説明

水性毛髪洗浄剤

【課題】傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与えることができる水性毛髪洗浄剤を提供する。
【解決手段】成分(A)〜(D)及び水を含有し20倍希釈時のpHが2〜5である水性毛髪洗浄剤。
(A) アニオン界面活性剤
(B) アンヒドログルコース由来の主鎖を有し、カチオン化エチレンオキシ基による置換度が0.01〜2.9、プロピレンオキシ基による置換度が0.1〜4.0であるカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース
(C) (C1)及び(C2)から選択される有機溶剤
(C1)芳香族アルコール
(C2) 分子量200〜1000のポリプロピレングリコール
(D) ヒドロキシモノカルボン酸又はジカルボン酸

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性毛髪洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーリング剤やパーマ剤の普及によりヘアダメージが定常化した近年においては、毛髪洗浄剤には泡立ちや洗浄力等の洗浄剤としての基本的な機能に加えて、コンディショニング効果を付与する機能が重要になってきている。
一般に、毛髪に滑らかさを与えるために、アニオン界面活性剤とシリコーン類を組み合わせて用いたり(特許文献1)、アニオン界面活性剤とカチオン化セルロースを組み合わせて用いることがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-148123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術においては、毛髪に滑らかさは付与できる一方、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりの抑制という点で、改善の余地があった。特に、化学処理や熱処理によって損傷した毛髪が乾燥後に絡まると、ブラッシング等の際に毛髪にさらなるダメージを与える原因となる。
【0005】
本発明は、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与えることができる水性毛髪洗浄剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)並びに水を含有し、水で20質量倍に希釈したときの25℃におけるpHが2〜5である、水性毛髪洗浄剤を提供する。
(A) アニオン界面活性剤
(B) 下記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつカチオン化エチレンオキシ基による置換度が0.01〜2.9であり、プロピレンオキシ基による置換度が0.1〜4.0であるカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース
【0007】
【化1】

【0008】
(一般式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に下記一般式(2)で表される置換基を示し、nは前記アンヒドログルコースの平均重合度を示し、n=50〜5000である。)
【0009】
【化2】

【0010】
(一般式(2)中、Y1及びY2は、一方が水素原子を、他方が下記一般式(3)で表されるカチオン性基を示し、POはプロピレンオキシ基を示す。pはカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y1)−CH(Y2)−O−)の数を、qはプロピレンオキシ基(−PO−)の数を示し、それぞれ0又は正の整数である。ただし、R1、R2及びR3におけるすべてのp及びqが同時に0となることはない。また、p及びqのいずれもが0でない場合、前記カチオン化エチレンオキシ基と前記プロピレンオキシ基の付加順序は問わず、更にp及びqのいずれもが0でなくp及び/又はqが2以上である場合、ブロック結合及びランダム結合のいずれであってもよい。)
【0011】
【化3】

【0012】
(一般式(3)中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、X-はアニオン性基を示す。)
(C) 下記(C1)及び(C2)からなる群より選択される一又は二以上の有機溶剤
(C1) 下記一般式(4)で表される芳香族アルコール
【0013】
【化4】

【0014】
(一般式(4)中、R7は水素原子、メチル基又はメトキシ基を示し、Y3は単結合又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基若しくはアルケニレン基を示し、Z1は水素原子又は水酸基を示し、r及びsはそれぞれ0〜5の数を示す。)
(C2) 分子量200〜1000のポリプロピレングリコール
(D) ヒドロキシモノカルボン酸及びジカルボン酸からなる群より選択される一又は二以上の有機カルボン酸
【発明の効果】
【0015】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、以下の成分(A)〜(D)及び水を含む。
(A)アニオン界面活性剤
(B)カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース
(C)上記(C1)及び(C2)からなる群より選択される一又は二以上の有機溶剤、
(D)ヒドロキシモノカルボン酸及びジカルボン酸からなる群より選択される一又は二以上の有機カルボン酸
【0017】
以下、成分(A)〜(D)のそれぞれについて、具体例を挙げて説明する。なお、各成分はいずれも単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
〔成分(A):アニオン界面活性剤〕
成分(A)のアニオン界面活性剤の具体例として、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸アルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸塩型アニオン界面活性剤;スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、アルカンスルホン酸塩等のスルホン酸型アニオン界面活性剤;及び高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤が挙げられる。中でも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩が好ましく、特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、下記一般式(11)で表されるものが好ましい。
【0019】
11O(CH2CH2O)uSO3M (11)
(一般式(11)中、R11は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、uはエチレンオキシドの平均付加モル数であり、質量平均で0.5〜5の数を示す。)
【0020】
これらの中でも特に、すばやい泡立ちと良好な泡の感触を両立する観点から、一般式(11)中のR11が炭素数12〜14のアルキル基であるものが好ましい。また、エチレンオキシドの平均付加モル数は、0.9〜4であるのが好ましく、1〜3であるのがより好ましい。更に、Mがアンモニウム又はナトリウムであるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
【0021】
成分(A)の含有量は、泡立ちを更により向上させる観点から、水性毛髪洗浄剤全体に対して、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上とすることが更に好ましい。また、泡切れの向上及びすすぎ時の残留感の抑制の観点から、水性毛髪洗浄剤全体に対する成分(A)の含有量は、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。
【0022】
〔成分(B):カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース〕
成分(B)のカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(以下、「C-HPC」とも呼ぶ)は、下記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有する。
【0023】
【化5】

【0024】
一般式(1)において、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に後述する一般式(2)で表される置換基であり、R1、R2及びR3は、同一であっても、異なっていてもよい。また、n個のR1、n個のR2及びn個のR3は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
【0025】
また、一般式(1)において、アンヒドログルコースの平均重合度nは、毛髪にハリ・コシを与える観点から、50以上であり、100以上が好ましく、200以上がより好ましく、300以上が更に好ましい。また、すすぎ時の残留感を抑制し、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを抑えるとともに一般式(1)に示した化合物の製造容易性を向上させる観点から、平均重合度nは、5000以下であり、3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。これらの観点を総合すると、一般式(1)における平均重合度nは、50〜5000であり、100〜3000が好ましく、200〜2000がより好ましく、300〜1500が更に好ましい。
【0026】
なお、本明細書において、一般式(1)における平均重合度とは、銅−アンモニア法により測定される粘度平均重合度をいい、具体的には後述する実施例に記載の方法により算出される。
【0027】
次に、一般式(2)について説明する。
一般式(1)におけるR1、R2及びR3は、下記一般式(2)に示すように、カチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基を有する。
【0028】
【化6】

【0029】
一般式(2)において、Y1及びY2は、一方が水素原子であり、他方が後述する一般式(3)で表されるカチオン性基を示す。一般式(1)中に、複数の一般式(2)で表される置換基が存在する場合、該置換基間においてY1及びY2はそれぞれ異なっていてもよい。POはプロピレンオキシ基を示す。
【0030】
一般式(2)において、pは上記一般式(2)中に含まれるカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y1)−CH(Y2)−O−)の数を示し、0又は正の整数である。製造容易性を更に高める観点からは、pが0又は1であることが好ましい。
【0031】
また、一般式(2)において、qは上記一般式(2)中に含まれるプロピレンオキシ基(−PO−)の数を示し、0又は正の整数である。製造容易性を更に高める観点からは、qは0〜4の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましい。
【0032】
なお、一般式(2)において、R1、R2及びR3のすべてにおけるp及びqがいずれも0とはならない。すなわち、n個のR1、n個のR2及びn個のR3のうち、少なくとも1つは、一般式(2)中のpが0ではなく、また、少なくとも1つは、一般式(2)中のqが0ではない。
【0033】
また、一般式(1)中に、複数の一般式(2)で表される置換基が存在する場合、該置換基間においてp及びqの値はそれぞれ異なっていてもよい。
【0034】
1つの置換基中に含まれるpとqの合計は、製造の容易さの観点から、1〜5の整数であることが好ましく、1〜4の整数であることがより好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましい。更に具体的には、一般式(1)中のR1、R2及びR3のいずれについても、一般式(2)において、p及びqが0又は1であることが好ましい。
【0035】
なお、p及びqがいずれも0でない場合、カチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の付加順序は問わないが、製造の容易さの観点から、一般式(2)に記載した順序であることが好ましい。
また、p及びqがいずれも0でなく、かつp及び/又はqが2以上である場合は、ブロック結合又はランダム結合のいずれであってもよいが、製造の容易さの観点から、ブロック結合であることが好ましい。
【0036】
次に、一般式(3)について説明する。
上記一般式(2)において、Y1又はY2の一方は、下記一般式(3)で表されるカチオン性基である。
【0037】
【化7】

