説明

水槽を有した流し台

【課題】材料を厚くしたり、補強をおこなうなどして水槽の底部の強度を補うことを要しない水槽を有した流し台を提供すること。
【解決手段】平面視で幅方向の内法が75〜85cmである横長の水槽1内の一側壁に、水槽1の本体11内方側を開放として平面視で奥行方向の内法が9〜12cmである横長の側方膨出部2を設け、側方膨出部2に、下方に膨出する側方膨出部底部6を備えるとともに、側方膨出部6に納まる口径を有する膨出部排水口61を配した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一側壁に水槽の本体内方側を開放とする側方膨出部を設けた水槽を有した流し台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、側方膨出部を有する水槽で排水口が膨出部にのぞむものが知られている。一般にこの排水口は規格サイズ相当の口径(例えば、口径約180mm)の排水装置が取り付けられる。この排水装置を取り付けるために水槽底部に、当該排水装置と同等の口径の開口部を設けている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−297824号公報(第5頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、排水装置の直径が大きいために排水口が膨出部にのぞむものの、排水口は膨出部に完全には収まらず、また口径の大きな開口部が水槽の底部にあるため、水槽底部に大きな荷重をかけた場合開口部に大きな応力が生じるため、材料を厚くする必要があり、更に樹脂製の水槽であれば繊維強化樹脂などでの補強を必要とするという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、材料を厚くしたり、補強をおこなうなどして水槽の底部の強度を補うことを要しない水槽を有した流し台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の水槽を有した流し台は、
平面視で幅方向の内法が75〜85cmである横長の水槽内の一側壁に、該水槽の本体内方側を開放として平面視で奥行方向の内法が9〜12cmである横長の側方膨出部を設け、該側方膨出部に、下方に膨出する平面視で横長の側方膨出部底部を備えるとともに、該側方膨出部底部に納まる口径を有する膨出部排水口を配したことを特徴としている。
この特徴によれば、水槽底部に強度に不利な大きな開口である排水口を水槽本体の本体底部から膨出部へ移せたことで、本体底部の強度が軽減され、材料の厚みを薄くできるばかりか、水槽内の寸法を、例えば中華なべ等を入れることができる程度に十分に確保できるとともに、汎用性の高い間口が90〜105cmのキャビネットであれば水槽の下方を該キャビネットに収めることが可能で、また膨出部排水口の直径を所定長(45〜55mm)以上得られながら、側方膨出部底部は平面視で横長であるため、横方向寸法は前記膨出部排水口直径より大きくでき、該側方膨出部底部に例えば厨芥捕獲用のゴミカゴを収容する場合でも、該ゴミカゴの容量を排水口の大きさに影響されず十分に確保できるという利点がある。
【0007】
本発明の水槽を有した流し台は、
前記水槽は樹脂製から成ることを特徴としている。
この特徴によれば、材料の厚みを極力薄くでき、更に繊維強化樹脂などによる底部の補強をおこなう場合でも、補強を軽減できる。
【0008】
本発明の水槽を有した流し台は、
前記水槽の本体底部は、前記側方膨出部底部に連接する部分が該本体底部で最も低く、前記膨出部排水口を配した側方膨出部に対向する水槽の側壁に連接する部分にかけて、該本体底部が漸次高くなることを特徴としている。
この特徴によれば、従来は、排水口が本体底面の中央寄りにあることから本体底面の排水用の傾斜を排水口の中心へ向けてすり鉢状の曲面にしなければならなかったが、排水口を水槽の本体底面から膨出部内に完全に移したことで、膨出部へかけて傾斜をつければ平面形状でもよく、本体底面の形状を簡易にすることができる。これにより成型のための金型の製作等が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1における水槽を示す斜視図である。
【図2】実施例1における水槽を示す側断面図である。
【図3】(a)は、実施例1における側方膨出部を示す斜視図であり、(b)は、同じくエプロンを取付けた状態を示す斜視図であり、(c)は、同じくエプロンの背面を示す斜視図である。
【図4】(a)は、実施例1における収納器を示す斜視図であり、(b)は、変形例における収納器を示す斜視図である。
