説明

残量検出方法及び残量検出装置

【課題】ケーシングに覗き窓を設ける等の制約を受けること無く、薬液の残量を検出することができる残量検出方法及び残量検出装置を提供する。
【解決手段】電源151からの電流を両電極143,144間に流し(S1)、その際の電圧降下量から両電極間143,144の抵抗値の状態を検出する(S2)。検出した電圧が、予め設定した閾値以下か否かを判断し(S3)、閾値以下の場合、両電極143,144に挟持された吸上芯53における液状水性薬液61の含有量が低下して抵抗値が大きくなったと判断できるので、マイコン等に信号を出力することで(S4)、吸上芯53での液状水性薬液61の吸い上げ量が低下、すなわち液状水性薬液61の残量が少なくなった旨を伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液の残量を検出する残量検出方法及び残量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内等では、芳香剤が使用されている。
【0003】
この芳香剤としては、薬液が収容されたカートリッジを交換可能にセットする芳香剤が知られており、カートリッジより延出した吸液芯で吸い上げられた薬液を揮散するように構成されている。
【0004】
このような芳香剤では、カートリッジ内の薬液が無くなると芳香効果を失ってしまう。このため、カートリッジ内の薬液が見えるように、カートリッジを透明にするとともに、芳香剤のケーシングに覗き窓を設けるなどの工夫が凝らされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の薬液の残量検出方法にあっては、カートリッジを透明にするとともに芳香剤のケーシングに覗き窓を設ける等の制約があり、設計の自由度が制限されていた。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、ケーシングに覗き窓を設ける等の制約を受けること無く、薬液の残量を検出することができる残量検出方法及び残量検出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の残量検出方法にあっては、容器から吸上芯で吸い上げられる薬液の残量を検出する残量検出方法であって、前記吸上芯の電気抵抗に基づいて前記薬液の残量を検出する。
【0008】
すなわち、前記吸上芯は、前記薬液を含んだ状態と含まない状態とにおいて、その電気抵抗が異なる。
【0009】
このため、前記吸上芯の電気抵抗に基づいて、前記吸上芯に前記薬剤が含まれた状態か否かを把握することができる。
【0010】
また、請求項2の残量検出方法においては、前記吸上芯の電気抵抗が変化した際に前記薬液の残量が減少したと判断する。
【0011】
すなわち、前記吸上芯に前記薬液が含まれた状態では、当該吸上芯の電気抵抗が低くなる一方、前記吸上芯に前記薬液が含まれない状態では、当該吸上芯の電気抵抗が高くなる。
【0012】
さらに、請求項3の残量検出方法では、前記容器より延出した前記吸上芯の上端部を、その両脇から挟持する電極によって前記電気抵抗を検出する。
【0013】
すなわち、前記容器より延出した前記吸上芯の上端部を両脇から挟持する電極によって、前記吸上芯の上端部での電気抵抗が検出される。
【0014】
これにより、当該上端部への前記薬液の吸い上げ状態が検出される。
【0015】
そして、本発明の請求項4の残量検出装置にあっては、容器から吸上芯で吸い上げられる薬液の残量を検出する残量検出装置であって、前記吸上芯の電気抵抗を検出する電気抵抗検出手段と、該電気抵抗検出手段で検出した電気抵抗に基づいて前記薬液の残量を検出する残量検出手段と、を備えている。
【0016】
すなわち、前記吸上芯の電気抵抗は、電気抵抗検出手段で検出された後、この検出された電気抵抗に基づいて、前記薬液の残量が残量検出手段によって検出される。
【0017】
このとき、前記吸上芯は、前記薬液を含んだ状態と含まない状態とで、その電気抵抗が異なる。このため、前記吸上芯の電気抵抗に基づいて、前記吸上芯に前記薬剤が含まれた状態を把握することができる。
【0018】
また、請求項5の残量検出装置においては、前記残量検出手段は、前記電気抵抗が変化した際に前記薬液の残量が減少したと判断する。
【0019】
すなわち、前記吸上芯に前記薬液が含まれた状態では、当該吸上芯の電気抵抗が低くなる一方、前記吸上芯に前記薬液が含まれない状態では、当該吸上芯の電気抵抗が高くなる。