【0038】
一般式(3)において、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。これらのうち、C-HPCの水溶性を高める観点から、一般式(2)中のY1及びY2のいずれについても、上記一般式(3)において、R4、R5及びR6が、それぞれ独立にメチル基又はエチル基であることが好ましく、いずれもメチル基であることが更に好ましい。
【0039】
また、一般式(3)において、X-はアンモニウム基の対イオンであるアニオン性基を示す。
-はアニオン性基であれば特に限定されない。その具体例としてはアルキル硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、アルキル炭酸イオン、ハロゲン化物イオン等が挙げられる。これらの中では、製造の容易さの観点から、ハロゲン化物イオンが好ましい。
ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンが挙げられるが、C-HPCの水溶性及び化学的安定性の観点から、塩化物イオン、臭化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。
【0040】
次に、成分(B)の置換度について説明する。
成分(B)において、カチオン化エチレンオキシ基による置換度は0.01〜2.9であり、プロピレンオキシ基による置換度は0.1〜4.0である。
【0041】
本発明において、カチオン化エチレンオキシ基の置換度とは、セルロース主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1モルあたりのC-HPCの分子中に存在するカチオン化エチレンオキシ基の平均モル数をいう。
一般式(1)で表されるC-HPCにおいて、本発明の水性毛髪洗浄剤による洗髪時に、泡立ちが良く、泡切れに優れ、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与える観点から、カチオン化エチレンオキシ基の置換度は、2.9以下であり、2.0以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.5以下が更に好ましい。また本発明の水性毛髪洗浄剤による洗髪時に、泡立ちが良く、泡切れに優れ、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与える観点から、0.01以上であり、0.02以上が好ましい。これらの観点を総合すると、カチオン化エチレンオキシ基の置換度は、0.01〜2.9であり、0.01〜2.0が好ましく、0.02〜1.0がより好ましく、0.02〜0.5が更に好ましい。
【0042】
また、本発明においてプロピレンオキシ基の置換度とは、セルロース主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1モルあたりのC-HPC分子中に存在するプロピレンオキシ基の平均モル数をいう。
本発明の水性毛髪洗浄剤による洗髪時に、泡立ちが良く、泡切れに優れ、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与える観点、及び、製造の容易さの観点から、プロピレンオキシ基の置換度は、4.0以下であり、3.0以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、2.1以下がより更に好ましい。また、本発明の水性毛髪洗浄剤による洗髪時に、泡立ちが良く、泡切れに優れ、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与える観点から、0.1以上であり、0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.8以上が更に好ましい。これらの観点を総合すると、プロピレンオキシ基の置換度は、0.1〜4.0であり、0.2〜3.0が好ましく、0.5〜2.5がより好ましく、0.8〜2.1が更に好ましい。
【0043】
さらに、一般式(2)において、カチオン化エチレンオキシ基の置換度とプロピレンオキシ基の置換度との和は、3.2以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.5以下であることが更に好ましく、水性毛髪洗浄剤による洗髪時に、泡立ちが良く、泡切れに優れ、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与える観点から、0.11以上が好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.3以上であることが更に好ましい。これらの観点を総合すると、カチオン化エチレンオキシ基の置換度とプロピレンオキシ基の置換度との和は、0.11〜3.2が好ましく、0.2〜3.0がより好ましく、0.3〜2.5が更に好ましい。
【0044】
また、一般式(1)におけるR1、R2及びR3の構成の組み合わせとして、たとえば、R1については、一般式(2)中のpが1、qが0であり、Y1及びY2の一方が水素原子であり、他方が一般式(3)で表されるカチオン性基であって、一般式(3)中のR4、R5及びR6がいずれもメチル基であり、X-が塩化物イオンであって;
2及びR3については、一般式(2)中のpが0、qが0又は1である構成が挙げられる。
【0045】
成分(B)のC-HPCの含有量は、泡の安定性を高めて豊かな泡立ちを得るとともに、すすぎ時、乾燥後の毛髪の絡まりの抑制効果を更に確実に得る観点から、水性毛髪洗浄剤全体に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。また、泡切れの向上、すすぎ時の残留感の抑制の観点から、水性毛髪洗浄剤全体に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が更に好ましい。これらの観点を総合すると、C-HPCの含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.02〜5質量%がより好ましく、0.05〜2質量%が更に好ましく、0.1〜1質量%が更に好ましい。
【0046】
また、本発明の水性毛髪洗浄剤中の成分(A)に対する成分(B)の質量割合(成分(B)/成分(A))は、泡の安定性を高めて豊かな泡立ちを得るとともに、毛髪にハリ・コシを与え、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑える観点から、0.0005以上とすることが好ましく、0.001以上とすることがより好ましく、0.006以上とすることが更に好ましい。また、泡切れの向上、すすぎ時の残留感の抑制、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑える観点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中、成分(B)/成分(A)は、0.5以下とすることが好ましく、0.1以下とすることがより好ましく、0.05以下とすることが更に好ましい。
【0047】
次に、成分(B)のカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法を説明する。
C-HPCは、たとえば、以下の(1)〜(3)のいずれかの製造方法により得ることができる。
(1) セルロースと大量の水及び大過剰のアルカリ金属水酸化物をスラリー状態で混合し、カチオン化剤及び酸化プロピレンと反応させる方法、
(2) 塩化リチウムを含むジメシルアセトアミドを溶媒として用い、更にアミン類やアルコラート触媒を添加してセルロースを溶解させ、カチオン化剤及び酸化プロピレンと反応させる方法、又は
(3) 上記(1)や(2)のように、過剰の水や溶媒を用いず、粉末、ペレット状又はチップ状のセルロースとカチオン化剤、及び酸化プロピレンを塩基共存下に反応させる方法。
【0048】
上記(1)〜(3)の製造方法において、カチオン化剤との反応、及び酸化プロピレンとの反応はどちらを先に行ってもよく、同時に行ってもよい。
これらの製造方法の中では、製造を容易さの観点から、上記(3)の製造方法が好ましい。
【0049】
上記(3)の製造方法は、好ましくは以下の第一及び第二工程を有する。また、本発明において、成分(B)のカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースは、好ましくは以下の第一工程及び第二工程を含む製造方法により得られるカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースである。
【0050】
第一工程:パルプにカチオン化剤を添加して粉砕機処理による低結晶化を行い、その後塩基を添加して粉砕機処理による低結晶化を行いながらパルプとカチオン化剤の反応を行ってカチオン化セルロースを得る工程
第二工程:上記第一工程で得られたカチオン化セルロースと酸化プロピレンとを反応させてカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースを得る工程
【0051】
この製造方法により、分子量低下が少なく、水溶性の高いカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースを更に高い生産性で効率的に製造することができる。
以下、上記(3)の製造方法について、具体的に説明する。
【0052】
(原料セルロース)
C-HPCを製造するためのセルロースは一般に結晶性部位の反応性が低いため、原料セルロースとしては、(i)結晶性を低下させた低結晶性の粉末セルロースや、(ii)結晶性の高いパルプが好適に用いられる。
以下、上記(i)及び(ii)を用いる製造方法を順に説明する。
【0053】
(i)低結晶性の粉末セルロースを使用するC-HPCの製造
(低結晶性粉末セルロースの調製)
本製造方法で用いられる低結晶性の粉末セルロースは、汎用原料として得られるシート状やロール状のセルロース純度の高いパルプから調製することができる。低結晶性粉末セルロースの調製方法は特に限定されない。たとえば、特開昭62-236801号公報、特開2003-64184号公報、特開2004-331918号公報等に記載の方法を挙げることができる。これらの中では、メカノケミカル処理して得られた低結晶性又は非結晶性粉末セルロース(以下、総称して「低結晶性粉末セルロース」ともいう)を使用することがより好ましい。
【0054】
ここで、低結晶性粉末セルロースの「低結晶性」とは、セルロースの結晶構造においてアモルファス部の割合が多い状態を意味する。具体的には下記式(31)による結晶化度が好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下である粉末セルロースが好ましく、特に該結晶化度がほぼ0%である完全非晶化セルロースを用いることが最も好ましい。
【0055】
結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (31)
(式(31)中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度であり、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。)
【0056】
メカノケミカル処理による低結晶性粉末セルロースの製造方法としては、たとえばシート状パルプを粗粉砕して得られるチップ状パルプを粉砕機で処理することによる方法が挙げられる。粉砕機による処理の前にチップ状パルプを押し出し機で処理しておくこともできる。
この方法に用いられる押出機としては、単軸又は二軸の押出機、好ましくは二軸押出機が挙げられるが、強い圧縮せん断力を加える観点から、スクリューのいずれかの部分に、いわゆるニーディングディスク部を備えるものが好ましい。
押出機を用いる処理方法としては、特に制限はないが、チップ状パルプを押出機に投入し、連続的に処理する方法が好ましい。
【0057】
粉砕機としては高圧圧縮ロールミルや、ロール回転ミル等のロールミル、リングローラーミル、ローラーレースミル又はボールレースミル等の竪型ローラーミル;転動ボールミル、振動ボールミル、振動ロッドミル、振動チューブミル、遊星ボールミル又は遠心流動化ミル等の容器駆動媒体ミル;塔式粉砕機、攪拌槽式ミル、流通槽式ミル又はアニュラー式ミル等の媒体攪拌式ミル;高速遠心ローラーミルやオングミル等の圧密せん断ミル;乳鉢、又は石臼等が挙げられる。これらの中では、結晶化度低下の効率の観点、及び生産性の観点から、容器駆動式媒体ミル又は媒体攪拌式ミルが好ましく、容器駆動式媒体ミルがより好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミル及び振動チューブミル等の振動ミルが更に好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミルが特に好ましい。
【0058】
処理方法としては、バッチ式、連続式のどちらでもよい。
ボール、ロッド等の媒体の充填率は、粉砕機の機種により好適な範囲が異なるが、好ましくは10〜97%、より好ましくは15〜95%の範囲である。このようにすれば、原料パルプと媒体との接触頻度が向上するとともに、媒体の動きを妨げずに、粉砕効率を向上させる効果を顕著に得ることができる。
【0059】
ここで、充填率とは、粉砕機の攪拌部の容積に対する媒体の見かけの体積をいう。
ボールミルの場合、媒体として用いるボールの材質には特に制限はなく、たとえば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。ボールの外径は、効率的にセルロースを低結晶化させる観点から、好ましくは0.1〜100mm、より好ましくは1〜50mmである。
