説明

水栓装置

【課題】消費電力を抑制できる水栓装置を提供する。
【解決手段】水栓装置1は先端部14bに第1吐水口17と第2吐水口18とが設けられたスパウト14と上水道2からの水を第1吐水口17に導く第1配管4と上水道2からの水を第2吐水口18に導く第2配管5と第1吐水口17からの水の吐水と止水とを変更可能な水栓3と第2配管5に設けられた電磁弁7とスパウト14の先端部14bに検知物が近付いたか否かを検出する人体検知センサ9と人体検知センサ9がスパウト14の先端部14bに検知物が近付いたことを検出すると電磁弁7を開く制御装置12と第1吐水口17から水を吐水しているか否かを検出する流量検知センサ10を備えている。制御装置12は流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出すると電磁弁7を閉じた状態に維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作レバーの操作と、開閉弁の開閉とにより水を吐水・止水する吐水口が設けられたスパウトを備えた水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から水栓装置として、操作レバーの操作と、人体検知センサにより開閉される開閉弁とにより水を吐水・止水する水栓装置(例えば、特許文献1参照)が用いられている。この特許文献1に示された水栓装置は、先端部に吐水口が設けられたスパウトと、給水源からの水を前記吐水口に導く第1配管と、前記第1配管内の水の流れの吐水と止水とを変更して前記吐水口からの水の吐水と止水とを変更可能な操作レバーと、第2配管と、第2配管に設けられた開閉弁と、前記スパウトの前記先端部などに人体が近付いたか否かを検出する人体検知センサと、前記人体検知センサが検出した情報に基づいて前記開閉弁を制御する制御部とを備えている。
【0003】
前記第2配管は、両端が前記第1配管に接続しているとともに、前記操作レバーと並列に設けられている。前記開閉弁は、前記第2配管内を開閉して、前記第2配管内の水の流れの吐水と止水とを変更可能である。開閉弁は、前記第2配管内の水の流れの吐水と止水とを変更することで、前記吐水口からの水の吐水と止水とを変更可能である。前記制御部は、前記人体検知センサが前記スパウトの先端部に人体が近付いたことを検出すると前記開閉弁を開いて、前記第2配管内に水を流して前記吐水口から水を吐水させる。
【0004】
前述した水栓装置は、操作レバーを操作されることにより、吐水口からの水の吐水と止水とが切り替えられる。また、水栓装置は、操作レバーの操作により吐水口からの水の止水した状態であっても、人体がスパウトの先端部などに近付けられると、この人体がスパウトの先端部に近付けられたことを人体検知センサが検出して、制御部が開閉弁を開いて、吐水口から水を吐水させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−235780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載されている水栓装置は、操作レバーの操作により第1配管内に水を流して吐水口から水を吐水している状態であっても、人体検知センサが人体などを検出すると、開閉弁が開いてしまう。このため、前記水栓装置は、操作レバーの操作により第1配管内に水を流して吐水口から水を吐水している状態即ち水栓装置の使用中に、人体検知センサが頻繁に手などの人体などを検出して、開閉弁が頻繁に開閉してしまい消費電力が増加するとともに、吐水口から吐水される水の圧力が頻繁に変動してしまう傾向であった。また、意図せずに吐水されるため、無駄に水を使うものであった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、消費電力を抑制でき、節水に優れた水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る水栓装置は、先端部に第1吐水口と第2吐水口とが設けられたスパウトと、前記第1吐水口からの水の吐水と止水とを変更可能な第1バルブを操作する手動操作部と、給水源からの水を前記第1吐水口に導く第1配管と、前記第1バルブよりも前記給水源寄りの上流側で前記第1配管から分岐して前記給水源からの水を前記第2吐水口に導く第2配管と、前記第2配管に設けられかつ前記第2吐水口からの水の吐水と止水とを変更可能な第2バルブと、前記スパウトの前記先端部に検知物が近付いたか否かを検出する第1センサと、前記第1センサが前記スパウトの前記先端部に検知物が近付いたことを検出すると前記第2バルブを開いて前記第2吐水口から水を吐水させる制御部と、前記第1吐水口から水を吐水しているか否かを検出する第2センサと、を備え、前記制御部は、前記第2センサが前記第1吐水口から水を吐水していることを検出すると、前記第2バルブを閉じた状態に維持することを特徴とする。