【0020】
このため、前記吸液芯の前記電気抵抗が変化した際には、前記薬液の残量が減少したと判断することができる。
【0021】
さらに、請求項6の残量検出装置では、前記容器より延出した前記吸上芯の上端部を両脇から挟持して前記吸上芯の電気抵抗を検出する為の電極を備えている。
【0022】
すなわち、前記容器より延出した前記吸上芯の上端部を両脇から挟持する電極によって、前記吸上芯の上端部での電気抵抗を検出することができる。
【0023】
これにより、当該上端部への前記薬液の吸い上げ状態が検出される。
【0024】
加えて、請求項7の残量検出装置にあっては、前記残量検出手段が前記薬液の残量が減少したと判断した際に、その旨を報知する報知手段を備えている。
【0025】
これにより、前記薬液の残量が減少した際には、その旨が報知される。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明の請求項1の残量検出方法及び請求項4の残量検出装置にあっては、薬剤を揮散する吸上芯の電気抵抗に基づいて、該吸上芯に前記薬剤が含まれた状態か否かを把握することができる。
【0027】
これにより、前記吸上芯で吸い上げられる薬液の有無を検出することができ、当該吸上芯で吸い上げられる薬液の有無から、残量薬剤の有無を判断することができる。
【0028】
このため、前記容器内の薬液が見えるように、当該容器を透明にするとともに当該容器がセットされる本体に覗き窓等を設けること無く、前記薬剤の有無を判断することができる。これにより、前記容器がセットされる本体の設計上での制約を緩和することができるので、設計自由度を高めることができ、デザインの向上等を図ることができる。
【0029】
また、請求項2の残量検出方法及び請求項5の残量検出装置においては、前記吸上芯に前記薬液が含まれた状態で当該吸上芯の電気抵抗が低くなる一方、前記吸上芯に前記薬液が含まれない状態において当該吸上芯の電気抵抗が高くなる。
【0030】
このため、前記吸上芯の電気抵抗が変化したことに基づいて、前記薬液の残量が減少したと判断することができる。
【0031】
さらに、請求項3の残量検出方法及び請求項6の残量検出装置では、前記容器より延出した前記吸上芯の上端部を両脇から挟持する電極によって、前記吸上芯の上端部での電気抵抗を検出することができる。
【0032】
これにより、前記吸上芯の上端部までの前記薬液の吸い上げ状態を検出することができ、前記吸上芯から揮散できる薬剤の残量が僅かであることを把握することができる。
【0033】
加えて、請求項7の残量検出装置にあっては、前記薬液の残量が減少した際には、その旨を報知することができる。
【0034】
これにより、薬剤が減少したことを使用者に知られることができるので、容器の交換等を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態の縦断面図である。
【図3】同実施の形態の要部を示す断面図である。
【図4】同実施の形態の縦断面図である。
【図5】同実施の形態の構成を示す為の説明図である。
【図6】同実施の形態の動作を示す為の説明図である。
【図7】同実施の形態を示す回路図である。
【図8】同実施の形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。
【0037】
図1及び図2は、本実施の形態にかかる残量検出装置1(図2参照)を備えたイオン発生装置2を示す図であり、該イオン発生装置2は、発生させたマイナスイオンを芳香薬剤と共に放出する装置である。
【0038】
このイオン発生装置2は、円筒形状のケーシング11を備えており、該ケーシング11は、先端部が前方へ向けて屈曲した形状に形成されている。
【0039】
このケーシング11は、前側を構成する前ケース21と、後側を構成する後ケース22とによって筒状に形成されており、その天部は、円形の上ケース23によって閉鎖されている。該上ケース23の中央部は、円形に没入しており、この没入部24には、円形の電源ボタン25が押下可能に設けられ、該電源ボタン25と前記没入部24の底面間には、サブ基板26が設けられている。
【0040】
この電源ボタン25の上側に位置する縁部には、ダクト31が開設されており、該ダクト31内には、格子32が設けられている。これにより、このダクト31を介して前記マイナスイオンを前記芳香薬剤と共に外部へ放出できるように構成されている。
【0041】
