母乳パッド
【課題】様々な形状の乳房へのフィット性に優れる母乳パッドを提供する。
【解決手段】複数のシートを積層してなり、肌非接触面である外側面シート20と肌接触面である内側面シート40とを有する、母乳パッド10であって、母乳パッド10の上端部から下端部にまで延びて設けられる二つの折りたたみ部70・70と、該折りたたみ部70・70の上端部及び下端部において、当該折りたたみ部70・70の折りたたみ状態を保持する接着手段80・80・80・80と、を具備する。
【解決手段】複数のシートを積層してなり、肌非接触面である外側面シート20と肌接触面である内側面シート40とを有する、母乳パッド10であって、母乳パッド10の上端部から下端部にまで延びて設けられる二つの折りたたみ部70・70と、該折りたたみ部70・70の上端部及び下端部において、当該折りたたみ部70・70の折りたたみ状態を保持する接着手段80・80・80・80と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、余乳を吸収させるための母乳パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
母乳パッドは、乳児に母乳を与える者が、衣服等に装着して、乳首から漏出する余乳を吸収するためのものである。この母乳パッドの構成については、肌に接触する側の液透過性素材と、肌に接触しない側の液不透過性素材との間に吸水性物質を介在させ、この吸水性物質に余乳を吸収させて保持するものが広く知られている。また、このように構成される母乳パッドは、フィット感を高めて装着時の違和感をなくすために、乳房の形状に沿った形状に形成される又は保持されることが望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1、2に記載の如く、母乳パッドを立体形状に形成する、又は使用時に母乳パッドを立体形状に保持する技術は公知である。
特許文献1に開示された技術は、母乳パッドの2箇所に凹状溝を設けるとともに、伸縮部材を設けることにより、母乳パッドを立体形状とするものである。特許文献2に開示された技術は、複数のシートを積層してなる一対のパッド片を互いに接合することにより略円錐形状の母乳パッドを形成し、前記接合する結合部が当該母乳パッドの中央ラインとなる稜線を形成するものである。
【0004】
しかし、母乳パッドの使用者の有する個々の乳房形状へのフィット性が不十分であり、使用者に違和感を与えたり、母乳パッドがズレやすくなったり、母乳の吸収が不十分になったりする点で不利であり、特に特許文献2の如き母乳パッドにおいては、パッドの裏側(肌接触側)に十分なスペースがなく、乳頭部分に圧迫感を与える点、さらには、当該乳頭に接触する部分に吸収体を配置できない点でも不利である。そして、製造過程が複雑であるとともに、製造コストが少なくないものである。
【特許文献1】特開2001−11704号公報
【特許文献2】特開2007−107114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、様々な形状の乳房へのフィット性に優れる母乳パッドを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、複数のシートを積層してなり、肌非接触面である外側面と肌接触面である表側面とを有する、母乳パッドであって、前記母乳パッドの一端部から他端部にまで延びて設けられる二つの折りたたみ部と、該折りたたみ部の一端部及び/又は他端部において、当該折りたたみ部の折りたたみ状態を保持する手段と、を具備するものである。
【0008】
請求項2においては、前記母乳パッド外側面において、前記二つの折りたたみ部の間に前記一端部から前記他端部に向かう方向に沿って形成されるトップ面は、前記一端部から前記他端部に向かう方向に沿って、幅が徐々に広がる形状を有するものである。
【0009】
請求項3においては、前記母乳パッド外側面において、前記二つの折りたたみ部の間に前記一端部から前記他端部に向かう方向に沿って形成されるトップ面に、前記母乳パッドの装着位置を保持する手段を具備するものである。
【0010】
請求項4においては、前記母乳パッド内側面側に、該母乳パッドに具備される母乳吸収体の一部が、同じく母乳パッドに具備される液不透過性素材に挟装されてなるポケット部を具備するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1の如く構成したので、折りたたみ部を広げることにより、様々な形状の乳房にフィットする母乳パッドが実現される。また、折りたたみ部により、中央部に空間が設けられるので、母乳パッド内側面において、乳頭部分への圧迫を防止できる。また、簡便な構造により、より装着感を向上でき、製造にかかるコストを低減できる。さらに、折りたたみ部を広げる位置により、簡便に立体形状の調節を行なうことができる。
【0013】
請求項2の如く構成したので、母乳パッドを立体形状にするとき(使用するとき)に、単なる半球状でなく、一般的な乳房の形状(重力の作用により上部よりも下部にボリュームがある形)にフィットする母乳パッドの形状を実現しやすくなる。特に上方より下方の方が大きい一般的な乳房の形状に沿う母乳パッドの形状を実現できる。
【0014】
請求項3の如く構成したので、母乳パッドの位置保持が可能となり、使用時(装着時)の母乳パッドのズレを抑えることができる。特に母乳パッドのズレは上下方向に比較的大きいため、一端部から他端部へ向かう方向は上下方向であることが好ましい。
【0015】
請求項4の如く構成したので、母乳パッドの吸収体に吸収された余乳の漏れを防止できる。特に下方への漏れを防止することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明に係る母乳パッドの実施の一形態である母乳パッド10について、図面を参照して説明する。
なお、以下において、図中矢印Aの指す方向を上方向とし、係る上方向を基準として上下左右方向をそれぞれ規定する。
【0017】