【0009】
前記水栓装置では、第2センサが第1吐水口から水が吐水していることを検出すると、制御部が、第1吐水口とは独立した第2吐水口に水を導く第2配管に設けられた第2バルブを閉じた状態に保って、第2吐水口からの水を止水した状態に保つ。このために、手動操作部を操作して第1吐水口から水を吐水した状態において、第1センサが人体などの検知物を検出しても、第2吐水口から水が吐水されることがない。したがって、手動操作部を操作して第1吐水口から水を吐水した状態において、第2バルブが頻繁に開閉することがないので、消費電力が増加してしまうことを防止できる。また、手動操作部を操作しなくても、第1センサが人体などの検知物を検出すると、第2バルブを開くので、例えば、短時間のみの使用であれば、手などの人体の一部をスパウトの先端部に近づけるだけで、第2吐水口から水を吐水させて、使用することができる。さらに、例えば、長時間の使用であれば、手動操作部を操作することで、第1吐水口から圧力を変動させることなく、連続して第1吐水口から水を吐水させることができる。よって、消費電力を抑制できるとともに、操作性を向上させることができる。また、意図せずに吐水されることを防止できるため、節水に優れる。
【0010】
また、前記水栓装置では、前記第2配管に設けられかつこの第2配管内を通る水を加熱する加熱器を備えていることが好ましい。この水栓装置では、第2配管内の水を加熱できるので、手などの人体の一部を近づけるだけで加熱された水を直ちに第2吐水口から吐水させることができる。このために、加熱された水が吐水されることを待つ必要がなく、吐水される水を無駄なく用いることができるので、消費電力をより低減することができるとともに、操作性をより向上することができる。
【0011】
また、前記水栓装置では、前記第1センサが、前記第1吐水口と前記第2吐水口との双方よりも前記スパウトの先端寄りに設けられ、かつ、前記第2吐水口が、前記第1吐水口よりも前記第1センサ寄りに設けられていることが好ましい。この水栓装置では、第2吐水口が第1吐水口よりも第1センサ寄りに設けられているので、第2吐水口から吐水される水を使用する手などの人体の一部を確実に第1センサが検出できる。このために、第2吐水口から吐水される水の使用中に、第1センサが人体などを検出しなくなって、第2吐水口からの水が止水されてしまうことを防止できる。よって、より一層操作性を向上することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る水栓装置は、第1吐水口と第2吐水口との両方から吐水されることがないため、消費電力を抑制することができるとともに、節水に優れ、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態に係る水栓装置を示す概略構成図である。
【図2】図2は、実施形態に係る水栓装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施形態に係る水栓装置のスパウトを下方からみた平面図である。
【図4】図4は、実施形態に係る水栓装置の制御装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る水栓装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
図1は、実施形態に係る水栓装置を示す概略構成図、図2は、実施形態に係る水栓装置の構成を示すブロック図、図3は、実施形態に係る水栓装置のスパウトを下方からみた平面図、図4は、実施形態に係る水栓装置の制御装置の処理を示すフローチャートである。
【0016】
図1、図2に示す本実施形態の水栓装置1は、典型的には、建造物の流し台や洗面台に設置されて、給水源としての上水道2からの水を、前述した流し台や洗面台に向けて吐水(吐出)させるものである。
【0017】
水栓装置1は、図1及び図2に示すように、スパウト14と、第1配管4と、第2配管5と、第1バルブとしての湯水混合弁21と、第2バルブとしての電磁弁7と、加熱器8と、第1センサとしての人体検知センサ9と、第2センサとしての流量検知センサ10と、スイッチ11と、制御部としての制御装置12とを備えている。
【0018】
スパウト14は、図1に示すように、その基端部14aが流し台や洗面台の上側に設けられた基台13の後述する柱状部16の長手方向の上端部に連なっている。基台13は、流し台や洗面台の外縁部に取り付けられた厚手の平板状の基部15と、この基部15から立設しかつ外観が柱状に形成された柱状部16とを備えている。柱状部16は、その長手方向が鉛直方向と平行に設けられている。スパウト14は、図3に示すように、外観が厚手でかつ直線状に延びた帯板状に形成されている。スパウト14は、基台13の外面から流し台や洗面台の中央の上方に向かって延びている。スパウト14は、その両表面が水平方向と略平行に配置されている。
