説明

水性インキ組成物

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、色材と水と樹脂を少なくとも含む筆記具用のインキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般の筆記具用のインキ組成物は、色材に染料や顔料を用い、これらの色材を溶剤に溶解及び/または分散し、また、必要に応じて定着性の向上や粘度調整の為に樹脂を、溶解性向上や分散安定性向上のために界面活性剤を、さらには防腐防黴剤等を添加している。ここで、インキ組成物の粘度は筆記具の形態と密接に関わることから重要視されてきている。
【0003】特に、水性ボ−ルペン用インキ組成物においては、粘度が1〜数センチポイズ(cps)のインキを繊維収束体などからなるインキ吸蔵体に染み込ませたものが使用されており、瑞々しくボテの無い筆跡を有している。
【0004】上記のようなインキ吸蔵体にインキを染み込ませたものは、外観上インキ残量が分かりにくいが、インキ残量が分かるためには、インキの粘度を上げて、インキを透明な容器に収容し、インキ自身によって保持できる様にする方法がある。
【0005】従来、インキ組成物の粘度は一般に樹脂を添加して調整していた。インキ組成物の溶剤に水を含む水性インキ組成物の場合は、例えば、天然系のアラビアガム、トラガカントガム、グァ−ガム、ロ−カストビ−ンガム、アルギン酸、カラギ−ナン、ゼラチン、カゼイン、キサンテンガム、デキストラン、半合成系のメチルセルロ−ス、エチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−ス、デンプングリコ−ル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコ−ルエステル、合成系のポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエ−テル、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマ−、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、アクリル樹脂のアルカリ金属塩などの水溶性高分子を1種または2種以上混合して使用していた。
【0006】
【発明が解決する課題】インキ組成物の粘度調整剤として上記のような樹脂を用いた場合、染料の種類によっては染料の不溶化を生じ、また、顔料の種類によっては顔料の凝集を生じるという問題があった。よって、可溶化剤や分散剤をインキ組成物中にさらに添加する必要があった。また、添加した樹脂の分子の結合が微生物による腐敗や酸化による分解などによって切れてしまい、粘度調整の機能を発揮しなくなり、その結果、インキ組成物としての粘度が経時的に下がってしまうという問題があった。更に、ア−ト紙等の表面に樹脂層を形成した加工紙に筆記したとき、その筆跡にハジキが発生し、筆跡幅や筆跡濃度が不均一になるという問題があった。
【0007】水性ボールペンインキの粘度調整剤として上記のような樹脂を用いた場合、色材の染料の種類によっては染料の不溶化を生じ、色材の顔料の種類によっては顔料の凝集を生じて、筆記できなくなるという問題があった。よって、可溶化剤や分散剤をインキ組成物中にさらに添加する必要があった。また、添加した樹脂の分子の結合が微生物による腐敗や酸化による分解などによって切れてしまい、粘度調整の機能を発揮しなくなり、その結果、インキ組成物の粘度が経時的に下がってしまい、中空の筒体に保持できなくなるという問題があった。更に、ア−ト紙等の表面に樹脂層を形成した加工紙に筆記したとき、ボールが空回りしたり、その筆跡にハジキが発生し、筆跡幅や筆跡濃度が不均一になるという問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも、色材と水と上記一般式(化1)で示される化合物及び/またはその塩よりなる水性インキ組成物を要旨とする。
【0009】本発明の水性イキ組成物は、特に水性ボ−ルペン用インキ組成物として使用する場合、インキ粘度を50〜2000cps(600cps未満は(株)トキメック製ELD型粘度計標準コーンローター1rpmにて測定、600cps以上は(株)トキメック製ELD型粘度計ST型ロ−タ− 20rpmにて測定、温度25℃)の範囲に設定することが望ましい。このとき、筆跡のボテの発生を抑制すると共に、中空の筒体に自身で保持できるインキとなるので中空の筒体を透明な物質にすることでインキ残量が確認できるボ−ルペン構造にすることが出来る。インキ粘度を50cps未満にするとインキを中空の筒体に保持しづらくなり、2000cpsより高くなると筆跡に線割れやボテが出易くなる。
【0010】本発明の水性インキ組成物は、着色剤としては、従来水性インキ組成物に用いられている染料、顔料ともに限定無く使用可能であるが、その具体例を挙げると染料としては、ジャパノ−ルファストブラックDコンク(C.I.ダイレクトブラック17)、ウォ−タ−ブラック100L(同19)、ウォ−タ−ブラックL−200(同19)、ウォ−タ−ブラック#7(同19)、カヤセットブラックW9(同19)、ダイレクトファストブラックB(同22)、ダイレクトファストブラックAB(同32)、ダイレクトディ−プブラックEX(同38)、ダイレクトディ−プブラック(同38類似品)、ダイレクトファストブラックコンク(同51)、カヤラススプラグレイVGN(同71)、カヤクダイレクトブリリアントエロ−G(C.I.ダイレクトエロ−4)ダイレクトファストエロ−5GL(同26)、アイゼンブルムラエロ−GCLH(同44)、ダイレクトファストエロ−R(同50)、アイゼンダイレクトファストレッドFH(C.I.