説明

水晶振動子の製造方法

【課題】 水晶振動子の製造においてエッチング途中での形状観察を可能とさせて、高精度な水晶振動子を提供する。
【解決手段】(a)水晶基板上に赤外域において透過性を有する保護膜を形成する第1の工程と、(b)この保護膜に開口部を設ける第2の工程と、(c)この開口部よりエッチングを行い前記水晶基板を加工する第3の工程と、(d)前記保護膜を除去する第4の工程と、をこの順序で有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水晶振動子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の水晶振動子の製造方法においては、エッチング用保護膜としてクロム膜と金膜との積層膜が用いられていた(特開平7−212161号公報参照)。金膜が用いられる理由は、水晶振動子のエッチングに使用される腐食液が弗酸であるためこの液に耐える必要があるためである。また、クロム膜が用いられる理由は、金膜と水晶振動子の密着性を向上させるためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の水晶振動子の製造方法においては、金膜が透明でないため、エッチング工程の途中において金膜の下のエッチングされた形状を観察することができないという問題点がある。この問題点のため水晶振動子幅の寸法測定ができず寸法測定用の試験片を別途用意しそれをモニターしながらエッチングする必要があり、工程が煩雑になるという問題点を有している。
【0004】また、積層膜であるためエッチングのための開口部を設ける場合に金膜とクロム膜の寸法を異ならせる必要がある。これは、クロム膜が弗酸に溶け出さないようにするためであり、金膜の下にクロム膜を隠すように形成する必要があるため、エッチングを始める前においても正確な寸法を測定することができないという問題点がある。
【0005】そこで、本発明の目的は、上記のような問題点を解決するものであり、エッチングを始める前においても、エッチング工程においても、煩雑な工程を設けなくても水晶振動子幅の寸法を正確に測定できる水晶振動子の製造方法を提供することにある。
【0006】また、本発明の別の目的は、そのような水晶振動子の製造方法を用いて品質のよい水晶振動子を安価な価格で提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の水晶振動子の製造方法は、(a)水晶基板上に赤外域において透過性を有する保護膜を形成する第1の工程と、(b)この保護膜に開口部を設ける第2の工程と、(c)この開口部よりエッチングを行い前記水晶基板を加工する第3の工程と、(d)前記保護膜を除去する第4の工程と、をこの順序で有することを特徴とする。
【0008】このため、第3の工程においては、赤外顕微鏡等の観察手段を用いることによって、この保護膜の上からエッチング形状を観察することができるため、寸法測定用の試験片をモニターするという煩雑な工程を設けなくても、水晶振動子幅の寸法を正確に測定できるようになるという効果が得られる。また、第2の工程においても、積層膜における開口部の寸法を異ならせる必要がないため、エッチング前においても、正確な寸法を測定することができるという効果が得られる。
【0009】ここで、赤外域において透過性を有する保護膜とは、赤外顕微鏡で用いる光の波長に対して透過性を有する保護膜であるという意味で用いているが、具体的には波長約700nm以上の範囲で透過性を有すれば好適に用いることができる。
【0010】この保護膜としては、アモルファスシリコンが適している(請求項2)。アモルファスシリコンは赤外域での透過性が高く、また、エッチングの際の保護膜としても優れているためである。アモルファスシリコンは、ポリシリコンのように高温(例えば650℃)で成膜する必要がないため(例えば450℃程度でよい)水晶基板に双晶構造を発生させて圧電性を失わせるということもない。アモルファスシリコンは、酸化アルミニウムのように製造工程における酸素不足等により弗酸などの水晶エッチング液に対して腐食されやすくなるということもない。アモルファスシリコンは、赤外域での透過性が水晶よりも高いため、水晶とアモルファスシリコンを明確に区別することが可能となり、水晶振動子幅の寸法を容易に測定できるという利点もある。
【0011】この保護膜としては、窒化シリコンも適している(請求項3)。窒化シリコンも、赤外域での透過性が高く、また、エッチングの際の保護膜としても優れているためである。窒化シリコンは、ポリシリコンのように高温で成膜する必要がないため(例えば500℃程度でよい)水晶基板に双晶構造を発生させて圧電性を失わせるということもない。窒化シリコンは、製造工程における窒素不足等によりシリコンに近い性質になった場合でも、弗酸に対して腐食されにくいという特徴があり、酸化アルミニウムのように製造工程における酸素不足等により弗酸などの水晶エッチング液に対して腐食されやすくなるということもない。また、窒化シリコンは、アモルファスシリコンに比べて可視項域(400〜700nm)において透過性が高いため、通常の光学顕微鏡を用いることができるという利点もある。