【0019】
また、スパウト14の先端部14bには、図3に示すように、第1吐水口17と、この第1吐水口17とは別体の(独立した)第2吐水口18とが設けられている。第1吐水口17と第2吐水口18とは、それぞれ、スパウト14の下面に開口している。第1吐水口17と第2吐水口18の平面形状は、それぞれ、丸形に形成されている。第1吐水口17は、スパウト14の幅方向の一方の縁部に設けられ、かつ、第2吐水口18は、スパウト14の幅方向の他方の縁部に設けられている。また、第1吐水口17は、第2吐水口18よりもスパウト14の基端部14a寄りに設けられている。即ち、第2吐水口18は、第1吐水口17よりもスパウト14の先端寄り即ち人体検知センサ9寄りに設けられている。第1吐水口17内には、吐水する水の流れを整流する整流板が設けられている。第2吐水口18内には、吐水する水を泡沫させるフィルタが設けられている。
【0020】
第1配管4は、本実施形態では二本設けられている。一方の第1配管4は、一端が給水源としての上水道2に接続しているとともに、他端が水栓3の湯水混合弁21に接続している。他方の第1配管4は、一端が湯水混合弁21に接続しているとともに、他端が基台13とスパウト14内に通されて、第1吐水口17に接続している。第1配管4は、上水道2からの水を第1吐水口17に導く。また、湯水混合弁21には、給湯器19からの管20が接続している。このため、第1配管4は、上水道2と給湯器19とからの少なくとも一方の水(湯)を第1吐水口17に導く。即ち、第1配管4は、上水道2と給湯器19とからの一方の水(湯)を第1吐水口17に導くとともに、上水道2とからの水と給湯器19とからの湯を混合して第1吐水口17に導く。
【0021】
第2配管5は、第1配管4とは別体であり(独立し)、一端が上水道2寄りの第1配管4に接続しているとともに、基台13とスパウト14内に通されて、第2吐水口18に接続している。第2配管5の一端は、第1配管4の管20との接続部即ち湯水混合弁21よりも上水道2寄りの箇所に接続している。第2配管5は、湯水混合弁21よりも上水道2寄りの上流側で第1配管4から分岐して、第1配管4を介して、上水道2からの水を第2吐水口18に導く。本実施形態では、第1配管4は、大流量で水などを流し台や洗面台に供給するとともに、第2配管5は、小流量で水などを流し台や洗面台に供給する。よって、第1配管4は、洗い物などの比較的長時間、大量の水を使用するために用いられ、第2配管5は、手洗いなどの比較的短時間、少量の水を使用するために用いられる。
【0022】
水栓3は、第1配管4に設けられた第1バルブとしての湯水混合弁21(図1及び図2に示す)と、水栓本体22とを備えている。湯水混合弁21は、水栓本体22の後述する柱状部22aの内部に設けられ、後述する操作レバー6の操作により作動状態が変化されて、上水道2からの水と給湯器19からの湯との混合比率及びこれらの流量を調節(変更)するとともに、第1配管4内の流路の開閉即ち第1配管4を通して流される水の吐水と止水を行なう。
【0023】
水栓本体22は、柱状部22aと、柱状部22aの上端部に取り付けられた操作レバー6とを備えている。柱状部22aは、流し台や洗面台の上側に設けられ、かつ、基台13の柱状部16と間隔をあけて平行に設けられている。柱状部22aは、外観が柱状に形成されている。柱状部22aは、その長手方向が鉛直方向と平行に設けられている。
【0024】
操作レバー6は、柱状部22aの上端部に取り付けられた円筒状部23と、この円筒状部23の外周面に一端部が連なった手動操作部としての操作片部24とを備えている。円筒状部23は、上側が閉塞された円筒状に形成されているとともに、柱状部22aと同軸に設けられている。操作片部24は、円筒状部23の外周面からこの円筒状部23の外周方向に直線状に延びている。操作レバー6は、円筒状部23及び操作片部24が柱状部22aの軸心回りに回動自在に設けられている。また、操作レバー6は、その操作片部24の他端部が鉛直方向に変位するように、前記一端部を中心として揺動自在に設けられている。
【0025】
水栓3は、前記操作片部24の一端部を中心として揺動されることで、上水道2と給湯器19とのうちの少なくとも一方からの水を第1吐水口17に供給したり、この水の第1吐水口17への供給を停止したりするとともに、この水の第1吐水口17への供給量を変更する。こうして、水栓3の操作片部24は、第1吐水口17からの水の吐水と止水とを変更可能であるとともに第1吐水口17から吐水される水の流量を変更可能な湯水混合弁21を操作する。また、水栓3の操作片部24は、柱状部22aの軸心回りに回動されることで、上水道2からの水と給湯器19からの湯の混合比率を変更な湯水混合弁21を操作する。