また、セルロースの結晶化度を効率的に低下させる観点から、粉砕機の処理時間は、好ましくは5分〜72時間、より好ましくは10分〜30時間である。また、粉砕機処理の際には、発生する熱による変性や劣化を最小限に抑える観点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは5〜200℃の範囲で処理を行うことが望ましい。
【0060】
粉砕機の媒体として用いるロッドとは棒状の媒体であり、ロッドの断面が四角形、六角形等の多角形、円形、楕円形等のものを用いることができる。
ロッドの外径としては、好ましくは0.5〜200mm、より好ましくは1〜100mm、更に好ましくは5〜50mmの範囲である。ロッドの長さとしては、粉砕機の容器の長さよりも短いものであれば特に限定されない。ロッドの大きさが上記の範囲であれば、所望の粉砕力が得られるとともに更に効率的にセルロースを低結晶化させることができる。
ロッドを充填した振動ミルの処理時間、処理温度に特に制限はないが、前述のボールミルと同様の処理時間、処理温度で行うことができる。
【0061】
上記の方法によれば、分子量の制御も可能であり、一般には入手困難な、重合度が高く、かつ低結晶性の粉末セルロースを容易に調製することが可能である。
低結晶性粉末セルロースの平均重合度は、好ましくは100〜2000であり、より好ましくは300〜1500、更に好ましくは、350〜1350である。
また、低結晶性粉末セルロースの平均粒径は、粉体として流動性の良い状態が保てればよく特に限定されないが、300μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましい。なお、粉末セルロースの取り扱い性向上の観点から、低結晶性粉末セルロースの平均粒径は、20μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。しかしながら、凝集等による微量な粗大粒子の混入を避けるため、反応には必要に応じて300〜1000μm程度の目開きの篩を用いた篩下品を用いるのが好ましい。
【0062】
(低結晶性粉末セルロースのカチオン化)
以上により得られた低結晶性粉末セルロースに、塩基存在下、グリシジルトリアルキルアンモニウム塩を反応させてカチオン化し、カチオン化セルロースを製造する。
カチオン化剤として用いるグリシジルトリアルキルアンモニウム塩としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリエチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリメチルアンモニウムブロミド、グリシジルトリエチルアンモニウムブロミド等が挙げられるが、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドが入手性の観点から好ましい。
グリシジルトリアルキルアンモニウム塩の添加量は、泡立ちが良く、泡切れに優れ、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与える観点から、セルロースのアンヒドログルコース単位1モルに対して、通常0.01〜3.0倍モルが好ましく、0.02〜2倍モルがより好ましく、0.04〜1.0倍モルが更に好ましい。
【0063】
カチオン化時に存在させる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられるが、入手性、汎用性、経済性の観点から水酸化ナトリウム、水酸化バリウムがより好ましい。塩基の添加量は、セルロースの種類等により異なるが、セルロースのアンヒドログルコース単位1モルに対して、通常0.05〜1.0倍モルが好ましく、0.1〜0.5倍モルがより好ましく、0.2〜0.3倍モルが更に好ましい。
反応系内の水分含有量は、原料として用いたセルロースに対し100質量%以下であることが好ましい。このようにすれば、セルロースの過度の凝集を抑制し、流動性のある粉末状態で反応させることができる。この観点から、80質量%以下がより好ましく、5〜50質量%が更に好ましい。
反応温度は、通常10〜85℃が好ましく、15〜80℃がより好ましい。
【0064】
(カチオン化セルロースのヒドロキシプロピル化)
以上により得られたカチオン化セルロースを酸化プロピレンと反応させてヒドロキシプロピル化することによりC-HPCを製造することができる。
ここで、酸化プロピレンの使用量は、泡立ちが良く、泡切れに優れ、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与える観点から、セルロース分子中のアンヒドログルコース単位1モル当たり0.01〜5.0倍モルが好ましく、0.1〜3.0倍モルがより好ましい。
【0065】
ヒドロキシプロピル化の触媒としては、塩基又は酸を用いることができる。
このうち、塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;及びトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン類が挙げられる。
また、酸触媒としては、ランタニドトリフラート等のルイス酸触媒等が挙げられる。
これらの中では、原料セルロースの重合度の低下を抑制する観点から、塩基触媒が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが更に好ましい。これらの触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
触媒の使用量は、特に制限はないが、セルロース分子中のアンヒドログルコース単位1モル当たり、通常0.05〜1.0倍モルが好ましく、0.1〜0.8倍モルがより好ましく、0.2〜0.5倍モルが更に好ましい。
【0067】
酸化プロピレンの添加方法に特に制限はなく、たとえばカチオン化セルロースに触媒を添加した後に酸化プロピレンを滴下する方法や、カチオン化セルロースに酸化プロピレンを一括で添加し、その後に触媒を徐々に加えて反応させる方法が挙げられる。
反応系内の水分含有量は、原料として用いたセルロースに対し100質量%以下であることが好ましい。セルロースに対する水分含有量がこの範囲内であれば、カチオン化セルロースが過度に凝集することなく、流動性のある粉末状態で反応させることができる。この観点から、80質量%以下が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。
【0068】
本発明においては、カチオン化セルロース、触媒及び酸化プロピレンを流動性のある粉末状態で反応させることが好ましいが、カチオン化セルロース粉末と触媒とを予めミキサー等の混合機や振とう機、又は混合ミル等で必要に応じて均一に混合分散させた後に、酸化プロピレンを添加して反応させることも可能である。
【0069】
ヒドロキシプロピル化の反応温度は、0〜150℃が好ましいが、酸化プロピレン同士が重合するのを避け、かつ急激に反応が起こるのを避ける観点から、10〜100℃がより好ましく、20〜80℃が更に好ましい。反応は常圧で行うことができる。
また、反応中のセルロース鎖の解裂による分子量の低下を避ける観点から、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
【0070】
反応終了後は、未反応酸化プロピレンを除去した後、必要に応じて、中和処理、精製処理等を行った後、乾燥することにより、本発明のC-HPCを得ることができる。
中和処理は、常法により行うことができる。たとえば触媒として塩基触媒を用いた場合は、酢酸等の酸液、酸と不活性有機溶媒との混合溶液又は酸水溶液を添加することにより行うことができる。酸の種類は特に限定されず、装置の腐食等を考慮して適宜選択すればよい。精製処理は、含水イソプロパノール、含水アセトン溶媒等の溶剤及び/又は水による洗浄又は透析膜により行うことができる。
【0071】
以上、(i)低結晶性の粉末セルロースを使用するC-HPCの製造方法を説明した。この製造方法におけるカチオン化、ヒドロキシプロピル化の反応の順序は、原料セルロースのヒドロキシプロピル化を行った後にカチオン化を行ってもよいし、同時に行ってもよい。
また、(i)低結晶性の粉末セルロースを使用するC-HPCの製造方法中、カチオン化反応工程及びヒドロキシプロピル化反応工程においては、主鎖となるセルロース骨格の解裂は実質上生じないため、得られるC-HPCの平均重合度は、低結晶化処理後の粉末セルロースの平均重合度で近似することができる。
【0072】
(ii)結晶性の高いパルプを使用するC-HPCの製造
(パルプのカチオン化)
本製造方法においては、原料セルロースとして前述の低結晶性粉末セルロースを使用せずに、結晶性の高いパルプを使用する。この場合、パルプの反応性を改善するため、カチオン化の際に低結晶化を行うことが好ましい。
具体的には、パルプにカチオン化剤を添加して粉砕機処理による低結晶化を行い、その後塩基を添加して粉砕機処理による低結晶化を行いながらパルプとカチオン化剤の反応を行うこと、又はパルプに塩基を添加して粉砕機処理による低結晶化を行い、その後カチオン化剤を添加して粉砕機処理による低結晶化を行いながらパルプとカチオン化剤の反応を行うことで、カチオン化セルロースを得ることができる。
このカチオン化を経て得られるC-HPCの水への溶解性の観点から、セルロースのカチオン化においては、初めにパルプにカチオン化剤を添加して粉砕機処理による低結晶化を行い、その後塩基を添加して粉砕機処理による低結晶化を行いながらパルプとカチオン化剤の反応を行うことが好ましい。
【0073】
原料セルロースとして用いるパルプの形状は、製造装置内への導入に支障が出ない限り特に限定されないが、操作上の観点からシート状パルプやシート状パルプを裁断又は粗粉砕して得られるペレット状又はチップ状パルプや、微粉砕して得られる粉末状セルロースを用いることが好ましい。
原料セルロースとして用いるパルプの結晶化度に限定はない。しかしながら、セルロースの結晶化度低下処理には、通常セルロース鎖の切断に伴う分子量の低下が伴うため、より高分子量のカチオン化セルロースを得るためには、分子量低下の少ない、より結晶性が高いセルロースを用いることが好ましい。また、逆に式(31)で示される結晶化度が95%を超える極めて結晶化度の高いセルロースも入手が困難である。よって、重合度及び入手性の観点から、原料セルロースの式(31)で示される結晶化度は10〜95%が好ましく、30〜90%がより好ましく、60〜80%が更に好ましい。
【0074】
原料セルロースの平均重合度にも限定はないが、より高分子量のカチオン化セルロースを得るためには、より重合度の大きい原料セルロースを用いることが好ましい。この観点から、原料セルロースの平均重合度は、好ましくは100〜2000であり、より好ましくは250〜1900、更に好ましくは、350〜1800である。
【0075】
カチオン化剤の種類並びに量、塩基の種類、粉砕機の種類、低結晶化の方法並びに条件等の好ましい様態は、低結晶化のための粉砕機の処理時間及び塩基の量を除き、前述の(i)低結晶性の粉末セルロースを使用するC-HPCの製造の項で前述したものに準ずる。
低結晶化のための粉砕機の処理時間については、1分〜5時間が好ましく、2分〜3時間がより好ましく、5分〜2時間が特に好ましい。
また、塩基の添加量は、原料セルロースのアンヒドログルコース単位1モルあたり0.01当量以上であれば、セルロースとカチオン化剤の反応は速やかに進行し、1当量以下であれば、セルロースとカチオン化剤の反応の収率は高い。この観点から、塩基の添加量は、原料セルロースのアンヒドログルコース単位1モル当たり0.05〜0.8当量が好ましく、0.1〜0.7当量がより好ましく、0.2〜0.6当量が更に好ましい。
【0076】
また、カチオン化剤及び塩基添加後の低結晶化の際にカチオン化は進行するが、反応が不十分である場合、好ましくは10〜100℃、より好ましくは30〜80℃で熟成を行うことにより、反応を進行させることができる。
熟成時の水分量、及びその好ましい様態は、原料として低結晶性粉末セルロースの替わりにパルプを用いている点を除き、前述の低結晶性粉末セルロースのカチオン化の場合に準ずる。
また、反応中のセルロース鎖の解裂による分子量の低下を避ける観点から、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
【0077】
(カチオン化セルロースのヒドロキシプロピル化)
(ii)結晶性の高いパルプを使用するC-HPCの製造におけるカチオン化セルロースのヒドロキシプロピル化で使用する酸化プロピレン量、触媒、反応条件、反応終了後の処理及びそれらの好ましい様態は、前述した(i)低結晶性の粉末セルロースを使用するC-HPCの製造におけるヒドロキシプロピル化にて前述したものに準ずる。
【0078】
本発明で用いるC-HPCの製造方法としては、泡立ちが良く、泡切れに優れ、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり、及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与える観点から、カチオン化の際に低結晶化を行い、得られたカチオンカセルロースに対してヒドロキシプロピル化を行う、(ii)結晶性の高いパルプを使用するC-HPCの製造方法が好ましい。
【0079】
〔成分(C):有機溶剤〕
成分(C)は、下記(C1)及び(C2)からなる群より選択される一又は二以上の有機溶剤である。
(C1) 下記一般式(4)で表される芳香族アルコール
【0080】
【化8】

