説明

水晶振動子の製造方法

【構成】 水晶基板1にマスク材13を形成し、マスク材を水晶振動子の外形形状に第1のポジレジスト21でパターニングする工程と、マスク材上に周波数調整用金属膜9パターンを第2のポジレジスト23で形成する工程と、露出した水晶基板をエッチングし水晶振動子形状に加工する工程と、第2のポジレジストをマスクにマスク材をエッチングし第2のポジレジストを除去する工程と、露出したマスク材に周波数調整用金属膜を形成する工程と、金属マスク27を用い水晶基板の平面電極膜5と側面電極膜3を形成する工程とを有する。
【効果】 レジスト形成処理と露光処理の削減により製造工程を短縮できる。その結果、製造環境が改善する。さらに、電鋳法を用いた金属マスクを用いることで微細な電極パターンが容易に得られ、電極膜への有機物付着防止し水晶振動子の発振周波数の経時変化が少なくなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音叉型や厚みすべり型などの水晶振動子をフォトリソグラフィー技術と化学エッチング技術や噴射加工技術により形成する水晶振動子の製造方法に関し、とくに電極膜形成方法と付加質量である周波数調整用金属膜との形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の技術を図5と図6と図7と図8を用いて説明する。図5はフォトリソグラフィー技術とエッチング技術により作成する音叉型の水晶振動子を示す平面図であり、図6は図5のA−A線における断面を示す断面図であり、図7は図5のB−B線における断面を示す断面図であり、図8は図5のA−A線とB−B線における断面を製造工程順に示す断面図である。以下、図5R>5と図6と図7と図8とを交互に参照して説明する。
【0003】水晶基板1に平面電極膜5と側面電極膜3とを形成し、この平面電極膜5と側面電極膜3とに交番電圧を印加することにより、音叉型の水晶振動子に屈曲振動が生じる。
【0004】水晶振動子の発振周波数は、音叉型水晶振動子の枝の長さと幅と電極膜などの付加質量で決まる。しかしながら、加工上の寸法バラツキに起因して、発振周波数にバラツキが生じる。
【0005】このために、音叉型水晶振動子の先端部に付加質量として、周波数調整用金属膜9を形成する。
【0006】そして、発振周波数を所望の周波数より低下させ、その後レーザー光で周波数調整用金属膜9を徐々に除去して付加質量を軽減し、発振周波数を上昇させながら所望の周波数の一歩手前に発振周波数を合わせる。以下の説明では、以上の周波数調整工程を粗調整と記載する。
【0007】周波数調整用金属膜9による粗調整は所望の発振周波数の一歩手前であり、最終の合わせ込みは、微調膜7をレーザー光で除去して合わせ込む。以下の説明では微調膜7を除去する周波数調整工程を微調整と記載する。
【0008】微調膜7と周波数調整用金属膜9との違いは、その材質と膜厚であり、周波数調整用金属膜9の膜厚は約2ミクロンの金で構成する。これに対して、微調膜7の膜厚は平面電極膜5と同一材料であるクロムと金で構成し、その膜厚は0.2ミクロンである。
【0009】すなわち、微調膜7の膜厚を薄くすることでレーザー光で除去する際の周波数変化量を少なくし、微調整の工程では、所定の発振周波数への合わせ込み精度を向上させている。
【0010】上記の音叉型水晶振動子の製造方法には各種の方法が提案されている。以下に従来例の一例を図8にて説明する。
【0011】まず図8(a)に示すように、板状の水晶基板1を薄く研磨する。
【0012】つぎに図8(b)に示すように、水晶基板1の表、裏に形成したクロムと金からなるマスク材13をフォトエッチング技術にて、音叉型水晶振動子形状にパターニングする。
【0013】つぎに図5のA−A線における断面である先端部の図8(c)に示すように、周波数調整用金属膜9を電解金めっきにて形成する。その電解金めっき処理のとき、この電解金めっきは部分めっきであり、周波数調整用金属膜9以外のマスク材13への電解金めっき付着を防止する必要がある。
【0014】そのためにネガレジスト15をマスク材13上にコーティングし、周波数調整用金属膜9以外の部分は電解金めっきの保護膜として、ネガレジスト15が残るようにパターニングする。