【0026】
電磁弁7は、第2配管5に設けられている。電磁弁7は、第2配管5内の流路の開閉即ち第2配管5を通して流される水の吐水と止水を行なう。
【0027】
加熱器8は、上水道2の圧力が閉弁時に常に作用しないために、第2配管5の電磁弁7よりもスパウト14寄りに設けられている。即ち、電磁弁7が、加熱器8よりも給水源としての上水道2寄りに設けられている。加熱器8は、第2配管5に連通した加熱通路と、加熱通路に近接して設けられてこの加熱通路を加熱するヒータとを備えている。加熱通路は、ヒータとの接触面積を拡大するために、複数の折返し部を有する往復の形状となっている。加熱通路は、その内側に第2配管5内の水が通される。ヒータは、加熱通路を介して、この加熱通路内の水を加熱して昇温させる。
【0028】
ヒータは、人体検知センサ9が人体などの検知物を検知すると、予め定められた一定時間、通電される。ヒータとして、通電されると発熱する発熱密度に優れた板状のセラミックヒータを用いることができるが、これに限定されることなく、例えば、シーズヒータやマイカヒータ等、様々な形式のヒータを用いることができる。加熱器8は、ヒータが通電されている間に生み出す熱によって、加熱通路内を流れる水を昇温させる。これによって、加熱器8は、給水源としての上水道2から加熱通路に供給される水を、加熱通路内を通過する過程で昇温させる。このようにして、加熱器8は、加熱通路の入り口から出口の間で水を昇温させることにより、第2配管5内を通す水を連続して加熱して、温水を連続して生成する。
【0029】
人体検知センサ9は、図3に示すように、スパウト14の先端部14bに設けられている。また、人体検知センサ9は、スパウト14の前述した下面に露出して設けられ、かつ第1吐水口17と第2吐水口18との双方よりもこのスパウト14の先端寄りに設けられている。このため、第2吐水口18が、第1吐水口17よりも人体検知センサ9寄りに設けられている。人体検知センサ9は、周知の赤外線式、光電式などの検知センサを用いることができ、所定の感知エリア内に手などの人体の一部や各種の食器などの検知物が侵入すると、この検知物を検出する非接触式のセンサである。人体検知センサ9は、スパウト14の先端部14bの下方に手などの検知物が位置付けられると、この手などの検知物が近付いたことを検出する。人体検知センサ9は、検出した結果を制御装置12に向かって出力する。
【0030】
流量検知センサ10は、スパウト14寄りの第1配管4の湯水混合弁21と第1吐水口17との間に設けられている。流量検知センサ10は、周知の羽根車式、カルマン渦式、電磁式の流量センサを用いることができ、第1配管4内の水が流れているか否か即ち第1吐水口17から水を吐水しているか否かを検出する。流量検知センサ10は、第1吐水口17から水を吐水していることを検出すると、この第1吐水口17から水を吐水していることを検出したことを示す情報を制御装置12に向かって出力する。
【0031】
スイッチ11は、基台13の基部15上に設けられている。スイッチ11は、押圧操作がされる。スイッチ11は、押圧操作がされると、この押圧操作がされたことを示す情報を制御装置12に向かって出力する。
【0032】
制御装置12は、図示しないRAM、ROM、CPU、入出力ポート及び記憶装置を備えた演算装置である。制御装置12の入力ポートには、少なくとも人体検知センサ9と流量検知センサ10とスイッチ11が接続している。制御装置12の出力ポートには、少なくとも電磁弁7と加熱器8が接続している。制御装置12は、人体検知センサ9が検出したスパウト14に手などの検知物が近付いたことを示す情報と、流量検知センサ10が検出した第1吐水口17から水を吐水しているか否かを示す情報と、スイッチ11が押圧操作されたことを示す情報とに基づいて、水栓装置1全体の制御をつかさどる。
【0033】
制御装置12は、スイッチ11が押圧操作されたことを示す情報が入力すると、人体検知センサ9が手などの検知物を検出すると加熱器8のヒータへ電力を供給する状態(即ち、加熱器8のヒータに電力を供給可能な状態)と、人体検知センサ9が手などの検知物を検出しても加熱器8のヒータへ電力を供給しない状態(即ち、加熱器8のヒータへの電力を供給しない状態)とを切替る。制御装置12は、加熱器8のヒータに電力を供給可能な状態で、スイッチ11から押圧操作されたことを示す情報が入力すると、加熱器8のヒータへの電力を供給しない状態に切り替わる。制御装置12は、加熱器8のヒータに電力を供給しない状態で、スイッチ11から押圧操作されたことを示す情報が入力すると、加熱器8のヒータに電力を供給可能な状態に切り替わる。
【0034】