【0081】
(一般式(4)中、R7は水素原子、メチル基又はメトキシ基を示し、Y3は単結合又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基若しくはアルケニレン基を示し、Z1は水素原子又は水酸基を示し、r及びsはそれぞれ0〜5の数を示す。)
(C2) 分子量200〜1000のポリプロピレングリコール
これらの成分(C)は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0082】
このうち、成分(C1)の芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェネチルアルコール、p-アニシルアルコール、p-メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール等が挙げられる。これらのうち、特に、ベンジルアルコール、2-ベンジルオキシエタノールが好ましい。
また、成分(C)として、ベンジルアルコール、2-ベンジルオキシエタノール、分子量200〜700であるポリプロピレングリコールからなる群から選択される一種以上を用いることが好ましい。
【0083】
成分(C)の含有量は、使用時に良好な柔軟性、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシ、ツヤを与える観点から、水性毛髪洗浄剤全体に対して、成分(C1)及び(C2)の合計で、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。また、すすぎ時の毛髪の泡切れや残留感を抑制する観点から、成分(C)の含有量は、水性毛髪洗浄剤全体に対して、成分(C1)及び(C2)の合計で、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
【0084】
また、本発明の水性毛髪洗浄剤中の成分(C)に対する成分(B)の質量割合(成分(B)/成分(C))は、泡立ちが良く、泡切れに優れ、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑制する観点から、0.01以上とすることが好ましく、0.02以上とすることがより好ましく、0.04以上とすることが更に好ましい。また、泡立ちの良さとすすぎ時、乾燥後の毛髪の絡まりの抑制効果とのバランスの観点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中、成分(B)/成分(C)は、5以下とすることが好ましく、3以下とすることがより好ましく、1.5以下とすることが更に好ましい。
【0085】
〔成分(D):有機カルボン酸〕
成分(D)は、ヒドロキシモノカルボン酸及びジカルボン酸から選択される一又は二以上の有機カルボン酸である。ヒドロキシモノカルボン酸の具体例としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、パントテン酸等が挙げられる。ジカルボン酸の具体例としては、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸等が挙げられる。成分(A)、(B)、(C)を併用することで、酸性での泡立ちを向上させる観点から、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸が好ましく、グリコール酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群から選択される一種以上がより好ましい。
【0086】
これらの成分(D)の含有量は、乾燥後のツヤやまとまりといった毛髪の仕上がり感の向上の観点から、本発明の水性毛髪洗浄剤全体に対して0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上とすることがより好ましく、0.7質量%以上が更に好ましい。また、泡質の観点から、成分(D)の含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤全体に対して5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましい。
【0087】
〔pH〕
本発明の水性毛髪洗浄剤は、水で20質量倍に希釈したときの25℃におけるpHが2〜5である。成分(A)〜(D)を組み合わせて用いるとともに、上記pHとすることにより、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを抑え、ツヤやまとまりを向上することができる。上記観点から、本発明の水性毛髪洗浄剤を水で20質量倍に希釈したときの25℃におけるpHは2.5〜4.5であるのが好ましく、更に3〜4.5であるのが好ましい。
【0088】
〔各成分の好ましい含有量〕
本発明の水性毛髪洗浄剤において、成分(A)〜(D)の配合は、成分(A)の含有量が5〜18質量%、成分(B)の含有量が0.02〜5質量%、成分(C)の含有量が0.05〜10質量%、成分(D)の含有量が0.5〜3質量%であることが好ましい。
また、水の含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中50質量%以上、更には95質量%以下が好ましく、60質量%以上、更には90質量%以下が好ましい。
【0089】
次に、本発明における水性毛髪洗浄剤の製造方法を説明する。
本発明における水性毛髪洗浄剤の製造方法に特に制限はないが、たとえば、上記第一及び第二工程を含む方法により成分(B)のカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースを得る工程と、上記工程で得られた成分(B)、成分(A)、成分(C)、成分(D)及び水を混合する工程と、を含む。
【0090】
〔作用〕
本発明の水性毛髪洗浄剤においては、以上の成分(A)〜(D)を組み合わせて用いることにより、泡立ちが良く、泡切れに優れ、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりの抑制に効果的である。この理由は必ずしも明らかではないが、すすぎ時に成分(A)と成分(B)がコアセルベーションすることにより複合体が毛髪表面に析出し、すすぎ後も成分(B)が残留できるようになると推察される。そして、毛髪表面の成分(B)と成分(A)、成分(C)、成分(D)が洗髪に適した泡質をつくるため、ダメージ毛に適用した場合でも、良好な泡立ち性、泡切れに優れ、乾燥後の毛髪の絡まり、及び毛髪の広がりの抑制が得られ、洗浄剤としての機能に優れる。
【0091】
〔その他の成分〕
本発明の水性毛髪洗浄剤は、以上の成分(A)〜(D)及び水以外の成分を含んでもよい。
たとえば、本発明の水性毛髪洗浄剤は、成分(B)以外のカチオン化ポリマーを含む構成とすることができる。成分(B)以外のカチオン化ポリマーとしては、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のカチオン化セルロース誘導体;カチオン性澱粉;カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガム等のカチオン化ガラクトマンナン及びその誘導体;ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体(米国サンドス社製、カルタレチン)等の共重合体、特開昭53-139734号公報に記載されているカチオン性ポリマー、特開昭60-36407号公報に記載されているカチオン性ポリマー等が挙げられる。
このうち、すすぎ時の毛髪のベタつきやきしみ感を低減する観点から、カチオン化グアーガム、カチオン化タラガム及びカチオン化ヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。
【0092】
このうち、カチオン化ガラクトマンナンは、マンノースを構成単位とする主鎖としガラクトース単位を側鎖としたガラクトマンナンに、第4級窒素含有基を導入した水溶性カチオン化ポリマーである。ガラクトマンナンは、たとえばマメ科植物の種子の胚乳から得られる。ガラクトースとマンノースの比が1:1のものがフェヌグリークガム、1:2のものがグアーガム、1:3のものがタラガム、1:4のものがローカストビーンガムである。
カチオン化ガラクトマンナンの市販品として、カチオン化フェヌグリークガムとしてはカチナールCF-100(東邦化学工業社製)が挙げられる。カチオン化グアーガムの市販品としては、ジャガーC-13S、ジャガーC-14S、ジャガーC-17等のジャガーシリーズ(ローディア社製、グアーヒドロキシプロピルトリアンモニウムクロリド)等が挙げられる。また、カチオン化タラガムの市販品としては、カチナールCTR-100、カチナールCTR-200(以上、東邦化学工業社製)等が挙げられる。また、カチオン化ローカストビーンガムの市販品としては、カチナールCLB-100(東邦化学工業社製、ローカストビーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)等が挙げられる。
【0093】
また、成分(B)以外のカチオン化ポリマーとして用いることができる他の市販品として、マーコート550(NALCO社製、アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウム塩の共重合体;INCI名ポリクォータニウム-7)、ルビクァットFC370(BASF社製、1-ビニル-2-ピロリドンと1-ビニル-3-メチルイミダゾリウム塩の共重合体;INCI名ポリクォータニウム-16)、ガフクァット755N(ISP社製、1-ビニル-2-ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体; INCI名ポリクォータニウム-11)、UcareポリマーJR及び同LRシリーズ(アマーコール社製、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとヒドロキシエチルセルロースとの反応物の塩;INCI名ポリクォータニウム-10)、ポイズC-60H、ポイズC-80M、ポイズC-150L(以上、花王社製、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとヒドロキシエチルセルロースとの反応物の塩;INCI名ポリクォータニウム-10)等が挙げられる。
【0094】
成分(B)以外のカチオン化ポリマーは、2種以上を併用してもよく、すすぎ時の毛髪のきしみ感を低減する観点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤全体に対してたとえば0.01〜3質量%とすることができ、0.02〜2質量%とすることが好ましく、0.05〜1質量%とすることが更に好ましい。
【0095】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、更に洗浄性能を向上させるため、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤を含有させてもよい。
【0096】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド類、イソデシルグリセリルエーテル等のモノアルキルグリセリルエーテル類、モノアルケニルグリセリルエーテル類等が挙げられる。
【0097】
これらのうち、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン(C8〜20)脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、アルキルグリコシド類が好ましい。
【0098】
また、脂肪酸アルカノールアミドも好適であって、モノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよく、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましい。また、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、たとえばオレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。
【0099】
両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が好ましく、中でも脂肪酸アミドプロピルベタインが好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、更には炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、中でもラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
また、他の両性界面活性剤として、ラウリルヒドロキシスルタイン等のスルタイン系界面活性剤等が挙げられる。
【0100】
これらの非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤は、水性毛髪洗浄剤中に単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明の水性毛髪洗浄剤を水性液状洗浄剤の形態とする場合には、成分(A)とともに、脂肪酸アミドプロピルベタイン、脂肪酸アルカノールアミド又はモノアルキルグリセリルエーテルを用いると、起泡力がより良好となるだけでなく、適度な液性が得られる。
【0101】
非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤の含有量は、良好な増泡効果が得られるという観点から、本発明の水性毛髪洗浄剤全体に対して0.01〜15質量%が好ましく、0.05〜8質量%がより好ましく、0.1〜6質量%が更に好ましい。
【0102】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、乾燥後の仕上がり向上のため、更に、カチオン界面活性剤又はシリコーン類を更に配合することができる。
【0103】
カチオン界面活性剤としては、たとえば、(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩、(ii)アルコキシトリメチルアンモニウム塩、(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩、(iv)アルキルジメチルアミン及びその塩、(v)アルコキシジメチルアミン及びその塩、(vi)アルキルアミドジメチルアミン及びその塩等が挙げられる。
【0104】
(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩
アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、たとえば下記一般式で表されるものが挙げられる。
22−N+(CH33-
(式中、R22は炭素数12〜22のアルキル基を示し、Z-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオンを示す。)
更に具体的には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0105】
(ii)アルコキシトリメチルアンモニウム塩
アルコキシトリメチルアンモニウム塩としては、たとえば下記一般式で表されるものが挙げられる。
23−O−R24−N+(CH33-
(式中、R23は炭素数12〜22のアルキル基を示し、R24はヒドロキシ基が置換していてもよいエチレン基又はプロピレン基を示し、Z-は上記と同じである。)
更に具体的には、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0106】
(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩
ジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、たとえば下記一般式で表されるものが挙げられる。
(R252+(CH32-
(式中、R25はそれぞれ独立して炭素数12〜22のアルキル基又はベンジル基を示し、Z-は上記と同じである。)
更に具体的には、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0107】
(iv)アルキルジメチルアミン及びその塩
アルキルジメチルアミン及びその塩としては、たとえば下記一般式で表されるもの及びその塩が挙げられる。
26−N(CH32
(式中、R26は炭素数12〜22のアルキル基を示す。)
更に具体的には、ベヘニルジメチルアミンやステアリルジメチルアミン及びそれらの有機酸塩が挙げられる。
【0108】
(v)アルコキシジメチルアミン及びその塩
アルコキシジメチルアミン及びその塩としては、たとえば下記一般式で表されるもの及びその塩が挙げられる。
27−O−R28−N(CH32
(式中、R27は炭素素数12〜22のアルキル基を示し、R28はエチレン基又はプロピレン基を示す。)
【0109】
(vi)アルキルアミドジメチルアミン及びその塩
アルキルアミドジメチルアミン及びその塩としては、たとえば下記一般式で表されるもの及びその塩が挙げられる。
29−C(=O)NH−R30−N(CH32
(式中、R29は炭素数11〜21のアルキル基を示し、R30はエチレン基又はプロピレン基を示す。)
【0110】
上記(i)〜(vi)以外のカチオン界面活性剤としては、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム(アルカノイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムのエチル硫酸塩、アルカノイル基はラノリン由来)、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリエチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルトリエチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C14〜20)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C18〜22)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソステアリン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソノナン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム及びアルキルトリメチルアンモニウムサッカリンなどが挙げられる。
【0111】
カチオン界面活性剤は、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.01〜10質量%が好ましく、0.02〜6質量%がより好ましく、0.05〜3質量%が更に好ましい。
【0112】
シリコーン類としては、たとえば以下に示すものが挙げられる。
(I)ジメチルポリシロキサン
31(CH3)2SiO−[(CH3)2SiO]y−Si(CH3)231
(式中、R31はそれぞれ独立してメチル基又はヒドロキシ基を示し、yは1〜20,000の数を示す。)
【0113】
ジメチルポリシロキサンの分散粒子の平均粒径は100μm未満が好ましく、更に好ましくは50μm以下、特に4μm以下、更に2μm以下であることが好ましい。また、平均粒径は、0.1μm以上であることが使用感やコンディショニング効果の点で好ましい。
【0114】
このようなジメチルポリシロキサンとしては、たとえば、上記式中のyが300〜6,500のジメチルポリシロキサン油を60質量%含み、平均粒径が0.8μmである東レ・ダウコーニング社製の「シリコーンCF2450」、又はyが300〜6,500のジメチルポリシロキサン油を50質量%含み、平均粒径が50μmである東レ・ダウコーニング社製の「シリコーンCF2460」、信越化学社製「KHE-1」として市販されているものを使用することができる。
【0115】
(II)アミノ変性シリコーン
各種のアミノ変性シリコーンが使用できるが、特に平均分子量が約3,000〜100,000の、アモジメチコーン(Amodimethicone)の名称でCTFA辞典(米国、Cosmetic Ingredient Dictionary)第3版中に記載されているものが好ましい。市販品としては、SM8704C(東レ・ダウコーニング社製)、DC929(ダウ・コーニング社製)、KT1989(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製)、8500 Conditioning Agent、DOW CORNING TORAY SS-3588、DOW CORNING TORAY SILSTYLE 104(東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。
【0116】
(III)その他のシリコーン類
上記以外に、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0117】
これらシリコーン類は、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.01〜10質量%が好ましく、更には0.05〜5質量%、特に0.1〜3質量%が好ましい。
【0118】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、更にエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールジ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノアルキルエーテル又はエチレングリコールジアルキルエーテルを含むパール化剤を含有していてもよい。
【0119】
エチレングリコールモノ脂肪酸エステルとしては、エチレングリコールモノステアリン酸エステル、エチレングリコールモノベヘニン酸エステルなど、エチレングリコールジ脂肪酸エステルとしては、エチレングリコールジステアリルエステル(後述する実施例(表3)においては「エチレングリコールジステアリル」と表記。)、エチレングリコールジベヘニルエステルなどが挙げられる。エチレングリコールモノアルキルエーテルとしてはエチレングリコールモノステアリルエーテルなどが挙げられる。また、エチレングリコールジアルキルエーテルとしてはエチレングリコールジステアリルエーテルなどが挙げられる。
【0120】
これらは2種以上を併用してもよく、またその含有量は、水性毛髪洗浄剤の保存安定性の向上及び泡立て時、すすぎ時の滑らかさ向上の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましく、0.5〜4質量%が更に好ましい。
【0121】
また、本発明の水性毛髪洗浄剤には、他のコンディショニング剤として、油剤を含有することができる。油剤としては、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素類;ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボカド油、オリーブ油、ヒマワリ油、椿油等のグリセリド類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、グリセリン、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール等のアルコール類;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル類;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸類;その他イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、高級アルコール類が好ましく、特にミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヒマワリ油、椿油が好ましい。
【0122】
これらの油剤は、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができ、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.001〜2質量%が好ましく、更には0.005〜1.5質量%、特に0.01〜1質量%が好ましい。
【0123】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、粘度調整剤を含有させてもよく、粘度調整剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、エタノール、粘土鉱物、塩類(塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、クエン酸ナトリウム等)などが挙げられ、中でもエタノール、塩化ナトリウム、及びクエン酸ナトリウムが好ましい。粘度調整剤は2種以上を併用してもよく、またその使用量は、泡量、泡質の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜4質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が更に好ましい。
【0124】
本発明の水性毛髪洗浄剤においては、上記成分のほか、通常の水性毛髪洗浄剤に用いられる成分を目的に応じて適宜配合できる。このような任意成分としては、たとえば、抗フケ剤、ビタミン剤、殺菌剤、抗炎症剤(グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、その誘導体等)、防腐剤、キレート剤、保湿剤(ソルビトール、パンテノール等)、着色剤(染料、顔料等)、エキス類(ユーカリの極性溶媒抽出物、真珠層を有する貝殻又は真珠から得られる蛋白質又はその加水分解物、蜂蜜、ローヤルゼリー、シルクから得られる蛋白質又はその加水分解物、マメ科植物の種子から得られる蛋白含有抽出物、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、アロエ抽出物、ハス抽出物、ザクロ抽出物、ノバラ抽出物、カモミラ抽出物、カンゾウ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物等)、酸化チタン等の前述した成分以外のパール化剤、香料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シアバター、ローズ水、オレンジ油、ユーカリ油等が挙げられる。本発明の水性毛髪洗浄剤は、成分(A)〜(D)とこれら他の成分とを混合して水に溶解することで製造される。
【0125】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、上記(D)成分以外のpH調整剤を配合してもよい。このようなpH調整剤として、たとえば、上記(D)成分以外の有機酸が挙げられ、安息香酸等の芳香族カルボン酸を用いることもできる。また、他のpH調整剤として、これら有機酸と合わせて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化アンモニウム等の塩基を用いてもよい。
【0126】
本発明の水性毛髪洗浄剤の形態は、液状、ゲル状等適宜選択できるが、溶剤として水、又は水及び低級アルコールを用いた液状のものが好ましい。
【0127】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0128】
以上述べた本発明の実施態様について、以下に総括して示す。
【0129】
<1>
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)並びに水を含有し、水で20質量倍に希釈したときの25℃におけるpHが2〜5である、水性毛髪洗浄剤。
(A) アニオン界面活性剤
(B) 下記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつカチオン化エチレンオキシ基による置換度が0.01〜2.9であり、プロピレンオキシ基による置換度が0.1〜4.0であるカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース
【0130】
【化9】