前記ケーシング11の底部は、図2に示すように、下ケース41が設けられており、該下ケース41の図2中右側には、電源供給用の電源ジャック42を備えたメイン基板43が設けられている。この下ケース41の中央部には、内側に大きく後退した薬剤収容部44が形成されており、該薬剤収容部44は、カートリッジタイプの芳香剤45を装着できるように形成されている。この薬剤収容部44には、前記芳香剤45の容器体45aの胴部46が収容される大径部47が下部側に形成されており、該大径部47の上部には、前記芳香剤45の首部48が収容される小径部49が連続形成されている。
【0042】
この下ケース41の前記小径部49には、ダクト構成部材51の外嵌部52が外嵌した状態で固定されており、前記外嵌部52の天面53aからは、装着された芳香剤45より延出した含浸体としての吸上芯53が挿通する円筒状の挿通部54が形成されている。
【0043】
ここで、前記吸上芯53は、繊維の束や木材、葦などの毛細管現象で薬液を吸い上げることができる電気の通しにくい素材で構成されている。
【0044】
該挿通部54の上部には、当該挿通部54より広い空間が形成されており、この空間によって前記吸上芯53より吸い上げた前記芳香剤45内の液状水性薬液61を揮散して湿度を所定値以上に保持する保持部62が形成されている。
【0045】
この保持部62を形成する壁面63には、横長長方形状の取込穴64が形成されており、該取込穴64を介して外部の空気を当該保持部62内に取り込めるように構成されている。
【0046】
この保持部62の上部には、矩形状の空間が形成されており、この矩形空間71には、送風手段としてのファン72が内嵌された状態で固定されている。前記矩形空間71の天部を構成する天板73は、図2中右側の部位が山形に形成されるとともに、その頂点部に矩形穴74が開設されており、該矩形穴74は、角筒部75を介して前記ダクト31に連結されている。
【0047】
これにより、前記ファン72で形成された風が、前記角筒部75及び前記ダクト31によって形成された流路81に沿って流れるように構成されており、前記取込穴64から前記保持部62に取り込まれた空気を前記流路81を介して前記ダクト31より外部へ放出できるように構成されている。
【0048】
前記天板73の図2中左側には、その上部に矩形状のイオン発生室91が形成されており、該イオン発生室91は、その底面が前記天板73で構成されるとともに、一側面が前記角筒部75の壁面92で構成されている。また、前記イオン発生室91は、図3にも示すように、前記天板73に立設された一対の起立板93,93と両起立板93,93の上端を連設する連設板94とによって包囲されている。このイオン発生室91内には、図2にも示したように、マイナスイオンを発生するイオン発生部95が設けられており、該イオン発生部95は、前記流路81を通流する空気の通流経路96から外れた位置に配置されている。
【0049】
このイオン発生部95は、図3にも示したように、長方形板状に形成された本体基板101を備えており、該本体基板101は、前記イオン発生室91の内側面より延出した複数の支柱102,・・・によって支持されている。前記本体基板101には、U字状の切欠部103が中央部に形成されており、該切欠部103内には、前記本体基板101より延出した針状の電極104が延設されている。
【0050】
これにより、図2に示したように、前記電源ボタン25を押下して前記メイン基板43からの電源を前記ダクト構成部材51に支持された昇圧基板111に供給するとともに、該昇圧基板111で昇圧した高圧電源を前記電極104と前記本体基板101上に形成された電極間に印加することで、空気に含まれた湿気を利用してマイナスイオンを発生できるように構成されている。
【0051】
このイオン発生部95を収容した前記イオン発生室91は、前記電極104の先端側に位置する壁面、すなわち前記角筒部75の壁面92に開口部が開設されており、該開口部は、当該イオン発生室91と前記流路81とを連通する連通部121を構成している。
【0052】
これにより、前記イオン発生部95が設けられた前記イオン発生室91は、前記連通部121を介して前記流路81に連通しており、前記イオン発生部95より発生したマイナスイオンを、前記連通部121及び前記流路81を介して外部に放出できるように構成されている。
【0053】
このとき、前記イオン発生室91に連通した前記連通部121は、前記保持部62より下流側に設けられており、該保持部62によって湿度が所定値以上に保たれた空気を前記イオン発生室91内へ流入できるように構成されている。