以下では、図1乃至図10を参照して、本発明に係る母乳パッドの実施の一形態である母乳パッド10の全体構成について説明する。母乳パッド10は、乳首から漏出する余乳を吸収するためのものである。ここで、本発明に係る母乳パッドの「外側面」とは、パッドの外側、即ち衣服等と接触する面であって肌と接触しない面、同じく「内側面」とは、パッドの内側、即ち肌と接触する面、とそれぞれ規定する。
【0018】
図1乃至図10に示す如く、母乳パッド10は、主としてパッド外側面の液不透過性素材からなる外側面シート20、余乳を吸収して保持する吸収体30、パッド内側面の液透過性素材からなる内側面シート40、内側面シート40に接触した余乳を吸収体30側に導くためのティシュー50、吸収体30により吸収される余乳を下方へ漏らさないための防水用シート60、等を積層してなる積層体である。
本実施例においては、図10に示す如く、外側面シート20と内側面シート40とで、吸収体30とティシュー50・50と防水用シート60とを挟み込むように構成される。また、正面視において外側面シート20と内側面シート40とは、吸収体30、ティシュー50より大きいものであり、外側面シート20と内側面シート40の周囲又は縁部を接着剤等により接合して、吸収体30、ティシュー50・50、防水シート60等を挟み込んで、母乳パッド10を形成するものである(図7及び図9参照)。
【0019】
以上の如く構成される母乳パッド10の内側面シート40に肌(乳房)が接触し、乳首より漏出する余乳が内側面シート40、ティシュー50を介して吸収体30に吸収されて保持される構成である。
【0020】
以下では、図7、図11、図12、図15、図16及び図17を参照して、本実施例に係る母乳パッド10の特徴部分について詳細に説明する。
【0021】
図7に示す如く、母乳パッド10の左右略中央部には、折りたたみ部70・70が設けられる。折りたたみ部70・70は、母乳パッド10の左右中央部の左右両側部において、上端部から下端部にかけて母乳パッド10全体を折りたたんで設けられるものである。具体的には、図11に示す如く、外側面シート20を上面として、母乳パッド10の左右一端部から順に谷折り、山折りを、一回又は複数回(本実施例では一回)行なって折り重ねて、折りたたみ部70を設け(図11(c)参照)、左右他端部からも同じ手順で折り重ねることで、折りたたみ部70・70が設けられる(図11(d)参照)。
そして、図7に示す如く、この折りたたみ部70の上端部及び/又は下端部(本実施例では上端部及び下端部)は、接着手段80・80によって折りたたみ部70を折りたたんだ状態にて保持される。この接着手段80には、例えば、ホットメルト型接着剤、接着用テープ、糸による縫成、等を用いることができ、折りたたみ部70における外側面シート20側及び/又は内側面シート40側に設けられる。ここで、接着手段80によって使用者に違和感を与えないために、肌と接触しない外側面シート20側に設けられるものであれば好ましい。
【0022】
以上の如く、母乳パッド10は、その左右略中央部において、上端部から下端部にかけて延びる折りたたみ部70・70を略左右対称に具備し、かつ、折りたたみ部70・70の上下両端部を接着手段80・80・80・80によって固く保持され、平面視においては略平面形状を有した状態となる。
なお、本実施例においては、図7に示す如く、母乳パッド10は正面視において略円形状であるが、例えば矩形状、三角形状等でも良く、乳首に当接又は接近可能で、かつ、余乳を吸収するのに十分な大きさを有するものであれば形状は限定されない。
なお、本実施例においては、図7に示す如く、折りたたみ部70・70は、正面視において略円形状を有する母乳パッド10の上端部から下端部にかけて設けられるものであるが、折りたたみ部70・70は上下方向には限定されず、一端部から他端部まで延びるものであれば、左右方向、斜め方向等でも良く、さらには、母乳パッド10が略円形状を有する本実施例においては、直径方向に限らず弦方向でも良い。
【0023】
そして、以上の如く構成される折りたたみ部70・70を左右方向(一端部から他端部に向かう方向に直交する方向)に引っ張ることによって、立体形状の母乳パッド10を得ることが可能となる。例えば、図12(a)乃至(c)に示す如く、折りたたみ部70・70の上下中途部を左右方向に引っ張り合うことで、折りたたみ部70・70の上下両端部に設けられる接着手段80・80・80・80をそれぞれ支点として左右方向に張力が発生して、折りたたみ部70・70の折りたたみ状態が部分的に解除されて左右に広がった状態になり、その広がった部分においては、母乳パッド10の左右方向の距離が引っ張る前の左右方向の距離よりも長くなるので、平面形状から立体形状へ遷移する。このとき、左右方向に引っ張り合うのと同時に母乳パッド10の内側面から外側面方向に外力を加えることで、外側面シート20側を外側に膨らませた略おわん形状の母乳パッド10を得ることができる。
また、図12(d)乃至(f)に示す如く、左右方向に引っ張る上下位置を変更することによって(図12(d)では、上下中途部より下方側)、得られる立体形状を変えることができ、乳房にフィットさせるために所望の形状を有する母乳パッド10を得ることが可能である(例えば、図12(e)及び(f)参照)。
上記のごとく、積層体に中央を横断する折りたたみ部を設けることにより、当該折りたたみ部において、層を構成するシート間の接触によりシート間の移動が規制され、母乳パッド70の立体形状を保持しやすくなる。さらに、折りたたみ部を展開する(広げる)際には、内側のシートが外側に押し出されシート間の摩擦力が大きくなり、立体形状を保持しやすくなる。
【0024】
以上の如く構成される母乳パッド10の製造工程の一実施例については、以下の(1)から(4)に示す如くである。
(1)図10に示す如く、外側面シート20、ティシュー50、吸収体30、ティシュー50、防水用シート60、内側面シート40を積層し、
(2)縁部(図10に示す点線部分より外側の部分)をヒートシールにより熱溶着して接合し、
(3)上述の如く折り重ねて、折りたたみ部70・70を設け、
(4)折りたたみ部70・70の上端部及び下端部をそれぞれホットメルト80・80・80・80によって接着する。