ダイレクトレッド1)、ニッポンファストスカ−レットGSX(同4)、ダイレクトファストスカ−レット4BS(同23)、アイゼンダイレクトデュリンBH(同31)、ダイレクトスカ−レットB(同37)、カヤクダイレクトスカ−レット3B(同39)、アイゼンブリムラビンコンク2BLH(同75)、スミライトレッドF3B(同80)、アイゼンブリムラレッド4BH(同81)カヤラススプラルビンBL(同83)、カヤラスライトレッドF5G(同225)、カヤラスライトレッドF5B(同226)、カヤラスライトロ−ズFR(同227)ダイレクトスカイブル−6B(C.I.ダイレクトブル−1)、ダイレクトスカイブル−5B(同15)、ベンゾブリリアントスカイブル−8GS(同41)、スミライトスプラブル−BRRコンク(同71)、ダイボ−ゲンタ−コイズブル−S(同86)、ウォ−タ−ブル−#3(同86)、カヤラスタ−コイズブル−GL(同86)、ダイワブル−215H(同87)、カヤラススプラブル−FF2GL(同106)、カヤラススプラブル−FFRL(同108)カヤラススプラタ−コイズブル−FBL(同199)などの直接染料や、アシッドブル−ブラック10B(C.I.アシッドブラック1)、ニグロシン(同2)、ウォ−タ−ブラックR455(同2)、ウォ−タ−ブラックR510(同2)、スミノ−ルミリングブラック8BX(同24)、カヤノ−ルミリングブラックVLG(同26)、カヤノ−ルミリングブラックBRコンク(同31)、ミツイナイロンブラックGL(同52)、アイゼンオパ−ルブラックWHエクストラコンク(同52)、スミランブラックWA(同52)、ラニルブラックBGエクストラコンク(同107)、カヤノ−ルミリングブラックTLB(同109)、スミノ−ルミリングブラックB(同109)、カヤノ−ルミリングブラックTLR(同110)、アイゼンオパ−ルブラックニュ−コンク(同119)、ウォ−タ−ブラック187−L(同154)アシッドイエロ−#10(C.I.アシッドエロ−1)、カヤクアシッドブリリアントフラビンFF(同7:1)、カヤシルエロ−GG(同17)、キシレンライトエロ−2G140%(同17)、スミノ−ルレベリングエロ−NR(同19)、ウォ−タ−イエロ−#1(同23)、ダイワタ−トラジン(同25)、カヤクタ−トラジン(同23)、スミノ−ルファストエロ−R(同25)ダイアシッドライトエロ−2GP(同29)、スミノ−ルミリングエロ−O(同38)、スミノ−ルミリングエロ−MR(同42)、ウォ−タ−イエロ−#6(同42)、カヤノ−ルエロ−NFG(同49)、スミノ−ルミリングエロ−3G(同72)、スミノ−ルファストエロ−G(同61)、スミノ−ルミリングエロ−G(同78)、カヤノ−ルエロ−N5G(同110)、スミノ−ルミリングエロ−4G200%(同141)、カヤノ−ルエロ−NG(同135)、カヤノ−ルミリングエロ−5GW(同127)、カヤノ−ルミリングエロ−6GW(同142)、スミトモファストスカ−レットA(C.I.アシッドレッド8)、カヤクシルクスカ−レット(同9)、ソ−ラ−ルビンエクストラ(同14)、ダイワニュ−コクシン(同18)、ウォ−タ−スカ−レット(同18)、ダイワ赤色102号(同18)、アイゼンボンソ−RH(同26)、ダイワ赤色2号(同27)、スミノ−ルレベリングブリリアントレッドS3B(同35)、カヤシルルビノ−ル3GS(同37)、アイゼンエリスロシン(同51)、カヤクアシッドロ−ダミンFB(同52)、ダイワ赤色106号(同52)、スミノ−ルレベリングルビノ−ル3GP(同57)、ダイアシッドアリザリンルビノ−ルF3G200%(同82)、アリザリンルビノ−ル5G(同83)、アイゼンエオシンGH(同87)、ウォ−タ−レッド#2(同87)、ダイワ赤色103WB(同87)、ウォ−タ−ピンク#2(同92)、アイゼンアシッドフロキシンPB(同92)、ダイワ赤色104号(同92)、ロ−ズベンガル(同94)、カヤノ−ルミリングスカ−レットFGW(同111)、カヤノ−ルミリングルビン3BW(同129)、スミノ−ルミリングブリリアントレッド3BNコンク(同131)、スミノ−ルミリングブリリアントレッドBS(同138)、アイゼンオパ−ルピンクBH(同186)、スミノ−ルブリリアントレッドBコンク(同249)、カヤクアシッドブリリアントレッド3BL(同254)、カヤクアシッドブリリアントレッドBL(同265)、カヤノ−ルミリングレッドGW(同276)、ミツイアシッドバイオレット6BN(C.I.アシッドバイオレット15)、ミツイアシッドバイオレットBN(同17)、ウォ−タ−バイオレット#1(同49)、ウォ−タ−バイオレット#5(同49)、ダイワ紫1号(同49)、バイオレットL10(同49)、スミトモパテントピュァブル−VX(C.I.アシッドブル−1)、ウォ−タ−ブル−#106(同1)、パテントブル−AF(同7)、ウォ−タ−ブル−#9(同9)、ダイワ青色1号(同9)、ブル−L20(同9)、スプラノ−ルブル−B(同15)、ウォ−タ−ブル−#116(同15)、オリエントソルブルブル−OBC(同22)、オリエントソルブルブル−OBX(同22)、スミノ−ルレベリングブル−4GL(同23)、ミツイナイロンファストブル−G(同25)、カヤシルブル−AGG(同40)、カヤシルブル−BR(同41)、ミツイアリザリンサフィロ−ルSE(同43)、スミノ−ルレベリングスカイブル−Rエクストラコンク(同62)、ミツイナイロンファストスカイブル−R(同78)、スミトモブリリアントインドシアニン6Bh/e(同83)、サンドランシアニンN−6B350%(同90)、ウォ−タ−ブル−#115(同90)、ウォ−タ−ブル−#105(同90)、オリエントソルブルブル−OBB(同93)、スプラノ−ルシアニン7BF(同100)、スミトモブリリアントブル−5G(同103)、アシッドブル−(同103)、アシランブリリアントブル−FFR(同104)、カヤノ−ルミリングウルトラスカイSE(同112)、カヤノ−ルミリングシアニン5R(同113)、アイゼンオパ−ルシアニン2GLH(同158)、ダイワギニアグリ−ンB(C.I.