【0054】
前記イオン発生部95を構成する針状の前記電極104は、前記流路81での空気の通流方向と交差する方向に延在するように当該イオン発生部95が配置されており、当該イオン発生室91から前記連通部121へ向けて流れる空気が前記電極104に沿って流れるように構成されている。
【0055】
そして、前記ファン72が設けられた前記矩形空間71の図2中左側部には、前記保持部62と前記イオン発生室91とを直接接続する連通路131が形成されており、湿度が所定値以上に保たれた前記保持部62内の空気が前記連通路131を介して、前記イオン発生部95が設けられた前記イオン発生室91へ直接供給されるように構成されている。
【0056】
一方、前記ダクト構成部材51の前記挿通部54の両側部には、図4に示すように、電極固定部141,141が一体形成されている。図4中左方に位置する電極固定部141には、第一電極143が取り付けられており、図4中右方に位置する電極固定部141には、第二電極144が取り付けられている。各電極143,144は長方形状の金属片がU字状に折曲されてなり、屈曲された先端部が前記挿通部54の内側へ突出するように構成されている。
【0057】
これにより、前記芳香剤45から延出した前記吸上芯53を前記ダクト構成部材51の前記挿通部54に挿入した状態において、前記第一電極143及び第二電極144の先端部が前記吸上芯53の側面に接するように構成されており、当該吸上芯53の上端部が前記第一電極143及び前記第二電極144によって両脇から挟持されるように構成されている。
【0058】
U字状に折曲された前記第一電極143及び第二電極144は、その屈曲部分が上方及び下方に位置するように配置されており、各電極143,144の側縁が下部及び上部に配置された場合と比較して、前記吸上芯53挿入時及び引出時の引っ掛かりを防止できるように構成されている。
【0059】
前記両電極143,144は、前記メイン基板43(図2参照)に図外のハーネスを介して電気的に接続されるように構成されており(ハーネス接続されていない状態を図示)、前記吸上芯53の上端部における前記両電極間143,144の電気抵抗を検出できるように構成されている。
【0060】
このとき、前記吸上芯53は電気を通しにくい素材で構成されているが、前記液状水性薬液61を含んだ状態では、前記液状水性薬液61が有する僅かな導電性により、その含有量に応じて抵抗値が変化するように構成されている。このため、前記両電極143,144間に生ずる電気抵抗を前記メイン基板43で検出することにより、この電気抵抗に基づいて前記液状水性薬液61の残量を検出する前記残量検出装置1を形成できるように構成されている。
【0061】
図5は、前記残量検出装置1の原理を示す説明図であり、電源151からある固定抵抗Rを介して前記両電極143,144に電圧印加を行うことで、両電極143,144間の電圧を電圧検出部152で計測し、その電圧値より、前記両電極143,144間の電気抵抗を測定できるように構成されている。
【0062】
この際の検出動作としては、図6に示すように、前記電源151からの電流を前記両電極143,144間に流し(S1)、その際の電圧降下量から両電極間143,144の抵抗値の状態を検出する(S2)。
【0063】
そして、検出した電圧が、予め設定しておいた閾値以下か否かを判断し(S3)、この閾値以下になった際には、前記両電極143,144に挟持された前記吸上芯53における液状水性薬液61の含有量が低下して抵抗値が大きくなったと判断できるので、マイコン等に信号を出力することで(S4)、前記吸上芯53での前記液状水性薬液61の吸い上げ量が低下、すなわち液状水性薬液61の残量が少なくなった旨を伝達できるように構成されている。
【0064】
これにより、前記両電極143,144間の電気抵抗が大きくなった際に、前記液状水性薬液61の残量が減少したと判断できるように構成されている。
【0065】
図7は、前記メイン基板43上に構成された電子回路161を示す図であり、この電子回路161は、前記メイン基板43より+電源VDD及びグランドラインG間に供給された電源によって動作するように構成されている。この電子回路161は、マイコン162を中心に構成されており、該マイコン162の第一出力ポート163には、薬剤有無検出回路164が接続されている。
【0066】