【0025】
以上の如く構成される母乳パッド10の折りたたみ部70・70を適宜位置において左右方向(母乳パッドの一端部から他端部に向かう方向と直行する方向)に引っ張ることで、所望の立体形状を有する母乳パッド10を得ることができ、様々な乳房の形状に沿う形状の母乳パッドが実現される。また、簡単な構成で実現できる点で優れている。
即ち、本発明において、折りたたみ部70・70及び接着手段80・80・80・80は、初期状態において平面形状を有する母乳パッド10を立体形状にし、かつ、母乳パッド10の乳房へのフィット性を高めるものである。つまり、折りたたみ部70・70及び接着手段80・80・80・80と同等の作用効果をもたらすものであれば、本実施例のものに限らず適用可能である。
【0026】
また、以上の如く構成される母乳パッド10を上記の如く立体形状に保持して、乳房に装着する場合、図15、図16及び図17に示す如く、内側面シート40において、折りたたみ部70・70の間であって、上記の如く左右方向に引っ張られ、乳頭部分に接触又は接近する部分には窪み41が形成される。この窪み41の上下近傍の左右位置には折りたたみ部70・70の折りたたみ状態が保持されており、窪み41が乳頭部分を包み込む役割を果たし、乳房の形状に加えて乳頭部分に対してもフィット感を与えて、装着時の違和感をなくすことが可能となる。
【0027】
さらに、本実施例においては、図7に示す如く、両折りたたみ部70・70の間に形成されるトップ面90の左右幅は下端部から上端部に向かう方向に沿って広がる形状を有している。つまり、トップ面90の上部の左右幅は同じく下部の左右幅よりも広い形状を有し、折り重ねられる幅が上部より下部の方が大きく構成されている。
【0028】
以上の如く構成される母乳パッド10の折りたたみ部70・70の間に形成されるトップ面90は、下部より上部の幅を広く構成され、折り重ねられる幅が上部より下部の方が大きく構成されるので、使用時に母乳パッド下部の左右幅を母乳パッド上部の左右幅より大きくすることが可能となり、一般的な乳房の形状(重力の作用により上部よりも下部にボリュームがある形)に沿う母乳パッドの形状を実現しやすくなる。また、パッド上下の区別が簡単になり、装着のときに間違うことがなくなる。
即ち、本発明において、トップ面90が左右幅の異なる形状を有することにより、母乳パッド10使用時の立体形状において、上部より下部の左右幅を広くとり、一般的な乳房の形状に沿う形状を実現し易くするものである。つまり、母乳パッド10の使用時にトップ面90の上部における左右幅と下部における左右幅とが異なる形状(上部より下部の左右幅が大きい形状)を有するものであれば、本実施例のものに限らず適用可能である。
【0029】
例えば、図13(a)に示す如く、折りたたみ部70・70の折りたたみ状態におけるトップ面190の左右幅を均一に形成し、かつ、接着手段80・80・80・80の上端部側の接着箇所を下端部側の接着箇所より母乳パッド210の中心側に設けることにより、上述の如く折りたたみ部70・70を左右方向に引っ張って立体形状を得る(使用する)ときに、トップ面190の左右幅を上端部から下端部に向かう方向に沿って広がる形状とすることも可能である。こうして、折りたたみ部左右幅を均一に形成し、折りたたみ部保持手段となる接着部の一端側における接着点の幅を調節することにより、容易に展開時の立体形状を調節できる。
以上のような母乳パッド210の製造工程の一実施例については、以下の(1)から(4)に示す如くである。
(1)図10に示す如く、外側面シート20、ティシュー50、吸収体30、ティシュー50、防水用シート60、内側面シート40を積層し、
(2)縁部(図10に示す点線部分より外側の部分)をヒートシールにより熱溶着して接合し、
(3)図13(a)に示す如く、トップ面190の左右幅が均一になるように上述の如く折り重ねて、折りたたみ部170・170を設け、
(4)図13(a)に示す如く、折りたたみ部170・170の上端部においては内側、即ち折りたたみ部170・170の山折り側、をホットメルト80a・80aによって接着し(図14(a)参照)、折りたたみ部170・170の下端部においては上端部の接着位置より内側をホットメルト80b・80bによってそれぞれ接着する(図14(b)参照)。
以上の如く製造される母乳パッド210の上下中途部を左右方向に引っ張ることにより、折りたたみ部170・170の折りたたみ状態が部分的に解除されるとともに、母乳パッド上部の左右幅と同じく下部の左右幅に違いを持たせることが可能となるので、上述と同様の立体形状を得ることが可能である。
【0030】
また、上記の如き母乳パッドは、以下の(1)から(4)に示す如き製造工程によっても製造可能である。
(1)図10に示す如く、外側面シート20、ティシュー50、吸収体30、ティシュー50、防水用シート60、内側面シート40を積層し、
(2)図13(b)に示す如く、トップ面190の左右幅が均一になるように上述の如く折り重ねて、折りたたみ部170・170を設け、
(3)縁部(図10に示す点線部分より外側の部分)を、ヒートシールにより熱溶着して接合し、
(4)さらに、図13(b)に示す如く、折りたたみ部170・170の下端部において折りたたみ部170・170の山折り側をホットメルト80b・80bによって接着する。
以上の如く製造される母乳パッド220の上下中途部を左右方向に引っ張ることにより、折りたたみ部170・170の折りたたみ状態が部分的に解除されるとともに、折りたたみ部170・170の上端部における非固定部の折りたたみ状態が解除されて、左右幅に違いを持たせることが可能となるので、前述と同様の立体形状を得ることが可能である。
【0031】
さらに、本実施例においては、図7に示す如く、トップ面90に母乳パッド10の装着位置保持手段となる、接着部材91が設けられる。この接着部材91は、母乳パッド10を装着する際に衣服等に接触して、当該衣服等と母乳パッド10とを接合するものである。接着部材91は、例えばトップ面90の上下長さと略同じ上下長さを有する部材であり、両面テープなどの接着用テープ、面ファスナー、等からなる。なお、接着部材91は、トップ面90において、間欠的に設けたり、トップ面90の上下にそれぞれ設けたりすることも可能である。