【0015】周波数調整用金属膜9の電解金めっき液はアルカリ液のため、ポジレジストは溶解するため使用できず、ネガレジスト15を用いる。電解金めっき後はネガレジスト15を剥離する。
【0016】つぎに図8(d)に示すように、マスク材13をマスクにして、水晶基板1を酸性フッ化アンモニウムでエッチングする。
【0017】その後、マスク材13をエッチングにて除去し、図8(e)に示すように、水晶基板1の平面と側面とに、クロムと金からなる電極膜17を真空蒸着法にて形成する。
【0018】つぎに図8(f)に示すように、電極膜17の全面にポジレジスト19をコーティングし、電極膜17を残存させる領域にポジレジスト19を露光、現像処理により形成する。
【0019】その後、図8(g)に示すように、ポジレジスト19をマスクに露出した電極膜17をエッチングし、その後ポジレジスト19を剥離すれば、水晶基板1上に平面電極膜5と側面電極膜3とが得られる。
【0020】さらに図8(h)に示すように、図5のA−A断面である先端部には、マスク材13上に周波数調整用金属膜9を形成する。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】図8にて説明したように、音叉型水晶振動子の製造方法では、パターニングを必要とする工程が3工程有する。
【0022】すなわち、図8(b)に示す音叉型水晶振動子のパターン工程と、図8(c)に示す周波数調整用金属膜9のパターン工程と、図8(f)に示す電極膜17のパターン工程との3工程である。
【0023】これらのパターニングには、ポジレジストやネガレジストを必要とする。これらのポジレジストやネガレジストは、強い臭気や引火性があるため、レジストのコーティング作業は人体への影響や火気に配慮する必要がある。
【0024】さらに、ネガレジストの現像液とリンス液とは、きわめて引火性が高いという問題を有している。
【0025】一方、ポジレジストの現像後のリンス処理には、多量の純水洗浄を必要とする工程があり、製造コスト上にも問題を抱えている。
【0026】これらの点から従来技術の製造方法は、作業環境面や工程短縮などの面から改善が求められている。
【0027】一方、水晶振動子特性面においても、図8(g)に示す工程で、ポジレジスト9を剥離後、電極膜17上にポジレジスト9が残る現象が発生し、水晶振動子の周波数経年変化に悪影響を及ぼす。
【0028】本発明の目的は、上記課題を解決して、パターニングに必要なレジストの使用工程を極力少なくすることにより人体に影響する作業環境を改善し、また、引火性溶液の使用工程を避け、火災などの危険因子をなくすことにある。さらに、電極膜のパターニングにはレジストの使用を避け、水晶振動子の発振周波数の高安定化を図ることが可能な水晶振動子の製造方法を提供するにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明の水晶振動子の製造方法は、下記記載の工程を採用する。
【0030】本発明の水晶振動子の製造方法は、水晶基板にマスク材を第1のポジレジストで形成し、マスク材を水晶振動子の外形形状にパターニングする工程と、マスク材上に周波数調整用パターンを第2のポジレジストにて形成する工程と、露出した水晶基板をエッチングし水晶振動子形状に加工する工程と、第2のポジレジストをマスクにマスク材をエッチングし第2のポジレジストを除去する工程と、露出したマスク材に周波数調整用金属膜を形成する工程と、金属マスクを用い水晶基板に平面電極膜と側面電極膜を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0031】本発明の水晶振動子の製造方法は、水晶基板にマスク材を形成し、マスク材を水晶振動子の外形形状にパターニングする工程と、露出した水晶基板をエッチングし水晶振動子形状に加工する工程と、マスク材をエッチングする工程と、金属マスクを用い水晶基板に平面電極膜と側面電極膜を形成する工程と、周波数調整用金属膜を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0032】
【実施例】以下図面を用いて本発明の実施例における水晶振動子の製造方法を説明する。
【0033】
【実施例1】図1(a)から(i)は本発明の第1の実施例における音叉型水晶振動子の製造方法を工程順に示す断面図である。この第1の実施例においては、周波数調整用金属膜の形成方法に無電解金めっき法を採用したものである。なお図1(a)から(e)は図5のA−A線における断面を示し、図1(f)から(i)は図5のB−B線における断面を示す。