【0012】また、この保護膜としては、不純物を含むアモルファスシリコンも適している(請求項4)。この不純物を含むアモルファスシリコンは大気中で表面が自然酸化されにくくなり、アモルファスシリコン表面に形成される酸化シリコンの膜厚みを減少させることができる。そのため、水晶振動子のエッチング液である弗酸に対する耐エッチング性を向上することができる。この不純物としてはボロンが適している(請求項5)。ボロンはアモルファスシリコンの成膜時にガス状態で添加できるため作成が低温で可能である。
【0013】請求項6の水晶振動子の製造方法は、第2の工程で保護膜を形成する前に、第1の工程で第1の極薄膜を形成していることが特徴である。このため、保護膜の応力が大きく水晶基板上での膜剥離等が発生しやすい場合に特に有効である。この第1の極薄膜の膜厚は非常に薄いので、赤外域透過性を損なうことがない。このため、第4の工程においては、赤外顕微鏡等の観察手段を用いることによって、この保護膜の上からエッチング形状を観察することができるため、寸法測定用の試験片をモニターするという煩雑な工程を設けなくても、水晶振動子幅の寸法を正確に測定できるようになるという効果が得られる。
【0014】ここで、赤外域において透過性を有する保護膜とは、赤外顕微鏡で用いる光の波長に対して透過性を有する保護膜であるという意味で用いているが、具体的には波長約700nm以上の範囲で透過性を有すれば好適に用いることができる。
【0015】この第1の極薄膜としてはタンタルが適している(請求項7)。タンタルは高融点金属であるためアモルファスシリコンの成膜に対応することができる。第1の極薄膜としてはチタンも適している(請求項8)。チタンは高温での拡散が少ないのでアモルファスシリコンの成膜に適している。
【0016】これらの水晶振動子の製造方法において用いられる保護膜としては、アモルファスシリコンが適している(請求項9)。アモルファスシリコンは赤外域での透過性が高く、また、エッチングの際の保護膜としても優れているためである。アモルファスシリコンは、ポリシリコンのように高温(例えば650℃)で成膜する必要がないため(例えば450℃程度でよい)水晶基板に双晶構造を発生させて圧電性を失わせるということもない。アモルファスシリコンは、酸化アルミニウムのように製造工程における酸素不足等により弗酸などの水晶エッチング液に対して腐食されやすくなるということもない。アモルファスシリコンは、赤外域での透過性が高く水晶よりも高いため、水晶とアモルファスシリコンを明確に区別することが可能となり、水晶振動子幅の寸法を容易に測定できるという利点もある。
【0017】この保護膜としては、窒化シリコンも適している(請求項10)。窒化シリコンも、赤外域での透過性が高く、また、エッチングの際の保護膜としても優れているためである。窒化シリコンは、ポリシリコンのように高温で成膜する必要がないため(例えば500℃程度でよい)水晶基板に双晶構造を発生させて圧電性を失わせるということもない。窒化シリコンは、製造工程における窒素不足等によりシリコンに近い性質になった場合でも、弗酸に対して腐食されにくいという特徴があり、酸化アルミニウムのように製造工程における酸素不足等による弗酸などの水晶エッチング液に対して腐食されやすくなることもない。また、窒化シリコンは、アモルファスシリコンに比べて可視項域(400〜700nm)において透過性が高いため、通常の光学顕微鏡を用いることができるという利点もある。
【0018】また、この保護膜としては、不純物を含むアモルファスシリコンも適している(請求項11)。この不純物を含むアモルファスシリコンは大気中で表面が自然酸化されにくくなり、アモルファスシリコン表面に形成される酸化シリコンの膜厚みを減少させることができる。そのため、水晶振動子のエッチング液である弗酸に対する耐エッチング性を向上することができる。この不純物としてはボロンが適している(請求項12)。ボロンはアモルファスシリコンの成膜時にガス状態で添加できるため作成が低温で可能である。
【0019】第5の工程では、前記第1の極薄膜及び前記保護膜を除去する代わりに、前記保護膜のみを除去するようにしてもよい。そうすることによって、第1の極薄膜を水晶振動子の電極製造工程に用いることができる(請求項13)。
【0020】本発明の水晶振動子の製造方法は、音叉型水晶振動子、厚みすべり型水晶振動子、ジャイロセンサーなどの製造に好適に用いられる(請求項14、15、16)。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、各実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0022】(実施例1)図1は、実施例1の水晶振動子の製造方法を示す水晶振動子の工程断面図である。この工程断面図は水晶基板100をエッチングすることにより音叉型水晶振動子片(電極形成前まで)を形成する工程を示している。以下図1に基づいて、実施例1の水晶振動子の製造工程を説明する。なお実施例1での水晶基板100は水晶のZ軸に垂直な平面であるZ板を用いている。