トップ面90は、その両側部に折りたたみ部70・70が設けられるため、トップ面90部分の剛性が高くなり、母乳パッド10の立体形状を維持しやすい。このトップ面90に接着部材91を設けることにより、剛性の高い部位の近傍において、衣服などに接着されるので、母乳パッド10にかかる応力モーメントを小さくし、立体形状を維持しやすい。
【0032】
以上の如く構成される接着部材91をトップ面90に設けることにより、母乳パッド10を装着し使用する際に、上下方向への位置保持ができ、ズレを抑止することができる。
なお、接着部材91は、上記の如き構成に限らず、外側面シート20上であって、トップ面90以外にも付加的に設けることも可能である。例えば、図18に示す如く、母乳パッド10の左右端部に接着部材91・91を設けることで左右方向のズレも抑止することができる。
【0033】
さらに、本実施例においては、図8、図10及び図15に示す如く、母乳パッド10はその内側面の下部に、吸収体30及びティシュー50を、液不透過性素材からなる外側面シート20と、同じく液不透過性素材からなる防水用シート60と、で挟装して構成されるポケット部61を具備する。このポケット部61は、乳頭部分が接触又は接近する窪み41よりも下方に設けられる部材であり、母乳パッド10(吸収体30)により吸収される余乳を下方へ漏下させないためのものである。
【0034】
母乳パッド10は、以上の如く構成されるポケット部61を具備するので、吸収体30によって吸収・保持される余乳が多い場合にもポケット部61において、余乳の下方への漏れ出しを防止することができる。
なお、本実施例においては、ポケット部61は下方側のみに具備されるが、さらにポケット部61を上方側に上下対称に設けることで、母乳パッド10を上下逆向きにも使用できるようになり、さらに乳房の形状へのフィット性を高めることができる。
【0035】
以下では、図19を参照して、本発明に係る母乳パッドの別実施例である母乳パッド110について説明する。
母乳パッド110は左胸に装着するための母乳パッド110Lと、右胸に装着するための母乳パッド110Rと、からなり、母乳パッド110L・110Rの基本的な構成は母乳パッド10と同一である。また、これらの母乳パッド110Lと110Rは左右対称に構成される。
【0036】
図19に示す如く、母乳パッド110L・110Rは、折りたたみ部70・70に加えて、それぞれ伸縮部120を具備する。伸縮部120は、例えばプリーツ、ギャザー、伸縮素材等からなり、外力を加えることにより伸び縮みするように構成される部材である。
以上の如く、母乳パッド110L・110Rは伸縮部120を具備するので、折りたたみ部70・70によるフィッティングに加えて、伸縮部120によるフィッティングを行なえるので、より乳房の形状にフィットした母乳パッドを提供できる。
なお、伸縮部120は、それぞれのパッドの左右方向外側に一つ設けたが、本実施例には限定されず、例えば両側に設けても、左右方向一側に複数設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る母乳パッドの実施の一形態を示す正面図。
【図2】同じく背面図。
【図3】同じく側面図。
【図4】同じく平面図。
【図5】同じく底面図。
【図6】同じく使用状態を示す斜視図。
【図7】本発明に係る母乳パッドの実施の一形態を示す正面図。
【図8】同じく背面図。
【図9】同じく側面図。
【図10】同じく分解斜視図。
【図11】本発明に係る折りたたみ部を示す模式図、(a)初期状態を示す平面図(b)山折りを示す平面図(c)谷折りを示す平面図(d)折りたたみ部を設けた状態を示す平面図。
【図12】本発明に係る母乳パッドの使用例を示す模式図、(a)外力を加える箇所を示す正面図(b)使用例を示す斜視図(c)使用例を示す側面図(d)外力を加える箇所を示す正面図(e)使用例を示す斜視図(f)使用例を示す側面図。
【図13】(a)本発明に係る母乳パッドの実施の別形態を示す正面図(b)本発明に係る母乳パッドの実施の別形態を示す正面図。
【図14】(a)本発明に係る母乳パッドの実施の別形態を示す平面図(b)本発明に係る母乳パッドの実施の別形態を示す底面図。
【図15】本発明に係る母乳パッドの使用例を示す背面図。
【図16】本発明に係る母乳パッドの使用状態を示すB−B線断面図。
【図17】同じくC−C線断面図。
【図18】本発明に係る母乳パッドの実施の別形態を示す正面図。
【図19】本発明に係る母乳パッドの実施の別形態を示す正面図。
【符号の説明】
【0038】
10 母乳パッド
20 外側面シート
30 吸収体
40 内側面シート
50 ティシュー
70 折りたたみ部
80 接着手段(折りたたみ状態保持手段)
90 トップ面
91 接着部材(装着位置保持手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、余乳を吸収させるための母乳パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
母乳パッドは、乳児に母乳を与える者が、衣服等に装着して、乳首から漏出する余乳を吸収するためのものである。この母乳パッドの構成については、肌に接触する側の液透過性素材と、肌に接触しない側の液不透過性素材との間に吸水性物質を介在させ、この吸水性物質に余乳を吸収させて保持するものが広く知られている。また、このように構成される母乳パッドは、フィット感を高めて装着時の違和感をなくすために、乳房の形状に沿った形状に形成される又は保持されることが望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1、2に記載の如く、母乳パッドを立体形状に形成する、又は使用時に母乳パッドを立体形状に保持する技術は公知である。
特許文献1に開示された技術は、母乳パッドの2箇所に凹状溝を設けるとともに、伸縮部材を設けることにより、母乳パッドを立体形状とするものである。特許文献2に開示された技術は、複数のシートを積層してなる一対のパッド片を互いに接合することにより略円錐形状の母乳パッドを形成し、前記接合する結合部が当該母乳パッドの中央ラインとなる稜線を形成するものである。