【0034】まずはじめに図1(a)に示すように、薄板の水晶基板1上にクロムと金とからなるマスク材13を形成する。その後、マスク材13上の第1のポジレジスト21を音叉型水晶振動子形状にパターニングして、第1のポジレジスト21を用いてマスク材13をエッチングする。
【0035】このとき、第1のポジレジスト21は光分解型であるため、エッチングは光分解の生じない環境にて行う。すなわち、第1のポジレジスト21に光分解性を残しておく。
【0036】つぎに、図1(b)に示すように、第1のポジレジスト21を周波数調整用金属膜のパターン形状に露光、現像して、第2のポジレジスト23を得る。
【0037】この第1のポジレジスト21から第2のポジレジスト23を形成する方法は、ポジレジストの露光は2回であるが、レジストコーティング作業は一回で済ますことができる。
【0038】つまりポジレジストは1回目の露光のとき、未露光部分は光分解しておらず、2回目の露光処理してパターニングが可能であるという性質を用いる。
【0039】つぎに図1(c)に示すように、マスク材13をマスクに使用して、水晶基板1を酸性フッ化アンモニウムでエッチングする。
【0040】つぎに図1(d)に示すように、第2のポジレジスト23をマスクにマスク材13をエッチングする。その後、第2のポジレジスト23を剥離すれば、音叉型水晶振動子形状の水晶基板1と、周波数調整用金属膜を形成する領域に周波数調整用金属膜と同一の位置に同一のパターン形状を有するマスク材13を形成することができる。
【0041】つぎに図1(e)に示すように、マスク材13上に無電解金めっきにて、周波数調整用金属膜9を形成する。
【0042】無電解金めっきの液温を70℃に設定し、水晶基板1を保持する治具とともに無電解金メッキ液中に投入すると、金からなる周波数調整用金属膜9を形成することができる。
【0043】ここで、厚さ2ミクロンの周波数調整用金属膜9の無電解金めっきの形成時間は、30分である。また、無電解めっきでは、電解めっきで行うとき必要なマスク材13とめっき電極との電気的接続が不要となり、水晶基板1の取扱いが容易となる。
【0044】さらに、水晶基板1の周波数調整用金属膜9の形成領域にのみマスク材13を形成しているから、めっきに対する保護膜として、従来必要であったネガレジストの形成は不要である。
【0045】一方、図1(e)に示す周波数調整用金属膜9の形成工程のときに、図5に示すB−B線における音叉型水晶振動子の断面形状は、図1(f)に示すように、水晶基板1が露出した状態となっている。
【0046】つぎに図1(g)に示すように、水晶基板1の表、裏の両面に金属マスク27を設置する。
【0047】この金属マスク27の線幅寸法は、20〜30ミクロンの線幅寸法であり、電鋳法にて形成した金属マスク27を用いる。
【0048】つぎに図1(h)に示すように、水晶基板1と金属マスク25上に平面電極膜5と側面電極膜3として、クロムと金とを、真空蒸着法、もしくはスパッタリング法にて形成する。
【0049】つぎに図1(i)に示すように、金属マスク27を水晶基板1の両面より除去すれば、平面電極膜5と側面電極膜3とを形成することができる。このとき平面電極膜5と側面電極膜3とは、絶縁した状態となって形成される。
【0050】本発明の第1の実施例の水晶振動子の製造方法によれば、ポジレジストコーティング処理が1回、露光処理は音叉型水晶振動子形状と周波数調整用金属膜9パターンとの2回に削減される。
【0051】すなわち、本発明の第1の実施例における水晶振動子の製造方法による第1の効果としては、従来の電解めっき用の保護膜として用いるネガレジストのコーティングが不要となることである。さらに、第2の効果としては、引火性有機物であるレジストや、現像液や、リンス液が不要となり、作業環境の向上につながることである。またさらに、第3の効果としては、火災などの危険因子が大幅に減ることである。
【0052】さらに、周波数調整用金属膜9は、従来の電解金めっき法で必須であったマスク材13とめっき電極との接続が不要であり、水晶基板1の破損が減るという効果も有する。