アシッドグリ−ン3)アシッドブリリアントミリンググリ−ン(同9)、ダイワグリ−ン#70(同16)、カヤノ−ルシアニングリ−ンG(同25)、スミノ−ルミリンググリ−ンG(同27)、ウォ−タ−オレンジ#17(C.I.アシッドオレンジ56)などの酸性染料、ウォ−タ−イエロ−#2(C.I.フ−ドエロ−3)などの食用染料、マラカイトグリ−ン(C.I.42000)、ビクトリアブル−FB(C.I.44045)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、ロ−ダミンF4G(C.I.45160)、ロ−ダミン6GCP(C.I.45160)などが例示できる。
【0011】顔料としては、Special Black 6、同S170、同S610、同5、同4、同4A、同550、同35、同250、同100、Printex150T、同U、同V、同140U、同140V、同95、同90、同85、同80、同75、同55、同45、同P、同XE2、同L6、同L、同300、同30、同3、同35、同25、同200、同A、同G(以上、デグサ・ジャパン(株)製)、#2400B、#2350、#2300、#2200B、#1000、#950、#900、#850、#MCF88、MA600、MA100、MA7、MA11、#50、#52、#45、#44、#40、#33、#32、#30、CF9、#20B、#4000B(以上、三菱化成工業(株)製)、MONARCH 1300、同1100、同1000、同900、同880、同800、同700、MOGUL L、REGAL 400R、同660R、同500R、同330R、同300R、同99R、ELFTEX 8、同12、BLACK PEARLS 2000(以上、米国、キャボットCo.LTD製)、Raven7000、同5750、同5250、同5000、同3500、同2000、同1500、同1255、同1250、同1200、同1170、同1060、同1040、同1035、同1020、同1000、同890H、同890、同850、同790、同780、同760、同500、同450、同430、同420、同410、同22、同16、同14、同825Oil Beads 、同H20、同C、Conductex 975、同900、同SC(以上、コロンビヤン・カ−ボン日本(株)製)等のカ−ボンブラック、KA−10、同10P、同15、同20、同30、同35、同60、同80、同90、KR−310、同380、同460、同480(以上、チタン工業(株)製)、P25(日本アエロジル(株)製)等の酸化チタン、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、コバルトブル−、クロムグリ−ン、酸化クロム等の無機顔料、ハンザエロ−10G、同5G、同3G、同4、同GR、同A、ベンジジンエロ−、パ−マネントエロ−NCG、タ−トラジンレ−キ、キノリンエロ−、スダ−ン1、パ−マネントオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGN、パ−マネントブラウンFG、パラブラウン、パ−マネントレッド4R、ファイヤ−レッド、ブリリアントカ−ミンBS、ピラゾロンレッド、レ−キレッドC、キナクリドンレッド、ブリリアントカ−ミン6B、ボルド−5B、チオインジゴレッド、ファストバイオレットB、ジオキサンバイオレット、アルカリブル−レ−キ、フタロシアニンブル−、インジゴ、アシッドグリ−ンレ−キ、フタロシアニングリ−ン等の有機顔料、BS−605、同607(以上、東洋アルミ(株)製)、ブロンズパウダ−P−555、同P−777(以上、中島金属箔工業(株)製)、ブロンズパウダ−3L5、同3L7(以上、福田金属箔工業(株)製)等の金属粉顔料が挙げられる。また、この他に硫化亜鉛、珪酸亜鉛、硫酸亜鉛カドミウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、タングステン酸カルシウム等の無機蛍光顔料、その他公知の有機蛍光顔料が挙げられる。前記した着色剤は、単独或いは、他との組み合わせにより使用でき、その使用量は色調等によっても異なるが、水性組成物全量に対して0.5〜20重量%が好ましい。
【0012】更に、顔料インキ組成物の場合、顔料を水性媒体に分散した水性インキ組成物ベ−スを用いることは、顔料インキ組成物製造上有利なことである。具体的には、Fuji.SP.Black.8031、同8119、同8167、同8276、同8381、同8406、Fuji.SP.Red.5096、同5111、同5193、同5220、Fuji.SP.Bordeaux.5500、Fuji.SP.Blue.6062、同6133、同6134、Fuji.SP.Green.7051、Fuji.SP.Yellow.4060、Fuji.SP.Violet.9011、Fuji.SP.Pink.9524、同9527、Fuji.SP.Orenge.534、FUji.SP.Brown.3074(以上、富士色素(株)製)、Emacol.Black.CN、Emacol.Blue.FBB、同FB、同KR、Emacol.Green.LXB、Emacol.Violet.BL、Emacol.Brown.3101、Emacol.Carmmine.FB、Emacol.Red.BS、Emacol