【図5】実施例1における水切りかごを示す斜視図である。
【図6】従来例における水槽のFEMによる応力解析を示した底面斜視図である。
【図7】図6と同じく平面斜視図である。
【図8】実施例1における水槽のFEMによる応力解析を示した底面斜視図である。
【図9】図8と同じく平面斜視図である。
【図10】実施例2における水槽のFEMによる応力解析を示した底面斜視図である。
【図11】図10と同じく平面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る水槽を有した流し台を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0011】
実施例1に係る水槽を有した流し台につき、図1から図5と図8,9を参照して説明する。以下、図1,図5の左下方向及び図2の左方向を、水槽を有した流し台の手前方向として説明する。尚、図6〜11は、周知の数値解析手法であるFEM(有限要素法)により強度解析したものであり、図示でグレーが濃い部分には大きな応力がかかっている。
【0012】
先ず水槽の底面の強度について説明する。図1に示されるように、流し台が有する水槽1は、上方が開口され、平面視で奥行き寸法よりも横長であって幅方向の内法が75〜85cmに形成されてなる。水槽1の奥側側面の一部はさらに奥側に入り込み平面視で奥行方向の内法が9〜12cmである側方膨出部2が形成されてなる。側方膨出部2は平面視で奥行き寸法よりも横長となっている。側方膨出部2に隣接するデッキ部3には、図示しない水栓を取付けることが可能でその高さは天板上面4より低く平面状となる。側方膨出部2の側方膨出部底部6は水槽1の本体底部5より更に下方に膨出し平面視で横長に形成されてなる。この側方膨出部底部6には排水装置を接続する側方膨出部底部6に納まる程度の比較的小口径の膨出部排水口61が開口されている。
【0013】
これにより、図6、7に示す従来例の水槽100では、排水口が本体底面のほぼ中央でかつ大径であったため水槽本体底面915に荷重をかけると排水口91である開口部に比較的大きな応力がかかっていたが、図8,9に示す本実施例の水槽1では、排水口を小径にし奥側に配せたことで膨出部排水口61である開口部にかかる応力を小さく抑えることができる。
【0014】
また、水槽1底部に強度に不利な大きな開口である排水口を水槽本体の本体底部5から膨出部へ移せたことで、本体底部5の強度が軽減され、材料の厚みを薄くできるばかりか、水槽1内の寸法を、例えば中華なべ等を入れることができる程度に十分に確保できるとともに、汎用性の高い間口が90〜105cmのキャビネットであれば水槽1の下方を該キャビネットに収めることが可能で、また膨出部排水口61の直径を所定長(45〜55mm)以上得られながら、側方膨出部底部6は平面視で横長であるため、横方向寸法は膨出部排水口61直径より大きくでき、側方膨出部底部6に例えば厨芥捕獲用のゴミカゴを収容する場合でも、該ゴミカゴの容量を排水口の大きさに影響されず十分に確保できるという利点がある。
【0015】
また、水槽1の底面強度を軽減できるため、水槽1が樹脂製であれば、材料を極力薄くできたり、更に繊維強化樹脂などによる水槽1の底面の補強をおこなう場合でも、補強を軽減することが可能となる。膨出部排水口61周辺の変形もなくなるため水漏れも防止することができる。FEMの解析結果をみると、水槽底面の応力は、図6に示す従来例の水槽100に比べ、図8に示す本発明に係る実施例の水槽1の方が小さく、排水口の周辺で比較すると、図6に示す従来例の水槽100では排水口周辺にも大きな応力が掛かっている。
【0016】
次に、水槽に排水を勢いよく流した場合に排水の跳ね上がりが抑制できることを説明する。図2において水槽本体11と側方膨出部2の境界にはエプロン7がその下方を本体底部5と略等しい高さから立設し、本体底部5と側方膨出部底部6の境界には、排水を誘導する排水案内路62がエプロン7の手前から側方膨出部底部6にかけて形成されている。
【0017】
エプロン7は、その下方が本体底部5と略等しい高さから立設しているため、勢いよく水槽1に流した排水はこのエプロン7に一時的に堰き止められるように勢いをそがれる。そして勢いをそがれた排水は、エプロン7の下端と排水案内路62で形成される排水入り口621から膨出部排水口61へと導かれる。排水は勢いをそがれており側方膨出部奥壁21に当たっても跳ね上がることが少ないため、収納器221の底部に排水が降りかかることがなく、収納器221の汚れを軽減できる。
【0018】
またエプロン7を、その厚みが略全面にわたり等しい板状の構造とすることで、水槽1が例えばBMCなどの圧縮成型で生産される場合は、水槽1と同じ材料、同じ工法を利用できるため、エプロン7を水槽1と同じ質感にすることができ、見栄えをよくすることができる。