【0004】
しかし、母乳パッドの使用者の有する個々の乳房形状へのフィット性が不十分であり、使用者に違和感を与えたり、母乳パッドがズレやすくなったり、母乳の吸収が不十分になったりする点で不利であり、特に特許文献2の如き母乳パッドにおいては、パッドの裏側(肌接触側)に十分なスペースがなく、乳頭部分に圧迫感を与える点、さらには、当該乳頭に接触する部分に吸収体を配置できない点でも不利である。そして、製造過程が複雑であるとともに、製造コストが少なくないものである。
【特許文献1】特開2001−11704号公報
【特許文献2】特開2007−107114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、様々な形状の乳房へのフィット性に優れる母乳パッドを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、複数のシートを積層してなり、肌非接触面である外側面と肌接触面である表側面とを有する、母乳パッドであって、前記母乳パッドの一端部から他端部にまで延びて設けられる二つの折りたたみ部と、該折りたたみ部の一端部及び/又は他端部において、当該折りたたみ部の折りたたみ状態を保持する手段と、を具備するものである。
【0008】
請求項2においては、前記母乳パッド外側面において、前記二つの折りたたみ部の間に前記一端部から前記他端部に向かう方向に沿って形成されるトップ面は、前記一端部から前記他端部に向かう方向に沿って、幅が徐々に広がる形状を有するものである。
【0009】
請求項3においては、前記母乳パッド外側面において、前記二つの折りたたみ部の間に前記一端部から前記他端部に向かう方向に沿って形成されるトップ面に、前記母乳パッドの装着位置を保持する手段を具備するものである。
【0010】
請求項4においては、前記母乳パッド内側面側に、該母乳パッドに具備される母乳吸収体の一部が、同じく母乳パッドに具備される液不透過性素材に挟装されてなるポケット部を具備するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1の如く構成したので、折りたたみ部を広げることにより、様々な形状の乳房にフィットする母乳パッドが実現される。また、折りたたみ部により、中央部に空間が設けられるので、母乳パッド内側面において、乳頭部分への圧迫を防止できる。また、簡便な構造により、より装着感を向上でき、製造にかかるコストを低減できる。さらに、折りたたみ部を広げる位置により、簡便に立体形状の調節を行なうことができる。
【0013】
請求項2の如く構成したので、母乳パッドを立体形状にするとき(使用するとき)に、単なる半球状でなく、一般的な乳房の形状(重力の作用により上部よりも下部にボリュームがある形)にフィットする母乳パッドの形状を実現しやすくなる。特に上方より下方の方が大きい一般的な乳房の形状に沿う母乳パッドの形状を実現できる。
【0014】
請求項3の如く構成したので、母乳パッドの位置保持が可能となり、使用時(装着時)の母乳パッドのズレを抑えることができる。特に母乳パッドのズレは上下方向に比較的大きいため、一端部から他端部へ向かう方向は上下方向であることが好ましい。
【0015】
請求項4の如く構成したので、母乳パッドの吸収体に吸収された余乳の漏れを防止できる。特に下方への漏れを防止することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明に係る母乳パッドの実施の一形態である母乳パッド10について、図面を参照して説明する。
なお、以下において、図中矢印Aの指す方向を上方向とし、係る上方向を基準として上下左右方向をそれぞれ規定する。
【0017】
以下では、図1乃至図10を参照して、本発明に係る母乳パッドの実施の一形態である母乳パッド10の全体構成について説明する。母乳パッド10は、乳首から漏出する余乳を吸収するためのものである。ここで、本発明に係る母乳パッドの「外側面」とは、パッドの外側、即ち衣服等と接触する面であって肌と接触しない面、同じく「内側面」とは、パッドの内側、即ち肌と接触する面、とそれぞれ規定する。
【0018】
図1乃至図10に示す如く、母乳パッド10は、主としてパッド外側面の液不透過性素材からなる外側面シート20、余乳を吸収して保持する吸収体30、パッド内側面の液透過性素材からなる内側面シート40、内側面シート40に接触した余乳を吸収体30側に導くためのティシュー50、吸収体30により吸収される余乳を下方へ漏らさないための防水用シート60、等を積層してなる積層体である。
本実施例においては、図10に示す如く、外側面シート20と内側面シート40とで、吸収体30とティシュー50・50と防水用シート60とを挟み込むように構成される。また、正面視において外側面シート20と内側面シート40とは、吸収体30、ティシュー50より大きいものであり、外側面シート20と内側面シート40の周囲又は縁部を接着剤等により接合して、吸収体30、ティシュー50・50、防水シート60等を挟み込んで、母乳パッド10を形成するものである(図7及び図9参照)。
【0019】
以上の如く構成される母乳パッド10の内側面シート40に肌(乳房)が接触し、乳首より漏出する余乳が内側面シート40、ティシュー50を介して吸収体30に吸収されて保持される構成である。
【0020】
以下では、図7、図11、図12、図15、図16及び図17を参照して、本実施例に係る母乳パッド10の特徴部分について詳細に説明する。
【0021】
図7に示す如く、母乳パッド10の左右略中央部には、折りたたみ部70・70が設けられる。折りたたみ部70・70は、母乳パッド10の左右中央部の左右両側部において、上端部から下端部にかけて母乳パッド10全体を折りたたんで設けられるものである。具体的には、図11に示す如く、外側面シート20を上面として、母乳パッド10の左右一端部から順に谷折り、山折りを、一回又は複数回(本実施例では一回)行なって折り重ねて、折りたたみ部70を設け(図11(c)参照)、左右他端部からも同じ手順で折り重ねることで、折りたたみ部70・70が設けられる(図11(d)参照)。