【0131】
(一般式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に下記一般式(2)で表される置換基を示し、nは前記アンヒドログルコースの平均重合度を示し、n=50〜5000である。)
【0132】
【化10】

【0133】
(一般式(2)中、Y1及びY2は、一方が水素原子を、他方が下記一般式(3)で表されるカチオン性基を示し、POはプロピレンオキシ基を示す。pはカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y1)−CH(Y2)−O−)の数を、qはプロピレンオキシ基(−PO−)の数を示し、それぞれ0又は正の整数である。ただし、R1、R2及びR3におけるすべてのp及びqが同時に0となることはない。また、p及びqのいずれもが0でない場合、前記カチオン化エチレンオキシ基と前記プロピレンオキシ基の付加順序は問わず、更にp及びqのいずれもが0でなくp及び/又はqが2以上である場合、ブロック結合及びランダム結合のいずれであってもよい。)
【0134】
【化11】

【0135】
(一般式(3)中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、X-はアニオン性基を示す。)
(C) 下記(C1)及び(C2)からなる群より選択される一又は二以上の有機溶剤
(C1) 下記一般式(4)で表される芳香族アルコール
【0136】
【化12】

【0137】
(一般式(4)中、R7は水素原子、メチル基又はメトキシ基を示し、Y3は単結合又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基若しくはアルケニレン基を示し、Z1は水素原子又は水酸基を示し、r及びsはそれぞれ0〜5の数を示す。)
(C2) 分子量200〜1000のポリプロピレングリコール
(D) ヒドロキシモノカルボン酸及びジカルボン酸からなる群より選択される一又は二以上の有機カルボン酸
【0138】
<2>
前記成分(A)の含有量が、当該水性毛髪洗浄剤全体に対して好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である、<1>に記載の水性毛髪洗浄剤。
【0139】
<3>
前記成分(B)の含有量が、水性毛髪洗浄剤全体に対して好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、<1>又は<2>に記載の水性毛髪洗浄剤。
【0140】
<4>
前記成分(A)に対する前記成分(B)の質量割合〔成分(B)/成分(A)〕が、好ましくは0.0005以上、より好ましくは0.001以上、更に好ましくは0.006以上であり、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.1以下、更に好ましくは0.05以下である、<1>〜<3>のいずれかに記載の水性毛髪洗浄剤。
【0141】
<5>
前記成分(C)の含有量が、水性毛髪洗浄剤全体に対して好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である、<1>〜<4>のいずれかに記載の水性毛髪洗浄剤。
【0142】
<6>
前記成分(C)に対する前記成分(B)の質量割合〔成分(B)/成分(C)〕が、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.04以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは1.5以下である、<1>〜<5>のいずれかに記載の水性毛髪洗浄剤。
【0143】
<7>
前記成分(D)の含有量が、当該水性毛髪洗浄剤全体に対して、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.7質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である、<1>〜<6>のいずれかに記載の水性毛髪洗浄剤。
【0144】
<8>
前記成分(A)の含有量が5〜18質量%、前記成分(B)の含有量が0.02〜5質量%、前記成分(C)の含有量が0.05〜10質量%、成分(D)の含有量が0.5〜3質量%である、<1>〜<7>のいずれかに記載の水性毛髪洗浄剤。
【0145】
<9>
前記成分(A)が、下記一般式(11)で表される一種以上である、<1>〜<8>のいずれかに記載の水性毛髪洗浄剤。
11O(CH2CH2O)uSO3M (11)
(一般式(11)中、R11は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、uはエチレンオキシドの平均付加モル数であり、質量平均で0.5〜5の数を示す。)
【0146】
<10>
当該水性毛髪洗浄剤中の前記成分(C)が、ベンジルアルコール、2-ベンジルオキシエタノール及び分子量200〜700であるポリプロピレングリコールからなる群から選択される一種以上である、<1>〜<9>のいずれかに記載の水性毛髪洗浄剤。
【0147】
<11>
前記成分(D)が、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸及び酒石酸からなる群より選択される一種以上である、<1>〜<10>のいずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。
【0148】
<12>
前記一般式(1)中のR1、R2及びR3のいずれについても、前記一般式(2)において、p及びqが0又は1である、<1>〜<11>のいずれかに記載の水性毛髪洗浄剤。
【0149】
<13>
前記一般式(2)中のY1及びY2のいずれについても、前記一般式(3)において、R4、R5及びR6が、それぞれ独立にメチル基又はエチル基である、<1>〜<12>のいずれかに記載の水性毛髪洗浄剤。
【0150】
<14>
前記成分(B)が、下記第一行程及び第二工程を含む製造方法により得られるカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースである、<1>〜<13>のいずれかに記載の水性毛髪洗浄剤:
第一工程:パルプにカチオン化剤を添加して粉砕機処理による低結晶化を行い、その後塩基を添加して粉砕機処理による低結晶化を行いながらパルプとカチオン化剤の反応を行ってカチオン化セルロースを得る工程
第二工程:前記第一工程で得られたカチオン化セルロースと酸化プロピレンとを反応させてカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースを得る工程
【実施例】
【0151】
以下の実施例及び比較例において、特記しない限り、「%」は「質量%」を意味する。また、各種物性の測定法は以下のとおりである。
【0152】
(1) パルプ及び粉末セルロースの水分含量の測定
パルプ、粉末セルロースの水分量は、赤外線水分計(ケット科学研究所社製、「FD-610」)を用いて測定した。測定温度120℃で、30秒間の質量変化率が0.1%以下となる点を測定の終点とした。
【0153】
(2) パルプ及び粉末セルロースの結晶化度の算出
リガク社製「Rigaku RINT 2500VC X-RAY diffractometer」を用いて、以下の条件で測定した回折スペクトルのピーク強度から、前述の式(31)に基づいて算出した。
X線源:Cu/Kα-radiation、管電圧:40kV、管電流:120mA
測定範囲:2θ=5〜45°
測定サンプル:面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮して作製
X線のスキャンスピード:10°/min
得られた結晶化度が負の値をとった場合には、すべて結晶化度0%とした。
【0154】
(3) C-HPCのカチオン化エチレンオキシ基、及びプロピレンオキシ基の置換度の算出
後述する製造例で得られたC-HPCを透析膜(分画分子量1000)により精製後、水溶液を凍結乾燥して精製C-HPCを得た。得られた精製C-HPCの塩素含有量(%)を元素分析によって測定し、C-HPC中に含まれるカチオン性基の数と対イオンである塩化物イオンの数を同数であると近似して、下記式(32)から、C-HPC単位質量中に含まれるカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y1)−CH(Y2)−O−)の量(a(モル/g))を求めた。
【0155】
a(モル/g)
=元素分析から求められる塩素含有量(%)/(35.5×100) (32)
【0156】
また、分析対象がヒドロキシプロピルセルロースではなく精製C-HPCであることを除き、日本薬局方記載の「ヒドロキシプロピルセルロースの分析法」に従って、ヒドロキシプロポキシ基含有量(%)を測定した。下記式(33)から、C-HPC単位質量中に含まれるヒドロキシプロポキシ基(式量(OC36OH=75.09)の量(b(モル/g))を求めた。
【0157】
b(モル/g)
=ガスクロ分析から求められるヒドロキシプロポキシ基含有量(%)/(75.09×100) (33)
【0158】
以上により得られたa及びbを下記式(34)及び(35)に適用し、カチオン化エチレンオキシ基の置換度(k)及びプロピレンオキシ基の置換度(m)を算出した。
a=k/(162+k×K+m×58) (34)
b=m/(162+k×K+m×58) (35)
(上記式(34)及び(35)中、k及びKは、それぞれ、カチオン化エチレンオキシ基の置換度及び式量を示し、mはプロピレンオキシ基の置換度を示す。)
【0159】
(4) 平均重合度の測定(銅アンモニア法)
(4-1) パルプ及び粉末セルロースの粘度平均重合度の測定
(i)測定用溶液の調製
メスフラスコ(100mL)に塩化第一銅0.5g、25%アンモニア水20〜30mLを加え、完全に溶解した後に、水酸化第二銅1.0g、及び25%アンモニア水を加えて標線の一寸手前までの量とした。これを30〜40分撹拌して、完全に溶解した。その後、精秤したセルロースを加え、標線まで上記アンモニア水を満たした。空気の入らないように密封し、12時間、マグネチックスターラーで撹拌して溶解し、測定用溶液を調製した。添加するセルロース量を20〜500mgの範囲で変えて、異なる濃度の測定用溶液を調製した。
【0160】
(ii)粘度平均重合度の測定
上記(i)で得られた測定用溶液(銅アンモニア溶液)をウベローデ粘度計に入れ、恒温槽(20±0.1℃)中で1時間静置した後、液の流下速度を測定した。種々のセルロース濃度(g/dL)の銅アンモニア溶液の流下時間(t(秒))とセルロース無添加の銅アンモニア水溶液の流下時間(t0(秒))から、下記式により相対粘度ηrを求めた。
ηr=t/t0
次に、それぞれの濃度における還元粘度(ηsp/c)を下記式により求めた。
ηsp/c=(ηr−1)/c
(上記式中、cはセルロース濃度(g/dL)である。)
更に、還元粘度をc=0に外挿して固有粘度[η](dL/g)を求め、下記式により粘度平均重合度(DP)を求めた。
DP=2000×[η]
【0161】
(4-2) C-HPCの粘度平均重合度の測定
(iii)測定溶液の調製
精秤したセルロースの替わりに精秤したC-HPCを用いた点を除き、上記(i)の測定溶液の調製と同様にして測定溶液を調製した。
【0162】
(iv)粘度平均重合度の測定