【0019】
更に、膨出部排水口61が完全に側方膨出部2内に納まることで、水槽本体11の底部には排水口を配さず、またエプロン7で隠蔽されるため、底部を有効に使用できるばかりか、従来、本体底部の中央に排水口があった水槽では、前記排水口を塞ぐ蓋が熱可塑性樹脂の場合に、加熱された調理器具を前記水槽内に入れる際に熱変形を避ける等の注意を必要としたが、その必要がなくなる。
【0020】
次に、収納器について説明する。図4(b)に示されるように、収納器222は本発明に係る収納器の変形例で、図4(a)に示す前述した収納器221がワイヤーで構成されていたのに対し、排水用の孔をあけた板状部材で構成している。収納器底部が線材から板材にすることで、排水と一緒に跳ね上がったゴミがワイヤーの場合の収納器221に比べ、収納器222にからみ難くなる。
【0021】
また、収納器底部2221は、板状で排水のための孔が最小限開いただけなので、更に下から跳ね上がる収納器222内への水の侵入を抑えられる。また、排水に混じったゴミ等の異物も跳ね上げられるが、最小限の孔であるため、異物が孔に引っかかり付着することも抑制できる。
【0022】
また収納器221,222は、それぞれ前面部と収納器底部2211,2221とで構成され、背面は水槽1の側方膨出部奥壁21、および側面は水槽1の側方膨出部側壁26で囲まれており、これら水槽1の部位を利用することで収納器を簡易な構造とすることができ、また該収納器を取り外せば容易に手入れもできる。
【0023】
次に、意匠性について説明する。図3(a),(b)に示されるように、膨出部排水口61は側方膨出部底部6の中に完全に納まる大きさで、且つ側方膨出部底部6と水槽本体11との境界にはエプロン7が立設しており、膨出部排水口61の上方に収納器221があるために、完全に膨出部排水口61を隠蔽することができ、水槽をすっきりみせることができる。また従来のように排水口を隠蔽し常に排水に晒される蓋が不要になるため、排水口の手入れが容易となる。
【0024】
次に、側方膨出部2まわりについて説明する。側方膨出部底部6には、ゴミを捕獲する図示しないストレーナを備える。排水入り口621より大きなゴミはここで捕獲できるが、それより小さなゴミは前記ストレーナで捕獲し、図示しない排水管へのゴミの流出を防止する。
【0025】
また、図4(a),(b)に示されるように、収納器221、222は側面視で略L字状であり、図3(a)に示す左右の側方膨出部側壁26には収納器221、222の底部の左右が載置される段部23が形成される。また側方膨出部側壁26の段部24には、収納器221、222の立設部の左右が係合される。このように収納器221、222の底部および立設部が側方膨出部側壁26の段部23、段部24に着脱自在に支えられるため、物品を収納器221、222に収納した状態では、該収納器221、222が前に傾こうとする場合は段部24で、後ろに傾こうとする場合は段部23で動きを阻止でき安定して収納することができる。
【0026】
更に、図3(a)に示されるように、左右の側方膨出部側壁26上部には凸部25が形成され、図3(c)に示すエプロン7の裏面上部の側面視で略J字状の係合部71と上方に着脱自在に係合される。係合部71は略J字状であるために凸部25を前後および上方から係合され、かつエプロン7の重心よりも高い位置で係合されるため、着脱が容易にもかかわらず安定して取り付くことができる。
【0027】
更に、樹脂製の水槽であれば前記段部23、段部24および凸部25は一体に成型でき、段部23、段部24および凸部25と側方膨出部側壁26との連接部分は滑らかなR形状とすることで、段部にピンなど利用した場合に比べて汚れが付着しても除去しやすい。
【0028】
次に、本体底部5について説明する。図2に示されるように、本体底部5は使用者の手前から奥にかけて緩やかに下り傾斜し、本体底部5と側方膨出部底部6の境界を最も低くするだけで排水が確実にできる。したがって、従来は、排水口が水槽本体底部の中央寄りにあることから本体底部の排水用の傾斜を排水口の中心に向けてすり鉢状の曲面にしなければならなかったが、本発明の膨出部排水口61を水槽本体底部5から側方膨出部2内に完全に移したことで、水槽本体底部5は傾斜をつければ平面形状でもよく、構造を簡易にすることができ、すなわち成型のための金型の製作等が容易となる。
【0029】
次に、図5に示されるように、水切りかご81や、図示しない水きりプレート若しくはまな板などを掛け渡せる構造について説明する。前記デッキ部3とエプロン7の上部高さを等しくし、かつ滑らかに連接させることで、前記デッキ部またはエプロン7と天板上面前縁41との間に、水切りかご81や、図示しない水きりプレート若しくはまな板などを掛け渡すことができ、滑らかに連接していることでスライド自在とすることができる。