そして、図7に示す如く、この折りたたみ部70の上端部及び/又は下端部(本実施例では上端部及び下端部)は、接着手段80・80によって折りたたみ部70を折りたたんだ状態にて保持される。この接着手段80には、例えば、ホットメルト型接着剤、接着用テープ、糸による縫成、等を用いることができ、折りたたみ部70における外側面シート20側及び/又は内側面シート40側に設けられる。ここで、接着手段80によって使用者に違和感を与えないために、肌と接触しない外側面シート20側に設けられるものであれば好ましい。
【0022】
以上の如く、母乳パッド10は、その左右略中央部において、上端部から下端部にかけて延びる折りたたみ部70・70を略左右対称に具備し、かつ、折りたたみ部70・70の上下両端部を接着手段80・80・80・80によって固く保持され、平面視においては略平面形状を有した状態となる。
なお、本実施例においては、図7に示す如く、母乳パッド10は正面視において略円形状であるが、例えば矩形状、三角形状等でも良く、乳首に当接又は接近可能で、かつ、余乳を吸収するのに十分な大きさを有するものであれば形状は限定されない。
なお、本実施例においては、図7に示す如く、折りたたみ部70・70は、正面視において略円形状を有する母乳パッド10の上端部から下端部にかけて設けられるものであるが、折りたたみ部70・70は上下方向には限定されず、一端部から他端部まで延びるものであれば、左右方向、斜め方向等でも良く、さらには、母乳パッド10が略円形状を有する本実施例においては、直径方向に限らず弦方向でも良い。
【0023】
そして、以上の如く構成される折りたたみ部70・70を左右方向(一端部から他端部に向かう方向に直交する方向)に引っ張ることによって、立体形状の母乳パッド10を得ることが可能となる。例えば、図12(a)乃至(c)に示す如く、折りたたみ部70・70の上下中途部を左右方向に引っ張り合うことで、折りたたみ部70・70の上下両端部に設けられる接着手段80・80・80・80をそれぞれ支点として左右方向に張力が発生して、折りたたみ部70・70の折りたたみ状態が部分的に解除されて左右に広がった状態になり、その広がった部分においては、母乳パッド10の左右方向の距離が引っ張る前の左右方向の距離よりも長くなるので、平面形状から立体形状へ遷移する。このとき、左右方向に引っ張り合うのと同時に母乳パッド10の内側面から外側面方向に外力を加えることで、外側面シート20側を外側に膨らませた略おわん形状の母乳パッド10を得ることができる。
また、図12(d)乃至(f)に示す如く、左右方向に引っ張る上下位置を変更することによって(図12(d)では、上下中途部より下方側)、得られる立体形状を変えることができ、乳房にフィットさせるために所望の形状を有する母乳パッド10を得ることが可能である(例えば、図12(e)及び(f)参照)。
上記のごとく、積層体に中央を横断する折りたたみ部を設けることにより、当該折りたたみ部において、層を構成するシート間の接触によりシート間の移動が規制され、母乳パッド70の立体形状を保持しやすくなる。さらに、折りたたみ部を展開する(広げる)際には、内側のシートが外側に押し出されシート間の摩擦力が大きくなり、立体形状を保持しやすくなる。
【0024】
以上の如く構成される母乳パッド10の製造工程の一実施例については、以下の(1)から(4)に示す如くである。
(1)図10に示す如く、外側面シート20、ティシュー50、吸収体30、ティシュー50、防水用シート60、内側面シート40を積層し、
(2)縁部(図10に示す点線部分より外側の部分)をヒートシールにより熱溶着して接合し、
(3)上述の如く折り重ねて、折りたたみ部70・70を設け、
(4)折りたたみ部70・70の上端部及び下端部をそれぞれホットメルト80・80・80・80によって接着する。
【0025】
以上の如く構成される母乳パッド10の折りたたみ部70・70を適宜位置において左右方向(母乳パッドの一端部から他端部に向かう方向と直行する方向)に引っ張ることで、所望の立体形状を有する母乳パッド10を得ることができ、様々な乳房の形状に沿う形状の母乳パッドが実現される。また、簡単な構成で実現できる点で優れている。
即ち、本発明において、折りたたみ部70・70及び接着手段80・80・80・80は、初期状態において平面形状を有する母乳パッド10を立体形状にし、かつ、母乳パッド10の乳房へのフィット性を高めるものである。つまり、折りたたみ部70・70及び接着手段80・80・80・80と同等の作用効果をもたらすものであれば、本実施例のものに限らず適用可能である。
【0026】
また、以上の如く構成される母乳パッド10を上記の如く立体形状に保持して、乳房に装着する場合、図15、図16及び図17に示す如く、内側面シート40において、折りたたみ部70・70の間であって、上記の如く左右方向に引っ張られ、乳頭部分に接触又は接近する部分には窪み41が形成される。この窪み41の上下近傍の左右位置には折りたたみ部70・70の折りたたみ状態が保持されており、窪み41が乳頭部分を包み込む役割を果たし、乳房の形状に加えて乳頭部分に対してもフィット感を与えて、装着時の違和感をなくすことが可能となる。
【0027】
さらに、本実施例においては、図7に示す如く、両折りたたみ部70・70の間に形成されるトップ面90の左右幅は下端部から上端部に向かう方向に沿って広がる形状を有している。つまり、トップ面90の上部の左右幅は同じく下部の左右幅よりも広い形状を有し、折り重ねられる幅が上部より下部の方が大きく構成されている。
【0028】
以上の如く構成される母乳パッド10の折りたたみ部70・70の間に形成されるトップ面90は、下部より上部の幅を広く構成され、折り重ねられる幅が上部より下部の方が大きく構成されるので、使用時に母乳パッド下部の左右幅を母乳パッド上部の左右幅より大きくすることが可能となり、一般的な乳房の形状(重力の作用により上部よりも下部にボリュームがある形)に沿う母乳パッドの形状を実現しやすくなる。また、パッド上下の区別が簡単になり、装着のときに間違うことがなくなる。