該薬剤有無検出回路164は、前記第一電極よ143り延出した第一ハーネス171が接続される第一端子172と、前記第二電極144より延出した第二ハーネス173が接続される第二端子174とが設けられており、該第二端子174は、グラントラインGに接続されている。前記第一端子172及び第二端子174間には、コンデンサ175が設けられており、前記第一端子172は、抵抗176を介して前記マイコン162の前記第一出力ポート163に接続されている。
【0067】
また、前記第一端子172は、制限抵抗181を介してオペアンプ182の反転端子183に接続されており、前記第一電極143に印加された電圧を入力できるように構成されている。これにより、前記第一出力ポート163から”H”出力され、その電圧が前記コンデンサ175にチャージされた際には、その電圧を前記吸上芯53に印加できるように構成されており、その際の前記吸上芯53で生じた電圧降下量を前記第一電極143での電圧として前記オペアンプ182に入力できるように構成されている。
【0068】
このオペアンプ182の非反転端子191は、第一分圧抵抗192を介して+電源VDDに接続されるとともに、第二分圧抵抗193を介してグランドラインGに接続されており、前記第一分圧抵抗192と前記第二分圧抵抗193によって形成された分圧電圧が閾値として前記非反転端子191に印加されるように構成されている。
【0069】
この非反転端子191には、出力抵抗201を介して前記オペアンプ182の出力端子202に接続されており、当該オペアンプ182からの出力に応じて、前記非反転端子191に印加される電圧を変更できるように構成されている。これにより、前記反転端子183からの入力電圧が前記非反転端子191への印加電圧付近で変動する場合であっても、前記オペアンプ182の前記出力端子202からの出力変動を防止できるように構成されており、当該出力端子202の出力は、前記マイコン162の第一入力ポート203に入力されるように構成されている。
【0070】
前記マイコン162の第二出力ポート211には、発光ダイオード212が接続されており、該発光ダイオード212は、プルアップ抵抗213を介して前記+電源VDDに接続されている。また、前記マイコン162の第二入力ポート214は、前記芳香剤45の入れ替えを検出する入替検出スイッチ215を介して前記グランドラインGに接続されており、前記マイコン162の第三入力ポート216は、前記ファン72の回転数を設定する為の強弱スイッチ217を介して前記グランドラインGに接続されている。
【0071】
このマイコン162は、ROM及びRAMを内蔵しており、このマイコン162が前記ROMに記憶されたプログラムに従って動作することにより、前記残量検出装置1を含む当該イオン発生2が動作するように構成されている。
【0072】
以上の構成にかかる本実施の形態の動作を、図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0073】
すなわち、前記マイコン162が作動を開始すると、タイマによるカウント値が13msecに達したか否かを判断して13msec待機した後(SB1)、タイマの値を1msecに変更して(SB2)、スイッチチェック処理を行う(SB3)。
【0074】
このスイッチチェック処理では、前記第二入力ポート214の入力から前記入替検出スイッチ215の状態を検出して前記芳香剤45が入れ替えられたか否かを判断して前記RAMに設けられた入替フラグを設定するとともに、前記第三入力ポート216の入力から前記強弱スイッチ217の状態を検出して前記ファン72の回転数の設定状態を前記RAMに設けられたファンフラグを設定する。
【0075】
そして、薬剤検出タイミング用カウンタをカウントアップした後(SB4)、当該カウンタによるカウント値が薬剤検出タイミングに達したか否かを判断する(SB5)。このとき、前記カウント値が薬剤検出タイミングに達していない場合には、ステップSB8へ分岐する一方、前記カウント値が薬剤検出タイミングに達していた場合には、薬剤状態チェック処理を行う(SB6)。
【0076】
この薬剤状態チェック処理では、前記第一出力ポート163から”H”出力するとともに、その電圧が前記コンデンサ175にチャージされるまでの所定時間待機する。これにより、前記コンデンサ175にチャージされ安定化した電圧を前記吸上芯53に印加するとともに、その際の前記吸上芯53で生じた電圧降下量を前記第一電極143での電圧として前記オペアンプ182に入力する。
【0077】