.Orange.R、Emacol.Yellow.FD、同.IRN、同3601、同FGN、同GN、同GG、同F5G、同F7G、同10GN、同10G、Sndye.Super.Black.K、同C、Sandye.Super.Grey.B、Sandye.Super.Brown.SB、同FRL、同RR、Sandye.Super.Green.L5G、同GXB、Sandye.Super.Nayvy.Blue.HRL、同GLL、同HB、同FBL−H、同FBL−160、同FBB、Sandye.Super.Violet.BL.H/C、同BL、Sandye.Super.Bordeaux.FR、Sandye.Super.Pink.FBL、同F5B、Sandye.Super.Rubine.FR、Sandye.super.Carmmine.FB、Sandye.Super.Red.FFG、同RR、同BS、Sadye.Super.Orange.FL、同R、同BO、Sandye.Gold.Yellow.5GR、同R、同3R、Sandye.Ywllow.GG、同F3R、同IRC、同FGN、同GN、同GRS、同GSR−130、同GSN−130、同GSN、同10GN(以上、三陽色素(株)製)、Rio.Fast.Black.Fx.8012、同8313、同8169、Rio.Fast.Red.Fx.8209、同8172、Rio.Fast.Red.S.Fx.8315、同8316、Rio.Fast.Blue.Fx.8170、Rio.Fast.Blue.FX.8170、Rio.Fast.Blue.S.Fx.8312、Rio.Fast.Green.S.Fx.8314(以上、東洋インキ組成物(株)製)、NKW−2101、同2102、同2103、同2104、同2105、同2106、同2107、同2108、同2117、同2127、同2137、同2167、同2101P、同2102P、同2103P、同2104P、同2105P、同2106P、同2107P、同2301、同2302、同2303、同2304、同2305、同2306、同2307、同2308、同2317、同2327、同2337、同2367同2108P、同2117P、同2127P、同2137P、同2167P、同3002、同3003、同3004、同3005、同3007、同3077、同3008、同3402、同3404、同3405、同3407、同3408、同3477、同3602、同3603、同3604、同3605、同3607、同3677、同3608、同3702、同3703、同3704、同3705、同3777、同3708(以上、日本蛍光(株)製)、コスモカラ−S.1000Fシリ−ズ(東洋ソ−ダ(株)製)、シンロイヒ・カラーベースSW−11、同SW−12、同SW−13、同SW−14、同SW−15、同SW−16、同SW−17、同SW−27、どうSW−37、同SW−47、同SW−18、同SW−07(以上、シンロイヒ(株)製)等が挙げられるものであり、これらは一種もしくは二種以上混合して用いることができる。また、染料、顔料、分散顔料は混合して使用することもできる。
【0013】溶剤は、水を必須とし、これに加えて各種有機溶媒を用いることができる。有機溶剤としては具体的には、エタノ−ル、メタノ−ル、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、2−メチル−2,4−ペンタンジオ−ル、2−メトキシエタノ−ル、2−エトシキエタノ−ル、2−ブトキシエタノ−ル、2−フェノキシエタノ−ル、2−ベンジルオキシエタノ−ル、2−(2−メトキシエトシキ)エタノ−ル、2−(2−エトキシエトシキ)エタノ−ル、2−(2−ブトキシエトシキ)エタノ−ル、グリセリン、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ルなどの水溶性有機溶剤が挙げられる。
【0014】更に、上記一般式(化1)にて示される化合物には、乳化作用があるため、キシレン、トルエン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、アニソ−ル、ジベンジルエ−テル、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンなどのエ−テル類、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの有機溶剤も少量使用することができる。以上の有機溶剤は1種又は2種以上組合せて使用することができる。
【0015】インキ組成物の増粘用樹脂としては上記一般式(化1)で表される物質及び/またはその塩が使用できる。
【0016】本発明のインキ組成物は、必須成分である色材と水と上記一般式(化1)にて示される化合物とを混合、撹拌して得ることができる。更に、必要に応じて分散機にかけても良く、ろ過、遠心分離により色材の分級を行っても良い。また、筆記手段としては、ペン先の種類として、つけペンタイプの筆記具、毛筆、エア−ブラシ、ボ−ルペン、繊維収束体ペン先、合成樹脂製ペン先などの筆記具を用いることができる。特にボ−ルペンに使用した場合、インキ残量、インキ色の表示や筆跡品質の点から好ましいものである。