【0030】
また、エプロン7は前述のとおり安定して載置するので、水切りかご81や、図示しない水きりプレート若しくはまな板なども安定して載置できる。
【0031】
更に、図3(a)に示されるように、側方膨出部側壁26に、エプロン7の少なくとも下方の左右端を後方から支持する段部27を設けることで、エプロン7は少なくとも上下の四隅を支えられ更に安定し、水切りかご81、図示しない水きりプレート若しくはまな板などをより安定して支持することができる。
【0032】
更にまた、図5に示されるように、水切りかご81や、図示しない水きりプレート若しくはまな板などの水切りかご前端部811には、側面視で略L字状で水平な天板上面前縁41に載置させる被載置部を構成し、水切りかご前端部811に対向する後方側には側面視で略L字状で、水平なデッキ部3または/及びエプロン7に載置される被載置部となる水切りかご後端部812を構成し、かつ水切りかご前端部811と水切りかご後端部812の高さの差は、デッキ部3と天板上面前縁41の高さの差と等しい。このような構造とすることで、これら水槽1の部位を利用することで、収納器を簡易な構造とすることができ、また収納器を取り外せば容易に手入れができるばかりか、水切りかご81や、図示しない水きりプレート若しくはまな板などを水平に支持することが可能となる。
【0033】
次に、水槽1の清掃性について説明する。図1に示されるように、水槽1前部は天板上面前縁41と本体底部5の間までには段差がなく、水槽1後部は天板上面4とデッキ部3との間までには段差がなく、デッキ部3と本体底部5の間までには段差はなくかつ角部および隅部は滑らかなR形状に形成されている。これにより水槽1は段部を少なくでき、かつ角部および隅部が滑らかなR形状とすることで清掃性が向上する。
【実施例2】
【0034】
次に、実施例2に係る水槽を有した流し台につき、図10、図11を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
水槽51は、上方が開口され、平面視で奥行き寸法より横長に形成されてなる。水槽51の奥側側面の一部はさらに奥側に入り込んだ側方膨出部52が形成されてなる。側方膨出部52は平面視で奥行き寸法より横長となっている。側方膨出部52に隣接するデッキ部3には、図示しない水栓を取付けることが可能でその高さは天板上面4より低く平面状となる(図1参照)。側方膨出部52の側方膨出部底部56は、水槽51の本体底部55と同じ高さにしてなる。この側方膨出部底部56には排水装置を接続する側方膨出部底部56の納まる程度の小径の膨出部排水口92が開口されている。
【0036】
これにより、図6、7に示す従来例の水槽100では、排水口が本体底面のほぼ中央でかつ大径であったため水槽本体底面915に荷重をかけると排水口91である開口部に比較的大きな応力がかかっていいたが、図10、11に示す本実施例の水槽51では、排水口を小径にし奥側に配せたことで排水口92である開口部にかかる応力を小さく抑えることができる。
【0037】
また、水槽51の底面強度を軽減できるため、水槽51が樹脂製であれば、材料を極力薄くできたり、更に繊維強化樹脂などによる水槽51の底面の補強をおこなう場合でも、補強を軽減することが可能となる。また荷重による排水口周辺の変形もなくなるため水漏れも防止することができる。
【0038】
次に、水槽に排水を勢いよく流した場合に排水の跳ね上がりが抑制できることを説明する。水槽本体と側方膨出部52の境界にはエプロン7がその下方を本体底部55より若干高い位置から立設している(図1参照)。エプロン7はその下方が本体底部55より若干高い位置から立設しているために勢いよく水槽51に水を流した際に水はこのエプロン7に一時的に堰き止められるように勢いをそがれる。そして勢いをそがれた水は、エプロン7の下端と本体底部55で形成される開口部から排水口へと導かれる。水は勢いをそがれており側方膨出部奥壁21に当たっても跳ね上がることが少ないため、収納器22の底部に水が降りかかることがなく、汚れを軽減できる。
【0039】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0040】
例えば、本発明の水槽を有した流し台は、
水槽本体と側方膨出部の境界にはエプロンが、その下方を本体底面と略等しい高さから立設し、本体底面と側方膨出部底面の境界には、排水を誘導する排水案内路がエプロンの手前から側方膨出部底面にかけて形成されており、前記エプロン背面の側方膨出部内には収納器を着脱自在に備えてもよい。