測定溶液の濃度としてセルロース換算濃度(g/dL)を用いた点を除き、上記(ii)の粘度平均重合度の測定と同様にして測定した。
ここで、セルロース換算濃度(ccell)とは、測定溶液1dL中に含まれるセルロース骨格部分の質量(g)をいい、下記計算式(36)で定義する。
cell=u×162/(162+k×K+m×58) (36)
(式中、uは測定溶液の調製時に用いた精秤したC-HPCの質量(g)を示し、k、K、mは、それぞれ上記式(34)及び(35)と同じ意味である。)
【0163】
製造例1 C-HPC(1)の製造
(1-1)チップ化工程
シート状木材パルプ(テンベック社製Biofloc HV10、平均重合度1508、結晶化度74%、水分含量7.6%)をシートペレタイザー(ホーライ社製、「SGG-220」)で処理して3〜5mm角のチップ状にした。
【0164】
(1-2)カチオン化反応工程
上記工程(1-1)で得られたチップ状パルプ2100gに、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液(阪本薬品工業社製、含水量20%、純度90%以上)(以下「GMAC」という)1170g(セルロースのアンヒドログルコース単位(以下「AGU」という)1モルあたり0.52モル相当量)をポリ袋中で混合した後、バッチ式振動ミル(中央化工機社製「FV-20」:容器全容積69L、ロッドとして、φ30mm、長さ600mm、断面形状が円形のSUS304製ロッド114本、体積充填率71%)に投入した。12分間粉砕処理(振動数60Hz、振幅8mm、温度10〜40℃)を行い、セルロースとGMACの粉末状混合物を得た。
更に、振動ミル内に粒状の水酸化ナトリウム284g(AGU 1モルあたり0.6モル相当量)を投入した。同様の条件で120分間粉砕処理を行い、カチオン化セルロースを得た。
【0165】
(1-3)ヒドロキシプロピル化反応工程
上記工程(1-2)で得られたカチオン化セルロース170gを、還流管を取り付けた1Lニーダー(入江商会社製、PNV-1型)に仕込み、70℃に昇温し、酸化プロピレン51g(AGU1モルあたり2.0モル相当量、関東化学社製、特級試薬)を撹拌しながら滴下して、酸化プロピレンが消費され還流が止むまで6時間反応を行った。
反応終了混合物をニーダーから取り出し、薄褐色の粗C-HPC粉末220gを得た。この粗C-HPC粉末10.0gを採取して乳酸で中和した。プロピレンオキシ基及びカチオン化エチレンオキシ基の置換度を求める目的で、中和物を透析膜(分画分子量1000)により精製後、水溶液の凍結乾燥を行い、精製C-HPC(1)を得た。
以上の工程における製造条件を表1-1に示す。
【0166】
また、得られた精製C-HPC(1)の元素分析より、塩素元素含有量は3.80%であった。また、前述した「ヒドロキシプロピルセルロースの分析法」によるヒドロキシプロポキシ基含有量は、36.5%であった。得られた精製C-HPC(1)の平均重合度、カチオン化エチレンオキシ基の置換度及びプロピレンオキシ基の置換度を表2に示す。
【0167】
製造例2 C-HPC(2)の製造
(2-1)チップ化工程
シート状木材パルプ(テンベック社製Biofloc HV+、平均重合度1770、結晶化度74%、水分含量7.0%)をシートペレタイザー(ホーライ社製、「SGG-220」)で処理して3〜5mm角のチップ状にした。
【0168】
(2-2)カチオン化反応工程
上記工程(2-1)で得られたチップ状パルプ100gに、GMAC58.5g(AGU1モルあたり0.2モル相当量)を乳鉢で混合した後、バッチ式振動ミル(中央化工機社製「MB-1」:容器全容積3.5L、ロッドとして、φ30mm、長さ218mm、断面形状が円形のSUS304製ロッド13本、体積充填率57%)に投入した。12分間粉砕処理(振動数20Hz、振幅8mm、温度30〜70℃)を行い、セルロースとGMACの粉末状混合物を得た。
得られた粉状混合物に、48%水酸化ナトリウム水溶液10.3g(AGU 1モルあたり0.23モル相当量)を加えて乳鉢で混合した後、上記バッチ式振動ミルに投入した。同様の条件にて60分間粉砕処理を行い、カチオン化セルロースを得た。
【0169】
(2-3)ヒドロキシプロピル化反応工程
上記工程(2-2)で得られたカチオン化セルロース127gを、製造例1で用いた還流管を取り付けた1Lニーダーに仕込み、70℃に昇温し、酸化プロピレン45g(AGU 1モルあたり2.8モル相当量)を撹拌しながら滴下して、酸化プロピレンが消費され還流が止むまで6時間反応を行って薄褐色の粗C-HPC粉末181.0gを得た。
この粗C-HPC粉末について、製造例1に準じて中和、精製、凍結乾燥を行い、精製C-HPC(2)を得た。
以上の工程における製造条件を表1-1に示す。
また、得られた精製C-HPC(2)の平均重合度、カチオン化エチレンオキシ基の置換度及びプロピレンオキシ基の置換度を表2に示す。
【0170】
製造例3 C-HPC(3)の製造
(3-1)チップ化工程
シート状木材パルプ〔テンベック社製、Biofloc HV+、平均重合度1604、α-セルロース含有量93.0%、結晶化度74%、水分量7.0%〕をシートペレタイザー(株式会社ホーライ製、「SGG-220」)で処理して3〜5mm角のチップ状にした。
得られたチップ状パルプを、減圧乾燥器(アドバンテック東洋株式会社製、商品名;VO-402)に投入し、105℃、20kPa、窒素流通下で2時間乾燥して、乾燥チップ状パルプ(平均重合度1604、α-セルロース含有量99.2%、結晶化度74%、水分量0.8%)を得た。
【0171】
(3-2)アルカリセルロースの製造
(工程1)
得られた乾燥チップ状パルプ920gを振動ロッドミル(中央化工機株式会社製、商品名;FV-10、全容器量35L、ロッド径;30mm、使用ロッド数63本、ロッド長さ510mm、ロッド断面形状が円形のSUS304製、体積充填率70%)に投入し、振幅8mm、20Hzにて、10〜40℃で10分間粉砕機処理を行って、セルロース含有原料として、結晶化度を低下した粉末状のパルプ(平均重合度1198、結晶化度14%、水分量1.0%)920gを得た。
(工程2)
上記工程1でセルロース含有原料として得られた粉末状のパルプ530gを混合機(株式会社マツボー製、「レディゲミキサー」、容量5L)に投入し、主翼250rpm、チョッパー翼2500rpmで撹拌しながら、43%NaOH水溶液307g(セルロース含有原料中のセルロース(以下「原料セルロース」ともいう)のAGU 1モルあたり1.0モル相当量、及び原料セルロースに対し33.3%の水)を20秒で噴霧添加した。噴霧後、内温を50℃に昇温し、2.5時間撹拌熟成を行って、アルカリセルロース混合物を得た。
【0172】
(3-3)エーテル化反応工程;ヒドロキシプロピル化反応工程
工程2で得られたアルカリセルロース混合物720.4gを、上記レディゲミキサー内で、主翼50rpm、チョッパー翼400rpmで撹拌しながら50℃まで昇温し、その後、酸化プロピレン571.4g(アルカリセルロース混合物のAGU 1モルあたり3.5モル相当量)を3.5時間で滴下した。滴下終了後50℃で2時間熟成した。
【0173】
(3-4)エーテル化反応工程;カチオン化反応工程
得られたヒドロキシプロピルセルロース226.4gをハイスピードミキサー(深江工業株式会社製、全容量2L)に仕込み、主翼回転337rpm(周速3m/s)、副翼回転数1800rpmの撹拌下、ミキサー上部に、ボールバルブを介して500mLの金属製容器を設置し、容器内に3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(四日市合成株式会社製、含水量30%、純度70%)109.1gを仕込んだ。ジャケットを加熱し、温度制御(内温:50℃)し、2時間攪拌し、粗C-HPCを得た。
この粗C-HPCは乳酸を用いて中和した。プロピレンオキシ基の置換度を求める目的で、中和物を透析膜(分画分子量1000)により精製後、水溶液の凍結乾燥を行い、精製C-HPC(3)を得た。
以上の工程における製造条件を表1-2に示す。
また、分析の結果、表2に示すように、C-HPC(3)のプロピレンオキシ基の置換度は1.7、カチオン基の置換度は0.3であり、平均重合度は696であった。
【0174】
製造例4 C-HPC(4)の製造
(4-1)チップ化工程
シート状木材パルプ〔テンベック社製、Biofloc HV+、平均重合度1604、α-セルロース含有量93.0%、結晶化度74%、水分量7.0%〕をシートペレタイザー(株式会社ホーライ製、「SGG-220」)で処理して3〜5mm角のチップ状にした。
得られたチップ状パルプを、減圧乾燥器(アドバンテック東洋株式会社製、商品名;VO-402)に投入し、105℃、20kPa、窒素流通下で2時間乾燥して、乾燥チップ状パルプ(平均重合度1604、α-セルロース含有量99.2%、結晶化度74%、水分量0.8%)を得た。
【0175】
(4-2)アルカリセルロースの製造
(工程1)
得られた乾燥チップ状パルプ920gを振動ロッドミル(中央化工機株式会社製、商品名;FV―10、全容器量35L、ロッド径;30mm、使用ロッド数63本、ロッド長さ510mm、ロッド断面形状が円形のSUS304製、体積充填率70%)に投入し、振幅8mm、20Hzにて、10〜40℃で10分間粉砕機処理を行って、セルロース含有原料として、結晶化度を低下した粉末状のパルプ(平均重合度1198、結晶化度14%、水分量1.0%)920gを得た。
(工程2)
上記工程(1)でセルロース含有原料として得られた粉末状のパルプ4450gを混合機(大平洋機工株式会社製、「プロシェアミキサー」、容量75L)に投入し、主翼3m/s、チョッパー翼1800rpmで撹拌しながら、43%NaOH水溶液2580g(原料セルロースのAGU 1モルあたり1.0モル相当量、及び原料セルロースに対し31%の水)を1.5分間で噴霧添加した。噴霧後、内温を50℃に昇温し、3時間撹拌熟成を行って、アルカリセルロース混合物を得た。
【0176】
(4-3)エーテル化反応工程;ヒドロキシプロピル化反応工程
工程2で得られたアルカリセルロース混合物7030gを、上記プロシェアミキサー内で、主翼1m/s、チョッパー翼400rpmで撹拌しながら50℃まで昇温し、その後、酸化プロピレン5580g(アルカリセルロース混合物のAGU 1モルあたり3.5モル相当量)を6時間で滴下した。滴下終了後50℃で3時間熟成した。
【0177】
(4-4)エーテル化反応工程;カチオン化反応工程
得られたヒドロキシプロピルセルロース192.0gをハイスピードミキサー(深江工業株式会社製、全容量2L)に仕込み、主翼回転337rpm(周速3m/s)、副翼回転数1800rpmの撹拌下、ミキサー上部に、ボールバルブを介して500mLの金属製容器を設置し、容器内に3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(四日市合成株式会社製、含水量30%、純度70%)95.08gを仕込んだ。ジャケットを加熱し、温度制御(内温:50℃)し、2時間攪拌し、粗C-HPCを得た。
この粗C-HPCは乳酸を用いて中和した。プロピレンオキシ基の置換度を求める目的で、中和物を透析膜(分画分子量1000)により精製後、水溶液の凍結乾燥を行い、精製C-HPC(4)を得た。
以上の工程における製造条件を表1-2に示す。
また、分析の結果、表2に示すように、C-HPCのプロピレンオキシ基の置換度は2.0、カチオン基の置換度は0.3であり、平均重合度は588であった。
【0178】
【表1−1】

