの輝度値を内側測定点Dの輝度値で除算することにより輝度値の比を算出するようになっている。
位置選択部12は、コントラスト算出部11により算出された複数の画像における輝度値の比を比較して、最も大きな値となる発光部2の位置および角度を選択し、その位置および角度に発光部2を移動するように駆動部4を作動させるようになっている。
【0029】
このように構成された本実施形態に係る歯牙観察装置1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る歯牙観察装置1を用いて歯牙Aの観察を行うには、操作者はハンドル7を把持してハンドル7に設けられた位置決め部材8を歯牙Aに接触させることにより、カメラ3を歯牙Aに対して位置決めする。
このようにすることで、図1に示されるように、歯牙Aを挟んでカメラ3と発光部2とが相互に対向する位置に配置される。
【0030】
この状態で、図6に示されるように、制御部5は、駆動部4を作動させて発光部2を予め定められた位置に配置し、発光部2から光を射出させ、歯牙Aを透過した光をカメラ3によって撮影させる(ステップS1)。これにより、カメラ3は、図3に示されるような歯牙の輪郭を含む画像を取得することができる。
【0031】
制御部5は、カメラ3により取得された画像を原点抽出部9に送り、そこで画像処理することにより歯牙Aの外接矩形Eを作成し、その左上隅を原点Bとしてその座標を抽出する(ステップS2)。
次いで、制御部5は、原点抽出部9により抽出された原点Bの位置の座標に基づいて、測定点設定部10により、内側測定点Cと外側測定点Dを設定する(ステップS3)。
【0032】
この状態で、制御部5は、駆動部4を作動させて、発光部2を予め設定された複数の位置Gに移動させる(ステップS4)とともに、発光部2を揺動させて複数の角度から光を歯牙Aに照射させる。
制御部5は、発光部2が各位置Gにおいて各角度で光を照射させる都度に、カメラ3を作動させて歯牙Aの画像を取得させる(ステップS5)。
【0033】
取得された画像は制御部5のコントラスト算出部11に送られ、画像上に設定されている内側測定点Cの輝度値と外側測定点Dの輝度値との比が算出される(ステップS6)。
算出された輝度値の比は位置選択部12に送られ、設定された全ての発光部位置Gについて撮影が行われるまで、ステップS4からの工程が繰り返される(ステップS7)。
【0034】
そして、位置選択部12が、輝度値の比の値が最も大きい位置および角度(最大コントラスト位置)を最終的な発光部2の位置および角度として選択し、位置選択部12は、選択された位置および角度に発光部2が移動するように、駆動部4を作動させる(ステップS8)。
【0035】
そして、移動後の発光部2から光を射出して、歯牙Aを透過した光をカメラ3により撮影する(ステップS9)ことにより、内側測定点Cと外側測定点Dとの輝度値の比が大きな画像、つまり、エナメル層と象牙層との境界Fが高いコントラストで表示された画像を取得することができる。この際、選択された位置及び角度に移動された発光部2の位置および角度を操作者が微調整を行うことが可能となっており、目的の位置に移動後にマニュアルで微調整を行うことで、より精密に画像を取得することができる。
【0036】
このように、本実施形態に係る歯牙観察装置1によれば、従来、観察者の主観により、試行錯誤に頼って設定されていた発光部2の位置および角度を、簡易かつ客観的に設定することが可能となり、より精度の高い観察を行うことができるという利点がある。
特に、う蝕の進達度を観察する場合等に、エナメル層と象牙層との境界線Fが鮮明に現れた画像を用いることにより、進達度を精度よく診断することができる。
【0037】
なお、本実施形態に係る歯牙観察装置1においては、図7に示されるように、原点抽出部9において抽出された原点位置および、位置選択部12において選択された輝度値の比の値が最も大きくなる発光部2の位置および角度(最大コントラスト位置)を記憶する記憶部13を備えていてもよい。
【0038】
そして、図8に示されるように、原点抽出部9において原点位置が抽出されたときには(ステップS2)、位置選択部12においては記憶部13に原点位置の座標が記憶されているか否かを判定し(ステップS10)、記憶されていない場合には、原点位置の座標を記憶部13に記憶する(ステップS11)。その後、上述したステップS3〜ステップS7を実行し、最大コントラスト位置が選択された場合には、その最大コントラスト位置を記憶部13に記憶して、ステップS8およびステップS9を実行する。
【0039】
一方、位置選択部12において、記憶部13に原点位置の座標が記憶されていると判定された場合には(ステップS10)、記憶部13に記憶されている原点位置の座標および最大コントラスト位置を呼び出す(ステップS13)。そして、新たに抽出した原点位置の座標および記憶部13から呼び出した原点位置の座標によって、記憶部13から呼び出した最大コントラスト位置を補正する(ステップS14)。
【0040】
最大コントラスト位置の補正は、新たに抽出した原点位置の座標と記憶部13から呼び出した原点位置の座標との差分を算出し、その差分だけ、記憶部13から呼び出した最大コントラスト位置をシフト(並進移動)させることにより行われる。そして、補正された最大コントラスト位置へ発光部2を移動させ(ステップS8)、歯牙Aの撮影を行う(ステップS9)。
【0041】
これにより、新たに抽出した原点位置が、記憶部13に記憶されていた過去の原点位置に対してずれていた場合においても、最大コントラスト位置を新たに探索する作業を行うことなく、過去の最大コントラスト位置を利用して、迅速に、エナメル層と象牙層との境界Fが高いコントラストで表示された画像を取得することができる。