【0023】実施例1の水晶振動子の製造方法は、(a)水晶基板上に赤外域において透過性を有する保護膜であるアモルファスシリコン膜を形成する第1の工程と、(b)この保護膜に開口部を設ける第2の工程と、(c)この開口部よりエッチングを行い前記水晶基板を加工する第3の工程と、(d)前記保護膜を除去する第4の工程と、をこの順序で有している。
【0024】(第1の工程)まず、図1(a)に示すように水晶基板100の周囲にアモルファスシリコンからなる保護膜200を形成する。実施例1においては、プラズマ放電を用いた化学的気相成長法(以下PECVD法と略記)を用いて、450℃にて成膜している。成膜用ガスはモノシラン(SiH4)にジボラン(B2H6)を添加することにより、成膜後のアモルファスシリコン膜中に不純物としてボロンを含ませることができる。なお、実施例1のアモルファスシリコンの膜厚は約0.2ミクロンである。プラズマ放電の周波数は13.56MHzであり、装置は平行平板型である。放電の出力は約200Wである。
【0025】(第2の工程)次に、図1(b)に示すように、保護膜200に開口部300を形成する。この開口部300よりエッチング液が水晶基板100と接するため、この開口部300の部分よりエッチングが可能となる。
【0026】実施例1では、フォトリソグラフィーにより(図示していない)レジストを塗布した後、露光、現像を行い、その後アモルファスシリコンのエッチングにより、開口部300を形成する。なおアモルファスシリコンのエッチングはCF4ガスによるドライエッチングにより行う。
【0027】(第3の工程)次に、弗酸を用いて水晶基板100のエッチングを行う。このエッチングは50℃に加温して行う。
【0028】第3の工程においては、エッチングが進行するに従い保護膜200の下部がエッチングされ、保護膜が家の屋根のひさしのようになる(図1(c)参照)。このとき従来の金膜ではひさしの下の形状を観察することができなかった。それに対して、実施例1では、水晶基板100のエッチング稜線110を、赤外域の波長を用いる赤外顕微鏡を用いて、保護膜200を通して観察することが可能であるため、エッチング途中において水晶振動子幅の寸法を測定することが可能となる。アモルファスシリコンは赤外域において高い透過性を有するが、水晶基板は透過性が低いためエッチング稜線の識別は明瞭である。なお、図1(c)でひさしの下の稜線形状が異なっているがこれは水晶が単結晶であるため、X軸方向(図では左右方向)で対抗する面において、単結晶による異方性によりエッチング形状が異なることによる。図1(c)はこの様子を誇張して示している。
【0029】(第4の工程)最後に、図1(d)に示すように、保護膜200を剥離して水晶振動子片400を形成する。実施例1での透明保護膜200はアモルファスシリコンであるため、この剥離は水酸化カリウム溶液にて行う。
【0030】以上のように、実施例1の水晶振動子に製造方法によれば、赤外域において透過性を有するアモルファスシリコンを保護膜として水晶基板をエッチングすることにより、エッチング途中の形状を測定することが可能となり、高精度の水晶振動子を製造することが可能である。
【0031】さらに第2の工程においては、開口部300を形成する場合ドライエッチング法を用いることにより高精度の開口部を形成することが可能であり、これにより水晶振動子の精度を向上させることができる。
【0032】実施例1ではボロンを不純物としてアモルファスシリコンに含有させたが、純粋なアモルファスシリコンを用いることも可能である。
【0033】また、水晶基板100はZ板を用いたが、回転Y板等を用いることも可能である。回転Y板を用いる場合は厚みすべりを利用した振動子を形成することができる。
【0034】また、アモルファスシリコンの形成にはPECVD法を用いたがその他の方法としてスパッタリング法などでも可能である。
【0035】なお、水晶基板の圧電性を損なっても良い場合は、ポリシリコンを保護膜として使用することができる。またアモルファスシリコンを、成膜後エキシマレーザーアニールによりポリシリコンにして用いることも可能である。
【0036】(実施例2)図2は、実施例2の水晶振動子の製造方法を示す水晶振動子の工程断面図である。この工程断面図は水晶基板100をエッチングすることにより音叉型水晶振動子片を形成する工程を示している。以下、図2に基づいて、実施例2の水晶振動子の製造工程を説明する。なお実施例2での水晶基板100は水晶のZ軸に垂直な平面であるZ板を用いている。
【0037】実施例2の水晶振動子の製造方法は、(a)水晶基板上に第1の極薄膜を形成する第1の工程と、(b)引き続きこの第1の極薄膜上に赤外域において透過性を有する保護膜を形成する第2の工程と、(c)この保護膜及び前記第1の極薄膜に開口部を設ける第3の工程と、(d)この開口部よりエッチングを行い前記水晶基板を加工する第4の工程と、(e)前記第1の極薄膜及び保護膜を除去する第5の工程と、をこの順序で有している。