【0017】また、必要に応じて、色材を筆記面に付着させるために樹脂を添加することができる。この樹脂は、天然系のアラビアガム、トラガカントガム、グァ−ガム、ロ−カストビ−ンガム、アルギン酸、カラギ−ナン、ゼラチン、カゼイン、キサンテンガム、デキストラン、半合成系のメチルセルロ−ス、エチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−ス、デンプングリコ−ル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコ−ルエステル、合成系のポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエ−テル、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、アクリル樹脂のアルカリ金属塩などの水溶性高分子を1種または2種以上混合して使用できる。これらの樹脂の中には、インキ組成物中の染料の不溶化や分散している顔料の凝集を生じさせるものがあるので、染料顔料の種類により添加する樹脂の種類を替える必要がある。
【0018】上記以外に、各種高分子分散剤や界面活性剤が使用できる。例示すれば、高分子分散剤として、アラビアゴム、トラガントゴム等の天然ゴム類、サポニン等のグルコシド類、メチルセルロ−ス、カルボキシセルロ−ス、ヒドロキシメチルセルロ−ス等のセルロ−ス誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、リン酸塩、などの陰イオン性高分子やポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコ−ル等の非イオン性高分子などが挙げられる。また、界面活性剤として、脂肪酸塩類、高級アルコ−ル硫酸エステル塩類、液体脂肪酸硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などの陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0019】また、黴の発生によるインキ組成物の筆記具のインキ通路におけるインキ組成物の流出阻害を抑制するためにデヒドロ酢酸ナトリウム、1.2−ベンゾチアザリン−3−オン、安息香酸ナトリウムなどの防腐防黴剤を適宜量加えることもできる。
【0020】更に、インキ組成物と接触する部分に金属を使用している筆記具の場合、金属の腐食防止のためにベンゾトリアゾ−ル、エチレンジアミン四酢酸塩等の防蝕剤や、可溶化剤としてオレイン酸のような脂肪酸も適宜添加することができる。
【0021】
【作用】上記一般式(化1)で示される化合物及び/またはその塩を必須成分として有する本発明の水性インキ組成物が、染料の析出や顔料の凝集を生じずに経時的に安定な粘度を保ち、各種の筆記具に組み入れた場合、ア−ト紙等の表面に樹脂層を形成した加工紙にも均一に筆記できる理由は次のように考えられる。
【0022】上記一般式(化1)にて示される化合物は、乾燥状態ではコイル状に縮み層状に重なりあった糸毬状で存在し、水性インキ中に分散させた状態では水和して膨潤し増粘作用を示す。更にアルカリ金属が添加されると分子中のカルボキシル基が解離し、その電気的反発力によってより一層膨潤する。よって、水性インキ組成物に添加すると、少量でも著しい増粘作用を示す。また、分子内に親水性部分と親油性部分があり、界面活性剤の働きを持つために、水性インキ組成物に添加しても染料の不溶化や顔料の凝集を生じない。更に分子内に親油性部分があるために、親油性が強いコ−ト紙にも均一に筆記できる。また、本発明に使用する上記一般式にて示される化合物は、加水分解や酸化を受けにくく、微生物の成長を助けないために、経時安定性が良い。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、実施例、比較例の中で「部」とあるのは「重量部」を示す。
【0024】各インキ組成物の粘度の測定条件は、50cps未満は(株)トキメック製ELD型粘度計標準コーンローター10rpmにて測定、50cps以上600cps未満は(株)トキメック製ELD型粘度計標準コーンローター1rpmにて測定、600cps以上5500cps未満は(株)トキメック製ELD型粘度計ST型ロ−タ−20rpmにて測定、5500cps以上は(株)トキメック製ELD型粘度計ST型ロ−タ−10rpmにて測定した。測定時の温度は25℃であった。
【0025】実施例1精製水 17.5部エチレングリコ−ル 10.0部グリセリン 20.0部NKW−2105(顔料分散体、日本蛍光化学(株)製) 40.0部プロクセルGXL(1.2−ベンゾチアザリン−3−オン、ICI社製、英国)
0.2部PEMULEN TR−1 2%水溶液(上記化1にて示される化合物、B.F.Goodrich社製、米国) 12.0部25%水酸化ナトリウム水溶液 0.3部上記成分中、25%水酸化ナトリウム水溶液以外を混合し、1時間撹拌した後に25%水酸化ナトリウム水溶液を添加して何度1600cpsの黄色インキを得た。
【0026】実施例2精製水 23.5部プロピレングリコ−ル 10.0部グリセリン 15.0部NKW−2117(顔料分散体、日本蛍光化学(株)製) 40.0部プロクセルGXL 0.2部PEMULEN TR−2 2%水溶液(上記化1にて示される化合物、B.F.Goodrich社製、米国) 11.0部25%水酸化リチウム水溶液 0.3部上記各成分中、25%水酸化リチウム水溶液以外を混合し、1時間撹拌した後に25%水酸化リチウム水溶液を添加して粘度1100cpsの桃色インキを得た。
【0027】実施例3精製水 46.8部ウォ−タ−ブラック#100L(C.I.ダイレクトブラック19、オリエント化学工業(株)製) 30.0部エチレングリコ−ル 13.0部デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2部下記一般式(化2)にて示される化合物の2%水溶液 10.0部上記各成分を混合し40〜50℃に加熱し1時間撹拌した後、濾過することにより粘度60cpsの黒色インキを得た。
【0028】
【化2】