また、制御装置12は、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出していない状態即ち水栓3の湯水混合弁21が閉じている状態で、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出すると、電磁弁7を開いて、第2配管5を通して第2吐水口18から水を吐水させる。また、制御装置12は、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出しないと、電磁弁7を閉じて、第2配管5を通して第2吐水口18からの水を止水する。制御装置12は、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出している状態即ち水栓3の湯水混合弁21が開いている状態で、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出しても、電磁弁7を閉じたままとする。
【0035】
さらに、制御装置12は、電磁弁7が開いて第2配管5を通して第2吐水口18から水を吐水している状態で、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出すると即ち水栓3が操作されて湯水混合弁21が開かれると、電磁弁7を閉じて第2吐水口18からの水を止水する。
【0036】
また、制御装置12は、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出している状態で、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出した後に第1吐水口17から水を吐水していることを検出しなくなっても、電磁弁7を閉じた状態に保って第2吐水口18からの水を止水する。そして、制御装置12は、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出していないと、一旦、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出しなくなってから、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出すると、電磁弁7を開く。
【0037】
さらに、制御装置12は、図4に一例が示されるフローチャートを繰り返し実行している。なお、ステップS1では、制御装置12は、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出しているか否かを判定し、吐水していることを検出していると判定するとステップS6に進み、吐水していることを検出していないと判定するとステップS2に進む。なお、ステップS1以前では、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出していない即ち水栓3の湯水混合弁21が閉じている。こうして、ステップS1以前の状態では、第1吐水口17と第2吐水口18との双方からの水が止水されている。
【0038】
ステップS2では、制御装置12は、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出しているか否か即ちスパウト14の先端部14bに手などの検知物が近付いたか否かを判定する。ステップS2では、制御装置12は、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出しているとステップS3に進み、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出していないとステップS1に戻る。このように、第1吐水口17と第2吐水口18との双方からの水が止水されている状態では、ステップS1からステップS2を繰り返すこととなり、人体検知センサ9と流量検知センサ10とのいずれかが検知物又は吐水していることを検出するまで、第1吐水口17と第2吐水口18との双方からの水が止水されている状態が維持される。
【0039】
また、制御装置12は、ステップS1において流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出していると判定するとステップS6に進むことで、水栓3が操作されて湯水混合弁21が開かれている間、人体検知センサ9が検知物がスパウト14の先端部14bに近付いたことを検出しても、電磁弁7を開かない。このように、制御装置12がステップS1からステップS6に進むことで、水栓装置1は、手などの検知物がスパウト14の下方に位置付けられることなく、水栓3が操作されて湯水混合弁21が開かれても、第1吐水口17のみから水を吐水する。
【0040】
ステップS3では、制御装置12は、電磁弁7を開いて、ステップS4に進む。こうして、水栓装置1は、第2吐水口18から水を吐水させる。ステップS4では、制御装置12は、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出しているか否かを判定し、吐水していることを検出していると判定するとステップS6に進み、吐水していることを検出していないと判定するとステップS5に進む。こうして、制御装置12は、第2吐水口18から水を吐水している状態で、ステップS4で流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出していると判定する即ち第1吐水口17から水が吐水されると、電磁弁7を閉じて(電磁弁7を閉じた状態に維持して)第2吐水口18からの水を吐水する。
【0041】
ステップS5では、制御装置12は、人体検知センサ9が検知物がスパウト14の先端部14bに近付いたことを検出しているか否かを判定して、検知物がスパウト14の先端部14bに近付いたことを検出していると判定するとステップS4に戻り、検知物がスパウト14の先端部14bに近付いたことを検出していないと判定するとステップS10に進む。こうして、制御装置12は、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出していない状態で人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出すると、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出している間、電磁弁7を開いて、第2吐水口18から水を吐水する。ステップS10では、制御装置12は、電磁弁7を閉じて、ステップS1に戻る。
【0042】
ステップS6では、制御装置12は、電磁弁7を閉じる又は閉じた状態を維持して、ステップS7に進む。ステップS7では、制御装置12は、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出しているか否か即ちスパウト14の先端部14bに検知物が近付いたか否かを判定する。ステップS7では、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出しているとステップS8に進み、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出していないとステップS7を繰り返す。ステップS8では、制御装置12は、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出しているか否かを判定し、吐水していることを検出していると判定するとステップS7に戻り、吐水していることを検出していないと判定するとステップS9に進む。
【0043】
ステップS8において、制御装置12は、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出していると判定するとステップS7に戻ることで、水栓3が操作されて湯水混合弁21が開かれている間中ステップS7及びステップS8を繰り返すことになり、人体検知センサ9が検知物がスパウト14の先端部14bに近付いたことを検出しても、電磁弁7を開かない(電磁弁7を閉じた状態に維持する)。
【0044】
ステップS9では、制御装置12は、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出しているか否か即ちスパウト14の先端部14bに手などの検知物が近付いたか否かを判定する。ステップS9では、制御装置12は、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出しているとステップS9を繰り返し、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出していないとステップS1に戻る。ステップS9において、制御装置12は、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出しているとステップS9を繰り返すことで、水栓3が操作されて湯水混合弁21が閉じられても、人体検知センサ9が検知物がスパウト14の先端部14bに近付いたことを検出している間中、電磁弁7を開かない(電磁弁7を閉じた状態に維持する)。
【0045】
こうして、制御装置12が、人体検知センサ9がスパウト14の先端部14bに検知物が近付いたことを検出している状態で、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出した後に第1吐水口17から水を吐水していることを検出しなくなっても、電磁弁7を閉じた状態に保って、第2吐水口18からの水を止水する状態に保つ。要するに、制御装置12は、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを一旦検出すると、即ち、水栓3の操作により第1吐水口17から水を一旦吐水すると、人体検知センサ9が一旦検知物を検出しなくなるまで、第2吐水口18から水を吐水させない。また、ステップS9において、制御装置12は、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出していないとステップS1に戻ることで、一旦、人体検知センサ9が検知物が近付いたことを検出しなくなってから、電磁弁7を開くことを許容する。そして、制御装置12は、ステップS1からステップS9までを繰り返し実行する。
【0046】
なお、前述した電磁弁7と加熱器8と制御装置12は、流し台のシンクや洗面台の洗面器などの下方に設けられている。
【0047】
前述した構成の水栓装置1は、水栓3が操作されて湯水混合弁21が開くと、電磁弁7が閉じて、第1吐水口17から比較的大流量の水を連続して吐水する。水栓装置1は、湯水混合弁21が開いた状態で、水栓3の操作片部24が回転されることで、上水道2からの水と給湯器19からの湯の混合比率を変更して、第1吐水口17から吐水する水の温度を適宜変更することができる。
【0048】
また、水栓装置1は、湯水混合弁21が閉じた状態で、手などの検知物をスパウト14の先端部14bの下方に近づけると、電磁弁7が開いて、第2吐水口18から比較的小流量の水を吐水する。水栓装置1は、スイッチ11を操作して、人体検知センサ9が検知物を検出してから加熱器8のヒータに通電することで、加熱通路即ち第2配管5を通る水を連続して昇温させて、第2吐水口18から吐水される水を温水とすることができる。
【0049】
上記のように構成された水栓装置1は、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出すると、制御装置12が、第1吐水口17とは独立した第2吐水口18に水を導く第2配管5に設けられた電磁弁7を閉じた状態に保って、第2吐水口18からの水を止水した状態に保つ。このために、水栓3を操作して第1吐水口17から水を吐水した状態において、人体検知センサ9が検知物を検出しても、第2吐水口18から水が吐水されることがない。
【0050】
したがって、水栓3を操作して第1吐水口17から水を吐水した状態において、電磁弁7が頻繁に開閉することがないので、消費電力が増加してしまうことを防止できる。また、水栓3を操作しなくても、人体検知センサ9が検知物を検出すると、電磁弁7を開くので、例えば、短時間のみの使用であれば、手などの検知物をスパウト14の先端部14bに近づけるだけで、第2吐水口18から水を吐水させて、使用することができる。さらに、例えば、長時間の使用であれば、水栓3を操作することで、第1吐水口17から圧力を変動させることなく、連続して第1吐水口17から水を吐水させることができる。よって、消費電力を抑制できるとともに、操作性を向上させることができる。
【0051】
また、前記水栓装置1では、第2配管5内を通る水を加熱器8が加熱でき、加熱器8が人体検知センサ9の検知物の検出後に通電されるヒータにより加熱される複数の折返し部を有する加熱通路を備えているので、手などの検知物を近づけるだけで加熱された水を直ちに第2吐水口18から吐水させることができる。このために、加熱された水が吐水されることを待つ必要がなく、吐水される水を無駄なく用いることができるので、消費電力をより低減することができるとともに、操作性をより向上することができる。また、加熱器8のヒータが人体検知センサ9の検知物の検出後に通電されるので、この加熱器8のヒータの消費電力を抑制することができ、水栓装置1全体の消費電力を抑制することができる。
【0052】
また、前記水栓装置1では、電磁弁7が加熱器8よりも給水源としての上水道2寄りに設けられているので、加熱器8を耐圧構造とする必要が生じない。このために、大型化を抑制できるとともに、コストの高騰を抑制することができる。
【0053】
さらに、前記水栓装置1では、第2吐水口18から水を吐水している状態で、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを検出すると電磁弁7を閉じるので、第2吐水口18から水を吐水している状態であっても水栓3が操作されると、この水栓3の操作通りに、水を第1吐水口17のみから吐水することができる。よって、より操作性を向上することができる。
【0054】
また、前記水栓装置1では、流量検知センサ10が第1吐水口17から水を吐水していることを一旦検出すると、即ち、水栓3の操作により第1吐水口17から水を一旦吐水すると、人体検知センサ9が一旦検知物を検出しなくなるまで、第2吐水口18から水を吐水させることがない。このために、水栓3の操作により第1吐水口17からの水を止水した直後に、人体検知センサ9の検知物の検出により第2吐水口18から水が吐水されることを防止できる。よって、吐水される水の無駄を抑制できるとともに、消費電力をより一層低減することができる。
【0055】
また、前記水栓装置1では、第2吐水口18が第1吐水口17よりも人体検知センサ9寄りに設けられているので、第2吐水口18から吐水される水を使用する手などの検知物を確実に人体検知センサ9が検出できる。このために、第2吐水口18から吐水される水の使用中に、人体検知センサ9が検知物などを検出しなくなって、第2吐水口18からの水が止水されてしまうことを防止できる。よって、より一層操作性を向上することができる。
【0056】
前述した実施形態では、第2バルブとして電磁弁7を示しているが、本発明は、これに限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の方式の弁を用いても良い。本発明では、人体検知センサと流量検知センサとして、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の形式のセンサを用いても良い。さらに、本発明では、加熱器として、複数の折返し部を有しかつヒータにより加熱される加熱通路を備えた加熱器8を示しているが、本発明は、これに限定されることなく、種々の形式の加熱器を用いることができる。
【0057】
また、前述した実施形態では、制御装置12が、図4に一例が示されたフローチャートを繰り返し実行しているが、本発明の目的を達成できる範囲内で、制御装置12が繰り返し実行するフローチャートを適宜変更しても良いことは勿論である。さらに、前述した実施形態では、第2配管5の一端を第1配管4に接続して設けたが、本発明では、第2配管5の一端を給水源に直接接続しても良い。さらに、本発明では、給水源として上水道2に限らず、種々の給水源を用いることができる。また、前述した実施形態では、第2センサとして、第1配管4内の水の流れを検出する流量検知センサ10を用いたが、本発明では、第1吐水口17から水が吐水されているか否かを検出する第2センサとして、操作片部24の開操作を検出するセンサを用いても良い。
【0058】
なお、上述した本発明の実施形態に係る水栓装置1は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用の可能性】
【0059】
以上のように、本発明は、操作レバーの操作と人体検知センサの検知により吐水口から水を吐水する水栓装置に有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 水栓装置
2 上水道(給水源)
4 第1配管
5 第2配管
6 操作レバー
7 電磁弁(第2バルブ)
8 加熱器
9 人体検知センサ(第1センサ)
10 流量検知センサ(第2センサ)
12 制御装置(制御部)
14 スパウト
14b 先端部
17 第1吐水口
18 第2吐水口
21 湯水混合弁(第1バルブ)
24 操作片部(手動操作部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に第1吐水口と第2吐水口とが設けられたスパウトと、
前記第1吐水口からの水の吐水と止水とを変更可能な第1バルブを操作する手動操作部と、
給水源からの水を前記第1吐水口に導く第1配管と、
前記第1バルブよりも前記給水源寄りの上流側で前記第1配管から分岐して前記給水源からの水を前記第2吐水口に導く第2配管と、
前記第2配管に設けられかつ前記第2吐水口からの水の吐水と止水とを変更可能な第2バルブと、
前記スパウトの前記先端部に検知物が近付いたか否かを検出する第1センサと、
前記第1センサが前記スパウトの前記先端部に検知物が近付いたことを検出すると前記第2バルブを開いて前記第2吐水口から水を吐水させる制御部と、
前記第1吐水口から水を吐水しているか否かを検出する第2センサと、を備え、
前記制御部は、前記第2センサが前記第1吐水口から水を吐水していることを検出すると、前記第2バルブを閉じた状態に維持することを特徴とする、
水栓装置。
【請求項2】
前記第2配管に設けられかつこの第2配管内を通る水を加熱する加熱器を備えた、
請求項1に記載の水栓装置。
【請求項3】
前記第1センサが、前記第1吐水口と前記第2吐水口との双方よりも前記スパウトの先端寄りに設けられ、かつ、
前記第2吐水口が、前記第1吐水口よりも前記第1センサ寄りに設けられている、
請求項1又は請求項2に記載の水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−7245(P2013−7245A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142239(P2011−142239)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】