【0053】さらに、大形の水晶基板から多数個の音叉型水晶振動子を形成する場合は、無電解めっきによる周波数調整用金属膜9の膜厚バラツキが大幅に低下する。その結果、水晶振動子の発振周波数バラツキが少なくなる。
【0054】電解めっき法では、被めっき材の面積により電流密度が不均一となり、めっき膜厚のバラツキが生じる。
【0055】本発明の第1の実施例の水晶振動子の製造方法においては、電鋳法により形成する金属マスクを用いる。この電鋳法により形成する金属マスクの製造方法を、図2と図3の断面図にて説明する。
【0056】まず図2に示すように、銅からなる基板35上に厚さ100ミクロンのフォトレジスト37を、形成する金属マスク39パターンと逆パターン形状になるようパターニングする。
【0057】その後、露出した基板35に電解めっきにて、ニッケルを50ミクロンの厚さにめっき処理により形成する。
【0058】その後、フォトレジスト37と基板35とを溶かすと、図3に示す線幅30ミクロンに対して、厚さ50ミクロンの金属マスク39を形成することができる。
【0059】したがって、金属マスク39における線幅寸法に対して厚さ寸法を大きくすることができる。その結果、金属マスク39の機械的な強度が増して、金属マスク39の変形を防ぐことができる。
【0060】本発明の第1の実施例で用いた電鋳法により形成する金属マスクによれば、超小型の音叉型水晶振動子の電極膜形成が容易となり、電極膜形成のためのレジストを用いたパターニング工程が不要となる。さらに、レジストの残存現象の発生がなくなり、水晶振動子の発振周波数の経年変化特性が向上する。
【0061】
【実施例2】図4は本発明の第2の実施例における音叉型水晶振動子の製造方法を示す断面図である。この第2の実施例においては、周波数調整用金属膜としてガスデポジション法にて形成するガスデポジション膜を適用するものである。
【0062】このガスデポジション法とは、たとえば特開昭59−87077号公報に開示されている。すなわち、ガスデポジション法とは、金などの金属材料を高周波誘導加熱法で溶融させ、蒸発した超微粒子を別の減圧室にパイプを通して搬送し、パイプの先に設けるノズルより超微粒子を噴出させて、ノズルの先端に配置した試料に、金の超微粒子を形成させる方法である。
【0063】以下にこのガスデポジション法により周波数調整用金属膜を形成する本発明の第2の実施例の製造方法を、図4(a)から(g)を用いて説明する。なお図4(a)から(e)は図5のA−A線における断面を示し、図4(f)は図5のB−B線における断面を示す。
【0064】まず図4(a)に示すように、水晶基板1上にクロムと金とからなるマスク材13を音叉型水晶振動子形状にパターニングする。
【0065】つぎに、図4(b)に示すように、マスク材13をマスクに水晶基板1を両面より、酸性フッ化アンモニウムをエッチング液に用いるウエットエッチングによりエッチングする。この結果、水晶基板1は音叉型水晶振動子の外形形状にパターニングされる。
【0066】その後、図4(c)に示すように、マスク材13をエッチング除去すると、水晶基板1上になにも形成していない水晶基板1が得られる。
【0067】つぎに、図4(d)に示すように、金属マスク27を水晶基板1表、裏の両面に配置する。
【0068】そして、真空蒸着法あるいはスパッタリング法にて、クロムと金の薄膜を形成して、平面電極膜5と側面電極膜3とを水晶基板1に形成する。
【0069】つぎに図4(e)に示すように、水晶基板1の両面から金属マスク27を除去すれば、それぞれ絶縁された平面電極膜5と側面電極膜3とを形成することができる。
【0070】つぎに図4(f)に示すように、平面電極膜5と側面電極膜3との電極膜形成後に、周波数調整用金属膜の形成を行う。
【0071】周波数調整用金属膜の下地膜は、平面電極膜5と側面電極膜3との電極膜形成時に音叉型水晶振動子の先端部にも、この電極膜と同一の下地膜41を水晶基板1の平面部と側面部とに形成し、下地膜41上に周波数調整用金属膜としてガスデポジション膜43を平面部と側面部に、ガスデポジション法にて形成する。
【0072】図4(g)にそのガスデポジション法によるガスデポジション膜43の膜形成方法を示す。ノズル45から、金の超微粒子47を水晶基板1に噴出させると、ガスデポジション膜43を形成することができる。