【0029】実施例4精製水 73.7部アイゼンエオシンGHC(C.I.アシッドレッド87、保土ヶ谷化学工業(株)製) 5.0部ウォ−タ−オレンジ#17(C.I.アシッドオレンジ56、オリエント化学工業(株)製) 1.0部ジエチレングリコ−ル 10.0部プロクセルGXL 0.2部下記一般式(化3)にて示される化合物の2%水溶液 10.0部25%水酸化ナトリウム水溶液 0.1部上記各成分中25%水酸化ナトリウム以外を混合し、1時間撹拌してたのちに25%水酸化ナトリウム水溶液を添加して粘度150cpsの赤色インキを得た。
【0030】
【化3】


【0031】実施例5精製水 72.42部ロ−ダミン6GCP(C.I.ベ−シックレッド1、住友化学(株)製)
0.3部グリセリン 2.0部ポリエチレングリコ−ル#400 10.0部プロクセルGXL 0.2部下記一般式(化4)にて示される化合物の2%水溶液 15.0部トリエタノ−ルアミン 0.08部上記各成分中トリエタノ−ルアミン以外を混合し、1時間撹拌したのちにトリエタノ−ルアミンを添加して粘度600cpsのピンク色の蛍光インキを得た。
【0032】
【化4】


【0033】実施例6精製水 40.95部NKW−3007(蛍光水性インキベ−ス、日本蛍光化学(株)製)40.0部ウォタ−ブル−#9(C.I.アシッドブル−9、オリエント化学工業(株)製) 0.8部グリセリン 8.0部プロクセルGXL 0.2部下記一般式(化5)にて示される化合物の2%水溶液 10.0部トリエタノ−ルアミン 0.05部上記各成分中トリエタノ−ルアミン以外を混合し、1時間撹拌したのちにトリエタノ−ルアミンを添加して粘度250cpsの黄緑色の蛍光インキを得た。
【0034】
【化5】