即ち、本発明において、トップ面90が左右幅の異なる形状を有することにより、母乳パッド10使用時の立体形状において、上部より下部の左右幅を広くとり、一般的な乳房の形状に沿う形状を実現し易くするものである。つまり、母乳パッド10の使用時にトップ面90の上部における左右幅と下部における左右幅とが異なる形状(上部より下部の左右幅が大きい形状)を有するものであれば、本実施例のものに限らず適用可能である。
【0029】
例えば、図13(a)に示す如く、折りたたみ部70・70の折りたたみ状態におけるトップ面190の左右幅を均一に形成し、かつ、接着手段80・80・80・80の上端部側の接着箇所を下端部側の接着箇所より母乳パッド210の中心側に設けることにより、上述の如く折りたたみ部70・70を左右方向に引っ張って立体形状を得る(使用する)ときに、トップ面190の左右幅を上端部から下端部に向かう方向に沿って広がる形状とすることも可能である。こうして、折りたたみ部左右幅を均一に形成し、折りたたみ部保持手段となる接着部の一端側における接着点の幅を調節することにより、容易に展開時の立体形状を調節できる。
以上のような母乳パッド210の製造工程の一実施例については、以下の(1)から(4)に示す如くである。
(1)図10に示す如く、外側面シート20、ティシュー50、吸収体30、ティシュー50、防水用シート60、内側面シート40を積層し、
(2)縁部(図10に示す点線部分より外側の部分)をヒートシールにより熱溶着して接合し、
(3)図13(a)に示す如く、トップ面190の左右幅が均一になるように上述の如く折り重ねて、折りたたみ部170・170を設け、
(4)図13(a)に示す如く、折りたたみ部170・170の上端部においては内側、即ち折りたたみ部170・170の山折り側、をホットメルト80a・80aによって接着し(図14(a)参照)、折りたたみ部170・170の下端部においては上端部の接着位置より内側をホットメルト80b・80bによってそれぞれ接着する(図14(b)参照)。
以上の如く製造される母乳パッド210の上下中途部を左右方向に引っ張ることにより、折りたたみ部170・170の折りたたみ状態が部分的に解除されるとともに、母乳パッド上部の左右幅と同じく下部の左右幅に違いを持たせることが可能となるので、上述と同様の立体形状を得ることが可能である。
【0030】
また、上記の如き母乳パッドは、以下の(1)から(4)に示す如き製造工程によっても製造可能である。
(1)図10に示す如く、外側面シート20、ティシュー50、吸収体30、ティシュー50、防水用シート60、内側面シート40を積層し、
(2)図13(b)に示す如く、トップ面190の左右幅が均一になるように上述の如く折り重ねて、折りたたみ部170・170を設け、
(3)縁部(図10に示す点線部分より外側の部分)を、ヒートシールにより熱溶着して接合し、
(4)さらに、図13(b)に示す如く、折りたたみ部170・170の下端部において折りたたみ部170・170の山折り側をホットメルト80b・80bによって接着する。
以上の如く製造される母乳パッド220の上下中途部を左右方向に引っ張ることにより、折りたたみ部170・170の折りたたみ状態が部分的に解除されるとともに、折りたたみ部170・170の上端部における非固定部の折りたたみ状態が解除されて、左右幅に違いを持たせることが可能となるので、前述と同様の立体形状を得ることが可能である。
【0031】
さらに、本実施例においては、図7に示す如く、トップ面90に母乳パッド10の装着位置保持手段となる、接着部材91が設けられる。この接着部材91は、母乳パッド10を装着する際に衣服等に接触して、当該衣服等と母乳パッド10とを接合するものである。接着部材91は、例えばトップ面90の上下長さと略同じ上下長さを有する部材であり、両面テープなどの接着用テープ、面ファスナー、等からなる。なお、接着部材91は、トップ面90において、間欠的に設けたり、トップ面90の上下にそれぞれ設けたりすることも可能である。
トップ面90は、その両側部に折りたたみ部70・70が設けられるため、トップ面90部分の剛性が高くなり、母乳パッド10の立体形状を維持しやすい。このトップ面90に接着部材91を設けることにより、剛性の高い部位の近傍において、衣服などに接着されるので、母乳パッド10にかかる応力モーメントを小さくし、立体形状を維持しやすい。
【0032】
以上の如く構成される接着部材91をトップ面90に設けることにより、母乳パッド10を装着し使用する際に、上下方向への位置保持ができ、ズレを抑止することができる。
なお、接着部材91は、上記の如き構成に限らず、外側面シート20上であって、トップ面90以外にも付加的に設けることも可能である。例えば、図18に示す如く、母乳パッド10の左右端部に接着部材91・91を設けることで左右方向のズレも抑止することができる。
【0033】
さらに、本実施例においては、図8、図10及び図15に示す如く、母乳パッド10はその内側面の下部に、吸収体30及びティシュー50を、液不透過性素材からなる外側面シート20と、同じく液不透過性素材からなる防水用シート60と、で挟装して構成されるポケット部61を具備する。このポケット部61は、乳頭部分が接触又は接近する窪み41よりも下方に設けられる部材であり、母乳パッド10(吸収体30)により吸収される余乳を下方へ漏下させないためのものである。
【0034】
母乳パッド10は、以上の如く構成されるポケット部61を具備するので、吸収体30によって吸収・保持される余乳が多い場合にもポケット部61において、余乳の下方への漏れ出しを防止することができる。
なお、本実施例においては、ポケット部61は下方側のみに具備されるが、さらにポケット部61を上方側に上下対称に設けることで、母乳パッド10を上下逆向きにも使用できるようになり、さらに乳房の形状へのフィット性を高めることができる。
【0035】
以下では、図19を参照して、本発明に係る母乳パッドの別実施例である母乳パッド110について説明する。