【0038】(第1の工程)まず、図2(a)に示すように水晶基板100の周囲に第1の極薄膜500を形成する。実施例2においては、第1の極薄膜はタンタルを用いている。タンタルはスパッタリング法により約0.01ミクロン形成している。
【0039】(第2の工程)引き続いて、図2(b)に示すように第1の極薄膜500の上に保護膜200を形成する。実施例2では保護膜200は窒化シリコンからなっている。窒化シリコンからなる保護膜200の形成には、実施例2ではプラズマ放電を用いた化学的気相成長法(以下PECVD法と略記)を用いており、成膜用ガスはモノシラン(SiH4)とアンモニア(NH3)及び水素(H2)の混合ガスである。成膜の温度は約500℃である。
【0040】窒化シリコン膜の厚みは約0.3ミクロンであるが、窒化シリコン膜はアモルファスシリコンより応力がやや大きい。そのため第1の極薄膜を接着層として用いることにより、窒化シリコンの膜剥がれを効果的に防止することができる。
【0041】また窒化シリコンはアモルファスシリコンに比較して可視光域における透過性性は高いが赤外域における透過性はアモルファスシリコンより少し低い。したがって、顕微鏡に用いる光源の波長が500nm程度からのものが適している。
【0042】(第3の工程)次に、図2(c)に示すように、保護膜200及び第1の極薄膜500に開口部300を形成する。この開口部300よりエッチング液が水晶基板100と接するため、この開口部300の部分よりエッチングが可能となる。
【0043】実施例2では、フォトリソグラフィーにより(図示していない)レジストを塗布した後、露光、現像を行い、その後窒化シリコンのエッチングにより、開口部300を形成する。なお窒化シリコンのエッチングは実施例1と同じくCF4ガスによるドライエッチングにより行う。
【0044】さらに、タンタルよりなる第1の極薄膜500のエッチングも行う必要があるが、タンタルもCF4ガスによるドライエッチングによりエッチングされ得るため、窒化シリコンのエッチングと同時に行うことができる。
【0045】(第4の工程)次に、弗酸を用いて水晶基板100のエッチングを行う。このエッチングは50℃に加温して行う。
【0046】第4の工程においても、実施例1と場合と同様に、エッチングが進行するに従い保護膜200の下部がエッチングされ、保護膜が家の屋根のひさしのようになる(図2(d)参照。)。このとき従来の金膜ではひさしの下の形状を観察することができなかった。それに対して、実施例2では水晶基板100のエッチング稜線110を保護膜200を通して観察することが可能であるため、エッチング途中においてエッチング稜線110の形状を測定することが可能となる。
【0047】このとき、第1の極薄膜層500は非常に薄いため観察において邪魔になることはない。なお、図2R>2(d)でひさしの下の稜線形状が異なっているがこれは水晶が単結晶であるため、X軸方向(図では左右方向)で対抗する面において、単結晶による異方性によりエッチング形状が異なることによる。図2(d)はこの様子を誇張して示している。
【0048】(第5の工程)最後に、図2(e)に示すように、第1の極薄膜500と保護膜200とを剥離して水晶振動子片400を形成する。実施例2での保護膜200は窒化シリコンであるため、この剥離は高温(例えば180℃)に保持された燐酸溶液にて行う。第1の極薄膜500はタンタルであるためCF4ガスによるドライエッチングにより剥離を行う。
【0049】以上のように、実施例2のように第1の極薄膜を保護膜の接着層として用いることにより、保護膜の応力が大きい場合に保護膜の剥離を防止することができる。この場合においても第1の極薄膜の厚みは非常に薄いためエッチング途中における、ひさしの下のエッチング稜線の観察を妨げることはない。
【0050】なお、第1の極薄膜としてチタンを用いることも可能である。この場合チタンは蒸着法により形成できるためタンタルより簡単に形成することが可能である。また、開口部のエッチングもタンタルと同様にCF4ガスによるドライエッチングが可能である。
【0051】実施例2では第5の工程において第1の極薄膜500を除去したが、このまま残しておき、その後の水晶振動子の電極製造において利用することも可能である。水晶振動子の電極として金膜を用いる場合は金膜は水晶基板との密着力が弱いため接着層を必要とする。したがって、第1の極薄膜500の上に金膜を形成することにより密着性を向上させることができる。
【0052】水晶基板100はZ板を用いたが、回転Y板等を用いることも可能である。回転Y板を用いる場合は厚みすべりを利用した振動子を形成することができる。
【0053】また窒化シリコンの形成にはPECVD法を用いたがその他の方法としてスパッタリング法などでも可能である。
【0054】また実施例1及び実施例2における技術は、水晶基板以外にニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムなどの酸化物単結晶基板のエッチングにおいても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の水晶振動子の製造方法の工程断面図である。