【0035】実施例7精製水 70.22部エチレングリコ−ル 15.0部MA100(カ−ボンブラック、三菱化成工業(株)製) 8.0部ジョンクリル J61j(スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ジョンソンポリマ−(株)製) 2.5部プロクセルXL−2(1.2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ICIジャパン(株)製) 0.2部下記一般式(化6)にて示される化合物の2%水溶液 4.0部2−アミノ−2−メチル―1.3―プロパンジオ−ル 0.08部上記成分のうち上記一般式(化1)にてに示される化合物及び2−アミノ−2−メチル―1.3―プロパンジオ−ル以外を配合し市販のサンドミルで4時間分散処理し、上記一般式(化1)にてに示される化合物の2%水溶液を添加して1時間撹拌後、2−アミノ−2−メチル―1.3―プロパンジオ−ルを添加して更に0.5時間撹拌したものを遠心分離処理にて粗大粒子の除去をして粘度60cpsの黒色インキを得た。
【0036】
【化6】


【0037】実施例8精製水 58.75部プロピレングリコ−ル 15.0部キナクリドンレッド(C.I.Pigment Red112) 6.0部SMA Resin 1440(スチレン−マレイン酸共重合体27%、米国、ARCO Chemical Co.LTD製) 10.0部プロクセルXL−2 0.2部下記一般式(化7)にて示される化合物の2%水溶液 10.0部2−アミノ−2−メチル―1.3―プロパンジオ−ル 0.05部上記成分のうち上記一般式(化1)にてに示される化合物及び2−アミノ−2−メチル―1.3―プロパンジオ−ル以外を配合し市販のダイノ−ミルで4時間分散処理し、上記一般式(化1)にてに示される化合物を添加して1時間撹拌後、2−アミノ−2−メチル―1.3―プロパンジオ−ルを添加して更に0.5時間撹拌したものを遠心分離処理にて粗大粒子の除去をして粘度300cpsの赤色インキを得た。
【0038】
【化7】


【0039】実施例9精製水 46.6部10%水酸化ナトリウム水溶液 0.2部ジエチレングリコ−ル 10.0部Fuji.S.P.Blue 6062(青色水性顔料ベ−ス、富士色素(株)
製) 25.0部プロクセルXL−2 0.2部下記一般式(化8)にて示される化合物の2%水溶液 18.0部上記成分を配合し、12時間混合撹拌した後、濾過して粘度1800cpsの青色インキを得た。
【0040】
【化8】


【0041】実施例10精製水 76.79部プロピレングリコ−ル 15.0部キナクリドンレッド(C.I.Pigment Redll2) 6.0部SMA Resin 1440 10.0部プロクセルXL−2 0.2部下記一般式(化9)にて示される化合物の2%水溶液 2.0部2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル 0.01部上記成分のうち上記一般式(化1)にて示される化合物及び2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル以外を配合し市販のダイノ−ミルで4時間分散処理し、上記一般式(化1)にて示される化合物を添加して1時間撹拌後、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオ−ルを添加して更に0.5時間撹拌したものを遠心分離処理にて粗大粒子の除去をし、粘度40cpsの赤色インキを得た。
【0042】
【化9】


【0043】実施例11精製水 56.7部プロピレングリコ−ル 15.0部キナクリドンレッド 6.0部SMA Resin 1440 10.0部プロクセルXL−2 0.2部下記一般式(化10)にて示される化合物の2%水溶液 22.0部2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル 0.1部上記成分のうち上記一般式(化1)にて示される化合物及び2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル以外を配合し市販のダイノ−ミルで4時間分散処理し、上記一般式(化1)にて示される化合物を添加して1時間撹拌後、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオ−ルを添加して更に0.5時間撹拌したものを遠心分離処理にて粗大粒子の除去をし、粘度2500cpsの赤色インキを得た。
【0044】
【化10】


【0045】実施例12精製水 51.8部ウォ−タ−ブラック#100L 30.0部エチレングリコ−ル 13.0部デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2部下記一般式(化11)にて示される化合物の2%水溶液 5.0部上記各成分を混合し40〜50℃に加熱し1時間撹拌した後、濾過することにより粘度10cpsの黒色インキを得た。
【0046】
【化11】


【0047】実施例13精製水 58.7部アイゼンエオシンGHC(C.I.アシッドレッド87、保土ヶ谷化学工業(株)製) 5.0部ウォ−タ−オレンジ#17 1.0部ジエチレングリコ−ル 10.0部プロクセルGXL 0.2部下記一般式(化12)にて示される化合物の2%水溶液 25.0部25%水酸化ナトリウム水溶液 0.1部上記各成分中25%水酸化ナトリウム以外を混合し、1時間撹拌してたのちに25%水酸化ナトリウム水溶液を添加して粘度6000cpsの赤色インキを得た。
【0048】
【化12】