このようにすることで、排水を勢いよく水槽に流しても、エプロンに一時的に堰き止められ勢いをそがれる。そして勢いをそがれた排水は、前記エプロンの下端と前記排水案内路で形成される排水入り口から排水が排水口へと導かれるが、排水は勢いをそがれており側方膨出部奥壁に当たっても跳ね上がることが少ないため、収納器の底部に排水が降りかかることがなく、収納器の汚れを軽減できる。
【0041】
また例えば、本発明の水槽を有した流し台は、
前記収納器の底部は板状であり、排水のため複数の孔を有してもよい。
このようにすることで、収納器の底面は板状で排水のための孔が最小限あいただけなので、更に下から跳ね上がる収納器内への水の侵入を抑えられる。また、排水に混じったゴミ等の異物も跳ね上げられるが、最小限の孔であるため、異物が孔に引っかかり付着することも抑制できる。
【0042】
また例えば、本発明の水槽を有した流し台は、
前記収納器は少なくとも前面部と収納器底部の側面視略L字状に構成され、背面は水槽の側方膨出部奥壁、および側面は水槽の側方膨出部側壁に配置してもよい。
このようにすることで、これら水槽の部位を利用することで収納器を簡易な構造とすることができ、また収納器を取り外せば容易に手入れができる。
【0043】
また例えば、本発明の水槽を有した流し台は、
左右の前記側方膨出部側壁には前記収納器の底部の左右が載置される段部が形成され、また該側方膨出部側壁の段部には、前記収納器の立設部の左右が、左右の前記側方膨出部側壁上部には凸部が形成され、エプロンの裏面上部の側面視で略J字状の係合部と上方に着脱自在に係合され、前記係合部は略J字状であり前記凸部を前後および上方から係合し、前記段部および凸部は水槽と一体に成型され、前記段部および凸部と側方膨出部側壁との連接部分は滑らかなR形状としてもよい。
このようにすることで、収納器やエプロンを水槽に係合する場合、ピンなどに比べて段部、凸部に汚れが付着し難く、また付着しても除去し易い。
【0044】
更に例えば、本発明の水槽を有した流し台は、
前記水槽の側方膨出部に隣接するデッキ部には、水栓を取付けることが可能でその高さは天板上面より低く平面状とし、前記デッキ部と前記エプロンの上部高さを等しくし、かつ滑らかに連接させてもよい。
このようにすることで、デッキ部またはエプロンと天板上面前縁との間に、水切りかご、水きりプレート、まな板などを掛け渡すことができ、また滑らかに連接していることでスライド自在とすることができる。
【0045】
また例えば、本発明の水槽を有した流し台は、
前記左右の前記側方膨出部側壁上部には凸部が形成され、前記エプロンの裏面上部に側面視で略J字状の係合部が形成され、前記係合部は前記凸部を上方から係合してもよい。
このようにすることで、係合部は略J字状であるために凸部を前後および上方から係合され、かつ前記エプロンの重心よりも高い位置で係合されるため、着脱が容易にもかかわらず安定して取り付くことができる。これにより、水切りかご、水きりプレート、まな板などエプロンに載置しても安定する。
【符号の説明】
【0046】
1 水槽
2 側方膨出部
3 デッキ部
4 天板上面
5 本体底部
6 側方膨出部底部
7 エプロン
11 水槽本体
21 側方膨出部奥壁
22 収納器
26 側方膨出部側壁
61 膨出部排水口
221,222 収納器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で幅方向の内法が75〜85cmである横長の水槽内の一側壁に、該水槽の本体内方側を開放として平面視で奥行方向の内法が9〜12cmである横長の側方膨出部を設け、該側方膨出部に、下方に膨出する平面視で横長の側方膨出部底部を備えるとともに、該側方膨出部底部に納まる口径を有する膨出部排水口を配したことを特徴とする水槽を有した流し台。
【請求項2】
前記水槽は樹脂製から成ることを特徴とする請求項1に記載の水槽を有した流し台。
【請求項3】
前記水槽の本体底部は、前記側方膨出部底部に連接する部分が該本体底部で最も低く、前記膨出部排水口を配した側方膨出部に対向する水槽の側壁に連接する部分にかけて、該本体底部が漸次高くなることを特徴とする請求項1または2に記載の水槽を有した流し台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−7378(P2012−7378A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144045(P2010−144045)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】