【0073】そのとき、水晶基板1を矢印101の方向に走査すれば、複数個の音叉型水晶振動子にガスデポジション膜43の形成が可能となる。なお、膜厚2ミクロンのガスデポジション膜43は、約1秒の時間で形成することができる。
【0074】このガスデポジション法のよるガスデポジション膜43と同時に、音叉型水晶振動子の基部に、耐ハンダ付膜47も形成することができる。
【0075】本発明の第2の実施例の製造方法によれば、レジストコーティング処理、露光処理がそれぞれ1回で済み、製造方法を簡素化することができる。
【0076】さらに、周波数調整用金属膜であるガスデポジション膜43の形成方法を、湿式めっきから乾式めっきへの変更により、排水処理設備が不要となる。
【0077】また、ガスデポジション膜43は耐ハンダ付性が良好のため、水晶振動子を収納する容器のリード部と耐ハンダ付膜47とのハンダ付けが可能となるという効果を有する。
【0078】本発明の第1の実施例と、第2の実施例にて製造した音叉型水晶振動子の周波数調整工程を、以下に説明する。
【0079】まずはじめに音叉型水晶振動子の先端部に周波数調整用金属膜を形成する。その後、周波数調整用金属膜をレーザー光で除去しながら、水晶振動子の発振周波数を合わせ込めばよい。
【0080】ここで、図4(g)に示すように、ガスデポジション法によれば、音叉型水晶振動子を発振させながら、ガスデポジション膜43を形成し、所定の発振周波数に到達したとき、ガスデポジション膜43の形成を停止すれば、精密な発振周波数の合わせ込みが可能となる。
【0081】このガスデポジション膜43を利用した発振周波数の調整方法は、同一の水晶基板に複数個の音叉型水晶振動子を連結するように形成する場合の周波数調整法として適用することができる。さらに、水晶振動子を容器に取り付けた状態の音叉型水晶振動子を、ガスデポジション法を利用して発振周波数調整することも可能である。
【0082】以上の説明した本発明の第2の実施例のガスデポジション法を用いた周波数調整法を音叉型水晶振動子に適用した例で説明したが、ATカット、GTカットなどの水晶振動子にも適用することができる。
【0083】このガスデポジション法を用いた周波数調整方法によれば、レーザー光で除去した後の残存物がなくなり、発振周波数の経時変化が少なくなるという効果を有する。
【0084】さらに以上説明した実施例では、金属マスク27としては、電鋳法により形成した金属マスクを用いた例で説明したが、金属マスク27としては、電鋳法以外に、化学エッチング法や、プレス法や、放電加工法などにより形成した金属マスクも適用することができる。
【0085】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明による製造方法によれば、水晶基板からフォトリソグラフィー技術とエッチング技術によって形成する音叉型や厚みすべり型水晶振動子の製造プロセスが大幅に短縮し、作業環境はもちろんのこと、高額装置が不要となり低コスト化が可能となる。また、金属マスクによる電極膜形成のため、有機物の残存がなく発振周波数の経時変化が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における音叉型の水晶振動子の製造方法を示す断面図である。
【図2】本発明の水晶振動子の製造方法に用いた電鋳法により形成する金属マスクの製造方法を示す断面図である。
【図3】本発明の水晶振動子の製造方法に用いた電鋳法により形成する金属マスクの製造方法を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例における音叉型の水晶振動子の製造方法を示す図面である。
【図5】音叉型の水晶振動子を示す平面図である。
【図6】音叉型の水晶振動子の先端部に形成する周波数調整用金属膜を示す断面図である。
【図7】音叉型の水晶振動子の平面電極膜と側面電極膜の電極膜を示す断面図である。
【図8】従来の音叉型水晶振動子の製造方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1 水晶基板
3 側面電極膜
5 平面電極膜
7 微調膜
9 周波数調整用金属膜
27 金属マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】 水晶基板にマスク材を形成し、マスク材を第1のポジレジストで水晶振動子の外形形状にパターンニングする工程と、マスク材上に発振周波数調整用金属膜パターンを第2のポジレジストにて形成する工程と、露出した水晶基板をエッチングし水晶振動子形状に加工する工程と、第2のポジレジストをマスクにマスク材をエッチングし第2のポジレジストを除去する工程と、露出したマスク材に周波数調整用金属膜を形成する工程と、金属マスクを用い水晶基板に平面電極膜と側面電極膜を形成する工程とを有することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項2】 水晶基板にマスク材を形成し、マスク材を第1のポジレジストで水晶振動子の外形形状にパターニングする工程と、マスク材上に周波数調整用金属膜パターンを第2のポジレジストにて形成する工程と、露出した水晶基板をエッチングし水晶振動子形状に加工する工程と、第2のポジレジストをマスクにマスク材をエッチングし第2のポジレジストを除去する工程と、露出したマスク材に周波数調整用金属膜を形成する工程と、電鋳法にて作成した金属マスクを用い水晶基板に平面電極膜と側面電極膜を形成する工程とを有することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項3】 水晶基板にマスク材を形成し、マスク材を第1のポジレジストで水晶振動子の外形形状にパターニングする工程と、マスク材上に周波数調整用金属膜パターンを第2のポジレジストにて形成する工程と、露出した水晶基板をエッチングし水晶振動子形状に加工する工程と、第2のポジレジストをマスクにマスク材をエッチングし第2のポジレジストを除去する工程と、露出したマスク材に周波数調整用金属膜を無電解めっき法にて形成する工程と、水晶基板に平面電極膜と側面電極膜を形成する工程とを有することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項4】 水晶基板にマスク材を形成し、マスク材を第1のポジレジストで水晶振動子の外形形状にパターニングする工程と、マスク材上に周波数調整用金属膜パターンを第2のポジレジストにて形成する工程と、露出した水晶基板をエッチングし水晶振動子形状に加工する工程と、第2のポジレジストをマスクにマスク材をエッチングし第2のポジレジストを除去する工程と、露出したマスク材に周波数調整用金属膜を無電解めっき法にて形成する工程と、金属マスクを用い水晶基板に平面電極膜と側面電極膜を形成する工程とを有することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項5】 水晶基板にマスク材を形成し、マスク材を第1のポジレジストで水晶振動子の外形形状にパターニングする工程と、マスク材上に周波数調整用金属膜パターンを第2のポジレジストにて形成する工程と、露出した水晶基板をエッチングし水晶振動子形状に加工する工程と、第2のポジレジストをマスクにマスク材をエッチングし第2のポジレジストを除去する工程と、露出したマスク材に周波数調整用金属膜を無電解めっきにて形成する工程と、電鋳法にて作成した金属マスクを用い水晶基板に平面電極膜と側面電極膜を形成する工程とを有することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項6】 水晶基板にマスク材を形成し、マスク材を水晶振動子の外形形状にパターニングする工程と、露出した水晶基板をエッチングし水晶振動子形状に加工する工程と、マスク材をエッチングする工程と、金属マスクを用い水晶基板に平面電極膜と側面電極膜を形成する工程と、周波数調整用金属膜を形成する工程とを有することを特徴とする水晶振動子の製造方法。
【請求項7】 水晶基板にマスク材を形成し、マスク材を水晶振動子の外形形状にパターニングする工程と、露出した水晶基板をエッチングして水晶振動子形状に加工する工程と、マスク材をエッチングする工程と、金属マスクを用い水晶基板に平面電極膜と側面電極膜を形成する工程と、周波数調整用金属膜であるガスデポジション膜をガスデポジション法にて形成する工程とを有することを特徴とする水晶振動子の製造方法。

【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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