【0049】比較例1実施例1の上記一般式(化1)にて示される化合物の2%水溶液代わりにカルボキシメチルセルロ−ス(CMCダイセル1205、ダイセル化学工業(株)製)を5.0部使用し、水を51.8部にする以外は同様にして粘度60cpsの黒色インキを得た。
【0050】比較例2実施例2の上記一般式(化1)にて示される化合物の2%水溶液代わりにカラギ−ナン(ゲニュビスコ CSW−1 三晶(株)製)を0.6部使用し、精製水を83.1部とする以外は同様にして粘度300cpsの赤色インキを得た。
【0051】比較例3実施例1の上記一般式(化1)にて示される化合物の2%水溶液代わりに精製水使用する以外は同様にして粘度4cpsの黒色インキを得た。
【0052】比較例4実施例1の上記一般式(化1)にて示される化合物の2%水溶液代わりにカルボキシメチルセルロ−ス(CMCダイセル1205、ダイセル化学工業(株)製)を2.0部使用する以外は同様にして粘度10cpsの黒色インキを得た。
【0053】比較例5実施例5の上記一般式(化1)にて示される化合物の2%水溶液代わりにカルボキシメチルセルロ−ス(CMCダイセル1350、ダイセル化学工業(株)製)を1.0部使用し、精製水を73.22部とする以外は同様にして粘度300cpsの黒色インキを得た。
【0054】実施例1〜13及び比較例1〜5のインキについて以下の試験1〜5を実施した結果を表1、表2、表3に示す。
試験1:溶解安定性(染料インキ)及び分散安定性(顔料インキ)
ガラス瓶にインキを入れて密封し、室温にて1ケ月放置した後、インキをメンブランフィルタ−(0.3μm、東洋濾紙(株)製)に点滴して状態を目視評価した。
○:残渣なし×:残渣あり
【0055】試験2:加工紙への定着性各インキを毛筆ペン先の筆記具(丸筆0号、XZBS■−0、ぺんてる(株)製)につけてコ−ト紙(GLOSSY PLOTTER PAPER ヒュ−レットパッカ−ド社製、米国)に10cm、10本線を筆記し、筆跡の状態を目視判定した。
○:線幅及び/又は濃度が均一な筆跡×:はじきのあり線幅及び/又は濃度が不均一な筆跡
【0056】試験3:筆記線各インキを水性ボ−ルペン(ぺんてる(株)製の部品を使用)に組立て、上質紙(JIS P3201筆記用紙)に10cm、10本の線を筆記し、筆跡のボテの数を目視測定した。
○:0〜2個△:3〜15個×:16個以上
【0057】試験4:経時粘度安定性ガラス瓶にインキを入れて密封し、50℃にて3ケ月放置した後、粘度を測定し、粘度低下率((元の粘度−経時後粘度)×100/元の粘度)を算出した。(粘度測定条件 600cps未満は(株)トキメック製ELD型粘度計1rpmにて測定、600cps以上は(株)トキメック製ELD型粘度計ST型ロ−タ− 20rpmにて測定。 温度25℃)
○:0〜10%△:11〜60%×:61%以上
【0058】試験5:筒体でのインキ保持性インキを内径3mmのポリプロピレン製のパイプに入れ、ボ−ルペンペン先(ボ−ル径0.6mm ぺんてる(株)製)を付けて、ペン先を下向きにして30分間静値し、インキの洩れの状態を目視判定した。
○:洩れなし△:僅かに洩れあり×:洩れあり
【0059】
【表1】


【0060】
【表2】


【0061】
【表3】


【0062】
【発明の効果】以上の如く、本発明の水性インキは、少なくとも、色材と水と上記一般式(化1)で示される化合物及び/またはその塩よりなるので、染料の不溶化や顔料の凝集を起こすこともなく、好ましい粘度を得ることができ、表面に樹脂層を形成したよう加工紙上でも筆跡幅や筆跡濃度が不均一になるような筆跡の乱れが生じにくく、また、経時的に粘度変化が少なく安定した筆跡を得ることができるものである。
【0063】また、特にボ−ルペンインキとして色材の種類に左右されずにインキを良好な状態に保つことができるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも、色材と水と下記一般式(化1)で示される化合物及び/またはその塩よりなる水性インキ組成物。
【請求項2】 前記水性インキ組成物のインキ粘度が50〜2000cps(25℃)の範囲であることを特徴とする請求項1記載のボ−ルペン用水性インキ組成物。
【化1】


【特許番号】特許第3186354号(P3186354)
【登録日】平成13年5月11日(2001.5.11)
【発行日】平成13年7月11日(2001.7.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−184390
【出願日】平成5年6月29日(1993.6.29)
【公開番号】特開平6−93224
【公開日】平成6年4月5日(1994.4.5)
【審査請求日】平成11年3月31日(1999.3.31)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【参考文献】
【文献】特開 昭60−181178(JP,A)
【文献】特開 昭61−60768(JP,A)
【文献】特開 昭62−27479(JP,A)
【文献】特開 昭53−59537(JP,A)