このとき、前記吸上芯53に、僅かな導電性を有する前記液状水性薬液61が含まれている場合、前記吸上芯53は、前記第一電極143及び第二電極144間での電気抵抗が小さくなり、前記第一電極143に印加された電圧が前記第二電極144を介してグランドラインGに流れる。すると、前記両電極間143,144の電位が低下するので、前記オペアンプ182の前記反転端子183への入力電圧も低下する。
【0078】
このとき、当該反転端子183への入力電圧が、前記第一分圧抵抗192及び前記第二分圧抵抗193並びに前記出力抵抗201を介して前記オペアンプ182の出力端子202から印加される電圧によって定められた前記非反転端子191への印加電圧、すなわち予め設定された閾値を下回った際には、前記オペアンプ182の出力端子202から”H”が出力され、前記マイコン162は、この”H”出力を前記第一入力ポート203より入力する。
【0079】
一方、前記芳香剤45の容器体45a内に前記液状水性薬液61が残存せず、前記吸上芯53への前記液状水性薬液61が含まれていない、又は液状水性薬液61の含有量が少ない場合には、前記第一電極143及び第二電極144間における前記吸上芯53の電気抵抗が大きくなり、前記第一電極143に印加された電位の電圧降下が小さくなる。これにより、前記オペアンプ182の前記反転端子183への入力電圧が上昇する。
【0080】
このとき、当該反転端子183への入力電圧が、前記第一分圧抵抗192及び前記第二分圧抵抗193並びに前記出力抵抗201を介して前記オペアンプ182の出力端子202から印加される電圧によって定められた前記非反転端子191への印加電圧、すなわち予め設定された閾値を上回った際には、前記オペアンプ182の出力端子202から”L”が出力され、前記マイコン162は、この”L”出力を前記第一入力ポート203より入力する。
【0081】
このように、前記マイコン162は、前記第一入力ポート203からの入力が”H”の場合には、前記芳香剤45の容器体45a内に前記液状水性薬液61が残存すると認識できる一方、前記第一入力ポート203からの入力が”L”の場合、前記芳香剤45の容器体45a内に前記液状水性薬液61が残存しない又は残量が少ないと認識することができる。
【0082】
このように、前記吸上芯53は、前記液状水性薬液61を含んだ状態と含まない状態とにおいて、その電気抵抗が異なるため、前記吸上芯53の電気抵抗に基づいて、前記吸上芯53に前記液状水性薬液61が含まれているか否かを把握することができる。
【0083】
具体的には、前記吸上芯53の電気抵抗が小さな値から大きな値に変化したことに基づいて、前記液状水性薬液61の残量が減少したことを、容易に把握することができる。
【0084】
これにより、前記吸上芯53で吸い上げられる液状水性薬液61の有無を検出することができ、当該吸上芯53で吸い上げられる液状水性薬液61の有無から、液状水性薬液61の残存の有無を判断することができる。
【0085】
このため、前記液状水性薬液61の残量が少なくなった際には、前記発光ダイオード212の点灯状態を通常時と異なる状態にすることによって、その旨を表示することができるので、前記芳香剤45の容器体45a内の液状水性薬液61が見えるように、当該容器体45aを透明にするとともに当該容器体45aがセットされる前記前ケース21や前記後ケース22に覗き窓等を設けること無く、前記液状水性薬液61の有無を外部から判断することができる。
【0086】
これにより、前記容器体45aがセットされるケーシング11の設計上での制約を緩和することができるので、設計自由度を高めることができ、デザインの向上等を図ることができる。また、前記芳香剤45の交換を促すことができる。
【0087】
このとき、前記両電極143,144は、前記容器体45aより延出した前記吸上芯53の上端部を、その両脇から挟持する位置に配置されており、この電極143,144によって前記電気抵抗を検出するように構成されている。
【0088】
これにより、前記吸上芯53の上端部までの前記液状水性薬液61の吸い上げ状態を検出することができるため、前記吸上芯53から揮散できる液状水性薬液61の残量が僅かであることを把握することができる。
【0089】