【0042】
また、本実施形態においては、測定点設定部10が、歯牙Aの輪郭に対して輪郭近傍に配置される外側測定点Cの原点Bの位置に対する相対座標と、該外側測定点Cよりも歯牙Aの内側に間隔をあけて配置された内側測定点Dの原点Bの位置に対する相対座標とを記憶していることとしたが、これに代えて、図示しないマウスやキーボード等の入力部から操作者が画像を見ながら入力し、入力された座標を測定点として設定することにしてもよい。
【0043】
また、本実施形態においては、位置選択部12が、輝度値の比の値が最も大きい位置および角度(最大コントラスト位置)を最終的な発光部2の位置および角度として選択し、その後、位置選択部12は、選択された位置および角度に発光部2が移動するように、駆動部を作動させている。しかしながら、これに代えて、図9に示されるように、位置選択部12が、最大コントラスト位置を選択すると、ステップS4〜ステップS7の繰り返し工程中に得られた画像から、選択された最大コントラスト位置に対応する画像を取得(ステップS15)してもよい。
【0044】
また、本実施形態においては、コントラスト算出部11において、画像上に設定されている内側測定点Cの輝度値と外側測定点Dの輝度値との比を算出し、この比を用いて、位置選択部12が、輝度値の比の値が最も大きい位置および角度(最大コントラスト位置)を選択している。しかしながら、これに代えて、コントラスト算出部11が内側測定点Cの輝度値と外側測定点Dの輝度値との差を算出し、この輝度値の差がもっとも大きい位置および角度を最大コントラスト位置としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 歯牙観察装置
2 発光部
3 カメラ(撮像部)
4 駆動部
5 制御部
8 位置決め部材(位置決め部)
9 原点抽出部
10 測定点設定部
11 コントラスト算出部
12 位置選択部
13 記憶部
A 歯牙
B 原点
C 外側測定点
D 内側測定点
S1 撮影するステップ
S2 原点位置を抽出するステップ
S3 測定点を設定するステップ
S5 画像を取得するステップ
S6 輝度値の比を算出するステップ
S8 発光部を移動させるステップ
S11 原点位置を記憶するステップ
S12 最大コントラスト位置を記憶するステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する発光部と、
該発光部に対して間隔をあけて対向する位置に配置される撮像部と、
該撮像部に対する前記発光部の位置および/または角度を変化させる駆動部と、
前記発光部、前記撮像部および前記駆動部を制御する制御部とを備え、
該制御部が、前記撮像部により撮影して取得された前記歯牙の画像を処理して、前記歯牙の輪郭に対して固定された原点位置を抽出する原点抽出部と、該原点抽出部により抽出された原点位置に対して、前記歯牙の輪郭から異なる距離に配置される外側測定点と内側測定点とを設定する測定点設定部と、前記駆動部により変更された前記発光部の複数の位置および/または角度において該発光部から光を射出させたときに前記撮像部により取得された各画像から、前記内側測定点に対する前記外側測定点の輝度値の比または差を算出するコントラスト算出部と、該コントラスト算出部により算出された輝度値の比または差が最も大きい位置および/または角度を選択する位置選択部とを備える歯牙観察装置。
【請求項2】
前記制御部が、前記撮像部により取得された画像上における前記原点抽出部により抽出された原点位置の座標と、前記コントラスト算出部により算出された輝度値の比または差が最も大きくなった前記発光部の位置および/または角度の情報とを記憶する記憶部を備える請求項1に記載の歯牙観察装置。
【請求項3】
前記位置選択部は、該コントラスト算出部により算出された輝度値の比または差が最も大きくなる位置および角度に前記発光部を配置するように前記駆動部を作動させる請求項1または請求項2に記載の歯牙観察装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記原点抽出部により原点位置が新たに抽出されたときは、前記記憶部に記憶されている原点位置と新たな原点位置との差分だけ、前記記憶部に記憶されている発光部の位置から前記発光部を並進移動させるように前記駆動部を制御する請求項3に記載の歯牙観察装置。
【請求項5】
前記撮像部を前記歯牙に対して位置決めする位置決め部を備える請求項1から請求項4のいずれかに記載の歯牙観察装置。
【請求項6】
歯牙を挟んで対向する位置に光を射出する発光部と前記歯牙の画像を取得する撮像部とを配置して撮影するステップと、
該撮像部により取得された画像を処理して前記歯牙の輪郭に対して固定された原点位置を抽出するステップと、
抽出された原点位置に対して前記歯牙の輪郭から異なる距離に配置される外側測定点と内側測定点とを設定するステップと、
前記撮像部に対して前記発光部の位置および/または角度を異ならせて、前記撮像部により複数の画像を取得するステップと、
取得された複数の画像において、前記内側測定点に対する前記外側測定点の輝度値の比または差を算出するステップとを備える歯牙観察方法。
【請求項7】
前記原点位置の座標と、前記輝度値の比または差が最も大きくなった前記発光部の位置および/または角度の情報とを記憶するステップとを備える請求項6に記載の歯牙観察方法。
【請求項8】
算出された輝度値の比または差が最も大きくなる位置および角度に前記発光部を移動させるステップを備える請求項6または請求項7に記載の歯牙観察方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate