説明

水晶振動片の加工方法

【課題】ATカット水晶板に水晶振動片の外形をウエットエッチングで加工する工程で、水晶振動片を折り取るための溝を水晶板との連結部に形成した場合にエッチングの入り込みを抑制する。
【解決手段】水晶振動片の外形を有する水晶素子片11と水晶板の支持枠部4と水晶素子片を支持枠部に結合する連結部12a,12bとを加工する工程と、連結部を折り取って水晶振動片を切り離す工程とを有する。連結部は、水晶素子片のZ´方向に延長する横辺に、X方向に延長する互いに対向する各縦辺に沿って延長するように、水晶素子片の外形線に沿って有底の溝14a,14bを形成するように加工される。+Z´側の溝は連結部の+Y´側の主面13aに、−Z´側の溝は−Y´側の主面13bに配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ATカット水晶板をフォトエッチングすることによって外形を加工する工程を有する水晶振動片の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に振動子、発振器、フィルタまたはセンサなどの圧電デバイスには、高い周波数が得られかつ安定した周波数特性を有する水晶が、圧電材料として広く採用されている。特に厚みすべり振動モードを主振動とする水晶振動子には、ATカット水晶板が、常温付近での温度変化に対する周波数変化が少ないことから、最も広く使用されている。ATカット水晶板は、水晶結晶のX軸(電気軸)とZ軸(光学軸)とを含む平面をX軸の回りにZ軸から反時計方向に約35度15分の角度で回転させた面が主面となるように切り出される。
【0003】
従来、水晶振動片は、水晶ウエハにフォトエッチングで外形を加工しかつその表面に電極膜をパターニングすることにより製造されている。具体的には、図5(A)に例示するように、所定の厚さに研磨加工した水晶ウエハ1に多数の水晶素子片2を、その基端部2aで連結部3により該水晶ウエハの支持枠部4と一体に結合支持されるように、所望の水晶振動片の外形形状に加工する。次に、各水晶素子片2の表面に電極膜を形成した後、個々の水晶振動片をその外形線5に沿って連結部3から折り取ることによって個片化する。水晶ウエハ1がATカット水晶板の場合、水晶結晶のX軸の反時計回りに前記角度回転させたY軸(機械軸)及びZ軸をY´軸及びZ´軸としたとき、水晶素子片2は、その基端部2aから先端部に延長する縦辺をX軸方向に、枠部4と平行に延長する横辺をZ´軸方向に、厚さをY´軸方向に沿って配向するのが一般的である。
【0004】
しかしながら、連結部3は、折り取る際に作用する力のかかり具合等によって、外形線5上又はその付近ではなく、枠部4側で折り取られてしまい、基端部2aの端辺に突起が残ることがある。このような突起は、折り取り後の水晶振動片の取扱いを困難にし、例えば圧電デバイスのパッケージに搭載する際に、正確な位置合わせや所定位置へのマウントができなくなり、位置精度を低下させる虞がある。また、小型化したパッケージでは、マウントスペースが小さく、水晶振動片を搭載できなくなる虞がある。
【0005】
かかる問題を解消するために、水晶等の圧電基板をウエットエッチングして音叉型の圧電振動板を製造する際に、水晶素板に多数の音叉と共通枠とを形成し、音叉の基部と共通枠とを連結する枝の一方の主面に、その幅方向に亘って溝を形成し、該溝を境にして音叉を切断する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、水晶ウエハの両面にパターン形成した金属層のマスクから露出した水晶面を選択的にエッチングして、水晶片を水晶ウエハの残部と接続する狭い溝を形成し、該溝の底に沿って劈開して水晶片を1個ずつウエハから切り離すことにより、折り取り時に破片の発生を抑制する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0006】
更に、ATカット水晶基板にフレーム部と複数の水晶片とを形成し、水晶結晶のX軸と平行な方向に延設された第1アーム部とそれより細幅の第2アーム部とにより各水晶片をフレーム部に接続した水晶片集合体が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。水晶は、その結晶方向によってウエットエッチングのエッチング速度が異なり、Z軸方向に大きく、X軸方向には小さく、Y軸方向には更に小さい。かかる水晶のエッチング異方性によって、特許文献3の水晶片集合体は、第2アーム部が他の部分よりも薄肉に形成されるので、水晶片を簡単に折り取って分離することができる。
【0007】
また、ATカット水晶基板をウエットエッチングして水晶片の外形を形成する際に、水晶片の互いに対向する各側面における、水晶のエッチング異方性によるサイドエッチングの速度の差を考慮して、水晶片の外形に対応する開口領域を水晶基板の一方の面に設けたエッチングマスクを用いる水晶片の製造方法がある(例えば、特許文献4を参照)。これにより、水晶片のX方向に延びる側面は、突起を残すことなく、垂直に形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭58−157211号公報
【特許文献2】特表平11−509052号公報
【特許文献3】特開2006−186847号公報
【特許文献4】特開2008−11278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、水晶等の単結晶材料は、その結晶方向によってウエットエッチングのエッチング速度が異なるという結晶異方性を有する。そのため、水晶板に溝や孔等の凹部をウエットエッチングする場合には、加工面の法線方向に水晶のZ軸を配向することが好ましい。主面の法線方向を水晶のZ軸に一致させたZ板と呼ばれる水晶板は、音叉型水晶振動片等に使用されている。
【0010】
しかしながら、厚みすべり振動モードの水晶振動片は、主面の法線方向を水晶のY´軸に一致させたATカット水晶板が使用される。この場合、図6(A)に示すように、矩形の水晶素子片2は一般に、その縦辺を基端部2aから先端部2bに向けて−X方向に、支持枠部4と平行に延長する横辺をZ´方向に、その主面から上向きの法線方向をY´方向に合わせて配向する。そのため、水晶素子片2のウエットエッチングによる外形加工は、Z´方向を向いた縦辺の側面にサイドエッチングが発生し易い。
【0011】
上述した従来技術のように、水晶素子片2を支持枠部4から折り取り易くするために連結部3の両面に水晶素子片基端部2aとの境界に沿って形成する狭幅の溝6は、Z´方向エッチング速度がY´方向よりも大きいので、水晶ウエハ1を貫通するように水晶素子片2及び連結部3の外形をウエットエッチングする際に、それと同時にハーフエッチングされる。このとき、水晶素子片2の縦辺7a,7b側の側面には、溝6の部分からZ´方向にサイドエッチングが進むため、水晶素子片2の外郭から上下主面にエッチングが入り込むことが分かった。
【0012】
特にこのエッチングの入り込みは、加工しようとする外形の+X側の側面において、+Z´側の端縁と−Y´側の端縁とが交差する位置、及び−Z´側の端縁と+Y´側の端縁とが交差する位置に発生する。−X側の側面においても、同様に+Z´側の端縁と−Y´側の端縁とが交差する位置、及び−Z´側の端縁と+Y´側の端縁とが交差する位置に、比較的小さいエッチングの入り込みが発生する。
【0013】
図6の水晶素子片2は、エッチングの入り込みによって、+Z´側の縦辺7aに沿って−Y´側の主面に大きな欠け8aが、−Z´側の縦辺7bに沿って+Y´側の主面に大きな欠け8bが形成される。厚みすべり振動のATカット水晶振動片は、その周波数によって厚さが決定されるから、小型化によって縦及び横寸法が小さくなると、厚さが相対的に大きくなることが多い。その場合、水晶素子片2の外形形状が悪くなるだけでなく、その表裏主面に欠け8a,8bが占める割合が相対的に大きくなるので、振動領域が小さく狭められて振動特性が劣化する、という問題を生じる。
【0014】
本発明は、かかる知見に基づいて、上述した従来の問題点を解消するためになされたものである。本発明の目的は、ATカット水晶板をウエットエッチングすることにより水晶振動片の外形を加工する工程において、水晶振動片を折り取り易くするために該水晶振動片と水晶板との連結部に溝を形成した場合に、エッチングの入り込みを有効に抑制し、小型化の要求に対応して所望の振動片外形を確保し得る水晶振動片の加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の水晶振動片の加工方法は、上記目的を達成するために、水晶の結晶軸をX軸、Y軸、Z軸として、Y軸及びZ軸をX軸の回りに反時計方向に所定の角度回転させてY´軸及びZ´軸とし、Z´軸とX軸とを含む±Y´面を表裏主面として切り出したATカット水晶板をフォトエッチングすることにより、水晶振動片の外形を有する水晶素子片と、水晶板の支持枠部と、水晶素子片を支持枠部に結合する連結部とを加工する工程と、連結部を折り取ることにより水晶振動片を支持枠部から切り離す工程とを有し、前記フォトエッチングによる加工工程において、連結部が、水晶素子片のZ´方向に延長する一方の側辺に、X方向に延長する互いに対向する各側辺に沿って延長するように、かつ水晶素子片の外形線に沿って有底の溝を形成するように加工され、該有底の溝が、+Y´側の主面の+Z´側にかつ/又は−Y´側の主面の−Z´側に配置されることを特徴とする。
【0016】
上述したように、ATカット水晶板におけるエッチングの入り込みは、加工しようとする外形の+X側及び−X側の側面において、+Z´側の端縁と−Y´側の端縁とが交差する位置、及び−Z´側の端縁と+Y´側の端縁とが交差する位置に発生する。従って、水晶振動片を支持枠部に結合する連結部及び該連結部に形成する有底の溝の配置を、本発明のように構成することによって、水晶振動片の表裏主面へのエッチングの入り込みを有効に抑制することができる。これにより、水晶振動片を小型化しても、所望の外形形状が得られるので、同じ平面寸法で振動領域を最大に確保でき、水晶振動子の特性を向上させかつその安定化を図ることができる。
【0017】
或る実施例では、連結部を水晶素子片のZ´方向に延長する+X側の側辺に設けることにより、エッチングの入り込みをより効果的に抑制することができる。
【0018】
別の実施例では、連結部を、水晶素子片をその基端部で支持枠部に連結するように設けることにより、水晶振動片を折り取る際に、振動領域が設けられる先端部側の外形形状を確保することができる。
【0019】
或る実施例では、水晶素子片のX方向に延長する互いに対向する各側辺に沿ってそれぞれ延長するように、Z´方向に離隔した2つの連結部を設けることにより、より小さい断面積で水晶振動片を支持枠部に結合支持し、その折り取りを容易にすることができる。この場合、有底の溝を連結部のZ´方向の全幅に亘って設けることにより、水晶振動片の折り取りをより容易にすることができる。
【0020】
また、別の実施例では、有底の溝を連結部のZ´方向の幅に沿って部分的に設けることにより、連結部をより小さくしても、水晶振動片を支持枠部に結合支持するのに十分な強度を確保しながら、その折り取りを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(A)図は本発明の第1実施例の方法により水晶ウエハに加工した水晶素子片の平面図、(B)図は(A)図のI−I線における断面図、(C)図は水晶素子片の側面図。
【図2】(A)図は本発明の第2実施例の方法により水晶ウエハに加工した水晶素子片の平面図、(B)図は(A)図のII−II線における断面図、(C)図は水晶素子片の側面図。
【図3】(A)図は本発明の第3実施例の方法により水晶ウエハに加工した水晶素子片の平面図、(B)図は(A)図のIII−III線における断面図、(C)図は水晶素子片の側面図。
【図4】(A)図は本発明の第4実施例の方法により水晶ウエハに加工した水晶素子片の平面図、(B)図は(A)図のIV−IV線における断面図、(C)図は水晶素子片の側面図。
【図5】(A)図は多数の水晶素子片を加工した水晶ウエハの概略平面図、(B)図は(A)図の部分拡大平面図。
【図6】(A)図は従来方法により水晶ウエハに加工した水晶素子片の平面図、(B)図はそのVIb−VIb線における断面図、(C)図は水晶素子片の側面図、(D)図はVId−VId線における断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
図1(A)〜(C)は、本発明の第1実施例による方法を適用してATカット水晶板に加工された水晶素子片11、連結部12a,12b及び支持枠部4の形状を示している。矩形形状の水晶素子片11は、基端部11aを+X側に配置し、その縦辺を基端部11aから先端部に向けて−X方向に、支持枠部4と平行に延長する横辺をZ´方向に、その主面13aから上向きの法線方向をY´方向に合わせて配向される。2つの連結部12a,12bは、水晶素子片基端部11aの+Z´側及び−Z´側の両端に結合され、それぞれ該水晶素子片の+Z´側及び−Z´側の縦辺に沿って延長するように、互いにZ´方向に離隔して設けられる。
【0023】
+Z´側の連結部12aには、表側即ち+Y´側の主面13aに有底の溝14aが、水晶素子片基端部11aの外形に沿って該連結部の全幅に亘って或る深さで形成されている。−Z´側の連結部12bには、裏側即ち−Y´側の主面13bに溝14aと同じ寸法の有底の溝14bが、水晶素子片基端部11aの外形に沿って該連結部の全幅に亘って形成されている。各溝14a,14bは、水晶素子片11及び連結部12a,12bの周囲に支持枠部4、隣接する他の前記水晶素子片及び連結部との間に形成される隙間よりも十分に小さい狭幅に設けられる。
【0024】
本実施例の水晶振動片は、次のようにフォトエッチングを用いて加工する。先ず、両面を研磨した所定厚さのATカット水晶板の表面に、耐蝕膜としてCr、Au等からなる金属薄膜を蒸着、スパッタリング等により被着し、その上にレジスト膜を塗布してフォトリソグラフィ技術により所望の水晶振動片及び連結部12a,12bの外形、並びに溝14a,14bの平面形状をパターニングし、フッ酸、フッ化アンモニウム等の適当なエッチング液でエッチングする。水晶素子片11及び連結部12a,12bの周囲は、完全に貫通するまでエッチングされる。
【0025】
溝14a,14bは、上述したように幅が十分に狭く設定され、かつY´軸方向のエッチング速度がZ´軸方向及びX軸方向よりも小さいので、貫通することなく或る深さまでハーフエッチングされる。本実施例によれば、連結部12aの裏側即ち−Y´側の主面13b、及び連結部12bの表側即ち+Y´側の主面13aに溝を設けないので、水晶素子片11の表裏主面13a,13bへのエッチングの入り込みが有効に抑制される。これにより、水晶振動片を小型化しても、所望の外形形状が得られるので、同じ平面寸法で振動領域を最大に確保することができる。従って、水晶振動子の特性を向上させかつその安定化を図ることができる。
【0026】
このようにして、図5に関連して上述したように多数の水晶素子片11を前記ATカット水晶板に加工する。次に、各水晶素子片11の表面に電極材料を蒸着、スパッタリング等により成膜し、フォトリソグラフィ技術によりパターニングして所望の電極膜を形成すると、前記ATカット水晶板に連結された多数の水晶振動片が完成する。この水晶板から例えば吸引ノズルを用いて折り取ることにより、個々の水晶振動片を分離させる。
【0027】
図2(A)〜(C)は、本発明の第2実施例による方法を適用してATカット水晶板に加工された水晶素子片21、連結部22a,22b及び支持枠部4の形状を示している。本実施例は、以下の点で第1実施例と異なる。+Z´側の連結部22aには、+Y´側の主面23aに有底の溝24aが、水晶素子片基端部21aの外形に沿って該連結部の幅方向に部分的に或る深さで形成されている。−Z´側の連結部22bには、−Y´側の主面23bに有底の溝24bが、水晶素子片基端部21aの外形に沿って該連結部の幅方向に部分的に形成されている。各溝24a,24bは、それぞれ前記各連結部の幅方向両端に分割して、水晶素子片21及び連結部22a,22bの周囲に支持枠部4、隣接する他の前記水晶素子片及び連結部との間に形成される隙間よりも十分に小さい狭幅に設けられる。
【0028】
本実施例においても、第1実施例と同様に、水晶素子片21及び連結部22a,22bの外形をウエットエッチングする際に、該水晶素子片の表裏主面23a,23bへのエッチングの入り込みが有効に抑制される。従って、水晶振動片を小型化しても、所望の外形形状が得られ、同じ平面寸法で振動領域を最大に確保でき、水晶振動子の特性を向上させかつその安定化を図ることができる。更に、本実施例では、溝24a,24bを前記連結部の幅方向に沿って部分的に設けたので、該連結部をより小さくしても、水晶振動片を支持枠部に結合支持する十分な強度を確保しながら、その折り取りを容易にすることができる。
【0029】
図3(A)〜(C)は、第2実施例の変形である本発明の第3実施例による方法を適用してATカット水晶板に加工された水晶素子片31、連結部32a,32b及び支持枠部4の形状を示している。本実施例は、各連結部32a,32bの有底の溝34a,34bがそれぞれ該連結部の幅方向に部分的に形成されている点で、第2実施例と共通する。本実施例は、+Z´側の連結部32aには、+Y´側の主面33aに該連結部の幅方向+Z´側に唯1つの溝34aが形成され、−Z´側の連結部32bには、−Y´側の主面33bに該連結部の幅方向に−Z´側に唯1つの溝34aが形成されている点で、第2実施例と異なる。
【0030】
図4(A)〜(C)は、第3実施例の変形である本発明の第4実施例による方法を適用してATカット水晶板に加工された水晶素子片41、連結部42a,42b及び支持枠部4の形状を示している。本実施例は、+Z´側の連結部42aには、+Y´側の主面43aに該連結部の幅方向−Z´側に唯1つの溝44aが形成され、−Z´側の連結部42bには、−Y´側の主面43bに該連結部の幅方向に+Z´側に唯1つの溝44aが形成されている点で、第3実施例と異なる。
【0031】
第3,第4実施例においても、第2実施例と同様の作用効果が得られる。即ち、水晶素子片31,41及び連結部32a,32b,42a,42bの外形をウエットエッチングする際に、該水晶素子片の表裏主面へのエッチングの入り込みが有効に抑制される。従って、水晶振動片を小型化しても、所望の外形形状が得られ、同じ平面寸法で振動領域を最大に確保でき、水晶振動子の特性を向上させかつその安定化を図ることができる。更に、溝34a,34b,44a,44bを前記連結部の幅方向に沿って部分的に設けたので、該連結部をより小さくしても、水晶振動片を支持枠部に結合支持する十分な強度を確保しながら、その折り取りを容易にすることができる。
【0032】
本発明は、上記実施例に限定されるものでなく、その技術的範囲内で様々な変形又は変更を加えて実施することができる。例えば、上記各実施例の水晶素子片は、平板形状以外のメサ形状又は逆メサ形状のものにしても、同様に適用することができる。また、連結部は、水晶結晶軸の配向方向が上記各実施例と同じである限り、水晶振動片の基端部以外の側辺に設けることができる。更に連結部は、水晶素子片の側辺の両端に分割するのではなく、側辺の全幅に亘って設けることもできる。
【符号の説明】
【0033】
1…水晶ウエハ、2,11,21,31,41…水晶素子片、2a,11a,21a,31a,41a…基端部、3,12a,12b,22a,22b,32a,32b,42a,42b…連結部、4…支持枠部、5…外形線、6,14a,14b,24a,24b,34a,34b,44a,44b…溝、7a,7b…縦辺、8a,8b…欠け、13a,13b,23a,23b,33a,33b,43a,43b…主面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶の結晶軸をX軸、Y軸、Z軸として、Y軸及びZ軸をX軸の回りに反時計方向に所定の角度回転させてY´軸及びZ´軸とし、Z´軸とX軸とを含む±Y´面を表裏主面として切り出したATカット水晶板をフォトエッチングすることにより、水晶振動片の外形を有する水晶素子片と、前記水晶板の支持枠部と、前記水晶素子片を前記支持枠部に結合する連結部とを加工する工程と、前記連結部を折り取ることにより前記水晶振動片を前記支持枠部から切り離す工程とを有し、
前記フォトエッチングによる加工工程において、前記連結部が、前記水晶素子片のZ´方向に延長する一方の側辺に、X方向に延長する互いに対向する各側辺に沿って延長するように、かつ前記水晶素子片の外形線に沿って有底の溝を形成するように加工され、前記有底の溝が、+Y´側の主面の+Z´側にかつ/又は−Y´側の主面の−Z´側に配置されることを特徴とする水晶振動片の加工方法。
【請求項2】
前記連結部を前記水晶素子片のZ´方向に延長する+X側の側辺に設けることを特徴とする請求項1記載の水晶振動片の加工方法。
【請求項3】
前記連結部を、前記水晶素子片をその基端部で前記支持枠部に連結するように設けることを特徴とする請求項1又は2記載の水晶振動片の加工方法。
【請求項4】
前記水晶素子片のX方向に延長する互いに対向する各側辺に沿ってそれぞれ延長するように、Z´方向に離隔した2つの前記連結部を設けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水晶振動片の加工方法。
【請求項5】
前記有底の溝を、前記連結部のZ´方向の全幅に亘って設けることを特徴とする請求項4記載の水晶振動片の加工方法。
【請求項6】
前記有底の溝を、前記連結部のZ´方向の幅に沿って部分的に設けることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水晶振動片の加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−178320(P2010−178320A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22026(P2009−22026)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】