そして、薬剤検出タイミング用カウンタをリセットして次回の薬剤検出タイミングのカウントに備え(SB7)、1msec経過するまで待機した後(SB8)、タイマによるカウントを13msecに変更する(SB9)。次に、青色の発光ダイオード212を点灯するとともに(SB10)、動作モードが「弱」であるか否かを前記ファンフラグから判断し(SB11)、「弱」でない場合には、前記ステップSB1へ分岐する一方、「弱」の場合には、青LED用カウンタに所定値をセットして(SB12)、青LED用カウンタのカウントダウンを行う(SB13)。
【0090】
この青LED用カウンタが”0”になった際には(SB14)、青色の発光ダイオード212を消灯し(SB15)、青LED用カウンタに前記所定値をセットして(SB16)、前記ステップSB1へ戻る。
【0091】
これにより、前記ファン72の動作モードが「弱」の場合には、青色の発光ダイオード212を点滅発光する一方、前記ファン72の動作モードが「強」の場合には、青色の発光ダイオード212を連続点灯することによって、ファン72の回転状態を前記発光ダイオード212で表示することができる。
【0092】
なお、前記強弱スイッチ217の状態は、前記RAMに設けられた前記ファンフラグに記憶されている。このため、前記芳香剤45が入れ替えられ前記RAMに設けられた前記入替フラグが変化した際には、前記ファンフラグの記憶内容に従って前記ファン72の回転数を制御することで、ファン72の回転数を元の状態に復帰させることが可能となる。
【0093】
なお、本実施の形態にあっては、吸上芯53を本発明の含浸体とした場合に付いて説明したが、これに限定されるものではない。
【0094】
例えば、前記吸上芯53上に広面積の揮散体を設けた場合には、この揮散体での電気抵抗を計測するものであっても同様の効果を得ることができる。
【0095】
また、本実施の形態では、前記液状水性薬液61の残量が少なくなった際に、前記発光ダイオード212の点灯状態を通常時と異なる状態にすることによって、その旨を報知するように構成した場合に付いて説明したが、これに限定されるものではない。
【0096】
例えば、前記液状水性薬液61の残量が少なくなった際に、スピーカから音を発したり、ケーシング11を振動させたり、何かを飛び出させて形を変形させたりすることによって、その旨を使用者に報知してもよい。これにより、前記芳香剤45の交換を使用者に促すことができる。
【符号の説明】
【0097】
1 残量検出装置
2 イオン発生装置
26 サブ基板
45a 容器体
53 吸上芯
61 液状水性薬液
143 第一電極
144 第二電極
212 発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から吸い上げられ揮散される薬液の残量を検出する残量検出方法であって、
前記薬液を吸い上げて揮散する際に当該薬液が含浸される含浸体の電気抵抗に基づいて前記薬液の残量を検出することを特徴とした残量検出方法。
【請求項2】
前記含浸体の電気抵抗が変化した際に前記薬液の残量が減少したと判断することを特徴とした請求項1記載の残量検出方法。
【請求項3】
前記含浸体は前記薬液を吸い上げる吸上芯で構成され、前記容器より延出した前記吸上芯の上端部を両脇から挟持する電極によって前記電気抵抗を検出することを特徴とした請求項1又は2記載の残量検出方法。
【請求項4】
容器から吸い上げられ揮散される薬液の残量を検出する残量検出装置であって、
前記薬液を吸い上げて揮散する際に当該薬液が含浸される含浸体の電気抵抗を検出する電気抵抗検出手段と、
該電気抵抗検出手段で検出した電気抵抗に基づいて前記薬液の残量を検出する残量検出手段と、
を備えたことを特徴とする残量検出装置。
【請求項5】
前記残量検出手段は、前記電気抵抗が変化した際に前記薬液の残量が減少したと判断することを特徴とした請求項4記載の残量検出装置。
【請求項6】
前記含浸体を前記薬液を吸い上げる吸上芯で構成するとともに、前記容器より延出した前記吸上芯の上端部を両脇から挟持して前記吸上芯の電気抵抗を検出する為の電極を備えたことを特徴とする請求項4又は5記載の残量検出装置。
【請求項7】
前記残量検出手段が前記薬液の残量が減少したと判断した際に、その旨を報知する報知手段を備えたことを特徴とした請求項4、5又は6記載の残量検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−127940(P2011−127940A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284621(P2009−284621)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】