母乳パッド110は左胸に装着するための母乳パッド110Lと、右胸に装着するための母乳パッド110Rと、からなり、母乳パッド110L・110Rの基本的な構成は母乳パッド10と同一である。また、これらの母乳パッド110Lと110Rは左右対称に構成される。
【0036】
図19に示す如く、母乳パッド110L・110Rは、折りたたみ部70・70に加えて、それぞれ伸縮部120を具備する。伸縮部120は、例えばプリーツ、ギャザー、伸縮素材等からなり、外力を加えることにより伸び縮みするように構成される部材である。
以上の如く、母乳パッド110L・110Rは伸縮部120を具備するので、折りたたみ部70・70によるフィッティングに加えて、伸縮部120によるフィッティングを行なえるので、より乳房の形状にフィットした母乳パッドを提供できる。
なお、伸縮部120は、それぞれのパッドの左右方向外側に一つ設けたが、本実施例には限定されず、例えば両側に設けても、左右方向一側に複数設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る母乳パッドの実施の一形態を示す正面図。
【図2】同じく背面図。
【図3】同じく側面図。
【図4】同じく平面図。
【図5】同じく底面図。
【図6】同じく使用状態を示す斜視図。
【図7】本発明に係る母乳パッドの実施の一形態を示す正面図。
【図8】同じく背面図。
【図9】同じく側面図。
【図10】同じく分解斜視図。
【図11】本発明に係る折りたたみ部を示す模式図、(a)初期状態を示す平面図(b)山折りを示す平面図(c)谷折りを示す平面図(d)折りたたみ部を設けた状態を示す平面図。
【図12】本発明に係る母乳パッドの使用例を示す模式図、(a)外力を加える箇所を示す正面図(b)使用例を示す斜視図(c)使用例を示す側面図(d)外力を加える箇所を示す正面図(e)使用例を示す斜視図(f)使用例を示す側面図。
【図13】(a)本発明に係る母乳パッドの実施の別形態を示す正面図(b)本発明に係る母乳パッドの実施の別形態を示す正面図。
【図14】(a)本発明に係る母乳パッドの実施の別形態を示す平面図(b)本発明に係る母乳パッドの実施の別形態を示す底面図。
【図15】本発明に係る母乳パッドの使用例を示す背面図。
【図16】本発明に係る母乳パッドの使用状態を示すB−B線断面図。
【図17】同じくC−C線断面図。
【図18】本発明に係る母乳パッドの実施の別形態を示す正面図。
【図19】本発明に係る母乳パッドの実施の別形態を示す正面図。
【符号の説明】
【0038】
10 母乳パッド
20 外側面シート
30 吸収体
40 内側面シート
50 ティシュー
70 折りたたみ部
80 接着手段(折りたたみ状態保持手段)
90 トップ面
91 接着部材(装着位置保持手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシートを積層してなり、肌非接触面である外側面と肌接触面である内側面とを有する、母乳パッドであって、
前記母乳パッドの一端部から他端部にまで延びて設けられる二つの折りたたみ部と、
該折りたたみ部の一端部及び/又は他端部において、当該折りたたみ部の折りたたみ状態を保持する手段と、
を具備する母乳パッド。
【請求項2】
前記母乳パッド外側面において、前記二つの折りたたみ部の間に前記一端部から前記他端部に向かう方向に沿って形成されるトップ面は、前記一端部から前記他端部に向かう方向に沿って、幅が徐々に広がる形状を有する、請求項1に記載の母乳パッド。
【請求項3】
前記母乳パッド外側面において、前記二つの折りたたみ部の間に前記一端部から前記他端部に向かう方向に沿って形成されるトップ面に、前記母乳パッドの装着位置を保持する手段を具備する、請求項1又は請求項2に記載の母乳パッド。
【請求項4】
前記母乳パッド内側面側に、該母乳パッドに具備される母乳吸収体の一部が、同じく母乳パッドに具備される液不透過性素材に挟装されてなるポケット部を具備する、請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の母乳パッド。
【請求項1】
複数のシートを積層してなり、肌非接触面である外側面と肌接触面である内側面とを有する、母乳パッドであって、
前記母乳パッドの一端部から他端部にまで延びて設けられる二つの折りたたみ部と、
該折りたたみ部の一端部及び/又は他端部において、当該折りたたみ部の折りたたみ状態を保持する手段と、
を具備する母乳パッド。
【請求項2】
前記母乳パッド外側面において、前記二つの折りたたみ部の間に前記一端部から前記他端部に向かう方向に沿って形成されるトップ面は、前記一端部から前記他端部に向かう方向に沿って、幅が徐々に広がる形状を有する、請求項1に記載の母乳パッド。
【請求項3】
前記母乳パッド外側面において、前記二つの折りたたみ部の間に前記一端部から前記他端部に向かう方向に沿って形成されるトップ面に、前記母乳パッドの装着位置を保持する手段を具備する、請求項1又は請求項2に記載の母乳パッド。
【請求項4】
前記母乳パッド内側面側に、該母乳パッドに具備される母乳吸収体の一部が、同じく母乳パッドに具備される液不透過性素材に挟装されてなるポケット部を具備する、請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の母乳パッド。
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2009−30179(P2009−30179A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192489(P2007−192489)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000107284)ジェクス株式会社 (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000107284)ジェクス株式会社 (26)
【Fターム(参考)】
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