【0179】
【表1−2】

【0180】
【表2】

【0181】
実施例1〜7及び比較例1〜5
表3に示す配合にて水性毛髪洗浄剤を調製し、後述する方法で評価した。評価結果を表3に併せて示す。なお、pHは水で20質量倍希釈したものの25℃での値である。また、表3中、配合を示す数値の単位は質量%である。
【0182】
(水性毛髪洗浄剤の評価方法)
ストレートパーマ1回、ブリーチ2回処理を施した日本人女性の毛髪をダメージ毛髪とし、それぞれ10gの毛髪束を、パネラー5名が次の方法で処理しながら官能評価を行った。
【0183】
(1)乾燥後の毛髪の絡まりのなさ
前記のダメージ毛髪の毛束(長さ25cm、幅5.5cm、重さ10g)を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの水性毛髪洗浄剤を用いて約30秒間十分に泡立てた。その後、泡の付いた毛束を2L/minの流速の40℃のお湯で濯いだ。ドライヤーで乾燥させ、十分に乾燥した後の毛髪の絡まりにくさを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その積算値を求めた。
5:絡まりにくい
4:あまり絡まない
3:普通と感じる
2:やや絡まる
1:絡まる
【0184】
(2)乾燥後の毛髪の艶
前記のダメージ毛髪の毛束(長さ25cm、幅5.5cm、重さ10g)を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの水性毛髪洗浄剤を用いて約30秒間十分に泡立てた。その後、泡の付いた毛束を2L/minの流速の40℃のお湯で濯いだ後、ドライヤーで乾燥させ、十分に乾燥した後の毛髪の艶を以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その積算値を求めた。
5:非常に艶がある
4:艶がある
3:やや艶がある
2:あまり艶がない
1:艶がない
【0185】
(3)乾燥後の毛髪の広がりのなさ
前記のダメージ毛髪の毛束(長さ25cm、幅5.5cm、重さ10g)を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの水性毛髪洗浄剤を用いて約30秒間十分に泡立てた。その後、泡の付いた毛束を2L/minの流速の40℃のお湯で濯いだ後、ドライヤーで乾燥させ、十分に乾燥した後の毛髪の広がりにくさを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その積算値を求めた。
5:毛髪が広がらない
4:あまり広がらない
3:広がらない
2:やや広がる
1:広がる
【0186】
(4)乾燥後の髪のハリ・コシ
前記のダメージ毛髪の毛束(長さ25cm、幅5.5cm、重さ10g)を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの水性毛髪洗浄剤を用いて約30秒間十分に泡立てた。その後、泡の付いた毛束を2L/minの流速の40℃のお湯で濯いだ後、ドライヤーで乾燥させ、十分に乾燥した後の毛髪のハリ・コシを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その積算値を求めた。
5:非常にハリ・コシがある
4:ハリ・コシがある
3:ややハリ・コシがある
2:あまりハリ・コシがない
1:ハリ・コシがない
【0187】
(5)乾燥後の毛髪表面の滑り
前記のダメージ毛髪の毛束(長さ25cm、幅5.5cm、重さ10g)を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの水性毛髪洗浄剤を用いて約30秒間十分に泡立てた。その後、泡の付いた毛束を2L/minの流速の40℃のお湯で濯いだ後、ドライヤーで乾燥させ、十分に乾燥した後の毛髪表面の滑りを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その積算値を求めた。
5:毛髪表面が非常に滑る
4:毛髪表面が滑る
3:毛髪表面がやや滑る
2:あまり滑らない
1:滑らない
【0188】
【表3】