【図2】実施例2の水晶振動子の製造方法の工程断面図である。
【符号の説明】
100 水晶基板
110 エッチング稜線
200 保護膜
300 開口部
400 水晶振動子片
500 第1の極薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)水晶基板上に、赤外域において透過性を有する保護膜を形成する第1の工程と、(b)この保護膜に開口部を設ける第2の工程と、(c)この開口部よりエッチングを行い前記水晶基板を加工する第3の工程と、(d)前記保護膜を除去する第4の工程と、をこの順序で有することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項2】請求項1に記載の水晶振動子の製造方法において、前記保護膜がアモルファスシリコンからなることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項3】請求項1に記載の水晶振動子の製造方法において、前記保護膜が窒化シリコンからなることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項4】請求項1に記載の水晶振動子の製造方法において、前記保護膜が不純物を含むアモルファスシリコンからなることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項5】請求項4に記載の水晶振動子の製造方法において、前記不純物がボロンであることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項6】(a)水晶基板上に第1の極薄膜を形成する第1の工程と、(b)引き続きこの第1の極薄膜上に赤外域において透過性を有する保護膜を形成する第2の工程と、(c)この保護膜及び前記第1の極薄膜に開口部を設ける第3の工程と、(d)この開口部よりエッチングを行い前記水晶基板を加工する第4の工程と、(e)前記第1の極薄膜及び保護膜を除去する第5の工程と、をこの順序で有することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項7】請求項6に記載の水晶振動子の製造方法において、前記第1の極薄膜がタンタルからなることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項8】請求項6に記載の水晶振動子の製造方法において、前記第1の極薄膜がチタンからなることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項9】請求項6乃至8のいずれかに記載の水晶振動子の製造方法において、前記保護膜がアモルファスシリコンからなることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項10】請求項6乃至8のいずれかに記載の水晶振動子の製造方法において、前記保護膜が窒化シリコンからなることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項11】請求項6乃至8のいずれかに記載の水晶振動子の製造方法において、前記保護膜が不純物を含むアモルファスシリコンからなることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項12】請求項11に記載の水晶振動子の製造方法において、前記不純物がボロンであることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項13】請求項6に記載の水晶振動子の製造方法において、第5の工程で、前記第1の極薄膜及び前記保護膜を除去する代わりに、前記保護膜のみを除去し、その後、前記第1の極薄膜を水晶振動子の電極製造工程に用いることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項14】請求項1乃至13のいずれかに記載の水晶振動子の製造方法において、前記水晶振動子が音叉型水晶振動子であることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項15】請求項1乃至13のいずれかに記載の水晶振動子の製造方法において、前記水晶振動子が厚みすべり型水晶振動子であることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項16】請求項1乃至13のいずれかに記載の水晶振動子の製造方法において、前記水晶振動子がジャイロセンサーであることを特徴とする水晶振動子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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