【0189】
*1 ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム:エチレンオキシド質量平均付加モル数1
*2 ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム:エチレンオキシド質量平均付加モル数2
*3 C-HPC(1):一般式(1)で示されるC-HPCにおいて、カチオン化エキレンオキシ基の置換度(k)が0.3、プロピレンオキシ基の置換度(m)が1.3(製造例1で得られたもの)
*4 C-HPC(2):一般式(1)で示されるC-HPCにおいて、カチオン化エキレンオキシ基の置換度(k)が0.3、プロピレンオキシ基の置換度(m)が1.0(製造例2で得られたもの)
*5 ポリプロピレン(7)グリコール:分子量420
*6 原料名「HPC-M」(製造元:日本曹達社製)
*7 原料名「ポイズ C-80M」(製造元:花王社製)
*8 ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル:エチレンオキシド質量平均付加モル数6
*9 カチオン化グアーガム:ジャガーC-13S(ローディア社製)
*10 ジメチルポリシロキサンエマルション:粘度(10000mm2/s)/(10mm2/s)=95/5の混合物、平均粒子径4.0μm、ジメチルポリシロキサン60質量%
*11原料名「アンヒトール20HD」(製造元:花王株式会社)
*12 pH調整量
【0190】
実施例8〜11
表4に示す配合にて水性毛髪洗浄剤を調製し、表3同様の方法で評価した。評価結果を表4に併せて示す。なお、pHは水で20質量倍希釈したものの25℃での値である。また、表4中、配合を示す数値の単位は質量%である。
【0191】
【表4】

【0192】
*13 C-HPC(3):一般式(1)で示されるC-HPCにおいて、カチオン化エキレンオキシ基の置換度(k)が0.3、プロピレンオキシ基の置換度(m)が1.7(製造例3で得られたもの)
*14 C-HPC(4):一般式(1)で示されるC-HPCにおいて、カチオン化エキレンオキシ基の置換度(k)が0.3、プロピレンオキシ基の置換度(m)が2.0(製造例4で得られたもの)
【0193】
実施例12〜15
以下に示す組成の水性毛髪洗浄剤を、常法により調製し評価した。なお、pHは各組成物を水で20質量倍希釈し、25℃で測定した値である。
【0194】
実施例12 シャンプー(pH3.9)
(質量%)
ラウリルエーテル(1)硫酸アンモニウム(花王社製:エマール125A) 12.5
C-HPC(1)(製造例1) 0.3
イソデシルグリセリルエーテル 1.7
ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル(花王社製:エマルゲン306P) 2.3
ラウリルヒドロキシスルホベタイン(花王社製:アンヒトール20HD) 1.7
ラウリン酸(花王社製:ルナックL-98) 0.4
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド
(川研ファインケミカル社製:アミゾールCME) 0.3
リンゴ酸 0.75
ベンジルアルコール 0.3
エチレングリコールジステアリル 1.6
カチオン化グアーガム(ローディア製:ジャガーC-14S) 0.3
ポリプロピレン(7)グリコール(分子量420)
(アデカ社製:アデカカーポールDL-30) 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
安息香酸ナトリウム 0.1
エタノール 0.3
塩化ナトリウム 0.4
ユーカリエキス 0.1
カモミラエキス 0.05
パンテノール 0.05
シルクエキス 0.05
アロエエキス 0.05
海藻エキス 0.05
オレンジ油 0.05
水酸化カリウム (pH3.9に調整)
香料 適量
精製水 残量
【0195】
実施例12のシャンプーは、洗髪時の泡切れに優れ、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与えることができる。
【0196】
実施例13 シャンプー(pH3.9)
(質量%)
ラウリルエーテル(1)硫酸アンモニウム(花王社製:エマール125A) 12.5
C-HPC(1)(製造例1) 0.3
イソデシルグリセリルエーテル 1.7
ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル(花王社製:エマルゲン306P) 2.3
ラウリルヒドロキシスルホベタイン(花王社製:アンヒトール20HD) 1.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン(花王社製:アンヒトール20AB) 0.8
ラウリン酸(花王社製:ルナックL-98) 0.4
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド
(川研ファインケミカル社製:アミゾールCME) 0.3
リンゴ酸 0.75
ベンジルアルコール 0.3
エチレングリコールジステアリル 1.6
カチオン化セルロース(花王社製:ポイズM-80) 0.3
ポリプロピレン(7)グリコール(分子量420)
(アデカ社製:アデカカーポールDL-30) 0.1
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液
(ルビゾール社製:マーコート550) 0.2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
ジメチルポリシロキサン 0.5
安息香酸ナトリウム 0.1
エタノール 0.3
塩化ナトリウム 0.4
ユーカリエキス 0.1
カモミラエキス 0.05
パンテノール 0.05
シルクエキス 0.05
アロエエキス 0.05
海藻エキス 0.05
オレンジ油 0.05
水酸化カリウム (pH3.9に調整)
香料 適量
精製水 残量
【0197】
実施例13のシャンプーは、洗髪時の泡切れに優れ、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与えることができる。
【0198】
実施例14 シャンプー(pH5.0)
(質量%)
ラウリルエーテル(1)硫酸アンモニウム(花王社製:エマール125A) 12.5
C-HPC(1)(製造例1) 0.3
イソデシルグリセリルエーテル 1.7
ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル(花王社製:エマルゲン306P) 2.3
ラウリルヒドロキシスルホベタイン(花王社製:アンヒトール20HD) 1.7
ラウリン酸(花王社製:ルナックL-98) 0.4
リンゴ酸 0.2
ベンジルアルコール 0.3
ジンクピリチオン 1.0
エチレングリコールジステアリル 1.6
カチオン化セルロース(花王社製:ポイズM-80) 0.3
ポリプロピレン(7)グリコール(分子量420)
(アデカ社製:アデカカーポールDL-30) 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
ポリジメチルシロキサン 0.5
安息香酸ナトリウム 0.1
エタノール 0.3
塩化ナトリウム 0.4
水酸化カリウム (pH5.0に調整)
香料 適量
精製水 残量
【0199】
実施例14のシャンプーは、洗髪時の泡切れに優れ、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与えることができる。
【0200】
実施例15 シャンプー(pH3.9)
(質量%)
ラウリルエーテル(1)硫酸アンモニウム(花王社製:エマール125A) 12.5
C-HPC(1)(製造例1) 0.3
イソデシルグリセリルエーテル 1.7
ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル(花王社製:エマルゲン306P) 2.3
ラウリルヒドロキシスルホベタイン(花王社製:アンヒトール20HD) 1.7
ラウリン酸(花王社製:ルナックL-98) 0.4
リンゴ酸 0.75
ベンジルアルコール 0.3
エチレングリコールジステアリル 1.6
ピロクトンオラミン(ローディア社製:オクトピロックス) 0.5
カチオン化グアーガム(ローディア製:ジャガーC-14S) 0.3
ポリプロピレン(7)グリコール(分子量420)
(アデカ製:アデカカーポールDL-30) 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
安息香酸ナトリウム 0.1
エタノール 0.3
塩化ナトリウム 0.4
水酸化カリウム (pH3.9に調整)
香料 適量
精製水 残量
【0201】
実施例15のシャンプーは、洗髪時の泡切れに優れ、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の毛髪の絡まり及び毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)並びに水を含有し、水で20質量倍に希釈したときの25℃におけるpHが2〜5である、水性毛髪洗浄剤。
(A) アニオン界面活性剤
(B) 下記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつカチオン化エチレンオキシ基による置換度が0.01〜2.9であり、プロピレンオキシ基による置換度が0.1〜4.0であるカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース
【化1】

(一般式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に下記一般式(2)で表される置換基を示し、nは前記アンヒドログルコースの平均重合度を示し、n=50〜5000である。)
【化2】

(一般式(2)中、Y1及びY2は、一方が水素原子を、他方が下記一般式(3)で表されるカチオン性基を示し、POはプロピレンオキシ基を示す。pはカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y1)−CH(Y2)−O−)の数を、qはプロピレンオキシ基(−PO−)の数を示し、それぞれ0又は正の整数である。ただし、R1、R2及びR3におけるすべてのp及びqが同時に0となることはない。また、p及びqのいずれもが0でない場合、前記カチオン化エチレンオキシ基と前記プロピレンオキシ基の付加順序は問わず、更にp及びqのいずれもが0でなくp及び/又はqが2以上である場合、ブロック結合及びランダム結合のいずれであってもよい。)
【化3】

(一般式(3)中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、X-はアニオン性基を示す。)
(C) 下記(C1)及び(C2)からなる群より選択される一又は二以上の有機溶剤
(C1) 下記一般式(4)で表される芳香族アルコール
【化4】

(一般式(4)中、R7は水素原子、メチル基又はメトキシ基を示し、Y3は単結合又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基若しくはアルケニレン基を示し、Z1は水素原子又は水酸基を示し、r及びsはそれぞれ0〜5の数を示す。)
(C2) 分子量200〜1000のポリプロピレングリコール
(D) ヒドロキシモノカルボン酸及びジカルボン酸からなる群より選択される一又は二以上の有機カルボン酸
【請求項2】
前記成分(B)の含有量が、水性毛髪洗浄剤全体に対して0.01〜10質量%である、請求項1に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項3】
前記成分(A)に対する前記成分(B)の質量割合が、成分(B)/成分(A)=0.0005〜0.5である、請求項1又は2に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項4】
前記成分(C)に対する前記成分(B)の質量割合が、成分(B)/成分(C)=0.01〜5である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項5】
前記成分(C)の含有量が、水性毛髪洗浄剤全体に対して0.01〜20質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項6】
前記一般式(1)中のR1、R2及びR3のいずれについても、前記一般式(2)において、p及びqが0又は1である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項7】
前記一般式(2)中のY1及びY2のいずれについても、前記一般式(3)において、R4、R5及びR6が、それぞれ独立にメチル基又はエチル基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項8】
前記成分(D)が、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸及び酒石酸からなる群より選択される一種以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。

【公開番号】特開2012−246288(P2012−246288A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−103432(P2012−103432)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】